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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037908
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】警報システム及び移報装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/00 20060101AFI20230309BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
G08B25/00 520C
G08B17/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144740
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 英聖
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴臣
(72)【発明者】
【氏名】岩間 三典
(72)【発明者】
【氏名】廣▲瀬▼ 智絵
【テーマコード(参考)】
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C087AA16
5C087BB76
5C087DD04
5C087DD05
5C087DD07
5C087DD08
5C087EE14
5C087FF03
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG56
5C087GG66
5C087GG70
5G405AA01
5G405AA03
5G405AD02
5G405AD04
5G405AD07
5G405CA19
5G405CA21
(57)【要約】
【課題】監視領域の異常を検知する検知器の機器異常の発生を外部機器側で認識できるようにする。
【解決手段】警報システムは、警報器と、移報装置20とを備える。警報器は、警報器に機器異常が発生すると、機器異常信号を送信する。移報装置20は、機器異常信号を受信すると、警報システムに含まれない外部機器30に移報信号を出力する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域で発生した異常を検知する検知器と、移報装置とを備える警報システムであって、
前記検知器は、当該検知器に機器異常が発生すると機器異常信号を送信し、
前記移報装置は、前記機器異常信号を受信すると、前記警報システムに含まれない外部機器に移報信号を出力する
警報システム。
【請求項2】
前記検知器は、さらに、火災の検知に応じて火災信号を送信し、
前記移報装置は、前記機器異常信号を受信した場合と前記火災信号を受信した場合とで異なる移報信号を出力する
請求項1に記載の警報システム。
【請求項3】
前記移報装置は、前記外部機器に接続された第1接点と第2接点とを有し、前記機器異常信号を受信した場合には、前記第1接点を通常時の接続状態から切り替え、前記第2接点を通常時の接続状態のまま維持することにより第1移報信号を出力し、前記火災信号を受信した場合には、前記第1接点を通常時の接続状態のまま維持し、前記第2接点を通常時の接続状態から切り替えることにより前記第1移報信号とは異なる第2移報信号を出力する
請求項2に記載の警報システム。
【請求項4】
前記移報装置は、前記火災信号と前記機器異常信号のうち、一方の受信を契機として前記第1移報信号又は前記第2移報信号を出力している際に他方を受信した場合には、前記第1接点を通常時の接続状態とし、前記第2接点を通常時の接続状態から切り替えることにより前記第2移報信号を出力する
請求項3に記載の警報システム。
【請求項5】
前記機器異常信号は、前記機器異常の種類を示し、
前記移報装置は、前記機器異常信号により示される前記機器異常の種類によって異なる警報を表示する
請求項1から4のいずれか1項に記載の警報システム。
【請求項6】
前記移報装置は、3以上の接点を有し、前記機器異常の種類、前記機器異常が発生した前記検知器、又は前記機器異常が発生した前記検知器の台数に応じて前記3以上の接点の接続状態の組合せを異ならせることにより、前記機器異常の種類、前記機器異常が発生した前記検知器、又は前記機器異常が発生した前記検知器の台数によって異なる移報信号を出力する
請求項1から5のいずれか1項に記載の警報システム。
【請求項7】
警報システムに含まれる移報装置であって、
前記警報システムに含まれる、監視領域で発生した異常を検知する検知器に機器異常が発生すると、当該検知器から送信された機器異常信号を受信する受信部と、
前記機器異常信号を受信すると、前記警報システムに含まれない外部機器に移報信号を出力する移報出力部と
を備える移報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視領域で発生した異常を検知する検知器の機器異常を外部に通知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
火災検知器から出力された火災信号を外部機器に移報出力する技術が知られている(例えば特許文献1及び2)。また、グループ内の火災検知器から送信された機器故障連動信号をグループ間で移報してグループ間の連動を行う技術が知られている(例えば特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5478316号公報
【特許文献2】特許第6430771号公報
【特許文献3】特開2019-8679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
監視領域で発生した異常を検知する検知器に機器異常が発生した場合、外部機器の使用者側でこの機器異常の発生を知りたいという要望がある。しかし、従来技術では、外部機器側でこの検知器の機器異常の発生を認識できない。
【0005】
