(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038241
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20230309BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G09B29/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001631
(22)【出願日】2023-01-10
(62)【分割の表示】P 2021069005の分割
【原出願日】2017-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2016232764
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 喬浩
(57)【要約】
【課題】車両の走行により得られた情報に基づいて、駐車場領域を推定する。
【解決手段】情報処理装置は、移動体から駐車位置を含む位置情報を取得し、道路外領域に進入した複数の移動体の位置情報に基づいて、道路外領域に存在する駐車場に関する駐車場情報を推定する。道路外領域における移動体の移動や駐車位置を分析することにより、駐車場の全体形状や、駐車領域と走行領域などを特定することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体から、駐車位置を含む位置情報を取得する取得部と、
道路外領域に進入した複数の移動体の位置情報に基づいて、前記道路外領域に存在する駐車場に関する駐車場情報を推定する推定部と、
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場に関する情報を収集する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地図整備において、従来の手法では、ビルの形状や駐車場領域などを地図データに反映するには、航空写真や測量結果の図面を参考にして人手による描画が必要であった。特に、施設に付属する駐車場に関しては、膨大に存在する駐車場について手作業により地図データを整備することは困難であった。また、道路に囲まれた範囲を疑似的な駐車場区間とすることは実現可能であるが、1つの区画に複数の駐車場が存在する場合には、この手法は有効ではなかった。
【0003】
特許文献1は、新規な道路に対して道路幅を推定する技術を記載しているが、駐車場領域を推定する技術は存在していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決しようとする課題としては、上記のものが一例として挙げられる。本発明は、車両の走行により得られた情報に基づいて、駐車場領域を推定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、情報処理装置であって、移動体から、駐車位置を含む位置情報を取得する取得部と、道路外領域に進入した複数の移動体の位置情報に基づいて、前記道路外領域に存在する駐車場に関する駐車場情報を推定する推定部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例に係る情報処理システムの構成を示す。
【
図4】駐車場領域推定処理のフローチャートである。
【
図5】駐車場同定処理、及び、推定処理のフローチャートである。
【
図8】複数の走行面から駐車場領域を推定する例を示す。
【
図9】人気が高い駐車位置の推定処理のフローチャートである。
【
図10】人気が高い駐車位置の推定処理の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の1つの好適な実施形態では、情報処理装置は、移動体から、駐車位置を含む位置情報を取得する取得部と、道路外領域に進入した複数の移動体の位置情報に基づいて、前記道路外領域に存在する駐車場に関する駐車場情報を推定する推定部と、を備える。
【0009】
上記の情報処理装置は、移動体から駐車位置を含む位置情報を取得し、道路外領域に進入した複数の移動体の位置情報に基づいて、道路外領域に存在する駐車場に関する駐車場情報を推定する。この情報処理装置によれば、道路外領域における移動体の移動や駐車位置を分析することにより、駐車場に関する情報を推定することができる。
【0010】
上記の情報処理装置の一態様では、前記推定部は、複数の移動体の駐車位置に基づいて、前記駐車場の全体の領域を推定する。この態様では、移動体の駐車位置に基づいて、駐車場全体の領域を推定することができる。
【0011】
