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特開2023-37922配線固定具、自転車のフェンダー及び自転車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037922
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】配線固定具、自転車のフェンダー及び自転車
(51)【国際特許分類】
   B62J 11/19 20200101AFI20230309BHJP
【FI】
B62J11/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144759
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】514204037
【氏名又は名称】株式会社クロップス
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】大雅 啓示
(57)【要約】
【課題】本発明は、低コストで取り付けが容易であり、かつ走行中の振動などで配線が移動することを抑制できる配線固定具、配線の固定が容易にできるフェンダー、及び走行中の振動などで配線が移動することが抑制された自転車を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の一態様は、自転車のフェンダーの裏面に形成されている折り返しに係止することで上記フェンダーの裏面に配される配線を固定するための配線固定具であって、材質が樹脂であり、矩形状に形成され、上記配線を挿通するための一対の配線用孔が形成されている。本発明の他の一態様は、裏面に折り返しが形成され、この折り返しに当該配線固定具が係止されている自転車のフェンダーである。本発明のさらに他の一態様は、上記フェンダーを備える自転車である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のフェンダーの裏面に形成されている折り返しに係止することで上記フェンダーの裏面に配される配線を固定するための配線固定具であって、
材質が樹脂であり、
矩形状に形成され、
上記配線を挿通するための一対の配線用孔が形成されている配線固定具。
【請求項2】
上記樹脂がポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート又はポリ塩化ビニルである請求項1に記載の配線固定具。
【請求項3】
上記一対の配線用孔の間に、上記一対の配線用孔の一方に挿通される配線と他方に挿通される他の配線との接続用孔がさらに形成されている請求項1又は請求項2に記載の配線固定具。
【請求項4】
上記一対の配線用孔と周縁との間に上記配線が通過する切れ目がさらに形成されている請求項1、請求項2又は請求項3に記載の配線固定具。
【請求項5】
上記一対の配線用孔と上記接続用孔との間に上記配線が通過する切れ目がさらに形成されている請求項3に記載の配線固定具。
【請求項6】
上記配線を配するための切欠き部分が周縁にさらに形成されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の配線固定具。
【請求項7】
裏面に折り返しが形成され、
この折り返しに請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の配線固定具が係止されている自転車のフェンダー。
【請求項8】
請求項7に記載のフェンダーを備える自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線固定具、自転車のフェンダー及び自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車には、走行中の車輪が水、泥などを跳ね上げることを抑制するフェンダー(泥除け)が装着されることがある。フェンダーには、前照灯、尾灯などの灯火類が取り付けられることがある。このような灯火類に電気を送るための配線は、目立たないように、フェンダーの裏面に配されることがある。
【0003】
フェンダーの裏面に溝、鍵片を形成して配線を固定する方法が知られている(特許文献1、特許文献2)。又は、フェンダーに脱着可能な部材として、線材で形成された泥除け用電線押さえが考案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実全昭48-001650号公報
【特許文献2】実全昭52-083156号公報
【特許文献3】実全昭49-037950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1、特許文献2のように溝などを形成すると、フェンダーのコストが増大するおそれがある。上記特許文献3の電線押さえは比較的小さい面積で電線を抑えているため、上記電線が走行中の振動などで移動するおそれがある。
