(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003803
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】NC加工装置
(51)【国際特許分類】
B23D 3/00 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
B23D3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105093
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】394017918
【氏名又は名称】クリエイティブテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】岩月 文雄
【テーマコード(参考)】
3C050
【Fターム(参考)】
3C050AB02
3C050AC02
(57)【要約】
【課題】ワークの位置決めを維持しつつ記憶した加工データを利用することができるとともに、直角な角部の形成など緻密な形状の切削加工を可能として製造コストを低減させることができるNC加工装置を提供する。
【解決手段】テーブルTに対する前後方向、左右方向又は上下方向への移動が可能とされた加工ヘッド3と、加工ヘッド3を移動させる駆動手段4と、加工データに基づいて駆動手段4の駆動を制御し、加工ヘッド3及び刃具Bの移動を数値制御可能な数値制御手段5とを具備し、刃具Bの移動を数値制御して所望の切削加工が可能とされたNC加工装置1であって、ホルダ2は、加工ヘッド3に対して回転が規制されつつ位置決めされて保持されるとともに、加工ヘッド3の前後方向、左右方向又は上下方向の移動に伴う刃具Bの移動過程でワークWを切削加工可能とされたものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを載置可能なテーブルと、
切削加工可能な刃具が取り付けられたホルダと、
前記ホルダを保持するとともに、前記テーブルに対する前後方向、左右方向又は上下方向への移動が可能とされた加工ヘッドと、
前記加工ヘッドを前記前後方向、左右方向又は上下方向に移動させる駆動手段と、
記憶された加工データに基づいて前記駆動手段の駆動を制御し、前記加工ヘッド及び前記刃具の移動を数値制御可能な数値制御手段と、
を具備し、前記数値制御手段により前記刃具の移動を数値制御して所望の切削加工が可能とされたNC加工装置であって、
前記ホルダは、前記加工ヘッドに対して回転が規制されつつ位置決めされて保持されるとともに、前記加工ヘッドの前記前後方向、左右方向又は上下方向の移動に伴う前記刃具の移動過程でワークを切削加工可能とされたことを特徴とするNC加工装置。
【請求項2】
前記ホルダは、
前記加工ヘッドに形成された取付凹部に嵌入して保持される被保持部と、
前記加工ヘッドに形成された被係止部に係止して当該加工ヘッドに対する前記ホルダの回転規制及び位置決めを可能とする係止部が形成された位置決め部と、
前記刃具が形成された刃具形成部と、
を有することを特徴とする請求項1記載のNC加工装置。
【請求項3】
前記ホルダは、前記取付凹部に対して脱着可能とされ、他の刃具が取り付けられた別個のホルダが前記取付凹部に保持可能とされたことを特徴とする請求項2記載のNC加工装置。
【請求項4】
前記刃具は、前記刃具形成部の先端部に形成された矩形状の超硬チップから成ることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のNC加工装置。
【請求項5】
前記加工ヘッド及び刃具の移動によって前記ワークの所定部位に凹形状が切削加工されるものとされ、当該刃具の移動過程で前記凹形状の壁面、底面又は勾配面が形成可能とされたことを特徴とする請求項1~4の何れか1つに記載のNC加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値制御手段により刃具の移動を数値制御して所望の切削加工が可能とされたNC加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金型の加工等、切削加工においては、通常、数値制御可能なNC加工装置が用いられる。