(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003816
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】処方箋処理装置、処方箋処理システムおよび処方箋処理方法
(51)【国際特許分類】
G16H 40/20 20180101AFI20230110BHJP
【FI】
G16H40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105113
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】松原 真司
(72)【発明者】
【氏名】福田 幸貴
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA02
(57)【要約】
【課題】電子処方箋をサーバで一元管理しつつ、円滑に処方箋を患者に提供することが可能な処方箋処理装置、処方箋処理システムおよび処方箋処理方法を提供する。
【解決手段】精算端末10(処方箋処理装置)は、診療に対応する電子処方箋を利用者に交付するための処理を行う第1交付部101aと、電子処方箋以外の形態で診療に対応する処方箋を利用者に交付するための処理を行う第2交付部101bと、第1交付部101aおよび第2交付部101bの何れかを選択的に実行して処方箋を交付する選択実行部101cと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療に対応する電子処方箋を利用者に交付するための処理を行う第1交付部と、
前記電子処方箋以外の形態で診療に対応する処方箋を利用者に交付するための処理を行う第2交付部と、
前記第1交付部および前記第2交付部の何れかを選択的に実行して処方箋を交付する選択実行部と、を備える、処方箋処理装置。
【請求項2】
前記選択実行部は、予め規定された選択条件に基づいて、処方箋の交付に前記第1交付部および前記第2交付部の何れを用いるかを決定する、請求項1に記載の処方箋処理装置。
【請求項3】
前記選択条件は、最初に前記第1交付部による交付を実行し、前記第1交付部による交付に失敗したことに基づいて前記第2交付部による交付に切り替えるとの条件を含む、
請求項2に記載の処方箋処理装置。
【請求項4】
前記選択実行部は、前記第1交付部と前記第2交付部の何れにより処方箋の交付を受けるかを利用者から受け付ける処理を実行し、
前記選択条件は、前記第1交付部および前記第2交付部のうち利用者が選択した交付部による交付を実行するとの条件を含む、請求項2または3に記載の処方箋処理装置。
【請求項5】
前記選択実行部は、前記選択条件の設定を管理者から受け付ける処理を実行し、受け付けた前記選択条件に基づいて、前記第1交付部および前記第2交付部の何れかを選択する、請求項2ないし4の何れか一項に記載の処方箋処理装置。
【請求項6】
前記選択実行部が前記第2交付部により処方箋の交付を行ったことに基づいて、前記第2交付部により交付した処方箋に係る電子処方箋情報を、電子処方箋を管理するサーバに送信するための処理を実行する情報登録部を備える、請求項1ないし5の何れか一項に記載の処方箋処理装置。
【請求項7】
前記情報登録部は、前記第2交付部により交付した前記処方箋に対応する電子処方箋が前記サーバから交付されることを抑止するための付加情報を、前記サーバに送信するための処理を実行する、請求項6に記載の処方箋処理装置。
【請求項8】
電子処方箋情報を管理するサーバと外部通信網を介して通信可能な処方箋処理システムであって、
診療に対応する電子処方箋を利用者に交付するための処理を行う第1交付部と、
前記電子処方箋以外の形態で診療に対応する処方箋を利用者に交付するための処理を行う第2交付部と、
前記第1交付部および前記第2交付部の何れかを選択的に実行して処方箋を交付する選択実行部と、を備える、処方箋処理システム。
【請求項9】
前記選択実行部は、予め規定された選択条件に基づいて、処方箋の交付に前記第1交付部および前記第2交付部の何れを用いるかを決定する、請求項8に記載の処方箋処理システム。
【請求項10】
前記選択条件は、最初に前記第1交付部による交付を実行し、前記第1交付部による交付に失敗したことに基づいて前記第2交付部による交付に切り替えるとの条件を含む、
請求項9に記載の処方箋処理システム。
【請求項11】
前記選択実行部は、前記第1交付部と前記第2交付部の何れにより処方箋の交付を受けるかを利用者から受け付ける処理を実行し、
前記選択条件は、前記第1交付部および前記第2交付部のうち利用者が選択した交付部による交付を実行するとの条件を含む、請求項9または10に記載の処方箋処理システム。
【請求項12】
前記選択実行部は、前記選択条件の設定を管理者から受け付ける処理を実行し、受け付けた前記選択条件に基づいて、前記第1交付部および前記第2交付部の何れかを選択する、請求項9ないし11の何れか一項に記載の処方箋処理システム。
【請求項13】
前記選択実行部が前記第2交付部により処方箋の交付を行ったことに基づいて、前記第2交付部により交付した処方箋に係る電子処方箋情報を、電子処方箋を管理するサーバに送信する情報登録部を備える、請求項8ないし12の何れか一項に記載の処方箋処理システム。
【請求項14】
前記情報登録部は、前記処方箋に係る情報を前記サーバに送信する処理において、前記第2交付部により交付した前記処方箋に対応する電子処方箋が前記サーバから交付されることを抑止するための付加情報を、前記サーバに送信するための処理を実行する、請求項13に記載の処方箋処理システム。
【請求項15】
利用者に処方箋を交付する処理を自動で行う処方箋処理方法であって、
診療に対応する電子処方箋を利用者に交付するための処理を行う第1交付工程と、
前記電子処方箋以外の形態で診療に対応する処方箋を利用者に交付するための処理を行う第2交付工程と、
前記第1交付工程および前記第2交付工程の何れかを選択的に実行して処方箋を交付する選択実行工程と、を含む、処方箋処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診療に係る処方箋を提供するための処方箋処理装置、当該処方箋処理システム、および、処方箋処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関において診療がなされると、適宜、診療内容に応じた薬剤の処方箋が発行される。従来、処方箋は、医療機関の窓口において発行されている。たとえば、精算端末において診療費の支払いがなされると、処方箋の提供を受けるための引換券が精算端末から出力される。患者は、この引換券を窓口に提示することにより、処方箋の提供を受ける。その後、患者は、発行された処方箋を調剤薬局に持ち込んで、薬剤の提供を受ける。
【0003】
最近では、処方箋を電子化する運用が採られつつある。たとえば、以下の特許文献1には、電子処方箋情報を患者のマイナンバーカードに記録することが記載されている。この場合、患者は、自身のマイナンバーカードを調剤薬局に提示することで、薬剤の提供を受けることができる。
【0004】
さらに、電子処方箋サーバを用いた電子処方箋運用ガイドラインが厚生労働省から発行されている。このシステムでは、電子化された処方箋(電子処方箋)が、外部ネットワークを介して、医療機関の医事システムからサーバに登録される。この登録において、サーバは、電子処方箋の登録に先立ち、管理情報(アクセスコードおよび確認番号)を医事システムに発行する。医事システムは、受信した管理情報とともに診療内容に応じた電子処方箋をサーバに送信する。これに応じて、サーバは、受信した管理情報に紐づけて、受信した電子処方箋を登録する。これにより、サーバに対する電子処方箋の登録が完了する。
【0005】
医療機関では、サーバから受信した管理情報を、窓口等において患者に提供する。患者は、提供された管理情報を、調剤薬局に提示する。調剤薬局の担当者は、調剤薬局内の端末を介してサーバにアクセスし、提示された管理情報を用いて電子処方箋を取得する。担当者は、取得した電子処方箋に基づく薬剤を、患者に提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようなシステムでは、予期せぬ通信障害等によって、電子処方箋がサーバに登録されない場合がある。この場合、利用者は、直ちに管理情報を取得することができず、通信障害等が復旧するまでの間、医療機関等に待機しなければならない。
【0008】
かかる課題に鑑み、本発明は、電子処方箋をサーバで一元管理しつつ、円滑に処方箋を患者に提供することが可能な処方箋処理装置、処方箋処理システムおよび処方箋処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、処方箋処理装置に関する。この態様に係る処方箋処理装置は、診療に対応する電子処方箋を利用者に交付するための処理を行う第1交付部と、前記電子処方箋以外の形態で診療に対応する処方箋を利用者に交付するための処理を行う第2交付部と、前記第1交付部および前記第2交付部の何れかを選択的に実行して処方箋を交付する選択実行部と、を備える。
【0010】
本態様に係る処方箋処理装置によれば、処方箋処理装置が、第1交付部の他に、第2交付部を備えるため、予期せぬ通信障害等によって電子処方箋がサーバに登録されないような場合は、電子処方箋に代えて、第2交付部により、診療に対応する処方箋を利用者に交付できる。よって、電子処方箋をサーバで一元管理しつつ、円滑に処方箋を患者に提供することができる。
【0011】
なお、「電子処方箋以外の形態」とは、紙媒体による処方箋の交付形態の他、電子メールによる処方箋の交付形態や、マイナンバーカードの記憶部に処方箋情報を記憶させる形態等、サーバ経由で電子処方箋を交付する以外の形態を広く含み得る。
【0012】
本態様に係る処方箋処理装置において、前記選択実行部は、予め規定された選択条件に基づいて、処方箋の交付に前記第1交付部および前記第2交付部の何れを用いるかを決定するよう構成され得る。
【0013】
この場合、前記選択条件は、最初に前記第1交付部による交付を実行し、前記第1交付部による交付に失敗したことに基づいて前記第2交付部による交付に切り替えるとの条件を含み得る。
【0014】
この構成によれば、まずは、電子処方箋による交付が優先的に行われるため、電子処方箋による運用を広めることができ、ペーパレス化を進めることができる。また、予期せぬ通信障害等によって電子処方箋の交付を行い得ない場合は、電子処方箋以外の形態で処方箋が交付される。よって、利用者は、迅速かつ確実に、自身の処方箋を受領でき、その後の薬剤の交付を円滑に進めることができる。
