(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037737
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】マイクロニードルアレイ、および、その製造方法
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20230309BHJP
B23C 3/00 20060101ALI20230309BHJP
B81C 99/00 20100101ALI20230309BHJP
B81B 1/00 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
A61M37/00 510
A61M37/00 505
B23C3/00
B81C99/00
B81B1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144491
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(72)【発明者】
【氏名】早瀬 元
(72)【発明者】
【氏名】吉野 大輔
【テーマコード(参考)】
3C022
3C081
4C267
【Fターム(参考)】
3C022AA03
3C081AA07
3C081AA17
3C081BA01
3C081BA23
3C081BA72
3C081CA19
3C081CA45
3C081DA08
3C081EA39
4C267AA71
4C267BB02
4C267BB24
4C267CC01
4C267CC05
4C267DD10
4C267EE07
4C267FF10
4C267GG26
4C267GG46
4C267HH01
(57)【要約】
【課題】 無機多孔質材料を用いたマイクロニードルアレイ、および、その製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明のマイクロニードルアレイは、基材と、基材上に位置する複数のマイクロニードルとを備え、基材とマイクロニードルとは、60%以上90%以下の範囲の気孔率を有するモノリス型シリカからなる。本発明のマイクロニードルアレイの製造方法は、60%以上90%以下の範囲の気孔率を有するモノリス型シリカに切削加工法を適用する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上に位置する複数のマイクロニードルと
を備え、
前記基材と前記マイクロニードルとは、60%以上95%以下の範囲の気孔率を有するモノリス型シリカからなる、マイクロニードルアレイ。
【請求項2】
前記モノリス型シリカは、シリカを主成分とする三次元網目状骨格と、前記三次元網目状骨格によって形成された直径平均500nm以上50μm以下の範囲の貫通孔とを備える共連続構造を有する、請求項1に記載のマイクロニードルアレイ。
【請求項3】
前記貫通孔の直径平均は、1.5μm以上8μm以下の範囲である、請求項2に記載のマイクロニードルアレイ。
【請求項4】
前記モノリス型シリカは、75%以上90%以下の範囲の気孔率を有する、請求項1~3のいずれかに記載のマイクロニードルアレイ。
【請求項5】
前記モノリス型シリカは、5MPa以上30MPa以下の範囲のヤング率を有する、請求項1~4のいずれかに記載のマイクロニードルアレイ。
【請求項6】
前記モノリス型シリカは、10MPa以上15MPa以下の範囲のヤング率を有する、請求項5に記載のマイクロニードルアレイ。
【請求項7】
前記モノリス型シリカは、表面修飾されている、請求項1~6のいずれかに記載のマイクロニードルアレイ。
【請求項8】
前記マイクロニードルの形状は、円錐状、多角錐状、および、紡錘状からなる群から選択される、請求項1~7のいずれかに記載のマイクロニードルアレイ。
【請求項9】
前記基材と、前記マイクロニードルとは一体である、請求項1~8のいずれかに記載のマイクロニードルアレイ。
【請求項10】
60%以上95%以下の範囲の気孔率を有するモノリス型シリカに切削加工法を適用する、請求項1~9のいずれかに記載のマイクロニードルアレイを製造する方法。
【請求項11】
前記モノリス型シリカに切削加工法を適用することは、10mm/分以上1500mm/分以下の範囲の送り速度、4000rpm以上9000rpm以下の範囲のスピンドル回転速度、1μm以上50μm以下の範囲の切込み量、および、1μm以上50μm以下の範囲のパス間隔を満たす条件で切削加工することを包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記モノリス型シリカに切削加工法を適用することは、600mm/分以上1200mm/分以下の範囲の送り速度、5000rpm以上9000rpm以下の範囲のスピンドル回転速度、5μm以上20μm以下の範囲の切込み量、および、5μm以上20μm以下の範囲のパス間隔を満たす条件で切削加工することを包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記モノリス型シリカに切削加工法を適用することは、前記切削加工に先立って、10mm/分以上1500mm/分以下の範囲の送り速度、4000rpm以上9000rpm以下の範囲のスピンドル回転速度、10μm以上100μm以下の範囲の切込み量、および、10μm以上200μm以下の範囲のパス間隔を満たす条件で予備切削加工することを包含し、