上記の情報処理装置の他の一態様では、前記推定部は、前記移動体が前記道路外領域に進入してから駐車するまでの位置情報に基づいて、前記駐車場内の駐車領域及び走行領域を推定する。この態様では、駐車場内の駐車領域と走行領域とを区別することができる。
【0012】
上記の情報処理装置の他の一態様では、前記推定部は、前記駐車位置の密度に基づいて、利用率の高い駐車位置を推定する。この態様では、駐車位置の密度が高い場所を利用率の高い場所であると推定することができる。
【0013】
上記の情報処理装置の他の一態様では、前記推定部は、前記移動体の駐車時間に基づいて、利用率の高い駐車位置を推定する。この態様では、駐車時間が長い場所を利用率の高い場所であると推定することができる。
【0014】
上記の情報処理装置の他の一態様は、前記駐車場情報を記憶する記憶部を更に備え、前記推定部は、最近の所定期間または最近取得した所定台数分における前記移動体の位置情報に基づいて、前記駐車場情報を推定し、前記記憶部に記憶された過去の駐車場情報との比較から、差分を検出する。この態様では、駐車場領域に変化があった場合に、差分を利用して地図データ中の駐車場情報を更新することができる。
【0015】
上記の情報処理装置の他の一態様は、駐車場情報を外部へ出力する出力部を更に備え、前記駐車場情報には、駐車場に関する注意すべき情報である注意情報が含まれる。この態様では、駐車場に関する注意情報を外部の端末装置などへ出力することができる。
【0016】
本発明の他の好適な実施形態では、情報処理装置により実行される情報処理方法は、移動体から、駐車位置を含む位置情報を取得する取得工程と、道路外領域に進入した複数の移動体の位置情報に基づいて、前記道路外領域に存在する駐車場に関する駐車場情報を推定する推定工程と、を備える。この方法でも、道路外領域における移動体の移動や駐車位置を分析することにより、駐車場に関する情報を推定することができる。
【0017】
本発明の他の好適な実施形態では、コンピュータを備える情報処理装置により実行されるプログラムは、移動体から、駐車位置を含む位置情報を取得する取得部、道路外領域に進入した複数の移動体の位置情報に基づいて、前記道路外領域に存在する駐車場に関する駐車場情報を推定する推定部、として前記コンピュータを機能させる。このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記の情報処理装置を実現することができる。このプログラムは、記憶媒体に記憶して取り扱うことができる。
【実施例0018】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0019】
[システム構成]
図1(A)は、本発明を適用した情報処理システムの構成を示す。情報処理システムは、サーバ10と、車両3に搭載されたナビゲーション装置20とを含む。サーバ10とナビゲーション装置20とは無線通信可能に構成されている。なお、
図1においては説明の便宜上1つの車両3のみが示されているが、実際には多数の車両3がサーバ10と通信する。
【0020】
図1(B)は、サーバ10の構成を示す。サーバ10は、通信部11と、制御部12と、地図データベース(以下、「データベース」を「DB」と記す。)13と、プローブDB14とを備える。
【0021】
通信部11は、ナビゲーション装置20からプローブデータを受信する。プローブデータは、車両3の走行に伴い、ナビゲーション装置20により生成される。地
図DB13は、地図データを記憶している。地図データとしては、道路に対応するリンクを示すリンクデータや交差点に対応するノードデータに加えて、駐車場に関する駐車場データが記憶されている。プローブDB14は、多数のナビゲーション装置20から受信したプローブデータを記憶している。
【0022】
制御部12は、サーバ10の全体を制御する。制御部12は、CPUなどのコンピュータにより構成され、予め用意されたプログラムを実行することにより所定の処理を実行する。具体的に、制御部12は、プローブデータをナビゲーション装置20から受信する処理、プローブDB14に蓄積されたプローブデータに基づいて、駐車場領域を推定する処理などを実行する。
【0023】
[プローブデータ]
次にプローブデータについて説明する。
図2は、プローブデータの一例を示す。プローブデータは、車両3の走行に伴ってナビゲーション装置20により所定時間毎(例えば数秒毎)に生成されるものであり、
図2の例は所定時間毎に生成された複数の地点におけるプローブデータを示している。図示のように、プローブデータは、「走行距離」、「緯度」、「経度」、「日時」、「速度」、「進行方向」、「道路種別」及び「バックフラグ」を含む。
【0024】