【0015】
あるいは、前記選択実行部は、前記第1交付部と前記第2交付部の何れにより処方箋の交付を受けるかを利用者から受け付ける処理を実行し、前記選択条件は、前記第1交付部および前記第2交付部のうち利用者が選択した交付部による交付を実行するとの条件を含み得る。
【0016】
この構成によれば、利用者は、自身が望む形態で処方箋を受け取ることができる。たとえば、利用者は、電子処方箋による薬剤の受け取りに不慣れな場合、第2交付部による交付を選択することで、電子処方箋以外の形態で自身の処方箋を受け取ることができる。これにより、利用者は、その後の薬剤の交付を円滑に進めることができる。
【0017】
あるいは、前記選択実行部は、前記選択条件の設定を管理者から受け付ける処理を実行し、受け付けた前記選択条件に基づいて、前記第1交付部および前記第2交付部の何れかを選択するよう構成され得る。
【0018】
この構成によれば、処方箋管理装置が設置される施設の管理者は、利用者の状況や施設の運用状況等に応じて、第1交付部および第2交付部の何れを用いるかの選択条件を任意に設定できる。たとえば、管理者は、年配の利用者において電子処方箋による薬剤の交付に支障が生じやすいと判断した場合、所定年齢以上の利用者には第2交付部により処方箋が交付されるよう、選択条件を設定できる。これにより、施設における処方箋の交付をより円滑に進めることができる。
【0019】
本態様に係る処方箋処理装置は、前記選択実行部が前記第2交付部により処方箋の交付を行ったことに基づいて、前記第2交付部により交付した処方箋に係る電子処方箋情報を、電子処方箋を管理するサーバに送信するための処理を実行する情報登録部を備えた構成とされ得る。
【0020】
この構成によれば、たとえば、通信障害等によりサーバに電子処方箋が登録されないために、第2交付部により電子処方箋以外の形態で処方箋が交付された場合も、処方箋の交付後に、当該処方箋に対応する電子処方箋情報がサーバに登録される。よって、電子処方箋をより確実にサーバで一元管理できる。
【0021】
この場合、前記情報登録部は、前記第2交付部により交付した前記処方箋に対応する電子処方箋が前記サーバから交付されることを抑止するための付加情報を、前記サーバに送信するための処理を実行するよう構成され得る。
【0022】
この構成によれば、第2交付部により処方箋が交付された後に、同一診療に対する電子処方箋がサーバから再交付されることを防ぐことができる。
【0023】
なお、第2交付部により交付した処方箋に係る電子処方箋情報のサーバへの送信は、たとえば、サーバとの通信が復旧したことに応じて行われてよい。あるいは、この送信は、サーバとの通信が復旧した後の所定のタイミング、たとえば、処方箋処理装置がシャットダウンされるタイミングで行われてもよい。
【0024】
本発明の第2の態様は、電子処方箋情報を管理するサーバと外部通信網を介して通信可能な処方箋処理システムに関する。この態様に係る処方箋処理システムは、診療に対応する電子処方箋を利用者に交付するための処理を行う第1交付部と、前記電子処方箋以外の形態で診療に対応する処方箋を利用者に交付するための処理を行う第2交付部と、前記第1交付部および前記第2交付部の何れかを選択的に実行して処方箋を交付する選択実行部と、を備える。
【0025】
本態様に係る処方箋処理システムによれば、上記第1の態様と同様の効果が奏され得る。
【0026】
本発明の第3の態様は、利用者に処方箋を交付する処理を自動で行う処方箋処理方法に関する。この態様に係る処方箋処理方法は、診療に対応する電子処方箋を利用者に交付するための処理を行う第1交付工程と、前記電子処方箋以外の形態で診療に対応する処方箋を利用者に交付するための処理を行う第2交付工程と、前記第1交付工程および前記第2交付工程の何れかを選択的に実行して処方箋を交付する選択実行工程と、を含む。
【0027】
本態様に係る処方箋処理方法によれば、上記第1の態様と同様の効果が奏され得る。
【発明の効果】
【0028】
上記のように、本発明によれば、電子処方箋をサーバで一元管理しつつ、円滑に処方箋を患者に提供することが可能な処方箋処理装置、処方箋処理システムおよび処方箋処理方法を提供することができる。
【0029】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る、電子処方箋管理システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る、精算端末および医事システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3(a)は、実施形態1に係る、サーバに構築された電子処方箋データベースの構成を示す図である。
図3(b)は、実施形態1に係る、医事システムにおいて記憶される処方箋管理情報の構成を示す図である。
【
図4】
図4(a)は、実施形態1に係る、電子処方箋情報をサーバに登録する際に医事システムの制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
図4(b)は、実施形態1に係る、電子処方箋情報をサーバに登録する際にサーバが実行する処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る、精算端末の制御部が実行する処方箋の交付処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る、サーバが調剤済み情報を受信した際に行う処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7(a)および
図7(b)は、それぞれ実施形態1に係る、精算端末において紙の処方箋が交付された場合に、医事システムの制御部およびサーバが行う処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態2に係る、精算端末および医事システムの構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施形態2に係る、精算端末が紙の処方箋を交付した場合に、精算端末の制御部が行う処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態3に係る、精算端末の制御部が実行する処方箋の交付処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図11(a)は、実施形態3に係る、第1交付部と第2交付部の何れにより処方箋の交付を受けるかを利用者から受け付ける受付画面を示す図である。
図11(b)は、実施形態3に係る、電子処方箋による処方箋の交付に失敗したことを利用者に報知するための報知画面を示す図である。
【
図12】
図12(a)および
図12(b)は、それぞれ実施形態3に係る、利用者が第2交付部による交付を選択して紙の処方箋が交付された場合に、精算端末および医事システムにおいて行われる処理を示すフローチャートである。
【
図13】
図13(a)は、実施形態4に係る、選択条件3を設定するための処理を示すフローチャートである。
図13(b)は、実施形態4に係る、精算端末の制御部が実行する処方箋の交付処理を示すフローチャートである。
【
図14】
図14(a)は、実施形態1に係る、精算端末の制御部が実行する処方箋の交付処理を示すフローチャートである。
図14(b)は、他の変更例に係る、処方箋の控えの発行処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0032】
以下の実施形態では、処方箋処理装置の一例として精算端末10が示されている。但し、処方箋処理装置は、精算端末10に限られるものではなく、たとえば、精算機能を持たない処方箋の交付に特化した専用機であってもよい。
【0033】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る電子処方箋管理システム1の構成を示す図である。
【0034】
図1に示すように、電子処方箋管理システム1は、精算端末10と、医事システム20と、サーバ30と、薬局端末40とを備える。精算端末10と医事システム20は、病院等の医療機関に設置され、医療機関内に敷設されたLAN(Local Area Network)で通信可能に接続されている。医療機関には、複数の精算端末10が設置されている。
図1には、2つの精算端末10が示されているが、設置される精算端末10の数は、これに限られるものではない。
【0035】
精算端末10は、診療費や、医療機関の利用により生じたその他の費用を、患者等の利用者が精算するためのものである。医事システム20は、患者情報や、各患者のカルテ情報、診療に応じた薬剤の処方箋情報、診療費といった精算情報等を管理するためのものである。医事システム20は、必ずしも1つの装置により構成されなくてもよく、複数のパーソナルコンピュータやサーバが組み合わされて構成されてもよい。精算端末10と医事システム20は、処方箋を処理するための処方箋処理システム2を構成する。
【0036】
精算端末10および医事システム20は、それぞれ、ルータ60を介して、外部通信網50に接続されている。外部通信網50は、インターネット、専用回線または公衆回線等からなっている。外部通信網50には、サーバ30と薬局端末40が接続されている。
【0037】
サーバ30は、電子処方箋に関する情報(以下、「電子処方箋情報」という)を管理する。サーバ30は、医事システム20から受信した電子処方箋情報を記憶するためのデータベースを有する。
図1に示した医事システム20以外の医事システムも外部通信網50に接続されている。サーバ30は、これら他の医事システムから受信する電子処方箋情報も、同様に管理する。サーバ30の記憶部には、電子処方箋を管理するためのプログラムがインストールされている。
【0038】
薬局端末40は、調剤薬局等の、処方箋に基づき患者に薬剤を提供する施設に設置される。薬局端末40は、パーソナルコンピュータやタブレット等の情報処理端末である。この場合、情報処理端末の記憶部に、電子処方箋管理システム1により処方箋を交付するためのプログラムがインストールされる。薬局端末40が、調剤を管理する専用端末であってもよい。薬局端末40は、サーバ30にアクセスして患者の電子処方箋情報を取得し、取得した電子処方箋情報を表示する。薬剤師等の担当者は、表示された電子処方箋情報に基づいて薬剤を調剤し、調剤した薬剤を患者に提供する。
