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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003774
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】自動塗装装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 12/00 20180101AFI20230110BHJP
【FI】
B05B12/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105050
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】398018467
【氏名又は名称】YPアセット株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000252816
【氏名又は名称】株式会社イヤサカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】山本 純也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 公徳
(72)【発明者】
【氏名】増田 智秀
(72)【発明者】
【氏名】山本 正道
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 広
【テーマコード(参考)】
4F035
【Fターム(参考)】
4F035AA03
4F035BA23
4F035BB02
4F035BB04
4F035BB06
4F035BB07
4F035BB12
4F035BB32
4F035BC02
(57)【要約】
【課題】塗装対象の形状に関わらずガンから塗装対象物までの距離を一定に保つことが可能な自動塗装装置を提供すること。
【解決手段】自動塗装装置1は、塗料を塗装対象物100に噴射するガン5と、塗料の噴射方向で塗装対象物100を異なる位置で検出する複数のセンサ6と、ガン5及び複数のセンサ6を直交する3軸方向で同方向に移動可能な移動機構3と、移動機構3を制御してガン5及び複数のセンサ6を、塗装対象物100に対して噴射方向に直交する方向に移動し、センサ6の検出結果に基づいてガン5を塗装対象物100から噴射方向で予め設定された距離に移動させる制御部92と、を備える。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料を塗装対象物に噴射するガンと、
前記塗料の噴射方向で前記塗装対象物を異なる位置で検出する複数のセンサと、
前記ガン及び前記複数のセンサを直交する3軸方向で同方向に移動可能な移動機構と、
前記移動機構を制御して前記ガン及び前記複数のセンサを、前記塗装対象物に対して前記噴射方向に直交する方向に移動し、前記センサの検出結果に基づいて前記ガンを前記塗装対象物から前記噴射方向で前記予め設定された距離に移動させる制御部と、
を備える自動塗装装置。
【請求項2】
前記ガンから前記塗料を噴射させるガン駆動機構を備え、
前記複数のセンサは、前記直交する方向に複数配置され、
前記制御部は、前記直交する方向で前記ガンに対して一次側の前記センサで前記塗装対象物を検出すると前記ガン駆動機構を制御して前記ガンから前記塗料を噴射し、前記一次側のセンサで前記塗装対象物を非検出となると、前記ガンによる前記塗料の噴射を停止する、請求項1に記載の自動塗装装置。
【請求項3】
前記ガン及び前記複数のセンサの移動経路である塗装パターンを記憶した記憶部を備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記塗装パターンで前記移動機構を制御する、
請求項1又は請求項2に記載の自動塗装装置。
【請求項4】
前記塗装パターンは、前記記憶部に記憶された単数または複数の移動パターンにより設定され、
前記移動パターンは、前記ガン及び前記複数のセンサを前記直交する方向に移動させる移動経路である、請求項3に記載の自動塗装装置。
【請求項5】
前記移動パターンは、前記ガン及び前記複数のセンサの移動方向、前記ガン及び前記複数のセンサの移動速度、前記予め設定された距離、及び、次の移動パターンへ移動する移動ピッチを含む、請求項4に記載の自動塗装装置。
【請求項6】
前記移動パターンは、基準位置を有し、
前記制御部は、前記移動機構を制御して前記移動パターンで前記ガン及び前記複数のセンサを終端まで移動すると、前記移動機構を制御して前記ガン及び前記複数のセンサを前記基準位置に戻し、前記移動機構を制御して前記ガン及び前記複数のセンサを前記移動ピッチ移動させることで、前記ガン及び前記複数のセンサを次の移動パターンの基準位置に移動させる、
請求項5に記載の自動塗装装置。
【請求項7】
前記ガンは、前記塗料を噴射及び噴射停止の為の操作部を有し、
