(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038045
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】水処理装置、水処理方法、及び水処理キット
(51)【国際特許分類】
C02F 1/32 20230101AFI20230309BHJP
B01D 27/00 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
C02F1/32
B01D27/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144936
(22)【出願日】2021-09-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1) 公開日 令和3年5月17日 公開場所 京極町役場(北海道虻田郡京極町字京極527番地) 公開者 京極町
(71)【出願人】
【識別番号】500227093
【氏名又は名称】株式会社ウォーターテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】関根 悟
【テーマコード(参考)】
4D037
4D116
【Fターム(参考)】
4D037AA01
4D037AB03
4D037BA18
4D037CA02
4D116AA07
4D116BB01
4D116BC13
4D116FF18B
4D116GG12
4D116GG21
4D116KK04
4D116QA43C
4D116QA43E
4D116QA43G
4D116QA44C
4D116QA44E
4D116QA44G
4D116QC02A
4D116QC12A
4D116VV07
4D116VV30
(57)【要約】
【課題】従来のエキノコックス及びクリプトスポリジウムの双方を共にろ過で除去する技術よりも容易、且つ、低コストで、エキノコックスの除去、及びクリプトスポリジウムを不活化する技術を提供する。
【解決手段】本発明の水処理装置は、原水をろ過してエキノコックスを除去するための、目開き1μm以上、30μm未満のフィルターを有するフィルター処理ユニットと、前記フィルター処理ユニットで処理された水に対して紫外線を照射して、当該水中のクリプトスポリジウムを不活化するための紫外線照射機を有する紫外線照射ユニットと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水をろ過してエキノコックスを除去するための、目開き1μm以上、30μm未満のフィルターを有するフィルター処理ユニットと、
前記フィルター処理ユニットで処理された水に対して紫外線を照射して、当該水中のクリプトスポリジウムを不活化するための紫外線照射機を有する紫外線照射ユニットと、を備える、
水処理装置。
【請求項2】
前記目開きが3μm以上である、
請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記フィルターがカートリッジ式のフィルターである、
請求項1又は2に記載の水処理装置。
【請求項4】
原水に対して目開き1μm以上、30μm未満のフィルターで処理することによって、エキノコックスを除去するフィルター処理工程と、
前記フィルター処理工程で処理された水に対して紫外線照射を行うことによって、当該水中のクリプトスポリジウムを不活化する紫外線照射工程と、を含む、
水処理方法。
【請求項5】
原水をろ過してエキノコックスを除去するための、目開き1μm以上、30μm未満のフィルターを有するフィルター処理ユニットと、
前記フィルター処理ユニットで処理された水に対して紫外線を照射して、当該水中のクリプトスポリジウムを不活化するための紫外線照射機を有する紫外線照射ユニットと、を備える、
原水中のエキノコックスの除去及びクリプトスポリジウムを不活化するための水処理キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置、水処理方法、及び水処理キットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、病原性原生動物除去用の分離膜及び分離膜を用いてろ過する病原性原生動物の除去方法が記載されている。特許文献2には、病原性動物を除去することを目的とした大孔径ろ過膜体を用いた浄水処理装置が記載されている。特許文献3には、エキノコックスの虫卵が存在している可能性のある井戸水、河川水等をろ過するためのカートリッジフィルタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-53164号公報
【特許文献2】特開2002-35748号公報
