(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038140
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】情報処理システム、サーバ、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/00 20180101AFI20230309BHJP
G06Q 50/22 20180101ALI20230309BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20230309BHJP
G16Y 10/60 20200101ALI20230309BHJP
G16Y 20/40 20200101ALI20230309BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20230309BHJP
【FI】
G16H50/00
G06Q50/22
G16H10/00
G16Y10/60
G16Y20/40
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170583
(22)【出願日】2021-10-18
(62)【分割の表示】P 2021144365の分割
【原出願日】2021-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】516377348
【氏名又は名称】株式会社Arblet
(72)【発明者】
【氏名】清水 滉允
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
5L099AA04
5L099AA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】血糖値情報と当該血糖値情報に関連する行動情報から、糖尿病に関連する健康状態の判定を支援する判定支援情報を生成する情報処理システム、サーバ、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】管理サーバとユーザ端末装置とが、ネットワーク接続されている情報処理システムにおいて、管理サーバは、測定データに対して所定の演算を実行し、少なくとも血糖値情報を含む生体データを生成する生体データ生成部と、血糖値情報及び血糖値情報に関連付けられた行動情報に基づき、糖尿病に関連する健康状態の判定を支援する判定支援情報を生成する判定支援情報生成部を備える、判定支援情報生成部は、行動情報により起床時の血糖値情報と判定された起床時血糖値情報又は行動情報により食事後所定時間経過後の血糖値情報と判定された食後血糖値情報の少なくとも一方と、対応する基準血糖値情報とを互いに比較した結果に基づき判定支援情報を生成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び判定支援情報の生成を行う情報処理システムであって、
前記測定データに対して所定の演算を実行し、少なくとも血糖値情報を含む前記生体データを生成する生体データ生成部と、
前記血糖値情報及び当該血糖値情報に関連付けられた行動情報に基づき、糖尿病に関連する健康状態の判定を支援する判定支援情報を生成する判定支援情報生成部と、を備え、
前記判定支援情報生成部は、前記行動情報により起床時の血糖値情報と判定された起床時血糖値情報、または、前記行動情報により食事後所定時間経過後の血糖値情報と判定された食後血糖値情報の少なくともいずれか一方と、対応する基準血糖値情報とを互いに比較した結果に基づき判定支援情報を生成する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記起床時血糖値情報または前記食後血糖値情報の少なくともいずれか一方は、複数の前記対応する基準血糖値情報が段階的に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記判定支援情報は、前記基準血糖値情報を超えているか否かを示す情報である、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記判定支援情報は、前記基準血糖値情報を境界として設定されるグループに対して何れのグループに該当するかを示す情報である、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
侵襲型測定における所定の単位の計測結果に換算した時の推定計測値範囲を提示する、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記判定支援情報生成部は、前記行動情報に基づき、比較対象とする血糖値情報が得られない場合には、他の血糖値情報を取得するように切り替え、当該他の血糖値情報に対応する基準血糖値情報と比較する、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び判定支援情報の生成を行うサーバであって、
