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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037865
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】潤滑油組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 169/04 20060101AFI20230309BHJP
   C10M 155/02 20060101ALI20230309BHJP
   C10M 145/14 20060101ALI20230309BHJP
   C10M 137/02 20060101ALI20230309BHJP
   C10M 137/04 20060101ALI20230309BHJP
   C10M 137/12 20060101ALI20230309BHJP
   C10M 137/10 20060101ALI20230309BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20230309BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20230309BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20230309BHJP
   C10N 30/18 20060101ALN20230309BHJP
【FI】
C10M169/04 ZHV
C10M155/02
C10M145/14
C10M137/02
C10M137/04
C10M137/12
C10M137/10
C10N40:04
C10N30:00 Z
C10N30:06
C10N30:18
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144668
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】517157134
【氏名又は名称】EMGルブリカンツ合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 由加里
(72)【発明者】
【氏名】森田 美穂
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 康
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BA02A
4H104BA04A
4H104BA07A
4H104BB33A
4H104BB34A
4H104BB41A
4H104BH02C
4H104BH03A
4H104BH03C
4H104BH06C
4H104BH11C
4H104CA04A
4H104CB08C
4H104CB14A
4H104CJ02A
4H104CJ02C
4H104DA02A
4H104EA03A
4H104EA06A
4H104EB07
4H104LA03
4H104LA09
4H104LA20
4H104PA02
4H104PA03
(57)【要約】
【課題】
本発明は潤滑油組成物の40℃の動粘度を7mm/s以上かつ20mm/s以下にまで低粘度化しても、耐摩耗性、耐焼付き性、ギヤ疲労耐性、及びベアリング疲労耐性等の部品保護性能に優れ、高い電気絶縁性(高い体積抵抗率)を有し、さらに消泡性が改良された潤滑油組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
(A)潤滑油基油、(B)粘度指数向上剤、(C)リン系極圧剤、及び(D)消泡剤を含む潤滑油組成物において、前記(B)粘度指数向上剤の重量平均分子量(Mw)が10,000~100,000であり、
前記(D)消泡剤が、重量平均分子量(Mw)1,000~50,000を有し、フッ素原子とケイ素原子の質量比(F/Si)0.5~3.0を有するフッ素化シリコーンであり
及び、前記潤滑油組成物の40℃動粘度7.0~20.0mm/s、リン含有量が200~1000質量ppmであることを特徴とする、前記潤滑油組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)潤滑油基油、(B)粘度指数向上剤、(C)リン系極圧剤、及び(D)消泡剤を含む潤滑油組成物において、前記(B)粘度指数向上剤の重量平均分子量(Mw)が10,000~100,000であり、
前記(D)消泡剤が、重量平均分子量(Mw)1,000~50,000を有し、フッ素原子とケイ素原子の質量比(F/Si)0.5~3.0を有するフッ素化シリコーンであり
及び、前記潤滑油組成物の40℃動粘度7.0~20.0mm/s、リン含有量が200~1000質量ppmであることを特徴とする、前記潤滑油組成物。
【請求項2】
前記(A)潤滑油基油が100℃における動粘度1~4.5mm/sを有する、請求項1記載の潤滑油組成物。
【請求項3】
前記(B)粘度指数向上剤が、メタクリル酸エステルを有する重合体又はエチレン-α-オレフィン共重合体の少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1又は2記載の潤滑油組成物。
【請求項4】
前記(C)リン系極圧剤が、亜リン酸エステル、ホスホン酸エステル、チオ亜リン酸エステル、及び炭素数8~30のアルキル基を有する酸性リン酸エステル又は酸性チオリン酸エステルから選ばれる少なくとも1である、請求項1~3のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
【請求項5】
前記フッ素化シリコーンが25℃における密度0.80以上1.40以下を有する、請求項1~4のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
【請求項6】
前記フッ素化シリコーンが、-C2y+1で表されるパーフルオロアルキル基(前記においてyは1~14の整数である)を有するオルガノポリシロキサンであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
【請求項7】
さらに(E)重量平均分子量(Mw)1500~10000を有する、ポリイソブテニルコハク酸イミドのホウ素化物を含む、請求項1~6のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
【請求項8】
さらに(F)硫黄系極圧剤を含む、請求項1~7のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
【請求項9】
さらに(G)金属清浄剤を含む、請求項1~8のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
【請求項10】
前記潤滑油組成物中のホウ素含有量が25~150質量ppmであることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
【請求項11】
前記潤滑油組成物中の硫黄含有量が100~1000質量ppmであることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
