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特開2023-37943コンクリート原料収納袋及びコンクリートの混練方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037943
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】コンクリート原料収納袋及びコンクリートの混練方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/00 20060101AFI20230309BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20230309BHJP
   B28C 5/00 20060101ALI20230309BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20230309BHJP
   B65D 81/24 20060101ALI20230309BHJP
   E04G 21/02 20060101ALN20230309BHJP
【FI】
B65D77/00 C
B65D33/00 Z
B28C5/00
B65D77/04 F
B65D81/24 E
E04G21/02 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144787
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】309013989
【氏名又は名称】ドライミックス事業協同組合
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】代田 俊秋
(72)【発明者】
【氏名】代田 恭己
【テーマコード(参考)】
2E172
3E064
3E067
4G056
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172BA01
3E064AD14
3E064BA05
3E064BA26
3E064EA04
3E064HE02
3E064HR10
3E067AA05
3E067AB64
3E067BA13A
3E067BA13B
3E067BA13C
3E067BB14A
3E067CA07
3E067EC29
3E067EE32
3E067EE60
3E067FA01
3E067FA04
3E067FC01
3E067GD10
4G056AA08
4G056CA01
4G056CB01
4G056CB15
4G056CB19
4G056CC31
4G056CD11
4G056CD14
4G056CD38
4G056CD68
(57)【要約】
【課題】 混練容器や混練器具を使用しなくてもコンクリートやモルタルを袋内部で混練することができるコンクリート原料収納袋を提供すること。
【解決手段】内部が防水処理されていると共に、多方向に揺らすことができる収納袋本体と、前記収納袋本体の内部に収納されたコンクリート骨材及びセメントと、前記収納袋本体に設けられ、前記収納袋本体の下部に水を供給することができる水供給路とで構成され、前記水供給路は、前記収納袋本体に設けられ、上端部が前記収納袋の上端部と略面一又は前記収納袋の上端部から上部に突出するとともに、下端部が前記収納袋本体の下部に位置する長さを有する管状の部材であることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が防水処理されていると共に、多方向に揺らすことができる収納袋本体と、前記収納袋本体の内部に収納されたコンクリート骨材及びセメントと、前記収納袋本体に設けられ、前記収納袋本体の下部に水を供給することができる水供給路とで構成され、前記水供給路は、前記収納袋本体に設けられ、上端部が前記収納袋の上端部と略面一又は前記収納袋の上端部から上部に突出するとともに、下端部が前記収納袋本体の下部に位置する長さを有する管状の部材であるコンクリート原料収納袋。
【請求項2】
前記収納袋本体に内装された混練手段を更に備え、前記混練手段は、前記収納袋本体に水を加えて前記コンクリート骨材及びセメントを混練する際に、前記収納袋本体を複数回に揺らし、よって、前記水、コンクリート骨材及びセメントをせん断するように混練できることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート原料収納袋。
【請求項3】
前記水供給路は、その下端部の水吐出口に斜めに切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のコンクリート原料収納袋。
【請求項4】
前記セメントは、水溶解袋に収納された状態で前記コンクリート骨材の上部に載置されるように収納されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコンクリート原料収納袋。
【請求項5】