前記測定データに対して所定の演算を実行し、少なくとも血糖値情報を含む前記生体データを生成する生体データ生成部と、
前記血糖値情報及び当該血糖値情報に関連付けられた行動情報に基づき、糖尿病に関連する健康状態の判定を支援する判定支援情報を生成する判定支援情報生成部と、を備え、
前記判定支援情報生成部は、前記行動情報により起床時の血糖値情報と判定された起床時血糖値情報、または、前記行動情報により食事後所定時間経過後の血糖値情報と判定された食後血糖値情報の少なくともいずれか一方と、対応する基準血糖値情報とを互いに比較した結果に基づき判定支援情報を生成する、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項8】
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び判定支援情報の生成を行う情報処理方法であって、
生体データ生成部により、前記測定データに対して所定の演算を実行し、少なくとも血糖値情報を含む前記生体データを生成するステップと、
判定支援情報生成部により、前記血糖値情報及び当該血糖値情報に関連付けられた行動情報に基づき、糖尿病に関連する健康状態の判定を支援する判定支援情報を生成するステップと、を含み、
前記判定支援情報を生成するステップは、前記行動情報により起床時の血糖値情報と判定された起床時血糖値情報、または、前記行動情報により食事後所定時間経過後の血糖値情報と判定された食後血糖値情報の少なくともいずれか一方と、対応する基準血糖値情報とを互いに比較した結果に基づき判定支援情報を生成する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び判定支援情報の生成を行う情報処理方法をコンピュータで実行するためのプログラムであって、
前記情報処理方法は、
生体データ生成部により、前記測定データに対して所定の演算を実行し、少なくとも血糖値情報を含む前記生体データを生成するステップと、
判定支援情報生成部により、前記血糖値情報及び当該血糖値情報に関連付けられた行動情報に基づき、糖尿病に関連する健康状態の判定を支援する判定支援情報を生成するステップと、を含み、
前記判定支援情報を生成するステップは、前記行動情報により起床時の血糖値情報と判定された起床時血糖値情報、または、前記行動情報により食事後所定時間経過後の血糖値情報と判定された食後血糖値情報の少なくともいずれか一方と、対応する基準血糖値情報とを互いに比較した結果に基づき判定支援情報を生成する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置から取得した血糖値情報に基づき、糖尿病に関連する健康状態の判定を支援する判定支援情報を生成する情報処理システム、サーバ、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血糖値の測定は、ユーザから血液を採取する侵襲測定方法によって行われていたが、血液採取を伴うために日常的に血糖値を測定して健康状態を把握するにはユーザの負担が大きかった。
【0003】
そこで、血糖値の測定を非侵襲で測定する方法が検討されている。例えば、特許文献1及び特許文献2においては、ユーザから測定した脈波情報に基づき血糖値を算出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6851664号公報
【特許文献2】特許第6544751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、単に血糖値が測定されるだけではユーザが得られる利益は十分ではなく、特に日常的に装着する測定装置(例えば、いわゆるウェアラブル装置)で取得した膨大な経時的な血糖値情報の有効な利用方法については、さらなる検討が求められている。
【0006】
