(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037924
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】疑似体験システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230309BHJP
G16Y 20/10 20200101ALI20230309BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20230309BHJP
G16Y 20/40 20200101ALI20230309BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20230309BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20230309BHJP
【FI】
G06Q50/10
G16Y20/10
G16Y20/20
G16Y20/40
G16Y40/20
G16Y40/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144762
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】久野 江梨子
(72)【発明者】
【氏名】綱場 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】森尾 恵梨
(72)【発明者】
【氏名】岡田 有希
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】遠隔地への疑似滞在における臨場感を向上すると共に、離れた場所にいるユーザー間で疑似体験を共有できる疑似体験システムを提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、第1空間内に、嗅覚又は味覚に対する刺激を出力する第1刺激出力部と、第2空間内に、嗅覚又は味覚に対する刺激を出力する第2刺激出力部と、ユーザーからの希望場所の入力を受け付け、希望場所に応じて第1刺激出力部及び第2刺激出力が出力する刺激を決定する環境設定部と、第2空間内のユーザーの挙動を第1空間に反映する第1反映部と、第1空間内のユーザーの挙動を第2空間に反映する第2反映部と、を備える疑似体験システムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1空間内に、嗅覚又は味覚に対する刺激を出力するように構成された第1刺激出力部と、
第2空間内に、嗅覚又は味覚に対する刺激を出力するように構成された第2刺激出力部と、
ユーザーからの希望場所の入力を受け付け、前記希望場所に応じて前記第1刺激出力部及び前記第2刺激出力部が出力する刺激を決定するように構成された環境設定部と、
前記第2空間内のユーザーの挙動を前記第1空間に反映するように構成された第1反映部と、
前記第1空間内のユーザーの挙動を前記第2空間に反映するように構成された第2反映部と、
を備える、疑似体験システム。
【請求項2】
請求項1に記載の疑似体験システムであって、
前記第1空間、前記第1刺激出力部及び前記第1反映部を有すると共に、地上を走行可能な第1移動体と、
前記第2空間、前記第2刺激出力部及び前記第2反映部を有すると共に、地上を走行可能な第2移動体と、
をさらに備える、疑似体験システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の疑似体験システムであって、
前記希望場所の入力履歴に基づいて、ユーザー同士をマッチングするように構成されたマッチング部をさらに備える、疑似体験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、疑似体験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔地の環境を想起させる刺激をユーザーに与えることで、ユーザーに遠隔地の環境を疑似体験させるシステムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のシステムでは、視覚、聴覚及び触覚への刺激が用いられるが、遠隔地への疑似滞在における臨場感としては不十分である。また、疑似体験の共有が、同じ空間に存在するユーザー間に限定される。