【0039】
図2は、精算端末10および医事システム20の構成を示すブロック図である。
【0040】
精算端末10は、制御部101と、記憶部102と、紙幣処理部103と、硬貨処理部104と、カード処理部105と、操作表示部106と、音声出力部107と、印刷部108と、バーコードリーダ109と、通信部110とを備える。なお、紙幣処理部103と硬貨処理部104については、精算端末10と別体になっていてもよい。
【0041】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理回路を備え、記憶部102に記憶されたプログラムに従って各部を制御する。記憶部102は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体を備え、制御部101が実行するプログラムや、各種データを記憶する。また、記憶部102は、制御部101が制御を行う際のワーク領域として利用される。
【0042】
紙幣処理部103は、各金種の紙幣を収容するための紙幣収容部および紙幣を搬送する搬送部を備え、制御部101からの制御により、紙幣収容部と紙幣の入出金部との間で紙幣を搬送する。硬貨処理部104は、各金種の硬貨を収容するための硬貨収容部および硬貨を搬送する搬送部を備え、制御部101からの制御により、硬貨収容部と、硬貨の入出金部との間で硬貨を搬送する。
【0043】
カード処理部105は、カード挿入口から挿入されたカード(診察券、クレジットカード等)からカード番号等のカード情報を読み取る。操作表示部106は、所定の情報を表示するとともに、利用者からの操作を受け付ける。操作表示部106は、たとえば、液晶表示器を備えたタッチパネルにより構成される。音声出力部107は、スピーカ等の音声出力手段を備え、制御部101からの制御に応じて、所定の音声を出力する。
【0044】
印刷部108は、クレジットカード等による決済が行われた場合に、利用者控えを送出する。また、印刷部108は、診療費の支払いが行われた場合に領収書を送出し、また、操作表示部106に対して診療明細書の発行操作がなされた場合に、診療明細書を送出する。この他、印刷部108は、処方箋に関する情報等の各種情報を印刷して出力する。
【0045】
バーコードリーダ109は、医療費を精算するための用紙に印字されたバーコードを読み取る。たとえば、診療を受け付けるための受付機で発行された整理券に、精算のためのバーコードが印字される。患者は、このバーコードを用いて、医療費の精算を行える。
【0046】
通信部110は、医事システム20および外部通信網50と通信を行うための通信インタフェースである。通信部110は、LANを介して、医事システム20の通信部205に接続される。また、通信部110は、ルータ60を介して、外部通信網50に接続される。制御部101は、患者等の利用者がクレジットカードを用いて精算を行う場合、外部通信網50を介してカード情報処理センター(図示せず)と通信を行い、カード決済の処理を行う。
【0047】
医事システム20は、制御部201と、記憶部202と、操作表示部203と、印刷部204と、通信部205と、を備える。
【0048】
制御部201は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理回路を備え、記憶部202に記憶されたプログラムに従って各部を制御する。記憶部202は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体を備え、制御部201が実行するプログラムや、各種データを記憶する。また、記憶部202は、制御部201が制御を行う際のワーク領域として利用される。記憶部202は、患者情報、患者の診療履歴および調剤履歴等の情報等を含む診療データ、および患者の診療費請求情報を記憶している。記憶部202は、処方箋の交付を管理するための処方箋管理情報を記憶している。
【0049】
操作表示部203は、所定の情報を表示するとともに、使用者からの操作を受け付ける。操作表示部203は、たとえば、液晶表示器を備えたタッチパネルにより構成される。印刷部204は、制御部201からの制御により、処方箋等の印刷物を送出する。
【0050】
通信部205は、精算端末10および外部通信網50と通信を行うための通信インタフェースである。通信部205は、LANを介して、精算端末10の通信部110に接続される。また、通信部205は、ルータ60を介して、外部通信網50に接続される。制御部201は、診療に応じて生成される電子処方箋情報を、外部通信網50を介して、サーバ30に登録する処理を行う。
【0051】
図3(a)は、サーバ30に構築された電子処方箋データベースの構成を示す図である。
【0052】
電子処方箋データベースは、アクセスコードおよび確認番号と、処方箋情報、処方箋ID、交付済みフラグ、調剤済みフラグおよび調剤結果とを対応付けた構造である。
【0053】
アクセスコードおよび確認番号は、電子処方箋情報を管理するための管理情報である。アクセスコードおよび確認番号は、医事システム20からの要求に応じて、サーバ30が発行する。
【0054】
処方箋情報は、医事システム20から受信する電子処方箋情報である。電子処方箋情報は、たとえば、処方箋の印刷イメージを電子化したものである。たとえば、電子処方箋情報は、薬剤の種類、量、服用タイミング等といった、処方箋に記載される内容をテキストデータ化したものである。電子処方箋情報は、処方箋の内容を示すデータであってもよい。
【0055】
処方箋IDは、医事システム20から受信する処方箋の識別情報である。医事システム20は、診療に応じた処方箋が生成されると、固有の処方箋IDを発行し、当該処方箋IDで処方箋を管理する。医事システム20は、電子処方箋情報をサーバ30に登録する際に、当該電子処方箋情報に紐づけられた処方箋IDをサーバ30に送信する。
【0056】
交付済みフラグは、電子処方箋以外の形態で処方箋が交付済みであることを示すフラグである。電子処方箋データベースに1行の情報が新たに追加される際、交付済みフラグは0に設定され、電子処方箋以外の形態で処方箋が交付されたことの通知が医事システム20からサーバ30に送信されることにより、交付済みフラグが1に設定される。
【0057】
調剤済みフラグは、電子処方箋情報に対応する薬剤が患者に交付されたことを示すフラグである。薬剤が交付済みであると調剤済みフラグが1となり、薬剤が未交付であると調剤済みフラグが0となる。調剤済みフラグは、薬局端末40から調剤結果を受信したことに応じて、0から1に変更される。調剤結果は、処方箋に基づく薬剤の調剤結果を示す情報である。調剤結果は、患者に薬剤を提供したことに伴い、薬局端末40からサーバ30に送信される。
【0058】
なお、ここでは、サーバ30で管理される電子処方箋に関する情報がデータベース構造であったが、この情報は、必ずしもデータベース構造でなくてもよく、各情報が互いに紐づけられて管理されればよい。
【0059】
図3(b)は、医事システム20の記憶部202に記憶される処方箋管理情報の構成を示す図である。
【0060】
上記のように、処方箋管理情報は、処方箋の交付を管理するための情報である。処方箋管理情報は、処方箋IDと、処方箋情報と、アクセスコードおよび確認番号と、登録済みフラグと、交付済みフラグとを対応付けた構成である。
【0061】
上記のように、処方箋IDは、処方箋の交付を管理するための識別情報である。処方箋情報は、診療に応じた処方箋の内容を示す情報である。この処方箋を電子化した電子処方箋情報が、医事システム20からサーバ30に送信され、サーバ30において、
図3(a)の処方箋情報として管理される。アクセスコードおよび確認番号は、上記のように、電子処方箋情報を管理するための管理情報である。医事システム20は、アクセスコードおよび確認番号をサーバ30から受信し、対応する処方箋IDに紐づけて、記憶部202に記憶させる。
【0062】
登録済みフラグは、電子処方箋情報がサーバ30に登録済みであることを示すフラグである。電子処方箋情報がサーバ30に登録されると、登録済みフラグが0から1に変更される。交付済みフラグは、処方箋IDに対応する処方箋が患者に交付されたことを示すフラグである。処方箋IDに対応する処方箋が患者に交付されると、交付済みフラグが0から1に変更される。
【0063】
医事システム20の制御部201は、医師により、診療に応じた処方箋が作成されると、固有の処方箋IDを新たに発行し、
図3(b)の処方箋管理情報に1行分の情報を追加する。これにより、作成された処方箋が、新たに発行された処方箋IDによって管理される。このとき、当該処方箋IDに対応付けられたアクセスコードおよび確認番号は空欄とされ、登録済みフラグおよび交付済みフラグはそれぞれ0に設定される。
【0064】
その後、当該処方箋IDに対応する処方箋情報がサーバ30に登録されると、サーバ30から受信したアクセクスコードおよび確認番号が当該処方箋IDに対応付けて記憶され、登録済みフラグが1に変更される。また、当該処方箋IDに対応する処方箋情報の処方箋が、電子処方箋または電子処方箋以外の形態(たとえば紙媒体)により患者に交付されると、交付済みフラグが1に変更される。
【0065】
こうして、医事システム20の制御部201は、各処方箋の交付状況を、処方箋管理情報によって管理する。
【0066】
この他、医事システム20は、診療を管理する診療管理情報を記憶部202に記憶している。診療管理情報は、診療内容を示す診療情報、当該診療の識別情報、当該診療を受けた患者の識別情報、および当該診療に対応する処方箋ID等を互いに対応付けて構成される。
【0067】
図2に戻り、本実施形態では、精算端末10の記憶部102に記憶されたプログラムによって、制御部101に、第1交付部101a、第2交付部101bおよび選択実行部101cの機能が付与される。
【0068】
制御部101は、第1交付部101aの機能により、診療に対応する電子処方箋を利用者に交付するための処理を実行する。また、制御部101は、第2交付部101bの機能により、電子処方箋以外の形態で診療に対応する処方箋を利用者に交付するための処理を行う。ここでは、第2交付部101bの機能により、診療に対応する処方箋が紙媒体により利用者に交付される。さらに、制御部101は、選択実行部101cの機能により、第1交付部101aおよび第2交付部101bの何れかを選択的に実行して処方箋を交付する処理を実行する。
【0069】
