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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037730
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】通信機器及び発光部制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
H04L12/28 200M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144480
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】門田 洋平
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033AA05
5K033DB19
5K033EA03
5K033EA07
(57)【要約】
【課題】ケーブル挿抜作業者に対象ポートを認識させることのできる通信機器を提供する。
【解決手段】複数の物理ポートのそれぞれに対応して設けられた複数の発光部を備え、ネットワークを介して管理端末により制御される通信機器は、発光部の発光状態を制御可能とする発光部制御モードを有する制御部を備える。制御部は、管理端末から送られる、物理ポートの内の対象物理ポートを指定する情報を含む発光部制御モードに設定される場合に、指定物理ポート情報によって指定された対象物理ポートに対応する発光部のみの発光状態を、それ以外の発光部の発光状態と異なるように制御し、指定物理ポート情報により指定されていない対象外物理ポートに対するケーブルの接続又は接続解除を検知する場合、対象外物理ポートに対応する発光部のみの発光状態を、それ以外の発光部の発光状態と異なるように制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して管理端末により制御される通信機器であって、
各々に対してケーブルの接続又は接続解除がなされる複数の物理ポートと、
前記複数の物理ポートのそれぞれに対応して設けられた複数の発光部と、
前記複数の物理ポートの各々に対するケーブルの接続又は接続解除の状態を検知すると共に、前記複数の発光部の発光状態を制御可能とする発光部制御モードを有する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記管理端末から送られる、前記複数の物理ポートの内の対象物理ポートを指定する指定物理ポート情報を含み前記発光部制御モードに前記制御部を設定するモード制御情報を受付け、前記制御部が前記発光部制御モードに設定される場合に、前記指定物理ポート情報によって指定された前記対象物理ポートに対応する発光部のみの発光状態を、それ以外の発光部の発光状態と異ならせるように制御し、
前記制御部は、前記制御部が前記発光部制御モードに設定された際に前記指定物理ポート情報により指定されていない対象外物理ポートに対するケーブルの接続又は接続解除を検知する場合に、検知されたケーブルの接続又は接続解除がなされている前記対象外物理ポートに対応する発光部のみの発光状態を、それ以外の発光部の発光状態と異ならせるように制御することを特徴とする通信機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記対象物理ポートに対するケーブルの接続又は接続解除の状態を前記管理端末へ送る通知部を備えることを特徴とする請求項1に記載の通信機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記管理端末から送られ受付けられた前記指定物理ポート情報と前記モード制御情報を含む、前記対象物理ポートに対するケーブルの接続又は接続解除の作業スケジュール情報を暫定的に保持し、前記作業スケジュール情報に基づいて、前記制御部が前記発光部制御モードに設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信機器。
【請求項4】
各々に対してケーブルの接続又は接続解除がなされる複数の物理ポートと、前記複数の物理ポートのそれぞれに対応して設けられた複数の発光部と、前記複数の発光部の発光状態を制御可能とする発光部制御モードを有する制御部と、を備えた、ネットワークを介した管理端末により制御される通信機器の発光部制御方法であって、
前記制御部が、前記管理端末から送られる、前記複数の物理ポートの内の対象物理ポートを指定する指定物理ポート情報を含み前記発光部制御モードに前記制御部を設定するモード制御情報を受付け、前記制御部を前記発光部制御モードに設定する設定ステップと、
前記制御部が、前記指定物理ポート情報によって指定された前記対象物理ポートに対応する発光部のみの発光状態を、それ以外の発光部の発光状態と異ならせる明示ステップと、