前記予備切削加工における送り速度、および、スピンドル回転速度は、前記切削加工におけるそれらよりも小さくなるように設定され、
前記予備切削加工における切込み量、および、パス間隔は、前記切削加工におけるそれらよりも大きくなるように設定される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記モノリス型シリカに切削加工法を適用することは、300mm/分以上900mm/分以下の範囲の送り速度、5000rpm以上9000rpm以下の範囲のスピンドル回転速度、30μm以上70μm以下の範囲の切込み量、および、30μm以上70μm以下の範囲のパス間隔を満たす条件で予備切削加工することを包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記予備切削加工は、550mm/分以上650mm/分以下の範囲の送り速度、6500rpm以上7500rpm以下の範囲のスピンドル回転速度、45μm以上55μm以下の範囲の切込み量、45μm以上55μm以下の範囲のパス間隔を満たし、
前記切削加工は、850mm/分以上950mm/分以下の範囲の送り速度、6500rpm以上7500rpm以下の範囲のスピンドル回転速度、8μm以上12μm以下の範囲の切込み量、8μm以上12μm以下の範囲のパス間隔を満たす、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
ラウンド加工を行うことをさらに包含する、請求項10~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記切削加工法は、コンピュータ数値制御(CNC)加工である、請求項10~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
表面修飾処理をすることをさらに包含する、請求項10~17のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロニードルアレイ、および、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表皮下に無痛で薬剤注入・血漿接種するためにマイクロニードルアレイが開発されている(例えば、非特許文献1、特許文献1を参照)。非特許文献1は、金型を用いて製造されたポリアクリルアミドを用いたマイクロニードルアレイを開発し、薬剤の連続注入が可能であることを報告する。
【0003】
特許文献1は、樹脂を含むポーラス体がマイクロニードルアレイを構成したフィルムを開示する。このようなマイクロニードルアレイも鋳型を用い、転写によって製造される。
【0004】
非特許文献1、特許文献1に代表されるように、マイクロニードルアレイは、鋳型を用いた転写によって製造されるため、鋳型から取り外す際のニードルの割れや破損を考慮し、マイクロニードルアレイに使用できる材料は、柔軟性を有するだけでなく、曲げ、引っ張り、ねじれに対する強度を確保するため、気孔率を高くできないといった制限があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Liming Liuら,RSC Adv.,2016,6,48630-48635
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上から、本発明の課題は、無機多孔質材料を用いたマイクロニードルアレイ、および、その製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるマイクロニードルアレイは、基材と、前記基材上に位置する複数のマイクロニードルとを備え、前記基材と前記マイクロニードルとは、60%以上95%以下の範囲の気孔率を有するモノリス型シリカからなり、これにより上記課題を解決する。
前記モノリス型シリカは、シリカを主成分とする三次元網目状骨格と、前記三次元網目状骨格によって形成された直径平均500nm以上50μm以下の範囲の貫通孔とを備える共連続構造を有してもよい。
前記貫通孔の直径平均は、1.5μm以上8μm以下の範囲であってもよい。
前記モノリス型シリカは、75%以上90%以下の範囲の気孔率を有してもよい。
前記モノリス型シリカは、5MPa以上30MPa以下の範囲のヤング率を有してもよい。