下部内面に水を供給することができる水供給路を備えると共に、内部が防水処理され、内部に収納されたコンクリート骨材及びセメントが収納された収納袋本体に、前記水供給路を介して水を供給する水供給工程と、前記水供給工程後に前記収納袋本体を多方向に揺らすことで前記コンクリート骨材及びセメントを混練する混練工程とで構成されるコンクリートの混練方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は現場で容易に生コンクリートを製造できるように輸送することができるコンクリート原料収納袋及びコンクリートの混練方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セメントを用いてコンクリートを混練する場合には、コンクリート原料と水を混合し、混練する容器や混練器具を使用する必要があった。このような問題点を解消する発明として、特許文献1の粉粒体入り袋が存在する。この特許文献1の課題は、バケツ等の混練容器を必要としないドライモルタル等の粉粒体入り袋を提案することで、その解決手段は、袋本体の一側に切取自在の凸形の袋部が形成されているとともに、他側に開閉自在のチャック部が形成され、かつ、前記チャック部の外側に袋を閉じるシール部が形成されている袋の中に、ドライモルタル等の粉粒体が収納されているものである。
【0003】
したがって、特許文献1の粉粒体入り袋は、開閉自在のチャック部を有する密封状態の袋の中で、ドライモルタル等の粉粒体と水を混合してモルタルを作成できる。
しかしながら、上記粉粒体入り袋は、水を加えただけでは充分にモルタル等を撹拌することができないため、袋内の材料を混練するためには、袋の外(袋の外部)から袋の内(袋の内部)へと棒状体の混練器具或いはバケツを突っ込んだ状態で混練しなければならない。それ故に、混練後に、前記棒状体の混練器具の挿入先端部或いはバケツを綺麗に洗浄、乾燥等をしなければならないという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-244798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、袋の外(袋の外部)から袋の内(袋の内部)へと突っ込む混練器具を使用しなくても、コンクリートやモルタルを袋の内部で効率よくコンクリート骨材、セメント等を混練することができるコンクリート原料収納袋を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のコンクリート原料収納袋は、内部が防水処理されていると共に、多方向に揺らすことができる収納袋本体と、前記収納袋本体の内部に収納されたコンクリート骨材及びセメントと、前記収納袋本体に設けられ、前記収納袋本体の下部に水を供給することができる水供給路とで構成され、前記水供給路は、前記収納袋本体の内部に設けられ、上端部が前記収納袋の上端部と略面一又は前記収納袋の上端部から上部に突出するとともに、下端部が前記収納袋本体の下部に位置する長さを有する管状の部材であることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載のコンクリート原料収納袋の前記収納袋本体に内装された混練手段とで構成され、前記混練手段は、前記収納袋本体に水を加えて前記コンクリート骨材及びセメントを混練する際に、前記収納袋本体を複数回に揺らし、よって、前記水、コンクリート骨材及びセメントをせん断するように混練できることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載のコンクリート原料収納袋の前記水供給路は、その下端部の少なくとも一部が斜めに切り欠かれていることを特徴とする。
【0010】
請求項4のコンクリート原料収納袋の前記セメントは、水溶解袋に収納された状態で前記コンクリート骨材の上部に載置されるように収納されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載のコンクリートの混練方法は、下部内面に水を供給することができる水供給路を備えると共に、内部が防水処理され、内部に収納されたコンクリート骨材及びセメントが収納された収納袋本体に、前記水供給路を介して水を供給する水供給工程と、前記水供給工程後に前記袋本体を多方向に揺らすことで前記コンクリート骨材及びセメントを混練する混練工程とで構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1及び請求項5に記載の各発明においては、防水処理された収納袋本体の内部にセメント及びコンクリート骨材が収納し、さらに、該収納袋本体の底面付近に水を供給できる水供給路を備えているので、水を加えて収納袋本体を、例えば左右或いは前後方向に複数回揺することにより、コンクリート原料の全体に水が行き渡り、外部のバケツや混練器具等を使用せずに生コンクリートやモルタル等を製造することができる。
(2)請求項2に記載の発明も前記(1)と同様な効果が得られるとともに、混練手段を更に備えることにより効率よくコンクリートをせん断、かつ、混練することができる。
(3)請求項3に記載の発明も前記(1)~(2)と同様な効果が得られるとともに、水供給路の下端部が斜めに切り欠かれているため、収納袋本体の底面付近に効率よく水を供給することができる。
