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特開2023-38249放送システム、エンコーダ、多重化装置、多重化方法、系統切替装置、および同期制御装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038249
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】放送システム、エンコーダ、多重化装置、多重化方法、系統切替装置、および同期制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/00 20060101AFI20230309BHJP
   H04L 7/04 20060101ALI20230309BHJP
   H04H 20/26 20080101ALI20230309BHJP
   H04H 20/28 20080101ALI20230309BHJP
   H04N 21/2389 20110101ALI20230309BHJP
   H04N 21/242 20110101ALI20230309BHJP
【FI】
H04L7/00 990
H04L7/04 100
H04H20/26
H04H20/28
H04N21/2389
H04N21/242
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002148
(22)【出願日】2023-01-11
(62)【分割の表示】P 2018246850の分割
【原出願日】2018-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】山影 朋夫
(57)【要約】
【課題】 現用系システムと予備系システムとが離れた場所に配置されていても、IP化に対応しつつ、シームレスな系統間切替を実現すること。
【解決手段】 実施形態の多重化方法は、物理的に離れた場所にある、または、物理的な場所が特定できないクラウド上の仮想化環境にある複数のエンコーダからTS over IPパケットを受信し、TS over IPパケットのRTPヘッダに打刻されたタイムスタンプに基づき、伝送路の遅延とジッタを補償した後に多重化を行い、PCRパケットに関しては、多重化装置内で再生成された時刻に基づいて、遅延とジッタを補償した後に多重化を行うか、または、多重化装置内でPCRパケットを生成して多重化を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理的に離れた場所にある、または、物理的な場所が特定できないクラウド上の仮想化環境にある複数のエンコーダからTS over IPパケットを受信し、
前記TS over IPパケットのRTPヘッダに打刻されたタイムスタンプに基づき、伝送路の遅延とジッタを補償した後に多重化を行い、
PCRパケットに関しては、多重化装置内で再生成された時刻に基づいて、前記遅延とジッタを補償した後に多重化を行うか、または、
前記多重化装置内でPCRパケットを生成して多重化を行う、多重化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、地上デジタル放送、衛星放送、CATV、およびIP再送信等のための放送システムと、該放送システムに適用されるエンコーダ、多重化装置、多重化方法、および系統切替装置と、該エンコーダおよび多重化装置に適用される同期制御装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、地上デジタル放送、衛星放送、CATV、およびIP再送信等のための放送システム(配信システムを含む)では、装置故障や放送中の装置メンテナンス等を想定して、現用系システムと予備系システムとを備えた冗長系統が構築されている。
【0003】
この種の冗長化された放送システムにおいて、現用系システムと予備系システムとの間でのシームレスな系統切替を実施するためには、これら系統間でTS(Transport Stream)(T-STDモデル)のSTC(System Time Clock)カウンタ値を同期させることが必須となる。
【0004】
STCカウンタ値を同期させるためには、まずSTCカウンタ値をサンプリングし、PCR(Program Clock Reference)として、TSのPCRパケット形式で、現用系システムおよび冗長系システムの各機器(例えば、エンコーダ、多重化装置)に入力することによって、各機器内部のSTCカウンタ値を同期させている。
【0005】
