(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003797
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】3Dプリンタ
(51)【国際特許分類】
B29C 64/209 20170101AFI20230110BHJP
B29C 64/112 20170101ALI20230110BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20230110BHJP
B29C 64/336 20170101ALI20230110BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230110BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230110BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20230110BHJP
【FI】
B29C64/209
B29C64/112
B29C64/393
B29C64/336
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105086
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】522418484
【氏名又は名称】株式会社NBA
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】藤川 正博
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213AC05
4F213AC06
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL24
4F213WL32
4F213WL74
4F213WL85
4F213WL95
(57)【要約】
【課題】3D印刷の速度が向上し、複数の素材の3D印刷による、複数の材料から成る製品の造形がより容易である3Dプリンタを提供する。
【解決手段】3Dプリンタのヘッドセット7は、互いに異なる素材を供給する複数のチューブ7Tと、各チューブ7Tの先端部に設けられており素材を吐出可能なノズル7Nと、各ノズル7Nが進退可能に入るヘッド7Hと、を備えている。3Dプリンタの制御部は、1つのノズル7Nであって他のノズル7Nに対して進行しヘッド孔7Eから突出するノズル7Nを切り替えて、進行したノズル7Nから素材を噴射により吐出させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる素材を供給する複数のチューブと、
各前記チューブの先端部に設けられており前記素材を吐出可能なノズルと、
各前記ノズルが進退可能に入るヘッドと、
一部の前記ノズルであって他のノズルに対して進行する前記ノズルを切り替えて、進行した前記ノズルから前記素材を吐出させる制御部と、
を備えている
ことを特徴とする3Dプリンタ。
【請求項2】
前記ヘッドはヘッド孔を有しており、
進行した前記ノズルは、前記ヘッド孔から突出する
ことを特徴とする請求項1に記載の3Dプリンタ。
【請求項3】
複数の前記チューブ、複数の前記ノズル、及び前記ヘッドのセットであるヘッドセットが、複数設けられており、
各前記ヘッドセットが、互いに異なるロボットアームに設けられる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の3Dプリンタ。
【請求項4】
前記ノズルは、前記素材を通すノズル孔を有しており、
前記ノズル孔の最大寸法は、1000nm以下である
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の3Dプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3D(3次元)の印刷が可能なプリンタである3Dプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の3Dプリンタとして、下記特許文献1の