前記制御部は、前記塗料を噴射する前記操作部の位置、及び前記塗料の噴射を停止する前記操作部の位置の間の前記操作部の移動量に基づいて前記ガン駆動機構を制御して前記ガンの前記塗料の噴射及び噴射停止を行う、請求項2に記載の自動塗装装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ガンの前記塗料の噴射口から前記センサの前記塗装対象物を検出する検出部までの前記噴射方向での距離、及び前記センサの検出結果に基づいて、前記ガンを前記塗装対象物から前記噴射方向で前記予め設定された距離に移動する、請求項1に記載の自動塗装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装対象物に塗料を噴射する自動塗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、塗料を噴射するガンを移動しながら塗料を噴射させることで、塗装対象物に自動的に塗装する自動塗装装置が知られている。
【0003】
自動塗装装置は、塗装対象物の塗布面の面方向の2軸方向にガンを移動する構成が知られている。また、塗装対象物の塗布面の面方向の2軸方向のそれぞれに沿ってガンを移動する2つの移動機構を備え、これら2つの移動機構のそれぞれが塗布面の形状に応じて湾曲した湾曲レールを備えてこの湾曲レールに沿ってガンを移動することで、ガンを塗装対象物に対して近づく方向及び離れる方向に移動する構成も知られている(例えば、特許文献1参照)。このような自動塗装装置は、ガンを湾曲レールに沿って移動することで、ガンから塗装対象物までの距離を一定に保つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6847131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の、湾曲レールを用いてガンから塗装対象物までの距離を一定に保つ自動塗装装置は、以下の問題があった。すなわち、湾曲レールが塗装対象物の形状に応じて湾曲することから、自動塗装装置を形状の異なる別の塗装対象物に対して用いることができないという問題がある。
【0006】
この為、本発明は、塗装対象の形状に関わらずガンから塗装対象物までの距離を一定に保つことが可能な自動塗装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の自動塗装装置は、塗料を塗装対象物に噴射するガンと、前記塗料の噴射方向で前記塗装対象物を異なる位置で検出する複数のセンサと、前記ガン及び前記複数のセンサを直交する3軸方向で同方向に移動可能な移動機構と、前記移動機構を制御して前記ガン及び前記複数のセンサを、前記塗装対象物に対して前記噴射方向に直交する方向に移動し、前記センサの検出結果に基づいて前記ガンを前記塗装対象物から前記噴射方向で前記予め設定された距離に移動させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、塗装対象の形状に関わらずガンから塗装対象物までの距離を一定に保つことができる自動塗装装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る自動塗装装置、塗装対象物、及びスタンドを示す正面図。
図2】同自動塗装装置、同塗装対象物、及び同スタンドを示す側面図。
図3】同自動塗装装置、同塗装対象物、及び同スタンドを示す平面図。
図4】同自動塗装装置の要部構成を示すブロック図。
図5】同自動塗装装置に用いられる保持部、複数のセンサ、ガン、及びガン駆動機構の一部を示す斜視図。
図6】同自動塗装装置に用いられる操作ボックスの表示部に表示される画面を説明する図。
図7】同自動塗装装置の動作の一例を示す流れ図。
図8】同複数のセンサによる同塗装対象物の検出、及び非検出を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る自動塗装装置1を、図1乃至図8を用いて説明する。
図1は、自動塗装装置1、塗装対象物100、及びスタンド101を示す正面図、図2は側面図、図3は平面図である。図4は、自動塗装装置1の要部構成として、電気配線の一例を示すブロック図である。図5は、自動塗装装置1に用いられる保持部4、ガン5、複数のセンサ6、及びガン駆動機構7の一部を示す斜視図である。図6は、自動塗装装置1に用いられる操作ボックス9の表示部83に表示される画面を示す図である。図7は、自動塗装装置1の動作の一例を示す流れ図である。図8は、複数のセンサ6による塗装対象物100の検出及び非検出を説明する図である。
【0011】
図1乃至図5に示すように、自動塗装装置1は、フレーム2と、移動機構3と、保持部4と、ガン5と、複数のセンサ6と、ガン駆動機構7と、報知部8と、操作ボックス9と、非常停止スイッチ10と、制御盤11と、を備えている。自動塗装装置1は、移動機構3によりガン5及び複数のセンサ6を移動し、ガン5から塗料を噴射することで、塗装対象物100に塗装する。塗装対象物100は、スタンド101に支持されている。塗装対象物100及びスタンド101は、自動塗装装置1の前方に設置される。
【0012】
ここで、上下方向X、前後方向Y、及び左右方向Zを設定する。上下方向Xは、重力の作用方向を下方向として設定される。前後方向Yは、上下方向Xに直交する一方向である。左右方向Zは、上下方向X及び前後方向Yの双方に直交する方向である。
【0013】
フレーム2は、例えば、移動機構3を支持可能に構成されている。フレーム2は、例えば、一対の縦フレーム21と、下部フレーム22と、を備えている。一対の縦フレーム21は、左右方向Zに離間して配置されている。下部フレーム22は、一対の縦フレーム21の下部に固定されている。