従来のNC加工装置は、例えば特許文献1にて開示されているように、エンドミルなどの回転刃具が取り付けられた加工ヘッドと、加工ヘッドを前後方向、左右方向又は上下方向に移動させる駆動手段と、刃具の移動軌跡が設定された加工データを記憶するとともに、加工データに基づいて駆動手段の駆動を制御し、加工ヘッド及び刃具の移動を数値制御可能な数値制御手段とを具備していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、エンドミルなどの回転刃具が加工ヘッドに取り付けられ、当該回転刃具の移動を数値制御することにより切削加工するよう構成されていたので、例えば金型の所定部位に凹形状を形成する場合、その凹形状における隣り合う壁面の間の角部を直角(ピン角)にしようとしても、回転刃具の径に応じて当該角部がR形状となってしまうという不具合がある。
【0005】
そのため、凹形状がなす角部を直角にするなど緻密な形状を切削加工する場合、放電加工等による別個の加工装置が必要とされる。このように、別個の加工装置を用いた場合、ワークの位置決めが再度必要とされるとともに、CADデータ等の加工データを共用できないものがあり、製造コストが嵩んでしまうという問題があった。そこで、本出願人は、NC加工装置による継続的な加工により、記憶した加工データを利用しつつ緻密な形状の切削加工が可能なNC加工装置を鋭意検討するに至った。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ワークの位置決めを維持しつつ記憶した加工データを利用することができるとともに、直角な角部の形成など緻密な形状の切削加工を可能として製造コストを低減させることができるNC加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、ワークを載置可能なテーブルと、切削加工可能な刃具が取り付けられたホルダと、前記ホルダを保持するとともに、前記テーブルに対する前後方向、左右方向又は上下方向への移動が可能とされた加工ヘッドと、前記加工ヘッドを前記前後方向、左右方向又は上下方向に移動させる駆動手段と、記憶された加工データに基づいて前記駆動手段の駆動を制御し、前記加工ヘッド及び前記刃具の移動を数値制御可能な数値制御手段とを具備し、前記数値制御手段により前記刃具の移動を数値制御して所望の切削加工が可能とされたNC加工装置であって、前記ホルダは、前記加工ヘッドに対して回転が規制されつつ位置決めされて保持されるとともに、前記加工ヘッドの前記前後方向、左右方向又は上下方向の移動に伴う前記刃具の移動過程でワークを切削加工可能とされたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のNC加工装置において、前記ホルダは、前記加工ヘッドに形成された取付凹部に嵌入して保持される被保持部と、前記加工ヘッドに形成された被係止部に係止して当該加工ヘッドに対する前記ホルダの回転規制及び位置決めを可能とする係止部が形成された位置決め部と、前記刃具が形成された刃具形成部とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のNC加工装置において、前記ホルダは、前記取付凹部に対して脱着可能とされ、他の刃具が取り付けられた別個のホルダが前記取付凹部に保持可能とされたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3記載のNC加工装置において、前記刃具は、前記刃具形成部の先端部に形成された矩形状の超硬チップから成ることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1~4の何れか1つに記載のNC加工装置において、前記加工ヘッド及び刃具の移動によって前記ワークの所定部位に凹形状が切削加工されるものとされ、当該刃具の移動過程で前記凹形状の壁面、底面又は勾配面が形成可能とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、ホルダは、加工ヘッドに対して回転が規制されつつ位置決めされて保持されるとともに、加工ヘッドの前後方向、左右方向又は上下方向の移動に伴う刃具の移動過程でワークを切削加工可能とされたので、ワークの位置決めを維持しつつ記憶した加工データを利用することができるとともに、直角な角部の形成など緻密な形状の切削加工を可能として製造コストを低減させることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、ホルダは、加工ヘッドに形成された取付凹部に嵌入して保持される被保持部と、加工ヘッドに形成された