本発明は、監視領域で発生した異常を検知する検知器の機器異常の発生を外部機器側で認識できるようにすることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、監視領域で発生した異常を検知する検知器と、移報装置とを備える警報システムであって、前記検知器は、当該検知器に機器異常が発生すると機器異常信号を送信し、前記移報装置は、前記機器異常信号を受信すると、前記警報システムに含まれない外部機器に移報信号を出力する警報システムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、監視領域で発生した異常を検知する検知器の機器異常の発生を外部機器側で認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る警報システムの構成の一例を示す図である。
図2】警報器の構成の一例を示す図である。
図3】移報装置の構成の一例を示す図である。
図4】移報出力部の構成の一例を示す図である。
図5】火災警報動作の一例を示す図である。
図6】子機で機器異常が発生した場合の動作の一例を示す図である。
図7】親機で機器異常が発生した場合の動作の一例を示す図である。
図8】変形例に係る移報出力部の構成の一例を示す図である。
図9】別の変形例に係る移報出力部の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.構成
図1は、本実施形態に係る警報システム1の構成の一例を示す図である。警報システム1は、グループ内で連動して火災の発生を警報するシステムである。警報システム1は、子機として機能する複数の警報器10(以下、「子機10a」という。)と、親機として機能する警報器10(以下、「親機10b」という。)と、移報装置20とを備える。なお、以下の説明では、子機10aと親機10bとを総称して警報器10ともいう。子機10a、親機10b、及び移報装置20は、同一のグループに属し、無線で接続されている。移報装置20は、警報システム1に含まれない外部機器30に信号線40を介して接続されている。なお、図1に示される子機10aの数は例示であり、これに限定されない。子機10aの数は、例えば14以下のいずれの数であってもよい。
【0010】
警報器10は、住宅、商業ビル、オフィスビル等の管理対象の建物の天井や壁に設置され、火災を検知して警報を行う。管理対象の建物は、本発明に係る監視領域の一例である。警報器10は、住宅用火災警報器、火災センサ等、火災を検知して警報を行うどのような機器でもよい。火災は、本発明に係る異常の一例である。警報器10は、本発明に係る検知器の一例である。親機10bは、複数の子機10a及び移報装置20と無線通信可能な位置に設置され、子機10aから受信した信号を移報装置20に転送する。
【0011】
移報装置20は、警報器10における火災の検知を示す信号を受信すると、外部機器30に移報出力を行う。また、移報装置20は、警報器10における機器自身の故障など、火災以外の異常の検知を示す信号を受信した場合にも外部機器30に移報出力を行う。この移報出力とは、警報を伝達することをいう。なお、この実施形態では、移報装置20自身は火災の検知を行わない。
【0012】
外部機器30は、例えば管理人室などで管理及び運用され、管理対象の建物の監視を行う制御装置である。外部機器30は、移報装置20から移報出力が行われると、この移報出力に応じた処理を行う。この処理は、例えば移報装置20からの移報出力に応じて建物の管理を行う管理会社のコントロールセンターに信号を送信する処理である。なお、外部機器30は、増設ブザーやフラッシュライト等の警報装置、シャッターや防火戸等の防排煙機器、インターホンシステムの住宅情報盤と接続して運用してもよい。移報出力に応じた処理も、信号を送信する処理に限定されず、どのような処理であってもよい。
【0013】
図2は、警報器10の構成の一例を示す図である。警報器10は、制御部101と、記憶部102と、通信部103と、操作部104と、表示部105と、音出力部106と、火災検知部107と、電源部108とを備える。警報器10の各部は、バス又は電源線を介して接続されている。
【0014】
制御部101は、自機の各部の制御及び各種の処理を行う。制御部101は、例えばCPU等の1又は複数のプロセッサとRAM等のメインメモリとを含み、プロセッサが記憶部102に記憶されたプログラムをメインメモリに読み込んで実行する。記憶部102は、自機の機能を実現するためのプログラム、自機に設定されたアドレス、自機が属するグループのグループID等の各種データを記憶する。このアドレスは、警報器10を一意に識別する番号である。同一グループに属する複数の警報器10には、連続した番号のアドレスが予め設定される。記憶部102は、例えばROM、EEPROM、及びフラッシュメモリのうち少なくとも1つを含む。通信部103は、無線通信規格に従って他の機器と無線通信を行うための通信インターフェースである。通信部103は、例えばアンテナと送受信回路とを含む。操作部104は、操作者の操作に用いられる。操作部104は、例えば操作ボタンを含む。表示部105は、各種の情報を表示する。表示部105は、発光色が異なる複数のLEDを含み、各LEDの点灯パターンにより各種の情報を示す。音出力部106は、各種の警報音や音声メッセージを出力する。音出力部106は、例えばスピーカーを含む。火災検知部107は、火災に伴って変化する物理量を測定することにより火災を検知する。火災の検知方式は、例えば光電式又は定温式である。光電式の場合、火災検知部107は周囲の煙濃度を測定して出力する。定温式の場合、火災検知部107は周囲の温度を測定して出力する。なお、火災の検知方式は、光電式や定温式に限定されず、赤外線式、複合式等、火災を検知し得る方式であればどのような方式であってもよい。電源部108は、自機の各部に電力を供給する。電源部108は、例えば電池と電源回路とを含む。
【0015】
制御部101は、異常検知部111と、送信部112と、受信部113と、警報制御部114と、転送部115として機能する。これらの機能は、制御部101のプロセッサが記憶部102に記憶されたプログラムを実行して演算を行い又は自機の各部を制御することにより実現される。
【0016】