また、医事システム20の制御部201には、記憶部202に記憶されたプログラムによって、情報登録部201aの機能が付与される。制御部201は、第2交付部101bにより処方箋が交付された場合に、情報登録部201aの機能によって、当該処方箋に係る電子処方箋情報をサーバ30に送信するための処理を実行する。すなわち、サーバ30に未登録の処方箋が精算端末10側の第2交付部101bにより交付された場合に、制御部201は、情報登録部201aの機能によって、当該処方箋に係る電子処方箋情報を、サーバ30に送信する。これにより、当該処方箋に係る電子処方箋情報がサーバ30の電子処方箋データベースに登録され、電子処方箋情報がサーバ30で漏れなく一元管理される。
【0070】
ところで、上記構成の電子処方箋管理システム1では、予期せぬ通信障害等によって、電子処方箋情報がサーバ30に登録されない場合がある。この場合、電子処方箋のみにより処方箋が交付されると、患者等の利用者は、直ちに管理情報(アクセスコードおよび確認番号)を取得できず、通信障害等が復旧するまでの間、医療機関等に待機しなければならない。
【0071】
このような問題を防ぐために、本実施形態では、診療に対応する電子処方箋を利用者に交付するための処理を行う第1交付部101aの他に、電子処方箋以外の形態(たとえば、紙媒体)で診療に対応する処方箋を利用者に交付するための処理を行う第2交付部101bが設けられ、第1交付部101aにより処方箋を交付できない場合は、第2交付部101bにより処方箋が交付される。
【0072】
図4(a)は、電子処方箋情報をサーバ30に登録する際に医事システム20の制御部201が実行する処理を示すフローチャートである。
図4(b)は、電子処方箋情報をサーバ30に登録する際にサーバ30が実行する処理を示すフローチャートである。
【0073】
図4(a)を参照して、医事システム20の制御部201は、医師等により作成された処方箋情報を処方箋IDとともに処方箋管理情報に追加すると、所定のタイミングで、当該処方箋情報をサーバ30に登録する処理を開始する(S101:YES)。
【0074】
まず、制御部201は、電子処方箋情報を登録するための管理情報(アクセスコード、確認番号)の発行要求を、当該処方箋の処方箋IDとともに、通信部205を介して、サーバ30に送信する(S102)。その後、制御部201は、サーバ30から管理情報(アクセスコード、確認番号)を含む応答を受信するのを待つ(S103)。
【0075】
図4(b)を参照して、サーバ30は、医事システム20から発行要求を受信すると(S201:YES)、新たに発行した管理情報と、受信した処方箋IDとを含む応答を、送信元の医事システム20に送信する(S202)。
【0076】
図4(a)を参照して、医事システム20の制御部201は、管理情報の発行要求に対する応答を所定時間内に受信できた場合(S103:YES)、登録対象の処方箋を電子化した電子処方箋情報を、当該処方箋の処方箋IDとともに、サーバ30に送信する(S104)。他方、管理情報の発行要求に対する応答を所定時間内に受信できなかった場合、もしくは、所定時間内に受信できたが受信データに異常があった場合等、応答を適正に受信できなかった場合(S103:NO)、制御部201は、電子処方箋情報の登録処理を終了する。
【0077】
図4(b)を参照して、サーバ30は、医事システム20から電子処方箋情報および処方箋IDを受信すると(S203)、電子処方箋情報および処方箋IDと、ステップS202で送信した管理情報(アクセスコード、確認番号)とを対応付けて、電子処方箋データベースに登録する(S204)。そして、サーバ30は、電子処方箋情報が登録されたことを示す応答を、当該電子処方箋情報とともに受信した処方箋IDとともに、送信元の医事システム20に送信し(S205)、電子処方箋情報の登録処理を終了する。
【0078】
図4(a)を参照して、医事システム20の制御部201は、電子処方箋情報の送信に対する応答を所定時間内に受信できた場合(S105:YES)、当該応答とともに受信した処方箋IDに紐づけて、ステップS102で受信した管理情報(アクセスコード、確認番号)を処方箋管理情報に登録し、さらに、当該処方箋IDに対応付けられている登録済みフラグを1に変更して(S106)、処理を終了する。他方、電子処方箋情報の送信に対する応答を所定時間内に受信できなかった場合、もしくは、所定時間内に受信できたが受信データに異常があった場合等、応答を適正に受信できなかった場合(S105:NO)、制御部201は、処方箋情報の登録処理を終了する。
【0079】
図4(a)のステップS103、S105の何れかの判定がNOの場合、
図3(b)の処方箋管理情報には、管理情報(アクセスコード、確認番号)が登録されず、登録済みフラグは0のままである。
図3(b)の3行目は、この状態を示している。
図4(a)のステップS103、S105の何れの判定もYESの場合に、
図3(b)の1、2行目のように、処方箋管理情報に管理情報(アクセスコード、確認番号)が登録され、登録済みフラグが1に変更される。
【0080】
図5は、精算端末10の制御部101が実行する処方箋の交付処理を示すフローチャートである。
【0081】
図5の処理ステップのうち、ステップS302、S303は、
図2に示した選択実行部101cの機能により行われる。また、ステップS304およびステップS305は、それぞれ、
図2に示した第1交付部101aおよび第2交付部101bの機能により行われる。
【0082】
ステップS302、S303は、処方箋の交付に第1交付部101aおよび第2交付部101bの何れを用いるかを決定する選択条件1を構成する。
【0083】
制御部101は、診療費の精算が終了すると(S301:YES)、まず、第1交付部101aによる処方箋の交付を実行する(S302)。そして、制御部101は、第1交付部101aによる交付に失敗しなかった場合(S303:NO)、そのまま第1交付部101aによる交付を実行して処方箋を交付する(S304)。他方、第1交付部101aによる交付に失敗した場合(S303:YES)、制御部101は、第2交付部101bにより処方箋を交付する(S305)。
【0084】
ステップS301において、制御部101は、以下の処理を実行する。
【0085】
まず、診療費の精算に関する取引処理が開始されたか否かを判定する。たとえば、制御部101は、操作表示部106を介して精算のための操作を受け付けた後、さらに、診察券をカード処理部105が読み取り、あるいは、診療費を精算するための用紙に印字されたバーコードをバーコードリーダ109が読み取った場合に、診療費の精算に関する取引処理が開始されたと判定する。
【0086】
こうして、精算取引が開始されると、制御部101は、診療費を特定するための識別情報(診察券の識別情報またはバーコード情報から取得される請求情報)を含む精算開始通知を、通信部110を介して、医事システム20に送信する。これにより、医事システム20の制御部201は、当該通知に含まれる識別情報を参照し、当該識別情報に対応する診療情報を、当該通知の送信元の精算端末10に送信する。この診療情報は、診療費および診療明細に関する情報を含んでいる。
【0087】
精算端末10の制御部101は、受信した診療情報を操作表示部106に表示させて診療費の精算を受け付ける。これに応じて、患者が現金またはクレジットカード等により診療費の精算を行うと、制御部101は、印刷部108に領収書、診療明細および患者控えを出力させ、精算処理を終了する。これにより、制御部101は、ステップS301の判定をYESとする。
【0088】
ステップS302、S303において、制御部101は、以下の処理を実行する。
【0089】
まず、制御部101は、ステップS302において、管理情報(アクセスコード、確認番号)の送信要求を、診療費を特定するための識別情報(診察券の識別情報またはバーコード情報)とともに、医事システム20に送信する。
【0090】
これにより、医事システム20の制御部201は、識別情報に対応する処方箋IDを処方箋管理情報において特定し、特定した処方箋IDに対応付けられた管理情報(アクセスコード、確認番号)が処方箋管理情報に存在するか否かを判定する。そして、制御部201は、処方箋管理情報に当該処方箋IDに対応付けられた管理情報が存在する場合、当該管理情報と上記識別情報および処方箋IDとを含む第1応答を、送信元の精算端末10に送信する。他方、処方箋管理情報に当該処方箋IDに対応付けられた管理情報が存在しない場合、制御部201は、管理情報が存在しないことを示す情報と、上記識別情報および処方箋IDとを含む第2応答を、送信元の精算端末10に送信する。
【0091】
なお、ステップS302では、管理情報の送信要求に代えて、精算完了の通知が識別情報とともに医事システム20に送信されてもよい。この場合、これをトリガーとして、医事システム20の制御部201は、上記処理を実行し、第1応答または第2応答を、送信元の精算端末10に送信する。
【0092】
精算端末10の制御部101は、医事システム20の制御部201から第1応答を受信した場合、ステップS303の判定をNOとする。他方、制御部201は、医事システム20の制御部201から、第2応答を受信した場合、ステップS303の判定をYESとする。
【0093】
ステップS304において、制御部101は、医事システム20の制御部201から受信した第1応答に含まれる管理情報(アクセスコード、確認番号)および処方箋IDを印字したシートを印刷部108に出力させる。この処理は、第1交付部101aによる処方箋の交付処理の一例である。これにより、ステップS304の処理が終了する。患者は、出力されたシートを調剤薬局に持参して提示することで、自身の薬剤を受け取ることができる。
【0094】
ステップS305において、制御部101は、医療機関の窓口で処方箋を受け取るための引換券情報の送信要求を、処方箋IDとともに、医事システム20に送信する。これにより、医事システム20の制御部201は、受信した処方箋IDに対応付けられた処方箋を交付するための引換券情報を発行する。そして、制御部201は、発行した引換券情報を上記識別情報および処方箋IDとともに、送信元の精算端末10に送信する。
【0095】
精算端末10の制御部101は、受信した引換券情報および処方箋IDを印字した引換券を印刷部108に出力させる。この処理は、第2交付部101bによる処方箋の交付処理の一例である。これにより、ステップS305の処理が終了する。患者は、出力された引換券を窓口に提示して、処方箋を受け取る。この処方箋には、
図3(b)に示す処方箋情報とともに、処方箋IDが印字されている。そして、患者は、受け取った処方箋を調剤薬局に持参して提示することにより、自身の薬剤を受け取ることができる。
