(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038082
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】操作モード切替方法及び電動工具の操作モード切替装置
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
B25F5/00 C
B25F5/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144991
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】500268742
【氏名又は名称】朝程工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】鐘 福祥
(72)【発明者】
【氏名】薛 富升
(72)【発明者】
【氏名】李 建佑
(72)【発明者】
【氏名】王 盈智
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA02
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA33
3C064BB53
3C064BB58
3C064BB83
3C064CA53
3C064CA78
3C064CB17
3C064CB19
3C064CB24
3C064CB28
3C064CB62
3C064CB71
3C064CB83
(57)【要約】
【課題】 本発明は操作モード切替方法及び電動工具の操作モード切替装置を得ることにある。
【解決手段】 本発明は操作モード切替方法に関し、それは回転可能な駆動手段と、操作信号と、操作信号の変化により生成される操作モード切替操作と、駆動手段と電気的に接続され且つ操作信号及び操作モード切替操作を受信する処理部と、を含み、処理部は操作信号を受信することで駆動手段を駆動することができ、処理部が時間区間内に操作モード切替操作を受信すると、処理部が操作モード切替要求であると判断し、処理部が駆動手段の操作モードを変調する。その操作モード切替装置が電動工具を制御する元々の操作信号に駆動手段の操作モードを変換する操作モード切替操作を実行させることにより、構成要素の追加や元の設計の修正を必要とせずに操作モード切替の機能を追加することができる。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な駆動手段と、
駆動操作信号及び少なくとも1つの方向操作信号を含む、少なくとも2つの操作信号と、
操作モード切替操作と、
前記駆動手段と電気的に接続された処理部と、を含み、前記処理部は、前記操作信号を受信して前記駆動手段の作動を駆動することができ、1つの時間区間内に前記駆動操作信号及び/又は方向操作信号の変化により構成された前記操作モード切替操作を受信した後、前記処理部がそれを操作モード切替要求であると判断し、前記処理部が前記駆動手段の操作モードを変換せしめる、操作モード切替方法。
【請求項2】
回転可能な駆動手段と、
第1操作信号及び第2操作信号を含む、2つの操作信号と、
操作モード切替操作と、
前記駆動手段と電気的に接続された処理部と、を含み、前記処理部は、前記操作信号の第1操作信号及び第2操作信号を受信して前記駆動手段を異なる方向に回転するよう駆動し、1つの時間区間内に前記第1操作信号及び/又は第2操作信号の変化により構成された前記操作モード切替操作を受信した後、前記処理部がそれを操作モード切替要求であると判断し、前記処理部が前記駆動手段の操作モードを変換せしめる、操作モード切替方法。
【請求項3】
前記処理部は、操作モード切替要求があると判断した後、同時に確認信号を生成する、請求項1又は請求項2に記載の操作モード切替方法。
【請求項4】
前記時間区間は1秒又は2秒である、請求項1又は請求項2に記載の操作モード切替方法。
【請求項5】
前記操作信号は前記処理部を起動することができる、請求項1又は請求項2に記載の操作モード切替方法。
【請求項6】
前記操作モードは、設定トルク(プレロック)モードと最大トルク出力モードを少なくとも含む、請求項1又は請求項2に記載の操作モード切替方法。
【請求項7】
前記操作モードは、高トルクモードと低トルクモードを少なくとも含む、請求項1又は請求項2に記載の操作モード切替方法。
【請求項8】