前記制御部が、前記複数の物理ポートの各々に対するケーブルの接続又は接続解除の状態を検知する検知ステップと、
前記制御部は、前記発光部制御モードに設定された際に前記指定物理ポート情報により指定されていない対象外物理ポートに対するケーブルの接続又は接続解除を検知する場合に、検知されたケーブルの接続又は接続解除がなされている前記対象外物理ポートに対応する発光部のみの発光状態を、それ以外の発光部の発光状態と異ならせる警告ステップと、
を含むことを特徴とする発光部制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信設備における通信機器に関し、また、通信機器に通信ケーブル(以下、単にケーブルとも称する)を接続する物理ポート(以下、単にポートとも称する)の発光部制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信設備には、スイッチ、ルータ等を含む通信ネットワーク(以下、単にネットワークとも称する)にケーブルを介して接続される、複数のポート及びポート発光部(以下、単に発光部とも称する)を具備する通信機器が、用いられている。通信設備には、複数の通信機器が使用され、例えば、ラックごとにサーバ等を集約するスイッチToR(Top of Rack)スイッチは、通常、サーバ等と共に所定のラックに収容される。収容される複数の通信機器は、ポート側がラックの一面に揃えられ、通信機器の多数のポートに多数のケーブルを接続して使用される。
【0003】
多数のポートを備える通信機器において、サービス終了したポート等のケーブルを多数のケーブルから選択して抜去(ケーブル抜去)する際、作業者が抜去すべきケーブルと違うケーブルを抜去(ケーブル誤抜去)する場合がある。
【0004】
一般に通信機器において、運用者がポート発光部の点灯状態のみを制御できるような実装がなされていないが、特許文献1では、独自の通信プロトコル(パケット)の実装にて通信経路のポート発光部点灯状態を制御するケーブル誤抜去防止方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-205448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の従来技術はネットワーク経路表示方法に重点を置いたものであるため、ケーブル誤抜去防止のための発光部点灯状態の制御機能としてはやや複雑になるという問題点があった。また、通信経路となる通信設備の通信機器全てにおいて独自プロトコルをサポートする必要がある。さらに、ネットワークが冗長構成を取る場合、状態により必ずしも意図した経路表示、ポートに対応するインジケータの点灯とならない可能性がある。
【0007】
通信機器からケーブルを抜去する際、複数人によるダブルチェックの上、目的のケーブルの抜去作業を実施する場合があるが、人による確認のためケーブル誤抜去によるサービス影響を生じさせてしまうことがある。
【0008】
本発明は、以上の従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、通信機器のポートに対しケーブルを抜き挿し(挿抜)する際、挿抜すべきケーブルを接続されている対象ポートの発光部点灯状態を制御することで、現地のケーブル挿抜作業者に対象ポートを認識させることのできる通信機器及び発光部制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の通信機器は、ネットワークを介して管理端末により制御される通信機器であって、各々に対してケーブルの接続又は接続解除がなされる複数の物理ポートと、前記複数の物理ポートのそれぞれに対応して設けられた複数の発光部と、前記複数の物理ポートの各々に対するケーブルの接続又は接続解除の状態を検知すると共に、前記複数の発光部の発光状態を制御可能とする発光部制御モードを有する制御部と、を備え、前記制御部は、前記管理端末から送られる、前記複数の物理ポートの内の対象物理ポートを指定する指定物理ポート情報を含み前記発光部制御モードに前記制御部を設定するモード制御情報を受付け、前記制御部が前記発光部制御モードに設定される場合に、前記指定物理ポート情報によって指定された前記対象物理ポートに対応する発光部のみの発光状態を、それ以外の発光部の発光状態と異ならせるように制御し、前記制御部は、前記制御部が前記発光部制御モードに設定された際に前記指定物理ポート情報により指定されていない対象外物理ポートに対するケーブルの接続又は接続解除を検知する場合に、検知されたケーブルの接続又は接続解除がなされている前記対象外物理ポートに対応する発光部のみの発光状態を、それ以外の発光部の発光状態と異ならせるように制御することを特徴とする。
【0010】