【請求項12】
ハイブリッド自動車用である、請求項1~11のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
【請求項13】
電気自動車用である、請求項1~11のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
【請求項14】
燃料電池自動車用である、請求項1~11のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
【請求項15】
変速機油用である、請求項1~14のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
【請求項16】
ギヤ油用である、請求項1~14のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
【請求項17】
トランスアクスル油用である、請求項1~14のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は潤滑油組成物、特に、自動車用として適用できる潤滑油組成物、より好適にはハイブリッド自動車、電気自動車又は燃料電池自動車に使用される潤滑油組成物、さらに好適にはこれらの自動車のギヤ油、変速機油又はトランスアクスル油として使用できる潤滑油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑油組成物は自動車用及び機械用など多岐の用途に使用されている。近年、自動車用潤滑油組成物の低粘度化が、省燃費化の観点から求められている。しかし潤滑油組成物の低粘度化は油膜形成能に影響を及ぼす。低粘度化は、本来省燃費を実現させるためのものであるが、従来の潤滑油組成物として使用されたものをそのまま低粘度化しても、油膜形成能に劣るため、かえって摩擦が高くなることによって、省燃費を実現できなくなる場合がある。また、低粘度化によって、油膜形成能が低下すると、金属同士の直接的な接触が起こる結果、十分な潤滑がおこなわれなくなり、その結果として摩耗が激しくなるため、潤滑油組成物としての機能を十分に果たさなくなる。
【0003】
自動車用潤滑油組成物は、近年ハイブリッド自動車、電気自動車又は燃料電池自動車に使用されることがあり、その場合は低粘度化による省燃費化だけでなく、耐摩耗性、耐焼付き性、高度なギヤ疲労特性、高度なベアリング疲労特性、低摩擦特性、及び高い電気絶縁性(高い体積抵抗率)が求められる。さらに自動車用部材に対する潤滑油の適合性も求められる。従前に使用されている潤滑油組成物を単に低粘度化しても、これらの特性を確保することは極めて困難である。仮に、上記の物性値を満たしたとしても、消泡性が十分ではない場合もあり、すべての物性値を両立させることはさらに困難となる。
【0004】
特許文献1には、潤滑油基油と、金属清浄剤、特定のリン系極圧剤、硫黄系極圧剤、特定構造のコハク酸イミド、有機摩擦調整剤を有する低粘度の潤滑油組成物が記載されており、耐摩耗性、耐焼付き性、高度なギヤ疲労特性、高度なベアリング疲労特性、低摩擦特性、及び高い電気絶縁性(高い体積抵抗率)を有することが記載されている。しかし、消泡性も両立させることについての記載も示唆もない。
特許文献2には、潤滑油基油と、重合性不飽和結合を有するエステル単量体とα-オレフィンとの共重合体と、構成元素としてリン、硫黄及びホウ素を含む性能添加剤とを含有する潤滑油組成物が記載されており、耐摩耗性、耐焼付き性、及び省燃費性に優れることが記載されている。特許文献3には、100℃における動粘度が1.0mm/s以上3.0mm/s以下である潤滑油基油と、構成元素としてリン、硫黄及びホウ素を含む性能添加剤と、ポリアルキルコハク酸イミド及びポリアルケニルコハク酸イミドからなる群より選ばれる少なくとも1種のコハク酸イミド化合物と、重合性不飽和結合を有するエステル単量体とα-オレフィンとの共重合体とを含有する潤滑油組成物が記載されており、該潤滑油組成物は消泡性、耐摩耗性、耐焼付き性、及び省燃費性に優れると記載されている。特許文献4は、基油として特定性状を有するワックス異性化基油及び/又はポリアルファオレフィンを用い、さらに特定の摩擦調整剤、硫黄系極圧剤、及び非ホウ酸変性分散剤を組合せることにより、低粘度化による高い省燃費性、ユニット部材耐久性、及び経済性を満足する潤滑油組成物を提供することを記載している。しかしこれらの特許文献2ないし4はいずれも、高い電気絶縁性(高い体積抵抗率)については全く言及していない。
【0005】
特許文献5には、100℃の動粘度が2~2.5mm/sである鉱油に、特定構造の粘度指数向上剤を使用することによって、高い粘度指数を有する潤滑油組成物が開示されている。しかし、該特許文献4に記載の潤滑油組成物は100℃の動粘度4mm/s以上を有するものであり、また添加剤処方は一般的な添加剤が記載されているのみであり詳細な記載はない。
一方、潤滑油組成物の40℃の動粘度を10mm/s以下とすると、摩耗の面で必ずしも良い結果が得られないことを本出願人の発明者らは見出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-041055号公報
【特許文献2】特開2016-190918号公報
【特許文献3】特開2016-190919号公報
【特許文献4】特開2017-137393号公報
【特許文献5】特開2017-155193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、潤滑油組成物の40℃の動粘度を7mm/s以上かつ20mm/s以下にまで低粘度化しても、耐摩耗性、耐焼付き性、ギヤ疲労耐性、及びベアリング疲労耐性等の部品保護性能に優れ、高い電気絶縁性(高い体積抵抗率)を有し、さらに消泡性が改良された潤滑油組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、潤滑油基油、粘度指数向上剤、及びリン系極圧剤を含み、及び消泡剤として特定のフッ素化シリコーンを含有し、特定のリン含有量を有する潤滑油組成物が、低粘度化しても耐摩耗性、ギヤ疲労耐性、及びベアリング疲労耐性等の部品保護性能に優れ、高い体積抵抗率を有し、且つ、耐焼付き性に優れ、さらには消泡性にも優れる潤滑油組成物を提供できることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)潤滑油基油、(B)粘度指数向上剤、(C)リン系極圧剤、及び(D)消泡剤を含む潤滑油組成物において、前記(B)粘度指数向上剤の重量平均分子量(Mw)が10,000~100,000であり、
前記(D)消泡剤が、重量平均分子量(Mw)1,000~50,000を有し、フッ素原子とケイ素原子の質量比(F/Si)0.5~3.0を有するフッ素化シリコーンであり
及び、前記潤滑油組成物の40℃動粘度7.0~20.0mm/s、リン含有量が200~1000質量ppmであることを特徴とする、前記潤滑油組成物を提供する。
【0010】
本発明の好ましい態様は、以下の(1)~(16)から選ばれる少なくとも1の特徴を有する。
(1)前記(A)潤滑油基油が100℃における動粘度1~4.5mm/sを有する