前記操作モードは、高回転数モードと低回転数モードを少なくとも含む、請求項1又は請求項2に記載の操作モード切替方法。
【請求項9】
回転可能なモータが設置された本体と、
引き金及び方向切替部材であって、それぞれ異なる操作信号を生成し得る操作手段と、
前記操作手段の引き金及び/又は方向切替部材が1つの時間区間内に規則的にトリガして構成せしめる操作モード切替操作と、
マイクロプロセッサ及びスイッチ素子を有する制御手段と、を含み、前記制御手段は前記本体のモータ、前記操作手段と電気的に接続され、前記制御手段は前記操作信号を受信することができ、前記マイクロプロセッサは前記操作信号に従って前記スイッチ素子を制御し、前記スイッチ素子が前記モータの回転及び回転方向の変換を駆動できるようにし、前記マイクロプロセッサが前記操作手段の操作モード切替操作を受信すると、操作モード切替要求であると判断し、前記マイクロプロセッサが操作モードの切り替えを行うことができるようになり、前記スイッチ素子を制御して前記モータに対する操作モードを変更させる、電動工具の操作モード切替装置。
【請求項10】
前記引き金の操作信号は前記モータの回転を駆動することができ、前記引き金が構成する前記操作モード切替操作は、前記引き金を押圧した後に少なくとも1回放すものである、請求項9に記載の操作モード切替装置。
【請求項11】
前記方向切替部材の操作信号は前記モータの回転方向を制御することができ、前記方向切替部材が構成する前記操作モード切替操作は、前記方向切替部材が元の回転方向位置から別の回転方向位置に切り替えてから再び元の回転方向位置に戻すという動作を少なくとも1回操作するものである、請求項9に記載の操作モード切替装置。
【請求項12】
前記引き金の操作信号は前記モータの回転を駆動することができ、前記方向切替部材の操作信号は前記モータの回転方向を制御することができ、前記引き金と前記方向切替部材との組合せによる規則的なトリガが前記操作モード切替操作を構成せしめる、請求項9に記載の操作モード切替装置。
【請求項13】
回転可能なモータが設置された本体と、
双方向引き金であって、異なる方向のトリガ位置を有し、異なる操作信号の生成をトリガし得る操作手段と、
前記操作手段の双方向引き金が1つの時間区間内に規則的にトリガして構成せしめる操作モード切替操作と、
マイクロプロセッサ及びスイッチ素子を有する制御手段と、を含み、前記制御手段は前記本体のモータ、前記操作手段と電気的に接続され、前記制御手段は前記操作手段の前記操作信号を受信することができ、前記マイクロプロセッサは前記操作信号に従って前記スイッチ素子を制御し、前記双方向引き金の異なる方向のトリガ位置は前記スイッチ素子が前記モータを異なる方向に回転するよう駆動できるようにし、前記マイクロプロセッサが前記操作手段の操作モード切替操作を受信すると、操作モード切替要求であると判断し、前記マイクロプロセッサが操作モードの切り替えを行うことができるようになり、前記スイッチ素子を制御して前記モータに対する操作モードを変更させる、電動工具の操作モード切替装置。
【請求項14】
前記マイクロプロセッサは操作モード切替要求を受信した後、確認信号を生成して確認手段に与える、請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の操作モード切替装置。
【請求項15】
前記確認手段は発光装置である、請求項14に記載の操作モード切替装置。
【請求項16】
前記操作モードは、前記スイッチ素子を制御して前記モータの作動トルクを変更するものである、請求項9又は請求項13に記載の操作モード切替装置。
【請求項17】
前記操作モードは、前記スイッチ素子を制御して前記モータの作動回転数区間を変更するものである、請求項9又は請求項13に記載の操作モード切替装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動工具に関し、特に操作が容易で、元の構造の変更を必要としない、操作モード切替方法及び電動工具の操作モード切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、既知の電動工具10を示しており、それは駆動手段11、引き金12、操作モード切替手段13及び方向切替部材14を有する。使用者は、操作モード切替手段13及び方向切替部材14によって駆動手段11の操作モードと回転方向を切り替えることができる。電動工具10の操作モードの切り替えは、例えば設定トルク操作/最大トルク出力操作、高/低トルク操作及び高/低回転数など様々な操作モードを切り替えのオプションとして提供することができ、引き金12を押圧し続けることにより、選択した操作モードで回転するよう駆動手段11を駆動する。