【0096】
なお、引換券情報は、上記第2応答に含まれてもよい。この場合、制御部101は、ステップS305において、第2応答に含まれる引換券情報を印字した引換券を印刷部108に出力させる。
【0097】
また、上記処理では、ステップS305において、処方箋の引換券が発行されたが、これに代えて、精算端末10から紙の処方箋が直接発行されてもよい。この場合、引換券情報に代えて処方箋情報および処方箋IDが、医事システム20の制御部201から精算端末10の制御部101に送信される。精算端末10の制御部101は、受信した処方箋情報および処方箋IDを印字した紙の処方箋を、印刷部108に出力させる。
【0098】
ステップS304、S305において、制御部101は、さらに、処方箋を発行したことの通知を当該処方箋の処方箋IDとともに、医事システム20に送信する。これにより、医事システム20の制御部201は、処方箋管理情報において、受信した処方箋IDに対応付けられた交付済みフラグを1に変更する。
【0099】
次に、処方箋が患者に交付された後に、電子処方箋管理システム1おいて実行される処理について説明する。
【0100】
患者は、
図5のステップS304で発行されたシート、または、ステップS305の処理に基づき発行された紙の処方箋を、調剤薬局の担当者に渡す。担当者は、患者からシートを受け取った場合、薬局端末40を介してサーバ30にアクセスして、シートに印字された管理情報(アクセスコード、確認番号)とともに電子処方箋情報の送信要求をサーバ30に送信する。
【0101】
サーバ30は、受信した管理情報に対応する交付済みフラグが1でないこと(未だ処方箋が交付されていないこと)を確認する。そして、サーバ30は、交付済みフラグが1でない場合に、受信した管理情報に対応する電子処方箋情報を電子処方箋データベースから抽出し、抽出した電子処方箋情報を薬局端末40に送信する。これにより、薬局端末40に電子処方箋情報に基づく処方箋が表示される。調剤薬局の担当者は、表示された処方箋に応じた薬剤を調剤して患者に交付する。
【0102】
他方、患者から紙の処方箋を受け取った場合、担当者は、紙の処方箋に応じた薬剤を調剤して患者に交付する。
【0103】
さらに、担当者は、患者に薬剤を交付したことに伴い、調剤した薬剤の内容を示す調剤済み情報(調剤結果)を、薬局端末40を介してサーバ30に送信する。電子処方箋情報に基づき薬剤を調剤した場合、担当者は、調剤済み情報とともにシートに印字された処方箋IDをサーバ30に送信する操作を行う。他方、紙の処方箋に基づき薬剤を調剤した場合、担当者は、調剤済み情報とともに紙の処方箋に印字された処方箋IDをサーバ30に送信する操作を行う。これらの操作により、薬局端末40からサーバ30に、調剤済み情報および処方箋IDが送信される。
【0104】
図6は、調剤済み情報を受信した際にサーバ30が行う処理を示すフローチャートである。
【0105】
サーバ30は、薬局端末40から調剤済み情報を受信すると(S211:YES)、調剤済み情報とともに受信した処方箋IDが、既に、電子処方箋データベースに登録されているか否かを判定する(S212)。ステップS212の判定がYESの場合、サーバ30は、受信した処方箋IDに対応付けられている調剤結果に、受信した調剤済み情報を格納し(S213)、さらに、当該処方箋IDに対応付けられている調剤済みフラグを1に変更する(S214)。これにより、サーバ30は、
図6の処理を終了する。
【0106】
他方、ステップS212の判定がNOの場合、サーバ30は、受信した処方箋IDに基づき、電子処方箋データベースに新たに1行分の情報を追加する(S215)。そして、サーバ30は、追加した行の調剤結果に、受信した調剤済み情報を格納し(S216)、さらに、当該処方箋IDに対応付けられている調剤済みフラグを1に変更する(S217)。これにより、サーバ30は、
図6の処理を終了する。
【0107】
図6のステップS215~S217の処理が行われた場合、電子処方箋データベースに新たに追加された行には、
図3(a)に示すアクセスコード、確認番号および処方箋情報は登録されず、処方箋ID、調剤済みフラグおよび調剤結果のみが登録される。また、この場合、
図3(a)の交付済みフラグは1に設定される。
図3(a)の3行目は、この状態が示している。この行には、その後、医事システム20から、サーバ30に未登録の処方箋について、処方箋情報および処方箋IDが送信されることにより、アクセスコード、確認番号および処方箋情報が登録される。
【0108】
図7(a)、(b)は、それぞれ、精算端末10において紙の処方箋が交付された場合に、医事システム20の制御部201およびサーバ30が行う処理を示すフローチャートである。
図7(a)の処理は、情報登録部201aの機能により、医事システム20の制御部201が行う。
【0109】
図7(a)を参照して、医事システム20の制御部201は、未登録の電子処方箋情報をサーバ30に送信する送信タイミングが到来したか否かを判定する(S111)。ここで、送信タイミングは、たとえば、紙の処方箋の交付後において、サーバ30との通信が復旧したタイミングや、サーバ30との通信が復旧した後の所定のタイミング(たとえば、医事システム20がシャットダウンされるタイミング)に設定され得る。
【0110】
送信タイミングが到来すると(S111:YES)、制御部201は、電子処方箋情報、処方箋ID、および処方箋を交付済みであることを示す付加情報を含む未登録情報を、サーバ30に送信する(S112)。ステップS112において、制御部201は、
図3(b)の処方箋管理情報を参照し、登録済みフラグが0で、且つ、交付済みフラグが1である処方箋情報を特定する。そして、制御部201は、特定した処方箋情報を電子化した電子処方箋情報、当該処方箋情報に対応付けられている処方箋IDおよび上記付加情報を含む未登録情報を、サーバ30に送信する。
【0111】
図7(b)を参照して、サーバ30は、医事システム20から未登録情報を受信すると(S221:YES)、未登録情報に含まれる処方箋IDが既に電子処方箋データベースに存在するか否かを判定する(S222)。
【0112】
たとえば、
図6のステップS215~S217の処理が行われた場合に、ステップS222の判定がYESとなる。
【0113】
あるいは、
図4(b)の処理により、サーバ30の電子処方箋データベースに処方箋IDおよび電子処方箋情報が登録されたにも関わらず、そのことを示す応答が、通信障害等により、医事システム20側に届かなかった場合に、ステップS222の判定がYESとなる。
【0114】
具体的には、
図4(b)のステップS204で電子処方箋情報が電子処方箋データベースに登録されたにも関わらず、ステップS205で送信された応答が、通信障害等により、医事システム20で受信されなかった場合、
図4(a)のステップS105の判定がNOとなる。この場合、
図3(b)の処方箋管理情報は、3行目のように、登録済みフラグが0のまま維持され、アクセスコードと確認番号は空欄となる。この場合、当該処方箋IDに対応する情報がサーバ30側の電子処方箋データベースに存在するにも関わらず、医事システム20側では、処方箋管理情報の当該処方箋IDに対応する登録済みフラグが0のまま維持される。このため、
図7(a)のステップS112において、当該処方箋IDに関する未登録情報がサーバ30に送信されることになる。このような場合も、
図7(b)のステップS222の判定がYESとなる。
【0115】
また、
図4(a)のステップS102における送信が通信障害等によりサーバ30に届かず、これにより、ステップS103の判定がNOとなり、且つ、
図6のステップS211において、当該処方箋IDに対応する調剤済み情報をサーバ30が薬局端末40から未だ受信していない場合、
図7(b)のステップS222の判定がNOとなる。
【0116】
ステップS222の判定がYESの場合、サーバ30は、受信した未登録情報に含まれる処方箋IDに対応する電子処方箋情報が、既に、電子処方箋データベースに登録されているか否かを判定する(S223)。未だ電子処方箋情報が登録されていない場合(S223:NO)、サーバ30は、受信した電子処方箋情報を当該処方箋IDに対応付けて登録する(S224)。さらに、サーバ30は、受信した未登録情報に含まれる付加情報に基づいて、当該処方箋IDに対応付けられている交付済みフラグを1に設定し(S225)、当該処方箋IDに対応する管理情報(アクセスコード、確認番号)を含む応答を、送信元の医事システム20に送信する(S226)。
【0117】
他方、受信した未登録情報に含まれる処方箋IDに対応する電子処方箋情報が既に電子処方箋データベースに登録されている場合(S223:YES)、サーバ30は、ステップS224をスキップし、受信した未登録情報に含まれる付加情報に基づいて、当該処方箋IDに対応付けられている交付済みフラグを1に設定する(S225)。そして、サーバ30は、当該処方箋IDに対応する管理情報(アクセスコード、確認番号)を含む応答を、当該処方箋IDとともに、送信元の医事システム20に送信する(S226)。
【0118】
ステップS226において、サーバ30は、まず、電子処方箋データベースにおいて、当該処方箋IDに対応付けられた管理情報が存在するか否かを判定する。たとえば、
図6のステップS215~S217の処理により、電子処方箋データベースに行が追加された場合、電子処方箋データベースのこの行には、管理情報が存在しない。他方、上記のように、
図4(b)の処理により、サーバ30の電子処方箋データベースに処方箋IDおよび電子処方箋情報が登録されたにも関わらず、そのことを示す応答が、通信障害等により、医事システム20側に届かなかった場合、電子処方箋データベースには、当該処方箋IDに対応付けられた管理情報が存在する。
【0119】
ステップS226において、サーバ30は、受信した未登録情報に含まれる処方箋IDに対応する管理情報が存在しない場合、新たに管理情報を発行し、発行した管理情報を含む応答を、当該処方箋IDとともに、医事システム20に送信する。この場合、サーバ30は、新たに発行した管理情報(アクセスコード、確認番号)を、当該処方箋IDに対応付けて、自身の電子処方箋データベースにも登録する。
【0120】
また、ステップS226において、サーバ30は、受信した未登録情報に含まれる処方箋IDに対応する管理情報が存在する場合、当該管理情報を含む応答を、当該処方箋IDとともに、医事システム20に送信する。
【0121】
