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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037727
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】サーバ及び車両管理システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/33 20130101AFI20230309BHJP
   B60R 25/32 20130101ALI20230309BHJP
   G07C 5/00 20060101ALN20230309BHJP
【FI】
B60R25/33
B60R25/32
G07C5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144475
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】521392446
【氏名又は名称】株式会社TRAMO
(71)【出願人】
【識別番号】518246062
【氏名又は名称】日本オートローン保証株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521392457
【氏名又は名称】株式会社チャンプ・ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100134706
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】坂口 広樹
【テーマコード(参考)】
3E138
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138GA02
3E138MA01
3E138MB03
3E138MB04
3E138MB09
3E138MB10
3E138MB14
3E138MD05
(57)【要約】
【課題】盗難等のリスクを減じ、より安全な状態でエンジンの始動を阻止するサーバ及び車両管理システムを提供する。
【解決手段】サーバ14の記憶部DBは、車両19の走行の許可領域、バッテリ電圧の閾値、アイドリング音の基準音データとの類似度の閾値、モーション条件を記憶する。位置判定部56は測位データに示される位置が非許可領域内か否かを判定し、ACC状態判定部57はアクセサリ電源状態がオフ状態であるか否かを判定し、電圧判定部61はバッテリ電圧が電圧閾値未満であるか否かを判定する。音判定部63は、取得音データの類似度が閾値未満であるか否かを判定する。モーション判定部66は、加速度及び角速度がモーション条件を満たすか否かを判定する。送信部21は、上記の各判定部56,57,61,63,66において肯定判定された場合に、始動阻止指示を、車載端末13に送信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置を示す測位データと、前記車両のアクセサリ電源のオンオフ状態を示すアクセサリ電源状態データと、前記車両のバッテリ電圧データと、前記車両のアイドリング時におけるアイドリング音の取得音データと、前記車両に加わる3軸の加速度及び角速度を示す各モーションデータとを、前記車両に搭載される車載端末から受信する受信部と、
前記車両の走行が許可された許可領域と、前記車両のバッテリ電圧の電圧閾値と、前記車両の周期的なアイドリング音の基準音データと、前記基準音データとの類似度の類似度閾値と、3軸の加速度及び角速度に基づいて停止状態と予め設定された停止条件とを記憶する記憶部と、
前記測位データと前記記憶部に記憶されている前記許可領域とを対比して、前記測位データに示される位置が前記許可領域ではない非許可領域内か否かを判定する位置判定部と、
前記アクセサリ電源状態データに示される前記アクセサリ電源状態がオフ状態であるか否かを判定するアクセサリ電源状態判定部と、
前記バッテリ電圧データに示されるバッテリ電圧が前記記憶部に記憶されている前記電圧閾値未満であるか否かを判定する電圧判定部と、
前記取得音データを前記基準音データと対比し、前記取得音データの前記類似度が前記類似度閾値未満であるか否かを判定する音判定部と、
前記モーションデータに示される前記3軸の加速度及び角速度が前記記憶部に記憶されている前記条件を満たすか否かを判定するモーション判定部と、
前記位置判定部と前記電源状態判定部と前記電圧判定部と前記音判定部と前記モーション判定部とにおいて肯定判定された場合に、前記車両のエンジンの始動を前記アイドリング音が取得されなくなった以降に阻止する始動阻止指示を、前記車載端末に送信する送信部と
を備えるサーバ。
【請求項2】
前記アクセサリ電源状態判定部は、前記位置判定部において肯定判定された場合に、判定を行い、
前記電圧判定部は、前記アクセサリ電源状態判定部において肯定判定された場合に、判定を行い、
前記音判定部は、前記電源判定部において肯定判定された場合に、判定を行い、
前記モーション判定部は、前記音判定部において肯定判定された場合に、判定を行う請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
車両に搭載される車載端末と、
前記車載端末と通信するサーバと
を備え、
前記車載端末は、
前記車両の位置を示す測位データを取得する測位データ取得部と、
前記車両のアクセサリ電源のオンオフ状態を検出するアクセサリ電源状態取得部と、
前記車両のバッテリ電圧を取得するバッテリ電圧取得部と、
前記車両のアイドリング時におけるアイドリング音を取得する音取得部と、
前記車両に加わる3軸の加速度及び角速度を示すモーションデータを取得するモーションデータ取得部と、
前記測位データと、前記アクセサリ電源のオンオフ状態を示すアクセサリ電源状態データと、バッテリ電圧データと、前記アイドリング音の取得音データと、前記3軸の加速度及び角速度を示す各モーションデータとを前記サーバに送信するとともに、前記サーバからの指示を受信する車載端末送受信部と、
前記車載端末送受信部が前記車両のエンジンの始動を阻止する始動阻止指示を前記サーバから受信するした場合に、前記アイドリング音が取得されなくなった以降に前記車両の始動を阻止する始動阻止部と