【0003】
しかし、上述の従来技術において、一般的な電動工具10は、基本的には引き金12と方向切替部材14しか設けられておらず、電動工具10が行えるのは基本的な回転の駆動と回転方向の制御のみであり、もし更に電動工具10の操作モードを制御できるようにしたい場合には、操作モード切替手段13の関連構成要素を増設する必要がある。その場合、使用する構成要素や回路基板などが増えて製造コストが増加するだけでなく、元の電動工具10に使用されている金型や回路、部材位置の変更などの工程を開発し直すといった構成要素の再設計が必要となり、機能が増えればそれに応じて様々なコストも増加する。また、操作用構成要素が1つ追加されると、それに応じて使用する際のボタンも追加されるため、インターフェースの複雑さも増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新たに構成要素を追加せずとも駆動手段に操作モードの切替を持たせることが可能な、操作モード切替方法を提供することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明は操作モード切替方法を提供するが、それは、
回転可能な駆動手段と、
少なくとも1つの操作信号と、
駆動手段と電気的に接続された処理部と、を含み、処理部は、各操作信号を受信して駆動手段を駆動することができ、1つの時間区間内に各操作信号の変化により構成された操作モード切替操作を受信した場合には、処理部が操作モード切替要求であると判断し、処理部が駆動手段の操作モードを即切り替える。
【0006】
好適には、操作モードは、設定トルク(プレロック)モードと最大トルク出力モードを少なくとも含む。
【0007】
好適には、操作モードは、高トルクモードと低トルクモードを少なくとも含む。
【0008】
好適には、操作モードは、高回転数モードと低回転数モードを少なくとも含む。
【0009】
本発明は電動工具の操作モード切替装置を提供するが、それは、
回転可能なモータが設置された本体と、
少なくとも1つの操作信号の生成をトリガし得る、少なくとも1つの操作手段と、
各操作手段が規則的にトリガして構成せしめる操作モード切替操作と、
マイクロプロセッサ及びスイッチ素子を有する制御手段と、を含み、制御手段は本体のモータ、操作手段と電気的に接続され、制御手段は各操作手段の操作信号を受信することができ、マイクロプロセッサは各操作信号に従ってスイッチ素子を制御し、スイッチ素子がモータの回転及び回転方向の変換を駆動できるようにし、マイクロプロセッサが1つの時間区間内に操作手段の操作モード切替操作を受信すると、マイクロプロセッサが操作モード切替要求であると判断し、マイクロプロセッサが操作モードの変換を行うことができるようになり、スイッチ素子を制御してモータの操作モードを変更させる。
【0010】
好適には、操作モードは、スイッチ素子を制御してモータの作動トルクを変更するものである。
【0011】
好適には、操作モードは、スイッチ素子を制御してモータの作動回転数区間を変更するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明が提供する操作モードの制御方法は、従来の各操作手段が1つの時間区間内に各操作信号を変化させて操作モード切替操作を生成することにより、処理部に操作モード切替要求であると判断させて、駆動手段の操作モードを切り替えるものであり、この操作モード切替装置においては、従来の電動工具に新たな構成要素や回路基板を追加したり、従来の装置の構造を修正したりせずに操作モードの切替機能を持たせることができ、コスト増や構成要素、回路基板の追加なしに駆動手段の操作モードの切替機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の目的、特徴及び効果をより理解できるよう、以下では好ましい実施例を2つ挙げ、図面と合わせて説明する。
【0014】
【
図2】本発明の好ましい実施例である電動工具の立体外観図である。
【
図4】電動工具の操作手段の方向切替部材の操作信号と駆動手段の作動信号の図である。
【
図5】電動工具の操作手段の引き金の操作信号と駆動手段の作動信号の図である。
【
図6A】操作手段の方向切替部材の操作信号と、駆動手段の操作モードが設定トルク(プレロック)から最大トルク出力に切り替えられた信号の図である。
