(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038133
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0216 20140101AFI20230309BHJP
【FI】
H01L31/04 240
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158240
(22)【出願日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】202111040162.4
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521376620
【氏名又は名称】上海晶科緑能企業管理有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】柴嘉磊
(72)【発明者】
【氏名】余丁
(72)【発明者】
【氏名】趙世傑
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン シィアォ ウェン
(72)【発明者】
【氏名】リ ウン チー
(72)【発明者】
【氏名】楊潔
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン シン ウ
(72)【発明者】
【氏名】金浩
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151AA01
5F151AA07
5F151AA11
5F151AA16
5F151CB11
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5F151JA04
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5F251AA11
5F251AA16
5F251CB11
5F251CB13
5F251CB24
5F251CB25
5F251CB27
5F251CB29
5F251DA03
5F251FA10
5F251GA04
5F251GA14
5F251HA20
5F251JA03
5F251JA04
(57)【要約】
【課題】本発明は、太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュールを提供する。
【解決手段】太陽電池は、対向する前面及び裏面を有する基板と、前面に位置するパッシベーション積層体と、裏面に位置するトンネル酸化層及びドープ導電層とを備え、パッシベーション積層体は、順次設置された酸素含有誘電体層、第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層を含み、第1パッシベーション層は、酸素含有誘電体層に近い第1界面と、第2パッシベーション層に近い第2界面とを有し、第2パッシベーション層は、第2界面から遠い第3界面を有し、窒素元素及びケイ素元素は、第2界面における含有量がそれぞれ第1界面及び第3界面における含有量よりも大きく、酸素元素は、第2界面における含有量が第1界面及び第3界面における含有量よりも小さい。本発明は、少なくとも太陽電池の光吸収効率の向上に有利である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する前面及び裏面を有する基板と、
前記前面に位置するパッシベーション積層体であって、前記パッシベーション積層体は、前記前面から離れる方向に順次設置された酸素含有誘電体層、第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層を含み、ここで、前記酸素含有誘電体層は金属酸化物材料を含み、前記第1パッシベーション層は窒化ケイ素材料を含み、前記第2パッシベーション層は酸窒化ケイ素材料を含むパッシベーション積層体と、
前記裏面に位置しかつ前記裏面から離れる方向に順次設置されたトンネル酸化層及びドープ導電層とを備え、
そのうち、前記第1パッシベーション層は、前記酸素含有誘電体層に近い第1界面と、前記第2パッシベーション層に近い第2界面とを有し、前記第2パッシベーション層は、前記第2界面から遠い第3界面を有し、窒素元素及びケイ素元素は、前記第2界面における含有量がそれぞれ前記第1界面及び前記第3界面における含有量よりも大きく、酸素元素は、前記第2界面における含有量が前記第1界面及び前記第3界面における含有量よりも小さく、
前記ドープ導電層と前記基板とは、同じ導電型のドーパント元素を有する、
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記前面から離れる方向において、前記第1パッシベーション層における窒素元素含有量及びケイ素元素含有量は、増加してから減少する変化を示し、前記第2パッシベーション層における窒素元素含有量及びケイ素元素含有量は減少する変化を示し、前記第1パッシベーション層における酸素元素含有量は、減少してから増加する変化を示し、前記第2パッシベーション層における酸素元素含有量は増加する変化を示す、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記前面から離れる方向において、前記パッシベーション積層体における酸素元素含有量の最大ピーク値と酸素元素含有量の第二ピーク値との間の距離は、40nm~100nmであり、ケイ素元素含有量の最大ピーク値と前記前面との間の距離は、0nmよりも大きくかつ30nm以下であり、窒素元素含有量の最大ピーク値と前記前面との間の距離は、30nm以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記金属酸化物材料は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ガリウム、又は酸化ハフニウムのうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記酸素含有誘電体層における酸素元素含有量の割合は、15%~50%である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1パッシベーション層は、少なくとも2層のサブパッシベーション層を含み、前記前面から離れる方向において、隣接する前記サブパッシベーション層におけるケイ素元素含有量の割合は徐々に減少し、隣接する前記サブパッシベーション層における窒素元素含有量の割合は徐々に増加する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第1パッシベーション層は、前記前面に最も近い下層サブパッシベーション層と、前記前面から最も遠い上層サブパッシベーション層とを含み、そのうち、前記下層サブパッシベーション層において、ケイ素元素含有量の割合は60%~70%であり、窒素元素含有量の割合は20%~40%であり、前記上層サブパッシベーション層において、ケイ素元素含有量の割合は45%~60%であり、窒素元素含有量の割合は30%~50%である、
ことを特徴とする請求項6に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第2パッシベーション層において、ケイ素元素含有量の割合は30%~60%であり、酸素元素含有量の割合は3%~50%であり、窒素元素含有量の割合は5%~50%である、
ことを特徴とする請求項1又は7に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記前面に垂直な方向において、前記酸素含有誘電体層の厚さは、1nm~15nmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記前面に垂直な方向において、前記第1パッシベーション層の厚さは、30nm~60nmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記前面に垂直な方向において、前記第2パッシベーション層の厚さは、20nm~40nmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項12】
複数の請求項1乃至11のいずれか一項に記載の太陽電池を接続することで形成されたセルストリングと、
前記セルストリングの表面を被覆するための封止用接着フィルムと、
前記封止用接着フィルムの前記セルストリングから離れた表面を覆うためのカバープレートとを備える、
ことを特徴とする光起電力モジュール。
【請求項13】
基板を提供することであって、前記基板は、対向する前面及び裏面を有することと、
前記前面にパッシベーション積層体を形成することであって、前記パッシベーション積層体は、前記前面から離れる方向に順次設置された酸素含有誘電体層、第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層を含み、ここで、前記酸素含有誘電体層は金属酸化物材料を含み、前記第1パッシベーション層は窒化ケイ素材料を含み、前記第2パッシベーション層は酸窒化ケイ素材料を含むことと、
前記裏面にかつ前記裏面から離れる方向にトンネル酸化層及びドープ導電層を順次形成することと、を含み、
そのうち、前記第1パッシベーション層は、前記酸素含有誘電体層に近い第1界面と、前記第2パッシベーション層に近い第2界面とを有し、前記第2パッシベーション層は、前記第2界面から遠い第3界面を有し、窒素元素及びケイ素元素は、前記第2界面における含有量がそれぞれ前記第1界面及び前記第3界面における含有量よりも大きく、酸素元素は、前記第2界面における含有量が前記第1界面及び前記第3界面における含有量よりも小さく、
前記ドープ導電層と前記基板とは、同じ導電型のドーパント元素を有する、