【0014】
移動機構3は、ガン5及び複数のセンサ6を、互いに直交する3軸方向の同方向に移動可能に構成されており、例えば、上下方向X、左右方向Z、及び前後方向Yに移動可能に構成されている。移動機構3は、例えばフレーム2に設置されている。
【0015】
移動機構3は、例えば、第1の移動機構31と、第2の移動機構32と、を備えている。第1の移動機構31が第2の移動機構32を2軸方向例えば上下方向X及び左右方向Zに移動し、第2の移動機構32がガン5及び複数のセンサ6を例えば前後方向Yに移動することで、ガン5及び複数のセンサ6が3軸方向で同方向に移動される。
【0016】
第1の移動機構31は、例えば、一対の上下レール33と、移動フレーム34と、左右レール35と、上下移動機構36と、左右移動機構37と、を備えている。
【0017】
一対の上下レール33は、一対の縦フレーム21の例えば互いに対向する面に固定されている。一対の上下レール33は、上下方向Xに延びている。
【0018】
移動フレーム34は、一対の上下レール33に上下方向Xに移動可能に支持されている。移動フレーム34は、例えば一方向に長い形状に形成されており、長手方向で一端部が一方の上下レール33の移動可能に支持され、他端部が他方の上下レール33に移動可能に支持されている。移動フレーム34は、下部フレーム22より上方に配置されており、一対の縦フレーム21及び下部フレーム22とともにフレーム2を枠形状とする上部フレームとして機能する。
【0019】
左右レール35は、移動フレーム34に固定されている。左右レール35は、左右方向Zに延びている。
【0020】
上下移動機構36は、移動フレーム34を、上下方向Xに移動可能に構成されている。上下移動機構36は、例えば、上下移動用モータ38と、上下伝達機構と、を備えている。上下伝達機構は、上下移動用モータ38の回転を移動フレーム34の上下方向Xの移動に変換可能に構成されている。上下伝達機構39は、例えば、ラック及びピニオンを用いた構成であってもよいし、または、ワイヤやベルトを用いた構成であってもよい。ラック及ピニオンを備えた構成の例としては、ピニオンが上下移動用モータ38の出力軸に固定され、ラックが縦フレームまたは上下レールに固定され、上下移動用モータ38が例えば一対設けられて移動フレーム34の両端部に固定されてもよい。
【0021】
左右移動機構37は、第2の移動機構32を左右方向Zに移動可能に構成されている。左右移動機構37は、例えば、左右移動用モータ41と、左右伝達機構と、を備えている。左右伝達機構は、左右移動用モータ41の回転を、第2の移動機構32の左右方向の移動に変換可能に構成されている。左右伝達機構42は、例えば、ラックとピニオンを用いた構成であってもよいし、または、ワイヤやベルトを用いた構成であってもよい。ラック及びピニオンを備える構成の例としては、左右移動用モータ41が第2の移動機構32に固定され、ピニオンが左右移動用モータ41の出力軸に固定され、ラックが移動用フレームに固定されてもよい。
【0022】
第2の移動機構32は、左右レール35に移動可能に支持されており、ガン5及び複数のセンサ6を前後方向Yに移動可能に構成されている。第2の移動機構32は、例えば、基部43と、スライド部44と、前後移動機構45と、を備えている。
【0023】
基部43は、左右レール35に左右方向Zに移動可能に支持されている。スライド部44は、基部43に前後方向Yに移動可能に支持されている。スライド部44は、例えば前後方向Yに長い形状に形成されている。
【0024】
前後移動機構45は、スライド部44を前後方向Yに移動可能に構成されている。前後移動機構45は、例えば、前後移動用モータ46と、前後伝達機構と、を備えている。前後移動機構45は、前後移動用モータ46の回転を、スライド部44の前後方向Yの移動に変換可能に構成されている。前後伝達機構は、例えば、ラック及びピニオンを用いた構成であってもよいし、または、ベルトやワイヤを用いた構成であってもよい。ラック及びピニオンを備える構成の例としては、前後移動用モータ46が基部43に固定され、ピニオンが前後移動用モータ46の出力軸に固定され、ラックがスライド部44に固定されてもよい。
【0025】
図5に示すように、保持部4は、ガン5及び複数のセンサ6を保持可能に形成されている。保持部4は、図2に示すように、例えばスライド部44の前端部に固定されている。
【0026】
保持部4は、複数のセンサ6がそれぞれ異なる位置に固定される。また、保持部4は、後述する移動パターンでガン5及び複数のセンサ6を移動しているときの移動方向に、2以上のセンサ6が配置される。また、保持部4は、例えば、複数のセンサ6の少なくとも1つを、移動パターンでの移動方向でガン5に対して一次側に配置する。また、保持部4は、移動パターンでガン5及び複数のセンサ6を移動しているときの移動方向でガン5の二次側に、少なくとも1つのセンサ6を配置してもよい。
【0027】
保持部4は、本実施形態では、移動パターンでの移動方向でガン5の一次側に3つ、ガン5に対して二次側に3つのセンサ6を配置する。
【0028】
