(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037718
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】加熱機器
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
F24C3/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144459
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】広田 和也
(57)【要約】
【課題】本明細書では、通信モジュールに対する電力を抑制することで、消費電力を抑制することができる加熱機器を提供する。
【解決手段】本明細書が開示する加熱機器は、電源部と、メイン制御部と、通信モジュールと、切替部と、を備える。メイン制御部は、加熱機器の動作を制御する。通信モジュールは、電源部と接続され、メイン制御部との内部通信を実行可能であるとともに外部機器との外部通信を実行可能である。切替部は、電源部から通信モジュールへの電力供給経路上に配置されており、メイン制御部からの指示に応じて、電源部から通信モジュールへの電力の供給を許容する供給状態と、電源部から通信モジュールへの電力の供給を禁止する遮断状態と、の間で切り替わる。メイン制御部は、通信モジュールとの間の内部通信に異常が発生した場合に、切替部を遮断状態に保持する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱機器であって、
電源部と、
前記加熱機器の動作を制御するメイン制御部と、
前記電源部と接続される通信モジュールであって、前記メイン制御部との内部通信を実行可能であるとともに外部機器との外部通信を実行可能である前記通信モジュールと、
前記電源部から前記通信モジュールへの電力供給経路上に配置されており、前記メイン制御部からの指示に応じて、前記電源部から前記通信モジュールへの電力の供給を許容する供給状態と、前記電源部から前記通信モジュールへの電力の供給を禁止する遮断状態と、の間で切り替わる切替部と、を備え、
前記メイン制御部は、前記通信モジュールとの間の前記内部通信に異常が発生した場合に、前記切替部を前記遮断状態に保持する、加熱機器。
【請求項2】
前記メイン制御部は、前記内部通信が正常な場合に、前記切替部を前記供給状態に保持し、
前記供給状態に保持された前記切替部は、前記電源部から前記メイン制御部への電力の供給が停止しても、前記供給状態に保持される、請求項1に記載の加熱機器。
【請求項3】
前記通信モジュールは、中継器を介して外部サーバとの前記外部通信を実行し、
前記中継器は、前記切替部が前記遮断状態である場合に、前記内部通信に異常が発生していることを報知する、請求項2に記載の加熱機器。
【請求項4】
前記中継器は、
ユーザの端末装置と通信可能であり、
前記切替部が前記遮断状態である場合に、前記内部通信に異常が発生していることを前記端末装置に報知する、請求項3に記載の加熱機器。
【請求項5】
前記中継器は、前記切替部が前記遮断状態である場合に、前記内部通信に異常が発生していることを、前記外部サーバを介して前記端末装置に報知する、請求項4に記載の加熱機器。
【請求項6】
前記電源部は、乾電池を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の加熱機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、加熱機器に関する。特に、外部機器との外部通信を実行可能である通信モジュールを備える加熱機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、通信モジュールを備える加熱機器が開示されている。加熱機器は、さらに、電源部と加熱機器の動作を制御するメイン制御部とを備える。加熱機器では、電源部からメイン制御部への電力の供給が許容されているか禁止されているかに関わらず、電源部からの電力が通信モジュールへ常に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信モジュールは、外部機器との外部通信に加え、メイン制御部との内部通信を実行する。通信モジュールは、内部通信を利用して、外部通信に含まれる情報をメイン制御部に伝達し、メイン制御部から伝達された情報を外部機器に送信する。