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、光起電力の分野に関し、特に太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池技術の継続的な発展に伴い、太陽光の吸収効率は、太陽電池の変換効率のさらなる向上を制限する要因の一つとなっている。太陽電池の吸収効率はパッシベーション構造のパラメータに関わっており、パッシベーション構造のパラメータは、積層構造、膜層の成分、各膜層における関連元素含有量の変化傾向及び膜層の厚さを含むが、これらに限られない。したがって、パッシベーション構造のパラメータを最適化することは、太陽電池の変換効率を向上させる鍵となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施例には、太陽電池及び光起電力モジュールの吸収効率の向上に有利な太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュールが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施例には、太陽電池が提供され、当該太陽電池は、対向する前面及び裏面を有する基板と、前記前面に位置するパッシベーション積層体であって、前記パッシベーション積層体は、前記前面から離れる方向に順次設置された酸素含有誘電体層、第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層を含み、ここで、前記酸素含有誘電体層は金属酸化物材料を含み、前記第1パッシベーション層は窒化ケイ素材料を含み、前記第2パッシベーション層は酸窒化ケイ素材料を含むパッシベーション積層体と、前記裏面に位置しかつ前記裏面から離れる方向に順次設置されたトンネル酸化層及びドープ導電層とを備え、そのうち、前記第1パッシベーション層は、前記酸素含有誘電体層に近い第1界面と、前記第2パッシベーション層に近い第2界面とを有し、前記第2パッシベーション層は、前記第2界面から遠い第3界面を有し、窒素元素及びケイ素元素は、前記第2界面における含有量がそれぞれ前記第1界面及び前記第3界面における含有量よりも大きく、酸素元素は、前記第2界面における含有量が前記第1界面及び前記第3界面における含有量よりも小さく、前記ドープ導電層と前記基板とは、同じ導電型のドーパント元素を有する。
【0005】
また、前記前面から離れる方向において、前記第1パッシベーション層における窒素元素含有量及びケイ素元素含有量は、増加してから減少する変化を示し、前記第2パッシベーション層における窒素元素含有量及びケイ素元素含有量は減少する変化を示し、前記第1パッシベーション層における酸素元素含有量は、減少してから増加する変化を示し、前記第2パッシベーション層における酸素元素含有量は増加する変化を示す。
【0006】
また、前記前面から離れる方向において、前記パッシベーション積層体における酸素元素含有量の最大ピーク値と酸素元素含有量の第二ピーク値との間の距離は、40nm~100nmであり、ケイ素元素含有量の最大ピーク値と前記前面との間の距離は、0nmよりも大きくかつ30nm以下であり、窒素元素含有量の最大ピーク値と前記前面との間の距離は、30nm以上である。
【0007】
また、前記金属酸化物材料は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ガリウム、又は酸化ハフニウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0008】
また、前記酸素含有誘電体層における酸素元素含有量の割合は、15%~50%である。
【0009】
また、前記第1パッシベーション層は、少なくとも2層のサブパッシベーション層を含み、前記前面から離れる方向において、隣接する前記サブパッシベーション層におけるケイ素元素含有量の割合は徐々に減少し、隣接する前記サブパッシベーション層における窒素元素含有量の割合は徐々に増加する。
【0010】
また、前記第1パッシベーション層は、前記前面に最も近い下層サブパッシベーション層と、前記前面から最も遠い上層サブパッシベーション層とを含み、そのうち、前記下層サブパッシベーション層において、ケイ素元素含有量の割合は60%~70%であり、窒素元素含有量の割合は20%~40%であり、前記上層サブパッシベーション層において、ケイ素元素含有量の割合は45%~60%であり、窒素元素含有量の割合は30%~50%である。
【0011】
また、前記第2パッシベーション層において、ケイ素元素含有量の割合は30%~60%であり、酸素元素含有量の割合は3%~50%であり、窒素元素含有量の割合は5%~50%である。
【0012】
また、前記前面に垂直な方向において、前記酸素含有誘電体層の厚さは、1nm~15nmである。
【0013】
また、前記前面に垂直な方向において、前記第1パッシベーション層の厚さは、30nm~60nmである。
【0014】
また、前記前面に垂直な方向において、前記第2パッシベーション層の厚さは、20nm~40nmである。
【0015】
それに対応して、本発明の実施例には、光起電力モジュールがさらに提供され、当該光起電力モジュールは、複数の上記のいずれか一項に記載の太陽電池を接続することで形成されたセルストリングと、前記セルストリングの表面を被覆するための封止用接着フィルムと、前記封止用接着フィルムの前記セルストリングから離れた表面を覆うためのカバープレートとを備える。
【0016】
それに対応して、本発明の実施例には、太陽電池の製造方法がさらに提供され、当該太陽電池の製造方法は、基板を提供することであって、前記基板は、対向する前面及び裏面を有することと、前記前面にパッシベーション積層体を形成することであって、前記パッシベーション積層体は、前記前面から離れる方向に順次設置された酸素含有誘電体層、第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層を含み、ここで、前記酸素含有誘電体層は金属酸化物材料を含み、前記第1パッシベーション層は窒化ケイ素材料を含み、前記第2パッシベーション層は酸窒化ケイ素材料を含むことと、前記裏面にかつ前記裏面から離れる方向にトンネル酸化層及びドープ導電層を順次形成することと、を含み、そのうち、前記第1パッシベーション層は、前記酸素含有誘電体層に近い第1界面と、前記第2パッシベーション層に近い第2界面とを有し、前記第2パッシベーション層は、前記第2界面から遠い第3界面を有し、窒素元素及びケイ素元素は、前記第2界面における含有量がそれぞれ前記第1界面及び前記第3界面における含有量よりも大きく、酸素元素は、前記第2界面における含有量が前記第1界面及び前記第3界面における含有量よりも小さく、前記ドープ導電層と前記基板とは、同じ導電型のドーパント元素を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施例に提供された技術考案は、少なくとも以下の利点を有する。
【0018】
上記の太陽電池において、基板の前面と第1パッシベーション層との間に酸素含有誘電体層を設けることにより、前面と第1パッシベーション層とが直接接触する際に、第1パッシベーション層と前面との格子不整合が大きいという問題を回避することに有利であり、前面から第1パッシベーション層への移行を図るための酸素含有誘電体層を設けることにより、太陽電池の全体性能を向上させる。第1パッシベーション層は、窒化ケイ素材料を含み、窒化珪素材料の固定正電荷密度が高いため、良好な水素パッシベーション効果を有し、かつ、窒化珪素材料が高い屈折率を有し、入射光線に対する吸収能力が強いため、酸素含有誘電体層の屈折率が低いことに起因して入射光線の利用率が低いという不足を補い、前面に対するパッシベーション効果をさらに向上させることができる。第2パッシベーション層が酸窒化ケイ素材料を含むことにより、太陽電池に短波長光に対する良好な吸収効率を持たせることに有利であり、それと共に、第1パッシベーション層の第1界面及び第2界面における窒素元素含有量、ケイ素元素含有量及び酸素元素含有量の大小関係を設計し、かつ第2パッシベーション層の第2界面及び第3界面における窒素元素含有量、ケイ素元素含有量及び酸素元素含有量の大小関係を設計することにより、第2パッシベーション層に高い屈折率を持たせ、外光をより小さい入射角で基板内に入射することに有利であり、第1パッシベーション層に第2パッシベーション層よりも高い屈折率を持たせ、光の内部反射及び出射の低減に有利である。したがって、前面に位置するパッシベーション積層体により、太陽電池の光吸収効率を向上させ、太陽電池の外観をより暗く見せることを図ることに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
一つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明され、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、特に断りのない限り、添付の図面における図は比例上の制限を形成しない。
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係る太陽電池の断面構造を示す図である。
【
図2a】
図2aは、本発明の一実施例に係る太陽電池におけるパッシベーション積層体中の窒素元素含有量の変化傾向を示すグラフである。
【
図2b】
図2bは、本発明の一実施例に係る太陽電池におけるパッシベーション積層体中のケイ素元素含有量の変化傾向を示すグラフである。
【
図2c】
図2cは、本発明の一実施例に係る太陽電池におけるパッシベーション積層体中の酸素元素含有量の変化傾向を示すグラフである。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係る太陽電池における第1パッシベーション層の断面構造を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に係る波長-反射率の比較を示すグラフである。
【
図5】
図5は、本発明の他の実施例に係る光起電力モジュールの構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の別の実施例に係る太陽電池の製造方法の各ステップに対応する構成を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の別の実施例に係る太陽電池の製造方法の各ステップに対応する構成を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の別の実施例に係る太陽電池の製造方法の各ステップに対応する構成を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の別の実施例に係る太陽電池の製造方法の各ステップに対応する構成を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の別の実施例に係る太陽電池の製造方法の各ステップに対応する構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
背景技術から分かるように、太陽電池の光に対する吸収効率を向上させる必要がある。
【0021】
分析して分かるように、太陽電池の光吸収効率を向上させるために、現在の業界では、通常、太陽電池が青色を呈して外観が実に真っ黒になることを図ることができず、従来の解決案として、化学エッチング法を用いてブラックシリコンテクスチャード加工表面を製造し、又は、低屈折率の酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素を窒化シリコンマスクに重ね合わせることが挙げられるが、このような方法は、依然として完成品の太陽電池は青色又は灰色を呈してしまう等の、色価が要件を満たしていない場合がある。
