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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038020
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】部品装着装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144899
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 洋
(72)【発明者】
【氏名】内田 守
(72)【発明者】
【氏名】平木 勉
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353EE51
5E353EE53
5E353GG01
5E353HH30
5E353JJ02
5E353JJ22
5E353JJ26
5E353JJ44
5E353KK02
5E353KK03
5E353QQ12
(57)【要約】
【課題】部品装着装置において、マークが配置されたマーク配置部の取り扱いを容易にし、部品装着時の位置ずれを補正する。
【解決手段】部品装着装置は、基台に対して相対的に移動可能に設けられ、基台側に設けられた部品供給部から部品をピックアップして基板に部品を装着する実装ヘッドと、基台側に設けられ、所定の間隔にて配置された複数のマークを有するマーク配置部と、実装ヘッドに備えられ、マークを撮像する撮像部と、撮像部による撮像画像に基づき、実装ヘッドの位置ずれ量を算出する制御部と、を備え、マーク配置部は、少なくとも、隣接して配置される第1のマーク配置部及び第2のマーク配置部によって構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に対して相対的に移動可能に設けられ、前記基台側に設けられた部品供給部から部品をピックアップして基板に前記部品を装着する実装ヘッドと、
前記基台側に設けられ、所定の間隔にて配置された複数のマークを有するマーク配置部と、
前記実装ヘッドに備えられ、前記マークを撮像する撮像部と、
前記撮像部による撮像画像に基づき、前記実装ヘッドの位置ずれ量を算出する制御部と、を備え、
前記マーク配置部は、少なくとも、隣接して配置される第1のマーク配置部及び第2のマーク配置部によって構成される、
部品装着装置。
【請求項2】
前記第1のマーク配置部及び前記第2のマーク配置部は、前記基台の法線方向から見て長方形状であり、
前記第2のマーク配置部は、前記第1のマーク配置部の長手方向の延長線上に重ならない位置に設置される、
請求項1に記載の部品装着装置。
【請求項3】
前記第2のマーク配置部は、前記第2のマーク配置部の短辺の延長線が、前記第1のマーク配置部の長辺と交差する位置に設置される、
請求項2に記載の部品装着装置。
【請求項4】
前記第2のマーク配置部は、前記第2のマーク配置部の端部の前記マークを通りかつ前記第2のマーク配置部の長辺と直交する線が、前記第1のマーク配置部の端部の前記マークを通る位置に設置される、
請求項3に記載の部品装着装置。
【請求項5】
前記第1のマーク配置部及び前記第2のマーク配置部は、前記基台の法線方向から見て長方形状であり、
前記第2のマーク配置部は、前記第1のマーク配置部の長手方向の延長線上に重なる位置に設置され、
前記撮像部は、前記第1のマーク配置部の前記マークと前記第2のマーク配置部の前記マークとを含む撮像画像を撮像し、
前記制御部は、前記撮像画像に含まれる、前記第1のマーク配置部の前記マークと前記第2のマーク配置部の前記マークとの間隔の経時変化に基づき、前記位置ずれ量を算出する、
請求項1に記載の部品装着装置。
【請求項6】
前記第1のマーク配置部及び前記第2のマーク配置部は、前記基台の法線方向から見て長方形状であり、
前記第2のマーク配置部は、前記第1のマーク配置部の長手方向の延長線上に重なる位置に設置され、
前記制御部は、前記第1のマーク配置部における少なくとも2つの前記マークの間隔と、前記第1のマーク配置部の端部の前記マークと前記第2のマーク配置部の端部の前記マークとの位置関係に基づき、前記位置ずれ量を算出する、
