(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037813
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】会議システム
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20230309BHJP
G10K 11/178 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
H04R1/10 104E
H04R1/10 101A
G10K11/178
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144601
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】久保 文人
(72)【発明者】
【氏名】安立 直也
(72)【発明者】
【氏名】辻 誠
(72)【発明者】
【氏名】平出 勝也
(72)【発明者】
【氏名】辰川 克利
【テーマコード(参考)】
5D005
5D061
【Fターム(参考)】
5D005BB08
5D061FF02
(57)【要約】
【課題】周囲に会話の音声が漏れ出にくい会議システムを提供する。
【解決手段】マイク4とスピーカ5をそれぞれ有する複数台の個人通話装置2と、会議スペースSに設置され複数台の個人通話装置2が同時にローカルネットワークにて接続可能であるハブ装置3と、を備え、ハブ装置3は、接続済みの個人通話装置2に対してのみ、相互同時通話を可能とするグループ通話網を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクとスピーカをそれぞれ有する複数台の個人通話装置と、会議スペースに設置され複数台の前記個人通話装置が同時にローカルネットワークにて接続可能であるハブ装置と、を備え、
前記ハブ装置は、接続済みの前記個人通話装置に対してのみ、相互同時通話を可能とするグループ通話網を提供することを特徴とする会議システム。
【請求項2】
前記ハブ装置は、その時点で接続されている前記個人通話装置の数を確認可能に報知する報知手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の会議システム。
【請求項3】
前記個人通話装置と前記ハブ装置とは、近距離無線通信により接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の会議システム。
【請求項4】
前記ハブ装置に接続された操作端末の設定画面において、接続を許可する前記個人通話装置を一元的に選択管理できることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の会議システム。
【請求項5】
前記ハブ装置に接続された操作端末の設定画面では、接続を許可する前記個人通話装置の選択操作を制限するロック機能を有することを特徴とする請求項に記載の会議システム。
【請求項6】
前記ハブ装置は、その時点で接続されている前記個人通話装置のスピーカから、当該ハブ装置と接続されていることを示す音声を再生させる処理を行うことができることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の会議システム。
【請求項7】
前記ハブ装置は、前記会議スペースに設置されるスピーカを有する室内音響調整システムと接続され、該室内音響調整システムは前記ハブ装置に接続された前記個人通話装置のマイクから入力された音声と逆位相の音をスピーカから出力することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の会議システム。
【請求項8】
前記室内音響調整システムは、前記会議スペースを区画する家具に取り付けられていることを特徴とする請求項7に記載の会議システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数人で会話を行う際に利用する会議システムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス、展示場、病院、店舗、工場等の様々な施設では、その施設に属する従業員や職員同士による会議が行われている。近年では、リモートワークが増え、個人での作業は自宅で行われることから、お互いが顔を合わせる貴重なタイミングである出社時は、専ら会社内部での会議が行われることが多く、小規模の会議の回数が以前よりも大きく増加している傾向がある。
【0003】