そこで、本開示では、測定装置から取得した血糖値情報に基づき、糖尿病に関連する健康状態の判定を支援する判定支援情報を生成する情報処理システム、サーバ、情報処理方法及びプログラムについて説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様における情報処理システムは、ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び判定支援情報の生成を行う情報処理システムであって、前記測定データに対して所定の演算を実行し、少なくとも血糖値情報を含む前記生体データを生成する生体データ生成部と、前記血糖値情報及び当該血糖値情報に関連付けられた行動情報に基づき、糖尿病に関連する健康状態の判定を支援する判定支援情報を生成する判定支援情報生成部と、を備え、前記判定支援情報生成部は、前記行動情報により起床時の血糖値情報と判定された起床時血糖値情報、または、前記行動情報により食事後所定時間経過後の血糖値情報と判定された食後血糖値情報の少なくともいずれか一方と、対応する基準血糖値情報とを互いに比較した結果に基づき判定支援情報を生成する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、測定データに基づき生成される血糖値情報と当該血糖値情報に関連する行動情報から、糖尿病に関連する健康状態の判定を支援する判定支援情報を生成することが可能となり、ユーザの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る情報処理システムを示すブロック構成図である。
【
図2】
図1の管理サーバ100のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】
図2の記憶部120および制御部130の機能を例示したブロック図である。
【
図4】
図3の測定データに関連付けされるタグ情報の例を示す模式図である。
【
図5】
図1の情報処理システム1の処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態によるシステムは、以下のような構成を備える。
【0011】
[項目1]
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び判定支援情報の生成を行う情報処理システムであって、
前記測定データに対して所定の演算を実行し、少なくとも血糖値情報を含む前記生体データを生成する生体データ生成部と、
前記血糖値情報及び当該血糖値情報に関連付けられた行動情報に基づき、糖尿病に関連する健康状態の判定を支援する判定支援情報を生成する判定支援情報生成部と、を備え、
前記判定支援情報生成部は、前記行動情報により起床時の血糖値情報と判定された起床時血糖値情報、または、前記行動情報により食事後所定時間経過後の血糖値情報と判定された食後血糖値情報の少なくともいずれか一方と、対応する基準血糖値情報とを互いに比較した結果に基づき判定支援情報を生成する、
ことを特徴とする情報処理システム。
[項目2]
前記起床時血糖値情報または前記食後血糖値情報の少なくともいずれか一方は、複数の前記対応する基準血糖値情報が段階的に設けられている、
ことを特徴とする項目1に記載の情報処理システム。
[項目3]
前記判定支援情報は、前記基準血糖値情報を超えているか否かを示す情報である、
ことを特徴とする項目1または2のいずれか1項に記載の情報処理システム。
[項目4]
前記判定支援情報は、前記基準血糖値情報を境界として設定されるグループに対して何れのグループに該当するかを示す情報である、
ことを特徴とする項目1または2のいずれか1項に記載の情報処理システム。
[項目5]
侵襲型測定における所定の単位の計測結果に換算した時の推定計測値範囲を提示する、
ことを特徴とする項目1または2のいずれか1項に記載の情報処理システム。
[項目6]
前記判定支援情報生成部は、前記行動情報に基づき、比較対象とする血糖値情報が得られない場合には、他の血糖値情報を取得するように切り替え、当該他の血糖値情報に対応する基準血糖値情報と比較する、
ことを特徴とする項目1ないし5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
[項目7]
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び判定支援情報の生成を行うサーバであって、
前記測定データに対して所定の演算を実行し、少なくとも血糖値情報を含む前記生体データを生成する生体データ生成部と、
前記血糖値情報及び当該血糖値情報に関連付けられた行動情報に基づき、糖尿病に関連する健康状態の判定を支援する判定支援情報を生成する判定支援情報生成部と、を備え、
前記判定支援情報生成部は、前記行動情報により起床時の血糖値情報と判定された起床時血糖値情報、または、前記行動情報により食事後所定時間経過後の血糖値情報と判定された食後血糖値情報の少なくともいずれか一方と、対応する基準血糖値情報とを互いに比較した結果に基づき判定支援情報を生成する、
ことを特徴とするサーバ。
[項目8]
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び判定支援情報の生成を行う情報処理方法であって、
生体データ生成部により、前記測定データに対して所定の演算を実行し、少なくとも血糖値情報を含む前記生体データを生成するステップと、