請求項1に記載の部品装着装置。
【請求項7】
前記第1のマーク配置部及び前記第2のマーク配置部の熱膨張係数は、前記基台の熱膨張係数よりも小さい、
請求項1から6のいずれか1項に記載の部品装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、膨張係数が低い石英ガラスで長方形状に形成され、表面に4つの円形状のマークが直線状に並んで配置されたマークプレートをベースに配設し、当該マークをカメラで撮像して、部品装着機の熱膨張による部品装着時の位置ずれを補正する部品装着システムが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/225242号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示される構成の場合、基板の大型化に伴い、マークプレートも長くなる。長いマークプレートは、取り扱いが不便である。また、長いマークプレートは、製造の難易度又はコストも高くなる傾向にある。
【0005】
本開示の目的は、マークが配置されたマーク配置部の取り扱いを容易にし、かつ、部品装着時の位置ずれを補正できる部品装着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る部品装着装置は、基台に対して相対的に移動可能に設けられ、前記基台側に設けられた部品供給部から部品をピックアップして基板に前記部品を装着する実装ヘッドと、前記基台側に設けられ、所定の間隔にて配置された複数のマークを有するマーク配置部と、前記実装ヘッドに備えられ、前記マークを撮像する撮像部と、前記撮像部による撮像画像に基づき、前記実装ヘッドの位置ずれ量を算出する制御部と、を備え、前記マーク配置部は、少なくとも、隣接して配置される第1のマーク配置部及び第2のマーク配置部によって構成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、マークが配置されたマーク配置部の取り扱いを容易にし、かつ、部品装着時の位置ずれを補正できる部品装着装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態に係る部品装着装置の平面図
図2図1における部品装着装置の部分断面図(A-A断面)
図3】第1のマーク配置部と第2のマーク配置部とを並べて基台に設置する例を示す図
図4】本実施の形態に係る第1のマーク配置部と第2のマーク配置部をずらして基台に設置する場合の一例を説明するための図
図5】本実施の形態に係る第1のマーク配置部と第2のマーク配置部とを並べて基台に設置する場合の第1の例を説明するための図
図6】本実施の形態に係る第1のマーク配置部と第2のマーク配置部とを並べて基台に設置する場合の第2の例を説明するための図
図7】本実施の形態に係る部品装着装置の制御系の構成を示すブロック図
図8】本実施の形態に係る部品実装方法の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0010】
(本実施の形態)
図1及び図2を参照して、基板に部品を実装する部品装着装置1の構成を説明する。図1は、部品装着装置1の平面図を示す。図2は、図1における部品装着装置1の部分断面図(A-A断面)を示す。
【0011】
以下、基板搬送方向(図1の紙面の左右方向)をX方向、X方向と水平面内において直交する方向(図1の紙面の上下方向)をY方向、水平面と直交する高さ方向(図2の紙面の上下方向)をZ方向と定義する。
【0012】
図1において、基台1aの中央には、X方向に基板を搬送する基板搬送機構2が配設される。基板搬送機構2は、並行に配設された2条の搬送レール2aを含んで構成される。基板搬送機構2は、上流側から搬入された基板3を搬送し、部品実装作業を実行するために設定された実装ステージに位置決めして保持する。
【0013】
基板搬送機構2の両側方には、部品供給部4が配置される。それぞれの部品供給部4には、複数のテープフィーダ5が並列に装着される。
【0014】
