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  • 特開-計時器のためのベゼル 図1
  • 特開-計時器のためのベゼル 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038163
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】計時器のためのベゼル
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/28 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
G04B19/28 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022122540
(22)【出願日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】21195119.9
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・シャレル
(57)【要約】
【課題】 取り付けが容易であり、タイトであり、安定して固定されるような、発光性の指標表示があるベゼルシステムを提供する。
【解決手段】 本発明は、計時器のためのベゼル(1)に関し、前記ベゼル(1)には、底部(20)と2つの壁(21、22)がある環状のスロット溝(2)があり、前記底部には、発光性物質によって作られたリング(3)が配置され、前記リング(3)の上には、前記スロット溝の体積内に配置される、無機物質によって作られた第2のリング(4)があり、前記ベゼル(1)には、前記2つの壁(21、22)のそれぞれに、前記第2のリング(4)と連係するシール(5、5')がある。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器のためのベゼル(1)であって、
前記ベゼル(1)には、底部(20)と2つの壁(21、22)がある環状のスロット溝(2)があり、
前記底部には、発光性物質によって作られたリング(3)が配置され、
前記リング(3)の上には、前記スロット溝の体積内に配置される、無機物質によって作られた第2のリング(4)があり、
前記ベゼル(1)には、前記2つの壁(21、22)のそれぞれに、前記第2のリング(4)と連係するシール(5、5')がある
ことを特徴とするベゼル(1)。
【請求項2】
前記発光性物質によって作られたリング(3)には、分の指示を可能にする指標表示の要素(30)がある
ことを特徴とする請求項1に記載のベゼル(1)。
【請求項3】
前記第2のリング(4)を形成する無機物質は、光透過性の材料である
ことを特徴とする請求項1に記載のベゼル(1)。
【請求項4】
前記第2のリング(4)は、前記第2のリング(4)の面が前記ベゼル(1)の面と同一平面内にあるように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載のベゼル(1)。
【請求項5】
前記スロット溝(2)には、前記壁(21、22)のそれぞれに、2つの前記シール(5、5')のうちの1つを受けるように構成している溝(6、6')がある
ことを特徴とする請求項1に記載のベゼル(1)。
【請求項6】
前記シールは、Oリングである
ことを特徴とする請求項1に記載のベゼル(1)。
【請求項7】
前記指標表示の要素(30)は、インデックスを形成するメタライゼーションの形態であるように作られる
ことを特徴とする請求項1に記載のベゼル(1)。
【請求項8】
前記第2のリング(4)を形成する無機物質は、ガラス、サファイア及びルビーから選択される
ことを特徴とする請求項1に記載のベゼル(1)。
【請求項9】
底部と風防によって閉じられるミドル部があるケースを備え、
請求項1に記載のベゼル(1)を備える
ことを特徴とする計時器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時器のためのベゼルに関する。
【背景技術】
【0002】
ミドル部がある携行型時計ケースを備える携行型時計(例、腕時計、懐中時計)の分野において、少なくとも1つの発光性のインデックスがある要素をミドル部の上に設けることが知られている。ダイビングウォッチの場合、この要素は、例えば、回転式ベゼルであり、インデックスによって、例えば、ダイバーの潜水時間をダイバーが測定するための基準位置を指示することが可能になる。このために、ダイバーはベゼルを回転させてインデックスを分針に合わせる。この位置は、経過時間を測定するための基準になる。ダイビングウォッチの有効性の主な基準として、潜水段階における時間とインデックスの読みやすさがある。
【0003】
この制約に対処するために、ベゼルのインデックスと携行型時計の針を発光性の物質で覆うことがすでに知られている。これによって、暗い環境、典型的には水面下数メートルの環境、であってもインデックスと針が見えるようになる。例えば、このようなダイビングウォッチがフランス特許出願FR1572837Aに記載されている。また、この手法の課題として、発光性物質が消費された後にベゼル全体を交換する必要があることがある。さらに、このような手法は、一般的には、ベゼル面に指示を配置することを必要とし、このことによって、このような指示が衝撃や摩擦を受けることとなり、修復できないほどに損傷させてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、取り付けが容易であり、タイトであり、安定して固定されるような、発光性の指標表示(minuterie)があるベゼルシステムを提供することによって、従来技術の課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このために、本発明は、独立請求項1に記載の特徴を有するベゼルに関する。
【0006】
従属請求項2~8に携行型時計の特定の実施形態が定められている。
【0007】
本発明は、さらに、底部と風防によって閉じられるミドル部があるケースを備え本発明に係るベゼルを備える計時器に関する。
