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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037778
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】焼却システム
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/44 20060101AFI20230309BHJP
   F23L 5/02 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
F23G5/44 F ZAB
F23L5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144551
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】小関 泰志
【テーマコード(参考)】
3K023
3K065
【Fターム(参考)】
3K023HA06
3K023HA20
3K065AA11
3K065AB01
3K065AC02
(57)【要約】
【課題】汚泥の焼却に伴うコストを抑制する焼却システムを提供する。
【解決手段】被処理物を乾燥させる乾燥機と、乾燥機によって乾燥された被処理物を焼却する焼却炉と、第1コンプレッサ及び第1タービンを有する第1過給機と、第1コンプレッサによって圧縮された空気を焼却炉から排出された排ガスにより昇温し、昇温された空気を第1タービンに供給する第1熱交換器と、第1熱交換器から供給された排ガスにより流体を昇温し、昇温された流体を乾燥機に供給する第2熱交換器と、を備え、前記乾燥機は、前記移送部により移送された前記第2空気の熱エネルギーにより前記被処理物を乾燥し、第1タービンは、昇温された空気を焼却炉に供給する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を乾燥させる乾燥機と、
前記乾燥機によって乾燥された前記被処理物を焼却する焼却炉と、
第1コンプレッサ及び第1タービンを有する第1過給機と、
前記第1コンプレッサによって圧縮された第1空気を前記焼却炉から排出された排ガスにより昇温し、昇温された前記第1空気を前記第1タービンに供給する第1熱交換器と、
前記焼却炉から排出された前記排ガスにより第2空気を昇温する第2熱交換器と、
前記第2熱交換器により昇温された前記第2空気を他の機器に移送する移送部と、を備え、
前記乾燥機は、前記移送部により移送された前記第2空気の熱エネルギーにより前記被処理物を乾燥し、
前記第1タービンは、前記第1熱交換器により昇温された前記第1空気を前記焼却炉に供給する、焼却システム。
【請求項2】
前記移送部は、送風機を有し、
前記送風機は、前記第2熱交換器により昇温された前記第2空気を前記乾燥機に移送し、
前記乾燥機は、移送された前記第2空気の熱エネルギーにより前記被処理物を乾燥し、
更に、前記乾燥機は、前記乾燥機内のガスを前記第2熱交換器と前記焼却炉とに供給する、請求項1に記載の焼却システム。
【請求項3】
更に、第3熱交換器を備え、
前記送風機は、前記第2熱交換器により昇温された前記第2空気を前記第3熱交換器に移送し、
前記第3熱交換器は、前記第2熱交換器により昇温された前記第2空気により流体を昇温し、昇温された前記流体を前記乾燥機に供給し、前記第2空気を前記焼却炉に供給し、
前記乾燥機は、前記第3熱交換器により昇温された前記流体の熱エネルギーにより前記被処理物を乾燥し、前記乾燥機内のガスを前記焼却炉に供給する、請求項2に記載の焼却システム。
【請求項4】
前記移送部は、第2コンプレッサ及び第2タービンを有する第2過給機を有し、
前記第2熱交換器は、前記第2コンプレッサによって圧縮された前記第2空気を昇温し、昇温された前記第2空気を前記第2タービンに供給し、
前記第2タービンは、前記第2熱交換器により昇温された第2空気を他の機器に移送する、請求項1に記載の焼却システム。
【請求項5】
前記第2タービンは、前記第2熱交換器により昇温された前記第2空気を前記乾燥機に移送し、
前記乾燥機は、前記第2タービンから移送された前記第2空気の熱エネルギーにより前記被処理物を乾燥し、前記乾燥機内のガスを前記焼却炉に供給する、請求項4に記載の焼却システム。