このため、仮に内部通信に異常が発生すると、通信モジュールは、メイン制御部との間において情報の伝達が行えない。そのため、内部通信に異常が発生してしまうと、仮に通信モジュール自体に異常が発生せず、外部通信が正常に実行可能であっても、通信モジュールの機能が実質的に失われる。特許文献1の加熱機器では、実質的に機能を失った通信モジュールに対しても、電源部から電力が供給されるので、電力を浪費するおそれがある。本明細書では、通信モジュールにおける電力の浪費を抑制することができる加熱機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する加熱機器は、電源部と、メイン制御部と、通信モジュールと、切替部と、を備える。メイン制御部は、前記加熱機器の動作を制御する。通信モジュールは、前記電源部と接続され、前記メイン制御部との内部通信を実行可能であるとともに外部機器との外部通信を実行可能である。切替部は、前記電源部から前記通信モジュールへの電力供給経路上に配置されており、前記メイン制御部からの指示に応じて、前記電源部から前記通信モジュールへの電力の供給を許容する供給状態と、前記電源部から前記通信モジュールへの電力の供給を禁止する遮断状態と、の間で切り替わる。前記メイン制御部は、前記通信モジュールとの間の前記内部通信に異常が発生した場合に、前記切替部を前記遮断状態に保持する。
【0006】
上記の構成によると、メイン制御部は、内部通信に異常が発生した場合に、切替部を遮断状態に保持する。これにより、内部通信に異常が発生した場合に、通信モジュールに電力が供給されない。本明細書が開示する加熱機器は、内部通信の異常発生時に通信モジュールへの電力供給を禁止することで、通信モジュールにおける電力の浪費を抑制することができる。
【0007】
前記メイン制御部は、前記内部通信が正常な場合に、前記切替部を前記供給状態に保持してもよい。その場合、前記供給状態に保持された前記切替部は、前記電源部から前記メイン制御部への電力の供給が停止しても、前記供給状態に保持されてもよい。
【0008】
上記の構成によると、内部通信に異常が発生した場合にのみ通信モジュールへの電力の供給が禁止され、それ以外の場合に通信モジュールへの電力の供給が許容される。このため、通信モジュールへの電力供給の有無から、内部通信に異常が発生しているか否かを判別することができる。
【0009】
前記通信モジュールは、中継器を介して外部サーバとの前記外部通信を実行してもよい。その場合、前記中継器は、前記切替部が前記遮断状態である場合に、前記内部通信に異常が発生していることを報知してもよい。
【0010】
上記の構成によると、中継器を利用して、内部通信に異常が発生していることをユーザ等に認識させることができる。
【0011】
前記中継器は、ユーザの端末装置と通信可能であってもよい。その場合、前記切替部が前記遮断状態である場合に、前記内部通信に異常が発生していることを前記端末装置に報知してもよい。
【0012】
上記の構成によると、ユーザの端末装置を利用して、内部通信に異常が発生していることをユーザに認識させることができる。
【0013】
前記中継器は、前記切替部が前記遮断状態である場合に、前記内部通信に異常が発生していることを、前記外部サーバを介して前記端末装置に報知してもよい。
【0014】
上記の構成によると、外部サーバを利用して、内部通信に異常が発生していることをユーザに認識させることができる。
【0015】
本明細書が開示する技術は、電源部が消耗しやすい乾電池を含む場合に、特に有益である。
【0016】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】メイン制御部20が実行する内部通信監視処理のフロー図を示す。
【
図4】中継器100が実行する外部通信監視処理のフロー図を示す。
【
図5】サーバ300が実行する通信状況特定結果送信処理のフロー図を示す。
【0018】
(実施例)
(通信システム2;
図1)
図面を参照して、実施例の加熱機器について説明する。最初に、
図1を参照して、加熱機器10が構成する通信システム2について説明する。通信システム2は、加熱機器10に加え、中継器100と、アクセスポイント200(以下、「AP(Access Pointの略)200」と記載する)と、サーバ300と、携帯端末400と、を備える。通信システム2は、ユーザの携帯端末400を利用して、加熱機器10の状態をユーザに通知したり、ユーザが加熱機器10を遠隔で操作するためのシステムである。
【0019】