テープフィーダ5は、部品を収納したキャリアテープを部品供給部4の外側から基板搬送機構2に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、実装ヘッド8の部品吸着位置に部品を供給する。
【0015】
基台1a上面において、X方向の一方側の端部には、リニア駆動機構を備えたY軸ビーム6が配設される。Y軸ビーム6には、同様にリニア駆動機構を備えた2基のX軸ビーム7が、Y方向に移動自在に結合される。
【0016】
2基のX軸ビーム7には、それぞれ実装ヘッド8がX方向に移動自在に装着される。実装ヘッド8は、複数の保持ヘッドを備えた多連型ヘッドである。それぞれの保持ヘッドの下端部には、図2に示すように、部品Dを吸着して保持し個別に昇降可能な吸着ノズル8aが装着される。
【0017】
Y軸ビーム6、及び、X軸ビーム7を駆動することにより、実装ヘッド8は、X方向、及び、Y方向に自在に移動する。
【0018】
これにより、2つの実装ヘッド8は、それぞれ対応した部品供給部4のテープフィーダ5の部品吸着位置から部品Dを吸着ノズル8aによって取り出し、基板搬送機構2に位置決めされた基板3の実装点に部品Dを移送搭載する。
【0019】
Y軸ビーム6及びX軸ビーム7は、実装ヘッド8を水平方向(X方向、Y方向)に移動させるヘッド移動機構9を構成する。
【0020】
このように、実装ヘッド8は、基台1aに対して相対的に水平移動可能に設けられ、基台1a側に設けられた部品供給部4から部品Dをピックアップして基板3に実装する。
【0021】
部品供給部4と基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ10が配設される。部品供給部4から部品Dを取り出した実装ヘッド8が、部品認識カメラ10の上方を移動する際に、部品認識カメラ10は、実装ヘッド8に保持された状態の部品Dを撮像して認識する。
【0022】
実装ヘッド8には、X軸ビーム7の下面側に位置して、それぞれ実装ヘッド8と一体的に移動する基板認識カメラ11が装着される。実装ヘッド8が移動することにより、基板認識カメラ11は、基板搬送機構2に位置決めされた基板3の上方に移動し、基板3を撮像して認識する。なお、基板認識カメラ11は、撮像部と読み替えられてもよい。
【0023】
実装ヘッド8による基板3への部品実装動作において、部品認識カメラ10による部品Dの認識結果と、基板認識カメラ11による基板認識結果とに基づいて、部品Dを基板3に実装する位置(実装位置)のずれ(つまり位置ずれ)が補正される。
【0024】
実装ヘッド8をヘッド移動機構9によって移動させ、部品Dを部品供給部4から取り出して基板3に移送搭載する部品実装作業では、実装ヘッド8を部品供給部4と基板3との間で反復して移動させる実装ターンが、高頻度で実行される。この反復動作によって、ヘッド移動機構9を構成するY軸ビーム6又はX軸ビーム7のリニア駆動機構又は摺動部から熱が発生し、この熱によってY軸ビーム6又はX軸ビーム7は熱変形(例えば熱膨張)し得る。例えば、Y軸ビーム6又はX軸ビーム7は、熱変形によって、伸縮したり、曲がったり、ねじれたりし得る。熱変形の大きさはY軸ビーム6又はX軸ビーム7の温度に依存するため、Y軸ビーム6又はX軸ビーム7の形状は経時的に変化し得る。
【0025】
Y軸ビーム6又はX軸ビーム7が熱変形すると、実際に吸着ノズル8aが部品Dを基板3に搭載する実装位置と、Y軸ビーム6及びX軸ビーム7に熱変形が発生していない理想状態の実装位置(以下「理想実装位置」と称する)との間に位置ずれが生じる。
【0026】
この位置ずれを検出するために、所定の間隔で複数のマークが配置されたマーク配置部40が基台1aに設置される。すなわち、マーク配置部40は、実装ヘッド8の水平面(XY平面)の位置ずれ(X方向のずれ、Y方向のずれ)を検出するためのものである。例えば、図1に示すように、基台1aの上面に、基板搬送機構2に位置決めされた状態の基板3を周囲から囲むように、4つのマーク配置部40が設置される。なお、マーク配置部40は、マークプレート、マークバー、又は、熱補正バーといった他の用語に読み替えられてもよい。
【0027】