保持部4は、例えば、ガン固定部51と、6個のセンサ固定部53と、を備えている。ガン固定部51は、例えば、一対の縦壁51a及び一対の棒部材51bを備える矩形の枠状に形成されている。例えば、下方の棒部材51bに、ガン5が固定されている。
【0029】
センサ6が固定可能に構成されている。センサ固定部53は、複数のセンサ6と同数設けられている。センサ固定部53は、半分の数が、一対の縦壁51aのそれぞれに、上下方向Xに離間して固定されている。
【0030】
ガン5は、塗料を噴射可能に構成されている。ガン5は、図2に示すように、例えば、噴射口63を有したガン本体61と、トリガ62と、を備えている。
【0031】
トリガ62は、塗料の噴射及び噴射の停止を切り替える操作部である。トリガ62は、例えば、ガン本体61に、塗料の噴射を停止する位置、及び塗料が噴射される位置の間で移動可能に支持されている。塗料の噴射を停止する位置は、例えば、ガス及び塗料の双方の噴射を停止する位置である。
【0032】
複数のセンサ6は、図5に示すように、ガン5の塗料の噴射方向に対向する対象物を異なる位置で検出し、対象物までの噴射方向での距離に応じた信号を出力可能に構成されている。センサ6は、検出部を有しており、この検出部で対象物を検出する。すなわち、センサ6が出力する、センサ6から対象物までの距離は、センサ6から対象物までの距離である。
【0033】
センサ6は、移動パターンでのガン5及び複数のセンサ6の移動方向に複数配置されている。また、移動パターンでのガン5及び複数のセンサ6の移動方向で複数配置されたセンサ6の少なくとも1は、当該移動方向でガン5の一次側に配置されている。
【0034】
複数のセンサ6は、例えば6個のセンサ6である。センサ6は、保持部4のセンサ固定部53に固定されている。複数のセンサ6は、例えば、上下方向Xに3列、左右方向Zに2列に配置されている。
【0035】
ガン駆動機構7は、ガン5のトリガ62を、塗料の噴射を停止する位置、及び、塗料を噴射する位置の間で移動可能に構成されている。ガン駆動機構7は、例えば、ガントリガ用モータ71と、伝達機構72と、を備えている。
【0036】
ガントリガ用モータ71は、例えば、ガン固定部51に固定されている。伝達機構72は、ガントリガ用モータ71の回転を、トリガ62の移動に変換可能に構成されている。伝達機構72は、例えば、ラック及びピニオンを備える構成であってもよいし、または、ワイヤやベルトを備える構成であってもよい。ラック及びピニオンを用いた構成は、例えば、ガントリガ用モータ71はガン固定部51に固定され、ピニオンがガントリガ用モータ71の出力軸に固定され、ラックが例えば前後方向Yに移動可能に支持され、ラックに、トリガと対向する押圧部材が設けられてもよい。そして、ガントリガ用モータ71の回転によりラックが前後方向Yに移動することで、ラックに設けられた押圧部がトリガ62を押圧して塗料の噴射を停止する位置から、塗料を噴射する位置まで移動してもよい。
【0037】
報知部8は、自動塗装装置1の状態を報知可能に構成されている。報知部8は、例えばランプであってもよい。報知部8は、例えば、自動塗装装置1の電源ONの状態、塗装動作を行っている状態、及び非常停止している状態を、各状態に応じて点灯することにより報知してもよい。または、報知部8は、音により自動塗装装置1の状態を報知する構成であってもよい。
【0038】
操作ボックス9は、例えば、表示及び入力を可能に構成されている。操作ボックス9は、例えば、電源ONスイッチ81と、電源OFFスイッチ82と、表示部83と、入力部84と、非常停止スイッチ85と、を備えている。
【0039】
電源ONスイッチ81は、電源をONするときにユーザによって操作されるスイッチである。電源OFFスイッチ82は、電源をOFFするときにユーザによって操作されるスイッチである。
【0040】
表示部83は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示デバイスである。表示部83は、複数の画面を、例えば切り替えて表示可能に構成されている。複数の画面は、例えば、図6の(a)に示す塗装操作画面83aと、図6の(b)に示す塗装パターン設定画面83bと、図6の(c)に示す塗装中画面83cと、図6の(d)に示すメンテナンス画面83dと、を含んでいる。
【0041】
塗装操作画面83aは、例えば、ガン5の種類を選択する操作をする領域、スタート位置を設定する操作を行う領域、移動パターンの移動方向を選択する操作を行う領域、塗装パターンを示す領域、スタンド101の位置を記憶部91に記憶する操作を行う領域、自動塗装スタート操作を行う領域等を有している。スタート位置は、自動塗装装置1が塗装動作を開始するときにガン5が移動される位置である。
【0042】
塗装パターン設定画面83bは、例えば、複数の設定を表示し、いずれかの設定を選択する操作を行う領域、選択された設定に紐づけられた移動パターンを表示し、移動パターンを選択する操作を行う領域を有している。
【0043】
移動パターンを設定する領域は、例えば、ガン5の移動パターンでの移動方向の移動速度を設定する領域、ガン5及び塗装対象の間の距離を調整する際のガン5の移動速度を設定する領域、ガン5から塗装対象物100までの塗料の噴射方向での距離を設定する領域、次の移動パターンの基準位置に移動する移動ピッチを設定する領域を有している。
【0044】