【請求項6】
更に、第3熱交換器を備え、
前記第2タービンは、前記第2熱交換器により昇温された前記第2空気を前記第3熱交換器に移送し、
前記第3熱交換器は、前記第2熱交換器により昇温された前記第2空気により流体を昇温し、昇温された前記流体を前記乾燥機に供給し、前記第2空気を前記焼却炉に供給し、
前記乾燥機は、前記第3熱交換器により昇温された前記流体の熱エネルギーにより前記被処理物を乾燥し、前記乾燥機内のガスを前記焼却炉に供給する、請求項4に記載の焼却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下水汚泥(以下、単に汚泥または被処理物とも呼ぶ)を焼却する焼却炉では、熱交換器により焼却炉から排出される高温の排ガスから廃熱を回収する。そして、焼却炉では、回収した廃熱による昇温された燃焼用空気を用いることによって汚泥を焼却する(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-227441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記のような焼却炉では、汚泥の含水率が高い場合であっても、例えば、汚泥の焼却を補助するための燃料(以下、補助燃料とも呼ぶ)の使用量を削減して汚泥の焼却を行うことによって、コストを抑制することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における焼却システムは、被処理物を乾燥させる乾燥機と、前記乾燥機によって乾燥された前記被処理物を焼却する焼却炉と、第1コンプレッサ及び第1タービンを有する第1過給機と、前記第1コンプレッサによって圧縮された第1空気を前記焼却炉から排出された排ガスにより昇温し、昇温された前記第1空気を前記第1タービンに供給する第1熱交換器と、前記焼却炉から排出された前記排ガスにより第2空気を昇温する第2熱交換器と、前記第2熱交換器により昇温された前記第2空気を他の機器に移送する移送部と、を備え、前記乾燥機は、前記移送部により移送された前記第2空気の熱エネルギーにより前記被処理物を乾燥し、前記第1タービンは、前記第1熱交換器により昇温された前記第1空気を前記焼却炉に供給する。
【発明の効果】
【0006】
本発明における焼却システムによれば、汚泥の焼却に伴うコストを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、比較例における焼却システム900の構成例を説明する図である。
図2図2は、第1の実施の形態における焼却システム100の構成例を説明する図である。
図3図3は、第2の実施の形態における焼却システム200の構成例を説明する図である。
図4図4は、第3の実施の形態における焼却システム300の構成例を説明する図である。
図5図5は、第4の実施の形態における焼却システム400の構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0009】
[比較例における焼却システム900]
初めに、比較例における焼却システム900について説明を行う。図1は、比較例における焼却システム900の構成例を説明する図である。なお、以下に示すライン(配管)や弁の配置位置や数は例示であり、これに限られるものではない。
【0010】
焼却システム900は、図1に示すように、例えば、焼却炉1と、過給機2(以下、第1過給機2とも呼ぶ)と、流動空気予熱器3(以下、第1熱交換器3とも呼ぶ)と、流動空気予熱器4(以下、第2熱交換器4とも呼ぶ)とを有する。
【0011】
焼却炉1は、例えば、ラインL11を介して供給された汚泥を焼却する流動焼却炉である。なお、焼却炉1は流動焼却炉に限定されず、様々な形式の焼却炉で良い。例えば、焼却炉1は、ガス化炉と再燃炉との組み合わせでも良い。以下、焼却炉1を流動焼却炉として説明を行う。焼却炉1は、いわゆる流動層1aを有する。また、前記した汚泥は、脱水ケーキとも呼ばれる。
【0012】