【0006】
上述のような事情に鑑みて、本発明は、低コストで取り付けが容易であり、かつ走行中の振動などで配線が移動することを抑制できる配線固定具、配線の固定が容易にできるフェンダー、及び走行中の振動などで配線が移動することが抑制された自転車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、自転車のフェンダーの裏面に形成されている折り返しに係止することで上記フェンダーの裏面に配される配線を固定するための配線固定具であって、材質が樹脂であり、矩形状に形成され、上記配線を挿通するための一対の配線用孔が形成されている。
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明の他の一態様は、裏面に折り返しが形成され、この折り返しに当該配線固定具が係止されている自転車のフェンダーである。
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明のさらに他の一態様は、上記フェンダーを備える自転車である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の配線固定具は、低コストで取り付けが容易であり、かつ走行中の振動などで配線が移動することを抑制できる。本発明の自転車のフェンダーは、配線の固定が容易にできる。本発明の自転車は、走行中の振動などで配線が移動することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態である自転車を示す模式的側面図である。
図2図2は、図1の自転車のリアフェンダーの底面図を拡大した模式的拡大図である。
図3図3は、図2のA-A端面図である。
図4図4は、図2,3のリアフェンダーに取り付けられる配線固定具の模式的平面図である。
図5図5は、図2の配線の配置と異なる配線の配置を示す模式的底面図である。
図6図6は、図2とは異なる配線固定具を取り付けたリアフェンダーの底面図を拡大した模式的拡大図である。
図7図7は、図6配線固定具の模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一態様は、自転車のフェンダーの裏面に形成されている折り返しに係止することで上記フェンダーの裏面に配される配線を固定するための配線固定具であって、材質が樹脂であり、矩形状に形成され、上記配線を挿通するための一対の配線用孔が形成されている。
【0013】
当該配線固定具は、自転車のフェンダーの裏面に形成されている折り返しに係止するため、取り付けが容易にできる。また、当該配線固定具は、配線を挿通するための一対の配線用孔が形成されているため、自転車のフェンダーの裏面に配される配線が移動することを抑制できる。
【0014】
上記樹脂がポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート又はポリ塩化ビニルであることが好ましい。このような樹脂を用いることで、自転車のフェンダーの裏面に容易に装着できる当該配線固定具を低コストで生産できる。
【0015】
上記一対の配線用孔の間に、上記一対の配線用孔の一方に挿通される配線と他方に挿通される他の配線との接続用孔がさらに形成されていることが好ましい。このようにすることで、自転車のフェンダーの裏面で二つの配線の接続部が突出することを抑制できる。
【0016】
上記一対の配線用孔と周縁との間に上記配線が通過する切れ目がさらに形成されていることが好ましい。このようにすることで、上記配線用孔に配線を容易に配置できる。
【0017】
上記一対の配線用孔と上記接続用孔との間に上記配線が通過する切れ目がさらに形成されていることが好ましい。このようにすることで、上記配線用孔に配線を容易に配置できる。
【0018】
周縁に上記配線を配するための切欠き部分がさらに形成されていることが好ましい。このようにすることで、上記フェンダーの側面から配線を容易に取り出すことができる。
【0019】
本発明の他の一態様は、裏面に折り返しが形成され、この折り返しに上記配線固定具が係止されている自転車のフェンダーである。
【0020】
当該フェンダーは、裏面に上記配線固定具が用いられているため、裏面に配される配線を容易に固定できる。
【0021】
本発明のさらに他の一態様は、上記フェンダーを備える自転車である。
【0022】
当該自転車は、上記フェンダーが用いられているため、走行中の振動などで配線が移動することを抑制できる。
【0023】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。なお、各図面は、本発明の参照用の図であり、各構成(各部材)の形状、縮尺などは、実際のものと異なることがある。