塗装中画面83cは、塗装回数、一対の上下移動用モータ38のそれぞれの上下方向Xの位置、左右移動用モータ41の左右方向Zの位置、前後移動用モータ46の前後方向Yの位置、トリガ62の位置、及び各モータのトルク使用率等を表示する。
【0045】
メンテナンス画面83dは、ガン5及び複数のセンサ6を、メンテナンス時に上下前後左右に移動する操作を行う領域、トリガ62の操作を行う領域、一対の上下移動用モータ38を駆動する操作を行う領域、一対の上下移動用モータ38の位置、左右移動用モータ41の左右方向Zの位置、ガントリガ用モータ71の前後方向Yの位置、メンテナスをする際の各モータの送り速度を示す領域、移動機構3を非常停止する閾値である各モータのトルク使用率を表示する領域等を有している。
【0046】
非常停止スイッチ85は、移動機構3及びガン駆動機構7を停止するときに操作されるスイッチである。
【0047】
非常停止スイッチ10は、例えばフレーム2、具体例として縦フレーム21に設置されている。非常停止スイッチ10は、非常停止スイッチ85と同様に構成されている。
【0048】
制御盤11は、例えば、記憶部91と、制御部92と、を備えている。記憶部91は、各種プログラム、移動機構3の可動範囲と、距離L1と、距離L2と、移動パターンと、スタンド101の位置と、閾値Tと、等を記憶している。
【0049】
移動機構3の可動範囲は、移動機構3の上下方向X、左右方向Z、及び前後方向Yの可動範囲である。距離L1は、ガン5の噴射口63から塗装対象物100までの、塗料の噴射方向での予め設定された距離である。距離L2は、複数のセンサ6のうち塗装対象物100までの距離の検出に用いられるセンサ6の検出部から、ガン5の噴射口63までの、前後方向Yでの距離である。
【0050】
移動パターンは、ガン5により塗装対象物100に塗料を噴射するべくガン5及び複数のセンサ6を移動させる移動経路であり、ガン5による塗料の噴射方向に直交する一方向での移動経路である。また、移動パターンは、1以上の設定を有している。設定として、例えば、第1の設定、第2の設定、第3の設定、及び第4の設定がある
第1の設定は、ガン5及び複数のセンサ6の移動方向であり、塗料の噴射方向に直交する方向である。第2の設定は、ガン5及び複数のセンサ6を、ガン5の塗料の噴射方向に直交する方向に移動する移動速度である。第3の設定は、距離L1である。第4の設定は、基準位置である。基準位置は、例えば、移動を開始する位置であってもよい。第5の設定は、1つの移動パターンでのガン及び複数のセンサ6の移動が完了した後、基準位置から次の移動パターンの基準位置に移動する移動ピッチである。
【0051】
また、記憶部91は、1以上の移動パターンが紐づけられた設定を記憶可能であってもよい。例えば、記憶部91は、複数の設定の例として、設定A、設定B、設定C、設定D、設定E、及び設定Fを記憶可能であってもよい。これら設定は、それぞれ、複数例えば10の塗装パターンを紐づけられてもよい。
【0052】
スタンド101の位置は、例えば、入力部84から入力されてもよい。または、複数のセンサ6の1以上でスタンド101までの距離を検出することでスタンド101の位置を検出して記憶部91に記憶してもよい。例えば、複数のセンサ6の1以上がスタンド101を検出しているときに、塗装操作画面83aの、塗装スタンド位置記憶の領域が操作されることで、スタンド101の位置が記憶部91に記憶される。
【0053】
閾値Tは、塗装対象物100を判定する為の位置である。閾値Tは、塗装対象物より塗料の噴射方向で奥側(前側)の物の位置である。例えば、塗装対象物100よりも奥側に壁がある場合は、この壁の前後方向Yの位置が閾値となる。スタンド101の位置が記憶されている場合は、スタンド101の前後方向Yの位置が閾値となる。センサ6により検出された対象物の位置が閾値より手前の位置であると塗装対象物100と判定できる。
【0054】
制御部92は、記憶部91に記憶されたプログラム及び塗装パターン、並びに複数のセンサ6の検出結果に基づいて、移動機構3及びガン駆動機構7を制御する。
【0055】
例えば、制御部92は、複数のセンサ6の少なくとも1つのセンサ6の検出結果に基づいて移動機構3を制御して、ガン5の噴射口63を、塗装対象物100からガン5による塗料の噴射方向で距離L1の位置に移動する。
【0056】
また、制御部92は、図8の範囲Aに示すように、移動パターンでガン5及び複数のセンサ6が移動中に、一次側のセンサ6の少なくとも1つが塗装対象物100を検出すると、ガン駆動機構7を制御して、ガン5から塗料を噴射する。図8の範囲A中、一次側のセンサ6が塗装対象物100を検出していない複数のセンサ6から照射されたレーザLを実線で示し、一次側のセンサ6が塗装対象物100を検出した複数のセンサ6から照射されたレーザLを2点鎖線で示している。
【0057】
なお、一次側のセンサ6の全てが塗装対象物100を検出することに限定されない。一次側のセンサ6が複数ある場合は、複数の一次側のセンサ6のいずれか1つのセンサ6の検出結果が用いられてもよいし、複数の一次側のセンサ6のうち予め設定された1以上の所定のセンサ6の検出結果が用いられてもよいし、一次側の全てのセンサ6の検出結果が用いられてもよい。
【0058】