を有し、
前記サーバは、
前記測位データと、取得したアクセサリ電源のオンオフ状態を示すアクセサリ電源状態データと、バッテリ電圧データと、前記アイドリング音の取得音データと、前記3軸の加速度及び角速度を示す各モーションデータとを、前記車載端末から受信する受信部と、
前記車両の走行が許可された許可領域と、前記車両のバッテリ電圧の電圧閾値と、前記車両の周期的なアイドリング音の基準音データと、前記基準音データとの類似度の類似度閾値と、3軸の加速度及び角速度に基づいて停止状態と予め設定された停止条件とを記憶する記憶部と、
前記測位データと前記記憶部に記憶されている前記許可領域とを対比して、前記測位データに示される位置が前記許可領域ではない非許可領域内か否かを判定する位置判定部と、
前記アクセサリ電源状態データに示される前記アクセサリ電源状態がオフ状態であるか否かを判定するアクセサリ電源状態判定部と、
前記バッテリ電圧データに示されるバッテリ電圧が前記記憶部に記憶されている前記電圧閾値未満であるか否かを判定する電圧判定部と、
前記取得音データを前記基準音データと対比し、前記取得音データの前記類似度が前記類似度閾値未満であるか否かを判定する音判定部と、
前記モーションデータに示される前記3軸の加速度及び角速度が前記記憶部に記憶されている前記条件を満たすか否かを判定するモーション判定部と、
前記位置判定部と前記電源状態判定部と前記電圧判定部と前記音判定部と前記モーション判定部とのすべてで肯定判定された場合に、前記始動阻止指示を、前記車載端末に送信する送信部とを有することを特徴とする車両管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ及び車両管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レンタカーやカーシェアリング等に使用される車両の盗難を防止する装置が知られている。例えば特許文献1には、レンタル利用期間が過ぎたか否かを判断する判断部と、エンジンまたはモータをオフ状態にロックする、あるいは、変速装置のシフト位置をパーキング位置にロックするロック部と、車両のレンタル利用期間が過ぎたときに、ロック部を動作させて車両をロック状態にする制御部とを備える車両盗難防止装置が開示されている。制御部は、車両が盗難されたきにセンターから送信されたレンタルを強制的に終了させるための情報を受信したときに、レンタル利用期間をゼロに書き換える。
【0003】
また、特許文献2には、通信元から設定領域を受信する車両の送受信器と、車両の現在位置を測定する位置測定手段と、車両に設けられた盗難防止手段と、盗難防止手段を働かせる制御器とを備える盗難防止装置が開示されている。制御器は、設定領域と現在位置とを比較して現在位置が設定領域外のときは車両の盗難防止手段を働かせるとともに、通信元より定期的に送信された信号を受信できるか否かを判断して信号を受信できなくなったときは車両の盗難防止手段を働かせる。盗難防止手段は、エンジンが作動中の場合は、盗難防止機能を実行せずに、盗難防止機能を働かせる命令を記憶しておき、エンジンが停止された後に盗難防止機能を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-114156号公報
【特許文献2】特開2002-173004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される車両盗難防止装置は、レンタル期間を過ぎた後にロック部が動作するため、レンタル期間中に盗難された場合に対処することができない。また、最近では、環境への負荷を軽減したり燃費の向上を図るために、例えば信号待ちのときに自動的にエンジンを停止させるなどの機能を備える自動車も増えてきている。そのような自動車は、特許文献2に記載される盗難防止装置のようにエンジンが停止したことをもって盗難防止機能を実行すると、信号待ちの間にエンジンがかからなくなる。その結果、交通渋滞を起こしたり、ひいてはドライバ自らや他の自動車のドライバをも危険な状態にさらすこともあり得、より安全な状態でエンジンの始動を阻止する仕組みが求められる。
【0006】
そこで、本発明は、盗難等のリスクを減じ、より安全な状態でエンジンの始動を阻止するサーバ及び車両管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のサーバは、受信部と、記憶部と、位置判定部と、アクセサリ電源状態判定部と、電圧判定部と、音判定部と、モーション判定部と、送信部とを備える。受信部は、車両の位置を示す測位データと、車両のアクセサリ電源のオンオフ状態を示すアクセサリ電源状態データと、車両のバッテリ電圧データと、車両のアイドリング時におけるアイドリング音の取得音データと、車両に加わる3軸の加速度及び角速度を示す各モーションデータとを、車両に搭載される車載端末から受信する。記憶部は、車両の走行が許可された許可領域と、車両のバッテリ電圧の電圧閾値と、車両の周期的なアイドリング音の基準音データと、基準音データとの類似度の類似度閾値と、3軸の加速度及び角速度に基づいて停止状態と予め設定された停止条件とを記憶する。位置判定部は、測位データと記憶部に記憶されている許可領域とを対比して、測位データに示される位置が許可領域ではない非許可領域内か否かを判定する。アクセサリ電源状態判定部は、アクセサリ電源状態データに示されるアクセサリ電源状態がオフ状態であるか否かを判定する。電圧判定部は、バッテリ電圧データに示されるバッテリ電圧が記憶部に記憶されている電圧閾値未満であるか否かを判定する。音判定部は、取得音データを基準音データと対比し、取得音データの類似度が類似度閾値未満であるか否かを判定する。モーション判定部は、モーションデータに示される3軸の加速度及び角速度が記憶部に記憶されている条件を満たすか否かを判定する。送信部は、位置判定部と電源状態判定部と電圧判定部と音判定部とモーション判定部とにおいて肯定判定された場合に、車両のエンジンの始動をアイドリング音が取得されなくなった以降に阻止する始動阻止指示を、車載端末に送信する。
【0008】