図4に記載のものが知られている。この3Dプリンタのプリントヘッドは、6つの軸線を中心にして可動である工業ロボットによって動かされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような3Dプリンタは、1種類の素材を吐出可能なプリントヘッドを1個搭載した1台の工業ロボットを有している。
よって、3D印刷の速度に向上の余地がある。
又、複数の素材の3D印刷による、複数の材料から成る印刷対象物(製品)の造形に手間がかかる。
【0005】
そこで、本発明の主な目的は、3D印刷の速度が向上した3Dプリンタを提供することである。
又、本発明の別の主な目的は、複数の素材の3D印刷による、複数の材料から成る製品の造形がより容易である3Dプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、互いに異なる素材を供給する複数のチューブと、各前記チューブの先端部に設けられており前記素材を吐出可能なノズルと、各前記ノズルが進退可能に入るヘッドと、一部の前記ノズルであって他のノズルに対して進行する前記ノズルを切り替えて、進行した前記ノズルから前記素材を吐出させる制御部と、を備えていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記ヘッドはヘッド孔を有しており、進行した前記ノズルは、前記ヘッド孔から突出することを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、複数の前記チューブ、複数の前記ノズル、及び前記ヘッドのセットであるヘッドセットが、複数設けられており、各前記ヘッドセットが、互いに異なるロボットアームに設けられることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記ノズルは、前記素材を通すノズル孔を有しており、前記ノズル孔の最大寸法は、1000nm以下であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の主な効果は、3D印刷の速度が向上した3Dプリンタが提供されることである。
又、本発明の別の主な効果は、複数の素材の3D印刷による、複数の材料から成る製品の造形がより容易である3Dプリンタが提供されることである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る3Dプリンタの模式的な中央縦断面図である。
【
図2】本発明に係る3Dプリンタ(タンク及び制御装置を除く)の模式的な天井付近横断面図である。
【
図3】本発明に係る3Dプリンタにおけるロボットアームのヘッド及びその隣接部の模式的な中央縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態、及びその変更例が、適宜図面に基づいて説明される。当該形態及び変更例における前後上下左右等は、説明の便宜上定められたものであり、全体又は部材若しくは部分の移動及び印刷状況の少なくとも一方等により変化することがある。又、本発明は、当該形態及び変更例に限定されない。
【0010】
図1は、当該形態に係る3Dプリンタ1の模式的な中央縦断面図である。
3Dプリンタ1は、ハウジング2と、昇降テーブル4と、タンク6と、複数のヘッドセット7と、複数のロボットアーム8と、制御部としての制御装置9を有する。
図2は、3Dプリンタ1(タンク6及び制御装置9を除く)の模式的な天井付近横断面図である。
【0011】
ハウジング2は、箱状であり、床Fに設置されている。
ハウジング2は、天井2F、及び複数(4つ)の壁2Wを有する。
尚、ハウジング2は、フレーム状等であっても良い。
【0012】
昇降テーブル4は、昇降部4Eと、複数の支持部4Bと、を有する。
昇降部4Eは、各支持部4Bに、水平な状態で昇降可能に支持される。
尚、昇降部4Eは、水平以外の姿勢を保持可能とされ、姿勢変化可能とされても良い。
【0013】
タンク6は、複数(10種)の素材をそれぞれ貯留する。素材は、吐出可能であり、液体状である。尚、素材は、粉末状あるいはゲル状であっても良い。