判定支援情報生成部により、前記血糖値情報及び当該血糖値情報に関連付けられた行動情報に基づき、糖尿病に関連する健康状態の判定を支援する判定支援情報を生成するステップと、を含み、
前記判定支援情報を生成するステップは、前記行動情報により起床時の血糖値情報と判定された起床時血糖値情報、または、前記行動情報により食事後所定時間経過後の血糖値情報と判定された食後血糖値情報の少なくともいずれか一方と、対応する基準血糖値情報とを互いに比較した結果に基づき判定支援情報を生成する、
ことを特徴とする情報処理方法。
[項目9]
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び判定支援情報の生成を行う情報処理方法をコンピュータで実行するためのプログラムであって、
前記情報処理方法は、
生体データ生成部により、前記測定データに対して所定の演算を実行し、少なくとも血糖値情報を含む前記生体データを生成するステップと、
判定支援情報生成部により、前記血糖値情報及び当該血糖値情報に関連付けられた行動情報に基づき、糖尿病に関連する健康状態の判定を支援する判定支援情報を生成するステップと、を含み、
前記判定支援情報を生成するステップは、前記行動情報により起床時の血糖値情報と判定された起床時血糖値情報、または、前記行動情報により食事後所定時間経過後の血糖値情報と判定された食後血糖値情報の少なくともいずれか一方と、対応する基準血糖値情報とを互いに比較した結果に基づき判定支援情報を生成する、
ことを特徴とするプログラム。
【0012】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0013】
<構成>
図1は、本開示の実施の形態に係る情報処理システム1を示すブロック構成図である。この情報処理システム1は、例えば、ネットワークNWを介して測定装置300からユーザの測定データを管理サーバ100にて所定の周期的なタイミングで受信し、当該測定データに対して所定の演算を行うことで生体データを生成し、当該生体データに基づき判定支援情報を生成するシステムである。
【0014】
情報処理システム1は、管理サーバ100と、ユーザ端末装置200と、測定装置300と、ネットワークNWと、を有している。管理サーバ100と、ユーザ端末装置200とは、ネットワークNWを介して接続される。ネットワークNWは、インターネット、イントラネット、ブロックチェーンネットワーク、無線LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)、BLE(Bluetooth Low Energy)等により構成される。
【0015】
管理サーバ100は、例えば、ネットワークを介して測定装置300からユーザの測定データを、ユーザ端末装置200を経由して所定の周期的なタイミングで受信して測定データから生体データへ演算を行う装置であり、例えば各種Webサービスを提供するサーバ装置により構成されている。
【0016】
ユーザ端末装置200は、ユーザが所持する、例えばパーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォン、スマートウォッチ、携帯電話、PHS、PDA等の情報処理装置であり、例えば、管理サーバ100で演算を行った生体データを波形グラフ等により表示させたり、生体データに基づき生成された判定支援情報(詳細は後述)を表示させたりなどをするために利用される。ユーザ端末装置200には、予めユーザの識別番号、生年月日、性別、身長、体重、歩幅等のユーザ情報が登録されており、生年月日から算出した年齢等も含めたユーザ情報を測定データに関連付けてネットワークNWを介して管理サーバ100へ送信する。
【0017】
また、ユーザ端末装置200は、ユーザが測定装置300によりデータを取得する状態を、タッチパネル等を用いて入力するようにしてもよい。ユーザ端末装置200は、「データを取得する状態」を、例えば、走っている場合には「ランニング中」、食事中である場合には「食事中」など、タグ情報として入力することができる。この場合、ユーザ端末装置200は、測定装置300から所定の周期的なタイミングで受信した測定データを、タグ情報と関連付けてネットワークNWを介して管理サーバ100へ送信する。
【0018】
測定装置300は、ユーザの生体データを測定する装置であり、ユーザが自己の手首や腕等の身体に装着して利用される、いわゆるウェアラブル装置である。この測定装置300は、既知の手法により、例えばユーザの心電、脈波、皮膚温度(体温)、加速度、角速度のデータを所定の周期的なタイミングで測定するための装置である。当該所定の周期は、予め設定されているものであってもよいし、ユーザが任意に設定可能であってもよい。より具体的には、例えば秒単位の時間的周期が設定されていてもよいし、周波数により同様に設定されていてもよい。