また、近年、放送システムに関し、Media over IP(以下、「MoIP」)と略す)と称するIPパケット(イーサネット(登録商標))を用いた映像音声伝送方式の規格化が進められている。これに関連してSMPTEでは、映像・音声・補助情報の伝送(非特許文献1、非特許文献2)に加え、時刻情報であるPTP(Picture Transfer Protocol)を用いた同期信号の生成(非特許文献3)も規格化されている。
【0006】
しかしながら、PCRパケットは、一般的には同軸ケーブルであるDVB-ASIインターフェースによって各機器へ分配されている。一方で、PCRパケットを含むTSパケットを非特許文献1によりIP化して伝送することができるが、送出元から受信側への一方向の伝送であり、IP網のように伝送路の遅延が異なったり、ジッタが発生するような環境で、各機器内部のSTCカウンタ値を同期させることは困難である。
【0007】
このように、PCRパケットを用いて、現用系システムおよび冗長系システムの各機器(複数のエンコーダや多重化装置等)内部のSTCカウンタ値を同期させる方式では、IP化に対応することはできない。
【0008】
また、この種の放送システムにおいて、現用系システムおよび予備系システムは従来、同一の放送局施設内に設置されていることが多い。しかしながら、現用系システムと予備系システムとの両方を同一の場所に設置することは、例えば地震等の災害によって放送局施設に被害があった場合、放送機能が完全に喪失される恐れがあることから、リスク分散の観点から好ましいものではない。
【0009】
このため、現用系システムと予備系システムとは、可能な限り、互いに離れた場所に設置されることが好ましい。さらには、現用系システムおよび予備系システムを構成しているエンコーダや多重化装置といった各機器も、それぞれ離れた場所に分散して設置することも、前述したリスクを分散できることから、同様に好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際特許出願WO2017/026248号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】SMPTE ST 2022-2
【非特許文献2】SMPTE ST 2110-10
【非特許文献3】SMPTE ST 2059-1
【非特許文献4】RFC 3550
【非特許文献5】IPTVFJ STD-0009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、現用系システムと予備系システムとが、互いに離れた場所に設置されている場合、現用系システムと予備系システムとでは、TS(over IP)を受信して、TSパケットを系統切替装置へ伝送する際に、現用系システムと予備系システムとの間で伝送遅延が生じる。
【0013】
また、現用系システムと予備系システムとが、互いに離れた場所に設置されている複数のエンコーダや多重化装置によって構成されている場合、現用系システムと予備系システムとのそれぞれにおいて、多重化装置が、複数のエンコーダから出力されたTS(over IP)を受信し、TSパケットを系統切替装置へ伝送する際にも、現用系システムと予備系システムとの間で伝送遅延が生じる。
【0014】
したがって、IP化に対応しつつ、現用系システムと予備系システムとの間でのシームレスな系統間切替を行うことができる放送システムを実現するためには、現用系システムと予備系システムとのそれぞれにおいて、エンコーダおよび多重化装置のSTCカウンタ値を同期させるのみならず、上述した伝送遅延を補償する必要もある。
【0015】
特許文献1には、PTPから再生した時刻情報から、STCカウンタを動作させるクロックを同期させる手法が開示されている。
【0016】
しかしながら、特許文献1で開示される従来の手法では、STCカウンタを動作させるクロックを同期させるものであり、TSの冗長切替に必要な各機器内部のSTCカウンタ値を同期させることができない。
【0017】
また、特許文献1には、前述した伝送遅延を補償する技術は開示されていない。
【0018】
本発明が解決しようとする課題は、現用系システムと予備系システムとが離れた場所に配置されていても、あるいは、同一系統内の複数のエンコーダおよび多重化装置が離れた場所に配置されていても、IP化に対応しつつ、現用系システムと予備系システムとの間でのシームレスな系統間切替を行うことができる放送システムを提供することにある。
【0019】