【0005】
本開示の一局面は、遠隔地への疑似滞在における臨場感を向上すると共に、離れた場所にいるユーザー間で疑似体験を共有できる疑似体験システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、第1空間(11)内に、嗅覚又は味覚に対する刺激を出力するように構成された第1刺激出力部(13A)と、第2空間(21)内に、嗅覚又は味覚に対する刺激を出力するように構成された第2刺激出力部(23A)と、ユーザーからの希望場所の入力を受け付け、希望場所に応じて第1刺激出力部(13A)及び第2刺激出力部(23A)が出力する刺激を決定するように構成された環境設定部(53)と、第2空間(21)内のユーザーの挙動を第1空間(11)に反映するように構成された第1反映部(13B)と、第1空間(11)内のユーザーの挙動を第2空間(21)に反映するように構成された第2反映部(23B)と、を備える疑似体験システム(1)である。
【0007】
このような構成によれば、第1刺激出力部(13A)及び第2刺激出力部(23A)から出力される嗅覚又は味覚に対する刺激によって、遠隔地への疑似滞在における臨場感を向上できる。また、第1空間(11)及び第2空間(21)それぞれのユーザーの挙動が互いの空間に反映されることで、互いに離れている第1空間(11)のユーザーと第2空間(21)のユーザーとの間で疑似体験を共有することができる。
【0008】
本開示の一態様は、第1空間(11)、第1刺激出力部(13A)及び第1反映部(13B)を有すると共に、地上を走行可能な第1移動体(10)と、第2空間(21)、第2刺激出力部(23A)及び第2反映部(23B)を有すると共に、地上を走行可能な第2移動体(20)と、をさらに備えてもよい。このような構成によれば、任意の場所においてユーザーが疑似体験システム(1)を利用することができる。
【0009】
本開示の一態様は、希望場所の入力履歴に基づいて、ユーザー同士をマッチングするように構成されたマッチング部(55)をさらに備えてもよい。このような構成によれば、複数のユーザーの中から、同郷者、趣向が共通する者等を抽出し、交友関係を構築する機会を提供できる。
【0010】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態における疑似体験システムを示す模式的な構成図である。
【
図3】
図3は、移動体の派遣状況を示す模式図である。
【
図4】
図4は、
図1の情報処理装置が実行する予約処理を概略的に示すフロー図である。
【
図5】
図5は、
図1の情報処理装置が実行する配車処理を概略的に示すフロー図である。
【
図6】
図6は、
図1の第1移動体及び第2移動体が実行する処理を概略的に示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す疑似体験システム1は、互いに離れた空間に滞在する複数のユーザーU1,U2が、遠隔地への疑似滞在の体験を共有するためのシステムである。疑似体験システム1は、第1移動体10と、第2移動体20と、情報処理装置50とを備える。
【0013】
<第1移動体>
第1移動体10は、第1ユーザーU1を乗せて地上を走行可能な乗物である。第1移動体10は、例えばインターネット等のネットワーク100を介して、情報処理装置50と無線通信可能である。なお、第1移動体10には、複数のユーザーが搭乗してもよい。
【0014】
第1移動体10は、第1空間11と、運転制御部12と、空間制御部13とを有する。第1空間11は、第1ユーザーU1に疑似体験サービスを提供する滞在空間である。運転制御部12は、情報処理装置50からの指示に基づいて、目的地までの自動運転を実行する。
【0015】
空間制御部13は、第1ユーザーU1が遠隔地を想起するように第1空間11の環境を制御すると共に、第2移動体20の第2空間21と情報共有(つまり疑似体験の同期)を行う。
図2Aに示すように、空間制御部13は、第1刺激出力部13Aと、第1反映部13Bとを有する。
【0016】
第1刺激出力部13Aは、第1空間11内に、第1ユーザーU1の五感(つまり、視覚、聴覚、触覚、嗅覚及び味覚)に対する刺激を出力するように構成されている。詳細には、第1刺激出力部13Aは、少なくとも嗅覚及び味覚の一方に対する刺激を出力する。
【0017】
第1刺激出力部13Aは、表示装置131、音響装置132、入力装置133、気候再現装置134、匂い生成装置135、及び給仕装置136を有する。