前記モノリス型シリカは、10MPa以上15MPa以下の範囲のヤング率を有してもよい。
前記モノリス型シリカは、表面修飾されていてもよい。
前記マイクロニードルの形状は、円錐状、多角錐状、および、紡錘状からなる群から選択されてもよい。
前記基材と、前記マイクロニードルとは一体であってもよい。
本発明による上記マイクロニードルアレイを製造する方法は、60%以上95%以下の範囲の気孔率を有するモノリス型シリカに切削加工法を適用し、これにより上記課題を解決する。
前記モノリス型シリカに切削加工法を適用することは、10mm/分以上1500mm/分以下の範囲の送り速度、4000rpm以上9000rpm以下の範囲のスピンドル回転速度、1μm以上50μm以下の範囲の切込み量、および、1μm以上50μm以下の範囲のパス間隔を満たす条件で切削加工することを包含してもよい。
前記モノリス型シリカに切削加工法を適用することは、600mm/分以上1200mm/分以下の範囲の送り速度、5000rpm以上9000rpm以下の範囲のスピンドル回転速度、5μm以上20μm以下の範囲の切込み量、および、5μm以上20μm以下の範囲のパス間隔を満たす条件で切削加工することを包含してもよい。
前記モノリス型シリカに切削加工法を適用することは、前記切削加工に先立って、10mm/分以上1500mm/分以下の範囲の送り速度、4000rpm以上9000rpm以下の範囲のスピンドル回転速度、10μm以上100μm以下の範囲の切込み量、および、10μm以上200μm以下の範囲のパス間隔を満たす条件で予備切削加工することを包含し、前記予備切削加工における送り速度、および、スピンドル回転速度は、前記切削加工におけるそれらよりも小さくなるように設定され、前記予備切削加工における切込み量、および、パス間隔は、前記切削加工におけるそれらよりも大きくなるように設定されてもよい。
前記モノリス型シリカに切削加工法を適用することは、300mm/分以上900mm/分以下の範囲の送り速度、5000rpm以上9000rpm以下の範囲のスピンドル回転速度、30μm以上70μm以下の範囲の切込み量、および、30μm以上70μm以下の範囲のパス間隔を満たす条件で予備切削加工することを包含してもよい。
前記予備切削加工は、550mm/分以上650mm/分以下の範囲の送り速度、6500rpm以上7500rpm以下の範囲のスピンドル回転速度、45μm以上55μm以下の範囲の切込み量、45μm以上55μm以下の範囲のパス間隔を満たし、前記切削加工は、850mm/分以上950mm/分以下の範囲の送り速度、6500rpm以上7500rpm以下の範囲のスピンドル回転速度、8μm以上12μm以下の範囲の切込み量、8μm以上12μm以下の範囲のパス間隔を満たしてもよい。
ラウンド加工を行うことをさらに包含してもよい。
前記切削加工法は、コンピュータ数値制御(CNC)加工であってもよい。
表面修飾処理をすることをさらに包含してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるマイクロニードルアレイは、基材と、基材上に位置する複数のマイクロニードルとを備え、基材とマイクロニードルとは、60%以上95%以下の範囲の気孔率を有するモノリス型シリカからなる。モノリス型シリカからなるため、薬剤の連続注入が容易になる。このようなモノリス型シリカは、薬剤投与、ワクチン接種、色素注入による乳房再建、毛髪再建、手術痕ケアなどメディカルタトゥーに適用される。
【0010】
本発明によるマイクロニードルアレイは、60%以上95%以下の範囲の気孔率を有するモノリス型シリカに切削加工法を適用することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明によるマイクロニードルアレイを示す模式図
【
図2】例示的なモノリス型シリカを示す電子顕微鏡像
【
図5】多孔体P2(A)および多孔体P3(B)のSEM像
【
図8】例1および例2のマイクロニードルアレイを用いた針刺し試験前後の様子を示す図
【
図9】例1および例2のマイクロニードルアレイを用いた針刺し試験後の平均損傷率を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明によるマイクロニードルアレイを示す模式図である。
【0014】
本発明のマイクロニードルアレイ100は、基材110と、基材110上に位置する複数のマイクロニードル120とを備える。ここで、基材110とマイクロニードル120とは、60%以上95%以下の範囲の気孔率を有するモノリス型シリカからなる。多孔性のモノリス型シリカからなるため、薬剤等の連続注入が容易になる。
【0015】
本発明のマイクロニードルアレイ100に適用できる薬剤等は、医薬品を含み、親水性の溶媒などを必要に応じて添加し、水溶液にできる薬剤等である。薬剤等には、塩酸リドカイン、塩酸モルヒネ、塩酸メクロプラミド等の塩酸塩、インドメタシンやジクロフェナクなどの非ステロイド性消炎鎮痛剤等のカルボン酸、核酸、オリゴヌクレオチド等のリン酸、カルバゾクロムスルホン酸等のスルホン酸のアルカリ金属塩などの低分子化合物がある。