過給機2は、回転軸2cを介して接続されたコンプレッサ2a(以下、第1コンプレッサ2aとも呼ぶ)及びタービン2b(以下、第1タービン2bとも呼ぶ)を有する。具体的に、コンプレッサ2aは、吸引した空気(以下、第1空気とも呼ぶ)を圧縮して圧縮空気を生成し、生成した圧縮空気を流動空気予熱器4に供給する。また、タービン2bは、流動空気予熱器4から供給された圧縮空気のエネルギー(換言すれば、焼却炉1から排出される廃熱量)を利用して回転軸2cを回転させる。なお、コンプレッサ2aは、タービン2bによる回転軸2cの回転に伴って駆動することにより、吸引した空気を圧縮して圧縮空気を生成し、生成した圧縮空気を流動空気予熱器4に供給する。
【0013】
流動空気予熱器3は、焼却炉1から排出された排ガスと、タービン2bから供給された圧縮空気との間において熱交換を行う。
【0014】
また、流動空気予熱器4は、流動空気予熱器3から供給された排ガスと、コンプレッサ2aから供給された圧縮空気との間において熱交換を行う。
【0015】
具体的に、流動空気予熱器4は、ラインL21を介して流動空気予熱器3から供給された排ガスを用いることによって、ラインL41を介してコンプレッサ2aから供給された圧縮空気を昇温し、ラインL42を介して昇温後の圧縮空気をタービン2bに供給する。ラインL21は、焼却炉1の出口側と流動空気予熱器3の排ガスの入口側とを連通し、流動空気予熱器3の排ガスの出口側と流動空気予熱器4の排ガスの入口側とを連通する配管である。また、ラインL41は、コンプレッサ2aの出口側と流動空気予熱器4における圧縮空気の入口側とを連通する配管である。さらに、ラインL42は、流動空気予熱器4における圧縮空気の出口側とタービン2bの入口側とを連通する配管である。そして、流動空気予熱器3は、ラインL21を介して焼却炉1から供給された排ガスを用いることによって、ラインL31を介してタービン2bから供給された圧縮空気を昇温し、ラインL32を介して昇温後の圧縮空気を焼却炉1(焼却炉1における流動層1a)に供給する。ラインL31は、タービン2bの出口側と流動空気予熱器3における圧縮空気の入口側とを連通する配管である。また、ラインL32は、流動空気予熱器3における圧縮空気の出口側と焼却炉1における圧縮空気の入口(以下、第1入口とも呼ぶ)側とを連通する配管である。
【0016】
ラインL32には、流動空気予熱器3から供給された圧縮空気の一部を、焼却炉1における流動層1aの上方に位置する層1b(以下、フリーボード層1bとも呼ぶ)に供給するバイパスL33が設けられている。バイパスL33は、タービン2bの出口下流側と焼却炉1の入口(第1入口)上流側との間の箇所においてラインL32から分岐し、焼却炉1における第1入口の上方の位置する他の入口(以下、第2入口とも呼ぶ)側とを連通する配管である。
【0017】
また、バイパスL33には、流動空気予熱器3から供給された圧縮空気の流量を調整可能な弁V1が設けられている。
【0018】
さらに、流動空気予熱器4から排出された排ガスは、例えば、白煙防止空気予熱器、スクラバ及び洗煙処理塔等を有する排ガス処理設備(図示せず)に供給される。
【0019】
具体的に、排ガス処理設備を構成する白煙防止空気予熱器は、排ガス用の熱交換器であり、例えば、焼却炉1から排出された高温の排ガスのエネルギーを用いることによって、吸引した外気を昇温して白煙防止空気を生成する設備である。白煙防止空気は、煙突から放出される排ガス中の水蒸気が白煙として見えることを防止するために用いられる加熱空気である。また、排ガス処理設備を構成するスクラバは、白煙防止空気予熱器の後段に設置され、白煙防止空気予熱器から出力された排ガスの不純物を除去する設備である。さらに、排ガス処理設備を構成する排煙処理塔は、塔の下部から排ガスを導入し、上部から散水される洗煙水と接触させることによって排ガス中のSO等の成分を除去する設備である。 ここで、流動空気予熱器3では、タービン2bから供給された圧縮空気の温度を焼却炉1から排出される排ガスの温度以上に上げることができない。そのため、焼却システム900では、汚泥の含水率が高い場合(例えば、汚泥の含水率が80(%)程度である場合)であっても、タービン2bから供給された圧縮空気の温度を所望の温度(例えば汚泥の焼却に必要な温度)まで上昇させることができない場合がある。したがって、焼却システム900では、汚泥を焼却するための補助燃料が必要になり、汚泥の焼却に要するコストが増大する場合がある。以下、汚泥を焼却するための補助燃料の使用量を削減してコストを抑制する焼却システムについて説明する。
【0020】
[第1の実施の形態における焼却システム100]