AP200は、Wi-Fi(登録商標)方式に従った無線LAN(Local Area Network)を形成可能である。中継器100は、AP200によって形成された無線LANに接続される。また、AP200は、インターネット6に接続されている。これにより、中継器100は、AP200及びインターネット6を介して、サーバ300と通信可能である。なお、変形例では、中継器100は、有線LANを介してAP200に接続されてもよい。
【0020】
中継器100は、加熱機器10とAP200との間の通信を中継するための装置である。中継器100は、Bluetooth(登録商標)(以下、BTと称する)方式に従った無線通信を利用して、加熱機器10と通信可能である。ここで、BT規格は、例えば、IEEE802.15.1の規格、及び、それに準ずる規格である。より具体的に言うと、中継器100は、BLE(Bluetooth Low Energyの略)をサポートしている。BLEは、BT規格のバージョン4.0以降のバージョンで実現されている。また、上記したように、中継器100は、AP200を介して、サーバ300と通信可能である。これにより、加熱機器10は、中継器100、AP200、及び、インターネット6を介して、サーバ300と通信可能である。
【0021】
携帯端末400は、インターネット6を介して、サーバ300と通信可能である。また、携帯端末400は、インターネット6、AP200及び中継器100を介して、加熱機器10と通信可能である。
【0022】
(加熱機器10の構成)
加熱機器10は、ガス燃焼式のコンロである。加熱機器10は、コンロバーナ12と、操作部14と、電源部16と、電源スイッチ18と、メイン制御部20と、BLEモジュール30と、を備える。
【0023】
コンロバーナ12は、加熱対象(例えば、調理容器)を加熱するためのバーナである。コンロバーナ12には、ガス供給路(図示省略)が接続されている。ガス供給路には、コンロバーナ12へのガスの供給量を調整するためのコンロ調整弁(図示省略)が設けられている。コンロバーナ12は、コンロバーナ12にガスが供給されている状態でイグナイタ(図示省略)を動作させることで、点火する。例えば、加熱機器10は3個のコンロバーナ12を有する。
【0024】
操作部14は、コンロバーナ12の点火、消火及び加熱量の調整を行うための操作部である。電源部16は、乾電池17の電力を加熱機器10の各電子機器に供給する。電源スイッチ18は、加熱機器10の電源をオンする指示と電源をオフする指示とを受け付けるためのスイッチである。電源をオンする指示が電源スイッチ18に与えられると、電源部16の乾電池17からBLEモジュール30を除く加熱機器10の各部(例えば、操作部14、メイン制御部20、コンロ調整弁、イグナイタ等)に電力が供給される。また、電源をオフする指示が電源スイッチ18に与えられると、乾電池17からBLEモジュール30を除く加熱機器10の各部への電力の供給が遮断される。
【0025】
メイン制御部20は、メイン制御回路22と、内部通信回路26と、を備える。メイン制御回路22は、CPU24、メモリ(図示省略)を備える。メモリは、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどによって構成される。メイン制御回路22は、CPU24がメモリに記憶された情報に基づいて処理を実行することで、加熱機器10の各電子機器の動作を制御する。内部通信回路26は、BLEモジュール30のBLE制御回路32との内部通信を実行するための回路である。
【0026】
BLEモジュール30は、BLE制御回路32と、内部通信回路36と、BLE通信回路38と、を備える。BLE制御回路32は、CPU34、メモリ(図示省略)を備える。BLE制御回路32は、CPU34がメモリに記憶された情報に基づいて処理を実行することで、BLEモジュール30の各構成要素の動作を制御する。内部通信回路36は、メイン制御部20のメイン制御回路22との通信を実行するための回路である。BLE通信回路38は、外部機器(例えば、中継器100)とのBLE通信を実行するための通信インターフェースである。
【0027】
(中継器100の構成)
中継器100は、Wi-Fi通信回路102と、スピーカ104と、BLE通信回路108と、制御部110と、を備える。Wi-Fi通信回路102は、AP200とのWi-Fi通信を実行するための通信インターフェースである。BLE通信回路108は、加熱機器10のBLE通信回路38とのBLE通信を実行するための通信インターフェースである。スピーカ104は、例えば、通信システム2の通信に異常が発生した場合に、警告音を出力する。