アクセサリ電源状態判定部は、位置判定部において肯定判定された場合に、判定を行い、電圧判定部は、アクセサリ電源状態判定部において肯定判定された場合に、判定を行い、音判定部は、電源判定部において肯定判定された場合に、判定を行い、モーション判定部は、音判定部において肯定判定された場合に、判定を行うことが好ましい。
【0009】
本発明の車両管理システムは、車両に搭載される車載端末と、この車載端末と通信するサーバとを備える。車載端末は、測位データ取得部と、アクセサリ電源状態取得部と、バッテリ電圧取得部と、音取得部と、モーションデータ取得部と、車載端末送受信部と、始動阻止部とを有する。測位データ取得部は、車両の位置を示す測位データを取得する。アクセサリ電源状態取得部は、車両のアクセサリ電源のオンオフ状態を検出する。バッテリ電圧取得部は、車両のバッテリ電圧を取得する。音取得部は、車両のアイドリング時におけるアイドリング音を取得する。モーションデータ取得部は、車両に加わる3軸の加速度及び角速度を示すモーションデータを取得する。車載端末送受信部は、測位データと、アクセサリ電源のオンオフ状態を示すアクセサリ電源状態データと、バッテリ電圧データと、アイドリング音の取得音データと、3軸の加速度及び角速度を示す各モーションデータとをサーバに送信するとともに、サーバからの指示を受信する。始動阻止部は、車載端末送受信部が車両のエンジンの始動を阻止する始動阻止指示をサーバから受信するした場合に、アイドリング音が取得されなくなった以降に車両の始動を阻止する。サーバは、受信部と、記憶部と、位置判定部と、アクセサリ電源状態判定部と、電圧判定部と、音判定部と、モーション判定部と、送信部とを有する。受信部は、測位データと、取得したアクセサリ電源のオンオフ状態を示すアクセサリ電源状態データと、バッテリ電圧データと、アイドリング音の取得音データと、3軸の加速度及び角速度を示す各モーションデータとを、車載端末から受信する。記憶部は、車両の走行が許可された許可領域と、車両のバッテリ電圧の電圧閾値と、車両の周期的なアイドリング音の基準音データと、基準音データとの類似度の類似度閾値と、3軸の加速度及び角速度に基づいて停止状態と予め設定された停止条件とを記憶する。位置判定部は、測位データと記憶部に記憶されている許可領域とを対比して、測位データに示される位置が許可領域ではない非許可領域内か否かを判定する。アクセサリ電源状態判定部は、アクセサリ電源状態データに示されるアクセサリ電源状態がオフ状態であるか否かを判定する。電圧判定部は、バッテリ電圧データに示されるバッテリ電圧が記憶部に記憶されている電圧閾値未満であるか否かを判定する。音判定部は、取得音データを基準音データと対比し、取得音データの類似度が類似度閾値未満であるか否かを判定する。モーション判定部は、モーションデータに示される3軸の加速度及び角速度が記憶部に記憶されている条件を満たすか否かを判定する。送信部は、位置判定部と電源状態判定部と電圧判定部と音判定部とモーション判定部とのすべてで肯定判定された場合に、始動阻止指示を、車載端末に送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、盗難等のリスクが減じられ、より安全な状態で車両のエンジンの始動を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態である車両管理システムの概略図である。
図2】車両管理システムの構成を示すブロック図である。
図3】車両管理システムが行う処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す車両管理システム11は、本発明の一実施形態であり、複数の車両をそれぞれ管理するためのものである。車両は貸し出されるレンタカーとしてのものである。本例の車両はいずれも自動車であるが、自動車以外の例えば自動二輪車(オートバイ)、建機車両、重機車両等でもよい。各車両には車載端末を搭載しており、図1においては車載端末に符号13A,13B,13C,・・・を付している。車両管理システム11は、サーバ14と、車載端末13A,13B,13C,・・・とを備える。サーバ14と車載端末13A,13B,13C,・・・の各々とは、インターネット等の通信ネットワーク18を介して互いに接続し、これにより、通信、すなわち各種データ(情報)の送受信ができるようになっている。車載端末13A,13B,13C,・・・の各々は、搭載されている車両について取得した各種のデータをサーバ14に送信する。
【0013】
サーバ14は車載端末13A,13B,13C,・・・の各々から受信したデータに基づいて各種の処理を行い、例えば車両の盗難を防止するために車両のエンジンの始動を阻止する始動阻止指示を車載端末13A,13B,13C,・・・に送信する。車載端末13A,13B,13C,・・・の各々は、サーバ14から始動阻止指示を受信した場合には、車両のエンジンの始動を阻止する。このようにサーバ14は、車両を遠隔制御する。
【0014】
車両管理システム11は、さらに、サーバ14を介して車両を管理する管理端末17を備えることが好ましく、本例でもそのようにしている。管理端末17は、例えば車両を管理する管理者が用いる端末である。管理端末17とサーバ14とはLAN(ローカルエリアネットワーク)等の通信ネットワーク(図示無し)により通信可能に接続されている。サーバ14が管理端末17と通信可能に接続されている場合には、車載端末13A,13B,13C,・・・の各々から受信した車両についての各種データを管理端末17に送信し、管理者はそれら各種データに基づいて、例えば車両の位置や状態の把握、車両のエンジンの始動を阻止する始動阻止指示の入力操作等を管理端末17を用いて行うことができる。管理端末17は、管理者による始動阻止指示の入力操作に応答して始動阻止指示をサーバ14に送信し、サーバ14は、始動阻止指示の受信に応答して始動阻止指示を車載端末に送信する。このように、管理端末17は、サーバ14に対して指示を送信することにより、車両の遠隔制御を行うことができる。
【0015】