【
図6B】操作手段の方向切替部材の操作信号と、駆動手段の操作モードが最大トルク出力から設定トルク(プレロック)に切り替えられた信号の図である。
【
図7A】操作手段の引き金の操作信号と、駆動手段の操作モードが設定トルク(プレロック)から最大トルク出力に切り替えられた信号の図である。
【
図7B】操作手段の引き金の操作モード切替信号が時間区間を超過する概念図である。
【
図8】操作手段が引き金及び方向切替部材の操作信号と、駆動手段の回転数が設定トルク(プレロックから最大トルク出力に切り替えられた信号の図である。
【
図9】本発明の好ましい第2実施例である電動工具の構造ブロック図である。
【
図10A】操作手段の双方向引き金の1種類目の高/低トルク切替操作における信号の図である。
【
図10B】操作手段の双方向引き金の2種類目の高/低トルク切替操作における信号の図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0015】
図2、3A及び3Bを参照して、本発明の好ましい実施例で提供する動力工具20は、本体30、操作手段40、確認手段50及び制御手段60を含む。
【0016】
本体30には回転可能なモ駆動手段31が設置されており、それは直流ブラシ付きモータや直流ブラシレスモータなどの種類のモータによって構成することができ、駆動手段31の回転によって本体30に回転方向の加力を生じさせることができる。
【0017】
操作手段40は方向切替部材41と引き金42を含み、操作手段40は本体30に設置され、操作手段40の方向切替部材41と引き金42はそれぞれ異なる操作信号を生成することができ、操作信号を規則的にトリガすることによって操作モード切替操作を構成する。電動工具20の操作モードは、設定トルク(プレロック)/最大トルク出力、高/低トルク、及び高/低回転数の操作モードの選択か又はその他の操作モードの変更でよく、限定されない。
図4を併せて参照して、方向切替部材41は、本実施例では本体30の左右両側に行き来するように摺動するボタンでよいが、これに限定されず、例えば回転するノブやボタンでもよい。方向切替部材41は2つの異なる回転方向位置に有するトリガにより本体30の駆動手段31の回転方向を制御する。方向切替部材41が生成する操作信号は、時計回り方向操作信号W1又は反時計回り方向操作信号W2を有する。また、単一の操作信号の方向操作信号のみを生成し、単一の方向操作信号のトリガによって方向切替動作が生じるようにし、トリガ毎に方向操作信号を生成して方向切替動作を一回行うようにしてもよい。本実施例では、方向切替部材41が時計回り位置に切り替えられると時計回り方向操作信号W1のトリガが生成され、反時計位置に切り替えられると反時計回り方向操作信号W2のトリガが生成される。
図6Aと6Bを併せて参照して、方向切替部材41が例えば限定しないが1秒又は2秒といった時間である1つの時間区間T内において、時計回り位置から反時計回り位置に切り替えられた後に再び時計回り位置に戻された場合、W1-W2-W1という方向操作信号のトリガが生成される。操作信号のトリガの設定は、方向切替部材41の2回往復切替動作や、方向切替部材41の4回往復切替にしてもよい。このとき、方向切替部材41が操作信号を規則的にトリガして操作モード切替操作を構成する。同様に、方向切替部材41が元々設置された反時計回り位置から時計回り位置に切り替えられた後に再び反時計回り位置に切り替えられた場合にも、W2-W1-W2という方向操作信号のトリガが生成され、方向切替部材41が規則的にトリガして生成する操作信号の変化により操作モード切替操作を構成するようにさせている。操作信号及び操作モード切替操作によって生じる操作信号の変化は、制御手段60に送信される。
【0018】
同じ原理で、
図5と
図7Aを参照して、引き金42が押圧され続けた場合にトリガされる操作信号は駆動操作信号Dであり、電動工具20の駆動手段31の回転を駆動することができる。引き金42が押圧後に即放された場合には、1回の押圧動作が形成され、1回の操作信号のトリガが構成される。本実施例では、時間区間T内に2回押圧を繰り返すと、引き金42が操作モード切替操作を構成するように設定しており、操作信号及び操作信号を規則的にトリガして生成された操作モード切替操作は、制御手段60に送信される。
【0019】
