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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038079
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】建物
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20230309BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20230309BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20230309BHJP
   H02S 20/24 20140101ALI20230309BHJP
   H02S 20/10 20140101ALI20230309BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20230309BHJP
【FI】
E04H1/02
E04H9/14 G
E04H9/02 351
H02S20/24
H02S20/10 U
H02S20/23 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144987
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100213436
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 直俊
(72)【発明者】
【氏名】中田 信治
(72)【発明者】
【氏名】池口 義治
【テーマコード(参考)】
2E025
2E139
【Fターム(参考)】
2E025AA04
2E025AA15
2E139AA01
2E139AA05
2E139AA17
2E139AB11
2E139AC02
2E139AC33
2E139AD03
2E139AD04
2E139BD33
(57)【要約】
【課題】太陽電池パネルが適切に取り付けられた状態で制振性能が確保され、且つ、太陽電池パネルの容量を減ずる必要のない建物を提供する。
【解決手段】建物100は、太陽電池パネル1と、屋上階梁から屋根の上方に延出する支持部2と一対の支持部2間に掛け渡された架台梁3と、一対の架台梁3間に掛け渡されており、太陽電池パネル1を支持するパネル用フレーム4と、一対の架台梁3間に掛け渡された制振装置9と、を備え、制振装置9は、一対のパネル用フレーム4間に配置され、且つ、太陽電池パネル1の下方に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルと、
屋上階梁から屋根の上方に延出する支持部と
一対の前記支持部間に掛け渡された架台梁と、
一対の前記架台梁間に掛け渡されており、前記太陽電池パネルを支持するパネル用フレームと、
一対の前記架台梁間に掛け渡された制振装置と、を備え、
前記制振装置は、一対の前記パネル用フレーム間に配置され、且つ、前記太陽電池パネルの下方に配置されている建物。
【請求項2】
上面視において、前記制振装置は、前記太陽電池パネルと重複している請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記パネル用フレームは、前記架台梁の上面に支持されており、
前記制振装置は、前記架台梁の下部に支持されている請求項1又は2に記載の建物。
【請求項4】
前記架台梁は、前記制振装置を支持する接続板を有し、
前記接続板は、前記架台梁の下部に支持されている請求項3に記載の建物。
【請求項5】
前記接続板は、その板面から延出する補強部を有する請求項4に記載の建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、屋根部に複数の太陽電池モジュールパネルが設置された制振建物が記載されている。この制振建物では、太陽電池モジュールパネルと屋根部に設けた固定金具との間にエネルギー吸収部材が介装されて設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-102869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