「走行距離」は、車両3の走行距離であり、オドメータによる積算走行距離が使用される。「緯度」及び「経度」は、車両3の位置の緯度及び経度を示す。「日時」は各プローブデータが生成された日時を示す。「速度」は、測定時における車両3の速度を示す。「進行方向」は測定時における車両3の進行方向を示す。なお、進行方向は、北方向を0度とした方位により示される。
【0025】
「道路種別」は、車両3が走行している道路の種類を示す情報であり、高速道路が「1」、有料道路が「2」、国道が「3」、県道が「4」、市道が「5」と決められている。なお、本実施例では、ナビゲーション装置20は、車両3が道路外のエリアを走行しているときには、道路種別を「-1」に設定する。よって、道路種別が「-1」である場合、車両3は道路外を走行していることになる。
【0026】
「バックフラグ」は、車両3がバック(後進)しているか否かを示すフラグである。バックフラグ「0」は前進を示し、「1」はバック(後進)を示す。なお、バックフラグは、車両3のギアがバック位置にあるか否かに基づいて生成される。
【0027】
[駐車場データ]
次に、駐車場データについて説明する。
図3は、駐車場データの一例を示す。駐車場データは、駐車場の入口毎に用意される。よって、1つの駐車場に複数の入口がある場合には、1つの駐車場について複数の駐車場データが用意される。図示のように、駐車場データは、「ID」、「緯度」、「経度」、「方位」及び「名称」を含む。
【0028】
「ID」は、駐車場の入口を一意に示す識別番号である。「緯度」及び「経度」は、その駐車場入口の緯度及び経度である。「方位」は、駐車場入口から車両3が進入する際の進行方向を示す。例えば、その駐車場の入口が北向きである場合、車両3はその駐車場の北側から南方向へ進行して進入するので、その入口の方位は南方向の方位となる。なお、この例では方位は北を0度とした角度により示されている。
【0029】
「名称」は、その駐車場の名称である。なお、
図3の例では、駐車場の入口毎に駐車場データを用意しているが、その代わりに、駐車場毎に駐車場データを用意しても良い。但し、その場合でも、駐車場データには駐車場の入口の緯度、経度及び方位を含める。即ち、その駐車場の入口(複数ある場合にはそれぞれ)の位置及び方位を示す情報を含めるものとする。
【0030】
[駐車場領域取得処理]
次に、駐車場領域取得処理について説明する。駐車場領域取得処理は、サーバ10により実行され、多数の車両3から得たプローブデータに基づいて、駐車場の領域を推定する処理である。この処理は、主としてサーバ10の制御部12により実行される。なお、実際には、制御部12を構成するCPU等のコンピュータが、予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
【0031】
まず、サーバ10は、多数の車両3から、無線通信によりプローブデータを受信する(ステップS10)。サーバ10は、受信したプローブデータを、プローブDB14に蓄積する。
【0032】
次に、サーバ10は、駐車場同定を行う(ステップS11)。駐車場同定処理は、プローブデータと、地図データ中の駐車場データから駐車場を同定する処理である。駐車場同定処理の詳細を
図5(A)に示す。まず、サーバ10は、プローブデータに基づいて、道路外走行の開始地点を検出する(ステップS21)。
【0033】
図6は、道路外走行を説明する図である。図示のように複数の道路が交差しており、南北に延びる道路と東西に延びる道路により複数の区画(敷地)が形成されているものとする。車両マークXは、プローブデータにより示される車両3の位置を示す。白抜きの車両マークXは県道上の位置を示し、この位置におけるプローブデータは道路種別として「4(県道)」を含む。斜めのハッチングが付された車両マークXは市道上の位置を示し、この位置におけるプローブデータは道路種別として「5(市道)」を含む。また、黒塗りの車両マークXは道路外の位置を示し、この位置におけるプローブデータは道路種別として「-1(道路外)」を含む。
【0034】
いま、図示のように車両3が道路R3(県道)を西方向に走行し、道路R2と道路R3の交差点を左折して道路R2(市道)に入り、さらに左折して駐車場のある区画50に進入し、駐車場内を走行して最終的に車両3を西方向に向けて駐車させたとする(破線62参照)。この場合、サーバ10は、
図6に示す走行軌跡を示すプローブデータを参照し、道路種別が最初に「-1(道路外)」になった地点(
図6における破線61の地点)を道路外走行の開始地点と判定する。
【0035】
次に、サーバ10は、地