【特許文献3】実開昭63-20908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の限外ろ過膜(UF膜)、精密ろ過膜(MF膜)等のろ過による水処理方法は、多くの病原性原生動物に対する除去効果を有する一方で、高価であり、且つ、附帯機器が多いため維持管理が煩雑という問題がある。そのため、エキノコックス及びクリプトスポリジウムの双方を共に従来のろ過で除去する技術よりも容易に、エキノコックス及びクリプトスポリジウムの双方を除去または不活化する水処理方法が望まれる。
【0005】
本発明の一態様は、従来のエキノコックス及びクリプトスポリジウムの双方を共にろ過で除去する技術よりも容易、且つ、低コストで、エキノコックス及びクリプトスポリジウムの双方を除去または不活化する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた。その結果、エキノコックスの除去に十分なサイズの目開きのフィルター処理及び紫外線照射の二段階処理を行うことによって、前段階で、短時間の紫外線照射では殺菌が難しいエキノコックスを除去し、後段階で、クリプトスポリジウムに集約して紫外線照射を行い、不活化する技術を見出した。これにより、双方の病原性微生物に対して十分な消毒効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の一態様は、
(1)原水をろ過してエキノコックスを除去するための、目開き1μm以上、30μm未満のフィルターを有するフィルター処理ユニットと、前記フィルター処理ユニットで処理された水に対して紫外線を照射して、当該水中のクリプトスポリジウムを不活化するための紫外線照射機を有する紫外線照射ユニットと、を備える、水処理装置、
(2)原水に対して目開き1μm以上、30μm未満のフィルターで処理することによって、エキノコックスを除去するフィルター処理工程と、前記フィルター処理工程で処理された水に対して紫外線照射を行うことによって、当該水中のクリプトスポリジウムを不活化する紫外線照射工程と、を含む、水処理方法、
(3)原水をろ過してエキノコックスを除去するための、目開き1μm以上、30μm未満のフィルターを有するフィルター処理ユニットと、前記フィルター処理ユニットで処理された水に対して紫外線を照射して、当該水中のクリプトスポリジウムを不活化するための紫外線照射機を有する紫外線照射ユニットと、を備える、原水中のエキノコックスの除去及びクリプトスポリジウムを不活化するための水処理キット、
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、従来のエキノコックス及びクリプトスポリジウムの双方を共にろ過で除去する技術よりも容易、且つ、低コストで、エキノコックスの除去及びクリプトスポリジウムを不活化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一態様に係る水処理装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔水処理装置〕
本発明の一態様に係る水処理装置は、原水をろ過してエキノコックスを除去するための、目開き1μm以上、30μm未満のフィルターを有するフィルター処理ユニットと、前記フィルター処理ユニットで処理された水に対して紫外線を照射して、当該水中のクリプトスポリジウムを不活化するための紫外線照射機を有する紫外線照射ユニットと、を備える装置である。
【0011】
このような構成により、従来のエキノコックス及びクリプトスポリジウムの双方を共にろ過で除去する技術よりも容易、且つ、低コストで、エキノコックスの除去及びクリプトスポリジウムを不活化することができる。つまり、エキノコックス及びクリプトスポリジウムの双方をろ過のみで除去するために、従来、限外ろ過膜(UF膜)、精密ろ過膜(MF膜)が用いられているが、これらの設備は建設費及び維持管理費が非常に高価であり、また孔径が小さいため目詰まりし易く、洗浄設備等の附帯機器が多いため、メンテナンスが煩雑である。本発明の一態様によれば、目開き1μm以上、30μm未満のフィルターによって、まずはエキノコックスを除去する。このようなフィルターは、限外ろ過膜(UF膜)、精密ろ過膜(MF膜)に比べ孔径が大きいため、目詰まりし難く、簡単に交換できることから取り扱いが容易であり、且つ、安価である。一方、このような目開きのフィルターであるとクリプトスポリジウムのサイズに対して十分な除去効果が得られない。しかし、紫外線照射機を用いた処理によってクリプトスポリジウムも容易に不活化できる。紫外線照射機も目詰まりといった問題がないので、取り扱いが容易である。
【0012】
さらに、本発明の一態様によれば、フィルター処理ユニットによって、エキノコックスが除去されているため、紫外線照射によるクリプトスポリジウムの不活化効率がさらに向上する。エキノコックスのサイズはクリプトスポリジウムよりも大きいため、エキノコックスが存在すると、紫外線を照射した際にクリプトスポリジウムがエキノコックスの影に入り、当該クリプトスポリジウムに紫外線が当たらないリスクがある。エキノコックスが除去されていることによって、このようなリスクを抑制できる。