【0018】
表示装置131は、例えば、遠隔地の映像を映し出すスクリーン又はディスプレイである。表示装置131は、第1空間11を囲むように、例えば、四方の壁と天井とに配置される。表示装置131は、第1ユーザーU1の視覚に対する刺激を出力する。表示装置131は、第1空間11における第1ユーザーU1の動き(例えば足踏み)に合わせて、映像の視点を変化させてもよい。
【0019】
音響装置132は、例えば、表示装置131と連動した遠隔地の音楽又は音声を立体的に出力するスピーカーである。音響装置132は、第1ユーザーU1の周囲360°を包むように音楽又は音声を出力する。音響装置132は、第1ユーザーU1の聴覚に対する刺激を出力する。
【0020】
入力装置133は、例えば、第1空間11内に投影された仮想タッチパネルである。入力装置133は、第1ユーザーU1から、疑似体験を希望する遠隔地又はイベントの設定、飲食物のリクエスト等を受け付ける。
【0021】
気候再現装置134は、表示装置131に映し出された遠隔地の気候に合わせて、第1空間11内の湿度及び温度を制御する。気候再現装置134は、第1ユーザーU1の触覚に対する刺激を出力する。気候再現装置134は、第1空間11における第1ユーザーU1の動きに合わせて、そよ風を発生させてもよい。
【0022】
匂い生成装置135は、遠隔地を想起させる匂いを第1空間11内に出力する。匂い生成装置135は、例えば、事前に、又はリアルタイムで遠隔地の匂いの成分を分析したデータに基づいて匂いを再現してもよいし、予め用意された化合物の組み合わせによって匂いを再現してもよい。過去の出来事の体験時など、匂いの成分分析を行うことが難しい環境の場合は、その環境に近いと予想される成分を予めデータ化しておき、このデータに基づいて匂い生成装置135が匂いを再現してもよい。また、匂い生成装置135は、香料を用いて匂いを再現してもよい。匂い生成装置135は、第1ユーザーU1の嗅覚に対する刺激を出力する。
【0023】
給仕装置136は、第1空間11内に飲食物を提供する。給仕装置136は、例えば、第1移動体10の外部から配達された飲食物、又は第1移動体10が移動した飲食店から提供された飲食物を第1空間11内に届ける搬送装置であってもよいし、食事を第1移動体10内で作る3Dフードプリンタ、又は3Dフードプリンタで出力された飲食物に香辛料、調味料等で味付けする調理装置であってもよい。給仕装置136は、第1ユーザーU1の味覚に対する刺激を出力する。
【0024】
第1反映部13Bは、第2空間21内の第2ユーザーU2の挙動を第1空間11に反映するように構成されている。第1反映部13Bは、後述する第2反映部23Bと共に、第1空間11と第2空間21とをネットワーク100を介して接続し、第1ユーザーU1と第2ユーザーU2とのコミュニケーションを確立させる。
【0025】
具体的には、第1反映部13Bは、第2空間21に配置されたカメラ及びマイクによって取得された画像及び音声を、第1空間11内で再生する。これらの画像及び音声は、情報処理装置50を介して、第2空間21から第1反映部13Bに送信される。
【0026】
第1反映部13Bは、例えば、ホログラム投影装置と、音声再生装置とを含む。ホログラム投影装置は、第2空間21内の第2ユーザーU2のホログラムH2を第1空間11内に投影する。このホログラムH2は、第2空間21での第2ユーザーU2の動きに伴い、リアルタイムで変化する。音声再生装置は、ホログラム投影装置と連動して、第1ユーザーU1と第2ユーザーU2との会話が可能となるように、第2ユーザーU2の音声をリアルタイムで再生する。
【0027】
<第2移動体>
図1に示す第2移動体20は、第2ユーザーU2を乗せて地上を走行可能な乗物である。第2移動体20は、第1移動体10とは独立して移動する。第2移動体20は、第1移動体10と同様に、ネットワーク100を介して、情報処理装置50と無線通信可能である。なお、第2移動体20には、複数のユーザーが搭乗してもよい。
【0028】
第2移動体20は、第2空間21と、運転制御部22と、空間制御部23とを有する。第2空間21は、第2ユーザーU2に疑似体験サービスを提供する滞在空間である。運転制御部22及び空間制御部23は、第1移動体10の運転制御部12及び空間制御部13と同様である。
【0029】
すなわち、