異常検知部111は、所定の時間間隔で自機の状態を確認し、自機の機器異常を検知する。機器異常の種類は、例えば電池切れ、センサ異常、及び電波異常を含む。電池切れは、電池残量が少なくなった状態を示す。センサ異常は、火災検知部107の出力に異常がある状態を示す。電波異常は、自機と他機との間の無線通信に異常がある状態を示す。
【0017】
送信部112は、火災検知部107により火災が検知されると火災連動信号を送信する。この火災連動信号は、本発明に係る火災信号の一例である。また、送信部112は、異常検知部111により機器異常が検知されると、機器異常信号を送信する。この機器異常信号は、機器異常の種類を示す。
【0018】
受信部113は、他の警報器10により火災が検知されると、他の警報器10から火災連動信号を受信する。
【0019】
警報制御部114は、火災検知部107により火災が検知され、又は他の警報器10から火災連動信号を受信すると、表示部105及び音出力部106から火災の発生を知らせる警報を出力させる。また、警報制御部114は、異常検知部111により機器異常が検知されると、表示部105及び音出力部106から機器異常の発生を知らせる警報を出力させる。例えば警報制御部114は、音出力部106から音声メッセージを出力させるとともに、予め決められた点灯パターンに従って表示部105のLEDを点灯させる。
【0020】
転送部115は、他の警報器10から受信した各種の信号を移報装置20及びさらに他の警報器10に転送する。これは、他の警報器10の無線通信の範囲外に同一のグループに属する移報装置20やさらに他の警報器10が設置されている場合にも、これらの機器が他の警報器10から送信された信号を受信できるようにするためである。
【0021】
図3は、移報装置20の構成の一例を示す図である。移報装置20は、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、操作部204と、表示部205と、音出力部206と、移報出力部207と、電源部208とを備える。移報装置20の各部は、バス又は電源線を介して接続されている。制御部201、記憶部202、通信部203、操作部204、表示部205、音出力部206、及び電源部208は、それぞれ、基本的には警報器10の制御部101、記憶部102、通信部103、操作部104、表示部105、音出力部106、及び電源部108と同様である。ただし、記憶部202は、グループ内で発生した火災等の異常情報を受信するために必要なグループID等の情報を記憶する。
【0022】
図4は、移報出力部207の構成の一例を示す図である。この例では、外部機器30は、警報器10の機器異常の発生を伝える移報信号を受け付ける第1受付部301と、火災の発生を伝える移報信号を受け付ける第2受付部302とを備える。移報出力部207は、端子271a~271dと、接点272a及び272bとを含む。端子271a及び271bのそれぞれは、信号線40を介して第1受付部301に接続されている。端子271aと端子271bとの間には、接点272aが直列に接続されている。接点272aは、機器異常の移報出力に用いられる。接点272aは、本発明に係る第1接点の一例である。接点272aはブレーク接点であり、通常時は閉状態である。端子271c及び271dのそれぞれは、信号線40を介して第2受付部302に接続されている。端子271cと端子271dとの間には、接点272bが直列に接続されている。接点272bは、火災の移報出力に用いられる。接点272bは、本発明に係る第2接点の一例である。接点272bはメーク接点であり、通常時は開状態である。
【0023】
図3に戻り、制御部201は、受信部211と、警報制御部212と、接点制御部213として機能する。これらの機能は、制御部201のプロセッサが記憶部202に記憶されたプログラムを実行して演算を行い又は自機の各部を制御することにより実現される。
【0024】
受信部211は、火災連動信号及び機器異常信号を受信する。受信部211は、火災又は機器異常を検知した子機10a又は親機10bからこれらの信号を直接受信してもよいし、親機10bにより転送された信号を受信してもよい。
【0025】
警報制御部212は、受信部211にて火災連動信号が受信されると、表示部205に火災に関する警報を表示させる。また、警報制御部212は、受信部211にて機器異常信号が受信されると、表示部205に機器異常に関する警報を表示させる。このとき、警報制御部212は、機器異常信号により示される機器異常の種類によって異なる警報を表示させてもよい。例えば警報制御部212は、機器異常の種類毎に予め決められた異なる点灯パターンに従って表示部205のLEDを点灯させる。
【0026】
接点制御部213は、移報出力部207の接点272a及び272bを制御する。接点制御部213は、火災連動信号を受信した場合と機器異常信号を受信した場合とで、接点272a及び272bの接続状態を異ならせる。これにより、火災連動信号を受信した場合と機器異常信号を受信した場合とで異なる移報信号が移報出力部207から出力される。例えば接点制御部213は、接点272a及び272bのそれぞれと対になるコイル(図示せず)の電磁力を利用して接点272a及び272bの接続状態を切り替える。なお、図4に示される例では、移報出力部207は有接点リレーを有するが、無接点リレーを有してもよい。
【0027】
2.動作
図5は、火災警報動作の一例を示す図である。火災警報動作は、警報器10が火災を検知したことを契機に開始される。ここでは、子機10aが火災を検知する場合を例に挙げて説明する。
【0028】
ステップS11において、子機10aの火災検知部107は火災を検知する。ステップS12において、子機10aの警報制御部114は、表示部105及び音出力部106から火災の発生を知らせる警報を出力させる。例えば警報制御部114は、「火事です。火事です。」という音声メッセージを音出力部106から出力させるとともに、表示部105のLEDを所定の第1点滅周期で点滅させる。ステップS13において、子機10aの送信部112は火災連動信号を無線で送信する。なお、ステップS12の処理とステップS13の処理は、いずれの処理が先に行われてもよいし、並行して行われてもよい。この火災連動信号には、同じグループに属する他の機器に対して、どの機器が火災検知を行ったかが分かるように、子機10aのアドレスとグループIDが付加される。親機10bの受信部113は、火災連動信号に含まれるグループIDと親機10bの記憶部102に記憶されたグループIDとが一致するため、子機10aから送信された火災連動信号を受信する。また、子機10aの無線通信の範囲内に存在する他の機器も、親機10bと同様に火災連動信号を受信してもよい。