また、制御部92は、図8の範囲Bに示すように、複数のセンサ6のうち、移動パターンでの移動方向で一次側のセンサ6が塗装対象物100を非検出となると、ガン駆動機構7を制御して、ガン5による塗料の噴射を停止する。図8の範囲B中、一次側のセンサ6が塗装対象物100を検出している複数のセンサ6から照射されたレーザLを実線で示し、一次側のセンサ6が塗装対象物100を非検出である複数のセンサ6から照射されたレーザLを2点鎖線で示している。
【0059】
なお、一次側のセンサ6の全てが非検出であることに限定されない。一次側のセンサ6が複数ある場合は、複数の一次側のセンサ6のいずれか1つのセンサ6が非検出であってもよいし、複数の一次側のセンサ6のうち予め設定された1以上の所定のセンサ6が非検出であってもよいし、一次側の全てのセンサ6が非検出であってもよい。
【0060】
また、制御部92は、複数のセンサ6の少なくとも1つの検出結果、及び距離L2に基づいて、ガン5の噴射口63から塗装対象物100までの、距離を検出する。例えば、制御部92は、移動パターンでのガン5の移動方向で一次側のセンサ6の1以上の検出結果に基づいて、当該センサ6から塗装対象物100までの前後方向Yでの距離を検出する。この例としては、一次側の3個のセンサ6のうち、上下方向で中央に配置されたセンサ6の検出結果に基づいて、ガン5の噴射口63から塗装対象物100までの前後方向Yでの距離を検出してもよい。または、2以上のセンサ6の検出結果に基づいてガン5の噴射口63から塗装対象物100までの距離を検出してもよい。この場合、2以上のセンサ6の検出結果の平均値に基づいて、ガン5から塗装対象物100までの距離が検出されてもよい。そして、制御部92は、センサ6から塗装対象物100までの距離、及び距離L2に基づいて、このセンサ6から塗装対象物100までの前後方向Yでの距離を検出する。
【0061】
また、制御部92は、移動機構3を制御して、ガン5の噴射口63の位置を、塗装対象物100から噴射方向で距離L1となる位置に移動する。
【0062】
また、制御部92は、例えば、塗装操作画面83a、塗装パターン設定画面83b、メンテナンス画面83d等から入力部84により入力された情報を記憶部91に記憶する。
【0063】
次に、ユーザによる、塗装パターンの設定の一例を説明する。塗装パターンは、記憶部91に記憶された、ガン5及び複数のセンサ6の移動経路である。塗装パターンは、記憶部91に記憶された単数または複数の移動パターンにより設定される。
【0064】
例えば、ユーザは、塗装操作画面83aで入力部84を操作することで、複数の設定A乃至設定Fから所望の設定を選択する。次に、ユーザは、選択した設定に紐づけられた複数の移動パターンから、使用する塗装パターンに合う移動パターン1以上を選択する。
【0065】
または、例えば所定の移動パターンの組み合わせを示すパラメータが予め設定されている場合、ユーザは、所定のパターンの組み合わせを示すパラメータを例えば入力することで、所望の移動パターンを選択してもよい。
【0066】
本実施形態では、塗装パターンは、複数回設定可能である。それぞれの回数の塗装パターンを、単数または複数の移動パターンから設定することができる。例えば、一回目の塗装パターンを単数または複数の移動パターンから設定し、二回目の塗装パターンを単数または複数の移動パターンから設定する。
【0067】
次に、自動塗装装置1の動作の一例を、図7を用いて説明する。制御部92は、ユーザが塗装操作画面83aの自動塗装スタートを操作した信号を操作ボックス9から受信すると、自動塗装装置を開始する。
【0068】
制御部92は、記憶部91から塗装パターンを読み出す(ステップST1)。
次に制御部92は、移動機構3を1回目の塗装パターンの最初の移動パターンの移動開始位置に移動する。移動開始位置は、自動塗装装置1に設定されたスタート位置である(ステップST2)。例えば、移動パターンは、基準位置を有し、基準位置から移動開始位置に移動してもよい。または、基準位置が移動開始位置と同じ位置であってもよい。
【0069】
制御部92は、移動機構3を移動開始位置に移動すると、移動機構3を制御して、ガン5及び複数のセンサ6を、最初の移動パターンで移動する。ここで、移動パターンで移動とは、塗装操作画面83aで設定された移動方向で、移動パターンに設定されている移動速度で移動し、ガン5の噴射口63から塗装対象物100までの噴射方向の距離を移動パターンに設定されている距離L2に保つ移動である。
【0070】
制御部92は、移動パターンでガン5及び複数のセンサ6を移動中に、一次側のセンサ6の検出結果及び閾値に基づいて塗装対象物100を検出したか否かを判定する(ステップST4)。
【0071】
制御部92は、塗装対象物100を検出すると(ステップST4のYES)、ガン駆動機構7を制御してガン5の噴射口63から塗料を噴射する(ステップST5)。制御部92は、塗装対象物100を検出していない場合(ステップST4のNO)には、塗料の噴射停止を維持する。
【0072】
次に、制御部92は、センサ6の検出結果及びスタンド101の位置に基づいて、スタンド101を検出したか否かを判定する(ステップST6)。また、制御部92は、一次側のセンサ6の検出結果に基づいて、塗装対象物100を非検出となったか否かを判定する(ステップST7)。
【0073】