図2Bに示すように、第2移動体20の空間制御部23は、第2空間21内に第2ユーザーU2の五感に対する刺激を出力するように構成された第2刺激出力部23Aと、第1空間11内の第1ユーザーU1の挙動を第2空間21に反映するように構成された第2反映部23Bとを有する。
【0030】
第2刺激出力部23Aは、第1刺激出力部13Aと同様の表示装置131、音響装置132、入力装置133、気候再現装置134、匂い生成装置135、及び給仕装置136を有する。第2反映部23Bは、第1空間11内の第1ユーザーU1のホログラムH1を第2空間21内に投影する。
【0031】
<情報処理装置>
図1に示す情報処理装置50は、例えばプロセッサと、RAM、ROM等の記憶媒体と、入出力部とを備えるコンピュータである。
【0032】
情報処理装置50は、疑似体験システム1におけるサーバとして機能する。情報処理装置50は、登録部51と、配車部52と、環境設定部53と、転送部54と、マッチング部55とを有する。
【0033】
登録部51は、疑似体験システム1を利用するユーザーの登録を行う。利用を希望するユーザーは、ID及び個人情報を自身の情報処理端末(例えばスマートフォン)から登録部51に送信する。登録部51は、ユーザーの登録情報を記憶する。
【0034】
配車部52は、ユーザーからの要求に基づいて、第1移動体10及び第2移動体20をそれぞれユーザーの要望する場所へ移動させる。なお、ユーザーは、3つ以上の移動体を同時に利用することも可能である。
【0035】
例えば、
図3に示すように、配車部52は、待機ステーションP1に停車している移動体Mを、第1移動体10又は第2移動体20として、会社P2、駅P3、自宅P4、イベント会場P5、遊園地P6等の任意の場所に派遣する。
【0036】
環境設定部53は、ユーザーからの希望場所の入力を受け付ける。具体的には、ユーザーは、第1移動体10又は第2移動体20への搭乗前又は搭乗中に、自身の情報端末を用いて、疑似滞在の希望地域(例えば、国、地域等)又は希望施設(例えば、ランドマーク、イベント会場、旅館、レストラン等)を入力する。入力した希望場所の情報は、ネットワーク100を介して環境設定部53に送信される。
【0037】
また、環境設定部53は、希望場所の入力と共に、ユーザーから希望場所において体験を希望する時間の入力も受け付ける。例えば、ユーザーは、希望場所に「東京」、希望時間に「1960年代」を入力することができる。希望時間には、「日時」も入力可能である。
【0038】
環境設定部53は、ユーザーが入力した希望場所に応じて第1刺激出力部13A及び第2刺激出力部23Aが出力する刺激を決定するように構成さている。つまり、環境設定部53は、第1空間11内の第1ユーザーU1及び第2空間21内の第2ユーザーU2がそれぞれ、五感を通じて希望場所に滞在しているように感じるための刺激を、第1刺激出力部13A及び第2刺激出力部23Aに出力させる。
【0039】
具体的には、環境設定部53は、表示装置131に希望場所の希望時間における風景を表示させる。同時に、環境設定部53は、音響装置132に希望場所で聴取される音楽又は音声(例えば、現地の言語による喧噪、自然環境による音等)を出力する。
【0040】
表示装置131及び音響装置132において出力される映像及び音声は、例えば希望場所に滞在しているパートナーによってリアルタイムに配信される。また、表示装置131及び音響装置132において出力される映像及び音声は、予め録画及び録音されたアーカイブであってもよい。
【0041】
さらに、環境設定部53は、気候再現装置134を用いて、第1空間11及び第2空間21の湿度及び温度を、希望場所の湿度及び温度に調整する。また、環境設定部53は、匂い生成装置135から、希望場所を想起させる(つまり、希望場所で知覚される)匂いを出力する。このような匂いとしては、例えば市場で売られている料理の匂いが挙げられる。
【0042】
環境設定部53は、第1ユーザーU1又は第2ユーザーU2からの要望に基づいて、給仕装置136から第1空間11又は第2空間21に飲食物を提供する。環境設定部53は、必要に応じて、第1移動体10及び第2移動体20それぞれの運転制御部12,22に飲食店への移動を指示する。
【0043】
転送部54は、第1空間11内の第1ユーザーU1の挙動を取得し、第2移動体20の第2反映部23Bに転送すると共に、第2空間21内の第2ユーザーU2の挙動を取得し、第1移動体10の第1反映部13Bに転送する。
【0044】
