(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037726
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】魚釣り用リール
(51)【国際特許分類】
A01K 89/015 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
A01K89/015 E
A01K89/015 B
A01K89/015 C
A01K89/015 D
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144474
(22)【出願日】2021-09-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】518146463
【氏名又は名称】株式会社ブルーボード
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】杉並 康之
【テーマコード(参考)】
2B108
【Fターム(参考)】
2B108EB01
2B108EC01
2B108EH01
2B108EH06
(57)【要約】
【課題】手動式リールとしても電動式リールとしても好適に使用できる魚釣り用リールを実現する。
【解決手段】魚釣り用リール100が、リール本体部10と、リール本体部10に回転可能に支持されているスプール20と、リール本体部10の一端側に回転可能に装着されているハンドル40と、リール本体部10の他端側に設けられている被連結部15に着脱可能な連結部55を有しており、リール本体部10の外部に配置されるモーター動力部50と、ハンドル40が回転された駆動力をスプール20に伝達する第1の回転伝達機構60と、被連結部15に連結された連結部55を介して入力されたモーター動力部50の駆動力をスプール20に伝達する第2の回転伝達機構70と、を備えており、連結部55と被連結部15の一方には磁石55aが配設されており、他方には磁石55aまたは強磁性体15aが配設されている構成にした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体部と、
前記リール本体部に回転可能に支持されているスプールと、
前記リール本体部の一端側に回転可能に装着されているハンドルと、
前記リール本体部の他端側に設けられている被連結部に着脱可能な連結部を有しており、前記リール本体部の外部に配置されるモーター動力部と、
前記ハンドルが回転された駆動力を前記スプールに伝達する第1の回転伝達機構と、
前記被連結部に連結された前記連結部を介して入力された前記モーター動力部の駆動力を前記スプールに伝達する第2の回転伝達機構と、
を備えている魚釣り用リールであって、
前記連結部と前記被連結部の一方には磁石が配設されており、他方には磁石または強磁性体が配設されていることを特徴とする魚釣り用リール。
【請求項2】
前記連結部と前記被連結部の一方には係入凸部が設けられ、他方には係入凹部が設けられており、
前記連結部と前記被連結部とが連結された状態で、前記係入凸部が前記係入凹部に係入されていることによって、前記連結部と前記被連結部の連結を安定させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣り用リール。
【請求項3】
前記被連結部には、前記第2の回転伝達機構が備えている回転軸の端部が露出した態様で配置されており、
前記連結部には、前記モーター動力部が備えているフレキシブルシャフトの端部が露出した態様で配置されており、
前記被連結部に前記連結部が連結された状態で、前記回転軸の端部と前記フレキシブルシャフトの端部とが係合して、前記フレキシブルシャフトの回転力となった前記モーター動力部の駆動力が前記回転軸に伝達されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣り用リール。
【請求項4】
前記回転軸の端部と、前記フレキシブルシャフトの端部にはそれぞれ、少なくとも2つの爪部が形成されているクラッチ部材が配設されており、
前記爪部は、前記クラッチ部材の回転方向と略直交する垂直面部と、その垂直面部の先端側から前記クラッチ部材の基部側に下る傾斜面部と、を有しており、
前記フレキシブルシャフト側のクラッチ部材の爪部と、前記回転軸側のクラッチ部材の爪部とが、前記垂直面部を互いに付き合わすように係合して、前記フレキシブルシャフトの回転力が前記回転軸に伝達されるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の魚釣り用リール。
【請求項5】
前記連結部と前記被連結部とが連結された状態を維持させるロック機構を備え、
前記ロック機構は、磁力による前記連結部と前記被連結部との連結を維持するために補強するロック状態と、前記連結部と前記被連結部との連結を磁力のみとするアンロック状態とに切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の魚釣り用リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動式リールとしても電動式リールとしても使用可能な魚釣り用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚釣り用リールとして、糸の巻き取りが手動式のリールと電動式のリールがそれぞれ市販されており、ユーザーは狙う魚の釣り方(仕掛け)や、狙う魚のいる深度などに応じて、それらを適宜使い分けている。
【0003】
例えば、手動式リールは、リール本体に回転可能に備えられているスプール(糸巻き)と、リール本体に回転可能に装着されているハンドルと、そのハンドルを回転させた駆動力をスプールに伝達するハンドル回転伝達機構などを備えている。