次に、第1の実施の形態における焼却システム100について説明を行う。図2は、第1の実施の形態における焼却システム100の構成例を説明する図である。以下、比較例における焼却システム900と異なる点について説明を行う。
【0021】
焼却システム100は、図2に示すように、乾燥機5を有する。
【0022】
乾燥機5は、ラインL11を介して供給された汚泥を乾燥させる。そして、乾燥機5は、ラインL11を介して乾燥させた汚泥を焼却炉1に供給する。
【0023】
また、乾燥機5は、汚泥の乾燥に伴って発生した乾燥ガス(換言すれば、乾燥機5内のガス)のうちの一部を、燃焼用空気としてラインL51を介して焼却炉1に供給する。ラインL51は、乾燥機5における乾燥ガスの出口側と焼却炉1における第1入口の上方の位置する他の入口(以下、第3入口とも呼ぶ)側とを連通する配管である。さらに、乾燥機5は、汚泥の乾燥に伴って発生した乾燥ガスのうちの他の一部を、焼却炉1から排出された排ガスの熱を回収するための流体としてラインL52を介して流動空気予熱器4に供給する。具体的に、乾燥機5において発生した乾燥ガスは、例えば、ブロワB1(以下、送風機B1とも呼ぶ)によって焼却炉1と流動空気予熱器4とのそれぞれに供給される。なお、ブロワB1は、送風する機能を有する機器であれば良い。
【0024】
流動空気予熱器3は、図1で説明した焼却システム900と異なり、焼却炉1から排出された排ガスと、コンプレッサ2aから供給された圧縮空気との間において熱交換を行う。
【0025】
具体的に、流動空気予熱器3は、ラインL21を介して焼却炉1から供給された排ガスを用いることによって、ラインL35を介してタービン2bから供給された圧縮空気を昇温し、ラインL36を介して昇温後の圧縮空気をタービン2bに供給する。ラインL35は、コンプレッサ2aの出口側と流動空気予熱器3における圧縮空気の入口側とを連通する配管である。また、ラインL36は、流動空気予熱器3における圧縮空気の出口側とタービン2bの入口側とを連通する配管である。そして、タービン2bは、ラインL34を介して昇温後の圧縮空気を焼却炉1における流動層1aに供給する。ラインL34は、タービン2bの出口側と焼却炉1における圧縮空気の入口(第1入口)側とを連通する配管である。なお、図2に示すバイパスL33は、図1で説明した焼却システム900と異なり、タービン2bの出口下流側と焼却炉1の入口(第1入口)上流側との間の箇所においてラインL34から分岐する。
【0026】
また、流動空気予熱器4は、図1で説明した焼却システム900と異なり、流動空気予熱器3から供給された排ガスと、乾燥機5から供給された乾燥ガスとの間において熱交換を行う。
【0027】
具体的に、流動空気予熱器4は、ラインL21を介して流動空気予熱器3から供給された排ガスを用いることによって、ラインL52を介して乾燥機5から供給された乾燥ガス(第2空気とも呼ぶ)を昇温し、ラインL53を介して昇温後の乾燥ガスを乾燥機5に再度供給する。ラインL52は、乾燥機5における出口下流側と焼却炉1の入口上流側との間の箇所においてラインL51から分岐し、流動空気予熱器4における乾燥ガスの入口側と連通する配管である。また、ラインL53は、流動空気予熱器4における乾燥ガスの出口側と乾燥機5における乾燥ガスの入口側とを連通する配管である。
【0028】
そして、乾燥機5は、移送部10により移送された第2空気(例えば、乾燥ガス)の熱エネルギーにより、ラインL11を介して供給された汚泥の乾燥を行う。なお、図2の例では、移送部10は、ブロワB1を有し、ブロワB1が、流動空気予熱器4により昇温された第2空気を乾燥機5に移送する。以下、図2に示すように、ラインL51、ラインL52、ラインL53及びブロワB1を総称して移送部10とも呼ぶ。移送部10は、流動空気予熱器4により昇温された第2空気を他の機器(例えば、乾燥機5)に移送する。
【0029】
すなわち、本実施の形態における焼却システム100では、乾燥機5を用いることによって、ラインL11を介して供給された汚泥を乾燥させてから焼却炉1に投入する。
【0030】
これにより、本実施の形態における焼却システム100では、焼却炉1に投入される汚泥の含水率を抑えることが可能になり、補助燃料を削減、もしくは補助燃料を用いることなく汚泥の焼却を行うことが可能になる。そのため、焼却システム100では、汚泥の焼却に要するコストを抑制することが可能になる。