図DB13内の駐車場データを参照し、ステップS21で得られた道路外走行の開始地点の座標から所定の閾値範囲内に入口を有する駐車場を検索する(ステップS22)。そして、サーバ10は、検索により得られた複数の駐車場のうち、入口の方位が道路外走行の開始地点における車両3の進行方向と一致し、かつ、道路外走行の開始地点と最も近い入口を有する駐車場を特定する(ステップS23)。そして、処理は、
図4に示すメインルーチンへ戻る。
【0036】
次に、サーバ10は、ステップS11の駐車場同定処理で、駐車場が同定できたか否か、即ち、該当する駐車場が見つかったか否かを判定する(ステップS12)。該当する駐車場が見つからなかった場合(ステップS12:No)、サーバ10は、今回得られたプローブデータが示す駐車場が未だ地
図DB13に登録されていないと判断し、その駐車場を地
図DB13に登録する(ステップS13)。具体的には、サーバ10は、新たな駐車場データを生成して地
図DB13に登録する。この際、新たな駐車場データにおいては、新たなIDが付与され、道路外走行の開始地点の座標が「緯度」及び「経度」に設定され、道路外走行の開始地点における車両3の進行方向が「方位」に設定され、道路外走行の開始始点に最も近い施設などの名称が「名称」に設定される。
【0037】
こうして、ステップS13で駐車場が新規に登録された場合、又は、ステップS12で駐車場が同定できたと判定された場合、サーバ10は、プローブデータから、道路外走行データを抽出し、プローブDB14内に保存する(ステップS14)。
図2の例では、道路種別が「-1」となっている地点のデータが、道路外走行データとして保存される。
【0038】
次に、サーバ10は、道路外走行データを利用して、推定処理を実行する(ステップS15)。
図5(B)は、推定処理のフローチャートである。まず、サーバ10は、同一の駐車場について得られた道路外走行データをプローブDB14から取得する(ステップS31)。次に、サーバ10は、各道路外走行データに基づいて、走行面を生成する(ステップS32)。ここで、「走行面」とは、道路外走行データに含まれる座標を中心とした一定距離を持つ面である。いま、道路外走行データが
図7(A)に示す軌跡42を有すると仮定すると、サーバ10は、
図7(B)に模式的に示すように、軌跡42に対して標準的な車両の車幅程度の幅を持たせた走行面44を生成する。サーバ10は、道路外走行データの各々について、このような走行面44を生成する。
【0039】
そして、サーバ10は、ステップS32で生成した複数の走行面44を空間的に結合し、駐車場領域を推定する(ステップS33)。
図8は、複数の走行面44から駐車場領域を推定する例を示し、同一の駐車場で得られた複数の走行面44が示されている。この例においては、車両3がある程度直線的に移動している領域と、車両3が方向転換などを行って駐車している領域とが区別できる。よって、サーバ10は、車両3が方向転換して駐車している領域を駐車領域51と推定し、車両3がある程度直線的に移動している領域を走行領域52と推定する。なお、
図8の例では、2つの駐車領域51a、51bが得られ、それぞれに対応する2つの走行領域52a、52bが得られている。
【0040】
なお、一般的に車両を駐車する際には、駐車位置まではある程度の速度で移動するが、方向転換などを行って車両を駐車させる際には車両の速度は十分に低い。よって、車両3の位置座標のみならず、道路外走行データにおける車速も加味して、駐車領域51と走行領域52とを区別してもよい。
【0041】
また、こうして得られた1つ又は複数の駐車領域51と、1つ又は複数の走行領域52とを結合することにより、駐車場全体の形状を推定することができる。
図8の例では、駐車場の全体形状はおよそ破線48で示す形状となる。こうして、駐車場領域が推定されると、駐車場領域推定処理は終了する。
【0042】
以上のように、本実施例によれば、複数の車両のプローブデータ、即ち、走行履歴に基づいて駐車場領域を推定することができる。また、駐車場領域の全体形状に加えて、駐車場領域内の走行領域と駐車領域を区別することもできる。
【0043】
[利用率の高い駐車位置の推定]
次に、推定された駐車場領域内において、利用率の高い(人気の高い)駐車位置を推定する手法について説明する。1つの駐車場においても、施設の入口が近い、屋根が付いている、などの様々な理由により、人気の駐車位置と、人気が無い駐車位置とが発生する。そこで、サーバ10は、各駐車場の中で車両3の実際の駐車地点を収集し、その密度を求めることで、駐車場における人気位置と不人気位置を推定する。
【0044】
図9は、人気が高い駐車位置を推定する処理の一例を示す。この処理は、サーバ10により行われる。まず、サーバ10は、車両3のナビゲーション装置20からプローブデータを受信する(ステップS41)。
【0045】