環境上の観点から、建物の屋上に太陽電池パネルが設置されるケースが増えている。これとは別に、交通振動、風振動等の環境振動対策として、建物の屋上階に、制振装置を取り付ける場合がある。制振装置を取り付ける時点において、既に屋上一面に太陽電池パネルが設置されている場合、一部の太陽電池パネルを撤去し、撤去によって確保した領域に制振装置を設置することもできる。しかしこの場合、既設の太陽電池パネルが無駄になるため問題である。またこの場合、建物の発電容量も減少してしまうため問題である。
【0005】
特許文献1に記載の制振建物では、太陽電池パネルを重量要素として使用している。これにより、太陽電池パネルの設置と建物の制振との両立を図っている。しかし、太陽電池パネルを重量要素とする場合、重量が不足して制振効果が十分得られない場合がある。また、太陽電池パネルをエネルギー吸収部材を介して設置するため、地震や暴風時における太陽電池パネル、エネルギー吸収部材及び屋根間におけるそれぞれの接続部の接続強度を十分に確保できない場合がある。そのため、十分な制振性能を実現できない場合がある。
【0006】
以上の観点から、太陽電池パネルが適切に取り付けられた状態で制振性能が確保され、且つ、太陽電池パネルの容量を減ずる必要のない建物の提供が望まれる。
【0007】
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、太陽電池パネルが適切に取り付けられた状態で制振性能が確保され、且つ、太陽電池パネルの容量を減ずる必要のない建物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る建物は、
太陽電池パネルと、
屋上階梁から屋根の上方に延出する支持部と
一対の前記支持部間に掛け渡された架台梁と、
一対の前記架台梁間に掛け渡されており、前記太陽電池パネルを支持するパネル用フレームと、
一対の前記架台梁間に掛け渡された制振装置と、を備え、
前記制振装置は、一対の前記パネル用フレーム間に配置され、且つ、前記太陽電池パネルの下方に配置されている。
【0009】
本発明に係る建物は、更に、
上面視において、前記制振装置は、前記太陽電池パネルと重複していてもよい。
【0010】
本発明に係る建物は、更に、
前記パネル用フレームは、前記架台梁の上面に支持されており、
前記制振装置は、前記架台梁の下部に支持されていてもよい。
【0011】
本発明に係る建物は、更に、
前記架台梁は、前記制振装置を支持する接続板を有し、
前記接続板は、前記架台梁の下部に支持されていてもよい。
【0012】
本発明に係る建物は、更に、
前記接続板は、その板面から延出する補強部を有してもよい。
【発明の効果】
【0013】
太陽電池パネルが適切に取り付けられた状態で制振性能が確保され、且つ、太陽電池パネルの容量を減ずる必要のない建物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】建物における太陽電池パネルと制振装置との支持構造を説明するための、一部を分解した斜視図である。
図2】建物における太陽電池パネルと制振装置との支持構造の側面図である。
図3】接続板及びその補強部を示す図である。
図4】建物における太陽電池パネルの下方を上方から見た上面図である。
図5】複数の太陽電池パネル及び制振装置を有する建物を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面に基づいて、本発明の実施形態に係る建物について説明する。
【0016】
(概要の説明)
図1に示すように、本実施形態に係る建物100は、太陽電池パネル1と、屋上階梁Hから屋根Rの上方に延出する支持部2と、一対の支持部2間に掛け渡された架台梁3と、一対の架台梁3間に掛け渡されており、太陽電池パネル1を支持するパネル用フレーム4と、一対の架台梁3間に掛け渡された制振装置9と、を備えている。建物100は、制振装置9により制振された制振建物である。また、建物100は、太陽電池パネル1を備えた環境配慮型の建物である。なお、図1では、鉛直方向に沿う方向を、方向Gとして示している。以下の説明では、鉛直方向における下方を単に下などと記載する場合がある。また、鉛直方向における上方を単に上などと記載する場合がある。
【0017】
建物100では、制振装置9は、一対のパネル用フレーム4間に配置され、且つ、太陽電池パネル1の下方に配置されている。
【0018】
建物100では、太陽電池パネル1が適切に取り付けられた状態で制振性能が確保される。建物100では、制振性能が確保するにあたり、太陽電池パネル1の容量を減ずる必要はない。