(4)請求項4に記載の発明も前記(1)~(3)と同様な効果が得られるとともに、保管時や輸送時等にセメントに水分が付着することを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1乃至図5は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図6乃至図9は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
図10乃至図13は本発明の第3の実施形態を示す説明図である。
図1】第1の実施形態を示すコンクリート原料収納袋の正面視からの説明図。
図2】第1の実施形態を示すコンクリート原料収納袋の縦断面図。
図3】収納袋本体、水供給路及び混練手段の説明図。
図4】混練工程の説明図。
図5】第1の実施形態を示すコンクリートの混練方法の工程図。
図6】第2の実施形態を示すコンクリート原料収納袋の縦断面図。
図7】収納袋本体、水供給路及び混練手段の説明図。
図8】混練工程の説明図。
図9】第2の実施形態を示すコンクリートの混練方法の工程図。
図10】第3の実施形態を示すコンクリート原料収納袋の縦断面図。
図11】収納袋本体、水供給路及び混練手段の説明図。
図12】混練工程の説明図。
図13】第3の実施形態を示すコンクリートの混練方法の工程図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至図6に示す本発明を実施するための第1の形態において、1はコンクリート原料2を収納できる本発明のコンクリート原料収納袋(以下、「収納袋」という)である。
【0015】
この収納袋1は図1及び図2に示すように、内部が防水処理された収納袋本体3と、前記収納袋本体3の内部に収納されたコンクリート骨材4及びセメント5からなるコンクリート原料2と、前記収納袋本体3の内部に設けられた混練手段6と、前記収納袋本体3の下部に水を供給することができる水供給路13とで構成されている。なお、収納袋本体3の下部とは、収納袋本体3の高さ方向(図1における上下方向)の中央部より下の部位をいうものである。
【0016】
収納袋本体3は、クラフト紙やポリエチレン、ポリプロピレン等の材料を袋状に形成したものが用いられ、クラフト紙等の紙製や布製の部材を用いる場合にはその内部は樹脂等により防水処理されている。この収納袋本体3は手や器具によって持ち上げて多方向に揺らすことができる形状に形成されており、本実施形態では、コンクリート原料2が約20kg程度収納できる大きさで、正面視において略方形状又は略矩形状に形成されている。
この収納袋本体3は、本実施形態では方形状に形成されたポリエチレン等の材料の周囲を溶着又は縫着することにより、大きさ450mm×670mm程度の袋状に形成されており、本実施形態では、溶着により袋状に形成されている。収納袋本体3は、販売時や保管時、輸送時にはコンクリート原料2を収納した状態で密閉されている。
【0017】
水供給路13は、前記収納袋本体3の内部に設けられ、上端部が前記収納袋3の上端部と略面一又は前記収納袋の上端部から上部に突出するとともに、下端部が前記収納袋本体の下部に位置する長さを有する管状の部材で、本実施形態では、収納袋本体3の側面の溶着部に沿うように設けられた下端部が開口する縦長筒状に形成されている。
【0018】
この水供給路13は収納袋本体3と同様の素材を縦長筒状となるように折りたたみ、その開放端部を溶着により固定し筒状としたものである。好ましくは、収納袋本体3の側面を溶着する際に、縦長筒状の水供給路13をまとめて溶着することが望ましい。
【0019】
なお、本実施形態では、水供給路13の一側面全体及び上端部を収納袋本体3の内側面に溶着しているが、例えば下端部付近と上端部付近を溶着してもよい。この場合、下端部付近は例えば収納袋本体3の底面及び側面を溶着した後、水供給路13を収納袋本体3の内面の角部と水供給路13の角部の位置を合わせるように収納し、この角部を収納袋本体3とともに水吐出口13bを塞がないよう斜めに溶着することが考えられる。上端部付近は収納袋本体3を密封する際に収納袋本体3とともに水供給路13の上端部付近を溶着することが望ましい。
【0020】
また、本実施形態では、水供給路13の上端部が収納袋本体3の上端部よりも上方に突出するように形成しているが、水供給路13の上端部と収納袋本体3の上端部が面一となるように溶着してもよい。このような場合、水供給路13の長さ(上下方向の寸法)を収納袋本体3の内部の高さ(上下方向の寸法)と略同一に形成してもよいが、水供給路13の長さを収納袋本体3の内部の高さよりも大きくし、水供給路13の中間部分の一部を蛇腹折り状に折りたたみ、水供給路13の上端部を収納袋本体3の上端部とともに溶着してもよい。このように水供給路13を折りたたんで溶着することにより収納袋本体3を開封し、水を注入する際に水供給路13が収納袋本体3の上部へ突出させることができ、効率よく水を注入することができる。
【0021】
本実施形態では、水供給路13の上端部の水投入口13aが収納袋本体3の上端部よりもやや上方に突出するように設けられている。この水供給路13の上端部は溶着等により封止されている。
【0022】