本発明の発光部制御方法は、各々に対してケーブルの接続又は接続解除がなされる複数の物理ポートと、前記複数の物理ポートのそれぞれに対応して設けられた複数の発光部と、前記複数の発光部の発光状態を制御可能とする発光部制御モードを有する制御部と、を備えた、ネットワークを介した管理端末により制御される通信機器の発光部制御方法であって、前記制御部が、前記管理端末から送られる、前記複数の物理ポートの内の対象物理ポートを指定する指定物理ポート情報を含み前記発光部制御モードに前記制御部を設定するモード制御情報を受付け、前記制御部を前記発光部制御モードに設定する設定ステップと、前記制御部が、前記指定物理ポート情報によって指定された前記対象物理ポートに対応する発光部のみの発光状態を、それ以外の発光部の発光状態と異ならせる明示ステップと、前記制御部が、前記複数の物理ポートの各々に対するケーブルの接続又は接続解除の状態を検知する検知ステップと、前記制御部は、前記発光部制御モードに設定された際に前記指定物理ポート情報により指定されていない対象外物理ポートに対するケーブルの接続又は接続解除を検知する場合に、検知されたケーブルの接続又は接続解除がなされている前記対象外物理ポートに対応する発光部のみの発光状態を、それ以外の発光部の発光状態と異ならせる警告ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、運用者から現地作業者へのケーブル挿抜対象ポートの明示、及び運用者との認識合わせには、通信経路全体のポート発光部制御は必要無く、ケーブル挿抜対象ポートの発光部点灯状態のみを、ケーブル挿抜対象ポートを持つ通信機器のモード設定により静的に、明確に制御できる。
【0012】
本発明によれば、本発明は作業対象となる通信機器のみが発光部制御モードをサポートしていれば良く、順次導入した箇所から利用可能となる。例えば、また現地作業者へ明示したケーブル挿抜対象ポートのケーブル挿抜時に、人が確認する作業であるため万が一サービス中ポートのケーブル誤挿抜が発生した際に、現地作業者へ誤りを通知する機能を具備することで、運用者及び現地作業者ともにケーブル誤挿抜発生を認識させることができる。
【0013】
本発明によれば、通信設備の運用者が作業対象の通信機器にリモートログインし、挿抜すべきケーブルが接続されているポート発光部の点灯状態を制御することで、現地のケーブル挿抜作業者と対象ポートの認識を合わせ、ケーブル誤挿抜の防止に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】作業拠点において本発明による実施例の通信機器があるシステム構成例の概略説明図である。
図2】実施例の通信機器の構成を示すブロック図である。
図3】実施例の通信機器の運用されているポートにケーブルが挿抜されている一例の状態と対応する発光部の発光状態を示す概略説明図である。
図4】実施例の通信機器の動作例であるケーブル抜去作業のフローチャートである。
図5】実施例の通信機器の「通常モード」の発光部の発光状態を示す表1である。
図6】実施例の通信機器の「発光部制御モード」の発光部の発光状態を示す表2である。
図7】実施例の通信機器の「通常モード」(ケーブル抜去後)の発光部の発光状態を示す表3である。
図8】実施例の通信機器の「発光部制御モード」(ケーブル誤抜去通知)の発光部の発光状態を示す表4である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例による通信機器について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付し、重複した説明は省略する。さらに、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例0016】
(構成の説明)
図1は、作業拠点100において本発明による実施例のルータ、スイッチ装置、交換機等の通信機器101があるシステム構成例の概略説明図である。システム構成の一例としては、通信機器101に通信ネットワークNWが接続され、この通信ネットワークNWに接続された複数の通信端末CTT(又は他の通信ネットワーク)で構成される。通信ネットワークNWの接続形態は、インターネットの他、例えば電話回線網、衛星通信ネットワーク等の公衆回線網や、各種のWAN(Wide Area Network)、VoPN(Voice over Packet Network)のような専用回線網を含むものであってもよい。通信端末CTTは、スマートホン等の携帯通信端末及びパーソナルコンピュータ等の接続可能である機器である。なお、通信端末には、運用拠点の管理端末である運用者端末PCも含まれる。
【0017】
作業拠点の通信機器101及び運用拠点の運用者端末PCはネットワークに接続され、データ通信を行う。作業拠点の通信機器101は、運用拠点の運用者端末によりネットワーク経由でリモートログインし制御される。通信機器101のケーブル(図示せず)の抜去等の物理作業が必要な場合は、現地作業者が運用者からの指示により物理作業対応を行う。