【0019】
(詳細説明)
建物100は、図1に示すように、その骨組みの一部である屋上階梁Hと、屋上階梁Hに支持された屋根Rと、屋上階梁Hに支持されており、屋上階梁Hから屋根Rを貫通して屋根Rの上方まで延出する支持部2と、屋根R上に配置された、太陽電池パネル1と、架台梁3と、パネル用フレーム4と、制振装置9とを備えている。建物100において、太陽電池パネル1と制振装置9は、屋上階梁H、支持部2、架台梁3及びパネル用フレーム4に支持され、また、その支持を補強されている。以下では、建物100において、屋上階梁H、支持部2、架台梁3及びパネル用フレーム4の全て又は一部を、支持構造と称する場合がある。なお、図1は、建物100における、太陽電池パネル1や制振装置9の支持構造を説明するための、当該支持構造の一部を分解した状態の斜視図である。
【0020】
建物100の具体例は、鉄骨造の骨組みを有する複数階建ての住宅である。建物100には、複数の居室が形成されてよい。建物100は、鉄筋コンクリート造の基礎と、柱や梁などの骨組部材で構成された骨組架構と、壁や床などを形成するパネルとを有し、基礎に固定された上部構造体とで構成されてよい。建物100の骨組部材やパネルは、予め規格化(標準化)されたものとすることができる。この場合、骨組部材などを予め工場にて製造して建築現場に搬入し、建物100を組み立てることができる。
【0021】
建物100は、建築時から太陽電池パネル1が設置されたものであってもよいし、太陽電池パネル1を建築後に増設して設置されたものであってもよい。
【0022】
建物100は、建築時から太陽電池パネル1と共に制振装置9が設置されたものであってもよいし、太陽電池パネル1が設置された後に、制振装置9を増設して設置されたものであってもよい。
【0023】
屋根Rは、建物100の上面部であり、屋上階梁Hに支持されている。建物100では、屋根R上に、太陽電池パネル1と、架台梁3と、パネル用フレーム4と、制振装置9とが設置されているが、これら太陽電池パネル1と、架台梁3と、パネル用フレーム4と、制振装置9との重量は、後述する支持部2を介して屋上階梁Hに支持されている。
【0024】
支持部2は、下部を屋上階梁Hに支持された支柱や柱脚であり、柱状、枠状であってよい。図1では、支持部2が柱脚である場合を示している。支持部2は、屋上階梁Hに支持されて建物100の骨格と一体となっている。これにより、支持部2は、建物100に強固に支持されている。
【0025】
太陽電池パネル1は、太陽の照射を受けて電力を生み出す発電装置である。太陽電池パネル1は、一般的な板状のものを用いてよい。本実施形態では、太陽電池パネル1が矩形状の板状である場合を例示して以下説明する。太陽電池パネル1は、後述するように、パネル用フレーム4上に載置された状態で、パネル用フレーム4に固定されている。
【0026】
制振装置9は、重量要素及び重量要素を含む制振機構が筐体内に収容されたものを用いてよい。建物100では適切な制振性能を有する制振装置9を採用可能である。建物100では、例えば太陽電池パネル1を重量要素とするわけではないため、太陽電池パネル1の重量にかかわらず、適切な制振性能を確保できる。本実施形態では、以下、制振装置9が、上面視が矩形状で、鉛直方向に沿う高さが低い矩形状の筐体を有するものである場合を例示して以下説明する。
【0027】
制振装置9は、後述するように、太陽電池パネル1の下方に配置される。本実施形態では、建物100の上面視において、制振装置9は、太陽電池パネル1と重複している。すなわち、制振装置9は、屋根Rと太陽電池パネル1との間に配置されている。これにより、省スペース下での太陽電池パネル1の設置と、制振装置9による建物100の制振とを実現している。制振装置9の配置や設置状態の詳細は以下の説明における、架台梁3及びパネル用フレーム4の説明と共に行う。
【0028】
架台梁3は、太陽電池パネル1や制振装置9を支持する枠体である。架台梁3は、支持部2に支持されている。架台梁3は、図1に示すように、一対の支持部2,2間に掛け渡された状態で、支持部2,2に金具などにより固定されている。すなわち、架台梁3は一対の支持部2,2に支持されている。これにより、架台梁3及び架台梁3上に設置される太陽電池パネル1や制振装置9が、しっかりと建物100の骨格としての屋上階梁Hに支持されるため、建物100、特に太陽電池パネル1や制振装置9における制振性能が向上する。
【0029】