(2)前記(B)粘度指数向上剤が、メタクリル酸エステルを有する重合体又はエチレン-α-オレフィン共重合体の少なくとも1種である
(3)前記(C)リン系極圧剤が、亜リン酸エステル、チオ亜リン酸エステル、及びホスホン酸エステルから選ばれる1以上、炭素数8~30のアルキル基を有する酸性リン酸エステル又は酸性チオリン酸エステルのいずれかを含む
(4)前記フッ素化シリコーンが25℃における密度0.80以上1.40以下を有する
(5)前記フッ素化シリコーンが、-C2y+1で表されるパーフルオロアルキル基(前記においてyは1~14の整数である)を有するオルガノポリシロキサンである。
(6)さらに、(E)重量平均分子量(Mw)1500~10000を有する、ポリイソブテニルコハク酸イミドのホウ素化物を含む
(7)さらに、(F)硫黄系極圧剤を含む
(8)さらに、(G)金属清浄剤を含む
(9)潤滑油組成物中のホウ素含有量が25~150質量ppmである
(10)潤滑油組成物中の硫黄含有量が100~1000質量ppmである
(11)ハイブリッド自動車用である
(12)電気自動車用である
(13)燃料電池自動車用である
(14)変速機油用である
(15)ギヤ油用である
(16)トランスアクスル油用である
【発明の効果】
【0011】
本発明の潤滑油組成物は、40℃における動粘度7~20mm/sという低粘度条件下において、耐摩耗性及びベアリング特性等の部品保護性能に優れ、且つ、高い電気絶縁性(高い体積抵抗率)を有し、材料適合性にも優れ、さらに消泡性が改良される。特に、耐焼き付性の指標となるリングオン試験において良好な結果が得られ、信頼性が高い。従って、ハイブリッド自動車、電気自動車、及び燃料電池自動車用の変速機、ギヤ油又はトランスアクスル油として好適に利用される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の潤滑油組成物は40℃における動粘度(KV40)が7~20mm/sである。該KV40の下限値は、好ましくは10mm/s、より好ましくは10.5mm/s、よりさらに好ましくは11mm/sであり、上限値は好ましくは18mm/s、より好ましくは16mm/s、さらに好ましくは14mm/sである。上限値を超えると粘度が高くなりすぎて、省燃費性能に寄与しないし、下限値を下回ると摩耗特性が悪くなる可能性がある。
【0013】
(A)潤滑油基油
本発明における潤滑油基油は特に限定されることはなく、潤滑油基油として従来公知のものが使用できる。潤滑油基油としては、鉱油系基油、合成系基油、及びこれらの混合基油が挙げられる。
【0014】
鉱油系基油の製法は限定されるものではない。鉱油系基油としては、水素化精製油、触媒異性化油などに溶剤脱蝋または水素化脱蝋、水素化分解、ワックス異性化などの処理を施した高度に精製されたパラフィン系鉱油(高粘度指数鉱油系潤滑油基油)が好ましい。また、上記以外の鉱油系基油としては、例えば、潤滑油原料をフェノール、フルフラールなどの芳香族抽出溶剤を用いた溶剤精製により得られるラフィネート、シリカ-アルミナを担体とするコバルト、モリブデンなどの水素化処理触媒を用いた水素化処理により得られる水素化処理油などが挙げられる。例えば、60ニュートラル油、100ニュートラル油、150ニュートラル油、500ニュートラル油などを挙げることができる。
【0015】
合成系基油としては、例えば、メタン等の天然ガスからフィッシャー・トロプシュ合成で得られたワックス等の原料を水素化分解処理及び水素化異性化処理して得られる基油(いわゆるフィッシャー・トロプシュ由来基油、GTL基油)、ポリ-α-オレフィン基油、ポリブテン、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、ポリグリコールエステル、モノエステル、二塩基酸エステル、リン酸エステル、及び、シリコン油などを挙げることができる。なお、ポリ-α-オレフィン(PAO)基油は、特に制限されるものではないが、例えば1-オクテンオリゴマー、1-デセンオリゴマー、エチレン-プロピレンオリゴマー、イソブテンオリゴマー並びにこれらの水素化物を使用できる。モノエステルとしては、2-エチルヘキシルラウレートを使用できる。
【0016】
潤滑油基油は、上記の鉱油系基油、上記の合成系基油、又はそれらの組合せから選択される限り、1種単独でも良いし、2種以上の併用であってもよい。2種以上の潤滑油基油を併用する場合は、鉱油系基油同士、合成系基油同士、または鉱油系基油と合成系基油の組合せであってよく、その態様は限定されない。
【0017】
潤滑油基油の動粘度は、本発明の要旨を損なわない限り制限されることはない。特には、上述した低粘度を有する潤滑油組成物を得るためには、潤滑油基油全体が100℃における動粘度1~4.5mm/sを有することが好ましく、さらに好ましくは1.5~4.0mm/s、一層好ましくは2.0~3.5mm/s、最も好ましくは2.2~3.0mm/sを有するのがよい。潤滑油基油の100℃における動粘度が前記上限値超であると、潤滑油組成物の低粘度化を図ることが困難となり、省燃費性を達成することが困難となる可能性がある。また100℃における動粘度が前記下限値未満であると、省燃費性は達成できるが、摩耗特性に悪影響を及ぼすことがある。
【0018】
(B)粘度指数向上剤
本発明の潤滑油組成物は粘度指数向上剤を必須に有する。本発明において粘度指数向上剤は、重量平均分子量10,000~100,000を有することを特徴とする。好ましくは15,000~80,000であり、より好ましくは20,000~80,000であり、さらに好ましくは25,000超~80,000であり、さらに好ましくは28,000超~80,000であり、さらに好ましくは30,000~50,000である。重量平均分子量が上記下限値未満であると、得られる潤滑油組成物の耐熱焼付性が悪くなる恐れがあり、上記上限値超えでは潤滑油組成物中の40℃の動粘度が高くなる傾向となり、省燃費性に寄与することが困難となる。
なお、粘度指数向上剤の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィ)を用いて、以下の条件により測定し、ポリスチレン換算したものである。
装置 :「HLC-802A」[東ソー(株)製]
カラム :「TSK gel GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量 :100μl
検出装置 :屈折率検出器
【0019】
粘度指数向上剤としては、上記範囲にある重量平均分子量を有ればよく、従来公知の粘度指数向上剤から適宜選択することができる。例えば、各種メタクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上のモノマーの重合体又は共重合体、若しくはその水添物などの、いわゆる非分散型粘度指数向上剤、又は、さらに窒素化合物を含む各種メタクリル酸エステルを共重合させたいわゆる分散型粘度指数向上剤、非分散型又は分散型エチレン-α-オレフィン共重合体(α-オレフィンとしてはプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン等が例示できる)、若しくはその水素化物、ポリイソブチレン若しくはその水添物、スチレン-ジエン共重合体の水素化物、及びポリアルキルスチレン等が挙げられるが、メタクリル酸エステルを有する重合体(PMA)、エチレン-α-オレフィン共重合体が好ましく、メタクリル酸エステルを有する重合体(PMA)が最も好ましい。潤滑油組成物中の粘度指数向上剤の添加量は、限定されることはないが、0.1~15質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましく、2~8質量%がさらに好ましく、3~7質量%が最も好ましい。