また、電動式リールは上記手動式リールの構成に加え、リール本体に内蔵されているモーターと、そのモーターの駆動力をスプールに伝達するモーター回転伝達機構などを備えている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、手動式リールにモーターを取り付けて、電動式リールとしても使用可能にする技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-86657号公報
【特許文献2】特開平03-187330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のようにモーターが内蔵されている電動式リールは重く、サイズが大型化してしまいがちであった。
また、リール本体にモーターが内蔵されている電動式リールの場合、モーターの発熱が内部にこもって焼き付きを起こしてしまうことがあった。
【0007】
また、特許文献2の魚釣り用リールの場合、モーターを取り付けるためにハンドルを取り外さなければならず、手動式と電動式の切り替えが煩雑であった。
【0008】
そこで、本発明者らは鋭意検討し、リール自体のサイズが大型化することなく、手動式でも電動式でも釣り糸の巻き取りが可能な魚釣り用リールを開発するに至った。
【0009】
本発明の目的は、手動式リールとしても電動式リールとしても好適に使用できる魚釣り用リールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
リール本体部と、
前記リール本体部に回転可能に支持されているスプールと、
前記リール本体部の一端側に回転可能に装着されているハンドルと、
前記リール本体部の他端側に設けられている被連結部に着脱可能な連結部を有しており、前記リール本体部の外部に配置されるモーター動力部と、
前記ハンドルが回転された駆動力を前記スプールに伝達する第1の回転伝達機構と、
前記被連結部に連結された前記連結部を介して入力された前記モーター動力部の駆動力を前記スプールに伝達する第2の回転伝達機構と、
を備えている魚釣り用リールであって、
前記連結部と前記被連結部の一方には磁石が配設されており、他方には磁石または強磁性体が配設されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の魚釣り用リールにおいて、
前記連結部と前記被連結部の一方には係入凸部が設けられ、他方には係入凹部が設けられており、
前記連結部と前記被連結部とが連結された状態で、前記係入凸部が前記係入凹部に係入されていることによって、前記連結部と前記被連結部の連結を安定させるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の魚釣り用リールにおいて、
前記被連結部には、前記第2の回転伝達機構が備えている回転軸の端部が露出した態様で配置されており、
前記連結部には、前記モーター動力部が備えているフレキシブルシャフトの端部が露出した態様で配置されており、
前記被連結部に前記連結部が連結された状態で、前記回転軸の端部と前記フレキシブルシャフトの端部とが係合して、前記フレキシブルシャフトの回転力となった前記モーター動力部の駆動力が前記回転軸に伝達されるように構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の魚釣り用リールにおいて、
前記回転軸の端部と、前記フレキシブルシャフトの端部にはそれぞれ、少なくとも2つの爪部が形成されているクラッチ部材が配設されており、
前記爪部は、前記クラッチ部材の回転方向と略直交する垂直面部と、その垂直面部の先端側から前記クラッチ部材の基部側に下る傾斜面部と、を有しており、
前記フレキシブルシャフト側のクラッチ部材の爪部と、前記回転軸側のクラッチ部材の爪部とが、前記垂直面部を互いに付き合わすように係合して、前記フレキシブルシャフトの回転力が前記回転軸に伝達されるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の魚釣り用リールにおいて、
前記連結部と前記被連結部とが連結された状態を維持させるロック機構を備え、
前記ロック機構は、磁力による前記連結部と前記被連結部との連結を維持するために補強するロック状態と、前記連結部と前記被連結部との連結を磁力のみとするアンロック状態とに切り替え可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、手動式リールとしても電動式リールとしても好適に使用できる魚釣り用リールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態の魚釣り用リールを示す断面図であり、手動式リールの態様(a)と、電動式リールの態様(b)を示している。
【
図2】本実施形態の魚釣り用リールにおける連結部と被連結部を示す拡大図であり、連結部と被連結部が連結解除された状態(a)と、連結部と被連結部が連結された状態(b)である。
【
図3】フレキシブルシャフト側のクラッチ部材と、スプール軸側のクラッチ部材を示す斜視図である。
【
図4】魚釣り用リールからスプールを取り外して交換する状態を示した断面図である。
【
図5】本実施形態の魚釣り用リールのロック機構の説明図であり、アンロック状態(a)とロック状態(b)を示している。
【
図6】本実施形態の魚釣り用リールのロック機構の説明図であり、アンロック状態(a)とロック状態(b)を示している。
【
図7】魚釣り用リールの変形例を示す断面図であり、手動式リールの態様(a)と、電動式リールの態様(b)を示している。
【
図8】魚釣り用リール(変形例)からスプールを取り外して交換する状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る魚釣り用リールの実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0018】
本実施形態の魚釣り用リール100は、例えば、
図1(a)(b)に示すように、リール本体部10と、リール本体部10に回転可能に支持されているスプール20と、リール本体部10の一端側に回転可能に装着されているハンドル40と、リール本体部10の他端側に設けられている被連結部15に着脱可能な連結部55を有しているモーター動力部50と、ハンドル40が回転された駆動力をスプール20に伝達する第1の回転伝達機構60と、被連結部15に連結された連結部55を介して入力されたモーター動力部50の駆動力をスプール20に伝達する第2の回転伝達機構70等を備えている。