そこで、従来のように完全に部屋として区画された会議室に加えて、簡易的な仕切装置等で区画したスペースを会議スペースとして利用する(例えば特許文献1参照)場合もあれば、通常の執務用のテーブルセットが会議スペースとして利用される場合もある。特許文献1の仕切装置は、平面視矩形状の座面を有する椅子の交差する2辺に衝立パネルを設け、この椅子を4つ組み合わせることで、衝立パネルに周囲を囲まれた会議スペースを構成することができるようになっている。これによれば、普段は単体で椅子として活用しながら、必要に応じて会議スペースを仕切ることができる。また、小型であるために、衝立パネルの高さ寸法は一般的な天井よりも低く形成されており、内部の会議スペースの圧迫感が少なくなる構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-64292号公報(第7頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の仕切装置にあっては、衝立パネルが一般的な天井よりも低い高さ寸法であるため、天井と衝立パネルとの間が開放され、遮音性は低く、仕切装置の外方に会議の内容が漏れ聞こえてしまう虞があった。また、近年では、感染症対策のために飛沫防止の遮蔽物が座席同士を仕切るように設けられる場合もあり、遮蔽物を越えて声を届かせるために、必然的に声量が大きく、仕切装置の外方に会話の音声が漏れ出やすくなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、周囲に会話の音声が漏れ出にくい会議システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の会議システムは、
マイクとスピーカをそれぞれ有する複数台の個人通話装置と、会議スペースに設置され複数台の前記個人通話装置が同時にローカルネットワークにて接続可能であるハブ装置と、を備え、
前記ハブ装置は、接続済みの前記個人通話装置に対してのみ、相互同時通話を可能とするグループ通話網を提供することを特徴としている。
この特徴によれば、1の個人通話装置のマイクにて入力された音声は、同じハブ装置にローカルネットワークにて接続された他の個人通話装置とのグループ通話網により他の個人通話装置のスピーカから出力されることになる。そのため、話し手が声を小さくしても聞き手側は、各々が所持する個人通話装置のスピーカで聴き取ることができ、この会議に参加する参加者の会話の音量を全体的に下げられ、会議スペースの外部に会話の音声が漏れ出にくくなる。
【0008】
前記ハブ装置は、その時点で接続されている前記個人通話装置の数を確認可能に報知する報知手段を備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、グループ通話網を用いて会議に参加する参加者は、ハブ装置の表示や音等による報知手段によって、ハブ装置に接続されている個人通話装置の数と、会議スペース内の個人通話装置の数とを比較することで、会議スペース外でハブ装置と接続されている個人通話装置の有無を確認でき、会議内容の秘匿性を確保することができる。
【0009】
前記個人通話装置と前記ハブ装置とは、近距離無線通信により接続されることを特徴としている。
この特徴によれば、配線が邪魔にならず、会議スペースの構成に関わらずに会議システムを利用することができる。
【0010】
前記ハブ装置に接続された操作端末の設定画面において、接続を許可する前記個人通話装置を一元的に選択管理できることを特徴としている。
この特徴によれば、グループ通話網を用いた会議に参加する参加者以外が所持する個人通話装置がハブ装置に接続されることを防止でき、会議内容の秘匿性を確保することができる。
【0011】
前記ハブ装置に接続された操作端末の設定画面では、接続を許可する前記個人通話装置の選択操作を制限するロック機能を有することを特徴としている。
この特徴によれば、グループ通話網を用いた会議に参加する参加者以外が所持する個人通話装置がハブ装置に接続されることを確実に防止でき、会議内容の秘匿性を確保することができる。
【0012】
前記ハブ装置は、その時点で接続されている前記個人通話装置のスピーカから、当該ハブ装置と接続されていることを示す音声を再生させる処理を行うことができることを特徴としている。
この特徴によれば、参加者は個人通話装置のスピーカから出力される音声で、自身のいる会議スペース内のハブ装置に間違いなく接続されているか否かを確認することができる。
【0013】
前記ハブ装置は、前記会議スペースに設置されるスピーカを有する室内音響調整システムと接続され、該室内音響調整システムは前記ハブ装置に接続された前記個人通話装置のマイクから入力された音声と逆位相の音をスピーカから出力することを特徴としている。
この特徴によれば、室内音響調整システムは、ハブ装置に接続された個人通話装置のマイクで拾った参加者の音声に基づき、この音声を確実に聞こえにくくする逆位相の音をスピーカから出力することができ、会議スペースの外部で会議の音声を確実に聞き取りにくくすることができる。
【0014】
前記室内音響調整システムは、前記会議スペースを区画する家具に取り付けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、室内音響調整システムの取付けを毎回行うことなく、グループ通話網を用いた会議を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例1における会議システムが利用される会議スペースを示す図である。
【
図4】ハブ装置のブロック図を含む会議システムのイメージ図である。
【