【0020】
(C)リン系極圧剤
リン系極圧剤は、限定されることはないが、リン系極圧剤として、リン原子とともに硫黄原子を含む化合物も使用することができ、その種類も限定されることはない。リン系極圧剤としては、亜リン酸エステル、チオ亜リン酸エステル及びホスホン酸エステルから選ばれる1以上を有するか、炭素数8~30のアルキル基を有する酸性リン酸エステル又は酸性チオリン酸エステルを有することが好ましい。
【0021】
亜リン酸エステル又はホスホン酸エステルは、特に限定されることはない。例えば、亜リン酸エステルは、以下の構造で示される。
(RO)P(=X)(OX)2-bH (2)
(RX)―P (3)
上記式(2)及び(3)において、bは1又は2であり、R及びRは、炭化水素残基、Xは独立して酸素原子または硫黄原子であり、かつ少なくとも1つは酸素原子である。硫黄原子が含まれる場合は、チオ亜リン酸エステルとなる。上記式(2)及び(3)において、R及びRは、炭化水素残基であれば限定されることはないが、炭素数4~30のアルキル基であることが好ましく、炭素数4~20のアルキル基であることがより好ましく、炭素数4~18のアルキル基であることが最も好ましい。
【0022】
ホスホン酸エステルは、下記式で表される。
(RX)(RX)(R)P(=X) (4)
式(4)において、R及びRは、互いに独立に、水素原子又は一価の炭化水素基であり、R及びRの少なくとも一方は一価の炭化水素基であり、Rは一価の炭化水素基であり、Xは独立して酸素原子または硫黄原子であり、かつ少なくとも1つは酸素原子である。硫黄原子が含まれる場合は、ホスホン酸チオエステルとなる。式(4)におけるR、R及びRは、前記の条件を満たす限り限定されることはないが、R及びRは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~30の一価炭化水素基であり、R及びRの少なくとも一方は炭素数1~30の一価炭化水素基であり、Rは炭素数1~30の一価炭化水素基であることが好ましく、R、R及びRのうちいずれかが炭素数4~30の一価炭化水素基であることがより好ましい。R及びRのうちいずれかは好ましくは炭素数1~30のアルキル基であり、より好ましくは炭素数2~20のアルキル基、特には炭素数4~20のアルキル基であるのがよい。また、別の好ましい態様としては、R及びRが共に炭素数1~30のアルキル基であり、より好ましくはR及びRが共に炭素数2~20のアルキル基、特には炭素数4~20のアルキル基であるのがよい。
【0023】
酸性リン酸エステルは(RX)P(=X)(XH)3-a で表される。Xは独立して酸素原子または硫黄原子であり、かつ少なくとも1つは酸素原子である。硫黄原子が含まれる場合は、酸性チオリン酸エステルとなる。前記式においてa=1又は2であり、aが異なる値である化合物の混合物として使用することもできる。上記式において、Rは互いに独立に炭素数8~30のアルキル基である。炭素数8~30のアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。Rは好ましくは炭素数11~20のアルキル基であり、より好ましくは炭素数12~20のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数12~18のアルキル基である。
【0024】
アルキル基の炭素数が少なすぎると、摩耗が促進される可能性がある。なお、上記の酸性リン酸エステルは、そのアミン塩を使用してもよい。したがって、上記Xがすべて酸素原子である場合は、酸性リン酸エステルのアミン塩、上記Xの一部に硫黄原子が含まれる場合は、酸性チオリン酸エステルのアミン塩を使用することができる。
【0025】
潤滑油組成物中に占めるリン系極圧剤のリン含有量は限定的ではないが、好ましくは200~1000ppmであり、より好ましくは250~900ppmであり、最も好ましくは280~600ppmである。なお、リン系極圧剤に硫黄原子が含まれる場合、硫黄含有量は限定的ではないが、好ましくは200~1000ppmであり、より好ましくは250~900ppmであり、最も好ましくは280~600ppmである。
【0026】
(D)消泡剤
本発明は、重量平均分子量(Mw)が1,000~50,000であり、フッ素原子とケイ素原子の質量比(F/Si)が0.5~3.0であるフッ素化シリコーンを消泡剤として用いることを特徴とする。フッ素化シリコーンは、フッ素原子とケイ素原子を有し、及び、炭化水素基として例えばアルキル基を有する。該フッ素化シリコーンとしては、パーフルオロアルキル基やパーフルオロオキシアルキレン基等を有するオルガノポリシロキサンが好ましい。フッ素原子を有さないオルガノポリシロキサンでは消泡性能を初期から長期にわたり確保することができない。
【0027】
フッ素化シリコーンは、重量平均分子量(Mw)1,000~50,000を有することを特徴とし、好ましくは2,000~30,000であり、より好ましくは3,000~8,000を有する。重量平均分子量が上記下限値未満では長期の消泡性能を確保することができず、上記上限値超ではスラッジが発生する恐れがある。なお、本発明において重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量である。
【0028】
フッ素化シリコーンはフッ素原子とケイ素原子の質量比(F/Si)が0.5~3.0である。好ましくは0.8~2.5であり、より好ましくは0.9~2.2である。フッ素原子とケイ素原子の質量比が上記範囲内にあることにより、長期の消泡性能を確保することができる。フッ素化シリコーンの25℃における密度は、限定的ではないが、0.80以上1.40以下が好ましく、0.83以上1.40以下がより好ましく、1.00以上1.40以下がさらに好ましく、1.10以上1.30以下が一層好ましい。
【0029】
上記フッ素化シリコーンの構造は上述した重量平均分子量、フッ素原子とケイ素原子の質量比(F/Si)、及び25℃における密度を有するものであればよい。フッ素化シリコーンとして好ましくは、-C2y+1で表されるパーフルオロアルキル基(前記において、yは1~14の整数である)を有するパーフルオロアルキル変性オルガノポリシロキサンである。より詳細には、下記式(1)で表されるパーフルオロアルキル変性オルガノポリシロキサンが好ましい。
【0030】
【化1】
上記式(1)において、Rは互いに独立に、水素原子又は炭素数1~10、好ましくは1~6の一価炭化水素基である。メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、ビニル基、及びアリル基などのアルケニル基、フェニル基などのアリール基等が挙げられるが、メチル基が好ましく、すべてのRがメチル基であるのがよい。Rfは-C2y+1で表されるパーフルオロアルキル基であり、直鎖状であっても分岐状であってもよいが、直鎖状が好適である。xは1~6の整数であり、好ましくは1~3の整数であり、yは1~14の整数であり、好ましくは1~8の整数であり、より好ましくは1~6の整数である。