また、該放送システムに適用されるエンコーダ、多重化装置、多重化方法、および系統制御装置と、該エンコーダおよび該多重化装置に適用される同期制御装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
実施形態の多重化方法は、物理的に離れた場所にある、または、物理的な場所が特定できないクラウド上の仮想化環境にある複数のエンコーダからTS over IPパケットを受信し、TS over IPパケットのRTPヘッダに打刻されたタイムスタンプに基づき、伝送路の遅延とジッタを補償した後に多重化を行い、PCRパケットに関しては、多重化装置内で再生成された時刻に基づいて、遅延とジッタを補償した後に多重化を行うか、または、多重化装置内でPCRパケットを生成して多重化を行う。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施形態の放送システムの一例を示す構成図である。
図2】第1の実施形態の放送システムの別の一例を示す構成図である。
図3A】第1の実施形態の放送システムに適用されるエンコーダの構成例を示す機能ブロック図である(TSパケットを取り扱う場合)。
図3B】第1の実施形態の放送システムに適用されるエンコーダの別の構成例を示す機能ブロック図である(TTSパケットを取り扱う場合)。
図4A】RFC 3550で定義されているRTPヘッダの構成図である(TSパケットを取り扱う場合)。
図4B】RFC 3550で定義されているRTPヘッダの別の構成図である(TTSパケットを取り扱う場合)。
図5A】第1の実施形態の放送システムに適用される多重化装置の構成例を示す機能ブロック図である(TSパケットを取り扱う場合)。
図5B】第1の実施形態の放送システムに適用される多重化装置の別の構成例を示す機能ブロック図である(TTSパケットを取り扱う場合)。
図6A】第1の実施形態の放送システムに適用される系統切替装置の構成例を示す機能ブロック図である(TSパケットを取り扱う場合)。
図6B】第1の実施形態の放送システムに適用される系統切替装置の別の構成例を示す機能ブロック図である(TTSパケットを取り扱う場合)。
図7】現用系システムからのTSパケットと予備系システムからのTSパケットとが切替時に被る状態を示す模式図である。
図8】現用系システムからのTSパケットと予備系システムからのTSパケットとの間にギャップが生じる状態を示す模式図である。
図9】現用系システムおよび予備系システムにおいてTSパケット間に所定のギャップが存在する状態を示す模式図である。
図10A】第2の実施形態の放送システムに適用されるエンコーダの構成例を示す機能ブロック図である(TSパケットを取り扱う場合)。
図10B】第2の実施形態の放送システムに適用されるエンコーダの別の構成例を示す機能ブロック図である(TTSパケットを取り扱う場合)。
図11A】時刻再生部、STCカウンタ部、およびTAI/90kHzカウンタ変換部の詳細構成例を示す機能ブロック図である(TSパケットを取り扱う場合)。
図11B】時刻再生部、STCカウンタ部、TAI/90kHzカウンタ変換部、およびTAI/27MHzカウンタ変換部の詳細構成例を示す機能ブロック図である(TTSパケットを取り扱う場合)。
図12】IPTVFJ STD-0009で定義されているTTSデータの構成図である。
図13A】第2の実施形態の放送システムに適用される多重化装置の構成例を示す機能ブロック図である(TSパケットを取り扱う場合)。
図13B】第2の実施形態の放送システムに適用される多重化装置の別の構成例を示す機能ブロック図である(TTSパケットを取り扱う場合)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の各実施形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
[第1の実施形態]
第1の実施形態の放送システムについて説明する。
【0024】
図1は、第1の実施形態の放送システムの一例を示す構成図である。
【0025】
本実施形態の放送システム1は、地上デジタル放送、衛星放送、CATV、およびIP再送信等のための放送システム(配信システムを含む)である。
【0026】
放送システム1は、圧縮多重系制御装置10およびPTPサーバ60を備えている。
【0027】
圧縮多重系制御装置10は、映像音声を圧縮符号化し、地上デジタル放送方式のような所定の放送方式に準拠した放送TS信号を生成し、STL伝送装置/OFDM変調器のような送信設備へ出力する。
【0028】