【0024】
[第一実施形態]
[自転車]
図1に示すように、当該自転車1は、後輪側にリアフェンダー2と、前輪側にフロントフェンダー3とを備える。リアフェンダー2には、尾灯21が設けられ、フロントフェンダー3には、前照灯31が設けられている。
【0025】
尾灯21及び前照灯31には、図示されないダイナモ等の発電装置、電池ユニット等の電源装置(不図示)から電気が供給される。この電気を供給するための配線は、リアフェンダー2及びフロントフェンダー3の裏面に配されている。なお、フェンダーの裏面とは、フェンダーにおける車輪側の面を意味する。
【0026】
<フェンダー>
リアフェンダー2及びフロントフェンダー3は、図2及び図3で示すように、略円弧状の断面を有する。リアフェンダー2及びフロントフェンダー3の側部(長手方向に直交する方向の端部)には、裏面側に向かって折り返されている折り返し22が形成されている。なお、図2及び図3では、例として、リアフェンダー2を示す。以下では、リアフェンダー2について説明するが、フロントフェンダー3についても同様である。
【0027】
リアフェンダー2の材質としては、特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄などが用いられる。
【0028】
〔配線固定具〕
配線4は、上記電源装置から尾灯21に電気を供給するためのものである。配線4は、配線固定具5でリアフェンダー2の裏面に固定されている。配線固定具5は、略矩形状に形成されている。略矩形状の配線固定具5の一対の辺51それぞれがリアフェンダー2の一対の折り返し22に係止することで、配線固定具5がリアフェンダー2の裏面に係止される。
【0029】
配線固定具5は、樹脂で形成され、可撓性を有する。上記樹脂の材質としては、特に限定されるものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート又はポリ塩化ビニルが好ましく、中でもポリプロピレンが好ましい。このような樹脂を用いることで、十分な可撓性を有する配線固定具5を低コストで生産できる。
【0030】
配線固定具5は、リアフェンダー2の裏面に沿うように配置される。すなわち、リアフェンダー2の円弧上の断面に沿うように配線固定具5を円弧上に変形させ、配線固定具5の一対の辺51(図4参照)をリアフェンダー2の折り返し22に係止する、このようにすることで、配線固定具5は、それ自身の弾性力によって、リアフェンダー2の裏面に係止される。
【0031】
配線固定具5の大きさとしては、一対の辺51をリアフェンダー2の折り返し22に係止することができれば特に限定されるものではなく、例えば、一対の辺51間の距離(一対の辺51と交差する短辺52の長さ)を48mm以上58mm以下、一対の辺51の長さ(長辺51の長さ)を55mm以上65mm以下とすることができる。
【0032】
配線固定具5には、配線4を挿通するための一対の配線用孔53が形成されている。本実施形態の一対の配線用孔53は、リアフェンダー2の折り返し22に係止される一対の辺51間の中心で、所定の間隔を開けてリアフェンダー2の長手方向に形成されている。つまり、一対の配線用孔53は、それぞれの中心を通る仮想中心線が、一対の辺51と平行になるように形成されている。この一対の配線用孔53に配線4を挿通することで、自転車1が走行することによる振動などで配線4がリアフェンダー2の側方に移動することが規制される。
【0033】
配線用孔53の孔径としては、配線4を挿通することができる大きさであれば特に限定されるものではなく、例えば、3mm以上10mm以下とすることができる。一対の配線用孔53の中心間距離としては、特に限定されるものでなく、例えば、40mm以上50mm以下とすることができる。
【0034】
配線固定具5には、一対の配線用孔53と配線固定具5の周縁との間に配線4が通過する切れ目54がさらに形成されている。この切れ目54を介することで、配線4を配線用孔53に容易に配置できる。
【0035】
本実施形態では、切れ目54は、短辺52と配線用孔53との間に形成されている。また、切れ目54は、長辺51と非平行になるように形成されている。すなわち、切れ目54は、リアフェンダー2の長手方向に配される配線4と非平行になるように形成されている。具体的には、切れ目54は、配線用孔53の周縁から短辺52と所定の角度をなすように形成されている。このようにすることで、配線4が配線用孔53から意図せずに抜けることを抑制できる。
【0036】
配線固定具5には、配線4を配するための切欠き部分55が周縁にさらに形成されている。本実施形態では、一対の長辺51それぞれの二箇所に切欠き部分55が形成されている。このようにすることで、図5で示すように、配線4を、一方の配線用孔53に挿通し、切欠き部分55に取り回すことができ、リアフェンダー2の任意の位置で側方から配線4を取り出すことができる。