制御部92は、スタンド101を検出すると(ステップST6のYES)、または、塗装対象物100を非検出となると(ステップST7のYES)、ガン駆動機構7を制御して、ガン5による塗料の噴射を停止する(ステップST8)。
【0074】
制御部92は、スタンドを検出していない場合(ステップST6のNO)、及び一次側のセンサ6が塗装対象物100を非検出となっていない場合(ステップST7のNO)は、塗料の噴射を維持する。
【0075】
制御部92は、噴射を停止した状態でガン5及び複数のセンサ6を移動中に、一次側のセンサ6で塗装対象物100を検出したか否か、及び、移動終了位置に到達したか否かを判定する(ステップST9及びステップST10)。移動終了位置は、自動塗装装置1の可動範囲の終端の位置である。
【0076】
制御部92は、一次側のセンサ6で塗装対象物100を検出すると(ステップST9のYES)、ステップST5に戻る。制御部92は、移動終了位置に到達したことを判定すると(ステップST10のYES)、次の移動パターンがあるか否かを判定する(ステップST11)。制御部92は、塗装対象物100を検出せず(ステップST9のNO)、移動終了位置に到達したことを検出してない場合(ステップST10のNO)には、噴射を停止した状態で移動パターンによるガン5及び複数のセンサ6の移動を維持する。
【0077】
次の移動パターンがあるとは、例えば、塗装パターンが複数の移動パターンから設定されており、次の移動パターンがある場合、または、所定の回の塗装パターンが完了して次の回の塗装パターンがある場合等である。
【0078】
次の移動パターンの設定がある場合(ステップST11のYES)には、制御部92は、移動開始位置が、現在の移動パターンと同じ位置であるか否かを判定する(ステップST12)。
【0079】
例えば、次の移動パターンの移動開始位置への移動ピッチがゼロに設定されている場合は、次の移動パターンの移動開始位置は、現在の移動パターンと同じ位置となる。移動ピッチが0より大きい値に設定されている場合は、次の移動パターンの移動開始位置は、現在の移動パターンの移動開始位置に対して、移動ピッチずれた位置となり、現在の移動パターンの移動開始位置と異なる。
【0080】
制御部92は、次の移動パターンの移動開始位置が現在の移動パターンの移動開始位置と同じ位置であると(ステップST12のYES)、移動機構3を制御して、現在の移動パターンの移動開始位置に戻る(ステップST13)。制御部92は、移動開始位置に戻ると、ステップST3に戻り、塗装動作を繰り返す。
【0081】
制御部92は、移動開始位置が異なる場合(ステップST12のNO)、次の移動パターンの移動開始位置に移動する(ステップST14)。なお、制御部92は、現在の移動パターンの移動開始位置に戻った後、ピッチ移動することで、次の移動パターンの移動開始位置に移動してもよい。制御部92は、移動開始位置に移動すると、ステップST3に戻り、塗装動作を繰り返す。
【0082】
制御部92は、次の移動パターンの設定がない場合(ステップST11のNO)は、移動開始位置に戻り(ステップST15)、塗装動作を停止する。
【0083】
このように構成された自動塗装装置1は、センサ6の検出結果に基づいて、ガン5の噴射口63の位置を、塗料の噴射方向で、塗装対象物100から予め設定された距離に移動する。この為、塗装対象物100の形状に関わらずガン5の噴射口63から塗装対象物100までの距離を予め設定された距離L2に保つことができる。
【0084】
また、自動塗装装置1は、ガン5に対して一次側のセンサ6で塗装対象物100を検出するとガン駆動機構7を制御してガン5から塗料を噴射し、一次側のセンサ6で塗装対象物100を非検出となるとガン駆動機構7を制御して塗料の噴射を停止する。この為、塗装対象物100の形状に関わらず、塗装対象物100を効率よく噴射できる。
【0085】
また、自動塗装装置1は、記憶部91に記憶された塗装パターンで移動機構3を制御する。この為、塗装対象物100に応じた塗装パターンを記憶することで、塗装対象物100の形状に関わらずに、ガン5の噴射口63から塗装対象物100までの噴射方向での距離を、予め設定された距離に保つことができる。
【0086】
また、塗装パターンは、記憶部91に記憶された単数または複数の移動パターンにより設定される。この為、自動塗装装置1は、塗装対象物100に対して適切な塗装パターンを設定することができる。
【0087】
また、移動パターンとして、移動方向、移動速度、距離L2、及び、移動ピッチを設定することができる。この為、移動パターンを選択することでこれら複数の設定をすることができるので、自動塗装装置1による塗装動作の設定を、効率よく行うことができる。
【0088】
また、自動塗装装置1は、1つの移動パターンによる移動が完了すると、同移動パターンの基準位置に戻り、次の移動パターンの設定がある場合、次の移動パターンの基準位置に移動する。この為、次の移動パターンがない場合であっても、移動機構3を基準位置に戻すことができる。
【0089】
また、記憶部91は、塗料を噴射する為のトリガ62の移動量を記憶できる。この為、トリガ62の移動量を記憶部91に記憶することで、様座なガン5を使用できる。また、記憶部91は、距離L1を記憶できる。この為、ガン5及びセンサ6に応じた距離L1を記憶部91に記憶することで、様々なガン及びセンサ6を使用できる。