図5】操作端末に表示される設定画面を示す図である。
【
図6】本発明の実施例2における会議システムが利用される会議スペースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る会議システムを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0017】
実施例1に係る会議システムにつき、
図1から
図5を参照して説明する。
【0018】
会議システムは、オフィス、展示場、病院、店舗、工場等の様々な施設において、会議を行う際に用いられるものであり、例えば、
図1に示されるように、執務用のテーブルTとテーブルTを挟んで両側に配置される座面C(ここではソファの座面)により区画された、会議スペースSにて利用される。
【0019】
会議システム1は、複数台の個人通話装置2(ここでは6台の個人通話装置2A~2F)と、ローカルネットワークによって個人通話装置2がそれぞれ接続されたハブ装置3と、を備えている。
図2に示されるように、個人通話装置2は、所謂首掛けのヘッドセットであり、マイク4とスピーカ5をそれぞれ有し、近距離無線規格であるBluetooth(登録商標)を通信手段として備えている。後に詳述するが、個人通話装置2とハブ装置3とは、インターネット上で接続されるものではなく、近距離無線規格によりローカルネットワーク上でクローズドなネットワークにより接続されている。スピーカ5は首掛けした状態において耳の下方に位置し、マイク4は顎の下方に位置するように設けられている。
【0020】
図3に示されるように、ハブ装置3は、箱状のケース30に各種電子部品が内蔵されて構成されている。ケース30の上面30aには複数の接続ランプ6A~6Fと、接続ボタン7、ミュートボタン8、ボリュームボタン9がそれぞれ配され、これら全てがケース30内に内蔵されたLEDにより発光可能となっている。
【0021】
ケース30には、例えばUSB等の接続ケーブル10が収納されており、ケース30の側面に形成された孔11から接続ケーブル10が引き出し可能になっている。また、ケース30の角部30bにはループ12が固定されており、このループ12を机やホワイトボードなどに設けられたフックに引っ掛けることで、ハブ装置3を吊支させることができる。
【0022】
図4に示されるように、ハブ装置3には、演算処理用の集積回路13と、集積回路13にそれぞれ接続された無線通信モジュール14A~14Fと、を備えている。無線通信モジュール14A~14Fは、Bluetooth等の近距離無線通信のモジュールであり、本実施例では6つの無線通信モジュール14A~14Fがケース30内に内蔵されている。
【0023】
また、ここでは図示しないが、前述の接続ボタン7、ミュートボタン8、ボリュームボタン9のボタンスイッチ類も集積回路13に接続されている。これら集積回路13、無線通信モジュール14A~14F等を含む電子部品は、図示しないバッテリーに接続され、バッテリーからの給電により動作するようになっている。
【0024】
個人通話装置2A~2Fは、後述するペアリングが完了すると、ケース30に内蔵された無線通信モジュール14A~14Fと、それぞれ対で接続され、音声データのやり取りが行えるようになる。
【0025】
集積回路13は、ケース30に内蔵された無線通信モジュール14A~14Fによって受信した音声、つまり個人通話装置2A~2Fのマイクから入力され、無線通信により受信した音声を、無線通信モジュール14A~14Fに接続された全ての個人通話装置2A~2Fに送信する処理を行う。
【0026】
個人通話装置2A~2Fは、対にペアリングされているハブ装置3の無線通信モジュール14A~14Fからそれぞれ受信した音声を、スピーカ5から出力する。
【0027】
このように、1の個人通話装置2のマイクにて入力された音声は、同じハブ装置3にローカルネットワークにて接続された他の個人通話装置2とのグループ通話網を介して、他の個人通話装置2のスピーカ5から出力されることになる。そのため、話し手が声を小さくしても聞き手側は、各々が所持する個人通話装置2のスピーカ5で聴き取ることができ、この会議に参加する参加者の会話の音量を全体的に下げられ、周囲に会話の音声が漏れ出にくくなる。
【0028】
また、ハブ装置3の集積回路13には接続ケーブル10が接続されており、この接続ケーブル10によりハブ装置3とPCとを接続し、データのやり取りを行うことができるようになっている。PCと接続するのは、ペアリング等のハブ装置3の設定を行う場合と、WEB会議を行う場合である。
【0029】
WEB会議を行う場合には、PC側でログインしたユーザを、ハブ装置3の下流の個人通話装置2A~2Fが共用する状態になる。集積回路13は、WEB会議の相手からの音声を、接続ケーブル10を通じてPCから受信し、無線通信モジュール14A~14Fに接続された全ての個人通話装置2A~2Fに送信する処理を行う。また、集積回路13が1の個人通話装置2A~2Fから受信した音声は、他の個人通話装置2A~2Fに送信されるとともに接続ケーブル10を通じてPCに送信される。
【0030】
次いで、ハブ装置3を用いた設定について、