上記モーター動力部50は、リール本体部10の外部に配置されている。
【0019】
また、この魚釣り用リール100は、スプール20の軸心に設けられている中空部20aに回転可能に挿通され、その一端部31がリール本体部10から外部に露出するように配されているスプール軸30を備えており、そのスプール軸30の一端部31に対してモーター動力部50が着脱されるようになっている。
このスプール軸30は、第2の回転伝達機構70の一部として構成されている。
そして、モーター動力部50の駆動力は、第2の回転伝達機構70が備えているスプール軸30を介して入力されてスプール20に伝達される。
なお、ハンドル40は、スプール軸30の他端部32側の配置に装着されている。
【0020】
リール本体部10は、スプール20の一端側21を支持する第1本体部11と、スプール20の他端側22を支持する第2本体部12と、を有している。
第1本体部11と第2本体部12は第3本体部13によって接合されており、一体に組み付けられている。
このリール本体部10の一端側を成す第1本体部11にハンドル40が装着されている。
また、リール本体部10の他端側を成す第2本体部12に被連結部15が設けられている。この被連結部15にモーター動力部50の連結部55が連結される。
また、リール本体部10における第1本体部11側に、第1の回転伝達機構60と第2の回転伝達機構70が配設されている。
【0021】
スプール20は、後述するように、リール本体部10から取り外すことが可能になっている。
このスプール20には釣り糸(ライン)が結ばれており、その釣り糸(図示省略)が巻回されている。
【0022】
スプール軸30は、スプール20の軸心に設けられている中空部20aに回転可能に挿通されている回転軸である。このスプール軸30は、第2の回転伝達機構70の一部として機能している。
スプール軸30の一端部31は、リール本体部10の第2本体部12に設けられている被連結部15から露出するように配されており、スプール軸30の他端部32は第1本体部11側に配されている。
このスプール軸30の一端部31には、後述するクラッチ部材91が配設されている。
また、第1本体部11側に配されているスプール軸30の他端部32に、第2の回転伝達機構70が配設されている。
このスプール軸30の他端部32に配設されている第2の回転伝達機構70は、スプール20の一端側21にモーター動力部50の駆動力を伝達するように構成されている。
【0023】
ハンドル40は、リール本体部10の第1本体部11に装着されている。
具体的には、ハンドル40は、第1歯車41aが設けられている第1ハンドル軸41に取り付けられており、第1歯車41aと歯合している第2歯車42aが設けられている第2ハンドル軸42に第1の回転伝達機構60が配設されている。
このハンドル40を回した回転力は、第1ハンドル軸41、第1歯車41a、第2歯車42a、第2ハンドル軸42、第1の回転伝達機構60へと順に伝わる。
そして、第2ハンドル軸42の端部に配設されている第1の回転伝達機構60は、スプール20の一端側21にハンドル40が回転された駆動力を伝達するように構成されている。
なお、第1ハンドル軸41、第1歯車41a、第2歯車42a、第2ハンドル軸42は、第1の回転伝達機構60の一部として機能している。
【0024】
モーター動力部50は、例えば、モーター51と、そのモーター51に繋がれているフレキシブルシャフト52とコントローラー53、連結部55、図示しない電源等を備えている。
コントローラー53は、モーター51のオン/オフの切り替えなどを行う操作スイッチを備えている。
連結部55は、フレキシブルシャフト52におけるモーター51の接続側とは反対の端部側に設けられている。この連結部55がリール本体部10(第2本体部12)の被連結部15に連結される。
フレキシブルシャフト52は、モーター51の回転動力を離れた位置に伝達する長尺であって可撓性を有する周知の部材であり、その端部52aがモーター51の駆動によって回転するようになっている。このフレキシブルシャフト52の端部52aが、スプール軸30の一端部31に係合可能に構成されている。
具体的には、フレキシブルシャフト52の端部52aには後述するクラッチ部材92が配設されており、フレキシブルシャフト52の端部52aのクラッチ部材92と、スプール軸30の一端部31のクラッチ部材91とが係合可能になっている。
このフレキシブルシャフト52の端部に配設されているクラッチ部材92は、フレキシブルシャフト52の端部側に設けられている連結部55の開口から露出した態様で配置されている。
なお、フレキシブルシャフト52の長さやコントローラー53のケーブルの長さは任意であり、ユーザーがモーター51やコントローラー53を設置する箇所に応じた長さのものを用いればよい。
また、ここではケーブルを介してモーター51に繋がれた有線タイプのコントローラー53を図示したが、もちろん無線通信タイプのコントローラー53でもよい。
【0025】
第1の回転伝達機構60は、遊星歯車機構であり、第2ハンドル軸42の端部に固定されている太陽歯車61と複数の遊星歯車62と遊星キャリア63等を備えて構成されている。
本実施形態では前述したように、第1ハンドル軸41、第1歯車41a、第2歯車42a、第2ハンドル軸42を第1の回転伝達機構60の構成要素の一部とみなしている。
この第1の回転伝達機構60(遊星歯車62)は、スプール20の一端側21に設けられている内歯車21aに歯合されている。なお、この内歯車21aは、第1の回転伝達機構60(遊星歯車機構)の要素の1つであるといえる。ここでの第1の回転伝達機構60は、スター型の遊星歯車機構である。
また、太陽歯車61と第2ハンドル軸42の間には、一方向ベアリングなどのワンウェイクラッチ(図示省略)が配設されている。このワンウェイクラッチによってハンドル40による一方向の回転力をスプール20に伝達できるとともに、逆方向の回転力を遮断することができる。