【0031】
上記式(1)において、m及びnは繰り返し単位の比率を示し、mとnの比がm:n=95:5~0:100である整数であり、該パーフルオロアルキル変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量(Mw)が1,000~50,000、好ましくは2,000~30,000、より好ましくは3,000~8,000となり、且つ、フッ素原子とケイ素原子の質量比(F/Si)が0.5~3.0であり、好ましくは0.8~2.5、より好ましくは0.9~2.2となる値である。好ましくはm:n=70:30~0:100であり、より好ましくはm:n=50:50~0:100であるのがよい。
【0032】
潤滑油組成物中の消泡剤の量は、組成物の全質量に対してケイ素原子量として、1~50質量ppmであり、好ましくは2~30質量ppmであり、より好ましくは3~20質量ppmである。
【0033】
好ましくは、潤滑油組成物の製造において、上記(D)パーフルオロアルキル変性オルガノポリシロキサンを、特定溶媒に溶解又は分散し、消泡剤溶液又は消泡剤分散液を調製するのがよい。(D)成分を溶解又は分散する特定溶媒は、溶解パラメータ8.40~8.90(cal/cm1/2を有することを特徴とする。好ましくは溶解パラメータ8.45~8.88(cal/cm1/2を有する。溶媒が、当該特定の溶解パラメータを有することにより、得られる消泡剤溶液又は消泡剤分散液は、長期の消泡性能を有することができる。溶解パラメータが上記下限値未満、又は上記上限値超では長期の消泡性能を十分に確保することができないおそれがある。特定溶媒としては、例えばジイソブチルケトン(溶解パラメータ8.50(cal/cm1/2)及びメチルアミノケトン(溶解パラメータ8.84(cal/cm1/2)から選ばれる少なくとも1種である。
【0034】
より詳細には、前記(D)パーフルオロアルキル変性オルガノポリシロキサンを上記特定の溶解パラメータを有する溶媒に溶解又は分散させることによって消泡剤溶液又は消泡剤分散液を製造する。前記(D)成分と溶媒との質量比は限定されることはないが、好ましくは、消泡剤溶液又は消泡剤分散液の全質量(すなわち(D)成分及び溶媒の合計質量)に対して、(D)成分を0.1~15質量%で含むことが好ましく、0.3~10質量%であることがより好ましい。
【0035】
上記(D)成分と溶媒との混合方法は特に制限されないが、10~80℃の温度範囲、好ましくは10~40℃の温度範囲で攪拌して混合すればよい。混合の際にはスターラー、ホモジナイザー又はノズル噴射装置を用いて(D)成分を溶媒中に溶解又は分散させればよい。スターラーを使用する際、限定的ではないが、100~500回転/分の回転数で、20~40分間の時間の条件で撹拌して溶解又は分散させることが好ましい。ホモジナイザーを使用する際、回転速度や攪拌時間は限定されることはないが、8,000~24,000回転/分の高速回転で1~15分撹拌することが好ましく、15,000~20,000回転/分で5~10分撹拌することがより好ましい。ノズル噴射装置を使用する際、液体圧力や液体流量については特に限定されることはない。液体圧力としては、30MPa~200MPaが好ましく、100MPa~200MPaがより好ましい。
【0036】
上記で得られた消泡剤溶液又は消泡剤分散液を本発明の潤滑油組成物に添加することによって得られる潤滑油組成物は、初期の消泡性能だけでなく、長期の消泡性能も維持することが可能となる。消泡剤溶液用いる場合は、潤滑油組成物中に含まれるパーフルオロアルキル変性オルガノポリシロキサンの量が上記した範囲となる量で配合されればよい。
【0037】
(E)ポリイソブテニルコハク酸イミドのホウ素化物
本発明の潤滑油組成物は、限定的ではないが、ポリイソブテニルコハク酸イミドのホウ素化物を有することができる。ポリイソブテニルコハク酸イミドのホウ素化物の重量平均分子量(Mw)は、限定的ではないが、1500~10000であることが好ましい。例えば、炭素数40~600の、直鎖構造又は分枝構造を有するアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する、コハク酸イミドのホウ素化物である。当該コハク酸イミドのホウ素化物は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。コハク酸イミドのホウ素化物は潤滑油に一般的に用いられるコハク酸イミドをホウ素化したものであり、従来公知のホウ素化コハク酸イミドであればよい。ホウ素化は通常、含窒素化合物にホウ酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和することにより行われる。本発明においては、ホウ素化コハク酸イミドは重量平均分子量1500~10000を有することが好ましく、重量平均分子量2000~6000を有することがさらに好ましい。
【0038】
上記ポリイソブテニルコハク酸イミドのアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、40~600であり、好ましくは60~400である。アルキル基及びアルケニル基の炭素数が前記下限値未満であると、化合物の潤滑油基油に対する溶解性が低下する傾向にある。また、アルキル基及びアルケニル基の炭素数が上記上限値を超えると、潤滑油組成物の低温流動性が悪化する傾向にある。上記アルキル基及びアルケニル基は、直鎖構造を有していても分枝構造を有していてもよい。
【0039】
コハク酸イミドには、ポリアミンの一端に無水コハク酸が付加した、いわゆるモノタイプのコハク酸イミドと、ポリアミンの両端に無水コハク酸が付加した、いわゆるビスタイプのコハク酸イミドとがある。本発明の潤滑油組成物は、モノタイプ及びビスタイプのうちいずれか一方を含有してもよいし、あるいは双方を含有してもよい。ホウ素化コハク酸イミドは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。併用する場合には、モノタイプ及びビスタイプの両方を含んでもよいし、モノタイプ同士の併用、又はビスタイプ同士の併用であってもよい。
【0040】
ホウ素化コハク酸イミドの製造方法としては、例えば、特公昭42-8013号公報及び同42-8014号公報、特開昭51-52381号公報、及び特開昭51-130408号公報等に開示されている方法等が挙げられる。より詳細には、アルコール類やヘキサン、キシレン等の有機溶媒、軽質潤滑油基油等にポリアミンとポリアルケニルコハク酸(無水物)にホウ酸、ホウ酸エステル、又はホウ酸塩等のホウ素化合物を混合し、適当な条件で加熱処理することにより得ることができる。この様にして得られるホウ素化コハク酸イミドに含まれるホウ素含有量は通常0.1~4質量%とすることができる。特に、アルケニルコハク酸イミド化合物のホウ素変性化合物(ホウ素化コハク酸イミド)は耐熱性、酸化防止性及び摩耗防止性に優れるため好ましい。
【0041】