【0022】
本発明の実施例には、太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュールが提供され、太陽電池において、第1パッシベーション層の基板から離れる側に酸窒化ケイ素材料を含む第2パッシベーション層を設けることにより、太陽電池に短波長光(例えば、紫外光または近紫外光)に対する良好な吸収効率を持たせることに有利であり、それと共に、第1パッシベーション層の第1界面及び第2界面における窒素元素含有量、ケイ素元素含有量及び酸素元素含有量の大小関係を設計し、かつ第2パッシベーション層の第2界面及び第3界面における窒素元素含有量、ケイ素元素含有量及び酸素元素含有量の大小関係を設計することにより、第2パッシベーション層に高い屈折率を持たせ、外光をより小さい入射角で基板内に入射することに有利であり、第1パッシベーション層に第2パッシベーション層よりも高い屈折率を持たせ、光の内部反射及び出射の低減に有利である。したがって、前面に位置するパッシベーション積層体により、太陽電池の光吸収効率を向上させ、太陽電池の外観をより暗く見せることを図ることに有利である。
【0023】
以下、本発明の各実施例について図面を組み合わせて詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりよく理解させるために、本発明の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部及び以下の各実施例に基づく種々の変更や修正がなくても、本発明が保護しようとする技術考案を実現することができる。
【0024】
図1は、本発明の一実施例に係る太陽電池の断面構造を示す図であり、
図2aは、本発明の一実施例に係る太陽電池におけるパッシベーション積層体中の窒素元素含有量の変化傾向を示すグラフであり、
図2bは、本発明の一実施例に係る太陽電池におけるパッシベーション積層体中のケイ素元素含有量の変化傾向を示すグラフであり、
図2cは、本発明の一実施例に係る太陽電池におけるパッシベーション積層体中の酸素元素含有量の変化傾向を示すグラフであり、
図3は、本発明の一実施例に係る太陽電池における第1パッシベーション層の断面構造を示す図であり、
図4は、本発明の一実施例に係る波長-反射率の比較を示すグラフである。
【0025】
図1を参照して、太陽電池は、対向する前面100a及び裏面100bを有する基板100と、前面100aに位置するパッシベーション積層体110であって、パッシベーション積層体110は、前面100aから離れる方向に順次設置された酸素含有誘電体層111、第1パッシベーション層112及び第2パッシベーション層113を含み、ここで、酸素含有誘電体層111は金属酸化物材料を含み、第1パッシベーション層112は窒化ケイ素材料を含み、第2パッシベーション層113は酸窒化ケイ素材料を含むパッシベーション積層体110と、裏面100bに位置しかつ裏面100bから離れる方向に順次設置されたトンネル酸化層121及びドープ導電層122とを備え、そのうち、第1パッシベーション層112は、酸素含有誘電体層111に近い第1界面112cと、第2パッシベーション層113に近い第2界面112dとを有し、第2パッシベーション層113は、第2界面112dから遠い第3界面113eを有し、窒素元素及びケイ素元素は、第2界面112dにおける含有量がそれぞれ第1界面112c及び第3界面113eにおける含有量よりも大きく、酸素元素は、第2界面112dにおける含有量が第1界面112c及び第3界面113eにおける含有量よりも小さく、ドープ導電層122と基板100とは、同じ導電型(conductivity type)のドーパント元素を有する。
【0026】
理解できるように、窒素元素の第1界面112cにおける含有量を第1窒素元素含有量とし、窒素元素の第2界面112dにおける含有量を第2窒素元素含有量とし、窒素元素の第3界面113eにおける含有量を第3窒素元素含有量とすることができ、即ち、第2窒素元素含有量は、第1窒素元素含有量及び第3窒素元素含有量よりも大きい。ケイ素元素の第1界面112cにおける含有量を第1ケイ素元素含有量とし、ケイ素元素の第2界面112dにおける含有量を第2ケイ素元素含有量とし、ケイ素元素の第3界面113eにおける含有量を第3ケイ素元素含有量とすることができ、即ち、第2ケイ素元素含有量は、第1ケイ素元素含有量及び第3ケイ素元素含有量よりも大きい。酸素元素の第1界面112cにおける含有量を第1酸素元素含有量とし、酸素元素の第2界面112dにおける含有量を第2酸素元素含有量とし、酸素元素の第3界面113eにおける含有量を第3酸素元素含有量とすることができ、即ち、第2酸素元素含有量は、第1酸素元素含有量及び第3酸素元素含有量よりも小さい。
【0027】
ここで、第1パッシベーション層112の第2界面112dに酸窒化ケイ素材料を含む第2パッシベーション層113を設けることにより、太陽電池に短波長光に対する良好な吸収効率を持たせることができることに有利であり、同時に、第2パッシベーション層113における第2窒素元素含有量を第3窒素元素含有量よりも大きく、第2ケイ素元素含有量を第3ケイ素元素含有量よりも大きく、かつ第2酸素元素含有量を第3酸素元素含有量よりも小さくするように設定することにより、第2パッシベーション層113は高い屈折率を有し、外部光はより小さな入射角で基板100に入射することに有利である。
【0028】
また、第1パッシベーション層112における第2窒素元素含有量を第1窒素元素含有量よりも大きく、第2ケイ素元素含有量を第1ケイ素元素含有量よりも大きく、かつ第2酸素元素含有量を第1酸素元素含有量よりも小さくするように設定することにより、第1パッシベーション層112は第2パッシベーション層113よりも高い屈折率を有し、光の内部反射及び出射を低減することに有利である。また、窒化ケイ素材料を含む第1パッシベーション層112を形成する技術において、第1パッシベーション層112内に適量の水素イオンを有し、適量の水素イオンを移動させることで前面100aにおけるダングリングボンドを効果的に飽和させることができると共に、水素イオンとキャリアとの再結合を抑制でき、キャリアの対応する電極への収束を確保することに有利である。
【0029】
ここで、パッシベーション積層体110における各元素の含有量は、エネルギー分散型X線分光法(EDS)又は電子エネルギー損失分光法(EELS)によって取得されることができる。幾つかの実施例において、第1パッシベーション層112は、ケイ素リッチ層であり、従来の窒化ケイ素材料と比べて、本発明の第1パッシベーション層112における窒化ケイ素材料中のケイ素元素含有量の割合は窒素元素含有量の割合よりも大きい。これに対応して、第2パッシベーション層113も、同様にケイ素リッチ層であってもよく、即ち、第2パッシベーション層113におけるケイ素元素含有量の割合は、窒素元素含有量の割合と酸素元素含有量の割合よりも大きい。
【0030】
幾つかの実施例では、
図2a~
図2cを参照して、前面100aから離れる方向において、第1パッシベーション層112における窒素元素含有量及びケイ素元素含有量は、増加してから減少する変化を示し、第2パッシベーション層113における窒素元素含有量及びケイ素元素含有量は減少する変化を示し、第1パッシベーション層112における酸素元素含有量は、減少してから増加する変化を示し、第2パッシベーション層113における酸素元素含有量は増加する変化を示す。
【0031】
このように、窒素元素及びケイ素元素は、第2界面112dにおける含有量がそれぞれ第1界面112c及び第3界面113eにおける含有量よりも大きく、かつ、酸素元素は、第2界面112dにおける含有量が第1界面112c及び第3界面113eにおける含有量よりも小さいことを満足すること共に、第1界面112cにおける第1窒素元素含有量、第1ケイ素元素含有量及び第1酸素元素含有量を第2界面112dにおける第2窒素元素含有量、第2ケイ素元素含有量及び第2酸素元素含有量に緩やかに移行させ、さらに、第3界面113eにおける第3窒素元素含有量、第3ケイ素元素含有量及び第3酸素元素含有量に緩やかに移行させ、これによって、パッシベーション積層体全体のパッシベーション効果の安定性を向上させることに有利である。
【0032】
幾つかの実施例では、
図2aに示されるように、前面100aから離れる方向において、パッシベーション積層体110における窒素元素含有量の最大ピーク値と前面100aとの間の距離D1は30nm以上であり、
図2bに示されるように、ケイ素元素含有量の最大ピーク値と前面100aとの間の距離D2は0nmよりも大きくかつ30nm以下であり、
図2cに示されるように、酸素元素含有量の最大ピーク値と酸素元素含有量の第二ピーク値との間の距離は40nm~100nmである。このように、第1パッシベーション層112に第2パッシベーション層よりも高い屈折率を持たせて長波長光を重点的に吸収させ、第2パッシベーション層113に短波長光を重点的に吸収させ、これによって、太陽電池は長波長光と短波長光の両方に対しても良好な吸収効率を有することに有利であり、同時に、短波長光を重点的に吸収する第2パッシベーション層113の屈折率が比較的低いため、太陽電池が異なる波長帯の光線全体に対して高い屈折率を有するように、パッシベーション積層体110における各元素含有量の最大ピーク値と前面100aとの間の距離又は最大ピーク値と第二ピーク値との距離を制御することによって、第1パッシベーション層112の屈折率を第2パッシベーション層113の屈折率よりも大きくし、太陽電池の光吸収効率を向上させる。
【0033】
なお、単層パッシベーション層におけるケイ素元素の含有量が高いほど、当該パッシベーション層の屈折率が高くなり、また、当該パッシベーション層における他の元素の含有量も当該パッシベーション層の屈折率に影響を与えるため、パッシベーション積層110における各元素の含有量の最大ピーク値と前面100aとの間の距離又は最大ピーク値と第二ピーク値との間の距離を調整することにより、パッシベーション積層110における各膜層の屈折率を制御することができる。
【0034】
なお、
図2において、基板100から0nm離れた箇所におけるケイ素元素含有量がパッシベーション積層体110におけるケイ素元素含有量の最大ピーク値よりも高い理由は、
図2が基板100をシリコン基板材料として試験して得られた各元素の含有量の変化傾向を示すグラフであるため、基板100から0nm離れた箇所におけるケイ素元素の殆どは、パッシベーション積層110におけるケイ素元素ではなく、基板100によって提供されるものである、ことである。
【0035】