マッチング部55は、希望場所の入力履歴に基づいて、ユーザー同士をマッチングする。具体的には、マッチング部55は、疑似体験システム1を利用したユーザーに対し、同じ又は類似の希望場所を入力した他のユーザーを紹介する。このようなユーザーの紹介は、例えば、ユーザーの情報処理端末にインストールされたアプリケーションによって行われる。
【0045】
ユーザーは、紹介された他のユーザーに対し、アプリケーション上で「友達」の登録申請を行うことができる。マッチング部55は、「友達」として登録されたユーザー間での、通話、メッセージ送信、友達同士の空間共有等のデータ通信を媒介する。
【0046】
<疑似体験の具体例>
ユーザーは、例えば、現在の季節とは異なる季節における遠隔地への疑似滞在を経験することができる。これにより、期間限定のイベント(例えば、スペインのトマト祭り、ヨーロッパのクリスマスマーケットなど)を体験することができる。また、給仕装置136から郷土料理の提供を受けることによって、遠隔地の雰囲気の中で郷土料理を味わうことができる。これにより、ユーザーが得るリラックス効果が高められる。
【0047】
また、第1反映部13B及び第2反映部23Bによって、第1空間11と第2空間21とがリンクされ、第1ユーザーU1及び第2ユーザーU2が疑似滞在を共有することができる。これにより、疑似体験の現実感を高められる。さらに、遠隔地にいる友人、足腰が弱い祖父母等との旅行の疑似体験が可能となる。
【0048】
遠隔地への疑似滞在には、例えば飛行機による移動行程を含めることができる。環境設定部53は、第1刺激出力部13A及び第2刺激出力部23Aにより、飛行機の離着陸時の映像及び音を出力することで、ユーザーに臨場感を提供する。
【0049】
疑似滞在する遠隔地がユーザーの故郷である場合、故郷にいる家族又は友人とテレビ電話をすることで、ユーザーが現実感の高い疑似帰省を体験できる。これにより、ホームシックの解消が期待される。
【0050】
希望時間の設定により、例えば、昭和の東京の風景、フランス革命時の混乱等をユーザーが疑似体験できる。これらの過去の出来事は、場所と時間とをセットにしたイベントパッケージとして提供されてもよい。ユーザーは、イベントパッケージの選択によって、過去の出来事を疑似体験できる。
【0051】
希望場所には、現実世界では到達不可能な場所が含まれてもよい。疑似体験システム1は、例えば、虫となってミクロな場所へ侵入する体験、製品となって工場の生産ラインを移動する体験、宇宙空間を旅行する体験等を提供することができる。
【0052】
ユーザーは、希望場所としてスポーツの試合が行われるスタジアムを選択することも可能である。これにより、第1空間11及び第2空間21において、スタジアムの臨場感に包まれながらスポーツを観戦することができる。
【0053】
疑似体験システム1は、希望場所における写真撮影機能を有してもよい。例えば、ユーザーは、外国の任意の場所での挙式を疑似体験しつつ、その場所での記念写真を取得することができる。
【0054】
疑似体験システム1は、第1移動体10及び第2移動体20に連結可能な補助移動体を備えてもよい。補助移動体は、例えば、温泉、キッチン等の付加機能を有する。補助移動体によって、例えば、疑似空間内での温泉の体験、外国における料理教室の体験等を実現することができる。
【0055】
<情報処理装置の処理>
以下、
図4及び
図5のフロー図を参照しつつ、情報処理装置50が実行する処理の一例について説明する。
【0056】
図4は、ユーザーから疑似体験の予約を受理する処理である。本処理では、情報処理装置50は、ユーザーに対し、疑似体験システム1を利用するためのIDを登録済みか否か確認する(ステップS110)。
【0057】
IDが登録済みの場合(S110:YES)、情報処理装置50は、ID及びパスワード(PW)の入力を受け付ける(ステップS130)。一方、IDが未登録の場合(S110:NO)、情報処理装置50は、ユーザーの入力に基づいてIDの初期登録を行った後(ステップS120)、ID及びPWの入力を受け付ける。
【0058】
ユーザーのID確認(つまりログイン)後、情報処理装置50は、ユーザーに対し、移動体の配車が必要か否か確認する(ステップS140)。配車が必要な場合(S140:YES)、情報処理装置50は、ユーザーから配車場所の入力を受け付ける(ステップS150)。
【0059】