図5を用いて説明する。
図5は、接続ケーブル10によってハブ装置3と接続された操作端末であるPCのディスプレイD(
図4参照)に表示される設定画面20を示す図である。設定画面20には、ハブ装置3の無線通信モジュール14A~14Fのモジュール名表示21と、各モジュール名表示21の横に表示され、当該無線通信モジュール14とペアリングする相手の端末を選択する選択表示22と、選択表示22の横に表示されペアリングの状態を示すステータス表示23と、が表示される。
【0031】
個人通話装置2A~2Fとハブ装置3をペアリングする際には、まず参加者はハブ装置3の接続ボタン7(
図3参照)を押下する。これにより、ハブ装置3の無線通信モジュール14A~14Fがペアリングの待機モードとなる。また、個人通話装置2A~2Fの各参加者は個人通話装置2A~2Fの無線通信機能をペアリングモードにしておく。
【0032】
次いで、会議に参加する複数の参加者のうち代表者は、設定画面20を用いて無線通信モジュール14A~14Fに、それぞれ1つずつ個人通話装置2A~2Fをペアリングさせる。詳しくは、各モジュール名表示21の横の選択表示22は、プルダウン表示され、その状態でペアリング待機中の個人通話装置2(ここには装置名「headset2」等として表示される)が選択可能となっている。参加者は、ペアリングさせる個人通話装置2を適宜選択し、選択表示22の横のステータス表示23を押下する。尚、代表者に限らず会議に参加する参加者がそれぞれ個人通話装置のペアリングを行ってもよい。
【0033】
ステータス表示23が押下されると、モジュール名表示21に対応する無線通信モジュール14と個人通話装置2とがそれぞれペアリングを開始する。ペアリングが開始される以前の状態では、ステータス表示23は「接続」となっており、ペアリングの進行中にはステータス表示23が「接続中」に変化する。また、ペアリングの進行中には接続ランプ6A~6Fのうち、消灯していた1つが点滅する。本実施例では、接続ランプ6A~6Fは接続ランプ6Aから順に点灯する構成であり、接続ランプ6A~6Fの上部に示される数字1~6で、その時点で点灯している数を確認することができる。
【0034】
ペアリングが完了するとステータス表示23は「完了」に変化する。また、ペアリングが完了すると、点滅していた接続ランプ6A~6Fのうちの1つが点灯に変化する。
【0035】
また、ハブ装置3には、当該ハブ装置を示す情報、例えば「会議スペース5のハブ装置」等の当該ハブ装置が設置されている場所を区別できるように設定した名称や、ハブ装置の識別情報等を、音声メッセージとして記録媒体に記憶しておき、ペアリングが完了した個人通話装置2のスピーカ5から、当該ハブ装置を示す情報を示す音声メッセージを再生させる処理を行う。これによれば、参加者は個人通話装置2のスピーカ5から出力される音声で、自身の所持する個人通話装置2が自身のいる会議スペースS内のハブ装置3に間違いなく接続されているか否かを確認することができる。加えて、当該ハブ装置を示す情報が音声メッセージであることで、個人通話装置の仕様による対応可否の制限を受けない。
【0036】
尚、ハブ装置3は、ペアリングが完了するごとにペアリングが完了した個人通話装置2のスピーカ5から当該ハブ装置を示す情報の音声メッセージを再生させる構成に限らず、例えば、ハブ装置3に物理的な確認ボタンを設け、この確認ボタンが押下されたことに基づき、その時点でペアリングが完了した個人通話装置2のスピーカ5から音声メッセージを再生させる構成であってもよい。
【0037】
また、設定画面20にはパスワードの入力ボックス24と、ロックボタン25が表示されている。参加者は予めパスワードを設定しておき、入力ボックス24に当該パスワードを入れ、ロックボタン25を選択する。ハブ装置3は、入力されたパスワードが正しい場合には、その時点のペアリング状況の変更を不能にする(ロック機能)。ペアリング状況の変更が必要な際にロックを解錠するためには、入力ボックス24に再度正しいパスワードを入力し、ロックボタン25を選択する。尚、ロック状態においては、ハブ装置3の接続ボタン7が押下されても、ハブ装置3の無線通信モジュール14A~14Fがペアリングの待機モードになることがない。
【0038】
以上説明したように、ハブ装置3は、接続された個人通話装置2に対してのみ、当該ハブ装置3に接続された全個人通話装置2による相互同時通話を可能とするローカルネットワークで構成されるグループ通話網を提供するようになっている。言い換えると、同じローカルネットワークに接続されていない個人通話装置2には、グループ通話網の提供が行われないため、会議内容の秘匿性を確保することができる。
【0039】
また、ハブ装置3は、接続ランプ6A~6F(報知手段)によって、その時点で当該ハブ装置3に接続されている個人通話装置2の数を確認することができる。これによれば、グループ通話網を用いて会議に参加する参加者は、ハブ装置3に接続されている個人通話装置2の数と、会議スペースS内の個人通話装置2の実際の数とを比較することで、会議スペースS外でハブ装置3と接続されている個人通話装置2の有無を確認でき、会議内容の秘匿性を確保することができる。
【0040】