【0016】
あるいは、薬剤等には、日本脳炎ワクチン、ロタウイルスワクチン、ジフテリアワクチン、百日咳ワクチン、肺炎双球菌ワクチン、結核ワクチン、風疹ワクチン、麻疹ワクチン、ヘルペスウィルスワクチン、DNAワクチン等のワクチンがある。あるいは、薬剤等には、デスモプレシン、インターフェロン、エリスロポエチン、フォリトロピン、G-CSF、GM-CSF、ヒト絨毛性腺刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、カルシトニン、グルカゴン、インスリン、ヒト成長ホルモン等のタンパク質がある。あるいは、薬剤等には、核酸、オリゴヌクレオチド、RNAなどがある。あるいは、薬剤等には、瘢痕カモフラージュ用色素、乳輪再建用色素、口唇再形成用色素等の医療用色素がある。
【0017】
本発明のマイクロニードルアレイ100の基材110とマイクロニードル120とは一体であるが、基材110の形態は特に制限されない。例示的には、0.5cm2以上10cm2以下の範囲の大きさを有する。あるいは、使用時にこれより小さいものを複数合わせて所望の大きさとしてもよい。
【0018】
マイクロニードル120は微小な針構造であり、例示的な高さは、50μm以上1mm以下の範囲である。50μm以上であれば、薬剤等を経皮注入が促進される。1mm以下であれば、無痛での薬剤投与を可能とし、出血量を抑えることができる。好ましくは、マイクロニードル120の高さは、300μm以上600μm以下の範囲である。この範囲であれば、無痛での薬剤経皮投与を促進でき、連続投与に必要な薬剤等を担持できる。
【0019】
図1では、マイクロニードル120は、円錐状の針構造であるが、これに限らない。円錐状に限らず、三角錐、四角錐などの多角錐状であってもよいし、紡錘状であってもよい。
【0020】
マイクロニードル120は、基材110上に等間隔で位置するが、例示的には、1cm2当たり10本以上2000本以下の範囲の針密度を有する。この範囲であれば、必要な量の薬剤等を注入できる。マイクロニードル120は、好ましくは、50本以上1000本以下の範囲の針密度を有し、より好ましくは、50本以上100本以下の範囲の針密度を有する。この範囲であれば、歩留まりよく本発明のマイクロニードルアレイ100を提供できる。
【0021】
図2は、例示的なモノリス型シリカを示す電子顕微鏡像である。
【0022】
本発明のマイクロニードルアレイ100はモノリス型シリカからなるが、モノリス型シリカとは、
図2に示すように、シリカを主成分とする3次元網目状の骨格と、その上端から下端まで3次元網目状に連通した貫通孔(スルーポア)とを備えた共連続構造を有する。なお、3次元網目状の骨格の表面および/または貫通孔の内壁面に細孔(メソポア)を有していてもよいが、必須ではない。
【0023】
本明細書において、モノリス型シリカは、直径平均500nm以上50μm以下の範囲の大きさの貫通孔を有する。この範囲であれば、薬剤注入が促進される。貫通孔の大きさ(直径平均)は、より好ましくは、1μm以上10μm以下の範囲であり、さらに好ましくは、1.5μm以上8μm以下の範囲である。この範囲であれば、モノリス型シリカの強度を維持しつつも、優れた薬剤注入性を発揮できる。なおさらに好ましくは、貫通孔の大きさは、1.5μm以上2.5μm以下の範囲である。この範囲であれば、上記効果に加えて、マイクロニードルアレイを歩留まりよく提供できる。なお、貫通孔の大きさ(直径平均)は、電子顕微鏡観察像の画像解析によって求めた。画像解析には、ImageJ(ver. 1.52n;オープンソースでパブリックドメインの画像処理ソフトウェア)を用いた。画像に複数の任意直線を重ね、得られた細孔部の線分の長さを用いて算出した。
【0024】
モノリス型シリカは、好ましくは、75%以上90%以下の範囲の気孔率を有する。この範囲であれば、マイクロニードル120に十分な薬剤を担持させることができるので、薬剤の連続注入が容易になる。モノリス型シリカは、より好ましくは、80%以上90%以下の範囲の気孔率を有する。なお、本願明細書において、気孔率は、嵩密度を真密度で除することによって得られる。なお、真密度は、ヘリウムピクトメトリー法によって測定される。
【0025】
モノリス型シリカの嵩密度は、好ましくは、0.2以上0.35以下であってよい。この範囲であれば、上述の気孔率を満たし得る。
【0026】
