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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038033
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20230309BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230309BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
G06F3/01 510
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144919
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】丸山 博
【テーマコード(参考)】
2E185
5E555
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CC32
2E185DA17
5E555AA48
5E555BA38
5E555BB38
5E555BC04
5E555CA41
5E555CB67
5E555CB69
5E555CC01
5E555DA27
5E555DC13
5E555DC35
5E555DC37
5E555DD06
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】装着者の実際の感情を表示させ易いマスクを提供する。
【解決手段】マスク10は、装着者1の少なくとも口を覆うマスク本体部20と、それぞれが装着者1の状態を検出する2つのセンサ40,41と、マスク本体部20に設けられ、2つのセンサ40,41のそれぞれによって検出された装着者1の状態に基づいて装着者1の感情を推定する推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行う表示部60とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の少なくとも口を覆うマスク本体部と、
それぞれが前記装着者の状態を検出する2つ以上のセンサと、
前記マスク本体部に設けられ、前記2つ以上のセンサのそれぞれによって検出された前記装着者の状態に基づいて前記装着者の感情を推定する推定部によって推定された前記装着者の感情に応じた表示を行う表示部とを備える、
マスク。
【請求項2】
前記推定部をさらに備える、
請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記2つ以上のセンサは、前記装着者の外面的な状態を検出する第1センサと、前記装着者の内面的な状態を検出する第2センサとを含む、
請求項1または2に記載のマスク。
【請求項4】
前記第1センサは、ひずみセンサであり、
前記第2センサは、心拍センサである、
請求項3に記載のマスク。
【請求項5】
前記表示部は、前記推定部によって推定された前記装着者の感情に応じた光を発することによって、前記表示を行う、
請求項1から4のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項6】
前記表示部は、前記推定部によって推定された前記装着者の感情に応じた色の光を発することによって、前記表示を行う、
請求項5に記載のマスク。
【請求項7】
前記表示部は、前記推定部によって推定された前記装着者の感情に応じて光を点滅させることによって、前記表示を行う、
請求項5または6に記載のマスク。
【請求項8】
前記表示部は、1つのLED素子によって、前記表示を行う、
請求項5から7のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項9】
前記推定部によって推定された前記装着者の感情を示す情報を外部機器に送信する送信部をさらに備え、
前記外部機器は、前記送信部から送信された前記情報に基づいて、前記表示を行う、
請求項1から8のいずれか1項に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人に装着されるマスクが知られている。たとえば、マスクの一例として、特許文献1には、マスク本体部と、マスク本体部を覆うフレキシブルディスプレイと、着用者の口部の動きを検知するためのセンサとを備えるディスプレイ付きマスクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/213541号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のディスプレイ付きマスクは、装着者の実際の感情を表示させ難い。
【0005】
たとえば、装着者が本心を隠して笑顔を表示させたいと思った場合、マスクの下で作り笑いをして口部を笑顔のかたちにすれば、ディスプレイ付きマスクに笑顔を表示させることができる。その場合、一般に作り笑いであることは相手に気取られたくないものであるため、作り笑いであっても、心からの笑顔と同じ画像をフレキシブルディスプレイに表示させることになる。すなわち、装着者の実際の感情はフレキシブルディスプレイに表示されないことになる。
【0006】
ところが、人の本当の表情は、作り笑いの笑顔と本心からの笑顔とで微妙に違っており、相手がその微妙な違いを感じ取ることで、より円滑なコミュニケーションが成立する場合もある。実際の感情が表示され難いと、相手は微妙な違いを感じ取り難いため、円滑なコミュニケーションが妨げられる可能性がある。