架台梁3は、制振装置9を、その下部で支持している。すなわち、制振装置9は、架台梁3の下部に支持されている。これにより、後述するように、制振装置9を太陽電池パネル1の下方に配置し、且つ、太陽電池パネル1の設置高さを高くすることなく、制振装置9と太陽電池パネル1との建物100での共存を実現する。本実施形態における架台梁3による制振装置9を支持する態様については後述する。
【0030】
架台梁3は、図1,2に示すような、いわゆるH形鋼であってよい。以下では、架台梁3がH形鋼である場合を例示して説明する。本実施形態において、架台梁3は、図2に示すように、H字形状を横向きにした態様で支持部2に支持されている。以下では、H字形状の架台梁3における、上方側の板状部分を上板31、下方側の板状部分を下板32と称し、更に、上板31と下板32との間に掛け渡された板状部分を縦板30と称する。下板32は、制振装置9を支持している。これにより、制振装置9の、架台梁3の下部における支持を実現できる。上板31は、後述するように、パネル用フレーム4を支持している。これにより、制振装置9を太陽電池パネル1の下方に配置し、且つ、太陽電池パネル1の設置高さを高くすることなく、制振装置9と太陽電池パネル1との建物100での共存を実現している。
【0031】
図1では、架台梁3を支持部2に固定する金具として、板材をL字形状に曲げた形状のL型金具39を用いている場合を示している。L型金具39は、L型における一方の板部の面のうち、L字形状の外側の面を支持部2の上面に対向させてよい。そして、L型における他方の板部の面のうち、L字形状の外側の面を架台梁3の端面(小口面)に対向させてよい。更に、L型金具39のそれぞれの板部は、支持部2の上面部及び架台梁3の端面部に、例えばボルトなどにより固定してよい。このように、支持部2の上面部及び架台梁3の端面部をL型金具39を用いて接続することで、架台梁3の上面を、鉛直方向において低い高さに維持しつつ、架台梁3を支持部2に固定することができる。またこれにより、後述するように、制振装置9を鉛直方向において低い高さで支持することを実現し、制振装置9と太陽電池パネル1との建物100での共存を実現する。
【0032】
本実施形態では、一対の架台梁3,3で制振装置9を支持している。すなわち、制振装置9は、架台梁3,3間に掛け渡すようにして、架台梁3,3に載置され、且つ、架台梁3,3に固定されている。後述するように、一対の架台梁3,3は、複数の制振装置9を支持してもよい。
【0033】
架台梁3は、制振装置9を支持する接続板5を有してもよい。接続板5は、矩形状の板材であってよい。本実施形態では、接続板5は、架台梁3の下部に位置する下板32に固定されている。制振装置9は、一対の接続板5,5の上面に載置することができる。これにより、制振装置9を架台梁3の下部において支持する場合に、適切な強度での支持を実現できる。なお、接続板5は、下板32の上面に固定されてよい。
【0034】
接続板5は、必要に応じて補強されてよい。接続板5は、図3に示すように、その板部分50における、例えば一方の板面(一例として下面)から延出する補強部51を有してよい。補強部51は、例えば板部分50の長手方向に沿い配置されてよい。補強部51は、例えば細い枠材を板部分50にボルトなどで固定したものであってよい。接続板5が補強部51で補強されることにより、制振装置9を架台梁3の下部において支持する場合の支持の強度を高めることができる。また、強度を保ちつつ接続板5の厚みを薄くして制振装置9の上面の高さを低くすることができる。制振装置9の上面の高さを低くすることで、太陽電池パネル1の下方への制振装置9の配置を容易なものとすることができる。
【0035】
図3では、補強部51が細い枠材であり、一対の補強部51,51が、板部分50の長手方向に沿って、板部分50の両方の長辺に寄せた位置に、ボルトなどで固定されている場合を示している。
【0036】
図1に示すように、パネル用フレーム4は、太陽電池パネル1を支持する枠材である。パネル用フレーム4は、一対の架台梁3,3間に掛け渡された状態で、架台梁3,3に固定されている。パネル用フレーム4は、架台梁3と交差している。図1,4に示すように、パネル用フレーム4は、本実施形態では、架台梁3と直交している。パネル用フレーム4は、架台梁3の上部に支持されてよい。本実施形態では、パネル用フレーム4は、上板31の上面に載置された状態で架台梁3に固定されている。なお、図4は、建物100における太陽電池パネル1の下方を上方から見た上面図である。図4では、説明の便宜のため、太陽電池パネル1の外形を破線で示している。