水供給路13の下端部は、本実施形態では、収納袋本体3の底部付近に位置する長さに形成されており、水吐出口13bはその一部が斜めに切り欠かれた切り欠き17が形成されている。このような切り欠き17を設けることにより、水供給路の下端部の断面積が大きくなり、また、横方向にも水が放出されるため、効率よく水を供給することができる。なお、水供給路13の下端部の全体を斜めに切り欠いた切り欠き17を形成しても良い。
【0023】
さらに、水供給路13の上端部付近には、好ましくは水供給路13を開封した後再び密封可能な封止手段9が設けられていることが望ましい。封止手段9としてはチャックや面ファスナー、両面テープ等を用いることができ、このような封止手段9を用いることにより、密封状態で混練することができ、コンクリート原料等をこぼすことなく混練することができる。
【0024】
ところで、本実施形態では、水供給路13は収納袋本体3の内部に設けられているが、例えば水供給路13が収納袋本体3の外部に設けられ、水吐出口13bが収納袋本体3の下部と連通するような構成としてもよい。
【0025】
コンクリート原料2は、製造する生コンクリート(モルタルを含む)の仕様により適宜変更可能なものであり、コンクリートを製造する場合には、コンクリート骨材4として、粗骨材4aと細骨材4b及びセメント5が収納されており、モルタルを製造する場合には、コンクリート骨材4として細骨材4bとセメント5が収納される。
【0026】
なお、粗骨材4aと細骨材4b及びセメント5を収納する場合には、収納袋本体3の下層から細骨材4b、粗骨材4a、セメント5の順に積層することが望ましい。また、セメント5は水溶解性の水溶解袋10に収納した状態で粗骨材4aの上部に載置した状態で収納されていることが望ましい。
【0027】
本実施形態では、収納袋本体3の内部には混練手段6が設けられている。混練手段6は、収納袋本体3に水11を加えて前記コンクリート骨材4及びセメント5を混練する際に、前記収納袋本体3を傾けることで前記水、コンクリート骨材及びセメントをせん断するように混練できるものであり、本実施形態では、収納袋本体3内部の上部付近に一端部が固定された紐部材7と、前記紐部材7の他端部に固定されたボール部材8とで構成されている。本実施形態では2つの混練手段6が設けられている。混練手段6は、コンクリート原料2の量等にあわせて1つのみ収納袋本体3の内部に設けられていてもよいし、3つ以上設けられていていてもよい。
【0028】
紐部材7はコンクリート原料2と水を混練しても破断しない程度の強度を有しており、麻ひも、金属繊維を紐状に形成したもの、高強度樹脂を紐状に形成したもの等が用いられる。
【0029】
ボール部材8は、略球形状で一定の重量を有する樹脂製又は金属製等の部材で、本実施形態では略円盤状のプラスチック板を3枚直交するように(例えばXY平面、YZ平面、ZX平面に沿うように)組み合わせて略球形状としたボール部材8を用いている。このようなボール部材8を用いることにより、ボール部材8の間にもコンクリート原料2が入り込み、ボール部材8によってもコンクリート原料2をせん断することができる。
本実施形態では、ある程度の可撓性を有する樹脂製のボール部材8を用いることで、収納袋本体3を破損させること等も防止できる。
【0030】
本発明のコンクリート原料収納袋1を製造する際には、収納袋本体3の下端部や側面を溶着等により封止し、紐部材7の上端部を収納袋本体3の内側上部付近に固定する。また、収納袋本体3の側面を溶着する際に水供給路13をともに溶着する。次に、コンクリート骨材4を収納袋本体3に収納する。なお、骨材4aと細骨材4bを用いる場合には、収納袋本体3の下層から細骨材4b、粗骨材4aの順で収納することが望ましい。次に水溶解袋に収納された状態のセメント5をコンクリート骨材4の上部に載置するように収納する。水溶解袋10にセメント5を収納しているが、シート状の水溶解部材をコンクリート骨材4の上部に敷き、その上にセメント5を収納してもよいし、水溶解部材等を用いずに直接コンクリート骨材4の上部にセメント5を収納してもよい。
【0031】
その後、収納袋本体3の上端部と水供給路13の上端部を溶着等により封止し、内部を密封状態とする。ところで、本実施形態では紐部材7の上端部は内側上部付近に固定されているが、収納袋本体3の上端部を溶着等により封止する際に紐部材7の上端部をまとめて溶着してもよい。
【0032】
本発明のコンクリート原料収納袋1を用いたコンクリートの混練方法14としては、収納袋本体3の下部内面、本実施形態では底面付近に、水供給路13を介して水を供給する水供給工程15と、前記水供給工程15後に前記収納袋本体3を多方向に揺らすことで前記コンクリート骨材4及びセメント5を混練する混練工程16とで構成されている。
【0033】
水供給工程15は、まず水供給路13の上端部を切断する等により開封し、水供給路13を介して収納袋本体3の内部の底面付近に所定量の水を注入する。その後、封止手段9により水供給路13の上端部の水投入口13aを封止する。
【0034】
混練工程16は、収納袋本体3を持ち上げて左右方向、前後方向等多方向に複数回揺らすことにより、混練手段6により水とコンクリート原料2とが効率的に混練され、生コンクリート12が製造される。
【0035】