タンク6は、ハウジング2外に設けられる。尚、タンク6は、ハウジング2内に設けられても良い。
【0014】
各ヘッドセット7は、ヘッド7Hと、複数のチューブ7Tと、複数のノズル7Nと、を有する。
各ヘッドセット7は、互いに異なるロボットアーム8毎に搭載される。
図3は、ヘッド7H及びその隣接部の模式的な中央縦断面図である。
【0015】
ロボットアーム8は、複数の関節8Jを有しており、物理的なあるいは仮想的な複数の回転軸を中心にして可動である。ロボットアーム8は、中空部を有する。尚、関節8Jは、ロボットアーム8毎に1個であっても良い。又、ロボットアーム8は、関節8J以外の手段で可動であっても良い。
【0016】
ヘッド7Hは、中空円錐状であり、ロボットアーム8の先端に配置されている。ヘッド7Hは、先細であり、先端部にヘッド孔7Eを有している。
【0017】
各チューブ7Tは、管状であり、タンク6における対応する素材の貯留部に接続されている。チューブ7Tは、
図3では5本描かれているところ、素材の種類数に応じ10本設けられている。各チューブ7Tは、対応する素材を受け入れ、対応する素材を供給可能である。各チューブ7Tは、ロボットアーム8及びヘッド7H内を通る。
尚、チューブ7Tは、1つの素材に対し2本以上設けられても良い。素材毎にチューブ7Tの本数が変えられても良い。又、チューブ7Tは、9本以下であっても良いし、11本以上であっても良い。
【0018】
各ノズル7Nは、チューブ7Tの先端部に設けられる。各ノズル7Nは、ヘッド7H内に配置されている。各ノズル7Nは、先細の中空円錐状であり、先端部に円状のノズル孔7Jを有している。ノズル孔7Jの直径は、1μm(マイクロメートル)以下即ち1000nm(ナノメートル)以下である。尚、ノズル孔7Jの形状は円状以外であっても良い。この場合、ノズル孔7Jの最大寸法が、1000nm以下とされる。又、ノズル孔7Jの直径(最大寸法)は、1000nmを超えても良い。ノズル孔7Jの直径(最大寸法)は、800nm以下、500nm以下、300nm以下、200nm以下、100nm以下、80nm以下、50nm以下、30nm以下、20nm以下、10nm以下、あるいは5nm以下であっても良い。
各ノズル7Nは、対応するチューブ7Tを介した押し引きにより、進退可能である。かようなチューブ7Tを介した押し引きは、チューブ7Tをアクチュエータで押すことにより行える。進行したノズル7Nの先端部は、ヘッド孔7Eから突出し、素材を噴射する位置となる。退行したノズル7Nは、ヘッド孔7Eに没入し、素材を噴射する位置から退く。ヘッド孔7Eからは、1つのノズル7Nが突出し、他のノズル7Nはヘッド孔7Eに没入する。ヘッド孔7Eから突出するノズル7Nは、切替可能である。何れか1つのノズル7Nがアクチュエータの押し出しにより進出する場合、既に進出している1つのノズル7Nは、アクチュエータを用いた引き込みにより退行し、ヘッド孔7Eに没入する。又、各ノズル7Nは、対応するチューブ7Tを通過した素材を受け入れる。ヘッド孔7Eから突出したノズル7Nは、素材を、ノズル孔7Jから噴射する。ノズル孔7Jは、素材を通す。素材の噴射は、ピストン及びポンプの少なくとも一方により行える。
尚、ノズル7Nの進退は、ノズル7Nの押し引きに変えて、あるいはノズル7Nの押し引きと共に、ヘッド7Hの移動(回転移動及び姿勢変化を含む)により行われても良い。進行したノズル7Nは、先端部のみヘッド孔7Eから突出するものに限られず、全体的にヘッド孔7Eから突出しても良いし、ヘッド孔7Eから突出せず、ヘッド孔7E内における、他のノズル7Nよりヘッド孔7Eに最も近い位置(ヘッド孔7Eを通じて素材を噴射する位置)に進行しても良い。更に、何れか1つのノズル7Nがヘッド孔7Eから突出せず、複数のノズル7Nがヘッド孔7Eから突出しても良いし、一部又は全部のノズル7Nがヘッド7Hの先端部において並べられていても良い。各ノズル7Nがヘッド孔7Eから常に出ており、素材を噴射するノズル7Nが他のノズル7Nに対して進行しても良い。各ノズル7Nからの素材の吐出は、素材の噴射に代えて、あるいは素材の噴射と共に、素材の滴下等とされても良い。一部のノズル7Nにおいて素材が噴射され、他のノズル7Nにおいて素材が滴下されても良い。
【0019】