圧縮多重系制御装置10は、冗長化のために、同一の構成をしている現用系システム20Aと予備系システム20Bとを備えており、現用系システム20Aと予備系システム20Bとのそれぞれが、複数のエンコーダ22(#1)~(#4)と、多重化装置24と、スクランブラ25とを備えている。現用系システム20Aと予備系システム20Bとは、クラウド上の仮想化環境のように、物理的に離れた場所に配置することができる。
【0029】
現用系システム20Aと予備系システム20Bとの間でのシームレスな系統間切替のために、両システム20A、20Bにおけるエンコーダ22(#1)~(#4)および多重化装置24同士で、STCカウンタ値を同期させる必要がある。このため、同期制御機能が、両システム20A、20Bにおけるエンコーダ22(#1)~(#4)および多重化装置24に組み込まれ、両システム20A、20Bにおけるエンコーダ22(#1)~(#4)および多重化装置24において、同期制御を実施する。
【0030】
圧縮多重系制御装置10はまた、現用系システム20Aと予備系システム20Bとに共通して設けられた系統切替装置30を備えている。
【0031】
圧縮多重系制御装置10はさらに、圧縮多重系制御装置10の外部に設けられたPTPサーバ60から提供されたPTPパケットを、複数のエンコーダ22(#1)~(#4)、多重化装置24、および系統切替装置30へ分配するPTP分配装置40を備えている。
【0032】
圧縮多重系制御装置10はさらにまた、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)フレーム同期信号を生成し、生成したISDB-Tフレーム同期信号を多重化装置24へ出力するフレーム同期信号生成装置50を備えている。なお、ここではISDB-Tを例としているが、ISDB-S、ATSC(Advanced Television Systems Committee standards)やDVB(Digital Video Broadcasting)方式などのTSを用いた放送方式にも適用することができる。
【0033】
エンコーダ22(#1)(HDエンコーダ)、エンコーダ22(#2)(SD1エンコーダ)、エンコーダ22(#3)(SD2エンコーダ)、およびエンコーダ22(#4)(SD3エンコーダ)はそれぞれ、映像音声を圧縮符号化し、圧縮符号化された映像音声を、PTP分配装置40から分配されたPTPパケットを用いて、TSまたはTS over IP化し、多重化装置24へ出力する。映像音声は、MoIPパケットとすることができる。
【0034】
エンコーダ22(#1)、22(#2)、22(#3)、22(#4)は、クラウド上の仮想化環境のように、それぞれ物理的に離れた場所に設置することができる。
【0035】
映像信号およびPTPパケットは、各エンコーダ22(#1)、22(#2)、22(#3)、22(#4)それぞれへ、イーサネットケーブルによって入力することができる。なお、図1は、例として、4つのエンコーダ22(#1)、22(#2)、22(#3)、22(#4)を図示しているが、エンコーダ22の数は、4つに限定されず、3つ以下、あるいは、5つ以上とすることもできる。
【0036】
多重化装置24は、各エンコーダ22(#1)、22(#2)、22(#3)、22(#4)によって圧縮符号化された映像音声を、PTP分配装置40から出力されたPTPパケットと、フレーム同期信号生成装置50から出力されたISDB-Tフレームとを用いて、ISDB-Tフレーム構成を有する放送TS信号に多重化し、スクランブラ25へ出力する。多重化装置24は、各エンコーダ22(#1)、22(#2)、22(#3)、22(#4)およびスクランブラ25と、物理的に離れた場所に設置することができる。
【0037】
スクランブラ25は、多重化装置24から出力された放送TS信号に対して、スクランブル処理を施し、スクランブル処理された放送TS信号を、系統切替装置30へ出力する。スクランブラ25は、各エンコーダ22(#1)、22(#2)、22(#3)、22(#4)および多重化装置24と、クラウド上の仮想化環境のように、物理的に離れた場所に設置することができる。
【0038】
系統切替装置30は、スクランブラ25から出力された放送TS信号に対して、PTP分配装置40から分配されたPTPパケットを用いて、フレーム位相調整を行い、フレーム位相調整された放送TS信号を、STL伝送装置、OFDM変調器等の送信設備へ出力する。
【0039】
図2は、第1の実施形態の放送システムの別の一例を示す構成図である。
【0040】
図2に示す放送システム1’は、図1に示す放送システム1の変形例であり、圧縮多重系制御装置10’とPTPサーバ/分配装置70とを備えている。
【0041】