次に、サーバ10は、プローブデータから、複数の車両3の駐車位置の座標を取得する(ステップS42)。具体的には、サーバ10は、プローブデータ中の、速度=0となった地点を車両3の駐車位置と判定し、その地点の緯度及び経度を駐車位置の座標とする。なお、先行車両の駐車を待っている場合などに生じる単なる停車と区別するため、サーバ10は、所定時間以上にわたり、所定の速度未満で車両がとどまっている場合を駐車と判定することが好ましい。例えば、速度1km/h未満の状態が3分以上継続した場合に車両が駐車したと判定する。
図10(A)は、駐車位置を抽出した例を示す。
【0046】
次に、サーバ10は、ステップS42で得られた駐車位置の座標の密度を集計し、人気の駐車位置を推定する(ステップS43)。例えば、サーバ10は、カーネル密度推定などの手法を用いて、駐車場の空間上における車両の駐車位置の密度を計算する。そして、処理は終了する。
【0047】
図10(B)は、
図10(A)に示す駐車位置のデータに基づいて、駐車位置の密度を算出した結果を模式的に示す。
図10(B)においては、色が明るいエリアほど、駐車位置の密度が高く、人気があることを示している。
【0048】
上記の例では、駐車位置の密度に基づいて人気の(利用率の高い)駐車位置を推定しているが、その代わりに、駐車時間の長さに基づいて人気の駐車位置を推定しても良い。通常、駐車時間が長いほど利用率が高いと考えることができる。よって、サーバ10は、プローブデータに基づいて駐車時間が長い駐車位置を抽出し、その位置を利用率の高い駐車位置と推定することができる。
【0049】
なお、上記のようにして得られた駐車位置の分布情報や人気の駐車位置の情報は、例えば、駐車場の混雑防止や駐車位置を分散させるための対策の検討、駐車場の入口位置を変更/増設する際の検討など、各種の用途に利用することができる。
【0050】
[駐車場情報更新処理]
次に、推定した駐車場情報を地図更新に利用する例について述べる。所定期間(例えば最近の1年間)の走行データから推定された駐車場領域が、所定期間より前の走行データから推定された駐車場領域と異なる場合には、実際の駐車場領域に変化があったと推定し、記憶している駐車領域情報を更新する。具体的には、駐車場の拡大、縮小、駐車区画の変化である。また、走行領域と駐車領域、人気駐車位置についても同様である。
【0051】
以上のように、駐車領域の変化に着目することで、該当する駐車場地図の再整備や地図情報の更新へ利用など、最新の情報を活用することが出来る。さらに、人気駐車位置の変化に着目することで、駐車場環境の変化などに対応した、最新の情報を活用することが出来る。
【0052】
[高度化地図への活用]
次に、ライダ等のセンシング情報をさらに用いて駐車場内の高精度地図を作成する際の実施例について説明する。ライダ等を用いれば、白線情報などから駐車場内の高精度地図を作成することが可能である。しかしながらセンシングの情報のみでは、月極駐車場など利用条件の存在する駐車場などの駐車場属性の検出は難しい。そこで、前述した実施例のように走行情報を利用することで駐車場属性を検出する。例えば、複数の移動体から駐車情報が得られた場合には、一般に利用できる駐車場であることが推定される。これによって、高精度地図に対して駐車場属性を付与することができる。
【0053】
また、白線の存在しない駐車場や臨時駐車場にも走行履歴を利用することで、駐車場情報の特定をより正確に行うことが出来る。
【0054】
また、センシング情報を用いれば、駐車領域に存在する車両止めの高さや、屋根の高さ等も検出が可能であり、駐車実績を示す走行情報と共に高精度地図の作成に利用が可能である。また、駐車フロア入り口などに存在する縦断勾配の検出と共に、走行実績を示す走行情報を活用することで、正確な注意情報、例えば下擦り注意などを生成することが出来る。
【0055】
[駐車場内注意情報の報知]
駐車場内での走行情報から、駐車場内での急減速等が発生している場所の情報を作成することが出来る。これを用いてユーザに対して駐車場を案内する上で注意を促したり、そういった情報が多い駐車場でありお勧めできない旨を報知するなど、ユーザの安全運転に寄与することが出来る。また、速度情報に着目すると、駐車場内での平均速度が高い駐車場は、歩行者にとっては注意が必要な駐車場である。そのような駐車場では、駐車場内の歩行に関して注意すべき旨を報知することで、ユーザに注意を促すことが出来る。
【0056】
以上の実施例は、プローブ情報を用いてサーバによって駐車場に関する情報を生成させていたが、これに限らず、駐車場に設けられた端末が通信によってデータを収集し、駐車場に関する情報を生成するようにしても良い。また、車に搭載された端末からは、必要なときのみデータを送信するようにしても良い。