ここで、窒素含有量の最大ピーク値は50%、ケイ素含有量の最大ピーク値は65%、酸素含有量の最大ピーク値は45%とすることができる。
【0036】
幾つかの実施例では、第1パッシベーション層112に含まれた窒化ケイ素材料は、第1SimNn(n/m∈[0.5、1])材料であってもよく、第2パッシベーション層113に含まれた酸窒化ケイ素材料は、SiOiNj(j/i∈[0.1、0.6])材料であってもよい。
【0037】
理解できるように、n/mもj/iも、対応する原子数比である。
【0038】
ここで、パッシベーション積層体110における各原子数比は、エネルギー分散型X線分光法(EDS)又は電子エネルギー損失分光法(EELS)によって得られることができる。
【0039】
なお、各パッシベーション層の厚さ及び屈折率と入射光の波長が次の式を満たす場合、当該パッシベーション層は良好なパッシベーション効果を達成することができる。
入射光の波長=4×厚さ×屈折率
【0040】
第2パッシベーション層113のSiOiNj材料において、j/i∈[0.1、0.6]であり、iはO原子数を表し、jはN原子数を表す。SiOiNj材料におけるN原子数とO原子数との比を調整することにより、SiOiNj材料の厚さ及び屈折率を調整することができ、第2パッシベーション層113の厚さを入射光線の波長及び屈折率と合わせることにより、第2パッシベーション層113は良好なパッシベーション効果及び高い屈折率を有し、外光をより小さな入射角で基板100に入射させることに有利である。
【0041】
第1パッシベーション層112の第1SimNn材料において、n/m∈[0.5、1]であり、ここで、mはSi原子数を表し、nはN原子数を表す。第1SimNn材料におけるSi原子数とN原子数との比を調整することにより、第1パッシベーション層112の屈折率の大きさ及び厚さを調整することができ、第1パッシベーション層112の良好なパッシベーション効果を確保し、また、第1パッシベーション層112に第2パッシベーション層113よりも高い屈折率を持たせることにより、光の内部反射及び出射を低減する。理解できるように、単位体積当たりの正電荷の数が多いほど、電気特性が強くなるため、第1パッシベーション層112の厚さを調整することにより、第1パッシベーション層112の電気特性の強さを調整し、第1パッシベーション層112のパッシベーション効果を調整することができる。
【0042】
以下、図面を組み合わせて
図1に示される太陽電池をさらに詳しく説明する。
【0043】
幾つかの実施例では、基板100はシリコン基板材料であり、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、又は微結晶シリコンのうちの一種又は複数種である。他の実施例において、基板の材料は、炭素単体、有機材料、又は多元系化合物であってもよく、多元系化合物は、ペロブスカイト、ガリウムヒ素、テルル化カドミウム、銅インジウムセレン等の材料を含み得るが、これらに限られない。また、前面100aは受光面であり、裏面100bは受光面に対向する背面であり、前面100aは、ピラミッドテクスチャード加工表面として設けられることができ、これにより、前面100aの光反射を低減し、光線に対する吸収利用率を向上させ、太陽電池の変換効率を向上させる。幾つかの実施例において、裏面100bは、例えば積層した段差模様のような非ピラミッドテクスチャード加工表面として設けられてもよく、これにより、裏面100bを覆うトンネル酸化層121が高い緻密性及び均一性を有することを確保し、裏面100bに対するトンネル酸化層の良好なパッシベーション効果を確保する。
【0044】
幾つかの実施例では、基板100は、N型半導体基板である。そのうち、基板100は、ベース領域101とエミッタ102を含み、ベース領域101は、N型ドーパント元素(例えば、リン元素、ヒ素元素、アンチモン元素等)を含み、エミッタ102は、P型ドーパント元素を含み、エミッタ102とベース領域101とはPN接合を形成している。他の幾つかの実施例において、酸素含有誘電体層111は、エミッタ102を覆っている。エミッタ102は、ベース領域101の表層にP型元素(例えば、ホウ素元素)の拡散ドーピングを行うことによって得られることができ、ドーピングされた一部のベース領域101がエミッタ102に変換されており、ドープ導電層122におけるドーパント元素の種類が基板100のドーパント元素の種類と同じであることは、実際に、ドープ導電層122におけるドーパント元素の種類が基板100本体におけるドーパント元素の種類と同じであり、即ち、ドープ導電層122におけるドーパント元素の種類がベース領域101におけるドーパント元素の種類と同じであることを意味する。
【0045】
酸素含有誘電体層111における金属酸化物材料は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ガリウム、又は酸化ハフニウムのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、酸素含有誘電体層111には、酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素のうちの少なくとも1つが含まれてもよい。
【0046】
以下、金属酸化物材料が主にAlXOy材料であることを例として説明する。
【0047】
酸素含有誘電体層111の材料の特性については、酸素含有誘電体層111のフィールドパッシベーション効果を強化し、キャリアの選択的な輸送を実現する観点から、酸素含有誘電体層111は、強い負帯電性を有するように設定される必要がある。基板100への外部正イオンの移動浸透を抑制する観点から、酸素含有誘電体層111は、弱い負帯電性を有するように設定される必要がある。酸素含有誘電体層111と隣接膜層との間の応力を小さくする観点から、酸素含有誘電体層111の硬度を低く設定する必要がある。また、太陽電池の短波長光に対する吸収効率を向上させるために、酸素含有誘電体層111の短波長光に対する吸収作用も考慮する必要がある。上記の考慮から、酸素含有誘電体層111におけるAlxOy材料のy/x比を、1.1~1.5、例えば1.2、1.3、又は1.4とすることができ、選択可能であるが、y/xは、1.1以上かつ1.5未満であり、酸素含有誘電体層111における酸素元素含有量の割合を15%~50%に制御する。
【0048】
酸素含有誘電体層111がフィールドパッシベーション効果を有し、かつ第1パッシベーション層112が一定の正帯電性を有するため、第1パッシベーション層112の酸素含有誘電体層111のフィールドパッシベーション効果及び基板の光電効果に対する影響を回避することに有利である。
【0049】
酸素含有誘電体層111の前面100aに垂直な方向における厚さについては、酸素含有誘電体層111の厚さが厚いほど、フィールドパッシベーション効果が強くなることが理解できる。同時に、酸化アルミニウムとシリコンとの材料特性の違いが大きいため、酸素含有誘電体層111が厚いほど、酸素含有誘電体層111の基板100に加える応力が大きくなる。さらに、任意の膜層自身が存在する遮断効果に基づいて、酸素含有誘電体層111の厚さが厚いほど、第1パッシベーション層112における水素イオンが、酸素含有誘電体層111を通過して前面100aにおけるダングリングボンドを飽和し難くなることが理解できる。上記の考慮から、酸素含有誘電体層111の厚さを、1nm~15nm、例えば3nm、5nm、7nm、9nm、10nm又は12nmとすることができる。
【0050】
幾つかの実施例では、酸素含有誘電体層111が金属酸化物材料を含むことに基づいて、酸素含有誘電体層111は、酸化ケイ素材料をさらに含んでもよい。幾つかの実施例において、酸化ケイ素材料は前面100aを被覆し、或いは、酸化ケイ素材料は基板100と金属酸化物材料との間に介在しており、金属酸化物材料は酸化アルミニウムAlxOy材料を含む。この酸化ケイ素材料は、前面100aを不動態化させるように、自然酸化で形成されていてもよいし、熱酸化工程によって形成されてもよい。他の幾つかの実施例において、酸素含有誘電体層111が金属酸化物材料を含むことに基づいて、酸素含有誘電体層111の第1パッシベーション112に近い領域に酸化ケイ素材料がさらに含まれてもよく、金属酸化物材料は酸化アルミニウムAlxOy材料を含む。上記の2つの実施例において、前面100aに垂直な方向において、酸化ケイ素材料からなる膜層の厚さは、0.5nm~2nm、例えば0.8nm、1.1nm、1.4nm、又は1.7nmとすることができ、膜層の厚さが厚すぎると、キャリアがトンネル効果によって薄膜を通過できなくなるおそれがあり、膜層の厚さが薄すぎると、パッシベーション効果が劣ってしまう。
【0051】
また、酸化ケイ素材料は良好な耐PID効果も有する。光起電力モジュールの封止用材料が100%で外部から隔離することが困難であるため、湿っぽい環境では水蒸気が封止機能を果たす封止用材料又はバックプレートを通じて太陽電池の内部に侵入する可能性がある。この場合、封止用材料におけるガラスはナトリウムイオンを生成し、ナトリウムイオンは、印加電界の作用の下で太陽電池の表面へ移動してPID現象を生じさせ、太陽電池の光電変換効率を低下させてしまう。酸化ケイ素材料が良好な緻密性及び絶縁性を有するため、基板100内への水蒸気の侵入を防止するのに良好な効果を有し、良好な耐PID効果を有する。このように、光起電力モジュールの封止用材料が完全に絶縁することが困難であっても、水蒸気が封止機能を果たす封止用材料を通じて太陽電池の存在環境に侵入し、酸化ケイ素材料からなる膜層も封止用材料におけるガラス中のナトリウムイオンの基板100の前面100aへの移動を防止することができ、PID現象の発生を防止し、太陽電池の光電変換率を高く保つことができる。
【0052】
第1パッシベーション層112の具体的な構造について、以下、2つの実施例を組み合わせて詳しく説明する。
【0053】
幾つかの実施例では、
図1を参照して、第1パッシベーション層112は単層構造である。
【0054】
他の幾つかの実施例では、
図3を参照して、第1パッシベーション層112は、少なくとも2層のサブパッシベーション層を含み、前面100aから離れる方向において、隣接するサブパッシベーション層におけるケイ素元素含有量の割合は徐々に減少し、隣接するサブパッシベーション層における窒素元素含有量の割合は徐々に増加する。このように、前面100aに近いサブパッシベーション層の屈折率を前面100aから遠いサブパッシベーション層の屈折率よりも高くし、入射光を第1パッシベーション層112内で複数回反射させ、太陽電池の光利用率を向上させることに有利であり、同時に、第1パッシベーション層112の屈折率を第2パッシベーション層113の屈折率に近づけるまで徐々に減少させることに有利であり、パッシベーション積層体110全体の高い屈折率を確保する。
【0055】
なお、