モノリス型シリカは、好ましくは、5MPa以上30MPa以下の範囲のヤング率を有する。この範囲であれば、後述する切削加工法を適用できる。モノリス型シリカは、より好ましくは、5MPa以上15MPa以下の範囲のヤング率を有する。この範囲であれば、貫通力に優れ、損傷率の小さなマイクロニードルアレイが提供される。モノリス型シリカは、なおさらに好ましくは、8MPa以上10MPa以下の範囲のヤング率を有してもよい。なお、ヤング率は、圧縮率を歪量とみなして、所定の圧縮率で圧縮したときの圧縮応力を所定の圧縮率で除した値である。本願明細書では、所定の圧縮率は、1~2%とした。
【0027】
モノリス型シリカは、それ自身親水性であるため、親水性の溶媒を含有する薬剤に対して親和性があるため、薬剤の浸透性を高めることができる。一方で、モノリス型シリカの表面のシラノール基にシランカップリング剤を修飾させ、疎水化してもよい。
【0028】
このようなシランカップリング剤には、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1、3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-エチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ブチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N、N-ジメチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N、N-ジエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N、N-ジブチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、オクタデシルジメチル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジメチル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、N-トリメトキシシリルプロピル-N、N、N-トリ-n-ブチルアンモニウムブロマイド、N-トリメトキシシリルプロピル-N、N、N-トリ-n-ブチルアンモニウムクロライド、N-トリメトキシシリルプロピル-N、N、N-トリメチルアンモニウムクロライド等の第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、芳香族アミノ基、第4級アンモニウム塩基を含むものがる。表面を疎水化することにより、薬剤の浸透速度を制御できる。
【0029】
モノリス型シリカは、相分離を利用したゾル-ゲル法によって製造される。詳細には、アルコキシシラン類を主成分として含むシリカ前駆体が溶媒相に混合されたゾルを調製し、これをゲル化促進温度以上の温度下に維持して、ゾルゲル転移と相分離とを発現させ、3次元連続網目状構造を有するシリカヒドロゲル相と溶媒相の共連続構造体を形成し、共連続構造体から溶媒相を除去することによって、上述したモノリス型シリカが得られる。なお、このような製造方法は、例えば、Riichi Miyamotoら,J.Sep.Sci.,2013,36,1890-1896、特開2012-096960号公報等に記載される方法を採用してもよい。
【0030】
次に、本発明のマイクロニードルアレイの製造方法について説明する。
本願発明者らは、今までの常識を覆し、無機多孔質材料であるモノリス型シリカからなる多孔体に切削加工法を適用することにより、マイクロニードルアレイ100(
図1)が得られることを見出した。切削加工法は、切削工具により機械的に金属、プラスチック、木材等の硬い対象物を切り削る加工法であるため、これまでは多孔体に適用するという発想もなく、適用されてこなかった。しかしながら、本願発明者らは、共連続構造を有し、60%以上95%以下の範囲の気孔率を有するモノリス型シリカであれば、多孔体であっても、切削加工時にモノリス型シリカが崩れないことが分かった。特に、モノリス型シリカ多孔体の多孔性(気孔率、貫通孔の直径平均)を最適化することにより、歩留まりよくマイクロニードルアレイを製造できることを見出した。
【0031】
切削加工法に適用するモノリス型シリカは、
図1を参照して説明したモノリス型シリカと同様であるため、説明を省略する。切削加工の観点からは、好ましくは、モノリス型シリカは、60%以上95%以下の範囲の気孔率を有し、1μm以上10μm以下の範囲の貫通孔の直径平均を有する。より好ましくは、モノリス型シリカは、75%以上90%以下の範囲の気孔率を有し、1.5μm以上8μm以下の範囲、なおさらに好ましくは1.5μm以上2.5μm以下の範囲の貫通孔の直径平均を有する。これにより、切削加工法を適用できるだけでなく、歩留まりよくマイクロニードルアレイを提供できる。
【0032】
【0033】
本発明のマイクロニードルアレイは、切削加工法によって製造されるが、切削加工法は公知の切削加工装置310を用いて実施してよい。切削加工装置310は、ステージ311と、切削具312とを備え、