操作手段40、即ち方向切替部材41と引き金42は、元々電動工具20に設けられている基本的な構造であり、使用において新たに構成要素を追加したり設計し直したりせずとも電動工具20に対して操作モード切替の操作を行うことができる。
【0020】
確認手段50は、本実施例中では発光装置51であり、例えば電動工具において慣用のLED(照明)灯であり、操作時に照明として使用することができ、また発光装置51は明暗の信号変化を生じることも可能であり、一般的な確認手段50は、引き金42において押圧操作を行って制御手段60を起動させた際に点灯表示を生じ、引き金を押圧してから放すと3~5秒ほどの時間発光し続け、制御手段60がコマンドを受信することができる。また、確認手段50は、駆動手段31の使用により動作確認の表示を行うこともできる。この確認手段50の設置についても、他の構成要素を追加する必要がなく、既知の構造によって行うことができる。
【0021】
制御手段60はマイクロプロセッサ61とスイッチ素子62を含み、マイクロプロセッサ61は内部に処理部611が設置されている。マイクロプロセッサ61は操作手段40の方向切替部材41及び引き金42と電気的に接続され、スイッチ素子62を介して駆動手段31のモータと接続される。処理部611は操作手段40中の異なる操作信号を受信することでスイッチ素子62を制御し、駆動手段31を回転させるか又は回転方向を切り替えさせることができ、さらに、操作手段40の引き金42が押圧された後、制御手段60が起動した後の時間区間T内に、操作手段40から操作信号を規則的にトリガして生成された操作モード切替操作を受信した場合、処理部611は操作モード切替要求があると判断し、処理部611が内部に書き込まれたプログラムによってスイッチ素子62を制御してスイッチングタイム又は回数の変化を生成せしめる。スイッチ素子62は、コイルを正確な順序に従って通電するため、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)又は金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)にすることができ、これにより駆動手段31に対して、例えば設定トルク/最大トルク出力の駆動、高トルクと低トルクの2種類のトルクの変更、又は高回転数と低回転数の回転数区間の変更など、操作モードの変更をPWM(Pulse Width Modulation、パルス幅変調)によって構成することができ、また2種類の異なる数値の設定トルク(プレロック)/最大トルク出力のモード変更、高トルク、中トルク及び低トルクの3種類のトルク値の変更又は高回転数、中回転数及び低回転数の回転数区間の変更も可能である。制御手段60が時間区間内に操作手段40の操作モード切替操作を受信し、処理部611が操作モード切替要求であると判断すると、マイクロプロセッサ61の処理部611が異なる操作モードに切り替えてスイッチ素子62を制御し、且つ同時に処理部611が確認信号Lを確認手段50へ送信し、操作モード切替を示す表示を行うが、それは例えば発光装置51のランプの点滅や明暗などの変化である。
図7Bを参照して、操作手段40が操作モード切替操作を行う際に時間区間Tを超過した場合には、処理部611がその操作信号の変化は操作モード切替要求ではないと判断し、操作モード切替の動作を行うことができず、処理部611が確認信号Lを生成することもない。
【0022】
図2~
図5を併せて参照して、電動工具20の操作時には、操作手段40を用いて駆動手段31の駆動を行うことができ、例えば方向切替部材41の位置を切り替えて、方向切替部材41を時計回り位置にした場合には、時計回り方向操作信号W1を生成することができ、マイクロプロセッサ61の処理部611がその信号W1を受信すると、処理部611は駆動手段31が回転時に時計回り方向に向かって回転するように駆動する。反対に、方向切替部材41が反時計回り方向に位置する場合には、反時計回り方向操作信号W2が生成され、マイクロプロセッサ61の処理部611がその信号W2を受信すると、処理部611はスイッチ素子62を制御して駆動手段31が回転時に反時計回り方向に向かって回転するように駆動する。引き金42が押圧され続けた場合には、駆動操作信号Dを生成することができ、駆動操作信号Dがマイクロプロセッサ61の処理部611に送られた後、マイクロプロセッサ61の処理部611がスイッチ素子62を制御して駆動手段31が現在設定されている操作モードで回転するよう駆動する。例えば、設定トルク(プレロック)モードにおける回転では、設定トルクで回転させたとき、マイクロプロセッサ61の処理部611がスイッチ素子62を制御して所定時間又は所定回数の回転を行うようにし、電動工具20の駆動時の加力を設定トルク値に到達せしめる。