また、個人通話装置2とハブ装置3とは、近距離無線通信により接続されるため、配線が邪魔にならず、会議スペースSの構成に関わらずに会議システム1を利用することができる。
【0041】
また、ハブ装置3に接続されたPCの設定画面20では、接続を許可する個人通話装置2を一元的に選択管理できるようになっており、グループ通話網を用いた会議に参加する参加者以外が所持する個人通話装置2がハブ装置に接続されることを防止でき、会議内容の秘匿性を確保することができる。
【0042】
ハブ装置3に接続されたPCの設定画面20では、パスワードの入力ボックス24と、ロックボタン25によって構成される、その時点のペアリング状況の変更を不能にする、つまり接続を許可する個人通話装置2の選択操作を制限するロック機能を有している。これによれば、グループ通話網を用いた会議に参加する参加者以外が所持する個人通話装置2がハブ装置3に接続されることを確実に防止でき、会議内容の秘匿性を確保することができる。
【0043】
また、ハブ装置3のボリュームボタン9を操作することで、ハブ装置3に接続された全ての個人通話装置2のスピーカ5から出力される音量を一斉に操作することができる。例えば、グループ通話網を用いた会議に参加している参加者の一人がグループ通話網の音量が大きいと感じた場合には、このボリュームボタン9を操作して、会議スペースSからの音漏れを抑制することができる。
【0044】
また、ハブ装置3のミュートボタン8を操作することで、ハブ装置3に接続された全ての個人通話装置2のマイク4から入力された音声がスピーカ5から出力されなくなり、WEB会議の場合には遠隔地に送られなくなる。これによれば、ハウリングの発生等でグループ通話網の音声を不快に感じた場合や、グループ通話網の音量が大きいと感じた場合に一時的にマイク4を無効にすることができる。
室内音響調整システム35は、スピーカから機器の周囲に広く上記した逆位相の音を出力する。これによれば、会議スペースSからその外部、ここではパーティション34の上端と天井との間から外部に漏れ出た会議の音声に、逆位相の音が重ねられることで消音され、会議スペースSの外部では、会議スペースS内部の音声を聞き取りにくくすることができる。尚、室内音響調整システム35は、装置の周囲の音を集音するマイクを備えて、集音した音声の逆位相の音を生成する構成でもよいが、本実施例のように個人通話装置2のマイク4の音に基づいて逆位相の音を生成する構成とする方が、余計なノイズに邪魔されずに正確にマイク4に入力された音声と逆位相の音を生成することができる。
また、室内音響調整システム35は会議スペースSを区画する家具に取付けられているため、取付作業を毎回行うことなく、グループ通話網を用いた会議を行うことができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例において、ハブ装置3と個人通話装置2とは近距離無線規格の通信手段を用いて接続されているが、これに限らず、ハブ装置3と個人通話装置2とはLANケーブルやUSBケーブル等の有線で接続される構成でもよい。
また、設定画面20には、既にペアリングが完了しているものはそのままで、ペアリングが完了していない無線通信モジュール14を単体でペアリング開始できる追加接続ボタンを設けてもよい。尚、ハブ装置3に同様の機能の物理的な追加接続ボタンを設けても良い。
また、ハブ装置3は可搬型に限らず、テーブルや椅子、ホワイトボード、パーティション等の家具に内蔵される構成であってもよく、これによれば、参加者は会議スペースSに個人通話装置2を持参するだけで、グループ通話網を用いた会議を行うことができる。
また、前記実施例では、接続ランプ6A~6Fは接続ランプ6Aから順に点灯する構成であり、接続ランプ6A~6Fの上部に示される数字1~6で、その時点で点灯している数を確認することができる構成であるが、これに限らず、無線通信モジュール14A~14Fと接続ランプ6A~6Fとがそれぞれ対になっており、ペアリングが完了した無線通信モジュール14A~14Fに対応する接続ランプ6A~6Fが点灯する構成としてもよい。
また、その時点でハブ装置3に接続されている個人通話装置2の数を確認可能に報知する報知手段としては、接続ランプ6A~6Fのようなランプに限らず、例えば音声によって報知する構成であってもよい。
また、ハブ装置3は、接続された個人通話装置2の周りの音を集音して、当該個人通話装置2のスピーカから出力する外音取り込み機能を有していてもよく、この機能を物理的なボタンによってオン・オフ操作できるようにしてもよい。この機能を用いることで、インナーイヤー型やカナル型などの耳に装着するタイプの個人通話装置を利用する際に、耳が塞がれて自分の話す声がこもって聞こえる現象を解消でき、快適に会話することができる。
また、ハブ装置3は、接続された個人通話装置2のマイク近くの発話者の声を収音しながら、一定音量以下の雑音をカットするとともに、発話者の発言状態を認識して自動で他の個人通話装置2のマイクをミュート・解除することで発話者の音声の品質を維持したまま、雑音をカットできる機能を有していてもよく、この機能を物理的なボタンによってオン・オフ操作できるようにしてもよい。