【0019】
測定装置300の具体的な構成の例としては、2つの電極を皮膚に接触させ、検出電位の差の時間変化より心電を心電波形のデータとして取得する装置で構成しても良く、心電波形は、ガルバニック皮膚反応により取得されたデータでも良い。また、緑、赤、赤外の発光を行うLEDから各光を皮膚に照射し、フォトダイオードで受光した光の強度の時間変化により、ユーザの心臓の心拍により生ずる血管の容積変化により脈波を脈波形のデータとして取得する装置で構成しても良く、この方式で検出を行うことができる脈波形は光電式容積脈波形である。また、ユーザの皮膚に接触させる温度センサによりユーザの皮膚温度をデータとして取得する装置で構成しても良い。また、直交するXYZ軸それぞれの変異状態を検出する3軸加速度センサにより構成しても良く、ユーザの動作を加速度データとして取得し、例えば測定装置300がユーザの手首や腕等に装着されている場合、測定装置300は、手首や腕等の振りと、全身の動きが合成された加速度として加速度データの取得をする。さらに、直行するXYZ軸それぞれにおける回転角速度を検出するジャイロセンサ(角速度センサ)により構成しても良く、ユーザの動作を角速度データとして取得し、例えば測定装置300がユーザの手首や腕等に装着されている場合、測定装置300は、手首や腕等の回転と、全身の動きが合成された角速度として角速度データの取得をする。
【0020】
ユーザ端末装置200と測定装置300との間は、Bluetooth(登録商標)、近距離無線通信(Near Field radio Communication=NFC)、Afero(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Z-Wave(登録商標)、又は無線LAN等を用いて接続されている。なお、このような無線接続の代わりに有線で接続を行っても良い。また、ユーザ端末装置200と測定装置300とは一体の機器であっても良く、例えば測定装置300にSIMを搭載するなどして通信機能を持たせたり、BLE(Bluetooth Low Energy)などにより管理サーバ100と直接通信可能に構成しても良い。
【0021】
ユーザ端末装置200は、1または複数台あり、測定装置300を利用するユーザ数分ネットワークNWに接続されている。測定装置300は、1または複数台あり、1人のユーザが利用する台数分のユーザ端末装置200に接続されている。1人のユーザが複数の測定装置300を利用している場合は、1つのユーザ端末装置200に複数の測定装置300が接続されている。
【0022】
<管理サーバ100>
図2は、管理サーバ100のハードウェア構成を示す図である。
図3は、記憶部120および制御部130の機能を例示したブロック図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。
【0023】
管理サーバ100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130と、入出力部140とを備える。これらの機能部は、管理サーバ100用の所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0024】
通信部110は、ユーザ端末装置200と通信を行うための通信インタフェースであり、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信規約により通信が行われる。
【0025】
記憶部120は、各種制御処理や制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。また、
図3に示されるように、記憶部120は、測定装置300による測定データをユーザ情報と関連付けて記憶する測定データDB121と、測定データから演算されて生成される生体データをユーザ情報と関連付けて記憶する生体データDB122と、生体データに基づき生成された判定支援情報をユーザ情報と関連付けて記憶する判定支援情報DB123と、ユーザ識別番号を含むユーザ情報を記憶するユーザ情報DB124と、を記憶する。また、ユーザ情報は、データ管理部131により生成されたアカウント情報を含み、ユーザ情報DB124は、アカウント情報が他のユーザ情報と関連付けられて記憶するようにしてもよい。さらに、記憶部120は、ユーザ端末装置200と通信を行ったデータを一時的に記憶する。なお、DBのデータ構造は、これに限られるものではなく、上述のDBの一部をユーザ端末装置200または測定装置300に記憶するようにしてもよい。
【0026】
制御部130は、管理サーバ100の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)等から構成される。また、