【0008】
図面に示している少なくとも1つの実施形態に基づく以下の説明を読むことによって、本発明に係る携行型時計の目的、利点及び特徴が一層明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るベゼルの斜視図である。
図2】本発明に係る図1のベゼルの面A-Aにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び2は、本発明に係るベゼル1を示しており、ベゼル1は、底部と風防によって閉じられるケースを備える計時器に取り付けられるように構成している。ベゼル1は、環状の部品であり、ベゼル1には、ユーザーが見ることができる上面と、携行型時計ケースと直接又は間接的に接触する下面がある。このベゼル1は、金属性材料、複合材料、又はセラミックス材料、そして場合によってはプラスチック材料によって作られていることができる。
【0011】
ベゼル1は、ミドル部に取り付けられることができ、回転可能であることができ、回転可能でないことができる。回転式ベゼルの場合、ばねノッチセット又はクリックシステムが配置される。このばねノッチセットには、ばね手段と歯付き要素がある。ばねノッチセットの1つの要素が、ミドル部に角度的に固定され、ばねノッチセットの他の要素が、ベゼル1に角度的に固定されて、ミドル部に対するベゼルの角度的インデクシングが可能になる。
【0012】
ベゼル1を取り付けるために、計時器には、既知の形態で、肩部が形成されたミドル部があり、この肩部は、側壁とベースによって定められる。この肩部は、ベゼルのためのハウジングとして機能する。一般的には、側壁には、側壁の周部全体にわたって延在している突出部がある。この突出部によって、ベース及び壁と連係して、保持溝を形成することができる。ベゼルの強制組み付け中に、この保持溝によって、ベゼルをその保持溝の中に挿入して保持することができる。
【0013】
本発明によると、ベゼル1には、その上面1aにスロット溝2があり、このスロット溝2も、環状であり、すなわち、上面1aに沿って延在し、このスロット溝2には、底部20及び2つの壁21、22がある。
【0014】
好ましいことに、ベゼル1は、底部20に配置される、発光性物質によって作られたリング3のため、そして、前記発光性物質によって作られたリング3が上にありスロット溝2の残りの体積内に配置される、無機物質によって作られた第2のリング4のための、ハウジングとして機能する。
【0015】
本発明によると、ベゼル1には、さらに、指標表示の要素がある。この指標表示の要素は、発光性物質によって作られたリング3の形態であり、指標表示の要素30は、分を指示を可能にし、図2に示しているように、指標表示の要素30の寸法構成によって、指標表示の要素30をベゼル1のスロット溝2の底部20に配置することができる。この発光性物質によって作られたリング3は、プラスチック材料、金属性材料、又は木材のような有機材料、又はサファイア、ルビー、セラミックスのような結晶性材料によって作られていることができる。このときに、指標表示のインデックスは、リング3の面上において、レリーフを形成するように、すなわち、超過する厚みとなるように、形成される。発光性物質によって作られたリング3は、図2に示しているように、円形又は台形の断面を有する冠状体の形態である。
【0016】
1つの有利な実施形態において、ベゼル1における指標表示のマーキングが、インデックスを形成するメタライゼーションの形態で作られる。また、発光性物質によって作られたリング3にくぼみが形成され、そのくぼみをインク又は金属で充填することを想像することもできる。
【0017】
好ましいことに、第2のリング4は、第2のリング4全体にて指標表示を観察することができるように光透過性の無機物質によって作られる。このように、第2のリング4は、発光性物質によって作られたリング3の上にて、スロット溝2内に取り付けられる。第2のリング4は、長方形の断面を有する環状リングの形態であり、この第2のリング4の寸法構成は、スロット溝2内に配置されて、第2のリング4の面がベゼル1の上面と同一平面内になることを可能にする。
【0018】
第2のリングを形成する無機物質は、ガラス、サファイア、ルビー、及びセラミックスから選択される。
【0019】
本発明によると、前記スロット溝2には、壁21、22のそれぞれに、円環状のシール5、5'を受けるように構成している溝6、6'があり、これによって、スロット溝2の密閉を確実にし、発光性物質によって作られたリング3上にほこりや液体が堆積することを防ぐ。溝の高さは、第2のリング4の高さと同様であり、これによって、シールを厚く/高くして、良好に密閉することができる。また、第2のリング4には、上側のエッジ及び下側のエッジにて面取り部もあり、これによって、挿入を容易にし、シールの損傷を避ける。
【0020】
図2において観察することができるように、溝5、5'の上側には、第2のリング4を挿入しているときにシールを挟んで損傷しないように、わずかに面取り部がある。
【0021】
ベゼル1を組み付けているときに、発光性物質によって作られたリング3が、まず、スロット溝2の底部20に対向するように挿入され、そして、各シール5、5'が、対応する溝6、6'内に配置される。最後に、第2のリング4が、スロット溝2内にて、発光性物質によって作られたリング3の上に強制挿入される。したがって、シール5、5'と第2のリング4の間の摩擦力のおかげで全体が組み付けられた状態に保たれ、シール5、5'は密閉要素としても機能する。
【0022】
添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱することなく、上記の本発明の異なる実施形態に対して、当業者であれば自明な様々な変更、改善及び/又は組み合わせを行うことができることを理解するべきである。
【符号の説明】
【0023】
1 ベゼル
2 スロット溝
3 発光性物質によって作られたリング
4 無機物質によって作られた第2のリング
5、5’ シール
6、6’ 溝
20 底部
21、22 壁
30 指標表示の要素
図1
図2
【外国語明細書】