ステップS222の判定がNOの場合、サーバ30は、受信した処方箋IDに基づき、電子処方箋データベースに新たに行を追加する(S227)。そして、サーバ30は、追加した行に対し、未登録情報に含まれる電子処方箋情報の登録と(S224)、交付済みフラグの設定(S225)を行う。そして、サーバ30は、この行について新たに管理情報(アクセスコード、確認番号)を発行し、発行した管理情報を含む応答を、当該処方箋IDとともに、医事システム20に送信する(S226)。この場合も、サーバ30は、新たに発行した管理情報(アクセスコード、確認番号)を、この行に対して登録する。
【0122】
図7(a)を参照して、医事システム20の制御部201は、サーバ30から応答を受信すると(S113:YES)、応答に含まれる管理情報(アクセスコード、確認番号)を、応答とともに受信した処方箋IDに対応付けて、処方箋管理情報に登録する(S114)。さらに、制御部201は、当該処方箋IDに紐づけられている登録済みフラグを1に設定して(S115)、処理を終了する。
【0123】
他方、サーバ30から応答を適正に受信できなかった場合(S113:NO)、制御部201は、管理情報の登録(S114)および登録済みフラグの設定(S115)を行うことなく、処理を終了する。この場合、次回の送信タイミングにおいて、管理情報の登録(S114)および登録済みフラグの設定(S115)が行われる。
【0124】
<実施形態1の効果>
実施形態1によれば、以下の効果が奏され得る。
【0125】
図2に示したように、精算端末10(処方箋処理装置)の制御部101は、電子処方箋により処方箋を交付するための第1交付部101aの機能と、電子処方箋以外の形態で処方箋を交付するための第2交付部101bの機能と、第1交付部101aおよび第2交付部101bの何れかを選択的に実行して処方箋を交付する選択実行部101cの機能とを備える。このため、予期せぬ通信障害等によって、電子処方箋がサーバ30に登録されないような場合、電子処方箋に代えて、第2交付部101bにより、診療に対応する処方箋を患者等の利用者に交付できる。よって、電子処方箋をサーバ30で一元管理しつつ、円滑に処方箋を患者に提供することができる。
【0126】
図5に示したように、制御部101は、選択実行部101cの機能により、予め規定された選択条件1に基づいて、処方箋の交付に第1交付部101aおよび第2交付部101bの何れを用いるかを決定する。
【0127】
具体的には、選択条件1は、最初に第1交付部101aによる交付を実行し(S302)、第1交付部101aによる交付に失敗したことに基づいて(S303:YES)、第2交付部101bによる交付に切り替えるよう設定されている。
【0128】
この構成によれば、まずは、電子処方箋による交付が優先的に行われるため、電子処方箋による運用を広めることができ、ペーパレス化を進めることができる。また、予期せぬ通信障害等によって電子処方箋の交付を行い得ない場合は、電子処方箋以外の形態(ここでは、紙媒体)で処方箋が交付される。よって、患者等の利用者は、迅速かつ確実に、自身の処方箋を受領でき、その後の薬剤の交付を円滑に進めることができる。
【0129】
図2に示すように、処方箋処理システム2を構成する医事システム20の制御部201は、サーバ30に未登録の電子処方箋情報をサーバ30に登録するための情報登録部201aの機能を備える。そして、
図7(a)に示したように、制御部201は、情報登録部201aの機能により、精算端末10の制御部101(選択実行部101c)が第2交付部101bにより処方箋の交付を行ったことに基づいて、第2交付部101bにより交付した処方箋に係る電子処方箋情報(未登録情報)を、電子処方箋を管理するサーバ30に送信するための処理(S112)を実行する。
【0130】
この構成によれば、たとえば、通信障害等によりサーバ30に電子処方箋が登録されないために、第2交付部101bにより電子処方箋以外の形態(ここでは紙媒体)で処方箋が交付された場合も、処方箋の交付後に、当該処方箋に対応する電子処方箋情報がサーバ30に登録される。よって、電子処方箋をより確実にサーバ30で一元管理できる。
【0131】
この場合、
図7(a)に示したように、制御部201(情報登録部201a)は、第2交付部101bにより交付した処方箋に対応する電子処方箋がサーバ30から交付されることを抑止するための付加情報を、サーバ30に送信する(S112)。これにより、第2交付部101bにより処方箋が交付された後に、同一診療に対する電子処方箋がサーバ30から再交付されることを防ぐことができる。
【0132】
<実施形態2>
上記実施形態1では、
図2に示したように、情報登録部101dの機能が医事システム20の制御部201に付与された。これに対し、実施形態2では、情報登録部101dの機能が、精算端末10の制御部101に付与される。
【0133】
図8は、実施形態2に係る、精算端末10および医事システム20の構成を示すブロック図である。
【0134】
図8に示すように、実施形態2では、記憶部102に記憶されたプログラムによって、制御部101に、第1交付部101a、第2交付部101bおよび選択実行部101cの機能とともに、さらに、情報登録部101dの機能が付与される。第1交付部101a、第2交付部101bおよび選択実行部101cの機能に基づく制御部101の処理は、上記実施形態1と同様である。
【0135】
図9は、精算端末10が紙の処方箋を交付した場合に、精算端末10の制御部101が行う処理を示すフローチャートである。この処理に並行してサーバ30において行われる処理は、
図7(b)と同様である。
図9の処理は、情報登録部101dの機能により、精算端末10の制御部101が行う。
【0136】
制御部101は、未登録の電子処方箋情報をサーバ30に送信する送信タイミングが到来したか否かを判定する(S311)。送信タイミングは、
図7(a)のステップS111と同様に設定される。
【0137】
送信タイミングが到来すると(S311:YES)、制御部101は、未登録の処方箋情報および当該処方箋情報に紐づけられた処方箋IDを医事システム20から取得する処理を行う(S312)。具体的には、制御部101は、これらの情報の送信要求を、医事システム20に送信する。これに応じて、医事システム20の制御部201は、処方箋管理情報において、登録済みフラグが0で、且つ、交付済みフラグが1である処方箋IDを特定し、特定した処方箋IDと、当該処方箋IDに対応付けられている処方箋情報を、精算端末10に送信する。
【0138】
精算端末10の制御部101は、受信した処方箋情報を電子化して電子処方箋情報を生成し、生成した電子処方箋情報と、医事システム20から受信した処方箋IDと、上記と同様の付加情報とを含む未登録情報を、通信部110を介して、サーバ30に送信する(S313)。これに応じて、サーバ30から、管理情報(アクセスコード、確認番号)を含む応答を受信すると(S314:YES)、制御部101は、受信した管理情報および処方箋IDを医事システム20に送信し(S315)、処理を終了する。医事システム20の制御部201は、受信した管理情報(アクセスコード、確認番号)を、受信した処方箋IDに対応付けて、処方箋管理情報に登録する。
【0139】
他方、サーバ30から、管理情報(アクセスコード、確認番号)を含む応答を適正に受信できなかった場合(S314:NO)、制御部101は、特に医事システム20に情報を送信することなく、処理を終了する。
【0140】
<実施形態2の効果>
実施形態2においても、第1交付部101a、第2交付部101bおよび選択実行部101cによる機能により、上記実施形態1と同様の効果が奏され得る。
【0141】
また、実施形態2では、情報登録部101dの機能により、上記実施形態1における情報登録部201aと同様の効果が奏され得る。
【0142】
すなわち、たとえば、通信障害等によりサーバ30に電子処方箋が登録されないために、第2交付部101bにより電子処方箋以外の形態で処方箋が交付された場合も、処方箋の交付後に、当該処方箋に対応する電子処方箋情報が精算端末10(処方箋処理装置)からサーバ30に送信されて(S313)、サーバ30に登録される。よって、電子処方箋をより確実にサーバ30で一元管理できる。
【0143】
また、このとき、電子処方箋情報とともに、第2交付部101bにより交付した処方箋に対応する電子処方箋がサーバ30から交付されることを抑止するための付加情報が、精算端末10(処方箋処理装置)からサーバ30に送信される(S313)。これにより、第2交付部101bにより処方箋が交付された後に、同一診療に対する電子処方箋がサーバ30から再交付されることを防ぐことができる。
【0144】
<実施形態3>
上記実施形態1では、第1交付部101aおよび第2交付部101bの何れを処方箋の交付に用いるかが、
図5に示した選択条件1により規定された。これに対し、実施形態3では、選択条件1とともに選択条件2が設定されて、第1交付部101aおよび第2交付部101bの何れを処方箋の交付に用いるかが規定される。
【0145】
図10は、実施形態3に係る、精算端末10の制御部101が実行する処方箋の交付処理を示すフローチャートである。
【0146】
図10の処理ステップのうち、ステップS302、S303、S321、S322は、
図2に示した選択実行部101cの機能により行われる。また、ステップS304およびステップS305は、それぞれ、
図2に示した第1交付部101aおよび第2交付部101bの機能により行われる。
【0147】
図5に比べて、
図10では、ステップS321、S322が追加されている。ステップS321、S322以外のステップにおける処理は、
図5の対応するステップにおける処理と同様である。ステップS321、S322は、処方箋の交付に第1交付部101aおよび第2交付部101bの何れを用いるかを決定する選択条件2を構成する。上記実施形態1と同様、ステップS302、S303は、選択条件1を構成する。
図10では、選択条件1の前に、選択条件2が実行される。
【0148】
選択条件2において、制御部101(選択実行部101c)は、第1交付部101aと第2交付部101bの何れにより処方箋の交付を受けるかを利用者から受け付ける処理を実行し(S321)、第1交付部101aおよび第2交付部101bのうち利用者が選択した交付部による交付を実行する(S322)。
【0149】
図11(a)は、
図10のステップS321において、操作表示部106に表示される受付画面300を示す図である。
【0150】