図3に示されるように、制御部130は、データ管理部131、生体データ生成部132、判定支援情報生成部133、データ出力部134といった機能部を含む。
【0027】
データ管理部131は、測定装置300を利用するユーザごとに、アカウント情報を生成する。このアカウント情報生成は、測定装置300を利用するユーザがユーザ端末装置200でアカウント情報を登録すると行われる。そのため、データ管理部131は、ユーザのユーザ端末装置200や他の端末装置に対してアカウントごとに記憶部120内の各種DBへのアクセスの可否の制御を行う。データ管理部131は、測定データや生体データ、判定支援情報等の各種データを対応するDBにユーザ情報に関連付けて記憶する。また、このとき、データ管理部131は、測定データに所定のタグ情報の関連付けを行って記憶させることが可能である。
【0028】
図4は、
図3の測定データに関連付けされるタグ情報の例を示す模式図である。
図4に示すデータD1は、測定装置300の測定データである。タグT1は、データD1に関連付けされたタグ情報であり、例えば、測定装置300がデータD1を測定した時刻情報、またはデータD1が測定装置300からユーザ端末装置200へ送信された時刻情報が時系列データとして記憶される。もしくは、測定した時刻情報と送信された時刻情報との両方について関連付けを行っても良い。例えば、
図4に示すタグT1の1行目では、「20180620120746144」が格納されているが、2018年06月20日12時07分46秒144ミリ秒を示している。このような時刻情報は通信ログより取得可能である。これにより、測定データがどの時間帯のものか把握することが可能である。
【0029】
なお、このようなタグ情報による測定データ及び生体データの関連付けは、時刻情報に限られず、ユーザの身体状態や行動状態を示す身体情報や行動情報を自由記載で記入させてタグ情報として記憶しても良く、所定の選択肢から選択させ(例えば、「現在の体調は如何ですか?」という質問に対して、「1:良い、2:普通、3:悪い」のいずれかを選択させる、等)、その選択した回答を記憶するようにしても良い。または、ユーザが所定行動(例えば、坐位、立位、歩行、走行、睡眠、食事、運転、安静時など)をとった場合に、ユーザにより計測データや生体データのタグ情報として記録する(例えば、選択肢形式であったり、自由記載であったりする)ようにしてもよい。さらには、上述のユーザによる記録に代えて、または、併用して、例えば計測データや生体データ(例えば歩行速度情報や歩幅情報、装着部位の動作情報、姿勢情報、重心の位置情報、心拍情報など)に基づき、所定行動(例えば、坐位、立位、臥位、歩行、走行、睡眠、起床、就寝、食事、運転、安静時など)を既知の方法により推定するようにして生体データ等にタグ情報(行動情報)として関連付けてもよい。この時、例えば、教師用計測データに基づき学習された学習モデルにより推定してもよいし、さらに、上述のユーザによる記録の結果により追加学習を行うことで、学習モデルをパーソナライズしてもよい。これにより、制御部150にて生体データを生成する際に、当該タグ情報と生体データとを対応付けすることで、より精度の高い生体データを生成可能となると共に、それ自体も行動情報として用いることが可能となる。
【0030】
また、例えばデータ管理部131は、データD1をタグT1の時刻順に並べ替え(ソート)を行ったり、所定の身体情報や行動情報だけを抜き出したりなど、タグ情報に基づくデータ管理が可能である。
【0031】
生体データ生成部132は、測定データDB121に記憶された測定データに対して所定の演算を行い、生体データを生成する。この生体データは、測定データから算出可能なものであればどのような情報であってもよく、例えばユーザの血糖値情報、血圧情報、心拍情報、血中酸素量情報、最大酸素摂取量情報、心電情報、呼吸数、体温情報、歩数情報、歩幅情報、重心の位置情報、姿勢情報、ストレス情報、運動量情報、運動負荷情報、移動距離情報、移動速度情報、活動量情報、手または脚等の装着部位の動作情報などのデータであり、既知の手法により測定データから算出されるものである。演算により生成された生体データは、生体データDB122に記憶される。
【0032】
また、既知の学習器などにより、例えば測定データと、当該測定データに基づき生成された生体データ(例えば心拍情報や血圧情報など)と正の生体データ(例えば、既知の医療機器等に基づく心拍情報や血圧情報など)との対応関係(例えば、誤差の程度や範囲を示す情報などが含まれていてもよい)により対応付けた教師データを基に学習モデルを予め作成し、生体データ生成部132は、当該学習モデルを用いた判定を上述の所定の演算(解析)として生体データを生成してもよい。