図3には、第1パッシベーション層112が4層のサブパッシベーション層を含むことのみを例としているが、実際の応用において、第1パッシベーション層に含まれたサブパッシベーション層の層数が限定されていない。
【0056】
ここで、第1パッシベーション層112は、前面100aに最も近い下層サブパッシベーション層132と、前面100aから最も遠い上層サブパッシベーション層142とを含み、そのうち、下層サブパッシベーション層132において、ケイ素元素含有量の割合は60%~70%であり、窒素元素含有量の割合は20%~40%であり、上層サブパッシベーション層142において、ケイ素元素含有量の割合は45%~60%であり、窒素元素含有量の割合は30%~50%である。
【0057】
上記の2つの実施例では、第1パッシベーション層112に含まれた窒化ケイ素は、第1SimNn(n/m∈[0.5、1])であってもよい。このように、第1パッシベーション層112において第1SimNn材料の原子数比及び/又は第1パッシベーション層112において各サブパッシベーション層の各元素含有量の大小関係が決まっている場合、第1パッシベーション層112の屈折率範囲もほぼ決まっており(屈折率は、第1パッシベーション層112内の他の不純物元素にも影響される)、第1パッシベーション層112を介して入射した太陽光が基板100の中心により近くなることを確保して、光線の出射を抑制するために、第1パッシベーション層112の前面100aに垂直な方向における厚さを30nm~60nm、例えば35nm、40nm、45nm、50nm又は55nmとすることができる。第1パッシベーション層112の厚さが薄すぎると、第1パッシベーション層112の光線に対する屈折効果が悪くなり、入射光線が他のパッシベーション膜層を介して出射され、又は、基板100に吸収される前に既に基板100を介して出射されてしまい、太陽電池の光線に対する吸収効率を向上させることに不利である。また、第1パッシベーション層112内の水素イオンは、前面100aにおけるダングリングボンドを十分に飽和させることができない可能性があり、第2パッシベーション層113内の水素イオンによって補充する必要があるため、第1パッシベーション層112が厚すぎると、水素イオンの輸送を妨害し、さらに前面100aに多くの界面欠陥を引き起こしてしまい、前面100aのキャリアの再結合の抑制及び前面100aの接触抵抗の低減に不利である。
【0058】
理解できるように、第1パッシベーション層112の厚さの設定は、第1パッシベーション層112の原子数比にも影響され、両者が相互に整合して、特定の波長帯の光線を重点的に吸収し、例えば長波長光を重点的に吸収する。さらに、第1パッシベーション層112の厚さは、太陽電池の全体厚さの要求によっても制限され、太陽電池全体の厚さが薄すぎると、太陽電池が外部応力の影響で破断しやすくなり、太陽電池全体の厚さが厚すぎると、全体の封止に不利であり、工程コストも高くなる。
【0059】
幾つかの実施例では、第1パッシベーション層112における上層サブパッシベーション層142中のケイ素元素含有量の割合が45%~60%であり、窒素元素含有量の割合が30%~50%である場合、第2パッシベーション層113におけるケイ素元素含有量の割合は30%~60%であり、酸素元素含有量の割合は3%~50%、窒素元素含有量の割合は5%~50%である。このように、第2パッシベーション層113におけるケイ素元素含有量の割合を上層サブパッシベーション層142におけるケイ素元素含有量の割合よりも低くし、第2パッシベーション層113における窒素元素含有量の割合を上層サブパッシベーション層142における窒素含有量の割合よりも低くし、第2パッシベーション層113における酸素元素含有量の割合を上層サブパッシベーション層142における酸素元素含有量の割合よりも高くすることに有利であり、さらに上層サブパッシベーション層142の屈折率を第2パッシベーション層113よりも高くするように制御することで、第1パッシベーション層112の屈折率が第2パッシベーション層113の屈折率よりも高くなり、第2パッシベーション層113に短波長光を重点的に吸収させる。
【0060】
幾つかの実施例では、第2パッシベーション層113に含まれた酸窒化ケイ素材料は、SiOiNj(j/i∈[0.1、0.6])材料であってもよく、第2パッシベーション層113において酸窒化ケイ素SiOiNj材料の原子数比及び/又は第1パッシベーション層112において各元素含有量の大小関係が決まっている場合、太陽電池に短波長光に対して高い吸収効率を持たせ、かつ、第2パッシベーション層113における水素イオンが第1パッシベーション層112における水素イオンを補充するように、第2パッシベーション層113の前面100aに垂直な方向における厚さを20nm~40nm、例えば25nm、30nm又は35nmとすることができる。ある場合に、従来の太陽電池は、通常水色を呈しており、その主な原因は、短波長光(例えば、紫外光の波長帯)の反射率が高いことであるが、本発明の実施例では、第2パッシベーション層113の厚さを特定の区間(例えば、20nm~50nm)に設定して短波長光を重点的に吸収することで、太陽電池にくすんだ青色ひいては黒色を呈させることに有利であり、前記電池が封止されてなる光起電力モジュールが黒色を呈しており、高い発電効率を有するとともに、より多くのシーン(例えばBIPV、建材一体型太陽光発電)に適用できる。
【0061】
幾つかの実施例では、第2パッシベーション層113の厚さが20nm未満である場合、太陽電池が水色を呈する可能性があり、第2パッシベーション層113の厚さが40nmよりも大きい場合、太陽電池が緑色を呈する可能性がある。
【0062】
なお、第1パッシベーション層112及び第2パッシベーション層113は、いずれも積層構造であってもよく、積層構造における異なるサブ層の屈折率は、基板100の前面100aから離れる方向において徐々に低くなる。このように、隣接膜層の屈折率の差が大きすぎることによる内部反射及び出射の低減に有利であり、隣接膜層は、太陽電池内の膜層だけでなく、光起電力モジュールにおける封止用接着フィルム及びカバープレートをさらに含む。
【0063】
幾つかの実施例では、第1パッシベーション層112の第2屈折率は、酸素含有誘電体層111の第1屈折率及び第2パッシベーション層113の第3屈折率よりも大きく、そのうち、第2屈折率を第3屈折率よりも大きくすることで、第2パッシベーション層113を介して入射した太陽光の反射及び出射の低減に有利である。さらに、幾つかの実施例において、第1屈折率を第3屈折率よりも大きくすることにより、第2パッシベーション層113を介して入射した太陽光の反射及び出射をより一層低減し、太陽電池の吸収効率を向上させることに有利である。理解できるように、上記の膜層が複数層のサブ膜層を含む場合、膜層に対応する屈折率は、複数層のサブ膜層の平均屈折率である。
【0064】
第2パッシベーション層113については、外光の入射角を小さくする観点から、第2パッシベーション層113が高い屈折率を有するように設定する必要があり、内部反射及び出射を抑制する観点から、第2パッシベーション層113が小さい屈折率を有するように設定する必要があり、かつ第2パッシベーション層113の屈折率と第1パッシベーション層112の屈折率との差を小さく設定する必要がある。短波長光を重点的に吸収する観点から、第2パッシベーション層113内の酸素元素含有量の割合が比較的大きくなるように設定する必要があり、酸素元素含有量の増大に伴い、第2パッシベーション層113の屈折率が徐々に減少していることが分かる。太陽電池が短波長光に対して高い吸収効率を有するように、第2パッシベーション層113の原子数比j/iを0.43~0.46、例えば0.44又は0.45とすることができ、第2パッシベーション層113の屈折率を1.45~1.8、例えば1.55、1.6、1.65、1.7又は1.75とすることができる。
【0065】
また、第1パッシベーション層112の原子数比n/mを0.56~0.7、例えば0.60、0.64又は0.68とすることができ、第1パッシベーション層112の屈折率を1.9~2.2、例えば2.0、2.05又は2.1とすることができる。同時に、酸素含有誘電体層111の屈折率を1.6~1.7、例えば1.63、1.65又は1.68とする。
【0066】
図4を参照して、従来のTOPCON電池(N型TOPCON電池)と比べて、本発明の一実施例に提供される太陽電池は、短波長(例えば、紫外光の波長帯)の範囲においてより低い反射率を有しており、従来のTOPCON電池は、通常、酸化アルミニウム/窒化ケイ素積層体を用いて正面パッシベーション層とする。波長400nm及び450nmを例に取れば、波長400nmの位置では、従来のTOPCON電池の反射率は11.1%程度であり、これに対して、本発明の実施例に提供される太陽電池の反射率は、6.5%程度であり、半分程度に低下した。波長450nmの位置では、従来のTOPCON電池の反射率は4%程度であるり、これに対して、本発明の実施例に提供される太陽電池の反射率は、2.4%程度であり、同様に半分程度に低下した。本発明の実施例に提供される太陽電池は、短波長の範囲において光の反射率が低いため、従来の太陽電池又は光起電力モジュールが青色を呈するのに対して、くすんだ青色ひいては黒色を呈することができ、これにより、黒色の光起電力モジュールを構成する。
【0067】
380nm~1050nmの波長区間の平均反射率からも、本発明の実施例に提供される太陽電池は著しく低下することが分かる。具体的には、全体区間範囲において、従来のTOPCON電池は、反射率が2.1%~2.3%であり、例えば、従来のTOPCON電池の平均反射率が2.237%程度であるのに対して、本発明の実施例に提供される太陽電池は、平均反射率が1.4%~1.7%であり、例えば1.552%程度であり、1/3近くに低下した。さらに、600nm~800nmの波長区間からも、本発明の実施例に提供される太陽電池の平均反射率は、同様に1%未満であることが分かる。上記のパッシベーション積層体(酸素含有誘電体層111、第1パッシベーション層112、及び第2パッシベーション層113)をTOPCON電池に適用した場合、電池の短絡電流を30mA以上向上させることができる。
【0068】
幾つかの実施例では、裏面100bにはパッシベーション接触構造がさらに設けられており、パッシベーション接触構造は、少なくとも、基板100から離れる方向に順次設置されているトンネル酸化層121及びドープ導電層122を含む。そのうち、トンネル酸化層121の材料は、例えば酸化ケイ素のような誘電体材料であり、裏面100bの界面パッシベーションを実現するために用いられる。ドープ導電層122の材料は、フィールドパッシベーションを形成するために用いられ、例えばドープシリコンであり、ドープ導電層122は、基板100と同じ導電型のドーパント元素を有し、ドープシリコンは具体的に、N型ドープ多結晶シリコン、N型ドープ微結晶シリコン、又はN型ドープアモルファスシリコンの一種又は複数種であってもよく、ドープ導電層122には、N型ドーパント元素が含まれている。ここで、幾つかの実施例において、ドープ導電層122は、ドープ多結晶シリコン層であり、裏面100bに垂直な方向において、ドープ導電層122の厚さの範囲は、80nm~160nmであり、例えば100nm、120nm、又は140nmであり、ドープ導電層122の屈折率範囲は、3.5~4.5であり、例えば3.75、4又は4.25である。