被係止部に係止して当該加工ヘッドに対するホルダの回転規制及び位置決めを可能とする係止部が形成された位置決め部と、刃具が形成された刃具形成部とを有するので、加工ヘッドに対するホルダの回転規制及び位置決めを容易且つ確実に行わせることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、ホルダは、取付凹部に対して脱着可能とされ、他の刃具が取り付けられた別個のホルダが取付凹部に保持可能とされたので、別個のホルダに交換することによりエンドミル等の他の刃具による切削加工を継続して行わせることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、刃具は、刃具形成部の先端部に形成された矩形状の超硬チップから成るので、加工ヘッドの移動に伴う刃具の移動過程において確実且つ円滑に切削加工を行わせることができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、加工ヘッド及び刃具の移動によってワークの所定部位に凹形状が切削加工されるものとされ、当該刃具の移動過程で凹形状の壁面、底面又は勾配面が形成可能とされたので、比較的大きな寸法のワークに比較的小さな寸法の凹形状を円滑に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係るNC加工装置の全体構成を示す模式図
【
図2】同NC加工装置における加工ヘッドに刃具が取り付けられたホルダが保持された状態を示す斜視図
【
図3】同NC加工装置におけるホルダを下方から見た斜視図
【
図4】同NC加工装置におけるホルダを上方から見た斜視図
【
図5】同NC加工装置における加工ヘッドであってホルダの保持前の状態を示す斜視図
【
図6】同NC加工装置における加工ヘッドにホルダが保持された状態を示す断面図
【
図7】同NC加工装置で加工されるワークを示す平面図
【
図8】本実施形態で適用されるワークの凹形状を示す斜視図
【
図9】本実施形態で適用されるワークの凹形状に対する切削加工を示す断面図
【
図10】他の実施形態で適用されるワークの凹形状に対する切削加工を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るNC加工装置は、加工プログラムやCAD(Computer Aided Design)等のソフトウェアに基づき刃具の移動を数値制御して所望の切削加工が可能とされたもので、
図1に示すように、テーブルTと、加工ヘッド3と、刃具Bが取り付けられたホルダ2と、駆動手段4と、数値制御手段5と、記憶手段6とを具備して構成されている。
【0019】
テーブルTは、ワークWを載置可能とされたもので、床面に固設されたもの、或いは加工ヘッド3に対して相対移動するもの等であってもよい。本実施形態に適用されるワークは、例えば樹脂成型用の金型から成り、
図7に示すように、所定部位に比較的小さな寸法の凹形状Waが切削加工されるものである。本実施形態においては、かかる凹形状Waを刃具Bにより切削加工するものとされている。
【0020】
加工ヘッド3は、例えばテーブルTの上方に亘り跨った門型構造Mに支持されたもので、ホルダ2を保持するとともに、テーブルTに対する前後方向(X方向)、左右方向(Y方向)又は上下方向(Z方向)への移動が可能とされている。なお、テーブルTが床面に固設されたものの場合、加工ヘッド3はX方向、Y方向及びX方向に移動可能とされるとともに、テーブルTがX方向に移動するものの場合、加工ヘッド3はY方向及びZ方向に移動可能とされる。
【0021】
また、加工ヘッド3は、
図5、6に示すように、ホルダ2を保持するための取付凹部3aを有するとともに、その取付凹部3aの開口縁部には、固定部材7がネジ等により固定されている。かかる固定部材7の所定位置には、穴部7a(被係止部)が形成されており、ホルダ2に形成された凸部2ba(係止部)を嵌入可能とされている。
【0022】
駆動手段4は、例えばサーボモータ等の電気モータから成り、数値制御手段5による制御によって駆動して加工ヘッド3を前後方向(X方向)、左右方向(Y方向)又は上下方向(Z方向)に移動させ得るよう構成されている。なお、駆動手段4は、電気モータに代えて、油圧や空気圧のシリンダやボールネジ、リニアガイド等を用いた他の駆動手段であってもよい。
【0023】