【0007】
そこで、本開示は、装着者の実際の感情を表示させ易いマスクを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係るマスクは、装着者の少なくとも口を覆うマスク本体部と、それぞれが前記装着者の状態を検出する2つ以上のセンサと、前記マスク本体部に設けられ、前記2つ以上のセンサのそれぞれによって検出された前記装着者の状態に基づいて前記装着者の感情を推定する推定部によって推定された前記装着者の感情に応じた表示を行う表示部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示のマスクによれば、装着者の実際の感情を表示させ易い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施の形態に係るマスクを示す正面図である。
図2図2は、図1のマスクを示す背面図である。
図3図3は、図1のマスクが装着者に装着された状態を示す正面図である。
図4図4は、図1のマスクの機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、図1のマスクの動作の一例を示すシーケンス図である。
図6図6は、第2の実施の形態に係るマスクの機能構成を示すブロック図である。
図7図7は、図6のマスクと通信を行う外部機器を示す斜視図である。
図8図8は、図6のマスクの動作の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るマスク10を示す正面図である。図2は、図1のマスク10を示す背面図である。図3は、図1のマスク10が装着者1に装着された状態を示す正面図である。なお、図3では、複数の電線70,71,72の図示を省略している。また、図3では、表示部60が光を発している状態を示しており、光っている部分をドットを付して示している。図1から図3を参照して、マスク10の構成について説明する。
【0013】
図1から図3に示すように、マスク10は、装着者1の少なくとも口を覆うようにして、装着者1に装着されるマスクである。本実施の形態では、マスク10は、装着者1の両耳に引っ掛けられて装着されるマスクである。たとえば、マスク10は、プリーツ型のマスクであってもよいし、立体型のマスクであってもよいし、平型のマスクであってもよい。マスク10は、マスク本体部20と、一対の耳掛部30,31と、2つのセンサ40,41と、推定部50と、表示部60と、複数の電線70,71,72とを備えている。
【0014】
マスク本体部20は、マスク10が装着者1に装着された状態において、装着者1の少なくとも口を覆う。本実施の形態では、マスク本体部20は、マスク10が装着者1に装着された状態において、装着者1の口と鼻とを覆う。マスク本体部20は、表生地21と、裏生地22と、保持部23とを有している。
【0015】
表生地21と裏生地22とは、相互に重ねられ、表生地21の周縁部と裏生地22の周縁部とは、相互に縫い合わせられている。たとえば、表生地21および裏生地22のそれぞれは、不織布、織布、ポリウレタン、ポリエステル、コットン、リネン、またはシルク等によって形成されている。
【0016】
保持部23は、裏生地22の表面に取り付けられており、推定部50および表示部60を保持している。たとえば、保持部23は、上方が開口している袋状であり、保持部23の内方に推定部50および表示部60が収容されることによって、推定部50および表示部60を保持する。たとえば、保持部23は、不織布、織布、ポリウレタン、ポリエステル、コットン、リネン、またはシルク等によって形成されている。
【0017】
一対の耳掛部30,31は、マスク本体部20に取り付けられている。具体的には、耳掛部30は、マスク本体部20の一端部に取り付けられ、耳掛部31は、マスク本体部20の他端部に取り付けられている。一対の耳掛部30,31が装着者1の両耳に引っ掛けられることによって、マスク10が装着者1に装着される。
【0018】
2つのセンサ40,41は、マスク本体部20に設けられ、それぞれが装着者1の状態を検出する。本実施の形態では、2つのセンサ40,41は、マスク本体部20の裏生地22の表面に接着されることによって、マスク本体部20に設けられている。また、本実施の形態では、2つのセンサ40,41は、マスク10が装着者1に装着された状態において、装着者1に接触するように設けられている。なお、2つのセンサ40,41の設置位置および2つのセンサ40,41の設置方法等については特に限定されず、2つのセンサ40,41のそれぞれは、装着者1の状態を検出できるようにマスク本体部20に設けられていればよい。2つのセンサ40,41は、第1センサ40と、第2センサ41とを含んでいる。
【0019】
第1センサ40は、装着者1の外面的な状態を検出する。たとえば、装着者1の外面的な状態とは、装着者1における目に見える部分の状態である。具体的には、たとえば、装着者1の外面的な状態とは、装着者1の顔の筋肉の状態等である。本実施の形態では、第1センサ40は、マスク10が装着者1に装着された状態において装着者1に接触し、装着者1の外面的な状態を検出する。たとえば、第1センサ40は、ひずみセンサである。
【0020】
第2センサ41は、装着者1の内面的な状態を検出する。たとえば、装着者1の内面的な状態とは、装着者1における目に見えない部分の状態である。具体的には、たとえば、装着者1の内面的な状態とは、装着者1の心拍数の状態、または装着者1の体温の状態等である。本実施の形態では、第2センサ41は、マスク10が装着者1に装着された状態において装着者1に接触し、装着者1の内面的な状態を検出する。たとえば、第2センサ41は、心拍センサである。