【0018】
[運用者端末]
運用者端末PCは、運用者の操作により作業拠点100の通信機器101、特にその物理ポートを監視し、遠隔操作できる機能を備えている。運用者端末PCは、図示しないが、CPUと、RAM、ハードディスク装置やSSD等の記憶部を含み、記憶部に格納されたプログラムに従い、CPUがRAMを一次記憶用ワークメモリとして利用する、キーボード等の入出力装置や、USB(Universal Serial Bus)や、ネットワーク接続部(NIC:Network Interface Card)をも含むパーソナルコンピュータ等である。
【0019】
[通信機器]
図2は、本実施例の通信機器101の構成を示すブロック図である。図2に示すように通信機器101は、制御部102と制御部に制御される物理ポート部103とを備える。物理ポート部103は例えばパケット転送を実行するスイッチの心臓部であり、図示しないがASICチップ及びこれに接続されたRJ-45等のコネクタ群(物理ポート群、例えば図1に一部示した各々に対してケーブルの接続又は接続解除がなされる複数のポートP1~P16)を含む。転送するほとんどのパケットがASICチップで処理され物理ポート部へ送られるが、ARP(Address Resolution Protocol)やBGP(Border Gateway Protocol)等の制御系のパケットは制御部102で処理され物理ポート部103からパケット送信される。なお、制御部102と運用者端末PCとの間は、上記プロトコルの他、SNMP(Simple Network Management Protocol)、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)、SSH(Secure Shell)等に基づき送受信が行われる。
【0020】
[発光部]
コネクタ群の複数の物理ポートは、それぞれ対応してLED(Light Emitting Diode)等の複数の発光部L(例えば図1に一部示した発光部L1~L16)が設けられている。
【0021】
複数の発光部Lは、ASICチップから得られる信号により例えば、対向通信機器とのリンク確立状態を示すときの発光部状態を「通常モード」として、発光表示する。例えば、各発光部の点滅は対応ポート及びリンクがアクティブでリンクのアクティビティが発生していること、点灯は対応ポート及びリンクがアクティブでありリンクのアクティビティが発生していないこと、消灯はポートがアクティブではないリンクダウンであること、を表示する。
【0022】
[制御部]
制御部102は通信機器101の全体、物理ポート部103と複数の発光部Lを制御する機能を有する。通信機器101は、一種のコンピュータ装置であり、制御部102として図示しないが、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク装置やSSD(solid state drive)等の記憶部を含み、記憶部に格納されたプログラムに従い、CPUがRAMを一次記憶用ワークメモリとして利用して、その構成要素(例えば物理ポート等)の複数同士が内部バスや内部ケーブルで接続され、独自のソフトウェア制御により構成機器相互の通信が可能となるように構成されている。
【0023】
制御部102は、図2に示すように、ソフトウェアのOS(Operating System)上でCPUが実行する所定のアプリケーションプログラムで、以下の検知部DTS、通知部NTS、命令受付部ORS、設定部DSS、指定部ALS1、暫定メモリTPM、警告部ALS2、タイマーTMSを実現することができる。
【0024】
検知部DTSは、例えば、SNMPトラップ(SNMP Trap)を搭載し、通信機器101のポートの異常状態が発生したことを契機に、SNMPエージェント自らトラップを送信する。すなわち、検知部DTS及び通知部NTSとしてのSNMPトラップにより、SNMPエージェント(通信機器101)がSNMPマネージャー(運用者端末PC)に各ポートに対するケーブルの接続又は接続解除の状態を検知し通知することができる。
【0025】
また、検知部DTSはオートネゴシエーション(Autonegotiation)により、各ポートに対するケーブルの接続の状態を検知することができる。
【0026】
制御部102において、装置モードとして、通常のリンク確立状態及びパケット転送状態を示すときの発光部状態を制御可能とする「通常モード」の他に、運用者端末PCが所定のコマンドライン発行によりモード設定される任意のポート発光部状態を制御可能とする「発光部制御モード」を備える。すなわち、命令受付部ORSは、運用者端末PCから送られるモード制御情報(物理ポート部103の複数の物理ポートPの内の例えばケーブル抜去対象の対象物理ポートを指定する指定物理ポート情報を含む情報)を受付け、設定部DSSは、「通常モード」から「発光部制御モード」へ制御部102の装置モードを設定する。