【0029】
ステップS14において、親機10bの警報制御部114は、表示部105及び音出力部106から火災の発生を知らせる警報を出力させる。例えば火災連動信号に含まれる警報器10のアドレスが5番である場合、警報制御部114は、「5番で火事です。」という音声メッセージを音出力部106から出力させるとともに、表示部105のLEDを所定の第1点滅周期で点滅させる。LEDの表示色は、火災の検知元の警報器10とその火災連動信号を受信した警報器10で異なる色としてもよい。ステップS15及びS16において、親機10bの転送部115は、火災検知元の子機10aからの火災連動信号の送信が停止したことを確認の後、この火災連動信号を他の子機10a及び移報装置20に無線で転送する。他の子機10aの受信部113は、火災連動信号に含まれるグループIDとこの子機10aの記憶部102に記憶されたグループIDとが一致するため、親機10bから転送された火災連動信号を受信する。また、移報装置20の受信部211も同様に、火災連動信号に含まれるグループIDと記憶部202に記憶されたグループIDとが一致するため、親機10bから転送された火災連動信号を受信する。
【0030】
ステップS17において、他の子機10aの警報制御部114は、表示部105及び音出力部106から火災の発生を知らせる警報を出させる。例えば警報制御部114は、「5番で火事です。」という音声メッセージを音出力部106から出力させるとともに、表示部105のLEDを所定の第1点滅周期で点滅させる。ステップS18において、移報装置20の警報制御部212は、表示部205に火災の発生を知らせる警報を表示させる。例えば警報制御部212は、表示部205のLEDを所定の第1点滅周期で点滅させる。
【0031】
ステップS19において、移報装置20の接点制御部213は、接点272a及び接点272bを制御することにより、移報出力部207から外部機器30に火災の発生を伝える移報信号を出力させる。この移報信号は、本発明に係る第2移報信号の一例である。なお、ステップS18の処理とステップS19の処理は、いずれの処理が先に行われてもよいし、並行して行われてもよい。図4に示されるように、通常時、接点272aは閉状態であり、接点272bは開状態であるため、外部機器30の第1受付部301には電流が流れ、第2受付部302には電流が流れていない。しかし、火災連動信号を受信すると、接点制御部213は、図4に示される接点272aを通常時の閉状態のまま維持し、接点272bを閉状態に切り替える。接点272bが閉状態に切り替わると、接点272bの両端が導通するため、外部機器30の第2受付部302に電流が流れる。これにより、外部機器30は火災が発生したことを認識する。そして、外部機器30は、例えば火災の発生を示す信号を管理会社のコントロールセンターに送信する。その結果、管理会社は、管理対象の建物で火災が発生したことを認識し、それに応じた対処を行うことができる。なお、この移報信号の出力は火災検知元からの火災復旧信号を受信するまで継続される。
【0032】
図6は、子機10aで機器異常が発生した場合の動作の一例を示す図である。この動作は、子機10aが機器異常を検知したことを契機に開始される。
【0033】
ステップS21において、子機10aの異常検知部111は、自機で機器異常が発生すると、この機器異常を検知する。機器異常の一つに電池切れがある。異常検知部111は、所定の時間間隔で、電池の電圧値が予め定められた子機10aの動作電圧値以上であるか否かを判定する。電池の電圧値が動作電圧値未満であると所定回数連続して判定されると、異常検知部111は電池切れを検知する。また、機器異常にはセンサ異常が含まれる。異常検知部111は、所定の時間間隔で、火災検知部107の出力が予め定められた正常範囲内であるか否かを判定する。ここで、例えば光電式の火災検知部107では、部品の故障や火災検知部107の汚損などが発生した場合には、火災検知部107の出力は正常範囲外となる。火災検知部107の出力が正常範囲外となり、その状態が所定回数連続して判定されると、異常検知部111はセンサ異常を検知する。
【0034】
ステップS22において、子機10aの警報制御部114は、表示部105及び音出力部106から機器異常の発生を知らせる警報を出力させる。このとき、警報制御部114は、機器異常の種類によって異なる警報を出力させる。例えば電池切れが検知された場合、警報制御部114は、「電池切れです。」という音声メッセージを音出力部106から出力させるとともに、表示部105のLEDを所定の第2点滅周期で1回点滅させる。一方、センサ異常が検知された場合、警報制御部114は、「センサ異常です。」という音声メッセージを音出力部106から出力させるとともに、表示部105のLEDを所定の第2点滅周期で3回点滅させる。なお、ここでは点滅回数により違いを表示しているが、LEDの表示色や点滅周期を異なるものとしてもよい。
【0035】
ステップS23において、子機10aの送信部112は機器異常信号を無線で送信する。なお、ステップS22の処理とステップS23の処理は、いずれの処理が先に行われてもよいし、並行して行われてもよい。この機器異常信号には、同じグループに属する他の機器に対して、どの機器が機器異常検知を行ったかが分かるように、子機10aのアドレスとグループIDが付加される。また、この機器異常信号には、機器異常の種類を示す情報が含まれる。親機10bの受信部113は、機器異常信号に含まれるグループIDと親機10bの記憶部102に記憶されたグループIDとが一致するため、子機10aから送信された機器異常信号を受信する。
【0036】