ヘッドセット7付きのロボットアーム8の一部(9台)は、それぞれハウジング2の天井2Fから下方へ延びる状態で設けられる。これらのロボットアーム8は、仮想的な升目の頂点に配置され、3行3列で配置される。尚、天井2Fに設けられるロボットアーム8の台数は、8台以下(0台を含む)であっても良いし、10台以上であっても良い。又、天井2Fにおけるロボットアーム8の配置は、他のものであっても良い。
ヘッドセット7付きのロボットアーム8の他の一部(8台)は、それぞれハウジング2の内側面から内方へ延びる状態で設けられる。これらのロボットアーム8は、各側面毎に2台ずつ、側面への接続部(基端部)が水平に並ぶ状態で配置される。これらのロボットアーム8の基端部は、上方からみて、これらのロボットアーム8が設置される側面に最も近い天井2Fからの3台のロボットアーム8における各基端部の間に配置される。尚、側面に設けられるロボットアーム8の台数は、7台以下(0台を含む)であっても良いし、9台以上であっても良い。又、各側面におけるロボットアーム8の配置は、他のものであっても良い。
【0020】
制御装置9は、コンピュータであり、ハウジング2外に設けられる。制御装置9は、演算手段(例えばCPU)と、記憶手段(例えばメモリ)と、入力手段(例えばキーボード及びポインティングデバイスの少なくとも一方)と、出力手段(例えばモニタ)と、を有する。尚、制御装置9は、ハウジング2内に設けられても良い。又、制御装置9は、複数、協調動作可能に設けられても良く、この場合、例えば昇降テーブル4及び各ロボットアーム8の少なくとも何れかに分散して設けられても良い。
制御装置9は、昇降テーブル4に接続され、昇降部4Eの上下方向の位置を制御する。
又、制御装置9は、各ヘッドセット7に接続され、ヘッド孔7Eから突出するノズル7Nの選択状態、及び各ノズル7Nからの素材の噴射状態を制御する。
更に、制御装置9は、各ロボットアーム8に接続され、ロボットアーム8の各関節8Jの状態(ヘッド7Hの位置及び向き)を制御する。
【0021】
制御装置9(記憶手段)は、製作しようとする製品の3Dデータを記憶している。3Dデータには、所定の解像度(例えば1μm)の3D座標空間における各座標での製品形状の占有の有無、及び製品形状の占有がある場合の素材の種類が含まれる。又、制御装置9(記憶手段)は、3Dデータから演算した、昇降部4Eの位置の遷移(昇降部遷移情報)、ロボットアーム8毎の素材注入座標の遷移(アーム遷移情報)、及びヘッドセット7毎の素材注入座標の遷移に対応した素材の種類の遷移(素材注入座標と素材の種類との関係;ノズル遷移情報)を記憶している。
尚、制御装置9(記憶手段)は、昇降部遷移情報、アーム遷移情報及びノズル遷移情報のみを記憶し、3Dデータを記憶していなくても良い。昇降部遷移情報、アーム遷移情報及びノズル遷移情報の少なくとも何れかの3Dデータからの演算は、制御装置9以外(例えば外部のコンピュータ)で行われても良い。又、昇降テーブル4が省略され、昇降部遷移情報が省略されても良い。
【0022】
かような3Dプリンタ1は、例えば次のように動作する。
まず、制御装置9は、昇降部4Eを初期位置(ここでは最上位置)とする。又、制御装置9は、各ロボットアーム8によりヘッド7Hを初期位置とすると共に、ヘッド孔7Eから突出するノズル7Nの種類を初期のものとする。尚、初期状態では、制御装置9は、各ノズル7Nからの素材の噴射を停止(オフ)させている。
【0023】
次に、制御装置9は、昇降部遷移情報に基づき、昇降部4Eの位置を適宜制御すると共に、ノズル遷移情報に基づき、各ヘッドセット7に係るヘッド孔7Eから突出するノズル7Nの種類を適宜切り替え、各ロボットアーム8よってヘッド7Hを移動し、選択されたノズル7Nに係る素材を所定の座標値で所定量噴射する。噴射された素材は、そのまま固化される。
ノズル7Nのヘッド孔7Eからの突出により、素材の種類が変わってもヘッド7Hにおけるノズル孔7Jの位置が不変となることから、制御装置9によるロボットアーム8を介したヘッド7Hの位置決め制御は容易である。
【0024】
例えば、制御装置9は、まず、製品(3Dデータ)を解像度の厚み毎に仮想的な水平面で輪切りして把握された製品の層構造における最下層(下から数えて第1層)を、各ノズル7Nからの素材の噴射(オン)により、昇降部4E上に形成する。