実装ヘッド8とともに移動する基板認識カメラ11によってマーク配置部40のマークを認識し、理想実装位置との比較を行うことにより、実装ヘッド8の水平面の位置ずれを検出できるようになっている。次に、本実施の形態に係るマーク配置部40について詳細に説明する。
【0028】
<マーク配置部の詳細>
マーク配置部40を構成する素材の熱膨張係数は、基台1aを構成する素材の熱膨張係数よりも小さい。例えば、マーク配置部40は石英ガラスを含んで構成され、基台1aは鉄を含んで構成される。石英ガラスの熱膨張係数は0.6×10-6(1/℃)であり、鉄の熱膨張係数は11.7×10-6(1/℃)であるため、マーク配置部40は、基台1aと比較して、熱膨張の割合が非常に小さい。
【0029】
マーク配置部40に石英ガラスを用いる場合、マーク配置部の長さが長くなるほど、飛躍的に製造の難易度及びコストが上昇する。また、比較的長いマーク配置部は、運搬等における取り扱いにおいても不便である。そこで、比較的短い複数のマーク配置部を基台1aに並べて設置し、1つのマーク配置部40として用いることが考えられる。しかし、複数のマーク配置部を基台1aに設置する場合、基台1aの熱膨張によってマーク配置部同士の間隔が変化し得るため、単にそれぞれのマーク配置部のマークを認識するだけでは適切に位置ずれを補正することができない。例えば、図3に示すように、第1のマーク配置部41と第2のマーク配置部42とを並べて基台1aに設置して1つのマーク配置部40を実現する場合、基台1aの熱膨張によって第1のマーク配置部41と第2のマーク配置部42との間の間隔dが広がり得る。
【0030】
このような状況に鑑みて、以下では、複数のマーク配置部を設置し、実装ヘッド8の位置ずれを補正できる部品装着装置1について説明する。
【0031】
なお、以下の説明では、第1のマーク配置部41と第2のマーク配置部42とによって1つのマーク配置部40を実現する場合について説明するが、3つ以上のマーク配置部によって1つのマーク配置部40を実現してもよい。また、以下の説明では、X軸ビーム7に沿って配置されたマーク配置部40A(図1参照)について説明するが、以下の説明は、Y軸ビーム6に沿って配置されたマーク配置部40B(図1参照)にも適用可能である。
【0032】
図4は、第1のマーク配置部41と第2のマーク配置部42をずらして基台1aに設置する場合の一例を説明するための図である。
【0033】
図4に示すように、第1のマーク配置部41は、基台1aの面(水平面又はXY面)の法線方向から見て長方形状を呈し、長手方向に所定の間隔(例えば等間隔)にて円形状のマーク43を有する。同様に、第2のマーク配置部42は、基台1aの面(水平面又はXY面)の法線方向から見て長方形状を呈し、長手方向に所定間隔(例えば等間隔)にて円形状のマーク44を有する。なお、マーク43,44の形状は、円形に限られず、多角形又は十字形などであってもよい。
【0034】
図4に示すように、第2のマーク配置部42は、第1のマーク配置部41の長手方向の延長線上に重ならない位置に隣接して設置される。
【0035】
加えて、第2のマーク配置部42は、当該第2のマーク配置部42の長手方向が、第1のマーク配置部41の長手方向に沿うように基台1aに設置されてよい。
【0036】
加えて、第2のマーク配置部42は、当該第2のマーク配置部42の短辺の延長線51が、第1のマーク配置部41の長辺52と交差(例えば直交)する位置に設置されてよい。
【0037】
加えて、第2のマーク配置部42は、当該第2のマーク配置部42の端部E2のマーク44Aを通り、かつ、当該第2のマーク配置部42の長辺53と直交する線54が、第1のマーク配置部41の端部E1のマーク43Aを通る位置に配置されてよい。これにより、基板認識カメラ11は、X軸ビーム7の何れの位置においても、第1のマーク配置部41又は第2のマーク配置部42の何れか一方の隣り合う2つのマーク43又は44を撮像できる。
【0038】
図4に示すように第1のマーク配置部41及び第2のマーク配置部42を設置する場合において、算出部30b(図7参照)は、次の(A1)から(A3)の処理によって位置ずれ量を算出する。
【0039】
(A1)算出部30bは、基板認識カメラ11による撮像画像に、第1のマーク配置部41の少なくとも2つのマーク43が撮像されている場合、第1のマーク配置部41の隣り合う2つのマーク43の間隔を用いて位置ずれ量を算出する。