ステップS24において、親機10bの転送部115は、機器異常検知元の子機10aからの機器異常信号の送信が停止したことを確認の後、この機器異常信号を移報装置20に無線で転送する。移報装置20の受信部211は、機器異常信号に含まれるグループIDと記憶部202に記憶されたグループIDとが一致するため、親機10bから転送された機器異常信号を受信する。なお、他の子機10aも機器異常信号を受信し得るが、この実施形態では、他の子機10aは機器異常信号に応じた処理は行わない。
【0037】
ステップS25において、移報装置20の警報制御部212は、表示部205に警報器10の機器異常の発生を知らせる警報を表示させる。このとき、警報制御部212は、機器異常信号により示される機器異常の種類によって異なる警報を表示させる。例えば機器異常の種類が電池切れである場合、警報制御部212は、表示部205のLEDを所定の第2点滅周期で1回点滅させる。一方、機器異常の種類がセンサ異常である場合、警報制御部114は、表示部205のLEDを所定の第2点滅周期で3回点滅させる。なお、ここでは点滅回数により違いを表示しているが、LEDの表示色や点滅周期を異なるものとしてもよい。
【0038】
ステップS26において、移報装置20の接点制御部213は、接点272a及び接点272bを制御することにより、移報出力部207から外部機器30に警報器10の機器異常の発生を伝える移報信号を出力させる。この移報信号は、本発明に係る第1移報信号の一例である。なお、ステップS25の処理とステップS26の処理は、いずれの処理が先に行われてもよいし、並行して行われてもよい。図4に示されるように、通常時、接点272aは閉状態であり、接点272bは開状態であるため、外部機器30の第1受付部301には電流が流れ、第2受付部302には電流が流れていない。しかし、機器異常信号を受信すると、接点制御部213は、図4に示される接点272aを開状態に切り替え、接点272bを通常時の開状態のまま維持する。接点272aが開状態に切り替わると、接点272aの両端の導通が失われ、外部機器30の第1受付部301に電流が流れなくなる。これにより、外部機器30は警報器10に機器異常が発生したことを認識する。そして、外部機器30は、例えば警報器10の機器異常の発生を示す信号を管理会社のコントロールセンターに信号を送信する。その結果、管理会社は、管理対象の建物に設置された警報器10に機器異常が発生したことを認識し、それに応じた対処を行うことができる。なお、この移報信号の出力は異常検知元の機器異常が回復するまで継続される。
【0039】
ここで、火災と警報器10の機器異常とが併せて発生した場合、移報装置20の受信部211は、少なくとも1の警報器10から火災連動信号と機器異常信号とを関連するタイミングで受信することになる。なお、火災連動信号と機器異常信号とは、関連するタイミングで受信されれば必ずしも同時に受信されなくてもよい。例えば機器異常信号が受信され、警報器10の機器異常の発生を伝える移報信号が出力されている間に、火災連動信号が受信された場合にも、火災連動信号と機器異常信号とが関連するタイミングで受信されたことになる。
【0040】
火災連動信号と機器異常信号とが関連するタイミングで受信された場合、この実施形態では、移報装置20の接点制御部213は、接点272a及び接点272bの接続状態を制御することにより、移報出力部207から外部機器30に火災の発生を伝える移報信号を出力させる。火災連動信号と機器異常信号とを関連するタイミングで受信すると、接点制御部213は、火災連動信号を受信した時と同様に、図4に示される接点272aを通常時の閉状態とし、接点272bを閉状態に切り替える。なお、例えば接点272aが閉状態である場合には、接点制御部213は接点272aを閉状態のまま維持する。一方、例えば警報器10の機器異常の発生を伝える移報出力信号が既に出力されている場合には、接点272aは開状態に切り替えられている。この場合、接点制御部213は、接点272aを閉状態に切り替える。接点272bが閉状態になると、外部機器30の第2受付部302に電流が流れる。これにより、外部機器30は火災が発生したことを認識する。そして、外部機器30は、例えば火災の発生を示す信号を管理会社のコントロールセンターに信号を送信する。その結果、管理会社は、管理対象の建物で火災が発生したことを認識し、それに応じた対処を行うことができる。
【0041】
図7は、親機10bで機器異常が発生した場合の動作の一例を示す図である。この動作は、親機10bが機器異常を検知したことを契機に開始される。
【0042】
ステップS31において、親機10bの異常検知部111は、上述したステップS21と同様に、自機で機器異常が発生すると、この機器異常を検知する。ステップS32において、親機10bの警報制御部114は、上述したステップS22と同様に、表示部105及び音出力部106から機器異常の発生を知らせる警報を出力させる。ステップS33において、親機10bの送信部112は、上述したステップS23と同様に、機器異常信号を無線で送信する。なお、ステップS32の処理とステップS33の処理は、いずれの処理が先に行われてもよいし、並行して行われてもよい。移報装置20の受信部211はこの機器異常信号を受信する。ステップS34及びS35の処理は、上述したステップS25及びS26の処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0043】
上述した実施形態によれば、警報器10の機器異常が発生すると、この機器異常の発生を伝える移報信号が外部機器30に出力されるため、外部機器30側で警報器10の機器異常の発生を認識することができる。また、火災が発生した場合と警報器10の機器異常が発生した場合とで異なる移報信号が出力されるため、外部機器30側で火災の発生と警報器10の機器異常の発生とを区別して認識することができる。さらに、火災と警報器10の機器異常とが併せて発生した場合には、火災の発生を伝える移報信号が外部機器30に出力されるため、外部機器30側でより優先度が高い火災の発生を認識することができる。さらに、移報装置20では、機器異常の種類によって異なる警報が表示されるため、移報装置20の表示を見ることにより機器異常の種類を認識することができる。
【0044】
3.変形例