アーム遷移情報は、当該第1層を17のエリアに分け、エリア毎に異なるロボットアーム8を当てて作成されている。よって、各ロボットアーム8は、第1層のうちの対応するエリアを、座標に対応して適宜切り替えられるノズル7Nに係る素材の噴射により形成する。各ヘッドセット7及び各ロボットアーム8によるエリア内の製品部分の形成は、適宜併行される。
【0025】
次に、制御装置9は、解像度分だけ昇降部4Eを下げ、第2層を、第1層上に、第1層と同様に、各ロボットアーム8に同時形成させる。
同様に、制御装置9は、更に解像度分だけ昇降部4Eを下げ、第k+1層を、第k層上に、各ロボットアーム8に同時形成させ、製品完成まで繰り返す。
尚、制御装置9は、製品形状(3Dデータ)に応じ、一部又は全部の層の形成において一部のヘッドセット7及び一部のロボットアーム8の少なくとも何れかを作動させなくても良い。又、制御装置9は、所定の昇降部4Eの位置で複数層(例えば10層)形成させ、その複数層の形成後、その複数層の分(例えば解像度の10倍)、昇降部4Eを下降させても良い。当該複数層の層数は、段階毎に相違しても良い。制御装置9は、昇降部4Eを一旦上昇させても良い。解像度は、上下方向と水平方向(前後左右方向)とで異なっていても良い。解像度は、前後方向と左右方向とで異なっていても良い。各ヘッド7Hの向きは、ヘッド孔7E(ノズル孔7J)が下側となる向きに限られず、ヘッド孔7E(ノズル孔7J)が左側あるいは右側となる向き等であっても良い。即ち、素材は、上方からの噴射に限定されず、側方等からの噴射がなされても良い。素材の一部又は全部は、UV(紫外線)等の電磁波により固化しあるいは固化が促進されるものであっても良い。この場合、3Dプリンタ1は、噴射された素材(固化前の素材)に電磁波を照射するランプを備えていても良い。ランプは、電磁波により固化する素材の噴射時のみに電磁波を照射しても良いし、素材の種類にかかわらず噴射時にのみに電磁波を照射しても良いし、製品の形成中に常時電磁波を照射しても良い。
【0026】
このようにして、3Dプリンタ1では、複数の素材(材質)から成る製品が形成される。
製品の形成時、素材毎に設けられるノズル7Nの群から素材を実際に噴射するノズル7Nが選択され、ノズル7N(噴射する素材の種類)が切替可能であることから、3Dプリンタ1は、4Dプリンタと捉え得る。
又、3Dプリンタ1では、ノズル孔7Jの直径が1000nm以下であることから、ナノオーダーの解像度において精緻に製品が形成されることから、3Dプリンタ1は、ナノ3Dプリンタと捉え得る。
更に、これらの点を組み合わせれば、3Dプリンタ1は、4Dナノプリンタと捉え得る。
【0027】
以上の3Dプリンタ1は、互いに異なる素材を供給する複数のチューブ7Tと、各チューブ7Tの先端部に設けられており素材を吐出可能なノズル7Nと、各ノズル7Nが進退可能に入るヘッド7Hと、1つのノズル7Nであって他のノズル7Nに対して進行しヘッド孔7Eから突出するノズル7Nを切り替えて、進行したノズル7Nから素材を噴射により吐出させる制御装置9と、を備えている。よって、複数の素材の3D印刷による、複数の材料から成る製品の造形がより容易である3Dプリンタが提供される。
又、ヘッド7Hはヘッド孔7Eを有しており、進行したノズル7Nは、ヘッド孔7Eから突出する。よって、複数の材料から成る製品の造形のための位置制御が、より容易となる。
更に、複数のチューブ7T、複数のノズル7N、及びヘッド7Hのセットであるヘッドセット7が、複数設けられており、各ヘッドセット7が、互いに異なるロボットアーム8に設けられる。よって、3D印刷の速度が向上した3Dプリンタが提供される。
加えて、ノズル7Nは、素材を通すノズル孔7Jを有しており、ノズル孔7Jの最大寸法は、1000nm以下である。よって、素子付き回路基板等の高い精度が要求される製品が作製可能となり、又極小電子部品等の小さい製品が作製可能となる。
【符号の説明】
【0028】
1・・3Dプリンタ、7・・ヘッドセット、7E・・ヘッド孔、7H・・ヘッド、7J・・ノズル孔、7N・・ノズル、7T・・チューブ、8・・ロボットアーム、9・・制御装置(制御部)。