【0027】
制御部102において、制御部102が「発光部制御モード」に設定される場合に、指定物理ポート情報によって指定された対象物理ポートに対応する発光部のみの発光状態を、それ以外の発光部の発光状態と異ならせるように制御する。例えば、暫定メモリTPMに保持されている作業対象ポートを明確に識別可能とするポート発光部Pの発光制御パターン(点灯、消灯、点滅(間隔)、色)により、指定部ALS1が対象物理ポートに対応する発光部のみを発光制御(点灯、消灯、点滅(間隔)、色等)する。これにより、作業時のミス(ケーブル誤抜去等)を防止することに貢献する。
【0028】
制御部102が「発光部制御モード」に設定された際に、検知部DTSが指定物理ポート情報により作業指定されていない対象外物理ポートに対するケーブルの接続又は接続解除を検知する場合に、警告部ALS2は検知されたケーブルの接続又は接続解除がなされている対象外物理ポートに対応する発光部のみの発光状態を、それ以外の発光部の発光状態と異ならせるように発光制御(点灯、消灯、点滅(間隔)、色等)する。すなわち、作業時のミス(ケーブル誤抜去等)発生時に、制御部102の発光部状態の制御により、現地作業者へ視覚的にミス発生を警告する。
【0029】
(動作の説明)
図1ではポートP1~P16及び、対応する発光部L1~L16の16ポートを具備する通信機器を例としている。図1は具備するポート数を制限するものではなく、任意の整数をNとし、Nポートとして適用可能である。
【0030】
図3は通信機器101の運用されているポートP1~P16にケーブルが挿抜されている一例の状態と対応する発光部L1~L16の発光状態を示す概略説明図である。図4は通信機器101の動作例であるケーブル抜去作業のフローチャートを示す。
【0031】
図3に示すように、通信機器101は、ポートP1、ポートP4、ポートP7、ポートP10、ポートP12、ポートP13にケーブルが接続され、対向通信機器とのリンクが確立されて発光部L1、L4、L10、L12、L13は点灯(一般的な発光部状態)している。ポートP7にはケーブルは接続されているものの、対向通信機器とのリンクが確立されていない(shutdown等)ため、ポート発光部L17は消灯状態である。このように対向通信機器とのリンク確立状態を示すとき点灯し、リンクが非確立状態を示すとき消灯する発光部状態を「通常モード」とする(図5の表1にも「通常モード」の発光部の発光状態を示す)。
【0032】
図4に示す通信機器101の動作例であるケーブル抜去作業について説明する。
【0033】
(ケーブル抜去命令待機ステップ)
制御部102は、制御部の動作を設定するモード制御情報と複数の物理ポートの内の抜去対象物理ポートP12を指定する指定物理ポート情報を含むケーブル抜去(設定)命令を運用者端末PCから送られることをタイマーTMSに基づき待機する(ステップS1、ステップS2)。
【0034】
(発光部制御モード設定ステップ)
このとき、運用者は運用者端末PCよりコマンドライン等で通信機器101に対してネットワークを介してポートP12からのケーブル抜去の為の「発光部制御モード」の設定を行う。制御部102は、運用者端末PCから送られたケーブル抜去命令を受付け(ステップS2:Y)、当該命令に基づき発光部制御モードに制御部102を設定する(ステップS3)。
【0035】
(発光部の発光状態明示ステップ)
指定物理ポート情報によって指定された抜去対象物理ポートP12に対応する発光部L12のみの発光状態(点灯)を、それ以外の発光部の発光状態(消灯)と異ならせる(ステップS4)。
【0036】
「発光部制御モード」は、指定したポートに対応する発光部と、それ以外のポートに対応する発光部の状態を異なるものとし、その状態を発光部点灯状態に反映する。図6の表2の「発光部制御モード」では、運用者がケーブル抜去指定したポートP12に対応するL12のみを点灯状態とし、それ以外を消灯状態としている。或いは、その逆にL12のみを消灯状態とし、それ以外を点灯状態としてもよい。つまり、点灯消灯のみではなく、点滅や他の色等を用いて明確に識別させることを目的に、作業指定した対象ポートとその他ポートの発光部を異なる状態とすれば良い。これにより現地作業者には指示した対象ポートを改めて視覚的にも通知することができる。
【0037】
制御部102は、現地作業者が指定された対象ポートP12のケーブルを抜去するための猶予時間だけタイマーTMSに基づき待機する(ステップS5)。
【0038】
(ケーブル抜去検知ステップ)
制御部102検知部DTSは、所定方法で、複数の物理ポートの各々に対するケーブルの抜去(接続解除)の接続状態を検知する(ステップS6)。
【0039】