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態は、以下の変形例のように変形して実施されてもよい。実施形態と変形例とは、組み合わせて用いられてもよいし、実行に伴って切り替えて用いられてもよい。同様に、以下の変形例は、組み合わせて用いられてもよいし、実行に伴って切り替えて用いられてもよい。
【0045】
変形例1
上述した実施形態において、移報出力部207の構成は図4に示される例に限定されない。図8は、変形例に係る移報出力部217の構成の一例を示す図である。移報出力部217は、端子271a~271dと、接点272a及び272bとを含む。移報出力部217と外部機器30の間には終端器273が設けられる。終端器273は、抵抗器275a、275b、及び275cを含む。端子271aは、信号線40を介して終端器273の一端に接続されている。終端器273の一端は、信号線40を介して外部機器30に接続されている。端子271aと端子271bの間には、接点272aが直列に接続されている。抵抗器275aは、端子271aと並列に接続されている。端子271bと終端器273の一端との間には、抵抗器275a及び275bが直列に接続されている。すなわち、端子271bと終端器273の一端とは、抵抗器275a及び275bを介して接続されている。また、端子271bと終端器273の他端との間には、抵抗器275b及び275cが直列に接続されている。すなわち、端子271bと終端器273の他端とは、抵抗器275b及び275cを介して接続されている。端子271bと端子271cとの間には、抵抗器275bが直列に接続されている。端子271cと端子271dの間には、接点272bが直列に接続されている。抵抗器275cは、接点272bと並列に接続されている。端子271dは、信号線40を介して終端器273の他端に接続されている。また、終端器273の一端と他端との間には、抵抗器275a及び275cが直列に接続されている。すなわち、終端器273の一端と他端とは、抵抗器275a及び275cを介して接続されている。終端器273の他端は、信号線40を介して外部機器30に接続されている。
【0046】
図8に示される例では、通常時、接点272aは閉状態であるため、接点272aの両端が導通し、終端器273の抵抗器275b及び275cの抵抗値に応じた電流が外部機器30に流れる。しかし、火災連動信号が受信されると、接点制御部213は、接点272aを通常時の閉状態のまま維持し、接点272bを閉状態に切り替える。接点272bが閉状態に切り替わると、接点272bの両端が導通し、終端器273の抵抗器275bの抵抗値に応じた電流が外部機器30に流れる。これにより、外部機器30は火災が発生したことを認識する。一方、機器異常信号が受信されると、接点制御部213は、接点272aを開状態に切り替え、接点272bを通常時の開状態のまま維持する。接点272aが開状態に切り替わると、接点272aの両端の導通が失われるため、終端器273の抵抗器275a及び275cの抵抗値に応じた電流が外部機器30に流れる。これにより、外部機器30は警報器10に機器異常が発生したことを認識する。
【0047】
図9は、別の変形例に係る移報出力部227の構成の一例を示す図である。この例では、移報出力部227は、端子271e及び271fと、接点272a及び272bと、バイパス抵抗器274とを含む。端子271eと端子271fとの間には、接点272aと、接点272bとが直列に接続されている。バイパス抵抗器274は、接点272bと並列に接続されている。
【0048】
図9に示される例では、通常時、接点272aは閉状態であるため、接点272aの両端が導通し、バイパス抵抗器274の抵抗値に応じた電流が外部機器30に流れる。しかし、火災連動信号が受信されると、接点制御部213は、接点272aを通常時の閉状態のまま維持し、接点272bを閉状態に切り替える。接点272bが閉状態に切り替わると、接点272bの両端が導通し、通常時よりも大きい電流が外部機器30に流れる。これにより、外部機器30は火災が発生したことを認識する。一方、機器異常信号が受信されると、接点制御部213は、接点272aを開状態に切り替え、接点272bを通常時の開状態のまま維持する。接点272aが開状態に切り替わると、接点272aの両端の導通が失われるため、外部機器30には電流が流れない。これにより、外部機器30は警報器10に機器異常が発生したことを認識する。
【0049】
なお、図4図8、及び図9に示される例において、電流の流れる方向を限定するために、端子271a又は271eと接点272aとの間、及び接点272bと端子271d又は271fの間には、ダイオードが直列に接続されてもよい。また、接点272aと272bは、両方ともブレーク接点又はメーク接点であってもよい。この変形例に係る構成であっても、警報器10の機器異常の発生と火災の発生とを外部機器30側で区別して認識することができる。
【0050】
変形例2
上述した実施形態において、警報器10の機器異常と火災とが併せて発生した場合において、機器異常に関する移報の優先度が高いときは、警報器10の機器異常の発生を伝える移報信号が出力されてもよい。例えば同一の警報器10から機器異常信号に加えて火災連動信号と火災復旧信号とを予め定められた短い時間間隔で繰り返して受信した場合には、この警報器10に重大な機器異常があると考えられるため、機器異常に関する移報の優先度が高くなってもよい。また、少なくとも1の警報器10から火災連動信号が受信され、所定数より多い数の警報器10から機器異常信号が受信された場合には、火災が正しく検知されていない可能性があるため、機器異常に関する移報の優先度が高くなってもよい。さらに、同一の警報器10から火災連動信号と機器異常信号とが受信された場合には、火災連動信号の信頼性が低いため、機器異常に関する移報の優先度が高くなってもよい。さらに、警報器10のセンサ異常が検知された場合において、火災検知部107の出力が正常範囲より大きいときは、火災が誤検知され易いため、機器異常に関する移報の優先度が高くなってもよい。なお、火災検知部107の出力が正常範囲より大きい場合に機器異常に関する移報の優先度を高める場合には、警報器10の異常検知部111は、火災検知部107の出力が正常範囲より小さい第1センサ異常と、正常範囲より大きい第2センサ異常とを区別して検知する。第2センサ異常が検知された場合、機器異常信号には第2センサ異常を示す情報が含まれる。この情報により、移報装置20は、火災検知部107の出力が正常範囲より大きいことを認識する。接点制御部213は、警報器10の機器異常と火災とが併せて発生した場合において、機器異常に関する移報の優先度が高いときは、接点272a及び接点272bのうち少なくとも一方の接続状態を機器異常信号を受信した時と同様に切り替える。これにより、移報出力部207から警報器10の機器異常の発生を伝える移報信号が出力される。この変形例によれば、警報器10の機器異常と火災とが併せて発生した場合にも、機器異常に関する移報の優先度が高いときは、警報器10の機器異常の発生を伝える移報信号が外部機器30に出力されるため、外部機器30側で警報器10の機器異常の発生を認識することができる。