【0069】
幾つかの実施例では、ドープ導電層122には、入射光の電池背部での反射効果を高めるための第4パッシベーション層123がさらに設けられている。ここで、第4パッシベーション層123は、複数層のサブ層を含んでいてもよく、裏面100bがドープ導電層122に向かう方向において、異なるサブ層の屈折率が徐々に減少しており、このように、内部反射により入射光の電池背部での反射効果を高めることに有利である。第4パッシベーション層123の材料が窒化ケイ素である場合、屈折率が高い窒化ケイ素サブ層は、より多くの水素イオンを有し、水素イオンは、濃度差によって形成される拡散動力又は熱処理工程によって形成される熱動力下で裏面100bに移動して、基板100とパッシベーション接触構造との間の界面欠陥をを不動態化し、キャリアの再結合を抑制し、光電変換効率を向上させることができる。
【0070】
具体的には、第4パッシベーション層123は、順次設置されている下層パッシベーション層、中間パッシベーション層、及び上層パッシベーション層を含むことができ、下層パッシベーション層は、ドープ導電層122の表面を被覆し、下層パッシベーション層の屈折率は、2.12~2.2、例えば2.14、2.16、又は2.18とすることができ、裏面100bに垂直な方向において、厚さが10nm~20nm、例えば13nm、15nm又は18nmである。中間パッシベーション層の屈折率は、2.10~2.12、例えば2.13、2.15、又は2.18とすることができ、裏面100bに垂直な方向において、厚さが20nm~30nm、例えば23nm、25nm、又は28nmである。上層パッシベーション層の屈折率は、2.09~2.10とすることができ、裏面100bに垂直な方向において、厚さが30nm~50nm、例えば35nm、40nm、又は45nmである。要するに、第4パッシベーション層123は、第2SiaNb材料を含み、a/b∈[3.5、6.8]であり、例えば4.2、4.9、5.6又は6.3である。第4パッシベーション層123の全体の屈折率は、2.04~2.2、例えば2.08、2.12、又は2.16とすることができ、裏面100bに垂直な方向において、第4パッシベーション層123の厚さは60nm~100nm、例えば70nm、80nm、又は90nmとすることができる。
【0071】
また、太陽電池は、第1電極114及び第2電極124とを含み、第1電極114はエミッタ102に電気的に接続されており、第2電極124は第4パッシベーション層123を貫通してドープ導電層122に電気的に接続されている。幾つかの実施例において、第1電極114及び/又は第2電極124は、導電性ペースト(銀ペースト、アルミニウムペースト又は銀アルミニウムペースト)を焼結印刷することで形成されることができる。
【0072】
本発明の実施例では、第1パッシベーション層112の前面100aから離れる側に酸窒化ケイ素材料を含む第2パッシベーション層113を設けることにより、太陽電池に短波長光に対する良好な吸収効率を持たせることができる、それとと共に、第1パッシベーション層112の第1界面112c及び第2界面112dにおける窒素元素含有量、ケイ素元素含有量及び酸素元素含有量の大小関係を設計し、かつ第2パッシベーション層113の第2界面112d及び第3界面113eにおける窒素元素含有量、ケイ素元素含有量及び酸素元素含有量の大小関係を設計することにより、第2パッシベーション層113に高い屈折率を持たせ、外光をより小さい入射角で基板100内に入射することに有利であり、第1パッシベーション層112に第2パッシベーション層113よりも高い屈折率を持たせることにより、光の内部反射及び出射の低減に有利である。また、第1パッシベーション層112が一定の正帯電性を有することにより、酸素含有誘電体層111のフィールドパッシベーション効果及び基板100の光電効果に対する第1パッシベーション層112の影響を回避することに有利である。上記の幾つかの点を組み合わせることで、太陽電池の光吸収効率を向上させ、太陽電池の外観を、例えばくすんだ青色又は黒色を呈させるようにより暗く見せることを図ることができる。
【0073】
本発明の他の実施例には、光起電力モジュールがさらに提供され、光起電力モジュールは、受け取った光エネルギーを電気エネルギーに変換することに用いられる。
図5は、本発明の他の実施例に係る光起電力モジュールの構成を示す図である。
【0074】
図5を参照して、光起電力モジュールは、セルストリング(図示せず)、封止用接着フィルム140及びカバープレート150を備え、セルストリングは複数の太陽電池130を接続することで形成され、太陽電池130は、上記のいずれかの太陽電池(
図1に示される太陽電池を含むが、これに限らない)であってもよく、隣接する太陽電池130の間は伝導バンド(図示せず)によって電気的に接続されており、それと共に、隣接する太陽電池130の間の位置関係は、部分的に積層されてもよいし、互いに接合されてもよい。封止用接着フィルム140は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)接着フィルム、ポリビニルオクテン共エラストマー(POE)接着フィルム、又はポリエチレンテレフタレート(PET)接着フィルム等の有機封止用接着フィルムであってもよく、封止用接着フィルム140は、セルストリングの表面を被覆して封止する。カバープレート150は、ガラスカバープレート又はプラスチックカバープレート等の透明又は半透明のカバープレートであってよく、カバープレート150は、封止用接着フィルム140のセルストリングから離れた表面において覆われている。
【0075】
幾つかの実施例において、入射光の利用率を高めるように、カバープレート150に光トラップ構造が設けられており、異なるカバープレート150の光トラップ構造が異なってもよい。光起電力モジュールは、高い電流収集能力と低いキャリア再結合率を有し、高い光電変換効率を実現することができ、それと共に、光起電力モジュールの正面はくすんだ青色ひいては黒色を呈し、より多くのシーンに適用できる。
【0076】
幾つかの実施例では、封止用接着フィルム140及びカバープレート150は太陽電池130の前面のみに位置し、裏面に位置する封止用接着フィルム140及びカバープレート150の弱い光線に対する更なる遮断及び削弱を防止する。また、光起電力モジュールは、側辺全包囲方法で封止することができ、即ち、封止用接着フィルム140が光起電力モジュールの側辺を完全に被覆するという方法を用いることによって、光起電力モジュールは積層過程において積層ずれが発生することを防止し、かつ、外部環境が光起電力モジュールの側辺を通じて太陽電池の性能を損なってしまい、例えば水蒸気の侵入を回避する。
【0077】
本発明の別の実施例には、太陽電池の製造方法がさらに提供される。
図6~10及び
図1を参照して、
図6~10及び
図1は本発明の別の実施例に係る太陽電池の製造方法の各ステップに対応する構成を示す図である。
【0078】
図6~
図8を参照して、基板100を提供し、基板100は、対向する前面100a及び裏面100bを有する。
【0079】
そのうち、基板100を提供することは、以下のステップを含むことができる。
【0080】
図6を参照して、ベース領域101を提供して両面テクスチャード加工を行う。
【0081】
具体的には、ベース領域101を洗浄し、ウェット化学エッチングによってピラミッドテクスチャード加工表面を作製し、ピラミッドテクスチャード加工表面は、ベース領域101の表面における光線の反射を低減することができ、ベース領域101の光線に対する吸収利用率を高め、太陽電池の変換効率を向上させることができる。幾つかの実施例において、ベース領域101の材料は、単結晶シリコンであり、ベース領域101の厚さは、60μm~240μmであり、具体的には、60μm、80μm、90μm、100μm、120μm、150μm、200μm、又は240μm等であってもよく、ベース領域101の抵抗率の範囲は、0.3ohm.cm~2ohm.cmである。また、ベース領域101は、N型半導体又はP型半導体であってもよく、以下では、ベース領域101がN型半導体であることを例として説明する。
【0082】
なお、本発明には、テクスチャード加工の具体的な操作方法を限定しない。例えば、ウェットテクスチャード加工工程を選択してテクスチャード加工を行うことができるが、ウェットテクスチャード加工工程に限らない。ベース領域101がN型単結晶シリコンである場合に、水酸化カリウム溶液等のアルカリ性溶液を用いてテクスチャード加工を行うことができ、水酸化カリウム溶液の腐食が異方性を有するため、ピラミッド状の微細構造を作製して得られることに有利である。ピラミッド状の微細構造は、四面体、近似四面体、五面体、近似五面体等の構造であってもよい。また、テクスチャード加工工程は、化学エッチング、レーザーエッチング、機械的方法、又はプラズマエッチング等であってもよく、ピラミッド状の微細構造は金属ペーストをスクリーン印刷して電極を形成する際に当該ピラミッド状の微細構造により良好に充填されることができ、優れた電極接触を実現し、電池の直列抵抗を効果的に低減し、充填率を向上させることができる。また、ピラミッド状の微細構造の形態を制御することにより、太陽電池全体の反射率を10%低下させることができる。
【0083】
【0084】
両面テクスチャード加工した後、ベース領域101の前面100aをホウ素拡散処理してP型エミッタ102を形成し、P型エミッタ102は、ベース領域101における受光側の一部の表層空間を占め、P型エミッタ102とN型ベース領域101は、基板100を構成し、ここで、P型エミッタ102の拡散シート抵抗(Diffusion sheet Resistance)の範囲は、130Ω~150Ωにあり、表面拡散濃度は、E18~E19にある。
【0085】
なお、ホウ素拡散処理において、ベース領域101の前面(即ち、前面100a)、裏面及び側面に余分なホウ珪酸ガラスも同時に生成し、ホウ珪酸ガラスは、ベース領域101に対してある程度の保護作用を果たし、何らかの製造工程のベース領域101の表面に対する損傷の発生を回避することができる。換言すれば、余分なホウ珪酸ガラスは、ベース領域101のマスク層としてもよい。ここで、ホウ素拡散処理に使用されるホウ素源は、液体三臭化ホウ素を含み、ホウ素拡散処理を行うときに、ベース領域101における微結晶シリコン相が多結晶シリコン相に変換される。