【0026】
第2の回転伝達機構70は、遊星歯車機構であり、スプール軸30の他端部32に固定されている太陽歯車71と複数の遊星歯車72と遊星キャリア73等を備えて構成されている。
本実施形態では前述したように、スプール軸30を第2の回転伝達機構70の構成要素の一部とみなしている。
この第2の回転伝達機構70(遊星歯車72)は、スプール20の一端側21に設けられている内歯車21aに歯合されている。なお、この内歯車21aは、第2の回転伝達機構70(遊星歯車機構)の要素の1つであるといえる。ここでの第2の回転伝達機構70は、スター型の遊星歯車機構である。
また、太陽歯車71とスプール軸30の間には、一方向ベアリングなどのワンウェイクラッチ(図示省略)が配設されている。このワンウェイクラッチによってモーター動力部50による一方向の回転力をスプール20に伝達できるとともに、逆方向の回転力を遮断することができる。
この第2の回転伝達機構70の構成要素の一部としたスプール軸30(回転軸)の一端部31のクラッチ部材91は、リール本体部10(第2本体部12)に設けられている被連結部15の開口から露出した態様で配置されている。
【0027】
連結部55は、例えば、
図1(a)(b)、
図2(a)(b)に示すように、フレキシブルシャフト52の端部52a側に設けられている円盤状の部材であり、連結部55の開口からフレキシブルシャフト52のクラッチ部材92が露出するようになっている。
この連結部55には、被連結部15と連結するための磁石55aが配設されている。
連結部55に配設されている磁石55aは、例えばネオジム磁石であり、連結部55の開口の周囲に等間隔で複数(例えば、3時,6時,9時,12時の位置に4つ)配設されている。
また、連結部55の開口部分には、係入凹部としての環状凹部55bが設けられている。この環状凹部55bに被連結部15の筒状凸部15bが係入される。
【0028】
被連結部15は、例えば、
図1(a)(b)、
図2(a)(b)に示すように、リール本体部10の第2本体部12に設けられており、被連結部15の開口からスプール軸30の一端部31のクラッチ部材91が露出するようになっている。
この被連結部15には、連結部55を連結させるための強磁性体15aが配設されている。
被連結部15に配設されている強磁性体15aは、例えば円環状の鉄板部材であり、被連結部15の開口を囲うように配設されている。
また、被連結部15の開口部分には、係入凸部としての筒状凸部15bが設けられている。この筒状凸部15bが連結部55の環状凹部55bに係入される。
【0029】
このように、リール本体部10の第2本体部12における被連結部15に強磁性体15aが配設されており、モーター動力部50のフレキシブルシャフト52における連結部55に磁石55aが配設されているので、その磁石55aの磁力によって連結部55を被連結部15に容易に連結することができる。また、連結部55と被連結部15を容易に連結解除することができる。
つまり、磁力によって連結される連結部55と被連結部15は着脱自在である。
【0030】
また、連結部55に環状凹部55bが設けられ、被連結部15に筒状凸部15bが設けられており、連結部55と被連結部15を連結した際、連結部55の環状凹部55bに被連結部15の筒状凸部15bが係入するようになっているので、磁力によって連結されている連結部55と被連結部15がずれ難くなっている。
つまり、連結部55と被連結部15とが連結された状態で、筒状凸部15bが環状凹部55bに係入されていることによって、連結部55と被連結部15の連結を安定させるようになっている。
そして、連結部55と被連結部15が連結されている箇所をぶつけたり、連結部55と被連結部15が連結されている箇所に何かが当たったりしても、簡単には被連結部15から連結部55が外れてしまわないようになっている。
【0031】
フレキシブルシャフト52の端部52aに配設されているクラッチ部材92と、スプール軸30の一端部31に配設されているクラッチ部材91は、例えば
図3に示すように、同一形状を有している。
フレキシブルシャフト52のクラッチ部材92は、フレキシブルシャフト52の端部52aとともに回転する。
スプール軸30のクラッチ部材91は、スプール軸30に固定されており、スプール軸30と一体に回転する。
そして、
図1(b)、
図2(b)に示すように、被連結部15に連結部55が連結された状態で、スプール軸30の一端部31のクラッチ部材91と、フレキシブルシャフト52の端部52aのクラッチ部材92とが係合して、フレキシブルシャフト52の回転力となったモーター動力部50の駆動力が、スプール軸30に伝達されるようになっている。
【0032】
本実施形態のクラッチ部材91,92には、2つの爪部90が形成されている。
この爪部90は、例えば、
図3に示すように、クラッチ部材91,92の回転方向と略直交する垂直面部90aと、その垂直面部90aの先端側からクラッチ部材91,92の基部側に下る傾斜面部90bとを有している。例えば、爪部90における垂直面部90aと傾斜面部90bは略45°の角度を成して接している。
そして、フレキシブルシャフト52側のクラッチ部材92の爪部90と、スプール軸30側のクラッチ部材91の爪部90とが、垂直面部90aを互いに付き合わすように係合して、フレキシブルシャフト52の回転力がスプール軸30に伝達されるようになっている。
【0033】
また、クラッチ部材91,92における爪部90の数は2つ以上であれば任意であるが、2~4つ程度であることが好ましい。
クラッチ部材91,92に設けられている爪部90の数が少ない程、爪部90一つ当たりのサイズを大きくすることができるので、クラッチ部材92の回転力をクラッチ部材91に力強く伝達することが可能になる。
なお、爪部90が1つであると、その爪部90が損傷してしまった場合に回転力を伝達することができなくなるので好ましくない。爪部90が2つ以上あれば、例えば、1つの爪部90が損傷してしまっても、残存した爪部90の係合によって回転力を伝達することができるので、クラッチ部材91,92を交換するまでの間、暫定的に使用することができる。