【0051】
変形例3
上述した実施形態において、子機10aは、所定の時間間隔で自機の状態を示す定期信号を親機10bに送信してもよい。子機10aの異常検知部111により異常が検知されその異常が回復していない場合、定期信号には機器異常を示す状態情報が含まれる。この状態情報には機器異常の種類を示す情報が含まれる。親機10bの受信部113は、この定期信号を受信すると、定期信号に含まれる状態情報を親機10bの記憶部102に記憶させる。また、この記憶部102には親機10bの状態を示す状態情報も記憶される。この変形例では、親機10bは、所定の時間間隔でグループ内の子機10a及び自機の状態を示す定期信号を移報装置20に送信する。この定期信号には、親機10bの記憶部102に記憶された子機10a及び親機10bの状態情報が含まれる。移報装置20の受信部211は、この定期信号を受信する。この定期信号により子機10a又は親機10bに異常があることが示される場合、移報装置20は上述したステップS25及びS26と同様の処理を行う。この変形例に係る方法であっても、警報器10の機器異常が発生すると、この機器異常の発生を伝える移報信号が外部機器30に出力されるため、外部機器30側で警報器10の機器異常の発生を認識することができる。
【0052】
変形例4
上述した実施形態において、警報器10の機器異常は、電池切れとセンサ異常に限定されない。機器異常は、警報器10の機器に関する異常であればどのような異常であってもよい。例えば機器異常には、電波異常が含まれてもよい。変形例3のように、子機10aが所定の時間間隔で自機の状態を示す定期信号を親機10bに送信する場合、親機10bは、子機10aから定期信号が受信されない状態が予め定められた時間以上継続した場合には、子機10aの電波異常を検知する。この予め定められた時間は、所定の時間間隔の長さより大きい。子機10aの電波異常を検知すると、親機10bの警報制御部114は、「電波異常です。」という音声メッセージを音出力部106から出力させるとともに、表示部105のLEDを例えば所定の第2点滅周期で2回点滅させる。親機10bの送信部112は、上述したステップS33と同様に、機器異常信号を送信する。この機器異常信号には、電波異常を示す情報が含まれる。以降の処理は、基本的には上述したステップS34及びS35と同様である。ただし、ステップS34において、移報装置20の警報制御部212は、表示部205のLEDを例えば所定の第2点滅周期で2回点滅させる。
【0053】
この変形例において、子機10aが自機の電波異常を検知してもよい。例えば子機10aの異常検知部111は、電波異常を調べるためのテスト信号を所定の時間間隔で親機10bに送信する。親機10bは、子機10aからテスト信号を受信すると、子機10aに応答信号を送信する。子機10aの異常検知部111は、テスト信号を送信してから所定時間内に親機10bから応答信号が受信されない場合には、電波異常を検知する。この場合、子機10aの警報制御部114は、「電波異常です。」という音声メッセージを音出力部106から出力させるとともに、表示部105のLEDを例えば所定の第2点滅周期で2回点滅させる。子機10aの送信部112は、上述したステップS23と同様に、機器異常信号を送信する。この機器異常信号には、電波異常を示す情報が含まれる。以降の処理は、基本的には上述したステップS24~S26と同様である。ただし、ステップS25において、移報装置20の警報制御部212は、表示部205のLEDを例えば所定の第2点滅周期で2回点滅させる。この変形例によれば、子機10aの電波異常が発生した場合にも、機器異常の発生を伝える移報信号が外部機器30に出力されるため、外部機器30側で警報器10の機器異常の発生を認識することができる。
【0054】
変形例5
上述した実施形態において、親機10bの転送部115は、子機10aから受信した信号を転送する際に、必ずしも火災検知元の警報器10からの火災連動信号の送信が停止したことを確認してから転送しなくてもよい。例えば転送部115は、子機10aから信号を受信した時点から所定時間経過後にこの信号を転送してもよい。或いは、転送部115は、子機10aから信号を受信すると、すぐにこの信号を転送してもよい。また、転送部115は、1又は複数の子機10aから火災連動信号と機器異常信号とを受信した場合、これらの信号を異なるタイミングで転送してもよい。例えば転送部115は、1又は複数の子機10aから火災連動信号と機器異常信号とを受信すると、まずは火災連動信号を転送し、火災連動信号を転送した時点から所定時間経過後に機器異常信号を転送してもよい。これにより、1又は複数の子機10aから火災連動信号と機器異常信号とを受信した場合に、これらの信号を転送する際に信号の衝突を避けることができる。
【0055】
変形例6
上述した実施形態において、機器異常が発生した子機10a以外の子機10a(以下、「他の子機10a」という。)が機器異常信号を受信し、機器異常信号に応じた処理を行ってもよい。この場合、親機10bの転送部115は、他の子機10aにも機器異常信号を転送する。機器異常が発生した子機10aの周囲に設置された子機10aは、機器異常信号を受信すると、例えば火災の検知に用いられるサンプリング周期を短縮し、又は火災検知部107の感度を上げてもよい。機器異常が発生した子機10aの周囲に設置された子機10aについては、例えば記憶部102に記憶された、警報器10の設置場所を示す情報に基づいて特定されてもよい。この変形例によれば、子機10aに機器異常が発生し、この子機10aにより火災が検知されない場合でも、その子機10aの周囲に設置された子機10aにより火災が検知され易くなる。