【0028】
制御部110は、CPU114と、メモリ116と、を備える。CPU114は、メモリ116に記憶されているプログラム118に従って、中継器100のWi-Fi通信回路102、スピーカ104、BLE通信回路108の動作を制御する。中継器100は、メモリ116に、サーバ300のIPアドレスを記憶する。例えば、制御部110は、プログラム118に従って、後述する外部通信監視処理によって得られた通信情報をサーバ300に送信する命令をWi-Fi通信回路102に供給する。
【0029】
(サーバ300の構成)
サーバ300は、加熱機器10のベンダによって提供されるサーバである。サーバ300は、CPU304と、メモリ(図示省略)と、を備える。サーバ300は、加熱機器10の状態に関する情報(以下、状態情報と称することがある)を中継器100から定期的に受信し、当該状態情報をメモリに記憶する。状態情報は、例えば、加熱機器10のコンロバーナ12が加熱中であるか否か、加熱温度等を含む。
【0030】
(携帯端末400の構成)
携帯端末400は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC等の可搬型の端末である。携帯端末400は、表示部402と、メモリ406と、CPU404と、を備える。表示部402は、いわゆるタッチパネルであり、携帯端末400を操作する操作部としても機能する。メモリ406には、加熱機器10のベンダによって提供されるアプリケーションプログラム408がインストールされている。携帯端末400のCPU404は、アプリケーションプログラム408に従って、サーバ300にアクセスすることができる。CPU404は、サーバ300に記憶されている加熱機器10の状態情報を、サーバ300から受信し、当該状態情報によって示される加熱機器10の状態を表示部402に表示する。これにより、ユーザは、加熱機器10から離れていても、携帯端末400を利用して加熱機器10の状態を知ることができる。
【0031】
(加熱機器10の回路構成;
図2)
図2に示されるように、メイン制御部20は、BLEモジュール30に対して並列に接続される。メイン制御部20は、電源スイッチ18を介して乾電池17に接続される。BLEモジュール30は、供給遮断回路40を介して乾電池17に接続される。即ち、供給遮断回路40は、乾電池17からBLEモジュール30への電力供給経路上に配置される。供給遮断回路40は、BLEモジュール30を乾電池17に接続する供給状態と、BLEモジュール30と乾電池17との接続を遮断する遮断状態と、を切替えるスイッチ回路を備える。電源スイッチ18がオフされても、供給遮断回路40が供給状態に保持されていれば、BLEモジュール30に乾電池17の電力が供給される。
【0032】
供給遮断回路40は、メイン制御部20のメイン制御回路22と通信可能である。供給遮断回路40は、メイン制御回路22の指示に応じて、供給状態と遮断状態とを切替える。即ち、供給遮断回路40は、メイン制御回路22の指示に応じて、BLEモジュール30への電力の供給を許容する供給状態と、BLEモジュール30への電力の供給を禁止する遮断状態と、の間で切り替わる。
【0033】
図2に示されるように、メイン制御部20の内部通信回路26とBLEモジュール30の内部通信回路36とは、有線で接続される。当該有線を介して、各内部通信回路26,36の間で内部通信が実行される。当該内部通信では、様々な情報が送受信される。例えば、BLEモジュール30の内部通信回路36からは、携帯端末400から中継器100等を介して受信した、加熱機器10のコンロバーナ12(
図1参照)の加熱状況を確認するための確認信号が、メイン制御部20の内部通信回路26に送信される。この場合、メイン制御部20の内部通信回路26からは、受信した確認信号に対するコンロバーナ12の加熱状況を含む状況信号が、BLEモジュール30の内部通信回路36に送信される。
【0034】
さらに、内部通信回路36からは、携帯端末400から中継器100等を介して受信した、加熱機器10のコンロバーナ12(
図1参照)の加熱を停止するための加熱停止信号が、メイン制御部20の内部通信回路26に送信されてもよい。この場合、メイン制御部20は、当該加熱停止信号に基づいて、コンロバーナ12の加熱を停止してもよい。その結果、メイン制御部20の内部通信回路26からは、コンロバーナ12の加熱を停止したことを通知する加熱停止信号が、BLEモジュール30の内部通信回路36に送信されてもよい。