図3では、ステージ311上に加工対象であるモノリス型シリカ313が載置されている。モノリス型シリカ313は、加工後にマイクロニードルアレイ100(
図1)となる大きさを有していれば、特に制限はないが、例えば、10mm~150mm×10mm~100mm×2mm~20mmの大きさを有してよい。
【0034】
図3では、モノリス型シリカ313の加工対象面に水平方向をX方向とし、これに直交する水平方向をY方向とし、X方向およびY方向に直交する方向をZ方向とする。切削加工装置310は、ステージ311および/または切削具312の動作を制御する制御部(図示せず)を備えてよい。
【0035】
ステージ311は、加工対象であるモノリス型シリカ313を支持し、X方向およびY方向にモノリス型シリカ313を移動させることができる。
【0036】
切削具312は、例示的にはエンドミルである。切削具312は、制御部(図示せず)によって回転駆動されながらモノリス型シリカ313に当接し、切削する。切削具312は、制御部によってX方向、Y方向およびZ方向に移動可能である。
【0037】
切削加工法による切削加工は、好ましくは、10mm/分以上1500mm/分以下の範囲の送り速度、4000rpm以上9000rpm以下の範囲のスピンドル回転速度、1μm以上50μm以下の範囲の切込み量、および、1μm以上50μm以下の範囲のパス間隔を満たす条件で行う。この範囲であれば、モノリス型シリカ313が壊れることなく切削できる。ここで、送り速度とは、
図3のステージ311または切削具312がX方向またはY方向に移動する速度である。スピンドル回転速度は、切削具312の回転速度である。切込み量は、切削具312によって1回に削る深さである。パス間隔は、切削加工における切削具の経路であるツールパスの間隔を定義するもので、Z方向の切り込み量に対して、XおよびY方向の切り込み量を示すものである。
【0038】
切削加工法による切削加工は、より好ましくは、600mm/分以上1200mm/分以下の範囲の送り速度、5000rpm以上9000rpm以下の範囲のスピンドル回転速度、5μm以上20μm以下の範囲の切込み量、および、5μm以上20μm以下の範囲のパス間隔を満たす条件で行う。この範囲であれば、モノリス型シリカ313が壊れることなく切削できる。
【0039】
本発明のマイクロニードルアレイ100は、上述の切削加工によって得られるが、上述の切削加工に先立って予備切削加工をしてもよい。これにより、モノリス型シリカ313に粗加工を行うため、加工時間を短縮できる。
【0040】
このような予備切削加工は、好ましくは、10mm/分以上1500mm/分以下の範囲の送り速度、4000rpm以上9000rpm以下の範囲のスピンドル回転速度、10μm以上100μm以下の範囲の切込み量、および、10μm以上200μm以下の範囲のパス間隔を満たす条件で行う。このとき、予備切削加工における送り速度、および、スピンドル回転速度は、切削加工におけるそれらよりも小さくなるように設定され、予備切削加工における切込み量、および、パス間隔は、切削加工におけるそれらよりも大きくなるように設定されるとよい。
【0041】
より好ましくは、予備切削加工は、300mm/分以上900mm/分以下の範囲の送り速度、5000rpm以上9000rpm以下の範囲のスピンドル回転速度、30μm以上70μm以下の範囲の切込み量、および、30μm以上70μm以下の範囲のパス間隔を満たす条件で行う。これにより、歩留まりよく、短時間にてマイクロニードルアレイ100を製造できる。
【0042】
なお好ましくは、予備切削加工は、550mm/分以上650mm/分以下の範囲の送り速度、6500rpm以上7500rpm以下の範囲のスピンドル回転速度、45μm以上55μm以下の範囲の切込み量、45μm以上55μm以下の範囲のパス間隔を満たし、切削加工は、850mm/分以上950mm/分以下の範囲の送り速度、6500rpm以上7500rpm以下の範囲のスピンドル回転速度、8μm以上12μm以下の範囲の切込み量、8μm以上12μm以下の範囲のパス間隔を満たす。これにより、歩留まりよく、短時間にてマイクロニードルアレイ100を製造できる。
【0043】
切削加工後にラウンド加工を行ってもよい。これにより、マイクロニードルアレイ100のニードル先端の破損を防ぐことができる。
【0044】
切削加工法は、コンピュータ数値制御(CNC)加工を利用してもよい。
図3に示すように、切削加工装置310は制御装置320に接続されており、制御装置320から送られる切削データによって切削する。制御装置320は、CPU(Central Processing Unit)を備えた情報処理装置であってよい。制御装置320が送る切削データには、上述した切削加工条件、予備切削加工条件に加えてマイクロニードルの形状、大きさ、間隔等の情報が含まれてもよい。また制御装置320には、キーボード、マウス等の入力装置(図示せず)が接続され、ユーザが切削加工条件、予備切削加工条件、あるいは、マイクロニードルの情報を適宜入力してもよい。