【0040】
(A2)算出部30bは、基板認識カメラ11による撮像画像に、第2のマーク配置部42の少なくとも2つのマーク44が撮像されている場合、第2のマーク配置部42の隣り合う2つのマーク44の間隔を用いて位置ずれ量を算出する。
【0041】
(A3)算出部30bは、基板認識カメラ11による撮像画像に、第1のマーク配置部41のマーク43と第2のマーク配置部42のマーク44との両方が撮像されている場合、第1のマーク配置部41又は第2のマーク配置部42の何れか一方の隣り合う2つのマーク43又は44の間隔を用いて位置ずれ量を算出する。
【0042】
すなわち、第1のマーク配置部41及び第2のマーク配置部42を図4に示すように基台1aに設置し、算出部30bが上述した処理を行うことにより、位置ずれ量は、X方向の何れの位置においても、同じマーク配置部(41又は42)の隣り合う2つのマーク(43又は44)の間隔を用いて算出される。
【0043】
これにより、基台1aの熱変形により第1のマーク配置部41と第2のマーク配置部42との位置関係が変化したとしても、位置ずれ量は、基台1aの熱変形による影響を受けない。よって、部品装着時の位置ずれを精度よく補正できる。
【0044】
図5は、第1のマーク配置部41と第2のマーク配置部42とを並べて基台1aに設置する場合の第1の例を説明するための図である。
【0045】
図5に示すように、第2のマーク配置部42は、第1のマーク配置部41の長手方向の延長線上に重なる位置に隣接して設置される。
【0046】
図5に示すように第1のマーク配置部41及び第2のマーク配置部42を設置する場合において、算出部30b(図7参照)は、次のステップS11~S13の処理によって位置ずれ量を算出する。
【0047】
(S11)算出部30bは、基台1aの経時変化前の、第1のマーク配置部41と第2のマーク配置部42とが隣り合う領域において、基板認識カメラ11によって、第1のマーク配置部41の端部E1のマーク43Aと第2のマーク配置部42の端部E2のマーク44Aとの両方が撮像された撮像画像61から、マーク43Aとマーク44Aとの間隔X1を算出する。
【0048】
(S12)算出部30bは、基台1aの経時変化後のマーク43Aとマーク44Aとの両方が撮像された撮像画像61から、マーク43Aとマーク44Aとの間隔X2を算出する。
【0049】
(S13)算出部30bは、第2のマーク配置部42のマーク44を用いて位置ずれ量を算出する場合、ΔXa=X2-X1の分、マーク44の位置をX方向にずらして位置ずれ量を算出する。すなわち、算出部30bは、第1のマーク配置部41の位置を基準にして、第2のマーク配置部42の位置をX方向にΔXa分ずらす。
【0050】
このように、第1のマーク配置部41及び第2のマーク配置部42を図5に示すように基台1aに設置し、算出部30bが上述した処理を行うことにより、X方向の第2のマーク配置部42のマーク44が撮像される位置の位置ずれ量は、ΔXaによって補正される。
【0051】
これにより、基台1aの熱変形により第1のマーク配置部41と第2のマーク配置部42との位置関係(例えば間隔d)が変化したとしても、位置ずれ量は、基台1aの熱変形による影響が加味されて補正される。つまり、部品装着時の位置ずれを精度よく補正できる。
【0052】
図6は、第1のマーク配置部41と第2のマーク配置部42とを並べて基台1aに設置する場合の第2の例を説明するための図である。
【0053】
図6に示すように、第2のマーク配置部42は、第1のマーク配置部41の長手方向の延長線上に重なる位置に隣接して配置される。
【0054】
図6に示すように第1のマーク配置部41及び第2のマーク配置部42を設置する場合において、算出部30b(図7参照)は、次のステップS21~S23処理によって位置ずれ量を算出する。
【0055】
(S21)算出部30bは、第1のマーク配置部41の隣り合う2つのマーク43B、43Cの間隔X3を算出する。なお、算出部30bは、隣り合う2つのマーク43B、43Cの両方を含む1つの撮像画像からX3を算出してもよいし、隣り合う2つのマーク43B、43Cをそれぞれ含む2つの撮像画像を組み合わせてX3を算出してもよい。