受付画面300は、メッセージ301と、ボタン302、303とを含んでいる。メッセージ301は、通常は、電子処方箋で処方箋が交付されることを利用者に報知するとともに、交付方法を紙の処方箋に切り替えるか否かを利用者に問い合わせる内容となっている。紙の処方箋に切り替える場合、利用者は、ボタン302を操作し、電子処方箋のままで問題ない場合、利用者は、ボタン303を操作する。
【0151】
図10に戻って、
図11(a)の受付画面300においてボタン302が操作された場合、ステップS322の判定がNOとなる。他方、受付画面300においてボタン303が操作された場合、ステップS322の判定がYESとなる。ステップS322の判定がYESの場合、制御部101は、処理をステップS302に進めて、上記実施形態1と同様の処理を実行する。他方、ステップS322の判定がNOの場合、制御部101は、処理をステップS305に進めて、第2交付部101bによる交付処理、すなわち、紙媒体により処方箋を交付するための処理を行う。
【0152】
なお、ここでは、
図11(a)の受付画面300において利用者がボタン303を操作して、電子処方箋による交付を望んだにも関わらず(
図10のステップS322:YES)、第1交付部101aによる電子処方箋の交付に失敗すると(S303:YES)、第2交付部101bにより、紙の処方箋が交付されてしまう(S305)。したがって、この場合は、ステップS305において、電子処方箋の交付ができなかったために、紙の処方箋を交付することを、利用者に報知するのが好ましい。
【0153】
この場合、制御部101は、ステップS305において、たとえば、
図11(b)に示す報知画面310を、操作表示部106に表示させる。
図11(b)に示すように、報知画面310は、メッセージ311と、ボタン312とを含んでいる。メッセージ311は、電子処方箋で薬を交付できないことを利用者に報知するとともに、処方箋の引換券を印刷するので窓口で紙の処方箋を受け取ることを利用者に促す内容となっている。利用者は、メッセージ311を参照した上で、ボタン312を操作する。これにより、制御部101は、上記実施形態1と同様、引換券を印刷部108に印刷させる。ボタン312の操作に代えて、一定時間経過後に引換券が印刷部108により印刷される制御がなされてもよい。
【0154】
なお、
図10の処理において、利用者が第2交付部101bによる交付を選択して紙の処方箋が交付された場合、当該処方箋に対応する電子処方箋がサーバ30から再交付されることを抑止するための処理が、さらに行われる。
【0155】
図12(a)、(b)は、利用者が第2交付部101bによる交付を選択して紙の処方箋が交付された場合に、精算端末10および医事システム20において行われる処理を示すフローチャートである。
【0156】
図12(a)の処理は、選択実行部101cの機能により、精算端末10の制御部101が行う。
図12(b)の処理は、情報登録部201aの機能により、医事システム20の制御部201が行う。
【0157】
図12(a)を参照して、精算端末10の制御部101は、
図10の処理において、利用者により第2交付部101bによる交付が選択されて、紙の処方箋を交付する処理を行った場合(S331:YES)、そのことを示す交付済み情報を、当該処方箋の処方箋IDとともに、医事システム20に送信する(S332)。
図10のステップS322の判定がNOとなってステップS305の処理が行われた場合、
図12(a)のステップS311の判定がYESとなる。
【0158】
図12(b)を参照して、医事システム20の制御部201は、精算端末10から交付済み情報を受信すると(S121:YES)、交付済み情報とともに受信した処方箋IDに対応付けられている登録済みフラグが1であるか否かを判定する(S122)。制御部201は、登録済みフラグが1である場合に(S122:YES)、上記付加情報を当該処方箋IDとともに、サーバ30に送信する(S123)。これに応じて、サーバ30は、電子処方箋データベースにおいて、受信した処方箋IDに紐付けられている交付済みフラグが1でない場合に、当該交付済みフラグを1に設定する。
【0159】
サーバ30は、薬局端末40から電子処方箋の送信要求を受信した場合、送信要求に含まれる管理情報(アクセスコード、確認番号)に対応付けられた電子処方箋情報が電子処方箋データベースに存在していても、その交付済みフラグが1である場合、薬局端末40に対する電子処方箋の送信を拒否する。これにより、利用者からの選択によって、第2交付部101bにより紙の処方箋が交付された場合に、サーバ30から、当該処方箋に対応する電子処方箋が再交付されることが抑制される。
【0160】
この他、実施形態3においても、上記実施形態1における
図4(a)、(b)、
図6および
図7(a)、(b)の処理が同様に実行される。また、実施形態3においても、上記実施形態2と同様、情報登録部の機能が、精算端末10の制御部101に付与されてもよい。
【0161】
<実施形態3の効果>
実施形態3においても、第1交付部101a、第2交付部101bおよび選択実行部101cによる機能により、上記実施形態1と同様の効果が奏され得る。
【0162】
また、実施形態3では、
図10に示すように、選択条件1の他、選択条件2が含まれているため、選択条件2による効果がさらに奏され得る。すなわち、選択条件2では、第1交付部101aと第2交付部101bの何れにより処方箋の交付を受けるかが利用者から受け付けられるため、利用者が望む形態で処方箋を受け取ることができる。たとえば、利用者は、電子処方箋による薬剤の受け取りに不慣れな場合、第2交付部101bによる交付を選択することで、電子処方箋以外の形態(ここでは、紙の処方箋)で自身の処方箋を受け取ることができる。これにより、利用者は、その後の薬剤の交付を円滑に進めることができる。
【0163】
<実施形態4>
上記実施形態3では、選択条件1とともに、選択条件2が設定されて、第1交付部101aと第2交付部101bの何れを処方箋の交付に用いるかが規定された。これに対し、実施形態4では、選択条件1とともに、選択条件3が設定されて、第1交付部101aと第2交付部101bの何れを処方箋の交付に用いるかが規定される。
【0164】
ここで、選択条件3は、処方箋処理システム2を管理する管理者により設定される選択条件である。選択条件3は、たとえば、患者の年齢や、精算端末10を利用する日、時間帯、曜日等、施設の運用状況や、患者の利用状況に応じて、第1交付部101aと第2交付部101bの何れにより処方箋を交付することが好ましいかを、管理者が判断して設定される。
【0165】
たとえば、管理者は、年配の利用者(患者)において電子処方箋による薬剤の交付に支障が生じやすいと判断した場合、選択条件3として、年齢の閾値を設定する。そして、管理者は、患者の年齢が当該閾値以上である場合は、電子処方箋以外の形態(ここでは、紙の処方箋)で処方箋を患者に交付し、その他の場合は電子処方箋により処方箋を患者に交付する設定を行う。
【0166】
この場合、精算端末10の制御部101は、選択実行部101cの機能により、医事システム20から、処方箋の交付対象とされる患者の年齢を取得し、取得した年齢が上記閾値以上であるか否かに基づいて、第1交付部101aおよび第2交付部101bの何れか一方を、処方箋の交付に用いる。
【0167】
精算端末10がカメラを備える場合、制御部101は、カメラにより取得された利用者の顔画像から、年齢推定エンジンにより、利用者の年齢を推定して、上記閾値との比較を行ってもよい。
【0168】
あるいは、管理者は、施設の運用状況から、処方箋の処理頻度が低い日時や曜日には第2交付部101bによる交付を行い、その他の日時や曜日には第1交付部101aによる交付を行うよう、選択条件3を設定してもよい。たとえば、年末年始の繁忙期には第1交付部101aによる交付を行い、深夜等、患者が少ない時間帯には第2交付部101bによる交付が行われるよう、選択条件3が設定されてもよい。
【0169】
この場合、精算端末10の制御部101は、選択実行部101cの機能により、自身のカレンダー機能から、処方箋交付処理時の日時や曜日を取得し、取得した日時や曜日が、管理者により選定された日時や曜日の選択条件3に整合するか否かに基づいて、第1交付部101aおよび第2交付部101bの何れか一方を、処方箋の交付に用いる。
【0170】
選択条件3は、上記以外の条件であってもよい。また、選択条件3としてデフォルトの条件が予め設定され、この条件を管理者が適宜変更する構成であってもよい。
【0171】
図13(a)は、選択条件3を設定するための処理を示すフローチャートである。この処理は、選択実行部101cの機能により、精算端末10の制御部101が行う。
【0172】
制御部101は、管理者により、選択条件3を設定するための操作が操作表示部106に対して行われた場合に(S341:YES)、選択条件3の設定を受け付けるための受付画面を、操作表示部106に表示させる(S342)。受付画面には、上記のような利用者の年齢や処方箋交付処理の日時、曜日等、選択条件3を設定するための種々の項目が含まれる。管理者は、これらの項目に任意に情報を入力して、選択条件3を設定する。その後、管理者が受付画面に対して設定完了の操作を行うと(S343:YES)、制御部101は、設定された条件を選択条件3として、記憶部102に記憶させる(S344)。これにより、制御部101は、選択条件3の設定処理を終了する。
【0173】
図13(b)は、実施形態4に係る、精算端末10の制御部101が実行する処方箋の交付処理を示すフローチャートである。
【0174】
図13(b)の処理ステップのうち、ステップS302、S303、S351、S352は、
図2に示した選択実行部101cの機能により行われる。また、ステップS304およびステップS305は、それぞれ、
図2に示した第1交付部101aおよび第2交付部101bの機能により行われる。
【0175】
図5に比べて、
図10では、ステップS351、S352が追加されている。ステップS351、S352以外のステップにおける処理は、
図5の対応するステップにおける処理と同様である。ステップS351、S352は、上記選択条件3を構成する。上記実施形態1と同様、ステップS302、S303は、選択条件1を構成する。
図10では、選択条件1の前に、選択条件3が実行される。
【0176】
精算処理が終了すると(S301:YES)、制御部101は、今回の処方箋交付処理と選択条件3との関係を判定し(S351)、判定結果に基づいて、今回の処方箋の交付に対し、第1交付部101aと第2交付部101bの何れが選択されるかを判定する(S352)。選択条件3に基づき第1交付部101aが選択される場合(S352:YES)、制御部101は、処理をステップS302に進めて、上記実施形態1と同様の処理を実行する。他方、選択条件3に基づき第2交付部101bが選択される場合(S352:NO)、制御部101は、処理をステップS305に進めて、第2交付部101bによる交付処理、すなわち、紙媒体により処方箋を交付するための処理を行う。