【0031】
また、本実施の形態における焼却システム100では、焼却炉1において、予め含水率が抑えられた状態の汚泥の焼却が行われる。そのため、本実施の形態における焼却システム100では、比較例における焼却システム900と比較した場合、過給機2(タービン2b)から焼却炉1に供給する圧縮空気の温度を抑えることが可能になる。したがって、本実施の形態における焼却システム100では、焼却炉1に供給する圧縮空気の昇温を行う流動空気予熱器の数を抑えることが可能になる。具体的に、本実施の形態における焼却システム100では、図3に示すように、例えば、1つの流動空気予熱器(流動空気予熱器3)のみによって昇温させた圧縮空気を焼却炉1に供給することが可能になる。
【0032】
なお、第1の実施の形態では、乾燥機5は、移送部10により移送された第2空気の熱エネルギーを直接利用して汚泥を乾燥させた(いわゆる直接乾燥)。しかし、焼却システムに、移送部10により移送された第2空気の熱エネルギーを回収する熱交換器を設け、乾燥機5が、熱交換器により回収された熱エネルギーにより汚泥を乾燥させても良い(いわゆる間接乾燥)。間接乾燥については、図5で詳細に説明する。
【0033】
[第2の実施の形態における焼却システム200]
次に、第2の実施の形態における焼却システム200について説明を行う。図3は、第2の実施の形態における焼却システム200の構成例を説明する図である。以下、第1の実施の形態における焼却システム100と異なる点について説明を行う。第1の実施の形態では移送部の一例として送風機(例えばブロワB1)を例示した。以下に説明する第2から第4の実施の形態では、移送部の一例として過給機を例示して説明する。この過給機は、熱交換器により回収された焼却炉1の廃熱の熱エネルギーを利用して駆動し、この過給機のタービンが、この熱交換器により昇温された高温圧縮空気を他の機器(例えば、乾燥機5等)に移送する。
【0034】
焼却システム200は、図3に示すように、過給機6(以下、第2過給機6とも呼ぶ)を有する。
【0035】
過給機6は、回転軸6cを介して接続されたコンプレッサ6a(以下、第2コンプレッサ6aとも呼ぶ)及びタービン6b(以下、第2タービン6bとも呼ぶ)を有する。具体的に、コンプレッサ6aは、吸引した空気(以下、第2空気とも呼ぶ)を圧縮して圧縮空気を生成し、生成した圧縮空気を流動空気予熱器4に供給する。また、タービン6bは、流動空気予熱器4から供給された圧縮空気のエネルギー(熱エネルギー)を利用して回転軸6cを回転させる。なお、コンプレッサ6aは、タービン6bによる回転軸6cの回転に伴って駆動することにより、吸引した空気を圧縮して圧縮空気を生成し、生成した圧縮空気を流動空気予熱器4に供給する。
【0036】
流動空気予熱器4は、ラインL21を介して流動空気予熱器3から供給された排ガスと、コンプレッサ6aから供給された圧縮空気との間において熱交換を行う。また、タービン6bは、流動空気予熱器4により昇温された高温圧縮空気を他の機器(例えば乾燥機5)に移送する。
【0037】
具体的に、流動空気予熱器4は、ラインL21を介して流動空気予熱器3から供給された排ガスを用いることによって、ラインL61を介してコンプレッサ6aから供給された圧縮空気を昇温し、ラインL62を介して昇温後の圧縮空気をタービン6bに供給する。ラインL61は、コンプレッサ6aの出口側と流動空気予熱器4における圧縮空気の入口側とを連通する配管である。また、ラインL62は、流動空気予熱器4における圧縮空気の出口側とタービン6bの入口側とを連通する配管である。
【0038】
そして、乾燥機5は、移送部10により移送された高温圧縮空気(第2空気)の熱エネルギーにより、ラインL11を介して供給された汚泥の乾燥を行う。なお、図3の例では、移送部10は、過給機6を有し、過給機6のタービン6bが、流動空気予熱器4により昇温された第2空気を乾燥機5に移送する。以下、移送部10には、過給機6、ラインL54及びラインL55が含まれるものとする。
【0039】
その後、乾燥機5は、汚泥の乾燥に伴って発生した乾燥ガスを燃焼用空気として焼却炉1に供給する。具体的に、乾燥機5は、ラインL54を介して乾燥ガスを焼却炉1におけるフリーボード層1bに供給する。ラインL54は、乾燥機5における乾燥ガスの出口側と焼却炉1における入口(第3入口)側とを連通する配管である。また、ラインL55は、タービン2bの出口側と乾燥機5における圧縮空気の入口側とを連通する配管である。