現地作業者が、指定された対象ポートP12のケーブルを抜去すると、表1の「通常モード」で点灯状態であった発光部L12の状態は消灯に変わる。発光部制御モードに設定されたポートP12と、通常モードの発光状態が変更されたポートP12が一致する(ステップS6:Y)ことをトリガーに発光部制御モードは終了し(END)、図7の表3のような通常モード(ケーブル抜去後)に戻る。もしくは発光部制御モードの設定時にオプションでタイマーを設定し、設定時間経過後に通常モードに戻すこととしても良い。
【0040】
(ケーブル誤抜去警告ステップ)
一方、現地作業者が指定されたポートP12に隣接するポートP10のケーブルを誤抜去したとする。すなわち、制御部102が発光部制御モードに設定された際に指定物理ポート情報により指定されていない対象外物理ポートP10に対するケーブルの抜去(接続解除)を検知する場合(ステップS6:N)に、検知されたケーブルの抜去(接続解除)がなされている対象外物理ポートP10に対応する発光部L10のみの発光状態を、それ以外の発光部の発光状態と異ならせる不備警告ステップ(ステップS7)へ遷移する。
【0041】
ケーブル誤抜の際は発光部制御モードに指定されたポートP12と、通常モードの状態が変更されたポートP10が一致しないため、ポートP10以外のポート発光部を点滅状態等とし(図8、表4、参照)、通信機器101は現地作業者にケーブル誤抜去を通知・警告する(ステップS7)。この時も、ケーブル誤抜去したポートとその他ポートの発光部を明確に識別できるよう、発光部の点灯、消灯、点滅、色を用いて異なる状態とすれば良い。
【0042】
制御部102は、現地作業者がケーブル誤抜去したポートP10を再接続するための猶予時間だけタイマーTMSに基づき待機する(ステップS8)。
【0043】
ケーブル誤抜去したポートP10を再接続し、ポートP10の通常モード状態が元に戻る(復旧)まで警告ステップ(ステップS9:N、ステップS7)を繰り返す。
【0044】
ケーブル誤抜去したポートP10を再接続されたことが検知される(ステップS9:Y)と、ポートP10の通常モード状態が一時的に元に戻ることで、本点滅状態は終了し、通常モードに戻る。これにより現地作業者にはケーブル誤抜去が発生している旨を視覚的にも通知することができる。
【0045】
その後、既に設定されている図6の表2の「発光部制御モード」のステップS4の発光部の発光状態明示ステップへ遷移して、繰り返される。
【0046】
(効果の説明)
以上のように、ケーブル抜去作業時の現地作業者に対して視覚的な指示をすることで、アラームを監視している運用者のみでなく、現地作業者との認識合わせが容易に、確実になり、対象ポート以外のケーブル誤抜去によるサービス影響等を防止することが可能となる。
【0047】
また、万が一ケーブル誤抜去が発生した場合でも、視覚的に現地作業者にケーブル誤抜去を早急に通知することが可能となる。
【0048】
また、通信設備には様々な形態のものが存在し、必ずしも決められた順番でポートが並んでいる、ポートに識別可能な番号表示が付与されている、とは限らないのが現状である。現地作業者が運用者から例えばタブレットPC、スマホ等での会話による指示により物理作業対応を行う場合でもミスは発生する。よって、本実施例のように会話による指示内容の把握に加え、現地にてポート発光部で視覚的にも把握可能であることが誤抜去防止に対して有効となる。
【0049】
本実施例として、通信機器101における対象ポートを指定した発光部制御モードの設定を、ケーブル誤抜去防止及びケーブル誤抜去時の現地作業者への通知を目的とした説明をしたが、サービス開始時等のケーブル接続の作業でも現地作業者への通知の観点で効果が得られる。また、例えば通信機器101がブザー等を具備していれば、ケーブル誤抜去時に現地作業者へ視覚だけでなく聴覚的にも通知するように応用ができる。
【0050】
本実施例においては、サービスが稼働中の通信機器101に対する作業は、例えば通信キャリア等では当該作業が他の収容サービス(ポート)に影響が無いことを確認するために運用者が監視し、現地作業者と意識合わせの上、監視と現地の2箇所、また各箇所複数名体制でダブルチェックのため作業が行われる。
【0051】
しかし、本実施例の変形例として、サービス非稼働の通信機器や、他サービスへの影響が問題無い状況であれば、制御部102において、運用者端末PCから送られ受付けられた指定物理ポート情報とモード制御情報を含む、対象物理ポートに対するケーブルの接続又は接続解除の作業スケジュール情報を暫定的に暫定メモリTPMに事前に保持しておき、作業スケジュール情報に基づいて、制御部102が発光部制御モードに設定されることにより、ケーブルの接続又は接続解除を行う現地の作業者に対象ポートを認識させ得る通信機器及び発光部制御方法を提供できる。
【符号の説明】
【0052】
101 通信機器
102 制御部
103 物理ポート部
PC 運用者端末
P1~P16 ポート
L1~L16 発光部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8