【0037】
本実施形態では、上述のごとく、制振装置9が、架台梁3の下部に支持されており、且つ、太陽電池パネル1を支持するパネル用フレーム4が、架台梁3の上部に支持されているため、制振装置9は、パネル用フレーム4よりも架台梁3の高さに対応する分だけ低い位置で架台梁3に支持されることになる。これにより、制振装置9の上面の高さを低くすることができる。制振装置9の上面の高さを低くすることで、太陽電池パネル1の下方への制振装置9の配置を容易なものとすることができる。すなわち、制振装置9を太陽電池パネル1の下方に配置し、且つ、太陽電池パネル1の設置高さを高くすることなく、制振装置9と太陽電池パネル1との建物100での共存を実現する。本実施形態では、パネル用フレーム4は、架台梁3の上面部に固定されている。
【0038】
なお、太陽電池パネル1は、上述のごとく、パネル用フレーム4上に載置されている。そして、本実施形態において、太陽電池パネル1は、一対のパネル用フレーム4,4に掛け渡すようにしてパネル用フレーム4上に載置されている。一対のパネル用フレーム4,4上には、図5に示すように、複数の太陽電池パネル1を隣接させて配置してよい。
【0039】
図1,4に示すように、一対のパネル用フレーム4,4は、制振装置9の両側部に沿わせて配置するとよい。換言すれば、制振装置9が、一対のパネル用フレーム4,4の間に配置されるとよい。このように一対のパネル用フレーム4,4の間に制振装置9を配置することで、設置スペースを効率よく利用できる。そして、この状態では、制振装置9は、上面視において、太陽電池パネル1と重複した配置となる。これにより、上面視において太陽電池パネル1と制振装置9とを同じ位置に設置できるため、設置スペースを効率よく利用できる。
【0040】
図1,4に示すように、一対のパネル用フレーム4,4を制振装置9の両側部に沿わせて配置した場合、太陽電池パネル1及び制振装置9は、一対の架台梁3,3と、一対の架台梁3,3に掛け渡された一対のパネル用フレーム4,4とで囲われた格子状の強固な支持構造により支持されることになる。これにより、建物100、特に太陽電池パネル1や制振装置9における制振性能が向上する。
【0041】
図2に示すように、パネル用フレーム4の上面の高さは、制振装置9の上面の高さと同じ、又は、制振装置9の上面の高さよりも高くされる。これにより、太陽電池パネル1と制振装置9との干渉を回避できる。なお、本実施形態では、制振装置9が、架台梁3の下部に支持されており、且つ、太陽電池パネル1を支持するパネル用フレーム4が、架台梁3の上部に支持されているため、パネル用フレーム4の上面の高さを制振装置9の上面の高さと同じ、又は、制振装置9の上面の高さよりも高く設定するという配置は容易に実現できる。
【0042】
なお、図2では、パネル用フレーム4上において、太陽電池パネル1が水平に設置されている場合を例示して図示しているが、太陽電池パネル1は、傾斜させて設置してもよい。この場合、パネル用フレーム4と太陽電池パネル1との間に、例えばスペーサを配置して傾斜させてよい。
【0043】
建物100の構成は、以上説明した通りである。以下では、建物100が複数の太陽電池パネル1及び制振装置9を有する場合の具体例を説明する。図5には、複数の太陽電池パネル1及び制振装置9を有する場合の建物100の上面図を示している。
【0044】
図5に示す建物100では、屋根R上の一面に、太陽電池パネル1が設置されている。制振装置9は、屋根R上の一部の領域に設置されている。
【0045】
建物100の屋根R上には、屋上階梁H(図1,2参照)から屋根Rの上方に延出する支持部2が複数個、露出(屋根Rの表面から突出)している。支持部2は、建物100の屋根Rの外周部近傍や、屋根Rの中央部などに配置されている。図5では、太陽電池パネル1のみをパネル用フレーム4を介して支持し、且つ、支持部2に支持されるパネル用のフレームを、パネル用架台梁8として示している。パネル用架台梁8は、制振装置9を支持しない。パネル用架台梁8は、架台梁3と同様に、一対の支持部2,2に支持されている。
【0046】
図5では、一対の支持部2,2間に、一つの架台梁3が掛け渡され、且つ、一対の架台梁3,3に対し、制振装置9が複数(図5では2つ)載置されている場合を示している。図5に示すように、架台梁3は、必要に応じて支持部2,2以外の構造物で補助的に支持されてもよい。図5では、架台梁3を補助的に支持する構造物の一例を補助支持支部83として例示している。補助支持支部83は、屋根R上に載置又は固定されている。補助支持支部83は、屋上階梁Hに支持されることを要しない。補助支持支部83は、架台梁3における、支持部2,2間に配置するとよい。補助支持支部83は、必要に応じて設置すればよく、必須ではない。