なお、セメント5は水溶解袋10に封入されているものの、水がコンクリート骨材4と混ざり合い、水分が水溶解袋10へ到達すると水溶解袋10が溶解し、セメントがコンクリート骨材4と混ざり合う。
【0036】
このように収納袋本体3と別個に混練用の外部の容器や混練するための器具を用いる必要がないため、混練後に収納袋本体3を廃棄すればよく、容器や器具の洗浄が不要となり、後処理が非常に容易になる。
【0037】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図6乃至図13に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0038】
図6乃至図9に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、金属製で略真球状のボール部材8Aを用いた混練手段6Aにするとともに、樹脂製のパイプで形成された水供給路13Aを収納袋本体の内部に設けた点で、このような混練手段6Aや水供給路13Aを用いたコンクリート原料収納袋1Aやこのような水供給路13Aや混練手段6Aを用いた水供給工程15Aや混練工程16Aを行うコンクリートの混練方法14Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0039】
本実施形態では、収納袋本体3の内部に塩化ビニル等の樹脂製のパイプで形成された水供給路13Aが収納されており、水供給工程15Aでは、この樹脂製パイプで形成された水供給路13Aを介して収納袋本体3の底面付近に水を供給する。本実施形態では、樹脂製パイプを水供給路13Aとして用いているため、コンクリート原料2を収納した状態でも押しつぶされることなく、より容易に水を供給することができる。
【0040】
なお、この水供給路13Aは、収納袋本体3に全体が収納できる長さであってもよいが、収納袋本体3の高さよりもやや長い形状とし、収納袋本体3の上端部よりも上方にやや突出していてもよい。この場合、収納袋本体3の一部を上方へ延伸させ水供給路13Aを封止することが望ましい。本実施形態では、水吐出口13bに切り欠き17を形成していないが、第1実施形態と同様に切り欠き17を形成してもよい。
【0041】
この水供給路13Aは、収納袋本体3に固定状態で設けられていてもよいが、好ましくはフリーに動ける状態で設けられている(収納されている)ことが望ましい。そのように設けることで、混練工程16Aを行う際には水供給路13Aを取り出した状態で混練することができる。
【0042】
また、本実施形態の混練工程16Aでは、重量物である金属製のボール部材8Aを用いることにより、混練時にボール部材8Aが重力により鉛直方向に移動する力が強くなり、より効率よく混練することができる。
【0043】
図10乃至図13に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、ボール部材を有さない混練手段6Bにした点で、このような混練手段6Bを用いたコンクリート原料収納袋1Bや、このような混練手段6Bで混練工程16Bを行うコンクリートの混練方法14Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0044】
本実施形態では、図9に示すように、紐部材7の一端部を収納袋本体3の内部の上部付近に固定するとともに、該紐部材7の他端部を側面と対向する側面の下部付近に溶着等により固定することにより、紐部材7が側面視において収納袋本体3の対角線を結ぶように固定されている。収納袋本体3の内部に紐部材7を複数個固定する場合には、側面視において複数個の紐部材7が交差するように設けることで、より効率よく混練することができる。
【0045】
なお、本発明の実施形態ではボール部材を紐部材の先端部に設けたものについて説明したが、第3の実施形態のようにボール部材を有しないものであってもよいし、ボール型以外の形状の部材を紐部材の下端部に固定して混練手段としてもよい。
【0046】
また、水供給路の上端部は収納袋本体の上端部よりもやや上方に突出するように設けられているが、収納袋本体の上端部と水供給路の上端部が略面一となるように形成してもよい。
【0047】
さらに、本発明の実施形態では混練手段を設けるものについて説明したが、必ずしも混練手段を設けなくても良い。混練手段を設けない場合であっても、水供給路により収納袋本体の底面付近に水を供給できるので、十分にコンクリート原料を混練することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明はコンクリート原料を製造する産業等で利用される。
【符号の説明】
【0049】
1、1A、1B:コンクリート原料収納袋、
2:コンクリート原料、 3:収納袋本体、
4:コンクリート骨材、 5:セメント、
6、6A、6B:混練手段、 7:紐部材、
8、8A:ボール部材、 9:封止手段、
10:水溶解袋、 11:水、
12:生コンクリート、 13、13A:水供給路、
14、14A、14B:コンクリートの混練方法、
15、15A:水供給工程、 16、16A、16B:混練工程、
17:切り欠き。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13