本例では、サーバ14から車載端末13A,13B,13C,・・・への始動阻止指示の送信のタイミングを管理端末17により予め設定(予約)できるよう構成されている。これにより、管理端末17からサーバ14へ、始動阻止指示の送信タイミングの指示(送信タイミング指示)を送信し、サーバ14は、この送信タイミング指示に基づいて、所定のタイミングで始動阻止指示を車載端末13A,13B,13Cへ送信する。なお、送信タイミング指示が示す送信タイミングは、日時であってもよいし、所定の条件を満たした時点という条件によるタイミングでもよい。なお、管理端末17とサーバ14との接続は通信可能であれば特に限定されず、通信ネットワーク18により接続されてもよい。以降の説明において車載端末13A,13B,13C,・・・の個々を区別しない場合には車載端末13と記載する。
【0016】
図2において、車両管理システム11の車載端末13は、コンピュータで構成されており、所定のアプリケーションプログラムを実行することで下記の各部として機能する。車載端末13は、送信部21と、受信部22と、測位データ取得部23と、アクセサリ電源状態取得部(以下、ACC状態取得部と称する)26と、スイッチ回路状態取得部(以下、SW回路状態取得部と称する)27と、バッテリ電圧取得部28と、エンジン状態取得部31と、音取得部32と、モーションデータ取得部33と、始動阻止部36とを備える。SW回路状態取得部27とエンジン状態取得部31とは、必ずしも備えられていなくてもよいが、本例のように備える方が好ましい。
【0017】
送信部21と受信部22とは、通信ネットワーク18(図1参照)を介してサーバ14と送受信する車載端末送受信部を構成している。送信部21は、測位データ取得部23と、ACC状態取得部26と、SW回路状態取得部27と、バッテリ電圧取得部28と、エンジン状態取得部31と、音取得部32と、モーションデータ取得部33とのそれぞれが取得した各データをサーバ14に送信する。受信部22は、サーバ14からの始動阻止指示を受信する。
【0018】
測位データ取得部23は、車載端末13が搭載された車両19の位置を示す測位データを取得する。測位データ取得部23は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機であり、車両19の現在位置を測定して位置のデータ、すなわち測位データを取得する。このように、本例の測位データ取得部23は車両19の位置を測定するが、車両19にGPS受信機が設けられている場合には、車両19のGPS受信機で測定した位置の測位データを当該GPS受信機から取得してもよいし、車両19のGPS受信機と併用してもよい。車両19のGPS受信機を併用する場合には、車載端末の測位データ取得部を優先的に使用、または測位データ取得部23により取得された測位データを優先して用いるよう設定することが好ましい。測位データ取得部23は、測位データを取得する毎に、その測位データを送信部21に出力し、送信部21は測位データの入力に応答して測定データをサーバ14に送信する。
【0019】
ACC状態取得部26と、SW回路状態取得部27と、バッテリ電圧取得部28と、エンジン状態取得部31と、音取得部32と、モーションデータ取得部33とは、車両19の状態を示す車両状態データを取得するためのものである。車両状態データは、車両19のエンジンがかかっていない状態(以下、エンジンオフ状態と称する)であるか否かをサーバ14が判定するためのものである。
【0020】
ACC状態取得部26は、車両19のアクセサリ電源のオンオフ状態を検出する。アクセサリ電源は、車両19のカーステレオやカーナビゲーションシステム等の電装品を駆動させる電源である。ACC状態取得部26の車両19との接続は、アクセサリ電源のオンオフ状態を検出することができる接続であれば特に限定されず、本例ではアクセサリ電源がオン状態のときに通電される回路線に結線接続させている。このように、ACC状態取得部26は、アクセサリ電源のオンオフ状態を検出して取得し、アクセサリ電源のオンオフ状態を示すアクセサリ電源状態データ(以下、ACC状態データと称する)を生成して、第1車両状態データとして送信部21へ出力する。
【0021】
ACC状態取得部26は、オン状態またはオフ状態を示すACC状態データを生成する毎に送信部21へ出力してもよいし、アクセサリ電源のオンからオフへの切り替えによりオフ状態を示すACC状態データ及びオフからオンへの切り替えによりオン状態を示すACC状態データを生成したときにのみ、送信部21へ出力してもよい。
【0022】
SW回路状態取得部27は、車両19の停車時にのみ通電するスイッチ回路のオンオフ状態を検出する。停車時とは、エンジンオフ状態のときと、エンジンがかかっている状態(以下、エンジンオン状態と称する)ではあるが車両が走行していないときとである。停車時にのみ通電するスイッチ回路は、例えば、ブレーキが踏まれているときにオン状態となるブレーキペタルスイッチ回路、パーキングブレーキがかかっているときにオン状態となるパーキングブレーキスイッチ回路、変速機構のシフトポジションがパーキングポジションにあるときにオン状態となるパーキングポジションスイッチ回路である。このように停車時にのみ通電するスイッチ回路は常時電源に接続している。SW回路状態取得部27の接続は、当該スイッチ回路のオンオフ状態を検出することができる接続であれば特に限定されず、本例では当該スイッチ回路がオン状態のときに通電される回路線に結線接続させている。このように、SW回路状態取得部27は、上記のスイッチ回路のオンオフ状態を検出して取得し、オンオフ状態を示すスイッチ回路状態データ(以下、SW回路状態データと称する)を生成して、第2車両状態データとして送信部21へ出力する。送信部21はSW回路状態データの入力に応答して、入力されたSW回路状態データをサーバ14に送信する。
【0023】
SW回路状態取得部27は、オン状態またはオフ状態を示すSW回路状態データを生成する毎に送信部21へ出力してもよいし、スイッチ回路がオンからオフへ切り替わってオフ状態を示すSW回路状態データを生成したときと、オフからオンへ切り替わってオン状態を示すSW回路状態データを生成したときにのみ、送信部21へ出力してもよい。
【0024】