【0056】
変形例7
上述した実施形態において、子機10aの無線通信の範囲内に移報装置20が設置されている場合には、子機10aから送信された信号がそのまま移報装置20に到達する。この場合、移報装置20は、子機10aから信号を直接受信し、受信した信号に応じて処理を行ってもよい。
【0057】
変形例8
上述した実施形態において、子機10a、親機10b、及び移報装置20の警報の内容は一例であり、これに限定されない。例えば移報装置20においても、子機10aや親機10bと同様に、音出力部206から音声メッセージが出力されてもよい。
【0058】
変形例9
本発明に係る検知器は、警報器10に限定されず、必ずしも警報を行わなくてもよい。例えば検知器は、警報機能を有さない感知器や火災センサであってもよい。
【0059】
変形例10
上述した実施形態において、警報システム1の構成は上述した例に限定されない。警報システム1は、上述した装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。例えば警報システム1は、必ずしも子機10aと親機10bとを含まなくてもよく、これらの区別がない複数の警報器10を含んでもよい。また、図4図8、及び図9に示される回路構成は一例であり、他の回路構成であってもよい。例えば出力する移報信号の数によって接点の数を適宜増やす等、回路の構成要素の数は増減してもよい。また、図4図8、及び図9に示される構成要素以外の他の構成要素が含まれてもよいし、図4図8、及び図9に示される構成要素の一部を含まずに構成されてもよい。要するに、接点の接続状態の組み合わせに応じて電流を変化させて異常を伝達し得る仕組みを実現できれば、どのような回路構成であってもよい。
【0060】
上述した実施形態において、警報器10の制御部101は、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の回路を含み、警報器10の機能の少なくとも一部はこの回路により実現されてもよい。同様に、移報装置20の制御部201もこの回路を含み、移報装置20の機能の少なくとも一部はこの回路により実現されてもよい。
【0061】
変形例11
上述した実施形態において、警報システム1の動作は上述した例に限定されない。警報システム1の処理手順は、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。また、警報システム1の一部の処理手順が省略されてもよい。
【0062】
変形例12
本発明の別の形態は、警報システム1、子機10a、親機10b、及び移報装置20のうち少なくともいずれかにおいて行われる処理のステップを有する方法を提供してもよい。また、本発明のさらに別の形態は、子機10a、親機10b、及び移報装置20において実行されるプログラムを提供してもよい。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、インターネット等を介したダウンロードによって提供されてもよい。
【0063】
変形例13
上述した実施形態において、火災と警報器10の機器異常とが併せて発生した後、火災検知元の警報器10が復旧し、火災復旧信号を送信すると、移報装置20の受信部211は、少なくとも1の警報器10から火災連動信号と機器異常信号とを関連するタイミングで受信した後、火災復旧信号を受信することになる。この場合、移報装置20の接点制御部213は、まず接点272aを通常時の閉状態とし、接点272bを通常時の開状態にし、所定時間経過後に、機器異常が発生した場合と同様に、接点272aを開状態に切り替え、接点272bを通常時の開状態のまま維持する。これにより、外部機器30は、火災と警報器10の機器異常とが併せて発生した後、火災が復旧したことを認識することができる。
【0064】
変形例14
上述した実施形態において、移報出力部207には1つの接点だけが含まれてもよい。この変形例では、通常時、接点は閉状態である。火災連動信号が受信されると、接点制御部213はこの接点を所定の時間間隔で開状態と閉状態に切り替える。機器異常信号が受信されると、接点制御部213はこの接点を開状態に切り替える。この構成によっても、外部機器30は、火災の発生及び機器異常の発生を区別して認識することができる。
【0065】
変形例15
本発明は、火災以外の現象の発生を警報するシステムに適用されてもよい。この変形例では、警報器10は、ガス警報器、人感センサ等の火災以外の現象を検知して警報を行うものであってもよい。ガス警報器、人感センサ等の火災以外の現象を検知して警報を行うものも、本発明に係る検知器の一例である。要するに、本発明に係る検知器は、監視領域で発生した異常を検知するものであれば、どのような機器であってもよい。この異常は、火災に限定されず、ガス漏れ、不審者の侵入等、どのような異常であってもよい。
【0066】
変形例16
上述した実施形態において、移報出力部207には3つ以上の接点が含まれてもよい。この変形例では、移報出力部207は、機器異常の種類、機器異常が発生した警報器10、又は機器異常が発生した警報器10の台数に応じて3以上の接点の接続状態を切り替えてその組合せを異ならせることにより、機器異常の種類、機器異常が発生した警報器10、又は機器異常が発生した警報器10の台数によって異なる移報信号を出力する。この変形例によれば、機器異常の種類や機器異常が発生した警報器10、機器異常が発生した警報器10の台数によって異なる移報信号が出力されるため、より詳しい異常発生情報を認識することが出来る。
【符号の説明】
【0067】
1:警報システム、10:警報器、20:移報装置、30:外部機器、111:異常検知部、112:送信部、113:受信部、114:警報制御部、115:転送部、207:移報出力部、211:受信部、212:警報制御部、213:接点制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9