【0056】
(S22)算出部30bは、第1のマーク配置部41と第2のマーク配置部42とが隣り合う領域において、第1のマーク配置部41の端部E1のマーク43Aと第2のマーク配置部42の端部E2のマーク44Aとの間隔X4を算出する。なお、算出部30bは、マーク43Aとマーク44Aの両方を含む1つの撮像画像からX4を算出してもよいし、マーク43Aとマーク44Aをそれぞれ含む2つの撮像画像を組み合わせてX4を算出してもよい。
【0057】
(S23)算出部30bは、第2のマーク配置部42のマーク44を用いて位置ずれ量を算出する場合、ΔXb=X4-X3の分、マーク44の位置をX方向にずらして位置ずれ量を算出する。
【0058】
このように、第1のマーク配置部41及び第2のマーク配置部42を図6に示すように基台1aに設置し、算出部30bが上述した処理を行うことにより、X方向の第2のマーク配置部42のマーク44が撮像される位置の位置ずれ量は、ΔXbによって補正される。
【0059】
これにより、基台1aの熱変形により第1のマーク配置部41と第2のマーク配置部42との位置関係(例えば間隔d)が変化したとしても、位置ずれ量は、基台1aの熱変形による影響が加味されて補正される。つまり、部品装着時の位置ずれを精度よく補正できる。
【0060】
なお、第1のマーク配置部41と第2のマーク配置部42とをずらして設置するスペースが基台1aに存在する場合、図4に示す設置を採用し、第1のマーク配置部41と第2のマーク配置部42とをずらして設置するスペースが基台1aに存在しない場合、図5又は図6に示す設置を採用してよい。これにより、様々なサイズ又は形状の部品装着装置1に、本実施の形態を採用することができる。
【0061】
<ハードウェア構成>
次に図7を参照して、部品装着装置1の制御系の構成について説明する。図7は、部品装着装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【0062】
制御部30は、部品装着装置1の全体制御装置である。制御部30は、CPU(Central Processing Unit)、プロセッサ、又は、コントローラといった他の用語に読み替えられてもよい。制御部30は、記憶部31に記憶された処理プログラムを実行して、部品装着装置1の基板搬送機構2、部品供給部4、実装ヘッド8、ヘッド移動機構9、及び、表示部33を制御する。
【0063】
表示部33は、部品認識カメラ10及び基板認識カメラ11の撮像画像を含む各種情報を表示する液晶ディスプレーなどである。
【0064】
記憶部31には、実装データ31a及び位置ずれ量データ31bなどの部品実装作業に使用される各種データが記憶される。記憶部31は、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ又はそれらの組み合わせによって構成されてよい。
【0065】
実装データ31aは、実装される部品Dの種類及び実装位置などのデータであり、生産対象の基板の種類ごとに記憶される。
【0066】
制御部30は、内部制御機能として、認識処理部32、実装制御部30a、及び、算出部30bを有する。
【0067】
認識処理部32は、部品認識カメラ10、及び、基板認識カメラ11による撮像画像に対して認識処理を行う。例えば、認識処理部32は、撮像画像から、部品D、基板3、又は、マーク配置部40のマーク43、44等を認識する。
【0068】
実装制御部30aは、基板搬送機構2、部品供給部4、実装ヘッド8、及び、ヘッド移動機構9を制御することにより、部品Dを部品供給部4から取り出して基板3に移送搭載する作業(部品実装作業)を行う。
【0069】
算出部30bは、上述したように、基板認識カメラ11によって撮像された撮像画像に含まれる第1のマーク配置部41及び/又は第2のマーク配置部42のマーク43,44の少なくとも2つの位置関係に基づいて、実装ヘッド8の基準位置に対する位置ずれ量を算出する。算出部30bは、算出した位置ずれ量を、位置ずれ量データ31bとして記憶部31に格納する。
【0070】
<部品実装方法>
図8を参照して、部品装着装置1によって部品Dを基板3に実装する部品実装方法の流れについて説明する。図8は、部品実装方法の流れを示すフローチャートである。