バッテリ電圧取得部28は、車両19のバッテリ電圧を第3車両状態として取得する。バッテリ電圧取得部28は、車両19のOBD2コネクタに接続され、OBD2を介してECUからバッテリ電圧をデータとして取得し、このバッテリ電圧データを、第3車両状態データとして送信部21へ出力する。バッテリ電圧取得部28は、ECUからバッテリ電圧をデータとして取得する毎に送信部21へ出力し、送信部21はバッテリ電圧データの入力に応答して、入力されたバッテリ電圧データをサーバ14に送信する。
【0025】
エンジン状態取得部31は、車両19のエンジンの回転数とアクセル開度とをエンジンの状態として車両19から取得し、送信部21へ第4車両状態データであるエンジン状態データとして出力する。エンジンの状態としてのエンジン回転数とアクセル開度とは、具体的には、エンジンの回転数が0(ゼロ)であるか否かと、アクセル開度が0(ゼロ)(アクセル開度率が0%)であるか否かである。なお、ECUからエンジンの回転数とアクセル開度とが、数値データとして取得される場合には、取得した数値データが0か否かを示すデジタルデータを生成して、生成したデジタルデータをエンジン状態データとして送信部21へ出力すればよい。送信部21は、エンジン状態データの入力に応答して、入力されたエンジン状態データをサーバ14に送信する。
【0026】
音取得部32は、車両19のアイドリング時におけるアイドリング音を取得する。音取得部32は、車両19内、本例ではアイドリング音の集音効果及びアイドリング音以外の音の集音を抑制する観点で、車両19のエンジンルーム近傍のダッシュボード内に設けてある。音取得部32は、音を音データ(電気信号)に変換するトランスデューサを備え、周囲の音を集音し、集音した音を音データに変換する。音取得部32は、このように取得した音データをアイドリング音の取得音データとして送信部21と始動阻止部36との各々へ出力する。この取得音データは第5車両状態データであり、送信部21は取得音データの入力に応答して、入力された取得音データをサーバ14に送信する。
【0027】
モーションデータ取得部33は、車両に加わる3軸の加速度及び角速度を示すモーションデータを第6車両状態データとして取得する。モーションデータ取得部33は、上述の3軸の加速度を検出して加速度データを取得する加速度センサと角速度(ロール)を検出して角速度データを取得するジャイロセンサ等で構成されている。このように、本例のモーションデータ取得部33は、加速度と角速度とを検出して各データを取得するが、車両19に加速度センサ及びジャイロセンサが設けられている場合には、車両19の加速度センサ及びジャイロセンサで検出された加速度及び角速度の各データをこれらのセンサから取得してもよいし、車両19の加速度センサ及びジャイロセンサと併用してもよい。車両19の加速度センサ及びジャイロセンサを併用する場合には、モーションデータ取得部33を優先的に使用、またはモーションデータ取得部33により取得されたモーションデータを優先して用いるよう設定することが好ましい。モーションデータ取得部33は、加速度データと角速度データとをそれぞれ取得する毎に、それらデータを車両の動きを示すモーションデータとして送信部21に出力し、送信部21はモーションデータの入力に応答して、入力されたモーションデータをサーバ14に送信する。
【0028】
始動阻止部36は、車載端末送受信部を構成する受信部22が始動阻止指示をサーバ14から受信すると、アイドリング音が取得されなくなった以降に、車両19のエンジンの始動を阻止する。具体的には、始動阻止部36は、音取得部32から取得音データが入力されていない場合にはアイドリング音が取得されていないとして、エンジンの始動を阻止する。一方、取得音データが入力されている場合にはアイドリング音が取得されているとしてエンジンの始動の阻止せずに取得音データの入力がなくなるのを待ってエンジンの始動を阻止する。始動阻止部36は、例えば、エンジンを始動させるために必要な回路の少なくともひとつが作動しないようにすることで、エンジンの始動を阻止する。本例では、エンジン始動用プッシュスイッチへの配線回路を遮断する。
【0029】
車載端末13は、さらに取り外し検出部(図示無し)を備えることが好ましく、本例でもそのようにしている。取り外し検出部は、車載端末13が車両19から取り外されたことを検出するためのものであり、例えばエンジン状態取得部31のOBD2コネクタに接続させる接続ラインや、ACC状態取得部26が車両19の所定回路に接続する接続ラインなど、車両19に接続する各接続ラインの少なくともいずれかひとつに設ける。本例の車載端末13は、内部バッテリ(図示無し)を備えており、取り外し検出部が車両19との接続が切断された取り外し信号を生成した場合には、内部バッテリにより取り外し信号が取り外し検出部から送信部21へ送られて、送信部21からサーバ14を介して管理端末17に送信されて管理者に報知される。
【0030】
管理端末17は、入力部45と、表示部46と、制御部47とを備える。管理端末17は、コンピュータで構成されており、所定のアプリケーションプログラムを実行することにより、管理端末17として機能させることができる。表示部46は、液晶ディスプレイなどのディスプレイ装置であり、制御部47による制御の下で、制御部47から入力された表示画像を表示する。入力部45は、例えばキーボードやマウスなどであり、表示部46としてタッチパネルディスプレイを用いた場合には、その表示部46も入力部45として機能させることができる。入力部45は、後述する許可領域、バッテリ電圧の閾値等を設定するための入力操作、始動阻止指示の入力操作など、各種の入力操作を行うためのものである。
【0031】
サーバ14は、受信部51と、送信部52と、記憶部DBと、制御部53と、位置判定部56と、アクセサリ電源状態判定部(以下、ACC状態判定部と称する)57と、スイッチ回路状態判定部(以下、SW回路状態判定部と称する)58と、電圧判定部61と、エンジン状態判定部62と、音判定部63と、モーション判定部66とを備える。サーバ14はコンピュータで構成されており、所定のアプリケーションプログラムを実行することで上記の各部として機能する。位置判定部56と、ACC状態判定部57と、SW回路状態判定部58と、電圧判定部61と、エンジン状態判定部62と、音判定部63と、モーション判定部66とは、判定ユニット70を構成している。判定ユニット70は、SW回路状態判定部58とエンジン状態判定部62とを必ずしも備えなくてもよいが、備える方が好ましい。