【0021】
推定部50は、マスク本体部20に設けられ、2つのセンサ40,41のそれぞれによって検出された装着者1の状態に基づいて装着者1の感情を推定する。本実施の形態では、上述したように、推定部50は、保持部23の内方に収容されることによって、マスク本体部20に設けられている。推定部50による感情の推定の方法の詳細については後述する。なお、推定部50の設置位置および推定部50の設置方法等については特に限定されず、推定部50は、2つのセンサ40,41のそれぞれによって検出された装着者1の状態に基づいて装着者1の感情を推定できるようにマスク本体部20に設けられていればよい。たとえば、推定部50は、プロセッサ等によって構成されている。
【0022】
表示部60は、マスク本体部20に設けられ、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行う。本実施の形態では、上述したように、表示部60は、保持部23の内方に収容されることによって、マスク本体部20に設けられている。たとえば、表示部60は、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた光を発することによって、当該表示を行う。表示部60によって発せられた光は、マスク本体部20を透過し、装着者1と対面している人に視認される。これによって、装着者1と対面している人は、装着者1の感情を認識できる。なお、表示部60の設置位置および表示部60の設置方法等については特に限定されず、表示部60は、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行えるようにマスク本体部20に設けられていればよく、表示部60による表示が装着者1の周囲にいる人に視認される位置に設けられていればよい。具体的には、たとえば、表示部60は、マスク本体部20の表生地21の表面に取り付けられていてもよい。本実施の形態では、表示部60は、複数ではなく1つのLED素子(図示せず)を有するLEDチップによって構成されており、当該1つのLED素子によって、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行う。表示部60による当該表示の方法の詳細については後述する。
【0023】
複数の電線70,71,72は、マスク本体部20に設けられている。電線70は、第1センサ40と推定部50とを電気的に接続している。電線71は、第2センサ41と推定部50とを電気的に接続している。電線72は、推定部50と表示部60とを電気的に接続している。電線70および電線71のそれぞれは、表生地21と裏生地22との間に収容されている。電線72は、推定部50および表示部60とともに保持部23に収容されている。なお、複数の電線70,71,72のそれぞれの設置位置および複数の電線70,71,72のそれぞれの設置方法等については特に限定されない。電線70は、第1センサ40と推定部50とを電気的に接続できるように設けられていればよく、電線71は、第2センサ41と推定部50とを電気的に接続できるように設けられていればよく、電線72は、推定部50と表示部60とを電気的に接続できるように設けられていればよい。
【0024】
以上、マスク10の構成について説明した。
【0025】
図4は、図1のマスク10の機能構成を示すブロック図である。図4を参照して、マスク10の機能構成について説明する。
【0026】
推定部50は、第1センサ40および第2センサ41のそれぞれと電気的に接続されており、第1センサ40および第2センサ41のそれぞれによって検出された装着者1の状態に基づいて装着者1の感情を推定する。つまり、推定部50は、第1センサ40によって検出された装着者1の状態と、第2センサ41によって検出された装着者1の状態とに基づいて、装着者1の感情を推定する。
【0027】
たとえば、第1センサ40によって検出された装着者1の状態と第2センサ41によって検出された装着者1の状態との組み合わせ毎に、推定される装着者1の感情が予め定められている。具体的には、たとえば、第1センサ40によって検出された値と第2センサ41によって検出された値との組み合わせ毎に、推定される装着者1の感情が予め定められている。たとえば、第1センサ40によって検出された値が第1範囲に含まれる値であり、かつ第2センサ41によって検出された値が第2範囲に含まれる値である場合、装着者1が喜んでいると推定することが予め定められている。また、たとえば、第1センサ40によって検出された値が第1範囲に含まれる値であり、かつ第2センサ41によって検出された値が第2範囲とは異なる第3範囲に含まれる値である場合、装着者1が悲しんでいると推定することが予め定められている。
【0028】
この場合、たとえば、推定部50は、第1センサ40によって検出された値が第1範囲に含まれる値であり、かつ第2センサ41によって検出された値が第2範囲に含まれる値である場合、装着者1が喜んでいると推定する。また、たとえば、推定部50は、第1センサ40によって検出された値が第1範囲に含まれる値であり、かつ第2センサ41によって検出された値が第3範囲に含まれる値である場合、装着者1が悲しんでいると推定する。
【0029】