配車が不要な場合(S140:NO)又は配車場所の入力受付後、情報処理装置50は、ユーザーから疑似体験の希望場所を含む設定情報の入力を受け付ける(ステップS160)。設定入力の完了後、情報処理装置50は、ユーザーから予約申込の入力を受け付ける(ステップS170)。
【0060】
図5は、ユーザーへの配車を行う処理である。本処理では、情報処理装置50は、処理対象のユーザーによる設定入力があるか否か判定する(ステップS210)。設定入力がない場合(S210:NO)、情報処理装置50は、配車を行わない。
【0061】
一方、設定入力がある場合(S210:YES)、情報処理装置50は、対象のユーザーによる予約入力があるか否か判定する(ステップS220)。予約入力がない場合(S220:NO)、情報処理装置50は、配車を行わない。
【0062】
一方、予約入力がある場合(S220:YES)、情報処理装置50は、対象のユーザーによる配車希望があるか否か判定する(ステップS230)。配車希望がない場合(S230:NO)、情報処理装置50は、配車を行わない。
【0063】
一方、配車希望がある場合(S230:YES)、情報処理装置50は、待機ステーションにある移動体に対し、ユーザーの指定した場所への移動を指示する(ステップS240)。
【0064】
<移動体の処理>
以下、
図6のフロー図を参照しつつ、ユーザーの搭乗時に第1移動体10及び第2移動体20が実行する処理の一例について説明する。
【0065】
本処理では、移動体は、搭乗口付近に設けられたカメラによって、ユーザーの顔認識を行う(ステップS310)。次に、移動体は、顔認識したユーザーと、移動体の予約をしているユーザーとに相違がないか(つまりエラーがあるか否か)を判定する(ステップS320)。
【0066】
エラーがある場合(S320:YES)、移動体は、ユーザーから訂正を受け付ける(ステップS330)。訂正完了後、移動体は、解錠してユーザーを乗車させる(ステップS340)。一方、エラーがない場合(S320:NO)、移動体は、直ちに解錠(S340)を行う。
【0067】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)第1刺激出力部13A及び第2刺激出力部23Aから出力される嗅覚又は味覚に対する刺激によって、遠隔地への疑似滞在における臨場感を向上できる。
【0068】
また、第1空間11及び第2空間21それぞれのユーザーの挙動が互いの空間に反映されることで、互いに離れている第1空間11の第1ユーザーU1と第2空間21の第2ユーザーU2との間で疑似体験を共有することができる。
【0069】
(1b)第1空間11及び第2空間21がそれぞれ第1移動体10又は第2移動体20の内部空間であることで、任意の場所においてユーザーが疑似体験システム1を利用することができる。
【0070】
(1c)履歴に基づいてユーザー同士をマッチングするマッチング部55によって、複数のユーザーの中から、同郷者、趣向が共通する者等を抽出し、交友関係を構築する機会を提供できる。
【0071】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0072】
(2a)上記実施形態の疑似体験システムにおいて、第1空間及び第2空間は、必ずしも移動体の内部空間でなくてもよい。例えば、第1空間及び第2空間は、それぞれ、施設の内部空間であってもよい。また、第1空間が移動体の内部空間であり、第2空間が施設の内部空間であってもよい。
【0073】
(2b)上記実施形態の疑似体験システムにおいて、第1刺激出力部及び第2刺激出力部は、必ずしもユーザーの五感全てに対する刺激を出力しなくてもよい。例えば、第1刺激出力部及び第2刺激出力部は、五感のうち嗅覚のみに対する刺激を出力してもよいし、五感のうち嗅覚及び味覚のみに対する刺激を出力してもよい。
【0074】
(2c)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0075】
1…疑似体験システム、10…第1移動体、11…第1空間、12…運転制御部、
13…空間制御部、13A…第1刺激出力部、13B…第1反映部、
20…第2移動体、21…第2空間、22…運転制御部、23…空間制御部、
23A…第2刺激出力部、23B…第2反映部、50…情報処理装置、51…登録部、
52…配車部、53…環境設定部、54…転送部、55…マッチング部、
100…ネットワーク、131…表示装置、132…音響装置、133…入力装置、
134…気候再現装置、135…生成装置、136…給仕装置。