【0037】
<利点>
当該配線固定具5は、樹脂で形成されているため、折り返しを有するリアフェンダー2に容易に取り付けることができる。当該配線固定具5は、一対の配線用孔53が形成されているため、配線4をリアフェンダー2の裏面に容易に固定することができる。
【0038】
[第二実施形態]
本発明の他の実施形態は、図6及び図7で示すように、二つの配線を接続するための接続用孔66が形成されている配線固定具6である。上述した実施形態と同一の構成については、同一の符号を用いて説明を省略する。
【0039】
配線固定具6は、略矩形状に形成され、一対の辺61をリアフェンダー2の折り返し22に係止することで、リアフェンダー2の裏面に固定される。配線固定具6は、樹脂で形成され、可撓性を有する。リアフェンダー2の折り返し22に係止される配線固定具6の一対の辺61の長さ(長辺61の長さ)の大きさとしては、特に限定されるものでなく、例えば、70mm以上80mm以下とすることができる。
【0040】
配線固定具6には、配線4を挿通するための一対の配線用孔63が形成されている。一対の配線用孔63は、一対の辺61間の中心で、所定の間隔を開けてリアフェンダー2の長手方向に形成されている。一対の配線用孔63の中心間距離としては、特に限定されるものでなく、例えば、50mm以上60mm以下とすることができる。
【0041】
一対の配線用孔63間には、接続用孔66形成されている。接続用孔66は、平面視で、略矩形状に形成されている。接続用孔66は、二つの配線41,42を接続するためのコネクタ等の接合部が収められる。つまり、接続用孔66は、配線の接合部がリアフェンダー2の裏面で突出しないための逃げである。
【0042】
具体的には、雌型コネクタ71を端部に備える配線41を一方の配線用孔62に挿通し、雄型コネクタ72を端部に備える他の配線42を他方の配線用孔62に挿通し、接続用孔66に収まるように雌型コネクタ71と雄型コネクタ72とを接合する。このようにすることで、接合部(雌型コネクタ71と雄型コネクタ72とを接合した部分)が接合用孔66に収まるため、上記接合部がリアフェンダー2の裏面で大きく突出することを抑制できる。
【0043】
本実施形態では、配線41,42を配線用孔63に配置するための切れ目64が、一対の配線用孔63と接続用孔66の周縁との間に形成されている。具体的には、切れ目64は、配線用孔63の周縁から、一対の長辺61と交差する方向の接続用孔66の辺と所定の角度をなすように形成されている。
【0044】
配線固定具6には、周縁に配線4を配するための切欠き部分65がさらに形成されている。本実施形態では、一対の長辺61それぞれの二箇所に切欠き部分55が形成されている。
【0045】
<利点>
本実施形態の配線固定部6は、接続用孔66が形成されているため、二つの配線41,42の接合部がリアフェンダー2の裏面で突出することを抑制できる。
【0046】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0047】
上述の実施形態は、二輪の自転車で説明したが、三輪以上を有する自転車であってもよい。
【0048】
リアフェンダー及びフロントフェンダーは、折り返しが形成されているものであれば、樹脂などで形成されてもよい。
【0049】
配線固定具の形状は、リアフェンダー及びフロントフェンダーの折り返しに係止可能な形状であれば、矩形状でなくてもよい。
【0050】
一対の配線用孔は、リアフェンダーの折り返しに係止される一対の辺間の中心に形成されなくてもよい。また、一対の配線用孔は、それぞれの中心を通る仮想中心線が、上記一対の辺と平行になるように形成されなくともよい。
【0051】
切れ目は、配線固定具の長辺と平行になるように形成されてもよい。
【0052】
接続用孔の形状は、平面視で矩形状でなくてもよく、円形状、楕円形条、多角形状などとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の配線固定具は、自転車のフェンダーの裏面に配される配線を容易に固定することができるため、上記自転車のフェンダーに設けられる前照灯、尾灯などの灯火類と共に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0054】
1 自転車
2 リアフェンダー
21 尾灯
22 折り返し
3 フロントフェンダー
31 前照灯
4,41,42 配線
5,6 配線固定具
51,61 長辺(折り返しに係止する辺)
52,62 短辺
53,63 配線用孔
54,64 切れ目
55,65 切欠き部分
66 接続用孔
71 雌型コネクタ
72 雄型コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7