【0034】
また、クラッチ部材91,92の爪部90が傾斜面部90bを有していることで、スプール軸30のクラッチ部材91とフレキシブルシャフト52のクラッチ部材92とを係合させ易くなっている。
例えば、連結部55を被連結部15に連結する際、互いのクラッチ部材91,92の爪部90の位置がずれた位置にあっても、一方のクラッチ部材91(92)の爪部90の先端を、他方のクラッチ部材92(91)の爪部90の傾斜面部90bに突き当てて、その傾斜面部90bに倣ってクラッチ部材同士を近接させるようにすれば、爪部90を係合させることができる
【0035】
特に、このような爪部90が設けられているクラッチ部材91,92であれば、フレキシブルシャフト52のクラッチ部材92を回転させた状態で、連結部55と被連結部15を連結させて、スプール軸30のクラッチ部材91に係合させることができる。
例えば、連結部55を被連結部15に連結する際にフレキシブルシャフト52のクラッチ部材92が回転している場合、フレキシブルシャフト52のクラッチ部材92の爪部90の先端が、スプール軸30のクラッチ部材91の爪部90の傾斜面部90bに突き当たると、その傾斜面部90bに倣ってクラッチ部材同士がさらに近接して、互いの爪部90の垂直面部90aを付き合わすように係合させることができ、その係合と同時にスプール軸30を回転させることができる。
なお、フレキシブルシャフト52のクラッチ部材92を回転させた状態で、スプール軸30のクラッチ部材91に係合させることを考慮すると、爪部90の数は、やはり2~4つ程度であることが好ましい。
爪部90の数が多い場合、クラッチ部材91,92における爪部90の間隔が狭くなるので、爪部90に傾斜面部90bがあっても、回転しているクラッチ部材92の爪部90と回転していないクラッチ部材91の爪部90とが反発し合い易くなって、係合し難くなる。
【0036】
また、連結部55と被連結部15は磁石55aの磁力によって連結されており、その連結解除を速やかに行うことができるので、フレキシブルシャフト52のクラッチ部材92が回転している状態でも、被連結部15から連結部55を取り外し、フレキシブルシャフト52のクラッチ部材92とスプール軸30のクラッチ部材91の係合を解除して、リール本体部10からモーター動力部50を切り離すことができる。
【0037】
このような構成の魚釣り用リール100を手動式リールとして使用する場合は、
図1(a)、
図2(a)に示すように、連結部55と被連結部15の連結を解除し、モーター動力部50をスプール軸30から切り離す。
そして、魚釣り用リール100のハンドル40を所定の方向に回転させると、その回転力が第1ハンドル軸41、第1歯車41a、第2歯車42a、第2ハンドル軸42、第1の回転伝達機構60、スプール20(内歯車21a)へと順に伝わるので、そのスプール20を回転させることができる。
このようにして魚釣り用リール100のハンドル40を回転させた駆動力がスプール20に伝達され、スプール20を回転させることができ、そのスプール20に釣り糸を巻き取ることができる。
【0038】
また、この魚釣り用リール100を電動式リールとして使用する場合は、
図1(b)、
図2(b)に示すように、連結部55と被連結部15を連結し、フレキシブルシャフト52のクラッチ部材92をスプール軸30のクラッチ部材91に係合させて、モーター動力部50をスプール軸30に接続する。
そして、コントローラー53を操作してモーター動力部50のモーター51を作動させると、そのモーター51の回転力がフレキシブルシャフト52、スプール軸30、第2の回転伝達機構70、スプール20(内歯車21a)へと順に伝わるので、そのスプール20を回転させることができる。
このようにして魚釣り用リール100のモーター動力部50(モーター51)を作動させた駆動力がスプール20に伝達され、スプール20を回転させることができ、そのスプール20に釣り糸を巻き取ることができる。
なお、魚釣り用リール100を電動式リールとして使用する際、モーター51を設置する箇所は任意であり、そのモーター51はユーザーのウエストバック内に収容しておいても、ユーザーの足元に置いておいてもよい。
また、コントローラー53の設置箇所も任意であり、ユーザーが操作し易い箇所であれば、リール本体部10の外面に取り付けておいても、ユーザーの足元に置いておいてもよい。
【0039】
このように、本実施形態の魚釣り用リール100は、手動式リールとしても電動式リールとしても使用できる。
【0040】
特に、本実施形態の魚釣り用リール100は、磁石55aの磁力によって連結部55と被連結部15を連結可能にしているので、その連結と連結解除を容易に切り替えることができる。
そして、連結部55と被連結部15の連結を解除することで、フレキシブルシャフト52のクラッチ部材92とスプール軸30のクラッチ部材91の係合を解除して手動式リールとして使用することと、連結部55と被連結部15を連結することで、フレキシブルシャフト52のクラッチ部材92とスプール軸30のクラッチ部材91を係合して電動式リールとして使用することを速やかに切り替えることができる。
更に、本実施形態の魚釣り用リール100は、上述したように、モーター動力部50が作動中であって、フレキシブルシャフト52のクラッチ部材92が回転している状態であっても、連結部55と被連結部15を連結したり、連結部55と被連結部15の連結を解除したりすることができるので、手動式リールとしての使用態様と電動式リールとして使用態様をより速やかに切り替えることができる。
【0041】
また、以上の実施の形態においては、連結部55に磁石55aを配設し、被連結部15に強磁性体15aを配設して、連結部55と被連結部15を着脱可能(連結可能)にしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、連結部55と被連結部15にそれぞれ磁石を配設して、連結部55と被連結部15を着脱可能(連結可能)にしてもよい。
また、連結部55に強磁性体を配設し、被連結部15に磁石を配設して、連結部55と被連結部15を着脱可能(連結可能)にしてもよい。
【0042】