数値制御手段5は、NC加工装置1に取り付けられたコンピュータ等から成るもので、記憶手段6に記憶された加工プログラムやCAD(Computer Aided Design)等の加工データに基づいて駆動手段4の駆動を制御し、加工ヘッド3及び刃具Bの移動を数値制御可能とされている。記憶手段6は、数値制御手段5と接続されたストレージ等から成り、所望の加工データが図示しない入力装置から入力されて記憶可能とされるとともに、数値制御手段5に対して加工データを出力し得るようになっている。
【0024】
ここで、本実施形態に係るホルダ2は、
図3、4に示すように、加工ヘッド3に形成された取付凹部3a(
図5、6参照)に嵌入して保持される被保持部2aと、加工ヘッド3に形成された穴部7a(被係止部)に係止して当該加工ヘッド3に対するホルダ2の回転規制及び位置決めを可能とする凸部2ba(係止部)が形成された位置決め部2bと、刃具Bが形成された刃具形成部2cとを有して構成されている。
【0025】
被保持部2aは、側面が所定角度のテーパ状に形成された円錐状部位から成るとともに、その上端には固定用突出部2aaが形成されている。そして、
図6に示すように、被保持部2aを加工ヘッド3の取付凹部3aに挿通すると、被保持部2aの側面が取付凹部3aの内周壁面に合致しつつ嵌入されるとともに、固定用突出部2aaが図示しない吸引器等で吸引されてホルダ2が強固に保持されるようになっている。
【0026】
位置決め部2bは、被保持部2aの下部にネジ等で固定された金属製板状部位から成り、その一部には、上方に突出形成された凸部2ba(係止部)が一体形成されている。かかる凸部2baは、加工ヘッド3に固定された固定部材7の穴部7a(係止部)(
図5参照)に嵌入可能とされており、凸部2baが穴部7aに嵌入することによって、ホルダ2の加工ヘッド3に対する回転を規制するとともに位置決め可能とされている。
【0027】
刃具形成部2cは、位置決め部2bの下部から下方に延設された角柱状部材(断面が矩形状の部材)から成り、その基端側外周には、パイプ状部材fが形成されるとともに、突端面に2つの刃具Bが取り付けられている。かかる刃具Bは、刃具形成部2cの先端部に形成された矩形状の超硬チップから成るとともに、その側面が刃具形成部2cの突端面から側方に向かって突出するように取り付けられている。
【0028】
そして、本実施形態に係るNC加工装置1によりワークWを切削加工する際、ホルダ2は、凸部2baが穴部7aに嵌入して係止されるので、加工ヘッド3に対して回転が規制されつつ位置決めされて保持されるとともに、加工ヘッド3の前後方向(X方向)、左右方向(Y方向)又は上下方向(Z方向)の移動に伴う刃具Bの移動過程でワークWを切削加工可能とされている。すなわち、本実施形態に係るNC加工装置1によれば、刃具を回転させてワークWを切削加工するのではなく、数値制御手段5の数値制御による加工ヘッド3のX、Y、Z方向に対する移動と共に刃具Bを同一方向に直線状に移動させ、その移動過程でワークWを切削加工することができるのである。
【0029】
さらに、本実施形態に係るNC加工装置1においては、ホルダ2は、取付凹部3aに対して脱着可能とされ、他の刃具(エンドミル等)が取り付けられた別個のホルダが取付凹部3aに保持可能とされている。したがって、凹形状Waを切削加工する前或いは切削加工した後、取付凹部3aに別個のホルダを保持させることにより、ワークWに対してエンドミル加工等による切削加工を行わせることができる。
【0030】
次に、本実施形態に係るNC加工装置1による加工方法について説明する。
テーブルTに載置されるワークWは、樹脂成型のための金型から成り、
図7に示すように、当該ワークWの所定部位に凹形状Waが切削加工されるものである。かかる凹形状Waは、
図8に示すように、壁面W1~W4と底面W5とを有する所謂ポケットと称される掘り込み部から成り、隣り合う壁面W1と壁面W2との間の角部P、及び隣り合う壁面W1と壁面W3との間の角部Pがそれぞれ直角になるよう切削加工される。
【0031】
先ず、エンドミル加工用の回転刃具が形成されたホルダを加工ヘッド3に取り付け、壁面W4を含む凹形状に近似した形状を形成した後、刃具Bが形成されたホルダ2を加工ヘッド3に取り付け、壁面W1~W3を切削加工する。しかるに、ワークWに切削加工すべき凹形状Waの加工データは、記憶手段6に記憶されたCADデータから得ることができ、当該加工データに基づいて加工ヘッド3を移動させることにより刃具Bを所望の移動軌跡とすることができる。
【0032】
例えば、