【0086】
図8を参照して、ベース領域101の裏面に対して平坦化工程(例えば、アルカリ研磨)を行う。
【0087】
裏面は太陽電池の太陽に背く面であり、平坦化工程は、裏面膜層の堆積に必要な平坦な表面(即ち、裏面100b)を形成することができる。平坦化工程を行う過程では、裏面のホウ珪酸ガラスが同時に除去される。
【0088】
幾つかの実施例では、研磨工程を行う前に、以下のステップをさらに含む。
調合された混酸でベース領域101の裏面のホウ珪酸ガラスを除去し、混酸には、質量分率が0.1%~10%のフッ化水素酸溶液、質量分率が10%~20%の硫酸溶液、及び質量分率が25%~50%の硝酸溶液が含まれ、酸洗いの時間は10s~180sである、酸洗いの温度は7°C~20°Cであるステップ、
酸洗い後の裏面1に対して水洗、乾燥処理を行うステップ。
なお、酸洗い後の基板100の裏面100bには、多孔質構造が現れる。
【0089】
幾つかの実施例では、アルカリ溶液を用いて裏面100bに対して研磨処理を行うことができる。具体的に、質量分率が5%~15%のアルカリ溶液を用いて裏面100bを洗浄し、多孔質構造を除去する。スプレー方法でアルカリ溶液の微小液滴を裏面100bに滴下して粗面化処理を行い、次いで、質量分率が5%~10%のフッ化水素酸で予備洗浄を行う。裏面100bを研磨液で研磨し、研磨温度が70°C~80°Cであり、研磨時間が260s未満であり、そのうち、研磨液は、質量分率が1%~15%の水酸化ナトリウム溶液と、質量分率が1%~15%の水酸化カリウム溶液と、質量分率が0.5%~2.5%の添加剤とを含む。エッチング液中の有機成分は、質量分率が5%~15%の水酸化カリウム溶液と質量分率が15%~40%のオキシドールの混合液で除去される。研磨された基板100に対して水洗、乾燥処理を行う。
【0090】
幾つかの実施例では、裏面100bのホウ素濃度が低いため、アルカリ溶液を用いてエッチングすることにより、エッチング効率を効果的に高めることができる。アルカリ溶液には、有機塩基及び/又は無機塩基が含まれ、無機塩基は、NaOH、KOH、Ga(OH)2、又はNH3.H2Oであってもよく、有機塩基は、トリエチルアミン、ニトロフェノール、ピリジン、キニーネ、コルヒチン等であってもよい。研磨液における添加剤は、スルホン酸ナトリウム、無水マレイン酸、又はアルキルグリコシド等からなる緩衝液であってもよい。幾つかの実施例において、基板100の研磨による重量減少量は、0.3g未満であり、研磨時間及び研磨温度を制御することにより、裏面100bは所定の構造を有することができる。
【0091】
幾つかの実施例では、裏面100bの構造形態は、異なるレベルの形態によって太陽光の吸収を高めるように、前面100aの構造形態とは異なる。例示すると、前面100aはピラミッド状の構造であってもよく、反射防止能力を重点的に向上させる。裏面100bは、積層された段差形態であってもよく、これにより、裏面100bを覆うトンネル酸化層の高い緻密性と均一性を確保し、裏面100bに対するトンネル酸化層の良好なパッシベーション効果を確保する。
【0092】
図9を参照して、裏面100bにかつ裏面100bから離れる方向にトンネル酸化層121及びドープ導電層122を順次形成し、ドープ導電層122と基板100とは同じ導電型のドーパント元素を有する。
【0093】
そのうち、トンネル酸化層121及びドープ導電層122を形成することは、以下のステップを含みことができる。
【0094】
幾つかの実施例では、堆積工程を用いてトンネル酸化層121を形成し、具体的には、トンネル酸化層121の材料は酸化ケイ素を含み、堆積工程は化学気相堆積工程を含み、裏面100bに垂直な方向において、トンネル酸化層121の厚さは、1~2nm、例えば1.2nm、1.4nm、1.6nm又は1.8nmである。他の実施例において、In-situ(その場)生成工程を用いてトンネル酸化層を形成してもよく、具体的には、シリコン基板に、熱酸化工程及び硝酸不動態化等の工程を用いてトンネル酸化層をIn-situ生成してもよい。
【0095】
幾つかの実施例では、変温式工程及び化学気相堆積法を用いて裏面100bにトンネル酸化層121を堆積して形成する。堆積の過程において、昇温速度を0.5°C/min~3°C/min、例えば1.0°C/min、1.5°C/min、2.0°C/min又は2.5°C/min等にし、堆積温度を560°C~620°C、例えば570°C、590°C又は610°C等にし、堆積時間を3min~10min、例えば4min、6min又は8min等にするように制御する。
【0096】
また、幾つかの実施例では、トンネル酸化層121を形成した後、真性多結晶シリコンを堆積して多結晶シリコン層を形成し、イオン注入及びソース拡散によりリンイオンをドーピングしてN型のドープ多結晶シリコン層を形成し、ドープ多結晶シリコン層をドープ導電層122とする。裏面100bに垂直な方向において、ドープ導電層122の厚さは、80nm~160nm、例えば100nm、120nm又は140nmとすることができる。他の実施例において、ドープ導電層は、基板と同じ導電型のドーパント元素を有しており、基板がN型半導体の場合、ドープ導電層は、N型のドープ多結晶シリコン層、N型のドープ微結晶シリコン層、又はN型のドープアモルファスシリコン層の少なくとも1つである。
【0097】
トンネル酸化層121及びドープ導電層122を堆積工程により形成する場合、前面にホウ珪酸ガラスがマスク層としてベース領域101の前面を保護するため、堆積工程を行う際に堆積領域をマスクにより裏面に限定する必要がなく、後で前面におけるホウ珪酸ガラスと、前面に堆積された酸化ケイ素及び多結晶シリコンとを同時に同一の工程により除去することができる。このように、マスクを別途設ける必要がなく、工程のステップの削減、工程のプロセスの短縮、工程コストの低減に有利である。他の実施例において、界面パッシベーション層をIn-situ生成工程で形成する場合、基板の前面に堆積されたホウ珪酸ガラスの表面には、多結晶シリコンのみがある。
【0098】
幾つかの実施例では、トンネル酸化層121及び多結晶シリコン層の堆積及び多結晶シリコン層のドーピングはいずれも低圧化学気相堆積装置に行われている。具体的なステップは、以下を含む。
まず、アルカリ研磨後の基板100を堆積装置に置き、酸素源(例えば、酸素、亜酸化窒素、オゾンであってもよい)を20L~60L導入し、昇温速度0.5°C/min~3°C/minに従って堆積装置内の温度を560°C~620°Cに加熱し、堆積時間を3min~10minとし、トンネル酸化層121を形成し、酸素導入が終了した後、恒温段階に入り、その後、適量のシランガスを導入し、多結晶シリコン層を形成し、最後に、多結晶シリコン層をIn-situドープして、ドープ導電層122を形成する。
【0099】
図10を参照して、前面100aにパッシベーション積層体110を形成し、パッシベーション積層体110は、前面100aから離れる方向に順次設置された酸素含有誘電体層111、第1パッシベーション層112及び第2パッシベーション層113を含み、ここで、酸素含有誘電体層111は、金属酸化物材料を含み、第1パッシベーション層112は窒化ケイ素材料を含み、第2パッシベーション層113は酸窒化ケイ素材料を含み、そのうち、第1パッシベーション層112は、酸素含有誘電体層111に近い第1界面112cと、第2パッシベーション層113に近い第2界面112dとを有し、第2パッシベーション層113は、第2界面112dから遠い第3界面113eを有し、窒素元素及びケイ素元素は、第2界面112dにおける含有量が第1界面112c及び第3界面113eにおける含有量よりも大きく、酸素元素は、第2界面112dにおける含有量が第1界面112c及び第3界面113eにおける含有量よりも小さい。
【0100】
ここで、酸素含有誘電体層111、第1パッシベーション層112及び第2パッシベーション層113を形成することは、以下のステップを含むことができる。
【0101】
幾つかの実施例では、酸素含有誘電体層111を形成する前に、基板100の前面100aに巻取りメッキされた余分なホウ珪酸ガラス、酸化ケイ素及び多結晶シリコンを除去する必要がある。他の実施例において、第1パッシベーション層を形成する前に、基板の前面に巻取りメッキされた余分なホウ珪酸ガラス及び多結晶シリコンを除去する必要がある。
【0102】
さらに、他の実施例において、余分な材料を除去した後に、基板の前面にも薄い酸化ケイ素層を成長させる。薄い酸化ケイ素層の形成工程は、自然酸化、熱酸化、ウェット酸化、原子層堆積、プラズマ増強化学気相成長等の工程を含み、基板の表面に垂直な方向において、薄い酸化ケイ素層の厚さは0~3nmであり、例えば1nm、1.5nm又は2nmである。
【0103】
幾つかの実施例において、酸素含有誘電体層111、第1パッシベーション層112及び第2パッシベーション層113は、化学気相堆積、低圧化学気相堆積、プラズマ増強化学気相成長(直接プラズマ堆積と間接プラズマ堆積を含む)及びマグネトロンスパッタ等の工程を用いて形成することができるが、これらに限らない。ここで、第1パッシベーション層112は、第1SimNn材料(n/m∈[0.5、1])を含み、第2パッシベーション層113は、酸窒化ケイ素SiOiNj材料(j/i∈[0.1、0.6])を含む。以下、原子層堆積工程と管型プラズマ増強化学気相成長工程との組合せを製造手だてとして例示的に説明する。
【0104】
酸素含有誘電体層111の材料組成は、前述した実施例の説明を参照することができ、ここで再び説明しない。以下、酸素含有誘電体層111の材料は主にフィールドパッシベーション材料であり、具体的に酸化アルミニウムAlxOy材料であることを例として説明する。
【0105】
幾つかの実施例では、原子層堆積工程によって酸素含有誘電体層111を形成し、その反応物がトリメチルアルミニウムと水を含み、堆積温度が150℃~250℃、例えば175℃、200℃又は225℃であり、酸素含有誘電体層111の波長632nmにおける屈折率が1.6~1.7、例えば1.63、1.65又は1.67であり、前面100aに垂直な方向において、酸素含有誘電体層111の厚さが3nm~10nm、例えば5nm、7nm又は9nmである。
【0106】
酸素含有誘電体層111を形成した後、酸素含有誘電体層111をシールドガス雰囲気に置いて高温アニール処理を行い、残留水分子及び有機官能基を除去する。そのうち、アニール温度は450℃~550℃、例えば475℃、500℃又は525℃であり、アニール時間は10minを超え、例えば12min、14min又は16minである。なお、上記「シールドガス」とは、反応に関与しない任意のガス、例えば不活性ガスでもよく、幾つかの実施例では、シールドガスとして窒素ガスを用いてもよい。
【0107】