【0032】
受信部51と送信部52とは、通信ネットワーク18(図1参照)を介して車載端末13と送受信するサーバ送受信部を構成している。受信部52は、測位データと、ACC状態データと、SW回路状態データと、バッテリ電圧データと、エンジン状態データと、取得音データと、車両19の3軸の加速度の個々を示す各モーションデータ及び3軸における角速度の個々を示す各モーションデータとを、車載端末13の送信部21から受信し、制御部53に出力する。送信部52は、車載端末13へ始動阻止指示を送信する。
【0033】
制御部53は、受信部51からの上述の各データが入力された場合に、判定ユニット70を制御し、位置判定部56と、ACC状態判定部57と、SW回路状態判定部58と、電圧判定部61と、エンジン状態判定部62と、音判定部63と、モーション判定部66とに、この順序で所定の処理を行わせる。制御部53は、通信部(図示無し)によって、管理端末17の制御部47と通信可能に接続されており、制御部47からの始動停止指示が入力された場合に、始動停止指示を送信部52から車載端末13の受信部22へ送信する。このように、制御部53は、サーバ14の各部を統括的に制御する。
【0034】
記憶部DBは、車両19の走行が許可された許可領域と、車両19のバッテリ電圧の閾値(以下、電圧閾値と称する)と、車両19の周期的なアイドリング音の基準音データと、基準音データとの類似度の閾値(以下、類似度閾値と称する)と、3軸の加速度及び角速度に基づいて停止状態と予め設定された停止条件(以下、モーション条件と称する)とを記憶する。許可領域と電圧閾値と基準音データと類似度閾値とモーション条件とは、車両19毎に記憶され、すなわち、車両19と関連付けて記憶されている。
【0035】
許可領域は予め設定され、設定は、例えば管理端末17での入力に基づいて、例えば、所定の都道府県内等といった範囲、所定の走行経路といった経路である。許可領域は、許可領域ではない非許可領域を設けることによっても設定することができる。例えば、自動車が盗まれて海外へ運ばれることがあるため、港湾の所定領域を侵入不可である非許可領域として設ける、あるいは、県境を越えた領域を侵入不可として非許可領域として設ける等により、許可領域を設定する。
【0036】
電圧閾値と、基準音データ及び類似度閾値と、モーション条件とは、いずれも車両19がエンジンオフ状態であるか否かを判定するための判定基準である。電圧閾値は、車両19の平常時のバッテリ電圧(例えばエンジンオフ状態のバッテリ電圧)を基準電圧VBとしたときに、基準電圧VBに所定の電圧値Vαを上乗せした値VB+Vαとする。Vαは、エンジンオフ状態と走行時との通常のバッテリ電圧の変動を考慮して設定し、多くの車種では少なくとも1.5Vであることが好ましく、本例では1.5Vとしている。普通自動車のバッテリ電圧は通常は12Vであり、また、トラックなどの大型車両のバッテリ電圧は通常24Vであり、これらを基準電圧VBとしてもよいが、バッテリ電圧は経年劣化等によって低下する。そこで、車両19毎に、例えば定期的にバッテリ電圧を確認しておき、得られた最新のバッテリ電圧を基準電圧VBとするとよい。このように電圧閾値は、基準電圧VBとVαとにより得られる値であるから、基準電圧VB及びVαを、電圧閾値として記憶としてもよい。なお、本例では、入力部45によりVB及びVαを入力して記憶部DBに記憶しているが、Vαをプログラムにおいて予め設定しておいてもよい。
【0037】
基準音データは、車両19のアイドリング音の振動パターンを含む音データであり、車両毎にアイドリング音を取得しておき、音データを記憶しておく。なお、音データからノイズを除去した後に、平均値を求め、ノイズを除去したデータから平均値を減算したデータを基準音データとしてもよく、本例でもそのようにしている。アイドリング音は周期性をもつので基準音データとしては少なくとも1周期分のデータとし、車両19と関連付けて記憶する。本例では、取得した音データからノイズを除去した1周期分のデータをf(t)(ここで、tは時間)とし、この1周期分の平均値Avgを求める。そして、f(t)からAvgを減じたf(t)-Avgをf(t)として求め、このf(t)を基準音データとしている。
【0038】
類似度閾値は、基準音データに対する取得音データの類似の程度を示す類似度について予め設定する閾値である。本例では、類似度閾値は、基準音データの8%、すなわち、0.08×f(t)としている。
【0039】
モーション条件は、車両19の物理的移動の状態について設定する条件である。モーション条件は、例えば、以下のように設定することができる。まず、車載端末13を予め搭載した車両19を、エンジンオン、走行、停止、エンジンオフなどの各状態にし、これら種々の状態において取得した各モーションデータを準備する。そして、これらモーションデータと、各モーションデータを示したときの車両の状態とを学習演算部(図示無し)に学習させて学習モデルを構築する。車両19に加速度センサ及びジャイロセンサが設けられている場合には、車載端末13のモーションデータ取得部33の代わりに、もしくはモーションデータ取得部33に加えて、当該加速度センサ及びジャイロセンサで取得された各モーションデータを用いてもよい。モーションデータ取得部33と当該加速度センサ及びジャイロセンサとの両方でモーションデータを取得した場合には、これらのデータをAND条件として学習させてもよい。学習モデルは、車両19がエンジンオフ状態か否かを判定できるものとして構築され、その判定基準としてのモーション条件として用いられる。なお、本例では学習モデルは記憶部DBに記憶し、制御部53に学習演算部を設けているが、記憶部DBに記憶している学習モデルを制御部53内のメモリにも記憶してもよい。
【0040】
位置判定部56は、制御部53の制御の下で測位データが入力された場合に、記憶部DBに記憶されている許可領域とを対比して、測位データに示される位置が非許可領域内か否かを判定する。位置判定部56は、肯定判定(非許可領域内であるとの判定)または否定判定(非許可領域内ではないとの判定)の判定結果を制御部53に出力する。
【0041】