ポリイソブテニルコハク酸イミドのホウ素化物中に含まれるホウ素含有量は特に制限されないが、潤滑油組成物中に含まれるホウ素含有量が25~150質量ppmとなる量がよい。たとえば無灰分散剤中に含まれるホウ素量が多くなれば、潤滑油組成物中に添加するホウ素化無灰分散剤量はおのずと制限されることになる。通常、無灰分散剤の質量に対して0.1~3質量%である。本発明の1つの態様としては、無灰分散剤中のホウ素含有量は、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上であり、また好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下であるのがよい。ホウ素化無灰分散剤として好ましくはホウ素化コハク酸イミドであり、特にはホウ素化ビスコハク酸イミドが好ましい。ホウ素化無灰分散剤を使用する場合、そのホウ素含有量は、組成物全体の質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.025質量%以上であるのがよく、また0.15質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以下であるのがよい。ホウ素化無灰分散剤は、ホウ素/窒素質量比(B/N比)0.1以上、好ましくは0.2以上を有するものであり、好ましくは0.5未満、より好ましくは0.4以下を有するものが好ましい。
【0042】
(F)硫黄系極圧剤
硫黄系極圧剤は、限定されることないが、チアジアゾール、硫化オレフィン、硫化油脂、硫化エステル、及びポリサルファイドから選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、特には、硫化オレフィン、チアジアゾール、及び硫化油脂が好ましい。最も好ましくはチアジアゾールである。
【0043】
チアジアゾールは含窒素硫黄複素環化合物であり特に構造は限定されない。含窒素複素環系化合物は高吸着性を有し、少量でも高い耐焼付き性向上効果を得られるため好ましい。例えば、下記一般式(5)で示される1,3,4-チアジアゾール化合物、下記一般式(6)で示される1,2,4-チアジアゾール化合物、及び一般式(7)で示される1,4,5-チアジアゾール化合物が挙げられる。
【化2】
上記式(5)~(7)中、R~Rは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~30の一価炭化水素基であり、a、b、c、d、e及びfはそれぞれ0~8の整数である。
【0044】
炭素数1~30の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、及びアリールアルキル基を挙げることができる。
【0045】
硫化オレフィン及びポリサルファイドは例えば下記一般式(8)で表される。
-Sx1-(R-Sx2-)-R10 (8)
なお、後述するように、硫化オレフィンはオレフィン類を硫化して得られるものであり、ポリサルファイドはオレフィン類以外の炭化水素原料を硫化して得られる。
【0046】
上記式(8)中、R及びRは互いに独立に、一価の炭化水素基であり、例えば炭素数2~20の、直鎖または分岐の、飽和または不飽和の脂肪族一価炭化水素基、又は炭素数2~26の芳香族一価炭化水素基である。例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基、ノニル基、ドデシル基、プロペニル基、ブテニル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、及びヘキシルフェニル基などが挙げられる。
上記式(8)中、R10は、炭素数2~20の、直鎖または分岐の、飽和または不飽和の脂肪族二価炭化水素基、又は、炭素数6~26の芳香族二価炭化水素基である。例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、及びフェニレン基などが挙げられる。
上記式(8)中、x1及びx2は互いに独立に、1以上の整数であり、好ましくは1~8の整数である。該値より小さいと極圧性が小さくなり、大きすぎると熱酸化安定性が低下するおそれがある。極圧性及び熱酸化安定性を共に得るためには、x2が1~6の整数であるのが好ましく、より好ましくは2~4の整数であり、特に好ましくは2又は3である。
【0047】
硫化油脂は、油脂と硫黄との反応生成物であり、油脂としてラード、牛脂、鯨油、パーム油、ヤシ油、ナタネ油などの動植物油脂を硫化して得られるものである。この反応生成物は、単一のものではなく、種々の物質の混合物であり、化学構造そのものは明確でない。
【0048】
硫化エステルは、上記油脂と各種アルコールとの反応により得られる脂肪酸エステルを硫化することにより得られるものである。硫化油脂と同様、化学構造そのものは明確でない。
【0049】
上記硫黄系極圧剤の活性硫黄量は、特に限定されることはないが、活性硫黄を該極圧剤の質量に対して45質量%以下で有すること、好ましくは30質量%以下で有すること、より好ましくは15質量%以下で有することを特徴とする。活性硫黄量が上記上限値超であると、金属腐食を起こすだけでなく、摩耗の発生を抑制することができなくなる。なお、活性硫黄量の下限も特に限定されることはないが、極圧性確保のためには、極圧剤の質量に対して0.5質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以上であり、一層好ましくは2質量%以上であるのがよい。
【0050】
ここで、活性硫黄量とはASTM D1662に規定される方法により測定されるものである。ASTM D1662に基づく活性硫黄量は、より詳細には以下の手順により測定することができる。
1.200ml用のビーカーに硫黄系添加剤(活性硫黄系極圧剤)50gと銅粉5gを入れ、スターラで攪拌しながら温度を150℃まで上げる。
2.150℃に達したら、更に銅粉を5g加え、30分間攪拌する。
3.攪拌終了後、ASTM D130準拠の銅板をビーカーへ入れて浸漬させる。このとき、銅板に変色が見られたら、さらに銅粉を5g加えて30分間攪拌する(この操作を変色が認められなくなるまで続ける)。
4.銅板変色が認められなくなったら、ろ過により硫黄系添加剤中の銅粉を除去し、添加剤に含まれる硫黄量を測定する。
活性硫黄量は以下のように算出される。
活性硫黄量(質量%)=銅粉と反応前の硫黄量(質量%)-銅粉と反応後の硫黄量(質量%)
【0051】
硫黄系極圧剤の含有量は、限定的ではないが、硫黄系極圧剤を潤滑油組成物全体の質量に対して、硫黄含有量として100~1000質量ppm、好ましくは150~600質量ppmであるのがよい。
【0052】
(G)金属清浄剤
金属清浄剤は特に限定されるものでないが、カルシウム、マグネシウムから選択された元素を有する金属清浄剤の1種以上であるのが好ましい。カルシウムを有する金属清浄剤としては、カルシウムスルホネート、カルシウムフェネート、カルシウムサリシレートが好ましく、最も好ましくは、カルシウムサリシレートである。これらの金属清浄剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。マグネシウムを有する金属清浄剤としては、マグネシウムスルホネート、マグネシウムフェネート、マグネシウムサリシレートが好ましい。これらの金属清浄剤のうち、カルシウムサリシレート、カルシウムスルホネート、マグネシウムサリシレート、及びマグネシウムスルホネートから選ばれる少なくとも1種が好ましい。金属清浄剤は、1種単独であっても、2種以上の併用であってもよい。金属清浄剤の全塩基価は、限定的ではないが、好ましくは50~600(mgKOH/g)、より好ましくは100~500(mgKOH/g)、さらに好ましくは100~400(mgKOH/g)である。尚、全塩基価とは、試料1g中に含まれている全塩基性成分を中和するのに要する塩酸または過塩素酸と当量の水酸化カリウムの ミリグラム(mg)数であり、JIS K2501などに準拠して測定できる。