【0047】
図5では、パネル用フレーム4は、架台梁3又はパネル用架台梁8に支持されている。図5に示すように、その下方に制振装置9が配置される個所の太陽電池パネル1を支持するパネル用フレーム4又はパネル用フレーム4の一部は、架台梁3に支持される。また、その下方に制振装置9が配置されない個所の太陽電池パネル1を支持するパネル用フレーム4又はパネル用フレーム4の一部は、パネル用架台梁8に支持されていればよい。パネル用フレーム4は、架台梁3とパネル用架台梁8とにまたがって掛け渡されてよい。建物100では、制振装置9が設置される領域か否かにかかわらず、パネル用フレーム4の延在方向において隣接する太陽電池パネル1が、同じパネル用フレーム4で一体的に支持されているため、各太陽電池パネル1が一体的に強固に支持される。これにより、建物100、特に太陽電池パネル1における制振性能が向上する。
【0048】
一対のパネル用フレーム4,4には、太陽電池パネル1が複数個、隣接して載置されてよい。図5では、一対のパネル用フレーム4,4に、4枚の太陽電池パネル1が載置されている。
【0049】
図5に示す建物100は、建築時から太陽電池パネル1が設置されたものであるが、建築時においては、制振装置9は設置されていなかったものを例示している。つまり、図5に示す建物100は、太陽電池パネル1が設置された後に、制振装置9が後から増設して設置されたものである。
【0050】
太陽電池パネル1のみが設置され、制振装置9が設置されていない建物100に対する制振装置9の増設は、例えば以下のようにして行うことができる。
【0051】
まず、建物100の上面視において制振装置9を設置する予定の領域と重複するパネル用フレーム4,4と、このパネル用フレーム4,4上の太陽電池パネル1とを取り外す。更に、制振装置9を設置する予定の領域のパネル用架台梁8を、架台梁3に置き換える(交換する)。この際、架台梁3が、少なくとも一対の支持部2,2で支持されるように、パネル用架台梁8を、架台梁3に置き換える。その後、架台梁3に、制振装置9を固定する。更に、取り外したパネル用フレーム4を固定する。パネル用フレーム4は変更することなくそのまま用いることができる。この際、パネル用フレーム4は、架台梁3とパネル用架台梁8とにまたがって掛け渡されてよい。なお、架台梁3の上面の高さは、パネル用架台梁8の上面の高さと同じとされている。その後、パネル用フレーム4,4に取り外された太陽電池パネル1を再装着する。
【0052】
なお、一部の太陽電池パネル1は、パネル用フレーム4,4による支持に代えて、支持部2に固定したブラケット(図示せず)を介して支持してもよい。この場合、ブラケットにより太陽電池パネル1を支持する領域のパネル用架台梁8をブラケットに置き換える。そして、太陽電池パネル1をこのブラケットに固定し、このブラケットを介して支持部2の直上に太陽電池パネル1を支持してよい。
【0053】
太陽電池パネル1のみが設置され、制振装置9が設置されていない建物100に対する制振装置9の増設は、上記のように行うことができるので、既設の太陽電池パネル1やパネル用フレーム4が無駄になることはなく、建物100の発電容量の減少も回避できる。換言すれば、本実施形態に係る建物100における太陽電池パネル1及び制振装置9の支持構造によれば、既設の太陽電池パネル1やパネル用フレーム4の無駄の削減と、建物100の発電容量の減少の回避とを実現できるのである。すなわち、太陽電池パネル1の容量を減ずる必要がない。
【0054】
以上のようにして、太陽電池パネルが適切に取り付けられた状態で制振性能が確保され、且つ、太陽電池パネルの容量を減ずる必要のない建物を提供することができる。
【0055】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、建物に適用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 太陽電池パネル
100 建物
2 支持部
3 架台梁
30 縦板
31 上板
32 下板
39 L型金具
4 パネル用フレーム
5 接続板
50 板部分
51 補強部
8 パネル用架台梁
83 補助支持支部
9 制振装置
G 方向
H 屋上階梁
R 屋根
図1
図2
図3
図4
図5