【0090】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述の例では、1つの設定に複数の移動パターンが紐づけられる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、1つの設定に対して1つの移動パターンが紐づけられてもよい。
【0091】
また、複数のセンサ6は、例えば、塗装対象物100の所定の領域の縁にレーザ光を照射する位置に配置されてもよい。所定の領域は、ガン5の噴射口63が塗装対象物100から距離L2の位置から塗料を噴射したときに塗料が当たる領域である。
【0092】
また、上述の例では、塗料の噴射及び噴射停止が、センサ6の検出結果に基づいて行われる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。例えば、センサ6の検出結果によらず、塗料を噴射し続ける構成であってもよい。
【0093】
また、上述の例では、ガン5が一方向に移動中に塗料を噴射する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。例えば、移動パターンの移動方向が例えば左右方向であって左から右へ移動する設定の場合、左から右への移動中、及び右から左への移動中のそれぞれで、塗料を噴射してもよい。
【0094】
また、上述の例では、ガン5の一次側のセンサ6が塗装対象物100を非検出となると塗料の噴射を停止したが、停止する時期は、例えば、非検出となってから、ガン5が前後方向で塗装対象物100の縁と対向する時であってもよい。この時期は、ガン5から一次側のセンサ6までの距離と、ガン5の移動速度とに基づいて算出することができる。
【0095】
また、上述の例では、ガン5に対して一次側のセンサ6が塗装対象物100を非検出となると塗料の噴射を停止する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、一次側のセンサ6が塗装対象物100を非検出となると、二次側のセンサ6が塗装対象物を検出したときに塗料の噴射量がゼロとなるように、塗料の噴射量を徐々に少なくしてもよい。
【0096】
また、上述の例では、記憶部91は、トリガ62の、ガス及び塗料の噴射を停止する位置から塗料を噴射する位置の移動量の情報を有する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、さらに、トリガ62の、ガス及び塗料の噴射を停止する位置から、ガスが噴射し塗料を噴射しない位置までの移動量の情報を記憶部91が記憶する構成であってもよい。そして、制御部92は、移動パターンでガン5及び複数のセンサ6の移動中、一次側のセンサ6が塗装対象物100を非検出の場合にはガン駆動機構7を制御して、トリガ62をガス及び塗料を噴射しない位置からガスが噴射して塗料が噴射しない位置に移動し、一次側のセンサ6が塗装対象物100を検出すると、トリガ62を塗料を噴射する位置まで移動する構成であってもよい。または、塗料を噴射しない位置として、ガスが噴射して塗料が噴射しない位置が記憶部91に記憶される構成であってもよい。
【0097】
また、上述の例では、複数のセンサ6は、移動パターンでの移動方向(例えば左右方向)に2列、移動パターンでの移動方向及び噴射方向の双方に直交する方向(例えば上下方向)に3列配置される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、複数のセンサ6の配置は、塗装対象物100の形状に応じて設定されてもよい。例えば、ガン5に対して移動パターンの移動方向で一次側に、移動方向に直交する方向で2以上のセンサが配置されてもよい。そしてこれら2以上のセンサ6の少なくとも1つが塗装対象物100を検出すると塗料を噴射する構成であってもよい。
【0098】
例えば、塗装対象物100が窓を有する場合、窓を通過する際に塗装対象物100を検出するセンサ6の数が変化する場合がある。しかしながら、この構成によれば、窓を通過する際に、ガン5に対して一次側で移動方向に直交する方向に配置された2以上のセンサ6の少なくとも1つが塗装対象物100を検出することで、塗料の噴射を維持できる。
【0099】
また、自動塗装装置1は、さらに、ぼかし塗装を行うことが可能に構成されてもよい。ぼかし塗装は、移動パターンでの移動方向に直交する方向で同位置を複数回塗装する場合に、塗装長さを、回数を重ねるごとに長くしまたは短くする塗装である。
また、上述の例では、閾値Tを用いて塗装対象物100を判定する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。センサ6が閾値Tが不要な構成である場合は、閾値Tを用いなくてもよい。
【0100】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0101】
1…自動塗装装置、3…移動機構、4…保持部、5…ガン、6…センサ、7…ガン駆動機構、11…制御盤、31…第1の移動機構、32…第2の移動機構、51…ガン固定部、53…センサ固定部、61…ガン本体、62…トリガ、63…噴射口、91…記憶部、92…制御部、100…塗装対象物、101…スタンド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8