幾つかの実施例において、プラズマ増強化学気相成長工程によって第1パッシベーション層112を形成し、その反応物がシランとアンモニアガスであり、シランとアンモニアガスとの流量比が1/4~1/15、例えば1/6、1/9、又は1/12であり、単位面積あたりのパルスパワーが30~40mW/cm2、例えば33mW/cm2、35mW/cm2、又は37mW/cm2である。流量比及び単位面積あたりのパルスパワーを制御することによって、第1パッシベーション層112における第2窒素元素の含有量を第1窒素元素の含有量よりも大きくし、第2ケイ素元素含有量を第1ケイ素元素の含有量よりも大きくし、第2酸素元素の含有量を第1酸素元素含有量よりも小さくし、かつ、第1パッシベーション層112における第1SimNn材料の原子数の割合をプリセットレベルとし、さらに第1パッシベーション層112に予め設定された屈折率を持たせることに有利である。例示すると、第1SimNn材料を含む第1パッシベーション層112の波長632nmにおける全体の屈折率は1.9~2.2、例えば2.0、2.05又は2.1であり、同時に、前面100aに垂直な方向において、第1パッシベーション層112の厚さは40nm~60nm、例えば35nm、40nm、45nm、50nm又は55nmである。
【0108】
幾つかの実施例では、プラズマ増強化学気相成長工程によって第2パッシベーション層113を形成し、その反応物がシラン、笑気ガス(亜酸化窒素)及びアンモニアガスであり、シランと笑気ガスとの流量比が1/10以上、例えば1/4、1/6又は1/8であり、単位面積あたりのパルスパワーが25~40mW/cm2、例えば28mW/cm2、30mW/cm2、33mW/cm2、又は36mW/cm2である。流量比及び単位面積あたりのパルスパワーを制御することによって、第2パッシベーション層113における第2窒素元素の含有量を第3窒素元素の含有量よりも大きくし、第2ケイ素元素含有量を第3ケイ素元素の含有量よりも大きくし、第2酸素元素の含有量を第3酸素元素含有量よりも小さくし、かつ、第2パッシベーション層113におけるSiOiNj材料の原子数の割合をプリセットレベルとし、第2パッシベーション層113に予め設定された屈折率を持たせることに有利である。例示すると、第2パッシベーション層113の波長632nmにおける全体の屈折率が1.45~1.8、例えば1.5、1.6又は1.7であり、同時に、前面100aに垂直な方向において、第2パッシベーション層113の厚さが20nm~40nm、例えば25nm、30nm又は35nmである。
【0109】
図1を参照して、ドープ導電層122には、第4パッシベーション層123を形成し、かつ第1電極114及び第2電極124を形成する。
【0110】
第4パッシベーション層123が窒化ケイ素層である場合、実際の必要に応じて、第4パッシベーション層123を2~4層の段階的屈折層として設けることができ、すなわち、基板100から離れる方向において、異なる段階的屈折層の屈折率が徐々に低くなる。また、その反応物は、シランとアンモニアガスであってもよく、第4パッシベーション層123におけるケイ素原子数と窒素原子数との比は、3.5~6.8であってもよく、例えば4.2、4.9、5.7又は6.3であり、屈折率の範囲は、2.04~2.2であってもよく、例えば2.08、2.12又は2.16であり、厚さの範囲は60nm~100nm、例えば70nm、80nm又は90nmである。
【0111】
第4パッシベーション層123を形成した後、金属化処理、スクリーン印刷及び高温焼成等の工程により第1電極114及び第2電極124を形成することができる。また、第1電極114及び第2電極124を形成した後、さらに光アニール処理を行う必要があり、即ち、太陽電池セルを、400~700°Cの温度、例えば、500°C又は600°Cで、1~6min、例えば2min、3min、4min又は5min加熱し、その後、太陽電池セルに対して、150℃~400℃、例えば、200℃、250℃、300℃及び350℃の温度下及び1~6個の太陽光照射強度、例えば、2、3、4又は5個の太陽光照射強度下で同時に1min~6minの処理を行う。
【0112】
当業者であれば、上記の各実施形態は本発明を実現する具体的な実施例であるが、実際の応用において、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、形式及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者は、本発明の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことが可能であるため、本発明の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準とすべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する前面及び裏面を有する基板と、
前記前面に位置するパッシベーション積層体であって、前記パッシベーション積層体は、前記前面から離れる方向に順次設置された酸素含有誘電体層、第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層を含み、ここで、前記酸素含有誘電体層は金属酸化物材料を含み、前記第1パッシベーション層は窒化ケイ素材料を含み、前記第2パッシベーション層は酸窒化ケイ素材料を含むパッシベーション積層体と、
前記裏面に位置しかつ前記裏面から離れる方向に順次設置されたトンネル酸化層及びドープ導電層とを備え、
そのうち、前記前面から離れる方向において、前記第1パッシベーション層における窒素元素含有量及びケイ素元素含有量は、増加してから減少する変化を示し、前記第2パッシベーション層における窒素元素含有量及びケイ素元素含有量は減少する変化を示し、前記第1パッシベーション層における酸素元素含有量は、減少してから増加する変化を示し、前記第2パッシベーション層における酸素元素含有量は増加する変化を示し、
前記ドープ導電層と前記基板とは、同じ導電型のドーパント元素を有する、
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記前面から離れる方向において、前記パッシベーション積層体における酸素元素含有量の最大ピーク値と酸素元素含有量の第二ピーク値との間の距離は、40nm~100nmであり、ケイ素元素含有量の最大ピーク値と前記前面との間の距離は、0nmよりも大きくかつ30nm以下であり、窒素元素含有量の最大ピーク値と前記前面との間の距離は、30nm以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記金属酸化物材料は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ガリウム、又は酸化ハフニウムのうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記酸素含有誘電体層における酸素元素含有量の割合は、15%~50%である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第1パッシベーション層は、少なくとも2層のサブパッシベーション層を含み、前記前面から離れる方向において、隣接する前記サブパッシベーション層におけるケイ素元素含有量の割合は徐々に減少し、隣接する前記サブパッシベーション層における窒素元素含有量の割合は徐々に増加する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1パッシベーション層は、前記前面に最も近い下層サブパッシベーション層と、前記前面から最も遠い上層サブパッシベーション層とを含み、そのうち、前記下層サブパッシベーション層において、ケイ素元素含有量の割合は60%~70%であり、窒素元素含有量の割合は20%~40%であり、前記上層サブパッシベーション層において、ケイ素元素含有量の割合は45%~60%であり、窒素元素含有量の割合は30%~50%である、
ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第2パッシベーション層において、ケイ素元素含有量の割合は30%~60%であり、酸素元素含有量の割合は3%~50%であり、窒素元素含有量の割合は5%~50%である、
ことを特徴とする請求項1又は6に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記前面に垂直な方向において、前記酸素含有誘電体層の厚さは、1nm~15nmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記前面に垂直な方向において、前記第1パッシベーション層の厚さは、30nm~60nmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記前面に垂直な方向において、前記第2パッシベーション層の厚さは、20nm~40nmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
複数の請求項1乃至10のいずれか一項に記載の太陽電池を接続することで形成されたセルストリングと、
前記セルストリングの表面を被覆するための封止用接着フィルムと、
前記封止用接着フィルムの前記セルストリングから離れた表面を覆うためのカバープレートとを備える、
ことを特徴とする光起電力モジュール。
【請求項12】
基板を提供することであって、前記基板は、対向する前面及び裏面を有することと、
前記前面にパッシベーション積層体を形成することであって、前記パッシベーション積層体は、前記前面から離れる方向に順次設置された酸素含有誘電体層、第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層を含み、ここで、前記酸素含有誘電体層は金属酸化物材料を含み、前記第1パッシベーション層は窒化ケイ素材料を含み、前記第2パッシベーション層は酸窒化ケイ素材料を含むことと、
前記裏面にかつ前記裏面から離れる方向にトンネル酸化層及びドープ導電層を順次形成することと、を含み、
そのうち、前記前面から離れる方向において、前記第1パッシベーション層における窒素元素含有量及びケイ素元素含有量は、増加してから減少する変化を示し、前記第2パッシベーション層における窒素元素含有量及びケイ素元素含有量は減少する変化を示し、前記第1パッシベーション層における酸素元素含有量は、減少してから増加する変化を示し、前記第2パッシベーション層における酸素元素含有量は増加する変化を示し、
前記ドープ導電層と前記基板とは、同じ導電型のドーパント元素を有する、
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。