また、以上の実施の形態においては、連結部55に環状凹部55bが設けられ、被連結部15に筒状凸部15bが設けられているようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、連結部55に筒状凸部(係入凸部)が設けられ、被連結部15に環状凹部(係入凹部)が設けられるようにしてもよい。
【0043】
また、本実施形態の魚釣り用リール100は、
図4に示すように、スプール20をリール本体部10から取り外すことができるので、釣り糸をスプール20毎交換することができる。
例えば、
図4に示すように、第2本体部12の可動部12aの配置を固定部12bからずらすように、魚釣り用リール100から第2本体部12の少なくとも一部を取り外した状態にして、スプール20をスプール軸30やリール本体部10から取り外すことができる。
これは、魚釣り用リール100におけるモーター51(モーター動力部50)をリール本体部10の外部に着脱自在に配置するようにしたことと、ハンドル40や第1の回転伝達機構60や第2の回転伝達機構70を、リール本体部10の第1本体部11側に集約させたことによって、スプール20をスプール軸30の一端部31側から引き抜くように、リール本体部10の第2本体部12側から取り外すことを可能にしたことによる。
なお、スプール軸30と第2の回転伝達機構70、第1の回転伝達機構60は、図示しない支持体によって第1本体部11側に支持されているので、スプール20を脱着する際に外れてしまうことはない。
また、本実施形態では、第2本体部12の可動部12aの配置を固定部12bからずらすようにして、スプール20をスプール軸30から引き抜くための開口をつくったが、第3本体部13から第2本体部12を取り外して、スプール20をスプール軸30から引き抜くための開口をつくってもよい。
【0044】
このように、スプール20をリール本体部10から取り外すことができる魚釣り用リール100であれば、様々な釣り糸を巻回した複数のスプール20を予め準備しておくことで、様々な水深(例えば、水深100mから2000m)や様々な魚に対応する釣りに切り替えるように、速やかに釣り糸をスプール20毎交換することができる。
【0045】
前述したように、従来の電動式リールの場合、そのリール本体に内蔵されているモーターなどがスプールの脱着の妨げになっていたため、釣り糸をスプール毎交換することはできなかったが、本実施形態の魚釣り用リール100では、モーター51をリール本体部10の外側に着脱自在にしたり、第1の回転伝達機構60や第2の回転伝達機構70をスプール20の一端側21に集約させたりしたことで、電動式リールとして使用可能な魚釣り用リール100において、釣り糸をスプール20毎交換することを可能にした。
【0046】
以上のように、本実施形態の魚釣り用リール100は、手動式リールとしても電動式リールとしても好適に使用できる。
特に、モーター51(モーター動力部50)をリール本体部10の外側に配置させるようにしたことで、釣り糸をスプール20毎交換することを可能にした。
また、モーター51(モーター動力部50)をリール本体部10の外側に配置させるようにしたことで、魚釣り用リール100のリール自体(リール本体部10部分)を軽量化することができ、リールの操作性を向上させることができる。
【0047】
また、従来の電動式リールのように、リール本体にモーターが内蔵されている場合、モーターの発熱が内部にこもって焼き付きを起こしてしまうことがあったが、本実施形態の魚釣り用リール100のような外付けのモーター51(モーター動力部50)であれば放熱し易いので、焼き付きのような不具合の発生を低減することができる。
また、従来の電動式リールのように、リール本体にモーターが内蔵されている場合、モーターの大きさはリール本体のサイズに応じて制限されてしてしまうことがあるが、本実施形態の魚釣り用リール100のような外付けのモーター51であれば、リール本体部10の大きさによって制限されないので、任意のモーター51を使用し易くなる。例えば、任意の大きさのモーター51や任意の性能のモーター51を使用することができる。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、
図5(a)(b)、
図6(a)(b)に示すように、連結部55と被連結部15とが連結された状態を維持させるロック機構80を備えるようにしてもよい。
ロック機構80は、磁石55aの磁力による連結部55と被連結部15との連結を維持するために補強するロック状態と、連結部55と被連結部15との連結を磁力のみとするアンロック状態とに切り替えるためのものである。
【0049】
図5(a)(b)に示すロック機構80は、連結部55にスライド移動可能に取り付けられているロック部材81と、被連結部15(ここでは強磁性体15a)に形成されている凹部15c等を備えて構成されている。
ロック部材81は、連結部55と被連結部15とが連結された状態で、被連結部15(強磁性体15a)に対し接離可能に配されている部材である。このロック部材81は、バネ部材などによって進退可能に配設されているロック爪82を有している。
そして、
図5(a)に示すように、ロック部材81を被連結部15(強磁性体15a)から離間させた配置に切り替えている状態は、連結部55と被連結部15との連結を磁石55aの磁力のみとしたアンロック状態である。
また、
図5(b)に示すように、ロック部材81を被連結部15(強磁性体15a)に近接させた配置に切り替えて、ロック爪82を強磁性体15aの凹部15cに係入している状態は、連結部55と被連結部15との連結を維持するために補強したロック状態である。
このロック機構80のロック部材81をスライド移動させて行うアンロック状態とロック状態との切り替えは、ワンタッチで行うことができる。
なお、
図5(a)(b)に示したロック機構80は、例えば、ガス栓とガス器具の接続に利用されているコンセント継手や、水道とホースの接続に利用されているホースジョイントなどを応用したものである。
【0050】
図5(a)に示したアンロック状態であれば、連結部55と被連結部15との連結を容易に解除することができる。