表示部60は、推定部50と電気的に接続されており、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行う。つまり、たとえば、表示部60は、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じて、表示の態様を変える。具体的には、たとえば、表示部60は、推定部50によって装着者1が喜んでいると推定された場合における表示の態様と、推定部50によって装着者1が悲しんでいると推定された場合における表示の態様とを変える。これによって、装着者1の周囲にいる人は、装着者1の感情を認識できる。
【0030】
たとえば、表示部60は、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた光を発することによって、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行う。たとえば、推定部50によって推定された装着者1の感情毎に、表示部60が発する光の態様が予め定められている。具体的には、たとえば、推定部50によって装着者1が喜んでいると推定された場合には第1の態様により光を発することが予め定められ、推定部50によって装着者1が悲しんでいると推定された場合には第2の態様により光を発することが予め定められている。たとえば、第1の態様は、所定の色の光を発する態様であり、第2の態様は、光を点滅させる態様である。この場合、表示部60は、推定部50によって装着者1が喜んでいると推定された場合には所定の色の光を発し、推定部50によって装着者1が悲しんでいると推定された場合には光を点滅させる。
【0031】
また、たとえば、表示部60は、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた色の光を発することによって、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行う。たとえば、推定部50によって推定された装着者1の感情毎に、表示部60が発する光の色が予め定められている。具体的には、たとえば、推定部50によって装着者1が喜んでいると推定された場合には赤色の光を発することが予め定められ、推定部50によって装着者1が悲しんでいると推定された場合には青色の光を発することが予め定められている。この場合、表示部60は、推定部50によって装着者1が喜んでいると推定された場合には赤色の光を発し、推定部50によって装着者1が悲しんでいると推定された場合には青色の光を発する。
【0032】
また、たとえば、表示部60は、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じて光を点滅させることによって、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行う。たとえば、推定部50によって推定された装着者1の感情毎に、表示部60が発する光の点滅の周期が予め定められている。具体的には、たとえば、推定部50によって装着者1が喜んでいると推定された場合には第1の周期で光を点滅させることが予め定められ、推定部50によって装着者1が悲しんでいると推定された場合には第1の周期とは異なる第2の周期で光を点滅させることが予め定められている。この場合、表示部60は、推定部50によって装着者1が喜んでいると推定された場合には第1の周期で光を点滅させ、推定部50によって装着者1が悲しんでいると推定された場合には第2の周期で光を点滅させる。
【0033】
以上、マスク10の機能構成について説明した。
【0034】
図5は、図1のマスク10の動作の一例を示すシーケンス図である。図5を参照して、マスク10の動作の一例について説明する。
【0035】
図5に示すように、第1センサ40は、装着者1の外面的な状態を検出し(ステップS1)、検出結果を推定部50に送信する(ステップS2)。具体的には、第1センサ40は、装着者1の外面的な状態を示す値等の情報を推定部50に送信する。たとえば、第1センサ40は、定期的に装着者1の外面的な状態を検出し、当該状態を検出する度に、検出した当該状態を示す情報を推定部50に送信する。
【0036】
第2センサ41は、装着者1の内面的な状態を検出し(ステップS3)、検出結果を推定部50に送信する(ステップS4)。具体的には、第2センサ41は、装着者1の内面的な状態を示す値等の情報を推定部50に送信する。たとえば、第2センサ41は、定期的に装着者1の内面的な状態を検出し、当該状態を検出する度に、検出した当該状態を示す情報を推定部50に送信する。
【0037】
推定部50は、第1センサ40および第2センサ41のそれぞれの検出結果を取得すると、これらの検出結果に基づいて装着者1の感情を推定し(ステップS5)、推定結果を表示部60に送信する(ステップS6)。具体的には、推定部50は、第1センサ40によって検出された装着者1の状態および第2センサ41によって検出された装着者1の状態に基づいて装着者1の感情を推定し、推定した装着者1の感情を示す情報を表示部60に送信する。たとえば、推定部50は、第1センサ40および第2センサ41のそれぞれの検出結果を取得する度に装着者1の感情を推定し、装着者1の感情を推定する度に、推定した当該感情を示す情報を表示部60に送信する。
【0038】
表示部60は、推定部50の推定結果を取得すると、推定結果に基づいて装着者1の感情に応じた表示を行う(ステップS7)。たとえば、表示部60は、推定部50の推定結果を取得する度に、当該表示を行う。これによって、装着者1の感情をリアルタイムで表示できる。
【0039】
以上、マスク10の動作の一例について説明した。
【0040】