【0023】
設定トルク(プレロック)モードにおける回転については、マイクロプロセッサ61が駆動手段31の電流値の変化を検出することができ、電流値の変化によって駆動手段31がワークと接触したか否か、及びワーク(図示しない)に対して加工を行っているか否かを知ることができる。例えば、加工を開始済みであると判断した場合には(例えば操作電流値が所定の数値を超過しているなど)、加工の時間、又は電流の上昇下降回数(インパクト式電動工具)を計算することができ、設定された加工時間又は電流の上昇下降回数によって駆動手段31にワークへの設定トルク(プレロック)の操作を行わせることができ、設定された操作時間又は電流の上昇下降回数に達すると、設定されたトルク数値をワークに加力済みであると判断することができ、駆動手段31が即停止され、引き金42を押圧し続けても回転作動が生じなくなり、駆動手段31を再び駆動するには引き金42を放してからもう一度押圧しなければならなくなる。最大トルク出力のモードに切り替えた場合には、駆動手段31の作動が引き金42により生成された駆動操作信号Dに従って変化するようになる。引き金42が押圧され続けると、駆動手段31が回転し続け、トルクの大きさは引き金42を押圧する深さに従って変化し、押圧の深さが深いほどそれに応じてトルク値も高くなり、引き金42を放すまでに達する最高の操作トルクは、電動工具20に設定された限界トルク値である。また、方向切替部材41の方向操作信号に従い、時計回り又は反時計回りの回転を行う。
【0024】
図6A、6B及び7Aを併せて参照して、駆動手段31の操作モードを切り替えたい場合、駆動手段31は静止状態を維持しており、次に、操作手段40の引き金42を少し押圧すると、引き金42が操作信号を生成して制御手段60を起動させることができ、それから操作手段40に対して操作モード切替操作を行う。本実施例において、方向切替部材41を用いて操作モードの切り替えを行うとき、時間区間T内に方向切替部材41を元々の位置から、例えば時計回り位置から反時計回り位置に切り替えて、再び時計回り位置に切り替えると、時計回り方向操作信号W1、反時計回り操作信号W2、再び時計回り方向操作信号W1という信号変化が生成され、動作を終えると方向切替部材41は元の回転位置を保持しており、このとき、処理部611が操作モード切替操作の信号を受信し、操作モード切替要求であると判断して、操作モード切替のプログラムを実行し、設定トルク(プレロック)モードを最大トルク出力モードに切り替えるか、又は最大トルク出力モードを設定トルク(プレロック)モードに切り替える。実施においては、電動工具20の操作モードを第1設定トルク(プレロック)モード、第2設定トルク(プレロック)モード及び最大トルク出力の3種類の異なった操作モードに設計してもよく、これにより、操作モードを切り替える際に、第1設定トルク(プレロック)モードから第2設定トルク(プレロック)モードへの切り替え、第2設定トルク(プレロック)モードから最大トルク出力モードへの切り替え、及び最大トルク出力モードから第1設定トルク(プレロック)モードへの切り替えという3種類の異なった操作モードの切り替えを順に行うことが可能となる。処理部611は、時間区間T内に操作手段40が生成した操作モード切替操作を受信した後、操作モード切替要求であると判断すると、同時に確認信号Lを生成し、処理部611によって確認手段50へ送信し、確認手段50の発光装置51を回転数が切り替えられる前の元の発光状態から消灯へと直ちに切り替えさせる。使用者は、元々の引き金42を放して制御手段60を起動させた際の3~5秒発光し続けてから消灯する変化と比べることで、回転数を切り替える動作が完了したことを知ることができる。確認手段50の表示として駆動手段31を採用する場合、確認信号Lは駆動手段31を半周回転させるか又は1秒回転させることができ、電動工具20自体が具備する構成要素によって操作モード切替完了の表示を行う。
【0025】