【0033】
判定支援情報生成部133は、例えば、ユーザが日常的に装着している測定装置300により所定の周期的なタイミングで受信した測定データから生成された血糖値情報に基づき、ユーザの糖尿病に関連する健康状態の判定を支援する判定支援情報を生成する。例えば、一般的な基準である空腹時血糖値や食事終了から所定時間後(例えば2時間後)の血糖値の少なくとも何れかに対応する基準血糖値を予め設定し、所定のタイミングで生成された血糖値情報と基準血糖値情報を比較し、その比較結果に基づき判定してもよい。また、各基準血糖値においては、さらに、基準値を複数段階に設定することで、ユーザは現在どの程度糖尿病と判定されやすい健康状態にあるかを認識することが可能となる。
【0034】
ここで、従来の侵襲型の血糖値測定においては、ユーザが空腹時点や食事終了から所定時間経過時点を自ら認識可能であるが、本システム(特に非侵襲型)においてはユーザが装着している測定装置300やユーザ端末装置200、管理サーバ100のいずれかにより認識する必要性が生じる。そこで、本実施の形態においては、睡眠中が1日のサイクルで最も断食している期間であることに着目し、起床時の血糖値情報(起床時血糖値情報)を空腹時の血糖値情報として取得する。すなわち、所定の時間を基準とした1日のサイクル内(例えば午前7時から次の午前6時59分59秒まで、または、24時間後の午前7時も含む一般的な定義における1日サイクル内など)において、血糖値情報に関連付けられる行動情報に基づき、行動情報が睡眠と判定される状態(睡眠状態)から起床と判定される状態(起床状態)と切り替わったタイミング(または、切り替わってから所定時間が経過したタイミング)を判定し、このタイミングの血糖値情報を起床時の血糖値情報(すなわち、空腹時の血糖値情報)として取得する。起床時と判定される行動情報が複数ある場合(例えば、朝の起床と、昼寝の起床、夜に起きてしまった起床など)には、比較対象の血糖値情報は、複数の起床時血糖値情報の中で最低値である起床時血糖値情報であってもよいし、予めユーザ操作やユーザの行動傾向に基づき設定される所定時刻範囲(例えば、朝方、午前中など)における起床時血糖値情報であってもよいし、起床時血糖値情報の前段階の行動情報で判定される睡眠状態の時間が最も長い起床時血糖値情報であってもよい。この時、起床時と判定される行動情報の量を減らすために、起床前の睡眠時間が睡眠基準時間(例えば、30分、45分、1時間、2時間など)よりも短い場合には仮眠として対象から除外するようにしてもよい。
【0035】
さらに、所定の時間を基準とした1日のサイクル内において、睡眠または起床の行動情報が得られない場合(例えば徹夜をして寝ていないなど)や睡眠時間が睡眠基準時間よりも短い場合(例えば30分の仮眠しかしていない、または、徹夜をして睡眠時間が0分であるなど)などといった条件に基づき、十分な睡眠時間を伴う起床が判定できない場合には、後述の食事後血糖値情報や、前記1日のサイクル内における最も低い血糖値情報(最低血糖値情報)、または、前記1日のサイクル内で取得された所定の血糖値情報の平均値である平均血糖値情報、もしくは、当該平均血糖値情報から、前記1日のサイクル内の血糖値情報の標準偏差の2倍を引いた標準偏差血糖値情報(すなわち、平均血糖値情報-2σ(標準偏差)で算出される血糖値情報)を基準血糖値情報との比較対象として取得するように切り替えてもよい。例えば基準血糖値情報は、事前に複数の糖尿病患者における血糖値情報及び健常者の血糖値情報を取得し、これらの血糖値情報における標準偏差血糖値情報の傾向に基づき適切な基準値が設定されてもよい。なお、1日のサイクル内の血糖値情報は、期間内で取得された全ての血糖値情報であってもよいし、起床期間(例えば行動情報が起床状態から就寝状態までの期間であったり、全期間から睡眠状態を除いた期間)における血糖値情報のみであってもよいし、所定の行動情報に関連付けられた血糖値情報(例えば、起床や食事、就寝、睡眠など)のみであってもよいし、食後の血糖値スパイクの影響を減らすために、血糖値情報の推移を示す血糖値変動情報から高周波成分を除いた血糖値情報のみであってもよいし、食事を示す行動情報に関連する血糖値情報(特に食事後所定時間以内の血糖値情報)を除いた血糖値情報のみであってもよい。
【0036】
また、同様に、血糖値情報に関連付けられる行動情報に基づき、行動情報が食事と判定される状態(食事状態)から他の行動情報に切り替わったタイミングから所定時間経過後(例えば2時間後)の血糖値情報(食後血糖値情報)を、食事終了から所定時間後の血糖値として取得する。食事と判定される行動情報が複数ある場合(例えば、朝、昼、夜など)には、比較対象の食事後血糖値情報は、複数の食事後血糖値情報の中で最低値である食事後血糖値情報であってもよいし、予めユーザ操作やユーザの行動傾向に基づき設定される所定時刻範囲における食事後血糖値情報であってもよいし、複数の食事後血糖値情報の平均値情報であってもよい。なお、上述の起床時血糖値情報と同様に、所定の時間を基準とした1日のサイクル内において、食事の行動情報が得られない場合には、上述の起床時血糖値情報や、最低血糖値情報、平均血糖値情報、標準偏差血糖値情報を基準血糖値情報との比較対象として取得するように切り替えてもよい。