【0053】
金属清浄剤の含有量は、特に限定されることはないが、潤滑油組成物中に含まれる金属含有量として、10~500質量ppmが好ましく、50~400質量ppmがさらに好ましく、及び100~300質量ppmが一層好ましい。金属清浄剤の量が少なすぎると材料適合性が劣る恐れがあり、また多すぎると高い電気絶縁性(高い体積抵抗率)を得ることができない恐れがあるため好ましくない。
【0054】
その他の添加剤
本発明の潤滑油組成物は、上記(A)~(G)成分以外のその他の添加剤として摩耗防止剤、酸化防止剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、(D)成分以外の消泡剤、流動点降下剤、摩擦調整剤等を含有することができる。
【0055】
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、及びイミダゾール系化合物等が挙げられる。
【0056】
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、及び多価アルコールエステル等が挙げられる。
【0057】
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0058】
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4-チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4-チアジアゾリル-2,5-ビスジアルキルジチオカーバメート、2-(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、及びβ-(o-カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
【0059】
流動点降下剤としては、限定的ではないが、鎖状不飽和(ジ)カルボン酸又はその無水物又はそのエステルと、ビニル化合物との共重合体を使用することができる。
鎖状不飽和(ジ)カルボン酸又はその無水物又はそのエステルとしては、フマル酸、マレイン酸、無水フマル酸、無水マレイン酸、フマル酸アルキルエステル、及びマレイン酸アルキルエステルが挙げられ、フマル酸アルキルエステル、及びマレイン酸アルキルエステルが特に好ましい。ビニル化合物としては、エチレン、プロピレンなどのα-オレフィン、及び酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルが挙げられ、カルボン酸ビニルが好ましい。カルボン酸ビニルはR-COO-CH=CHで示される化合物であるが、本発明においてRは炭素数1~18の短鎖アルキル基が好ましく、特に好ましくはRがメチル基である酢酸ビニルである。
【0060】
共重合体の重量平均分子量は、限定されることはないが、5,000~300,000が好ましい。該(H)成分はエステル系共重合体であることが好ましく、これにより、市販油と混油させた場合の低温粘度の低下を好適に抑制することができる。エステル系共重合体としては、下記式で表される。
【化3】
(n及びmは、重量平均分子量が5,000~300,000となる数であり、Rは互いに独立に炭素数1~24のアルキル基であり、Rは炭素数1~18のアルキル基であり、好ましくはメチル基である)
中でもフマル酸アルキルエステルと酢酸ビニルとの共重合体が好ましく、フマル酸アルキルエステル由来の繰返し単位(n)と酢酸ビニル由来の繰返し単位(m)の比率が、10:90~90:10(質量比)が好ましく、20:80~80:20(質量比)がより好ましい。
【0061】
流動点降下剤を添加する場合、その添加量は特に限定されないが、潤滑油組成物基準で0.02~3.0質量%が好ましく、0.05~1.5質量%が好ましい。
【0062】
摩擦調整剤としては、有機摩擦調整剤、金属摩擦調整剤のいずれも使用することができる。
有機摩擦調整剤とは、金属を有しない摩擦調整剤のことを意味する。有機摩擦調整剤としては、限定的ではないが、アミン系摩擦調整剤、アミド系摩擦調整剤、エステル系摩擦調整剤、エーテル系摩擦調整剤及びイミド系摩擦調整剤など、有機化合物により構成されるものである。特に好ましくはアミン系摩擦調整剤、エステル系摩擦調整剤、又はイミド系摩擦調整剤であり、リン捕捉剤として好適に機能する。有機摩擦調整剤を含むことにより、優れた耐摩耗性及び耐焼付き性を確保することができる。有機摩擦調整剤を添加する場合、潤滑油組成物中の含有量は好ましくは0.1~2質量%であり、より好ましくは0.2~1.5質量%であり、さらに好ましくは0.2~1質量%である。有機摩擦調整剤は、1種単独であってもよいし、2種以上の併用であってもよい。
【0063】
金属摩擦調整剤としては、公知のモリブデン摩擦調整剤が使用できる。例えば、モリブデンジチオホスフェート(MoDTP)及びモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)等の硫黄を含有する有機モリブデン化合物、モリブデン化合物と硫黄含有有機化合物又はその他の有機化合物との錯体等、或いは、硫化モリブデン、硫化モリブデン酸等の硫黄含有モリブデン化合物とアルケニルコハク酸イミドとの錯体等を挙げることができる。さらに本発明における摩擦調整剤として、米国特許第5,906,968号に記載されている三核モリブデン化合物を用いることもできる。
【0064】
本発明の潤滑油組成物は、40℃における動粘度(KV40)が7.0~20.0mm/sであり、10.0mm/s~18mm/sであることが好ましく、10.5mm/s~18mm/sであることがより好ましく、11mm/s~16mm/sであることがさらに好ましく、11mm/s~14mm/sであることが一層好ましい。これよりも低粘度化した場合、耐焼き付性が十分ではなくなる場合があるし、高粘度化すると省燃費化に寄与しなくなる。
【0065】
本発明の潤滑油組成物中に含まれるホウ素含有量は、限定的ではないが、25~150質量ppmであることが好ましく、30~120質量ppmであることがより好ましく、40~100質量pmであることがさらに好ましい。上記上限値を超過すると、体積抵抗率を維持することが困難となる。上記下限値未満であると、耐焼付き性を確保することが困難になる。
【0066】
本発明の潤滑油組成物中に包含されるリン含有量は200~1000質量ppmであり、250~900ppmであることがより好ましく、280~600ppmであることがさらに好ましい。上記下限値未満では、摩耗特性、及び疲労特性が十分ではなくなる恐れがある。上記上限値を超過すると、体積抵抗率を高めることが困難になる。
【0067】