図7Aを参照して、使用者は引き金42を押圧する方式によって操作モードを切り替えることができ、操作モードの切り替えを行う前に、先に引き金42を1回押圧し、制御手段60を起動して、時間区間T内に引き金42を押圧してから引き金42を放し、もう一度引き金42を押圧してから最後に引き金42を放すと、引き金42に短い操作信号Dのトリガを時間区間T内に2回生成させることができ、且つ引き金42は押圧されていない状態を保持しており、引き金42がトリガした駆動操作信号Dの操作が操作モード切替操作を生成して処理部611に与えられ、時間区間T内にこの操作モード切替操作の操作信号を受信した後、操作モード切替要求であると判断し、マイクロプロセッサ61がスイッチ素子62を制御して駆動手段31の操作モードを変換する動作を行えるようにさせる。上述の操作手段40は、操作においては方向切替部材41又は引き金42により生成された操作信号だけでトリガすることができ、操作モード切替操作を実行できさえすればよく、必ずしもすべての操作手段40に操作モード切替の操作を持たせる必要があるというわけではない。また、
図7Bを併せて参照して、操作手段40の操作モード切替操作の操作時間が時間区間Tの時間を超過した場合、処理部611はそれを操作モード切替要求と判断せず、操作モード切替の動作を行うこともなく、また確認信号Lを生成して確認手段50が表示を行うこともない。使用者が操作モードを切り替えたい場合には、操作手段40の操作モード切替操作をもう一度行う必要がある。
【0026】
図8を参照して、操作において、操作モード切替操作は、2つの異なる操作手段40を同時に使用したもの、即ち方向切替部材41と引き金42を結合させた操作信号でもよい。操作モード切替を行う前に、先に引き金42を1回押圧し、制御手段60を起動して、時間区間T内に引き金42を押圧してから引き金42を放し、もう一度引き金42を押圧してから最後に引き金42を放すと、引き金42に短い操作信号Dのトリガを時間区間T内に2回生成させることができ、次に、方向切替部材41を元の位置、例えば時計回り位置から反時計回り位置に切り替えて、再び時計回り位置に切り替えると、時計回り方向操作信号W1、反時計回り方向操作信号W2、再び時計回り方向操作信号W1という信号変化が生成され、動作を終えると方向切替部材41は元の回転位置を保持しており、このとき、処理部611が時間区間T内に操作手段40が生成した操作モード切替操作を受信し、操作モード切替要求であると判断すると、同時に確認信号Lを生成し、処理部611によって確認手段50へ送信し、確認手段50の発光装置51を操作モードが切り替えられる前の元の発光状態から消灯へと直ちに切り替えさせる。使用者は、元々の引き金42を押圧して制御手段60を起動させた際の3~5秒発光し続けてから消灯する変化と比べることで、回転数を切り替える動作が完了したことを知ることができる。方向切替部材41と引き金42による2種類の異なる操作信号の結合により、使用者が操作時に誤って触れて誤動作が生じるのを防止することができる。
本実施例において、操作モードの変更は、高トルクモードと低トルクモードの変更であり、操作モードは高トルクモード又は低トルクモードにおける回転を切り替えることができる。高トルクモードのトルク値は0~100N.mでよく、低トルクモードのトルク値は0~50N.mの間でよく、それらのトルク値の使用区間は実際の必要に応じて設定することができる。また、操作モードが高回転数モードと低回転数モードの変更である場合、操作モードは高回転数区間又は低回転数区間における変更を切り替えることができ、高回転数モードの回転数区間は0~1000rpmでよく、低回転数モードの回転数区間は0~500rpmの間とし、それらの回転数区間は実際の必要に応じて調整することができる。
上述の操作モードの変更については、高トルクモード/低トルクモードの変更の場合、駆動手段31の回転が生むトルク値は、双方向引き金43を押圧する強さに従って変化が生じ、双方向引き金43の押圧の深さが深いほどそれに応じてトルク値も高くなるが、トルク区間の最高トルクを超えることはない。高回転数モード/低回転数モードの変更の場合、駆動手段31の回転時に生じる回転数値は、双方向引き金43を押圧する強さに従って変化が生じ、双方向引き金43の押圧の力が大きいほどそれに応じて回転数も上がるが、回転数区間の最高回転数を超えることはない。
本発明の操作モード制御方法は、その捜査手段が電動工具に設けられた慣用の構成要素であり、駆動手段を制御する操作信号を生成し得るだけでなく、操作モード切替操作を生成することにより駆動手段の操作モードを制御することができ、操作モードの切り替えを行うのに構成要素と回路基板を使用する必要がある従来と比べて、本発明は電動工具が本発明の操作モード制御装置を使用し、元々有する構成要素と構造によって操作モード切替の動作を行うことができる。