例えば、魚釣り用リール100を電動式リールとして使用している状態から手動式リールに切り替え易くする場合には、ロック機構80をアンロック状態にしておく。
また、
図5(b)に示したロック状態であれば、連結部55と被連結部15との連結は解除し難く、連結部55と被連結部15との連結を維持することができる。
例えば、魚釣り用リール100を電動式リールとして継続して使用する場合であって、被連結部15から連結部55が外れ難くする場合には、ロック機構80をロック状態にしておく。
【0051】
また、
図6(a)(b)に示すロック機構80は、リール本体部10(第2本体部12)にスライド移動可能に取り付けられているロック部材86と、連結部55に形成されている凹部56等を備えて構成されている。
ロック部材86は、連結部55と被連結部15とが連結された状態で、連結部55に対し接離可能に配されている部材である。
そして、
図6(a)に示すように、ロック部材86を連結部55から離間させた配置に切り替えている状態は、連結部55と被連結部15との連結を磁石55aの磁力のみとしたアンロック状態である。
また、
図6(b)に示すように、ロック部材86を連結部55に近接させた配置に切り替えて、ロック部材86の先端部を連結部55の凹部56に係入している状態は、連結部55と被連結部15との連結を維持するために補強したロック状態である。
このロック機構80のロック部材86をスライド移動させて行うアンロック状態とロック状態との切り替えは、ワンタッチで行うことができる。
なお、
図6(a)(b)に示したロック機構80は、例えば、スマートフォンを自動車のダッシュボードやバイク・自転車のハンドルに設置するための器具(タブレットホルダー)や、ラチェット式クランプなどを応用したものである。
【0052】
図6(a)に示したアンロック状態であれば、連結部55と被連結部15との連結を容易に解除することができる。
例えば、魚釣り用リール100を電動式リールとして使用している状態から手動式リールに切り替え易くする場合には、ロック機構80をアンロック状態にしておく。
また、
図6(b)に示したロック状態であれば、連結部55と被連結部15との連結は解除し難く、連結部55と被連結部15との連結を維持することができる。
例えば、魚釣り用リール100を電動式リールとして継続して使用する場合であって、被連結部15から連結部55が外れ難くする場合には、ロック機構80をロック状態にしておく。
【0053】
このようなロック機構80を備えている魚釣り用リール100であれば、連結部55と被連結部15との連結を容易に解除することができる態様と、連結部55と被連結部15との連結解除がされ難い態様とを使い分けて、所望する魚釣りに使用することができる。
なお、この魚釣り用リール100のロック機構80は、上記実施形態に限られるものではなく、例えば、トグルラッチなどの留め金を応用したものなど、各種適用可能である。
【0054】
また、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、
図7(a)(b)に示すように、第1の回転伝達機構60が、ソーラー型の遊星歯車機構であってもよい。
ソーラー型の遊星歯車機構である第1の回転伝達機構60は、第2ハンドル軸42の端部に固定されている遊星キャリア63と、遊星キャリア63に支持されている複数の遊星歯車62と、太陽歯車61等を備えて構成されている。この太陽歯車61は、第2の回転伝達機構70の遊星キャリア73から延在する軸に取り付けられている。
このように、この魚釣り用リール100では、第1の回転伝達機構60と第2の回転伝達機構70が連結されている。
【0055】
このような構成を有する魚釣り用リール100も、手動式リールとしても電動式リールとしても好適に使用できる。
また、このような構成の魚釣り用リール100であっても、
図8に示すように、スプール20をリール本体部10から取り外すことができるので、釣り糸をスプール20毎交換することができる。この魚釣り用リール100においても、スプール軸30と第2の回転伝達機構70、第1の回転伝達機構60は、図示しない支持体によって第1本体部11側に支持されているので、スプール20を脱着する際に外れてしまうことはない。
【0056】
なお、以上の実施の形態においては、魚釣り用リール100を手動式リールとして使用する場合と電動式リールとして使用する場合とについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、モーター動力部50をスプール軸30に接続した状態で魚釣り用リール100を手動式で使用する場合に、モーター51(モーター動力部50)の駆動力をユーザーがハンドル40を回す際の補助力として活用する電動アシスト機能付きの魚釣り用リールとして使用するようにしてもよい。
また、以上の実施の形態においては詳述しなかったが、この魚釣り用リール100は、ドラグ機能を有しており、手動式リールとして釣り糸を巻き上げているときも、電動式リールとして釣り糸を巻き上げているときも、魚の引きに合わせて釣り糸が切れない様に、スプール20が逆回転するようになっている。
【0057】
また、以上の実施の形態においては、第1の回転伝達機構60と第2の回転伝達機構70がスター型の遊星歯車機構である場合と、第1の回転伝達機構60がソーラー型の遊星歯車機構で第2の回転伝達機構70がスター型の遊星歯車機構である場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各回転伝達機構(60,70)は他の遊星歯車機構であってもよい。例えば、第1の回転伝達機構60と第2の回転伝達機構70が一体の遊星歯車機構(換言すれば、第1の回転伝達機構60と第2の回転伝達機構70が一つの遊星歯車機構)であってもよい。
また、第1の回転伝達機構60と第2の回転伝達機構70は遊星歯車機構であることに限らず、他の歯車機構や他の動力伝達機構であってもよい。
【0058】