【0045】
このようにして得られたマイクロニードルアレイに表面修飾処理を行ってもよい。表面修飾には上述したシランカップリング剤を用い、シラノール基と結合させればよい。表面修飾処理は、切削加工に先立って行ってもよい。
【0046】
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
【実施例0047】
[多孔体]
多孔体P1~P3を準備した。
多孔体P1としてモノリス型シリカを調製した。室温にて、10mLの酢酸水溶液(5mM)に0.8gのポリエチレングリコール(平均分子量10,000、PEG10,000と称する)と1.0gの尿素とを溶解させた後、6mLのテトラメトキシシランを加え、15分間攪拌し、反応液を得た。反応液を密閉容器に移し、30℃で24時間静置し、ゲル化した。その後、80℃で24時間静置(エージング)し、湿潤ゲルを得た。湿潤ゲルをメタノールに2~3時間浸漬させ、洗浄した後、乾燥させた。ヤング率を強化するため乾燥ゲルを800℃で2時間焼成し、モノリス型シリカを得た。
【0048】
多孔体P2として架橋ポリメタクリル酸グリシジルを調製した。4.0mLの2-メトキシエタノールに4.0gのPEG10,000を添加し、温浴中で溶解させた。この溶媒を室温まで冷却した後、1mLのグリシジルメタクリレート、0.523mLのトリメチロールプロパントリメタクリラート、1.57mLのトリエチレングリコールジメタクリラート、および、光重合開始剤として0.01gの1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトンを添加・攪拌し、反応液を得た。反応液に6Wの紫外線ランプ(照度0.3mWcm-3)を照射し、2時間反応・重合させた。得られた重合体を水とメタノールとの混合液に2~3時間浸漬させ、洗浄した後、室温で乾燥させて、架橋ポリメタクリル酸グリシジルを得た。
【0049】
多孔体P3として別のシリカ多孔体を調製した。多孔体P3は、多孔体P1において、ポリエチレングリコールを1.0gとし、焼成をしない以外は同様であった。
【0050】
多孔体P1~P3を、走査型電子顕微鏡(FE-SEM、株式会社日立ハイテク製、S-4800)により観察した。結果を
図4および
図5に示す。
【0051】
図4は、多孔体P1のSEM像である。
図5は、多孔体P2(A)および多孔体P3(B)のSEM像である。
【0052】
図4には、種々の倍率のSEM像が示されるが、多孔体P1であるモノリス型シリカは、シリカを主成分とする三次元網目状骨格と、その骨格によって形成された貫通孔とを備える共連続構造を有することが分かった。一方、多孔体P2である架橋ポリメタクリル酸グリシジルは、球状粒子の凝集構造であった。また、P3である多孔体シリカは、球状粒子による三次元網目状構造をもつが、細孔が小さかった。
【0053】
これら多孔体P1~P3の細孔の直径平均(貫通孔の大きさ)、気孔率、ヤング率、水分吸着量および吸水速度を測定した。気孔率は、比表面積・細孔分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、BELSORP-MINI II)を用いて測定した。細孔径は、走査型電子顕微鏡により観察した電子画像をImage Jによる画像解析により算出した。ヤング率は、圧縮率1~2%で圧縮したときの圧縮応力をその圧縮率で除した値とした。水分吸着量は、水分計(株式会社島津製作所製、MOC63u)を用いて測定した。測定条件は、22℃、相対湿度40%の環境下において、110℃で15分加熱であった。吸水速度は、多孔体表面に8μLの水滴を滴下し、裏面に水滴が観察されるまでの時間から求めた。観察には、イメージセンサIMX44搭載ラズベリーパイHQカメラを用い、フレームレート200fpsで撮影した。これらの結果を表1に示す。
【0054】
【0055】
表1によれば、多孔体P1およびP2は、それぞれ、2μmおよび0.7μmの貫通孔の大きさを有し、文献値(例えば、多孔体P1であればR.Miyamotoら,Volume36,Issue12,June 2013,Pages 1890-1896、多孔体P2であればJ.Courtoisら,Polymer 47 (2006) 2603-2611)に良好に一致した。一方、多孔体P3の貫通孔の大きさは、SEMでの観察が難しく、0.5μm未満であった。
【0056】
また、多孔体P1およびP3の気孔率は、いずれも、80%を超えており、多孔体P2に比べて、多孔性に優れていた。多孔体P1およびP3の嵩密度は、多孔体P2のそれよりも低く、0.2以上0.35以下を満たした。多孔体P1およびP3のヤング率は、多孔体P2のそれよりも大きく、5MPa以上15MPaを満たした。なお、焼成前の多孔体P1のヤング率は4MPaであった。
【0057】