【0071】
実装制御部30aは、ヘッド移動機構9を制御して実装ヘッド8を基準位置に移動させ、基板認識カメラ11を制御して、マーク配置部40のマーク43、44を撮像する(S41)。
【0072】
認識処理部32は、ステップS41の撮像画像からマーク43、44を認識する(S42)。
【0073】
算出部30bは、上述したように、撮像画像から認識したマーク43,44の位置関係に基づいて、基準位置に位置した実装ヘッド8の位置ずれ量を算出する(S43)。算出部30bは、算出した位置ずれ量を、位置ずれ量データ31bとして記憶部31に記憶してよい。
【0074】
実装制御部30aは、部品実装作業を行う(S44)。すなわち、実装制御部30aは、実装ヘッド8を制御して、部品Dを部品供給部4から取り出して基板3に移送搭載する。このとき、実装制御部30aは、記憶部31に記憶されている位置ずれ量に基づいて、部品Dの実装位置を補正する。
【0075】
実装制御部30aは、所定の部品実装作業が完了したか否かを判定する(S45)。
【0076】
実装制御部30aは、所定の部品実装作業が完了していない場合(S45:NO)、処理をステップS44に戻す。
【0077】
実装制御部30aは、所定の部品実装作業が完了した場合(S45:YES)、本処理を終了する。本処理の終了後、部品実装済みの基板3は搬出され、次に部品を実装する基板3が搬入される。
【0078】
ステップS41~S45は、所定枚数の実装基板の生産が完了するまで繰り返し実行されてよい。
【0079】
また、ステップS41~S43の処理は、必ずしも、基板3の部品搭載が行われる毎に実行される必要はない。すなわち、ステップS41~S43は、X軸ビーム7(又はY軸ビーム6)の熱変形の時間変動(経時変化)を考慮して、所定の頻度で実行されてよい。
【0080】
(本開示のまとめ)
本開示の内容は以下のように表現できる。
【0081】
<表現1>
部品装着装置1は、基台1aに対して相対的に移動可能に設けられ、基台1a側に設けられた部品供給部4から部品Dをピックアップして基板3に部品Dを装着する実装ヘッド8と、基台1a側に設けられ、所定の間隔にて配置された複数のマーク43,44を有するマーク配置部40と、実装ヘッド8に備えられ、マーク43,44を撮像する撮像部11と、撮像部11による撮像画像に基づき、実装ヘッド8の位置ずれ量を算出する制御部30と、を備え、マーク配置部40は、少なくとも、隣接して配置される第1のマーク配置部41及び第2のマーク配置部42によって構成される。
これにより、マーク配置部40を1つの部材として取り扱う場合と比較して、第1のマーク配置部41及び第2のマーク配置部42のそれぞれの部材のサイズは小さくなるので、マーク配置部の取り扱いが容易になる。加えて、部品装着装置1は、第1のマーク配置部41及び第2のマーク配置部42にマーク43,44によって、部品装着時の位置ずれを補正できる。
【0082】
<表現2>
表現1に記載の部品装着装置1において、第1のマーク配置部41及び第2のマーク配置部42は、基台1aの法線方向から見て長方形状であり、第2のマーク配置部42は、第1のマーク配置部41の長手方向の延長線上に重ならない位置に設置されてよい。
これにより、撮像部11は、第1のマーク配置部41及び第2のマーク配置部42の長手方向の移動において、マーク43,44を撮像できる。
【0083】
<表現3>
表現2に記載の部品装着装置1において、第2のマーク配置部42は、第2のマーク配置部42の短辺の延長線が、第1のマーク配置部41の長辺と交差する位置に設置されてよい。
これにより、第1のマーク配置部41及び第2のマーク配置部42が略平行に設置されるので、撮像部11は、第1のマーク配置部41及び第2のマーク配置部42の長手方向の移動において、マーク43,44を撮像できる。
【0084】
<表現4>
表現3に記載の部品装着装置1において、第2のマーク配置部42は、第2のマーク配置部42の端部のマーク44を通りかつ第2のマーク配置部42の長辺と直交する線が、第1のマーク配置部41の端部のマーク43を通る位置に設置されてよい。