また、以上の実施の形態においては、ベイトリール(両軸リール)である魚釣り用リール100のスプール20をハンドル40によって回転させる手動式と、そのスプール20をモーター動力部50によって回転させる電動式とに切り替え可能にしたものを例に説明したが、例えば、スピニングリールのベイルアームをハンドルによって回転させる手動式と、そのベイルアームをモーター動力部50によって回転させる電動式とに切り替え可能な魚釣り用リールの技術に、本発明を応用してもよい。
【0059】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0060】
10 リール本体部
11 第1本体部
12 第2本体部
13 第3本体部
15 被連結部
15a 強磁性体
15b 筒状凸部(係入凸部)
20 スプール
20a 中空部
21 一端側
21a 内歯車
22 他端側
30 スプール軸(回転軸)
31 一端部
32 他端部
40 ハンドル
41 第1ハンドル軸
41a 第1歯車
42 第2ハンドル軸
42a 第2歯車
50 モーター動力部
51 モーター
52 フレキシブルシャフト
52a 端部
53 コントローラー
55 連結部
55a 磁石
55b 環状凹部(係入凹部)
60 第1の回転伝達機構
61 太陽歯車
62 遊星歯車
63 遊星キャリア
70 第2の回転伝達機構
71 太陽歯車
72 遊星歯車
73 遊星キャリア
80 ロック機構
90 爪部
90a 垂直面部
90b 傾斜面部
91 クラッチ部材
92 クラッチ部材
100 魚釣り用リール
【手続補正書】
【提出日】2021-12-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
リール本体部と、
前記リール本体部に回転可能に支持されているスプールと、
前記リール本体部の一端側に回転可能に装着されているハンドルと、
前記リール本体部の他端側に設けられている被連結部に着脱可能な連結部を有しており、前記リール本体部の外部に配置されるモーター動力部と、
前記ハンドルが回転された駆動力を前記スプールに伝達する第1の回転伝達機構と、
前記被連結部に連結された前記連結部を介して入力された前記モーター動力部の駆動力を前記スプールに伝達する第2の回転伝達機構と、
を備えている魚釣り用リールであって、
前記連結部と前記被連結部の一方には磁石が配設されており、他方には磁石または強磁性体が配設されているとともに、
前記被連結部には、前記第2の回転伝達機構が備えている回転軸の端部が露出した態様で配置されており、
前記連結部には、前記モーター動力部が備えているフレキシブルシャフトの端部が露出した態様で配置されており、
前記回転軸の端部と、前記フレキシブルシャフトの端部にはそれぞれ、少なくとも2つの爪部が形成されているクラッチ部材が配設されており、
前記爪部は、前記クラッチ部材の回転方向と略直交する垂直面部と、その垂直面部の先端側から前記クラッチ部材の基部側に下る傾斜面部と、を有しており、
前記被連結部に前記連結部が連結された状態で、前記フレキシブルシャフト側のクラッチ部材の爪部と、前記回転軸側のクラッチ部材の爪部とが、前記垂直面部を互いに付き合わすように係合して、前記フレキシブルシャフトの回転力が前記回転軸に伝達されるように構成されていることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の魚釣り用リールにおいて、
前記連結部と前記被連結部とが連結された状態を維持させるロック機構を備え、
前記ロック機構は、磁力による前記連結部と前記被連結部との連結を維持するために補強するロック状態と、前記連結部と前記被連結部との連結を磁力のみとするアンロック状態とに切り替え可能に構成されていることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体部と、
前記リール本体部に回転可能に支持されているスプールと、
前記リール本体部の一端側に回転可能に装着されているハンドルと、
前記リール本体部の他端側に設けられている被連結部に着脱可能な連結部を有しており、前記リール本体部の外部に配置されるモーター動力部と、
前記ハンドルが回転された駆動力を前記スプールに伝達する第1の回転伝達機構と、
前記被連結部に連結された前記連結部を介して入力された前記モーター動力部の駆動力を前記スプールに伝達する第2の回転伝達機構と、
を備えている魚釣り用リールであって、
前記連結部と前記被連結部の一方には磁石が配設されており、他方には磁石または強磁性体が配設されているとともに、
前記被連結部には、前記第2の回転伝達機構が備えている回転軸の端部が露出した態様で配置されており、
前記連結部には、前記モーター動力部が備えているフレキシブルシャフトの端部が露出した態様で配置されており、
前記回転軸の端部と、前記フレキシブルシャフトの端部にはそれぞれ、少なくとも2つの爪部が形成されているクラッチ部材が配設されており、
前記爪部は、前記クラッチ部材の回転方向と略直交する垂直面部と、その垂直面部の先端側から前記クラッチ部材の基部側に下る傾斜面部と、を有しており、
前記被連結部に前記連結部が連結された状態で、前記フレキシブルシャフト側のクラッチ部材の爪部と、前記回転軸側のクラッチ部材の爪部とが、前記垂直面部を互いに付き合わすように係合して、前記フレキシブルシャフトの回転力が前記回転軸に伝達されるように構成されていることを特徴とする魚釣り用リール。
【請求項2】
前記連結部と前記被連結部の一方には係入凸部が設けられ、他方には係入凹部が設けられており、
前記連結部と前記被連結部とが連結された状態で、前記係入凸部が前記係入凹部に係入されていることによって、前記連結部と前記被連結部の連結を安定させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣り用リール。
【請求項3】
前記連結部と前記被連結部とが連結された状態を維持させるロック機構を備え、
前記ロック機構は、磁力による前記連結部と前記被連結部との連結を維持するために補強するロック状態と、前記連結部と前記被連結部との連結を磁力のみとするアンロック状態とに切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣り用リール。