図9に示すように、加工ヘッド3の移動により刃具BをZ方向に移動させ、移動軌跡αとして切削加工することにより、平面状の壁面W1を形成することができる。すなわち、加工ヘッド3のZ方向の移動(移動軌跡α)において壁面W1を切削加工するとともに、X方向及びY方向の移動で加工ヘッド3の送りが可能とされるのである。このように平面状の壁面W1を形成した後、同様な方法によって壁面W2及び壁面W3を順次形成すれば、直角な角部Pを得ることができる。
【0033】
また、
図10に示すように、凹形状Waの壁面W1が所定角度勾配した勾配面W1’である場合、加工ヘッド3の移動により刃具BをZ方向及びY方向に交互に移動させ、移動軌跡βとして切削加工することにより、勾配した平面状の壁面W1を形成することができる。この場合であっても、
図9に基づく説明と同様な方法によって壁面W2及び壁面W3を順次形成すれば、直角な角部Pを得ることができる。
【0034】
上記の如き切削加工後、取付凹部3aに別個のホルダを保持させることにより、ワークWに対してエンドミル加工等による切削加工を継続して行わせることができる。すなわち、加工ヘッド3に対して互いに異なる刃具を有するホルダ2を取り付けることにより、テーブルTにワークWを載置した状態を維持しつつ異なる切削加工を継続して行わせることができるのである。
【0035】
上記実施形態によれば、ホルダ2は、加工ヘッド3に対して回転が規制されつつ位置決めされて保持されるとともに、加工ヘッド3の前後方向(X方向)、左右方向(Y方向)又は上下方向(Z方向)の移動に伴う刃具Bの移動過程でワークWを切削加工可能とされたので、ワークWの位置決めを維持しつつ記憶した加工データを利用することができるとともに、直角な角部Pの形成など緻密な形状の切削加工を可能として製造コストを低減させることができる。
【0036】
また、本実施形態に係るホルダ2は、加工ヘッド3に形成された取付凹部3aに嵌入して保持される被保持部2aと、加工ヘッド3に形成された被係止部(穴部7a)に係止して当該加工ヘッド3に対するホルダ2の回転規制及び位置決めを可能とする係止部(凸部2ba)が形成された位置決め部2bと、刃具Bが形成された刃具形成部2cとを有するので、加工ヘッド3に対するホルダ2の回転規制及び位置決めを容易且つ確実に行わせることができる。
【0037】
さらに、本実施形態に係るホルダ2は、取付凹部3aに対して脱着可能とされ、他の刃具が取り付けられた別個のホルダが取付凹部3aに保持可能とされたので、別個のホルダに交換することによりエンドミル等の他の刃具による切削加工を継続して行わせることができる。またさらに、本実施形態に係る刃具Bは、刃具形成部2cの先端部に形成された矩形状の超硬チップから成るので、加工ヘッド3の移動に伴う刃具Bの移動過程において確実且つ円滑に切削加工を行わせることができる。
【0038】
加えて、加工ヘッド3及び刃具Bの移動によってワークWの所定部位に凹形状Waが切削加工されるものとされ、当該刃具Bの移動過程で凹形状Waの壁面W1~W4、底面W5又は勾配面が形成可能とされたので、比較的大きな寸法のワークWに比較的小さな寸法の凹形状Waを円滑に形成することができる。
【0039】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、加工ヘッド3に対するホルダ2の回転規制及び位置決めを他の構成により行うことができる。例えば固定部材7に凸部から成る被係止部を形成するとともに、ホルダ2の位置決め部2bに穴部から成る係止部を形成し、穴部に凸部を嵌入してホルダ2を加工ヘッド3に係止するようにしてもよい。また、刃具Bは、加工ヘッド3の前後方向、左右方向又は上下方向の移動に伴う移動過程でワークWを切削加工可能なものであれば、矩形状の超硬チップに限らず他の形態のものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
ホルダは、加工ヘッドに対して回転が規制されつつ位置決めされて保持されるとともに、加工ヘッドの前後方向、左右方向又は上下方向の移動に伴う刃具の移動過程でワークを切削加工可能とされたNC加工装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 NC加工装置
2 ホルダ
2a 被保持部
2aa 固定用突出部
2b 位置決め部
2ba 凸部(係止部)
2c 刃具形成部
3 加工ヘッド
3a 取付凹部
4 駆動手段
5 数値制御手段
6 記憶手段
7 固定部材
7a 穴部(被係止部)
W ワーク
Wa 凹形状
T テーブル
f パイプ状部材
B 刃具