これにより、制御部30は、何れの位置においても、第1のマーク配置部41の隣り合う2つのマーク43の間隔、又は、第2のマーク配置部42の隣り合う2つのマーク44の間隔を用いて、位置ずれ量を算出することができる。この場合、基台1aの熱変形により第1のマーク配置部41と第2のマーク配置部42との位置関係が変化したとしても、位置ずれ量は、基台1aの熱変形による影響を受けない。その結果、部品装着装置1は、部品装着時の位置ずれを精度よく補正できる。
【0085】
<表現5>
表現1に記載の部品装着装置1において、第1のマーク配置部41及び第2のマーク配置部42は、基台1aの法線方向から見て長方形状であり、第2のマーク配置部42は、第1のマーク配置部41の長手方向の延長線上に重なる位置に設置され、撮像部11は、第1のマーク配置部41のマーク43と第2のマーク配置部42のマーク44とを含む撮像画像を撮像し、制御部30は、撮像画像に含まれる、第1のマーク配置部41のマーク43と第2のマーク配置部42のマーク44との間隔の経時変化に基づき、位置ずれ量を算出してよい。
これにより、制御部30は、撮像画像に含まれる、第1のマーク配置部41のマーク43と第2のマーク配置部42のマーク44との間隔の経時変化に基づき、位置ずれ量を算出することができる。すなわち、基台1aの熱変形により第1のマーク配置部41と第2のマーク配置部42との位置関係が変化したとしても、位置ずれ量は、基台1aの熱変形による影響が加味されて補正される。その結果、部品装着装置1は、部品装着時の位置ずれを精度よく補正できる。
【0086】
<表現6>
表現1に記載の部品装着装置1において、第1のマーク配置部41及び第2のマーク配置部42は、基台1aの法線方向から見て長方形状であり、第2のマーク配置部42は、第1のマーク配置部41の長手方向の延長線上に重なる位置に設置され、制御部30は、第1のマーク配置部41における少なくとも2つのマーク43の間隔と、第1のマーク配置部41の端部のマーク43Aと第2のマーク配置部42の端部のマーク44Aとの位置関係に基づき、位置ずれ量を算出してよい。
これにより、制御部30は、第1のマーク配置部41における少なくとも2つのマーク43の間隔と、第1のマーク配置部41の端部のマーク43Aと第2のマーク配置部42の端部のマーク44Aとの位置関係に基づいて、第2のマーク配置部42のマーク44が撮像される位置の位置ずれ量を補正することができる。すなわち、基台1aの熱変形により第1のマーク配置部41と第2のマーク配置部42との位置関係が変化したとしても、位置ずれ量は、基台1aの熱変形による影響が加味されて補正される。その結果、部品装着装置1は、部品装着時の位置ずれを精度よく補正できる。
【0087】
<表現7>
表現1から表現6のいずれか1項に記載の部品装着装置1において、第1のマーク配置部41及び第2のマーク配置部42の熱膨張係数は、基台1aの熱膨張係数よりも小さくてよい。
これにより、制御部30は、熱膨張係数の小さい第1のマーク配置部41及び第2のマーク配置部42を用いて、基台1aの熱膨張によって生じ得る、部品Dを基板3に実装する位置のずれ(つまり位置ずれ)を補正することができる。
【0088】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本開示の技術は、経時変化に起因する実装ヘッドの実装位置のずれを補正することができるという効果を有し、部品を基板に実装する部品実装分野において有用である。
【符号の説明】
【0090】
1 部品装着装置
1a 基台
2 基板搬送機構
2a 搬送レール
3 基板
4 部品供給部
5 テープフィーダ
6 Y軸ビーム
7 X軸ビーム
8 実装ヘッド
8a 吸着ノズル
9 ヘッド移動機構
10 部品認識カメラ
11 基板認識カメラ
30 制御部
30a 実装制御部
30b 算出部
31 記憶部
31a 実装データ
31b 位置ずれ量データ
32 認識処理部
33 表示部
40 マーク配置部
41 第1のマーク配置部
42 第2のマーク配置部
43、43A、43B、43C マーク
44、44A マーク
D 部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8