ACC状態判定部57は、制御部53からACC状態データが入力された場合に、ACC状態データに示されるアクセサリ電源状態がオフ状態であるか否かを判定する。ACC状態判定部57は、肯定判定(オフ状態であるとの判定)または否定判定(オフ状態ではないとの判定)の判定結果を制御部53に出力する。
【0042】
電圧判定部61は、制御部53からバッテリ電圧データが入力された場合には、バッテリ電圧が記憶部DBに記憶されている電圧閾値未満であるか否かを判定する。電圧判定部61は、肯定判定(電圧閾値未満であるとの判定)または否定判定(電圧閾値未満ではないとの判定)の判定結果を制御部53に出力する。
【0043】
エンジン状態判定部62は、制御部53からエンジン状態データが入力された場合には、エンジン状態データに示されるエンジン状態(エンジン回転数及びアクセル開度)が0(ゼロ)であるか否かを判定する。エンジン状態判定部62は、肯定判定(0であるとの判定)または否定判定(0ではないとの判定)の判定結果を制御部53に出力する。
【0044】
音判定部63は、制御部53から取得音データが入力された場合には、取得音データを記憶部DBに記憶されている基準音データと対比し、取得音データの基準音データとの類似度を求めて、その類似度が記憶部DBに記憶されている類似度閾値未満であるか否かを判定する。音判定部63は、肯定判定(類似度閾値未満であるとの判定)または否定判定(類似度閾値未満ではないとの判定)の判定結果を制御部53に出力する。
【0045】
判定は具体的には、以下のように実行する。まず、取得音データが入力された場合に、音判定部63は、取得音データが取得された車両19の基準音データを記憶部DBから特定する。音判定部は、取得音データの中から周期性をもち、かつ、周期が基準音データに最も近いデータ部分を例えば基準音データと同様に少なくとも1周期分特定して、類似度を求める対象の取得音データとする。そのように対象とされた取得音データをg(t)とし、g(t)の平均値をAvg2とし、g(t)からAvg2を減算したg(t)-Avg2をg(t)とする。そして、f(t)とg(t)の差である|f(t)-g(t)|を求め、この差|f(t)-g(t)|と類似度閾値とを対比して、この差|f(t)-g(t)|が類似度閾値未満であるか否かを判定する。
【0046】
モーション判定部66は、制御部53からモーションデータが入力された場合には、モーションデータに示される3軸の加速度及び角速度が記憶部DBに記憶されているモーション条件を満たすか否かを判定する。モーション判定部66は、肯定判定(モーション条件を満たすとの判定)または否定判定(モーション条件を満たさないとの判定)の判定結果を制御部53に出力する。
【0047】
制御部53は、モーション判定部66から肯定判定が入力された場合に、エンジンオフ通知を管理端末17に送信する。管理端末17がエンジンオフ通知を受信した後に、入力部45から始動阻止指示が入力された場合には、その始動阻止指示がサーバ14の制御部53から車載端末13に送信され、車載端末13の始動阻止部36は、音取得部32においてアイドリング音が取得されなくなった以降に、車両19のエンジンの始動を阻止する処理を実行する。
【0048】
上記構成の作用を説明する。図3に示すように、車両19は貸し出されるレンタル前に、予め管理端末17により、許可領域、バッテリ電圧閾値等が入力され、サーバ14の記憶部DBに記憶される。また、基準音データ及び類似度閾値も記憶部DBに予め記憶される。
【0049】
車両19が貸し出されているレンタル中は、サーバ14及び車載端末13が所定の処理を実行する。車載端末13の測位データ取得部23は、車両19の位置を例えば所定の時間間隔(タイミング)で測定し、測位データを生成する。
【0050】
アクセサリ電源は、エンジンの始動前であってもオン状態にすることはできるものもあるが、エンジンがかかっているオン状態から切れたオフ状態になることに伴い、オンからオフに状態が切り替わる。すなわち、アクセサリ電源がオフであるとエンジンがオフ状態であるとみなすことができる。そこで、ACC状態取得部26は、アクセサリ電源がオフ状態であるか否かを検出して送信部21に出力する。アクセサリ電源の状態は、電圧の有無で検出されるから、速く検出される。
【0051】
SW回路状態取得部27は、車両19の停車時にのみ通電する回路がオンかオフかを検出し、検出結果をSW回路状態データとして送信部21に出力する。SW回路状態データも、電圧の有無で検出されるから、速く検出される。
【0052】
バッテリ電圧取得部28は、車両19のバッテリ電圧データを取得し、エンジン状態取得部31はエンジン状態データを取得して、送信部21にそれぞれ出力する。音取得部32は、アイドリング音を取得して取得音データとし、モーションデータ取得部33は、モーションデータを取得して、それぞれ送信部21に出力する。送信部21はこのように入力された各データを、サーバ14に送信する。
【0053】
サーバ14は、制御部53に上記の各データが入力されると、制御部53は、判定ユニット70を制御し、判定ユニット70を構成する各部に所定の処理を実行させる。制御部53は、測位データが入力されると、測位データを位置判定部56に入力し、位置判定部56に判定を実行させる。位置判定部56は、測位データの入力に応答して、測位データに示される位置が非許可領域内であるか否かを判定し、判定結果を制御部53に出力する。
【0054】
制御部53は、位置判定部56からの肯定判定の入力に応答して、ACC状態判定部57にACC状態データを入力して判定を実行させ、位置判定部56から否定判定が入力された場合には、ACC状態判定部57による判定以降の判定は実行させずに判定ユニット70による判定を終了させる。なお、制御部53は、位置判定部56からの判定結果の入力に応答して、判定結果を管理端末17に送信してもよく、その場合には管理端末17は判定結果を表示部46に表示するように本例では構成している。ACC状態判定部57、SW回路状態判定部58、電圧判定部61、エンジン状態判定部62、音判定部63、モーション判定部66から制御部53に入力される判定結果についても同様に、制御部53は管理端末17送信して管理端末17が同様に処理してもよい。
【0055】