上述したように、マスク10では、それぞれが装着者1の状態を検出する2つのセンサ40,41の検出結果に基づいて装着者1の感情が推定され、推定された感情に応じた表示が行われる。たとえば、装着者1が実際に喜んでいるときには装着者1が喜んでいると推定され易く、装着者1が実際に悲しんでいるときには装着者1が悲しんでいると推定され易い。このように、マスク10は、装着者1の実際の感情を推定し易く、装着者1の実際の感情を表示させ易い。
【0041】
特に、推定部50で推定された感情に応じて表示が行われるため、時として、装着者1が隠しておきたい装着者1の本当の感情(たとえば、恋心)がマスク10に表示される場合がある。そうすると、装着者1の感情がよりリアルに相手に伝わり易く、その結果、より円滑なコミュニケーションを図れる場合がある。
【0042】
以上、マスク10について説明した。
【0043】
第1の実施の形態に係るマスク10は、装着者1の少なくとも口を覆うマスク本体部20と、それぞれが装着者1の状態を検出する2つのセンサ40,41と、マスク本体部20に設けられ、2つのセンサ40,41のそれぞれによって検出された装着者1の状態に基づいて装着者1の感情を推定する推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行う表示部60とを備える。
【0044】
これによれば、それぞれが装着者1の状態を検出する2つのセンサ40,41によって検出された装着者1の状態に基づいて装着者1の感情が推定されるので、装着者1の実際の感情を推定し易い。具体的には、たとえば、装着者1が実際に喜んでいるときには装着者1が喜んでいると推定し易く、装着者1が実際に悲しんでいるときには装着者1が悲しんでいると推定し易い。したがって、装着者1の実際の感情を表示させ易い。
【0045】
また、第1の実施の形態に係るマスク10は、推定部50をさらに備える。
【0046】
これによれば、マスク10において装着者1の感情を推定できるので、装着者1の実際の感情をさらに表示させ易い。
【0047】
また、第1の実施の形態に係るマスク10において、2つのセンサ40,41は、装着者1の外面的な状態を検出する第1センサ40と、装着者1の内面的な状態を検出する第2センサ41とを含む。
【0048】
これによれば、装着者1の外面的な状態と装着者1の内面的な状態とに基づいて装着者1の感情を推定できるので、装着者1の実際の感情をさらに推定し易い。したがって、装着者1の実際の感情をさらに表示させ易い。
【0049】
また、第1の実施の形態に係るマスク10において、第1センサ40は、ひずみセンサであり、第2センサ41は、心拍センサである。
【0050】
これによれば、第1センサ40によって装着者1の顔の筋肉の状態等を検出でき、第2センサ41によって装着者1の心拍数を検出できるので、装着者1の実際の感情をさらに推定し易い。したがって、装着者1の実際の感情をさらに表示させ易い。
【0051】
また、第1の実施の形態に係るマスク10において、表示部60は、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた光を発することによって、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行う。
【0052】
これによれば、光によって装着者1の感情を表示できるので、装着者1の実際の感情をさらに表示させ易い。
【0053】
また、第1の実施の形態に係るマスク10において、表示部60は、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた色の光を発することによって、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行う。
【0054】
これによれば、光の色によって装着者1の感情を表示できるので、装着者1の実際の感情をさらに表示させ易い。
【0055】
また、第1の実施の形態に係るマスク10において、表示部60は、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じて光を点滅させることによって、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行う。
【0056】
これによれば、光の点滅によって装着者1の感情を表示できるので、装着者1の実際の感情をさらに表示させ易い。
【0057】
また、第1の実施の形態に係るマスク10において、表示部60は、1つのLED素子によって、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行う。
【0058】
これによれば、より簡素な構成で、装着者1の実際の感情を表示させ易い。
【0059】
(第2の実施の形態)
図6は、第2の実施の形態に係るマスク10aの機能構成を示すブロック図である。図6を参照して、マスク10aの構成について説明する。
【0060】
図6に示すように、マスク10aは、送信部80をさらに備えている点において、マスク10と主に異なっている。たとえば、送信部80は、保持部23(図2を参照)に収容される。
【0061】
送信部80は、推定部50によって推定された装着者1の感情を示す情報を外部機器100に送信する。たとえば、送信部80は、無線通信モジュールである。
【0062】
外部機器100は、推定部50によって推定された装着者1の感情を示す情報が送信部80から送信されると、送信部80から送信された当該情報に基づいて、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行う。
【0063】