【0035】
(内部通信監視処理;
図3)
図3を参照して、内部通信監視処理について説明する。内部通信監視処理は、メイン制御部20のメイン制御回路22のCPU24によって実行される。理解しやすいように、以下では、処理を実行する主体を、CPU24ではなくメイン制御部20として記載する。内部通信監視処理は、電源スイッチ18がオンされることをトリガとして開始される。
【0036】
S10において、メイン制御部20は、BLEモジュール30との内部通信に異常が発生しているか否かを監視する。
図2を参照して説明したように、メイン制御部20の内部通信回路26とBLEモジュール30の内部通信回路36とは、互いに有線で接続されている。メイン制御部20は、当該有線を介して、BLEモジュール30に定期的に信号を送信する。メイン制御部20は、所定の時間内にBLEモジュール30からの応答信号を受信した場合には、BLEモジュール30との内部通信が正常であると判断する。一方、所定の時間を超えてBLEモジュール30からの応答信号がない場合に、メイン制御部20は、BLEモジュール30との内部通信に異常が発生していると判断する。
【0037】
また、先に述べたように、メイン制御部20の内部通信回路26は、BLEモジュール30の内部通信回路36から、様々な情報を含む信号を受信する。これらの信号を受信した場合も、メイン制御部20は、BLEモジュール30との内部通信が正常であると判断する。
【0038】
BLEモジュール30との内部通信が正常であると判断した場合(S10でNO)、メイン制御部20は、S14において、供給遮断回路40を供給状態に切り替える。メイン制御部20は、S14において、供給遮断回路40が元々供給状態である場合には、供給状態を保持する。
【0039】
その後、メイン制御部20は、再びS10に戻り、BLEモジュール30との内部通信に異常が発生しているか否かを繰り返して監視する。一方、BLEモジュール30との内部通信に異常が発生していると判断した場合(S10でYES)、S12において、メイン制御部20は、供給遮断回路40を遮断状態に切り替える。メイン制御部20は、S12において、供給遮断回路40が元々遮断状態である場合には、遮断状態を保持する。これにより、BLEモジュール30への電力の供給が遮断される。
【0040】
このように、BLEモジュール30との内部通信に異常が発生していると判断した場合に、メイン制御部20は、BLEモジュール30への電力の供給を遮断する。先に述べたように、BLEモジュール30は、携帯端末400からの情報をメイン制御部20に送信し、メイン制御部20からの情報を携帯端末400に送信する。このため、メイン制御部20とBLEモジュール30との間の内部通信に異常が発生した場合、BLEモジュール30は、実質的にその機能を果たすことができない。内部通信に異常が発生した場合に、実質的に機能を果たすことができないBLEモジュール30への電力の供給を遮断することで、BLEモジュール30における電力の浪費を抑制することができる。
【0041】
(外部通信監視処理;
図4)
次いで、
図4を参照して、外部通信監視処理について説明する。外部通信監視処理は、中継器100の制御部110のCPU114によって実行される。理解しやすいように、以下では、処理を実行する主体を、CPU114ではなく制御部110として記載する。外部通信監視処理は、中継器100の電源がオンされることをトリガとして開始される。
【0042】
S20において、制御部110は、自身のBLE通信回路108が、BLEモジュール30のBLE通信回路38から通知信号を定期的に(即ち、所定の周期で)受信することを監視する。具体的には、制御部110は、例えば、BLE通信回路108が、BLE方式に従ったAdvertise信号をBLE通信回路38から受信することを監視する。ここで、Advertise信号は、ブロードキャスト送信可能な信号であり、無線接続の確立をすることなく、他のBLE通信回路に送信可能な信号である。
【0043】
所定の周期内に通知信号を受信した場合(S20でYES)、S22において、制御部110は、正常通信情報をサーバ300(
図1参照)に送信する。正常通信情報は、加熱機器10と中継器100との間のBLE通信が正常に実行されたことを示す。その後、制御部110は、S20に戻り、再びBLE通信回路38から通知信号を定期的に受信することを監視する。
【0044】
所定の周期内に通知信号を受信しなかった場合(S20でNO)、S24において、制御部110は、スピーカ104(