【0013】
以上のように、本発明の一態様によれば、水処理装置の維持管理を容易、且つ低コストにすることができる。従って、安全な水と浄水施設の持続可能な管理を提供することができるので、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標6「安全な水とトイレを世界中に」に貢献することが可能となる。
【0014】
以下、本発明の実施形態1に係る水処理装置について、
図1を参照して以下に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一態様に係る水処理装置100の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、水処理装置100は、フィルター処理ユニット10と、紫外線照射ユニット20とを備えている。
【0016】
図1における矢印は、水の流れる方向を示している。水処理装置100に供給された原水は、フィルター処理ユニット10、紫外線照射ユニット20の順に通過し、処理水として流出する。
【0017】
(フィルター処理ユニット10)
フィルター処理ユニット10は、原水をろ過してエキノコックスを除去するためのユニットである。フィルター処理ユニット10は、フィルター11を備えている。フィルター処理ユニット10に備えられているフィルター11は、1個以上であればよく、その個数は、処理水量により適宜設定すればよい。フィルター処理ユニット10におけるエキノコックスの除去率は、98%以上が好ましく、99%以上がより好ましく、99.9%以上がさらに好ましい。
【0018】
フィルター11の目開きは、1μm以上、30μm未満であればよい。目開きの下限は、圧力損失の観点から、3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。また、目開きの上限は、30μm程度の大きさであるエキノコックスをより好適に除去する観点から、25μm以下が好ましい。これらの範囲であれば、エキノコックスを十分に除去することができる。
【0019】
フィルター11は、維持管理のし易さの観点から、カートリッジ式であることがより好ましい。使用者は、フィルター11の除去能が劣化して、目的の除去率及び/又は圧力損失が得られなくなった場合には、新たなカートリッジと交換することができる。このような構成により、維持管理がより容易な水処理装置を提供することができる。
【0020】
フィルター11の形状は、特に限定されず、例えば、従来公知のプリーツタイプ、メンブレンタイプ等のフィルターを用いることができる。フィルター11の長さは、特に限定されず、処理水量により適宜選択することができる。フィルター11の材質は、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスルフォン等が挙げられる。
【0021】
フィルター11の一例を以下に示す。すなわち、フィルター11として、ゼット工業株式会社製のZPL-010、ZPL-030、ZPL-050、ZPL-100、及びZFP25等が挙げられる。これらのフィルターを使用する場合、使用期間は6カ月~1年程度が好ましい。
【0022】
フィルター処理ユニット10は、フィルター11の他に、フィルターハウジング、圧力計、及び空気抜弁等を備えていてもよい。フィルターハウジングの材質は、錆びにくさの観点から、ステンレスであってもよい。
【0023】
(紫外線照射ユニット20)
紫外線照射ユニット20は、フィルター処理ユニット10で処理された水に対して紫外線を照射して、当該水中のクリプトスポリジウムを不活化するためのユニットである。紫外線照射ユニット20は、紫外線照射機21を備えている。紫外線照射ユニット20におけるクリプトスポリジウムの不活化率は、99%以上が好ましく、99.9%以上がより好ましい。
【0024】
紫外線照射機21は、クリプトスポリジウムの不活化効果を有するものであればよく、従来提案されている種々の構成のものを適宜使用することができる。好ましくは、公益財団法人 水道技術研究センター(JWRC)の技術審査基準適合認定品である。紫外線照射機21は、紫外線ランプの他に、スリーブ、洗浄機構、温度センサ、及び紫外線センサ等を備えていてもよい。
【0025】
紫外線照射機21の紫外線ランプは、特に限定されず、低圧ランプ、中圧ランプ、発光ダイオード等が挙げられる。紫外線の波長範囲は200nm以上、300nm以下が好ましく、253.7nmの波長がより好ましい。
【0026】