【0177】
実施形態4においても、
図12(a)、(b)と同様の処理が行われる。この場合、
図12(a)のステップS331では、選択条件3に基づき第2交付部101bが選択されて処方箋が交付されたか否かが判定される。
【0178】
この他、実施形態4においても、上記実施形態1における
図4(a)、(b)、
図6および
図7(a)、(b)の処理が同様に実行される。また、実施形態4においても、上記実施形態2と同様、情報登録部の機能が、精算端末10の制御部101に付与されてもよい。
【0179】
<実施形態4の効果>
実施形態4においても、第1交付部101a、第2交付部101bおよび選択実行部101cによる機能により、上記実施形態1と同様の効果が奏され得る。
【0180】
また、実施形態4では、
図13(b)に示すように、選択条件1の他、選択条件3が含まれているため、選択条件3による効果がさらに奏され得る。
【0181】
すなわち、選択条件3では、第1交付部101aと第2交付部101bの何れにより処方箋の交付を受けるかの条件の設定が受け付けられるため、精算端末10(処方箋管理装置)が設置される施設の管理者は、利用者の状況や施設の運用状況等に応じて、第1交付部101aおよび第2交付部101bの何れを用いるかの選択条件3を任意に設定できる。たとえば、管理者は、年配の利用者において電子処方箋による薬剤の交付に支障が生じやすいと判断した場合、所定年齢以上の利用者には第2交付部101bにより処方箋が交付されるよう、選択条件3を設定できる。これにより、施設における処方箋の交付をより円滑に進めることができる。
【0182】
なお、
図13(b)の処理に、さらに、選択条件2による処理が追加されてもよい。この場合、選択条件2は、たとえば、選択条件3の前段に設定され、選択条件2のステップS322がYESである場合に、選択条件3へと処理が移行すればよい。これにより、選択条件2による効果がさらに奏され得る。選択条件1~3以外の選択条件が用いられてもよい。
【0183】
<変更例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0184】
たとえば、第1交付部、第2交付部、選択実行部および情報登録部の配置は、上記実施形態1~4に示した配置に限られるものではなく、適宜変更可能である。たとえば、処方箋処理システム2が医事システム20および精算端末10とともに他の処理装置を備える場合は、この処理装置に、登第1交付部、第2交付部、選択実行部および情報登録部の何れかまたは全てが配置されてもよい。
【0185】
また、
図1の構成例では、医事システム20と精算端末10とがLANで接続されて、医療機関内に処方箋処理システム2が構成されたが、小規模の病院やクリニック等のように、診療情報の管理と診療費の精算の両方が、窓口に設置された単一の精算端末にて行われる場合、この精算端末が、第1交付部、第2交付部、選択実行部および情報登録部の処理を行ってもよい。この場合、この精算端末は、
図8の精算端末10と同様の構成とされ、
図3(b)の処方箋管理情報を記憶部102に記憶する。そして、この精算端末は、上記精算端末10の制御部101が行う処理の他、上記医事システム20の制御部201が行う処理も実行する。
【0186】
また、上記実施形態1~4では、第1交付部101aにより、管理情報(アクセスコード、確認番号)が紙媒体に印刷されて患者に交付されたが、管理情報の交付方法はこれに限られるものではない。たとえば、マイナンバーカード等の患者が所有する書き込み可能媒体に管理情報を記憶させてもよい。あるいは、データ送信やQRコード(登録商標)を活用して、患者の携帯端末に対し必要な情報を取得させる形式でもよい。第2交付部101bの処理によりに交付される処方箋も、紙媒体以外の形態で患者に交付されてもよい。
【0187】
また、受付画面300および報知画面310の構成は、必ずしも、
図11(a)、(b)に示した構成に限られるものではなく、他の構成であってもよい。メッセージの内容も適宜変更可能である。画面とともに、メッセージ音声が出力されてもよい。
【0188】
また、上記実施形態1~4では、
図3(a)に示す情報がサーバ30で管理されたが、精算端末10において薬代の精算がさらに可能である場合、薬代の精算の有無がさらにサーバ30で管理されてもよい。これにより、薬局端末40がサーバ30にアクセスした際に、既に患者が薬代を支払い済みであるか否かを確認でき、調剤薬局における薬剤の交付を円滑に進めることができる。
【0189】
また、第1交付部101aと第2交付部101bの何れを選択するかの選択条件は、上記実施形態1~4に示した選択条件1~3に限られるものではなく、他の選択条件が用いられてもよい。
【0190】
図14(a)は、選択条件4が用いられる場合の処方箋の交付処理を示すフローチャートである。
【0191】
精算端末10の制御部101(選択実行部101c)は、精算処理が終了すると(S301:YES)、精算対象の診療に対する管理情報(アクセスコード、確認番号)を取得可能であるか否かを判定する(S361)。この判定がNOとされる条件は、たとえば、精算端末10の通信部110に異常があることや、当該診療に対する管理情報が医事システム20の処方箋管理情報に存在しないことが予め医事システム20から精算端末10に予め通知されていること等を含む。後者の通知は、たとえば、診療費の精算時に、医事システム20から精算端末10に診療費情報が送信されるタイミングにおいて行われる。
【0192】
ステップS361の判定がYESの場合、制御部101は、第1交付部101aにより処方箋を交付する(S304)。他方、ステップS361の判定がNOの場合、制御部101は、第2交付部101bにより処方箋を交付する(S305)。この制御によっても、患者等の利用者は、円滑かつ迅速に自身の処方箋を受け取ることができる。この場合も、選択条件1~3の何れかまたはその組み合わせが、さらに選択条件として追加されてもよい。
【0193】
また、上記実施形態1~4では、第1交付部101aにより電子処方箋が交付される場合、精算端末10から処方箋の控えは発行されなかったが、この場合に、さらに処方箋の控えが精算端末から発行されてもよい。この場合、控えを交付するか否かの条件が精算端末10に設定され、この条件に基づいて、控えの発行および非発行が切り替えられてもよい。
【0194】
図14(b)は、この場合の処方箋の控えの発行処理を示すフローチャートである。
【0195】
精算端末10の制御部101は、第1交付部101aにより電子処方箋の交付を行うと(S371:YES)、適宜、医事システム20から必要な情報を取得して、処方箋の控えを発行するための発行条件が充足されたか否かを判定する(S372)。発行条件が充足された場合(S373:YES)、制御部101は、医事システム20から処方箋情報を取得して、処方箋の控えを印刷部108に出力させる(S374)。他方、発行条件が充足されない場合(S373:NO)、制御部101は、控えを発行することなく処理を終了する。
【0196】
図14(b)のステップS372における発行条件は、たとえば、患者の年齢に基づく条件とされ得る。たとえば、発行条件は、患者の年齢が閾値以上である場合は控えを発行し、患者の年齢が閾値未満である場合は控えを発行しないとの条件を含み得る。これにより、電子処方箋の取り扱いに不慣れな年配者に、処方箋の控えを発行でき、年配者が処方箋を貰い忘れることが回避され得る。
【0197】
また、控えの発行条件は、交付される薬剤の種類に基づいて設定されてもよい。たとえば、発行条件は、当該患者に処方された薬剤が、これまでの診療により処方されていた薬剤から変更された場合に処方箋の控えが発行され、それ以外の場合は処方箋の控えは発行されないとの条件を含み得る。これにより、患者は、交付される薬剤が変更された場合に、変更後の薬剤を控えにより確認できる。
【0198】
あるいは、控えの発行条件は、管理者が設定可能であってもよい。たとえば、発行条件は、管理者が、全ての処方箋について一律に控えを発行するか否かの条件であってもよい。これにより、たとえば、ペーパレス化を重視する医療機関では控えの発行が省略され、患者に情報を提供することを重視する医療機関では控えが発行される。
【0199】
図14(b)にステップS374により控えが発行される場合、管理情報(アクセスコード、確認番号)や処方箋ID等が印刷されたシートとは別に控えが発行されてもよく、あるいは、シートが省略されて、控えに、さらに、管理情報(アクセスコード、確認番号)や処方箋ID等の情報が印刷されてもよい。
【0200】
また、精算端末10および医事システム20の構成は、上記実施形態1~4の構成に限られるものではなく、適宜変更可能である。たとえば、上記実施形態1~4では、操作表示部106、203によって、情報の入力と情報の表示とが行われたが、ディスプレイ等からなる表示部と、マウスやキーパッド等からなる操作部とが個別に配置されてもよい。
【0201】
また、処方箋を交付するための処方箋処理装置は、必ずしも精算端末10でなくてもよく、たとえば、精算機能を持たない処方箋交付専用の装置であってもよい。この場合、たとえば、患者等の利用者が、処方箋の交付のために診察券の情報を当該装置に読み込ませることにより、
図5、
図10および
図13(b)のステップS301より下流側の処理が実行されればよい。また、この装置は、上記実施形態1~4において精算端末10の制御部101が行った処理を同様に行えばよい。
【0202】
さらに、第1交付部、第2交付部、選択実行部および情報登録部は、必ずしも、プログラムによる機能によって実現されなくてもよく、それぞれ、個別に、ロジック回路等のハードウエアにより構成されてもよい。
【0203】
また、上記実施形態1~4では、薬局端末40に、電子処方箋を交付するためのプログラムがインストールされたが、インストールが不要な、いわゆるwebアプリによって、薬局端末40において電子処方箋の交付が行われてもよい。
【0204】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0205】
2 処方箋処理システム
10 精算端末
20 医事システム
30 サーバ
50 外部通信網
101a 第1交付部
101b 第2交付部
101c 選択実行部
101d、201a 情報登録部