【0037】
そして、上述の少なくとも何れか一方の血糖値情報(起床時血糖値情報、食後血糖値情報、必要時は最低血糖値情報、平均血糖値情報、標準偏差血糖値情報)と基準血糖値情報とを比較することで、比較結果として糖尿病に関連する健康状態の判定を支援する判定支援情報を生成する。判定支援情報は、糖尿病に関連する健康状態の判定を支援する情報であればどのような情報であってもよいが、例えば何れの基準値を超えているか(または超えていないか)を示す情報であってもよいし、前記基準血糖値情報を境界として設定されるグルーピングに対して何れのグループに該当するか(例えば、正常グループ、予備群グループ、要注意グループなど)を示す情報であってもよいし、一般的な測定(特に侵襲型測定)における所定の単位(例えばmg/dlなど)の計測結果に換算した時の推定計測値範囲を提示するようにしてもよい。
【0038】
データ出力部134は、生体データや判定支援情報データをユーザ端末装置200へ出力する。ユーザ端末装置200においては、出力データを例えば専用のアプリケーションを介して画面に表示するなどしてユーザが容易に確認可能としても良い。また、上記のように複数の基準血糖値情報を設定して複数のグループを設けた場合には、所定の基準血糖値情報以上のグループに該当した場合には所定の通知(例えば血糖値が高いことを通知するアラート通知や血糖値を下げるための情報を通知するアドバイス通知など)を送信する(例えば、通知情報DB(不図示)の各種通知の中から所定の条件に応じて選択して送信するなど)ようにしてもよく、いずれの基準値情報を超えたかによって通知の内容を変更するようにしてもよい(例えば、超えた基準値が高いほど、表記や色、文字などの表示が強調された通知となるなど)。
【0039】
入出力部140は、キーボード・マウス類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。
【0040】
<処理の流れ>
図5を参照しながら、情報処理システム1が実行する情報処理方法の処理の流れについて説明する。
図5は、
図1の情報処理システム1の処理の例を示すフローチャートである。
【0041】
ステップS101の処理として、データ管理部131では、測定装置300を利用するユーザごとにアカウント情報が生成され、ユーザ端末装置200等から所定のユーザ情報を取得する。登録されたユーザ情報は、データ管理部131により、ユーザ情報DB124に記憶される。ステップS101の処理は、ユーザが測定装置300を利用するための前処理として行われてもよいし、ユーザが測定装置300を初めて利用する際に行われてもよい。
【0042】
ステップS102の処理として、ユーザが測定装置300を利用すると、測定データが所定の周期で測定装置300からユーザ端末装置200を介して管理サーバ100へ送信され、通信部110を介して受信される。データ管理部131により、記憶部120の測定データDB121内においてユーザ情報に関連付けられて測定データが記憶される。
【0043】
ステップS103の処理として、生体データ生成部132により測定データが読み取られ、所定の演算等により生体データの生成が行われる。生成された生体データは、データ管理部131により、生体データDB122に記憶される。
【0044】
ステップS104の処理として、判定支援情報生成部133により生体データが読み取られ、所定の演算等により判定支援情報の生成が行われる。生成された判定支援情報は、データ管理部131により、判定支援情報DB123に記憶される。
【0045】
ステップS105の処理として、データ出力部134により生体データおよび/または判定支援情報が読み取られ、ユーザ端末装置200へ出力される。
【0046】
<効果>
以上のように、本実施形態に係る情報処理システムは、判定支援情報生成部133を介して、測定データに基づき生成される血糖値情報と当該血糖値情報に関連する行動情報から、糖尿病に関連する健康状態の判定を支援する判定支援情報を生成する。これにより、ユーザは、例えば糖尿病に関連する自分の健康状態を把握することが可能となり、ユーザの利便性が向上する。
【0047】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 情報処理システム
100 管理サーバ
200 ユーザ端末装置
300 測定装置
NW ネットワーク