紫外線照射機21の構造としては、例えば、内照式管路密閉型U字流方式等が挙げられる。紫外線ランプとしては、例えば、直線型低圧ランプ等が挙げられる。また、クリプトスポリジウムを99.9%以上不活化できる照射量として、処理対象とする水の全量に対して、概ね10mJ/cm2以上の紫外線(253.7nm換算)を照射できる構造であることが好ましい。市販されている紫外線照射機21として、例えば、SCW―Aシリーズ(株式会社ウォーターテック製)が挙げられる。紫外線照射ユニット20は、紫外線照射機21を複数有していてもよい。
【0027】
紫外線照射ユニット20は、紫外線照射機21の他に、安定器・紫外線モニタ等を含む附属制御盤を備えていてもよい。
【0028】
(原水)
水処理装置100で処理可能な原水は、河川水等の地表水、井戸水等の地下水等を意味する。原水は、フィルター処理される前に貯槽タンク等で貯水されていてもよい。
【0029】
(処理水)
処理水は、水処理装置100で処理された水である。処理水は原水から、エキノコックスが除去、及びクリプトスポリジウムが不活化されている。処理水は、浄水池等で貯水されていてもよい。
【0030】
(他の機器)
水処理装置100は、ここで説明する各ユニットの他の機器を備えていてもよい。当該機器としては、例えば、水に対して他の処理をする機器が挙げられる。他の処理をする機器としては、例えば、浮遊物を除去する装置、消毒を行う装置等が挙げられる。浮遊物を除去する装置としては、例えば、流動床ろ過、繊維ろ過、ストレーナー等が挙げられる。消毒を行う装置としては、例えば、塩素消毒装置等が挙げられる。また、他の機器としては、各ユニット、他の処理をする機器を、接続、制御等をするために、適宜、配管、ポンプ、弁、流量計、及び濁度計等であってもよい。また、ここで説明した他の機器は、本発明の一態様に係る水処理装置の一部の構成であってもよく、ユーザが予め用意しているものであってもよい。ユーザが予めこれらの他の機器を有する場合、本発明の一態様に係る水処理装置は当該他の機器に接続可能になっていてもよい。
【0031】
〔水処理キット〕
本発明の一態様に係る水処理キットは、原水中のエキノコックスの除去及びクリプトスポリジウムを不活化するためのキットであり、原水をろ過してエキノコックスを除去するための、目開き1μm以上、30μm未満のフィルターを有するフィルター処理ユニットと、前記フィルター処理ユニットで処理された水に対して紫外線を照射して、当該水中のクリプトスポリジウムを不活化するための紫外線照射機を有する紫外線照射ユニットと、を備える。このような構成により、従来のエキノコックス及びクリプトスポリジウムの双方を共にろ過で除去する技術よりも容易、且つ、低コストで、エキノコックスの除去及びクリプトスポリジウムを不活化することができる。
【0032】
本発明の一態様に係る水処理キットのフィルター処理ユニットは、上述した水処理装置のフィルター処理ユニットに相当する。また、本発明の一態様に係る水処理キットの紫外線照射ユニットは、上述した水処理装置の紫外線照射ユニットに相当する。従って、水処理キットのフィルター処理ユニットと、紫外線照射ユニットとによって、原水中のエキノコックスの除去及びクリプトスポリジウムを不活化する水処理装置を構成できる。水処理装置の構成は、これまでの説明に準ずるため、その説明を繰り返さない。
【0033】
本発明の一態様に係る水処理キットは、水処理装置以外の装置及び/又は器具を含んでもよく、例えば、流動床ろ過、繊維ろ過、ストレーナー、塩素消毒装置、配管、ポンプ、弁、流量計、及び濁度計等が挙げられる。また、本発明の一態様に係る水処理キットは、使用時に、予め浄水場等に設置されている装置及び/又は器具と連結されてもよい。また、本発明の一態様に係る水処理キットには、水処理を行うための手順を記載した指示書を含んでもよい。紙又はその他の媒体に書かれていても印刷されていてもよく、あるいは磁気テープ、コンピューター読み取り可能なディスク又はCD-ROM等のような電子媒体に付されてもよい。
【0034】
〔水処理方法〕
本発明の一態様に係る水処理方法は、原水に対して目開き1μm以上、30μm未満のフィルターで処理することによって、エキノコックスを除去するフィルター処理工程と、前記フィルター処理工程で処理された水に対して紫外線照射を行うことによって、当該水中のクリプトスポリジウムを不活化する紫外線照射工程と、を含む。このような構成により、従来のエキノコックス及びクリプトスポリジウムの双方を共にろ過で除去する技術よりも容易、且つ、低コストで、エキノコックスの除去及びクリプトスポリジウムを不活化することができる。本発明の一態様に係る水処理方法は、上述した本発明に係る水処理装置又は水処理キットの一態様を用いて好適に実施できる。水処理装置の構成は、これまでの説明に準ずるため、その説明を繰り返さない。
【0035】
フィルター処理工程では、原水に対して目開き1μm以上、30μm未満のフィルターで処理することによって、エキノコックスを除去する。
【0036】
紫外線照射工程では、前記フィルター処理工程で処理された水に対して紫外線照射を行うことによって、当該水中のクリプトスポリジウムを不活化する。
【0037】