図7は、図6のマスク10aと通信を行う外部機器100を示す斜視図である。図7に示すように、たとえば、外部機器100は、ディスプレイ101を有する画像表示機器である。たとえば、外部機器100は、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じたマーク102をディスプレイ101に表示させる等によって、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行う。
【0064】
なお、たとえば、外部機器100は、ディスプレイ101に表示されている装着者1を示すアイコンの周囲を囲むように所定の色のマークを表示させたり、当該アイコンの周囲を点滅させたりすることによって、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行ってもよい。また、たとえば、外部機器100は、表示部60と同様の方法で、当該表示を行ってもよい。また、たとえば、外部機器100は、ライブ会場のスクリーン等であってもよい。
【0065】
以上、マスク10aの構成について説明した。
【0066】
図8は、図6のマスク10aの動作の一例を示すシーケンス図である。図8を参照して、マスク10aの動作の一例について説明する。
【0067】
図8に示すように、マスク10aは、ステップS8の処理およびステップS9の処理をさらに行う点において、マスク10の動作の一例と主に異なっている。以下の説明では、マスク10の動作の一例と異なる点を中心に説明する。
【0068】
推定部50は、送信部80にも推定結果を送信する(ステップS8)。たとえば、推定部50は、表示部60に推定結果を送信するタイミングと同様のタイミングで、送信部80に推定結果を送信する。
【0069】
送信部80は、推定部50から推定結果を取得すると、取得した推定結果を外部機器100に送信する(ステップS9)。たとえば、送信部80は、推定部50から推定結果を取得する度に、取得した推定結果を外部機器100に送信する。
【0070】
外部機器100は、送信部80から推定結果を取得すると、推定結果に基づいて装着者1の感情に応じた表示を行う(ステップS10)。たとえば、外部機器100は、送信部80から推定結果を取得する度に、当該表示を行う。これによって、装着者1の感情をリアルタイムで表示できる。
【0071】
以上、マスク10aの動作の一例について説明した。
【0072】
上述したように、マスク10aでも、マスク10と同様に、それぞれが装着者1の状態を検出する2つのセンサ40,41の検出結果に基づいて装着者1の感情が推定され、推定された感情に応じた表示が行われる。したがって、マスク10aは、装着者1の実際の感情を推定し易く、装着者1の実際の感情を表示させ易い。また、マスク10aは、推定部50の推定結果を外部機器100にも送信し、外部機器100は、推定された感情に応じた表示を行うので、装着者1の感情がより認識され易い。
【0073】
以上、マスク10aについて説明した。
【0074】
第2の実施の形態に係るマスク10aは、推定部50によって推定された装着者1の感情を示す情報を外部機器100に送信する送信部80をさらに備え、外部機器100は、送信部80から送信された当該情報に基づいて、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行う。
【0075】
これによれば、外部機器100にも当該表示を行わせることができるので、装着者1の感情がより認識され易い。
【0076】
(他の実施の形態等)
以上、本開示の一つまたは複数の態様に係るマスクについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0077】
上述した実施の形態では、マスク本体部20が、装着者1の口と鼻とを覆う場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、マスク本体部は、装着者の鼻を覆わなくてもよい。
【0078】
また、上述した実施の形態では、マスク10が、装着者1の耳に引っ掛けられて装着されるマスクである場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、マスクは、装着者に頭に被さるようにして装着者に装着されるフルフェイス型のマスクであってもよい。この場合、たとえば、マスク本体部は、装着者の口、鼻、両耳および頭等を覆う。
【0079】
また、上述した実施の形態では、マスク本体部20が、表生地21と裏生地22とを有している場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、マスク本体部は、単層構造であってもよい。この場合、たとえば、2つ以上のセンサのそれぞれと推定部とを電気的に繋ぐ電線等は、マスク本体部の裏面に接着されていてもよい。
【0080】
また、上述した実施の形態では、マスク本体部20が、保持部23を有している場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、マスク本体部は、保持部を有していなくてもよい。この場合、たとえば、推定部および表示部のそれぞれは、マスク本体部の裏面に接着されていてもよい。
【0081】