本発明の潤滑油組成物中に包含される硫黄含有量は、限定的ではないが、好ましくは100~1000質量ppm、より好ましくは150~600質量ppmである。上記下限値未満になると、耐焼き付き性の確保が困難となる。上記上限値を超過すると、スラッジの抑制が困難になる。
【0068】
また、本発明の潤滑油組成物は、低粘度化しても、耐摩耗性、耐焼付き性、ギヤ疲労耐性、及びベアリング疲労耐性等の部品保護性能に優れ、高い電気絶縁性(高い体積抵抗率)を有し、且つ材料適合性、及び消泡性にも優れるので、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車に使用する潤滑油として適合することができ、特に変速機油用、ギヤ油用及びトランスアクスル油用の潤滑油として使用することができる。
【実施例0069】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0070】
(A)潤滑油基油
(A1)高度精製鉱油系基油(「鉱油2」と定義)(100℃の動粘度=2.3mm/s、粘度指数=110、%Cp=70、%Cn=30、%Ca=0)
(A2)GTL基油(「GTL4」と定義)(100℃の動粘度=4.0mm/s、粘度指数=129、%Cp=99、%Cn=1、%Ca=0)
(A3)ポリα-オレフィン(PAO)基油(「PAO4」と定義)(100℃の動粘度=4.0mm/s、粘度指数=120、%Cp=100、%Cn=0、%Ca=0)
%Cp、%Cn、%Caは、それぞれ環分析によるパラフィン含有量、ナフテン含有量、芳香族含有量を表す。
【0071】
(B)粘度指数向上剤
(B1)ポリメタクリレート(Mw=30,000)[以下、「PMA1」という。]
(B2)ポリメタクリレート(Mw=70,000)[以下、「PMA2」という。]
(B3)エチレン・α-オレフィンコポリマー(Mw=40,000)[以下、「EPC」という。]
(B4)ポリメタクリレート(Mw=150,000)(比較用)[以下、「PMA3」という。]
【0072】
(C)リン系極圧剤
(C1)炭素数4~18のアルキル基を有する亜リン酸エステル混合物[以下、「亜リン酸エステル混合物」という。]
(C2)炭素数12~20のアルキル基を有する酸性リン酸エステル混合物[以下、「酸性リン酸エステル混合物」という。]
(C3)炭素数4~18のアルキル基を有するチオ亜リン酸エステル混合物[以下、「チオ亜リン酸エステル混合物」という。]
(C4)炭素数12~20のアルキル基を有する酸性チオリン酸エステル混合物[以下、「酸性チオリン酸エステル混合物」という。]
【0073】
(D)消泡剤
以下、重量平均分子量を「Mw」、消泡剤を構成する化合物中のフッ素原子とケイ素原子の質量比を(F/Si)と記載する。
(D1)フッ素化シリコーンA:
【化4】
上記式(a)で表され、Rf=CFであり、a:b=0:100であり、Mw:5,500、F/Si:2.0、及び密度:1.27g/cmを有する、パーフルオロアルキル変性オルガノポリシロキサン
(D2)フッ素化シリコーンB:
上記式(a)で表され、Rf=CFであり、a:b=50:50であり、Mw:7,000、F/Si:1.0、及び密度:1.17g/cmを有する、パーフルオロアルキル変性オルガノポリシロキサン
【0074】
以下は、比較例用として使用される消泡剤
(D3)フッ素化シリコーンC:
上記式(a)で表され、Rf=C15であり、a:b=5:95であり、Mw:4,000、F/Si:10.0、密度:1.35g/cmを有する、パーフルオロアルキル変性オルガノポリシロキサン
(D4)フッ素化シリコーンD:
上記式(a)で表され、Rf=Cであり、a:b=35:65であり、Mw:100,000、F/Si:3.9、及び密度:1.37g/cmを有する、パーフルオロアルキル変性オルガノポリシロキサン
(D5)ジメチルシリコーン(F/Si:0.0、密度:0.98g/cm
【0075】
(E)ポリイソブテニルコハク酸イミドのホウ素化物
(E1)ポリイソブテニルコハク酸ビスイミドのホウ素化物(分子量2,200 ホウ素含有量 1.0質量%)[以下、「コハク酸イミドのホウ素化物1」という。]
(E2)ポリイソブテニルコハク酸ビスイミドのホウ素化物(分子量5,600 ホウ素含有量 1.0質量%)[以下、「コハク酸イミドのホウ素化物2」という。]
【0076】
(F)硫黄系極圧剤
(F1)2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール(活性硫黄量;3.3質量%)[以下、単に「チアジアゾール」という。]
(F2)硫化オレフィン(活性硫黄量;11質量%)
(F3)硫化エステル(活性硫黄量;1.4質量%)
(F4)硫化油脂(活性硫黄量;4.1質量%)
(G)金属清浄剤
(G1)カルシウムサリシレート(カルシウム含有量;10質量%、塩基価350mgKOH/g)
(H)その他の添加剤
有機摩擦調整剤、酸化防止剤、金属不活性化剤
【0077】
[実施例1~17及び比較例1~10]
上記した各成分を表1~表3に記載の組成及び量で混合し、実施例及び比較例における潤滑油組成物を調製した。表に記載の(B)成分の粘度指数向上剤の量は潤滑油組成物全体の質量部に対する質量%、(C)成分のリン系極圧剤の量は、潤滑油組成物中のリン原子及びケイ素原子の質量ppmであり、(D)成分の消泡剤の含有量は潤滑油組成物全体の質量部に対するケイ素原子の質量ppmであり、(E)成分のホウ素化コハク酸イミドの含有量は潤滑油組成物全体の質量部に対するホウ素の質量ppmであり、(F)成分の硫黄系極圧剤の含有量は潤滑油組成物全体の質量部に対する硫黄の質量ppmであり、(G)成分の金属清浄剤の含有量は潤滑油組成物全体の質量部に対するカルシウムの質量ppmであり、(H)成分のその他の添加剤は潤滑油組成物中の質量%である。組成物の100℃の動粘度(ASTM D445に準拠して100℃で測定)は、KV100(mm/s)として表した。組成物の40℃の動粘度(ASTM D445に準拠して40℃で測定)は、KV40(mm/s)として表した。基油の量は組成物全体を100質量%とした残部である。
【0078】
これらの潤滑油組成物について下記の試験を行った。結果を表4~6に示す。
(1)耐摩耗性
ASTM D4172に準拠し、40kgf,80℃,1800rpm,30分で測定した。
(2)ベアリング摩耗
サイクル試験により摩耗が発生するまでのサイクルを測定した。
(3)体積抵抗率
JIS C2101に準拠して80℃で測定した。
(4)リングオン試験
リングオンディスク試験機において、貧潤滑条件下、荷重2000N一定、加減速を繰り返す試験を焼付くまで実施し、そのサイクル数を測定した。ここで、加減速を繰り返す試験とは、試験開始から5秒間に1m/secまで加速し、1m/secを5秒間維持し、0m/sまで5秒間かけて減速し、0m/secを5秒間維持する。20秒を1サイクルとし、焼付くまでのサイクル数を表に記載した。尚、比較例2は、20秒未満(即ち、1サイクル未満)で焼付いたため結果は0と記載した。
(5)消泡性評価
潤滑油組成物を、ホモジナイザーを用いて温度140℃、回転数11,600ppm、空気吹込み量200ml/分、5分間の撹拌を行い、直後の液面高さを計測し、これを「初期の消泡性能」の評価とした。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】