【0040】
すなわち、本実施の形態における焼却システム200では、過給機6(タービン6b)によって圧送された圧縮空気を用いることによって、ラインL11を介して供給された汚泥の乾燥を行う。
【0041】
これにより、本実施の形態における焼却システム200は、乾燥機5から排出された乾燥ガスを焼却炉1に供給するための移送手段(例えば、図2で説明したブロワB1)を設ける必要がなくなる。そのため、焼却システム200では、汚泥の焼却に要する電力の消費を抑制することが可能になる。
【0042】
また、本実施の形態における焼却システム200では、例えば、乾燥機5から排出された乾燥ガスを焼却炉1におけるフリーボード層1bに供給する。そのため、焼却システム200では、例えば、過給機2(タービン2b)によって供給された圧縮空気の一部を、焼却炉1におけるフリーボード層1bに供給するバイパス(例えば、図2で説明したバイパスL33)を設ける必要がなくなる。
【0043】
すなわち、図2で説明した焼却システム100において、焼却炉1におけるフリーボード層1bの圧力は、例えば、負圧であり、焼却炉1における流動層1aの圧力よりも小さい。そのため、焼却システム100において、バイパスL33に設けられた弁V1の開制御が行われた場合、バイパスL33を介して圧縮空気がフリーボード層1bに流入し、流動層1aに供給される圧縮空気(ラインL34における圧縮空気)の圧力が低下してエネルギー損失が発生する。これに対し、本実施の形態における焼却システム200では、焼却炉1におけるフリーボード層1bに対して圧縮空気を供給するバイパスが設けられていない。そのため、焼却システム200では、流動層1aに供給される圧縮空気におけるエネルギー損失の発生を抑制することが可能になる。
【0044】
また、本実施の形態における焼却システム200では、流動空気予熱器3と流動空気予熱器4とが直列に設けられており、流動空気予熱器3を経由した排ガスが流動空気予熱器4に供給される。そのため、流動空気予熱器4に供給される排ガスの温度は、流動空気予熱器3に供給される排ガスの温度よりも低くなる。したがって、本実施の形態における焼却システム200は、例えば、流動空気予熱器3と流動空気予熱器4とのそれぞれに対して異なる温度の排ガスを供給することが求められる場合に有効である。
【0045】
[第3の実施の形態における焼却システム300]
次に、第3の実施の形態における焼却システム300について説明を行う。図4は、第3の実施の形態における焼却システム300の構成例を説明する図である。以下、第1の実施の形態における焼却システム100及び第2の実施の形態における焼却システム200のそれぞれと異なる点について説明を行う。第1及び第2の実施の形態では、2つの流動空気予熱器を焼却炉1の排ガスのラインL21において直列に接続した例を示したが、第3及び第4の実施の形態では、焼却炉1の排ガスのラインにおいて2つの流動空気予熱器を並列に接続する例を説明する。
【0046】
焼却システム300は、図3に示すように、流動空気予熱器4に代えて流動空気予熱器7を有する。そして、焼却システム300では、流動空気予熱器3と流動空気予熱器7とが並列に設けられている。また、焼却システム300は、過給機8(以下、第2過給機8とも呼ぶ)を有する。
【0047】
焼却炉1は、例えば、焼却炉1から排出された排ガスを流動空気予熱器3と流動空気予熱器7とのそれぞれに供給する。具体的に、焼却炉1は、例えば、ラインL21を介して流動空気予熱器3に対して排ガスの一部を供給するとともに、ラインL22を介して流動空気予熱器7に対して排ガスの他の一部を供給する。ラインL21は、焼却炉1の出口側と流動空気予熱器3の排ガスの入口側とを連通する。ラインL22は、焼却炉1の出口側と流動空気予熱器7の排ガスの入口側とを連通する。図4の例では、ラインL22は、ラインL21の分岐箇所と、流動空気予熱器7の排ガスの入口側とを連通する。ラインL21の分岐箇所は、焼却炉1の出口側と流動空気予熱器3の排ガスの入口側との間である。
【0048】