ACC状態判定部57は、ACC状態データの入力に応答して、アクセサリ電源がオフ状態か否かを判定し、判定結果を制御部53に出力する。制御部53は、ACC状態判定部57からの肯定判定の入力に応答して、SW回路状態判定部58にSW回路状態データを入力して判定を実行させる。なお判定ユニット70がSW回路状態判定部58を備えない場合には、制御部53は電圧判定部61にバッテリ電圧データを入力して判定を実行させる。一方、ACC状態判定部57から否定判定が入力された場合の制御部53は、SW回路状態判定部58による判定以降の判定は実行させずに判定ユニット70による判定を終了させる。ACC状態データは、オンかオフかの判定であるので、判定が速く行われ、したがって、エンジンオン状態であることが迅速に把握される。その結果、以降の判定を実行しないことも迅速に判別されるので、車両19の走行の安全がより早く確保される。
【0056】
電圧判定部61は、バッテリ電圧データの入力に応答して、バッテリ電圧が電圧閾値未満であるか否かを判定し、判定結果を制御部53に出力する。制御部53は、電圧判定部61からの肯定判定の入力に応答して、エンジン状態判定部62にエンジン状態データを入力して判定を実行させる。なお判定ユニット70がエンジン状態判定部62を備えない場合には、制御部53は音判定部63に取得音データを入力して判定を実行させる。一方、電圧判定部61から否定判定が入力された場合の制御部53は、エンジン状態判定部62による判定以降の判定は実行させずに判定ユニット70による判定を終了させる。電圧判定部61は、バッテリ電圧が閾値未満か否かの判定であるので、判定が速く行われ、したがって、エンジンオン状態であることが迅速に把握される。よって、以降の判定を実行しないことも迅速に判別されるので、車両19の走行の安全がより早く確保される。また、ACC状態取得部26が、車両19の所定回路との結線接続が万一切断してしまっても、電圧判定部61により車両19のバッテリ電圧データを取得して、車両19の状態を把握して判定するから、車両19の安全がより確保される。
【0057】
エンジン状態判定部62は、エンジン状態データの入力に応答して、エンジン状態(エンジン回転数とアクセル開度)が0であるか否かを判定し、判定結果を制御部53に出力する。制御部53は、エンジン状態判定部62からの肯定判定の入力に応答して、音判定部63に取得音データを入力して判定を実行させる。一方、エンジン状態判定部62から否定判定が入力された場合の制御部53は、音判定部63による判定以降の判定は実行させずに判定ユニット70による判定を終了させる。エンジン状態判定部62は、エンジン状態(エンジン回転数とアクセル開度)に基づき、エンジンの状態を判定するので、車両19の安全がより確保されるとともに、0か否かで判定するので判定が速い。
【0058】
音判定部63は、取得音データの入力に応答して、取得音データを基準音データと対比し、取得音データの基準音データとの類似度を求めて、その類似度が類似度閾値未満であるか否かの判定結果を制御部53に出力する。制御部53は、音判定部63から肯定判定が入力されると、この肯定判定の入力に応答して、モーション判定部66にモーションデータを入力して判定を実行させる。一方、音判定部63から否定判定が入力された場合の制御部53は、モーション判定部66による判定は実行させずに判定ユニット70による判定を終了させる。音判定部63は、取得音データの類似度が類似度閾値未満であるか否かを判定するので、車両19の移動が検出されていない場合、かつ、アイドリング状態という場合に、誤ってエンジン始動阻止動作を行ってしまうことを防止することができる。
【0059】
モーション判定部66は、モーションデータの入力に応答して、モーションデータに示される3軸の加速度及び角速度がモーション条件を満たすか否かを判定し、判定結果を制御部53に出力する。制御部53は、モーション判定部66からの肯定判定の入力に応答して、車両19がエンジンオフ状態であることを示すエンジンオフ通知を管理端末17に送信する。管理端末17が当該通知を受信した後に、入力部45から始動阻止指示が入力された場合には、制御部47はその始動阻止指示をサーバ14に送信して、制御部53から車載端末13に送信される。車載端末13の始動阻止部36は、始動阻止指示が入力された場合に、音取得部32から取得音データが入力されている間は車両のエンジンの始動の阻止をせず、取得音データの入力がなくなってから例えば一定時間経過すると、車両19のエンジンの始動を阻止する。また、始動阻止部36は、始動阻止指示が入力された場合に、音取得部32から取得音データが入力されていないときには、車両19のエンジンの始動を阻止する。車両19はエンジンの始動が阻止されて走行不可となる。一方、モーション判定部66から否定判定が入力された場合の制御部53は、判定ユニット70による判定が終了した判定終了通知を管理端末17に送信する。
【0060】
このように、サーバ14は、車両19の位置に基づいて車両19の状態を判定するので、レンタル期間内であっても盗難を回避するための対策を車両19に対して行うことができる。また、車両19のエンジンオン状態かエンジンオフ状態かが、少なくとも、アクセサリ電源状態とバッテリ電圧とアイドリング音と加速度及び角速度のモーションデータとに基づいて判定されるので、車両19の運行状態がより確実に把握される。その結果、エンジンの始動の阻止が、車両19の安全をより高く確保してなされる。また、車ACC状態判定、バッテリの電圧判定、アイドリング音の音判定、モーション判定とは、この順で行われるので、判定が迅速になされる。その結果、車両19の安全がより確実に確保される。
【符号の説明】
【0061】
11 車両管理システム
13A,13B,13C 車載端末
14 サーバ
17 管理端末
18 通信ネットワーク
19 車両
21 送信部
22 受信部
23 測位データ取得部
26 ACC状態取得部
28 バッテリ電圧取得部
32 音取得部
33 モーションデータ取得部
36 始動阻止部
51 受信部
52 送信部
53 制御部
56 位置判定部
57 ACC状態判定部
61 電圧判定部
63 音判定部
66 モーション判定部
70 判定ユニット
76 制御部
DB 記憶部
図1
図2
図3