また、上述した実施の形態では、マスク10が、2つのセンサ40,41を備えている場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、マスクは、3つ以上のセンサを備えていてもよい。この場合、たとえば、推定部は、3つ以上のセンサのそれぞれによって検出された装着者の状態に基づいて装着者の感情を推定してもよい。また、たとえば、マスクは、装着者の外面的な状態を検出するセンサを2つ以上備えていてもよいし、装着者の内面的な状態を検出するセンサを2つ以上備えていてもよい。この場合、たとえば、推定部は、装着者の外面的な状態を検出する2つ以上のセンサのそれぞれによって検出された装着者の状態に基づいて装着者の感情を推定してもよいし、装着者の内面的な状態を検出する2つ以上のセンサのそれぞれによって検出された装着者の状態に基づいて装着者の感情を推定してもよい。
【0082】
また、上述した実施の形態では、2つのセンサ40,41がマスク本体部20に設けられている場合について説明したが、これに限定されない。2つ以上のセンサの幾つか(全部を含む)が、マスク本体部以外に設けられていてもよい。この場合、マスク本体部以外としてはたとえば耳掛部が考えられる。たとえば、装着者の外面的な状態を検出する第1センサがマスク本体部に設けられており、装着者の内面的な状態を検出する第2センサが耳掛部に設けられていてもよい。
【0083】
また、上述した実施の形態では、2つのセンサ40,41が、ひずみセンサおよび心拍センサである場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、2つ以上のセンサは、装着者の外面的な状態を検出する第1センサとして、装着者の皮膚表面の状態の変化(シワの動き、鳥肌の発生、毛穴の開き等)を検出する触覚センサまたは画像センサ等を含んでいてもよい。また、たとえば、2つ以上のセンサは、装着者の内面的な状態を検出する第2センサとして、装着者の声色等を検出するマイク、装着者の呼気の匂い等を検出する臭気センサ、装着者の皮膚温等を検出する温度センサ、装着者の発汗およびムレ等を検出する湿度センサ、装着者の発汗等を検出する皮膚電位センサ、装着者の血流量を検出する血流センサ、装着者の皮膚表面のpHを検出するpHセンサ、ならびに装着者の皮膚の油分量を検出する油分センサ等を含んでいてもよい。
【0084】
また、上述した実施の形態では、表示部60が、1つのLED素子によって、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行う場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、表示部は、2つ以上の発光素子によって、当該表示を行ってもよい。
【0085】
また、上述した実施の形態では、複数の電線70,71,72を用いて有線で2つのセンサ40,41の検出結果を推定部50に送信する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、センサの検出結果を無線で推定部に送信してもよい。
【0086】
また、上述した実施の形態では、表示部60は、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じて光を点滅させることによって、推定部50によって推定された装着者1の感情に応じた表示を行う場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、表示部60は、第2センサ41によって検出された装着者1の心拍と同期して光を点滅させてもよい。または、第2センサ41によって検出された装着者1の心拍数に比例して(たとえば心拍数の2倍、または1.5倍で)光を点滅させてもよい。
【0087】
また、上述した実施の形態では、推定部50が、マスク本体部20に設けられている場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、推定部は、マスク本体部以外に設けられていてもよい。具体的には、たとえば、推定部は、耳掛部等に設けられていてもよい。
【0088】
また、上述した実施の形態では、マスク10が、推定部50を備えている場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、マスクは、推定部を備えていなくてもよく、推定部は、マスク以外に設けられていてもよい。たとえば、推定部は、スマホ等に設けられ、マスクは、それぞれが推定部と通信可能な送信部および受信部を備えていてもよい。たとえば、送信部および受信部のそれぞれは、マスク本体部または耳掛部に設けられる無線通信モジュールである。たとえば、送信部は、2つ以上のセンサのそれぞれによって検出された装着者の状態を示す情報を推定部に送信し、受信部は、推定部によって推定された装着者の感情を示す情報を推定部から受信して表示部に送信する。これによって、表示部は、推定部によって推定された装着者の感情に応じた表示を行うことができる。
【0089】
また、本開示の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0090】
たとえば、本開示は、上述した実施の形態のマスクとして実現されてもよい。また、本開示は、マスクの装着者の感情を推定する推定方法として実現されてもよいし、推定された当該感情を表示する表示方法として実現されてもよい。また、本開示は、推定方法および/または表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本開示は、人の顔に装着されるマスクに利用できる。
【符号の説明】
【0092】
10,10a マスク
20 マスク本体部
21 表生地
22 裏生地
23 保持部
30,31 耳掛部
40 第1センサ
41 第2センサ
50 推定部
60 表示部
70,71,72 電線
80 送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8