図1参照)から警告音を出力する。これにより、中継器100は、ユーザに対して、加熱機器10と中継器100との間のBLE通信が正常に実行されなかったことを認識させることができる。
【0045】
次いで、S26において、制御部110は、異常通信情報をサーバ300に送信する。異常通信情報は、加熱機器10と中継器100との間のBLE通信が正常に実行されなかったことを示す。その後、制御部110は、S20に戻り、再びBLE通信回路38から通知信号を定期的に受信することを監視する。
【0046】
(通信状況特定結果送信処理;
図5)
図5を参照して、通信状況特定結果送信処理について説明する。通信状況特定結果送信処理は、サーバ300のCPU304によって実行される。理解しやすいように、以下では、処理を実行する主体を、CPU304ではなくサーバ300として記載する。通信状況特定結果送信処理は、サーバ300と中継器100との通信が開始されたことをトリガとして開始される。
【0047】
S30において、サーバ300は、中継器100から状態情報を定期的に(即ち、所定の周期で)受信することを監視する。先に述べたように、中継器100の制御部110は、プログラム118に従って、サーバ300に対して、加熱機器10の状態情報を送信する。サーバ300は、所定の周期内に、状態情報を中継器100から受信しなかった場合(S30でNO)、S36において、サーバ300と中継器100との間の通信に異常が発生したことを特定し、S40に進む。
【0048】
一方、サーバ300は、所定の周期内に状態情報を中継器100から受信した場合(S30でYES)、S32において、受信した状態情報が異常通信情報(
図4参照)を含むか否かを判断する。受信した状態情報が異常通信情報を含む場合(S32でYES)、S34において、サーバ300は、中継器100と加熱機器10との間の通信に異常が発生したことを特定する。さらに、S39において、サーバ300は、加熱機器10の内部通信に異常が発生していることを判別し、S40に進む。
【0049】
状態情報が正常通信情報を含む場合(S32でNO)、サーバ300は、S38において、加熱機器との間の通信が正常に実行されたことを特定し、S40に進む。
【0050】
S40において、サーバ300は、S34~S38で特定した結果を携帯端末400に送信し、
図5の処理を終了する。ここで、S34の処理によって特定された結果には、S39で判別された、加熱機器10の内部通信に異常が発生していることを示す情報が含まれる。携帯端末400は、受信した特定結果を表示部402に表示する。これにより、サーバ300は、加熱機器10とサーバ300との間の通信の状況を、ユーザに認識させることができる。
【0051】
ここで、仮に、内部通信における異常発生時に(S10でNO)、メイン制御部20が供給遮断回路40を遮断状態に切り替えなかった場合に、上述した外部通信監視処理及び通信状況特定結果送信処理において実行される処理について説明する。この場合、BLEモジュール30が正常に動作している状態では、外部通信監視処理において中継器100は、BLEモジュール30から通知信号を受信する。その結果、中継器100は、BLEモジュール30から通知信号を定期的に受信したと判断し(S20でYES)、サーバ300に対して正常通信情報を送信する(S22)。
【0052】
この結果、通信状況特定結果送信処理において、サーバ300は、状態情報が正常通信情報を含むと判断し(S32でNO)、加熱機器との間における正常通信を含む特定結果を携帯端末400に送信する(S40)。このため、正常通信を含む特定結果を受信した携帯端末400のユーザは、メイン制御部20とBLEモジュール30との間の内部通信に異常が発生していることを認識することができない。その結果、ユーザは、携帯端末400を利用した加熱機器10への通信が可能であると認識してしまう。このため、例えば、ユーザが携帯端末400を利用して加熱機器10に対して遠隔操作を実行した場合に、ユーザは、当該遠隔操作が問題なく実行されると認識してしまう。
【0053】
上述した加熱機器10では、内部通信に異常が発生した場合に(S10でNO)、供給遮断回路40が遮断状態に切り替えられる(S12)。その結果、中継器100は、外部通信監視処理において、BLEモジュール30から通知信号を定期的に受信しない(S20でNO)。このため、中継器100は、異常通信情報をサーバ300に送信する(S26)。このように、加熱機器10では、内部通信に異常が発生しているにも関わらず、BLEモジュール30が動作している状態が起こり得ないため、加熱機器10は、ユーザに対して、通信の異常発生を認識させることができる。