過給機8は、回転軸8cを介して接続されたコンプレッサ8a(以下、第2コンプレッサ8aとも呼ぶ)及びタービン8b(第2タービン8bとも呼ぶ)を有する。具体的に、コンプレッサ8aは、吸引した空気を圧縮して圧縮空気を生成し、生成した圧縮空気を流動空気予熱器7に供給する。また、タービン8bは、流動空気予熱器7から供給された圧縮空気のエネルギーを利用して回転軸8cを回転させる。なお、コンプレッサ8aは、タービン8bによる回転軸8cの回転に伴って駆動することにより、吸引した空気を圧縮して圧縮空気を生成し、生成した圧縮空気を流動空気予熱器7に供給する。
【0049】
流動空気予熱器7は、焼却炉1から供給された排ガスと、コンプレッサ8aから供給された圧縮空気との間において熱交換を行う。また、タービン8bは、流動空気予熱器7により昇温された高温圧縮空気を他の機器(例えば乾燥機5)に移送する。
【0050】
具体的に、流動空気予熱器7は、ラインL22を介して焼却炉1から供給された排ガスを用いることによって、ラインL71を介してコンプレッサ8aから供給された圧縮空気を昇温し、ラインL72を介して昇温後の圧縮空気をタービン8bに供給する。ラインL71は、コンプレッサ8aの出口側と流動空気予熱器7における圧縮空気の入口側とを連通する配管である。また、ラインL72は、流動空気予熱器7における圧縮空気の出口側とタービン8bの入口側とを連通する配管である。
【0051】
そして、乾燥機5は、移送部10により移送された高温圧縮空気(第2空気)の熱エネルギーにより、ラインL11を介して供給された汚泥の乾燥を行う。なお、図4の例では、移送部10は、過給機8を有し、過給機8のタービン8bが、流動空気予熱器7により昇温された第2空気を乾燥機5に移送する。以下、移送部10には、過給機8、ラインL56及びラインL57が含まれるものとする。
【0052】
その後、乾燥機5は、汚泥の乾燥に伴って発生した乾燥ガスを燃焼用空気として焼却炉1に供給する。具体的に、乾燥機5は、ラインL56を介して乾燥ガスを焼却炉1に供給する。ラインL56は、乾燥機5における乾燥ガスの出口側と焼却炉1における入口(第3入口)側とを連通する配管である。また、ラインL57は、タービン8bの出口側と乾燥機5における圧縮空気の入口側とを連通する配管である。
【0053】
すなわち、本実施の形態における焼却システム300では、図3で説明した焼却システム200と同様に、過給機6(タービン6b)によって圧送された圧縮空気を用いることによって、ラインL11を介して供給された汚泥の乾燥を行う。
【0054】
これにより、本実施の形態における焼却システム300は、図3で説明した焼却システム200と同様に、乾燥機5から排出された乾燥ガスを焼却炉1に供給するための移送手段(例えば、図2で説明したブロワB1)を設ける必要がなくなる。そのため、焼却システム300では、図3で説明した焼却システム200と同様に、汚泥の焼却に要する電力の消費を抑制することが可能になる。
【0055】
なお、本実施の形態における焼却システム300では、流動空気予熱器3と流動空気予熱器7とが並列に設けられており、焼却炉1から排出された排ガスが流動空気予熱器3及び流動空気予熱器7のそれぞれに対して直接供給される。そのため、本実施の形態における焼却システム300は、例えば、流動空気予熱器3及び流動空気予熱器7とのそれぞれに対して高温の排ガスを供給することが求められる場合に有効である。
【0056】
[第4の実施の形態における焼却システム400]
次に、第4の実施の形態における焼却システム400について説明を行う。図5は、第4の実施の形態における焼却システム400の構成例を説明する図である。以下、第3の実施の形態における焼却システム300と異なる点について説明を行う。第4の実施の形態では、乾燥機5における間接乾燥の例について説明する。
【0057】
焼却システム400は、過給機8(タービン8b)から供給された圧縮空気が有する熱を回収する熱交換器9(以下、第3熱交換器9とも呼ぶ)を有する。また、タービン8bは、流動空気予熱器7により昇温された高温圧縮空気を他の機器(例えば熱交換器9)に移送する。
【0058】
熱交換器9は、過給機8から供給された圧縮空気と、乾燥機5と熱交換器9との間を循環する流体との間において熱交換を行う。流体は、例えば、例えば、気体、又は、水や熱媒油等の液体である。
【0059】