本発明の一態様に係る水処理方法では、フィルター処理工程の前に、沈砂池等にて砂を沈降させる工程を含んでもよい。また、フィルター処理工程の前に、沈降工程にて除去できなかった浮遊物を除去する工程を含んでもよい。浮遊物の除去は、流動床ろ過、繊維ろ過、ストレーナー等を用いて行えばよい。また、紫外線照射工程の後に、消毒をする工程を行なってもよい。消毒は、次亜塩素酸ナトリウムを注入することで行ってもよい。
【0038】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0039】
〔付記事項〕
以上のように本発明の一態様に係る水処理装置は、原水をろ過してエキノコックスを除去するための、目開き1μm以上、30μm未満のフィルターを有するフィルター処理ユニットと、前記フィルター処理ユニットで処理された水に対して紫外線を照射して、当該水中のクリプトスポリジウムを不活化するための紫外線照射機を有する紫外線照射ユニットと、を備える。
【0040】
本発明の一態様に係る水処理装置では、前記目開きが3μm以上であることがより好ましい。
【0041】
本発明の一態様に係る水処理装置では、前記フィルターがカートリッジ式のフィルターであることがより好ましい。
【0042】
本発明の一態様に係る水処理方法は、原水に対して目開き1μm以上、30μm未満のフィルターで処理することによって、エキノコックスを除去するフィルター処理工程と、前記フィルター処理工程で処理された水に対して紫外線照射を行うことによって、当該水中のクリプトスポリジウムを不活化する紫外線照射工程と、を含む。
【0043】
本発明の一態様に係る原水中のエキノコックスの除去及びクリプトスポリジウムを不活化するための水処理キットは、原水をろ過してエキノコックスを除去するための、目開き1μm以上、30μm未満のフィルターを有するフィルター処理ユニットと、前記フィルター処理ユニットで処理された水に対して紫外線を照射して、当該水中のクリプトスポリジウムを不活化するための紫外線照射機を有する紫外線照射ユニットと、を備える。
【実施例0044】
以下、本発明の一実施例について以下に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
【0045】
[除去効率の測定方法]
(実施例1~4)
エキノコックスの除去効率は、代替物として、0.6μm、0.8μm、1μm、1.2μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、及び10μm、の粉体(ISO12103-1 A3、A4)を用いて、算出した。
【0046】
試験条件は、以下の通りである。
流体:水
温度:20℃
流量:12L/min
ろ過方式:シングルパスろ過
【0047】
(実施例5及び比較例1)
エキノコックスの除去効率は、代替物として、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、及び80μmの粉体(JIS I 2種、アルミナ粉体、及び活性炭6100A)を用いて、算出した。
【0048】
試験条件は、以下の通りである。
流体:水
温度:30℃
流量:20L/min
ろ過方式:シングルパスろ過
【0049】
除去効率(%)は、ろ過前の粉体数とろ過後の粉体数をParticle counterにて測定することで算出した。つまり、除去効率(%)はろ過によって除去された粉体の割合を示す。
【0050】
[実施例1]
フィルターとして、ZPL-010(目開き:1μm、ゼット工業株式会社製)を用いた。
【0051】
[実施例2]
フィルターとして、ZPL-030(目開き:3μm、ゼット工業株式会社製)を用いた。
【0052】
[実施例3]
フィルターとして、ZPL-050(目開き:5μm、ゼット工業株式会社製)を用いた。
【0053】
[実施例4]
フィルターとして、ZPL-100(目開き:10μm、ゼット工業株式会社製)を用いた。
【0054】
[実施例5]
フィルターとして、ZFP25(目開き:25μm、ゼット工業株式会社製)を用いた。
【0055】
[比較例1]
フィルターとして、ZFP50(目開き:50μm、ゼット工業株式会社製)を用いた。
【0056】
【0057】
表1に示すように、フィルターの目開きが1μm以上、30μm未満である実施例1~5では、30μmの粒子の除去が好適に行われていることがわかった。一方、フィルターの目開きが50μmである比較例1では、30μmの粒子の除去効率が低いことがわかった。以上のように実施例1~5によれば、十分にエキノコックスを除去できることが示された。この後に紫外線照射を行えば、クリプトスポリジウムに対し、効果的に紫外線を照射して不活化できることから、本発明によれば、目開きが1μm以上のフィルター及び紫外線照射装置という取り扱いの容易な装置を用いることによって、容易、且つ、低コストで、エキノコックス及びクリプトスポリジウムの双方を除去及び不活化できることが示された。