表には示さないが、いずれの多孔体P1およびP3も、5%程度の水分吸着量を有し、小さな吸水速度を有した。特に、多孔体P1の吸水速度は、0.1秒以下であった。一方、多孔体P2の吸水速度は、0.5秒を超えていた。これらから、モノリス型シリカは、比較的多くの水分を吸着可能であり、なおかつ、吸水速度が小さいため、モノリス型シリカをマイクロニードルに用いれば、薬剤等の連続注入を可能とし、速い投与が実現できることが示唆される。以降では、マイクロニードルに有利である多孔体P1およびP3について、切削加工を行った。
【0058】
[例1]
例1では、多孔体P1であるモノリス型シリカに、切削加工装置(ローランドディー.ジー.株式会社製、monoFabSRM-20)による切削加工法を適用し、5個のマイクロニードルアレイを製造した。加工対象であるモノリス型シリカの大きさは、10mm×10mm×10mmであった。
【0059】
【0060】
切削加工装置に、
図6に示すマイクロニードル(φ=0.5mm、高さh=1.0mm、先端角=28°)の設計データ、マイクロニードル間の間隔(1.0mm)、および、マイクロニードルの本数(64本(8×8)の正方形格子)の情報を入力した。次いで、切削加工装置に表2に示す予備切削加工条件および切削加工条件を入力した。切削加工装置には、切削具としてφ=0.4のスクエア型のエンドミルを取り付けた。
【0061】
このようにして得られた例1のマイクロニードルアレイの外観を観察した。また、例1のマイクロニードルアレイを用い、針刺し試験を行った。針刺し試験には、ゲル原液(株式会社エクシール製、エクシール人肌(登録商標)、乳白)を硬化させた人工皮膚に、マイクロニードルアレイを15Nの押し込み力で押し当て、15秒保持した。なお、人工皮膚の硬度を、タイプE硬度計によりJIS K 6253-/ISO48-4に準拠して測定したところ、硬度7であった。これらの結果を
図8に示す。針刺し試験後のマイクロニードルアレイの平均損傷率(5回平均)を調べた。結果を
図9に示す。
【0062】
[例2]
例2では、例1と同様に、多孔体P1であるモノリス型シリカに、切削加工装置による切削加工法を適用し、5個のマイクロニードルアレイを製造した。例2では、
図7に示すように、ラウンド加工を実施した点が例1とことなる。
【0063】
【0064】
切削加工装置に、
図7に示すマイクロニードル(φ=0.5mm、高さh=1.0mm)の設計データ、マイクロニードル間の間隔(1.0mm)、および、マイクロニードルの本数(64本(8×8)の正方形格子)の情報を入力した。次いで、切削加工装置に表2に示す予備切削加工条件および切削加工条件を入力した。切削加工装置には、切削具としてφ=0.4のスクエア型のエンドミルを取り付けた。予備切削加工および切削加工が終了後、切削具としてφ=0.4のボール型のエンドミルを取り付け、ラウンド加工を実施した。
【0065】
このようにして得られた例2のマイクロニードルアレイの外観を観察し、例1と同様に針刺し試験および平均損傷率を調べた。結果を
図8および
図9に示す。
【0066】
[例3]
例3では、例1と同様の条件で、多孔体P3であるシリカ多孔体に、切削加工装置による切削加工法を適用し、マイクロニードルアレイを製造した。
【0067】
切削加工条件を表2に示し、結果をまとめて説明する。
【0068】
【0069】
図8は、例1および例2のマイクロニードルアレイを用いた針刺し試験前後の様子を示す図である。
【0070】
図8によれば、モノリス型シリカに切削加工法を適用しても、壊れることなく、マイクロニードルアレイが得られることが分かった。驚くべきことに、各マイクロニードルは、いずれも、先端の欠けや折れはなく、歩留まり100%であった。また、針刺し試験前後においても、目視ではほぼマイクロニードルの損傷は確認されなかった。
【0071】
図示しないが、多孔体P3を用いたマイクロニードルアレイを観察したところ、64本のニードルのうち5本~10本程度のニードルに欠けが見られた。焼成前の多孔体P1(貫通孔の大きさは2μm、気孔率は85%、ヤング率は4MPa)についても同じ条件にて切削加工法を適用したところ、歩留まり100%でマイクロニードルアレイが得られた。
【0072】
これらから、気孔率が60%以上95%以下の範囲の気孔率を有し、貫通孔の直径平均が0.5μm(500nm)以上であるモノリス型シリカ多孔体であれば、切削加工法によって、歩留まりよくマイクロニードルアレイを提供できることが示された。
【0073】
図9は、例1および例2のマイクロニードルアレイを用いた針刺し試験後の平均損傷率を示す図である。
【0074】
図9によれば、例1および例2のマイクロニードルアレイの針刺し試験後の平均損傷率は、それぞれ、4.7%および2.8%であった。本発明のマイクロニードルアレイは、損傷に強く、複数回使用しても5%以下の損傷率であり、繰り返し使用可能であること分かった。特に、ラウンド加工をすることにより、破損に強くなることが分かった。