具体的に、熱交換器9は、ラインL81を介して過給機8(タービン8b)から供給された圧縮空気を用いることによって、ラインL91を介して乾燥機5から供給された流体を昇温し、ラインL92を介して昇温後の流体を乾燥機5に供給する。そして、熱交換器9は、流体の昇温に用いた後の圧縮空気を燃焼用空気として焼却炉1に供給する。具体的に、熱交換器9は、例えば、ラインL82を介して圧縮空気をフリーボード層1bに供給する。ラインL81は、タービン8bの出口側と熱交換器9における圧縮空気の入口側とを連通する配管である。また、ラインL82は、熱交換器9における圧縮空気の出口側と焼却炉1における入口(第3入口)側とを連通する配管である。また、ラインL91は、乾燥機5における流体の出口側と熱交換器9における流体の入口側とを連通する配管である。さらに、ラインL92は、熱交換器9における流体の出口側と乾燥機5における流体の入口側とを連通する配管である。
【0060】
なお、乾燥機5と熱交換器9との間における流体の循環は、例えば、ラインL92に設けられたポンプP2を用いることによって行われる。
【0061】
そして、乾燥機5は、例えば、熱交換器9から供給された流体の熱エネルギーにより、ラインL11を介して供給された汚泥の乾燥を行う。さらに、乾燥機5は、汚泥の乾燥に伴って発生した乾燥機5内の乾燥ガスを焼却炉1に供給する。具体的に、乾燥機5において発生した乾燥ガスは、例えば、ラインL56に設けられたブロワ(図示せず)によって焼却炉1に供給される。
【0062】
これにより、本実施の形態における焼却システム400では、図4で説明した焼却システム300と同様に、焼却炉1に投入される汚泥の含水率を抑えることが可能になり、補助燃料を用いることなく汚泥の焼却を行うことが可能になる。そのため、焼却システム400では、汚泥の焼却に要するコストを抑制することが可能になる。
【0063】
また、本実施の形態における焼却システム400は、図4で説明した焼却システム300と同様に、乾燥機5から排出された乾燥ガスを焼却炉1に供給するためのポンプを設ける必要がなくなる。そのため、焼却システム400では、汚泥の焼却に要する電力の消費を抑制することが可能になる。
【0064】
なお、図5に示す例では、図4で説明した焼却システム400において熱交換器9が設けられた場合について説明を行ったが、これに限られるものではない。具体的に、熱交換器9は、例えば、図2で説明した焼却システム100や、図3で説明した焼却システム200に設けられるものであってもよい。
【0065】
なお、他の機器の例として乾燥機5、熱交換器9を例示したが、他にも、発電システム等であっても良い。例えば、図3で説明した本実施の形態における焼却システム200において、ラインL54またはラインL55には、発電システム等の他の機器と接続した他のライン(以下、単に他のラインとも呼ぶ)が設けられているものであってもよい。そして、焼却システム200では、他のラインを介して乾燥ガスの一部を発電システム等に供給するものであってもよい。
【0066】
これにより、焼却システムでは、例えば、移送部(例えば、タービン2b)から供給される圧縮空気が有するエネルギーの一部を、乾燥機5における汚泥の乾燥や焼却炉1における汚泥の焼却以外の用途に用いることが可能になる。そのため、焼却システムでは、タービン2bから供給される圧縮空気が有するエネルギーをより効率的に使用することが可能になる。
【符号の説明】
【0067】
1:焼却炉 1a:流動層
2:過給機 2a:コンプレッサ
2b:タービン 2c:回転軸
3:流動空気予熱器 4:流動空気予熱器
5:乾燥機 6:過給機
6a:コンプレッサ 6b:タービン
6c:回転軸 7:流動空気予熱器
8:過給機 8a:コンプレッサ
8b:タービン 8c:回転軸
9:熱交換器 10:移送部
100:焼却システム 200:焼却システム
300:焼却システム 400:焼却システム
B1:ブロワ P2:ポンプ
L11:ライン L21:ライン
L31:ライン L32:ライン
L33:バイパス L34:ライン
L35:ライン L36:ライン
L41:ライン L42:ライン
L51:ライン L52:ライン
L53:ライン L54:ライン
L55:ライン L56:ライン
L57:ライン L61:ライン
L62:ライン L71:ライン
L72:ライン L81:ライン
L82:ライン L91:ライン
L92:ライン V1:弁
図1
図2
図3
図4
図5