【0054】
さらに、メイン制御部20は、内部通信が正常であると判断した場合に、供給遮断回路40を供給状態に保持する。このため、電源スイッチ18がオンされている状態において、BLEモジュール30への電力供給の有無に応じて、内部通信に異常が発生しているか否かを判別することができる。さらに、先に述べたように、BLEモジュール30は、電源スイッチ18を介さず、供給遮断回路40を介して電源部16と接続される。このため、電源スイッチ18がオフされても、BLEモジュール30には、電源部16の電力が常に供給される。このため、供給遮断回路40は、メイン制御部20に電力が供給されているか否かに関わらず、内部通信に異常が発生している場合を除いて、供給状態に保持される。その結果、BLEモジュール30には、内部通信に異常が発生しなければ、電源部16の電力が常に供給される。別言すれば、BLEモジュール30への電力供給の有無に応じて、内部通信に異常が発生しているか否かを判別することができる。このため、サーバ300は、
図5のS32で異常通信情報を含む状態情報を、中継器100から受信した場合に、S39において、加熱機器10の内部通信に異常が発生していることを判別することができる。
【0055】
仮に、BLEモジュール30への電力供給を禁止する他のトリガが設定されている場合、当該BLEモジュール30への電力の遮断が内部通信の異常発生に起因するものか、他のトリガに起因するものなのかを、別の情報によって特定する必要が生じる。本実施例の加熱機器10によれば、簡易な構成によって内部通信に異常が発生しているか否かを判別することができる。
【0056】
(対応関係)BLEモジュール30が、「通信モジュール」の一例である。供給遮断回路40が「切替部」の一例である。
【0057】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0058】
(変形例1)「加熱機器」は、ガス燃焼式のコンロに限定されず、IH式のビルトインコンロであってもよい。さらに、「加熱機器」は、コンロに限定されず、食器洗浄機、衣類乾燥機等であってもよい。
【0059】
(変形例2)メイン制御部20は、電源スイッチ18がオフされることに起因して、供給遮断回路40をオフしてもよい。即ち、供給遮断回路40は、供給状態に保持されていなくてもよい。また、別の変形例では、BLEモジュール30は、メイン制御部20と直列に接続されてもよい。
【0060】
(変形例3)中継器100は、S24において、警告音を出力しなくてもよい。その場合、中継器100は、スピーカ104を備えなくてもよい。また、別の変形例では、中継器100は、スピーカ104に代えて、警告灯を備えてもよい。その場合、S24において、中継器100は、警告灯を点滅させてもよい。
【0061】
(変形例4)加熱機器10は、BLEモジュール30に代えて、Wi-Fiモジュールを備えてもよい。その場合、加熱機器10は、中継器100を介さずに、AP200及びインターネット6を介してサーバ300と外部通信を実行してもよい。
【0062】
(変形例5)中継器100は、AP200を介して、正常通信情報または異常通信情報を、携帯端末400に送信してもよい。即ち、中継器100は、サーバ300を介さずに、正常通信情報または異常通信情報を、携帯端末400に直接送信してもよい。その場合、通信システム2は、サーバ300を備えなくてもよい。
【0063】
(変形例6)電源部16は、乾電池17に代えて、家庭用AC電源であってもよい。その場合、BLEモジュール30に代えて、中継器100が加熱機器10に組み込まれてもよい。
【0064】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0065】
2:通信システム、6:インターネット、10:加熱機器、12:コンロバーナ、14:操作部、16:電源部、17:乾電池、18:電源スイッチ、20:メイン制御部、22:メイン制御回路、24,34,114,304,404:CPU、26,36:内部通信回路、30:BLEモジュール、32:BLE制御回路、38,108:BLE通信回路、40:供給遮断回路、100:中継器、102:Wi-Fi通信回路、104:スピーカ、110:制御部、116,406:メモリ、118:プログラム、200:アクセスポイント、300:サーバ、400:携帯端末、402:表示部、408:アプリケーションプログラム