圧縮多重系制御装置10’は、PTP分配装置40を備えていない点が、圧縮多重系制御装置10と異なる。
【0042】
PTPサーバ/分配装置70は、図1に示すPTPサーバ60と、分配装置40とが一体化されて構成される。
【0043】
PTPサーバ/分配装置70は、エンコーダ22(#1)、22(#2)、22(#3)、22(#4)、多重化装置24、および系統切替装置30へ、PTPパケットを出力する。
【0044】
放送システム1’のその他の構成は、図1と同様であるので、同一部位について、図1と同一の符号を付すことによって、重複説明を避ける。
【0045】
図2に例示する放送システム1’においても、現用系システム20Aと予備系システム20Bとを、物理的に離れた場所に配置することができ、各システム20においても、エンコーダ22(#1)、22(#2)、22(#3)、22(#4)、多重化装置24、およびスクランブラ25を、例えばクラウド上の仮想化環境のように、物理的に離れた場所に設置することができる。
【0046】
図3Aは、第1の実施形態の放送システムに適用されるエンコーダの構成例を示す機能ブロック図である。
【0047】
図3Aは、図1および図2に示されるエンコーダ22(#1)、22(#2)、22(#3)、22(#4)が、TSSパケットを取り扱うことなく、TSパケットを取り扱う場合の構成を詳細に示している。エンコーダ22(#1)、22(#2)、22(#3)、22(#4)の構成は、同一であるので、以下、代表的にエンコーダ22Xとして説明する。
【0048】
エンコーダ22Xは、図示しないプロセッサおよびプログラムメモリを有し、時刻再生部22a、TAI/STC変換部22b、ビデオ/オーディオ/字幕エンコーダ22e、TSパケット生成部22f、TAI/90kHzカウンタ変換部22g、およびRTPパケット生成部22jを備えている。TSパケット生成部22fはさらに、PCRパケット生成部22f1、ビデオ/オーディオ/字幕パケット生成部22f2、および選択部22f3を備えている。また、エンコーダ22Xは、オプションとして、TSパケット生成タイミング制御部22cを備えていても良い。
【0049】
これらの機能はいずれもプログラムメモリに格納されたプログラムをプロセッサに実行させることにより実現される。
【0050】
エンコーダ22Xでは、時刻再生部22a、TAI/STC変換部22b、TAI/90kHzカウンタ変換部22g、およびRTPパケット生成部22jによって、同期制御装置が実現される。
【0051】
前述したように、エンコーダ22Xには、映像音声およびPTPパケットが入力される。映像音声およびPTPパケットは、IPパケットに含まれている。
【0052】
このIPパケットが、エンコーダ22Xによって受信されると、IPパケットに含まれるPTPパケットが、時刻再生部22aによって受信される。また、IPパケットに含まれるMoIPパケットである映像音声が、ビデオ/オーディオ/字幕エンコーダ22eによって受信される。
【0053】
時刻再生部22aは、PTPパケットを受信すると、PTPパケットに打刻されているTAI時刻をサンプリングし、サンプリングしたTAI時刻を、TAI/STC変換部22b、およびTAI/90kHzカウンタ変換部22gへ出力する。
【0054】
TAI時刻は、1970年1月1日を時刻の基準とする時刻である。つまり、時刻再生部22aは、非特許文献3と同様なアプローチによって、1970年1月1日を基準として、その時刻のSTCカウンタ値をゼロとして、PTPパケットからTAI時刻を再生する。
【0055】
TAI時刻は一例として、整数部48ビット、小数部32ビットの合計80ビットで表現される。現在主流である64ビットのCPUでは、80ビットを扱う演算を単純に行うことができない。
【0056】
また、TAI時刻では、2のべき乗で正確に表現できない小数(循環小数等)を取り扱うため、マッピング方法が一意になるようにしなければ、異なる機器間でSTCカウンタ値への変換時に誤差が生じる。変換前に一定の規則(例えばミリ秒精度となるよう四捨五入すること)によりTAI時刻の小数部を丸めることにより、64ビット演算で扱うことができる。
【0057】
しかし、ミリ秒精度ではSTCカウンタ値で要求される27MHz精度(1クロックが約37ナノ秒)は得られないため、適用するシステムによっては支障を生じる。そこで、本実施形態では、より高い精度でTAI時刻をSTCカウンタ値に変換する方法を示す。
【0058】
すなわち、各エンコーダ22(#1)、22(#2)、22(#3)、22(#4)のTAI/STC変換部22bが、以下に例示するように、64ビット演算で計算できる範囲で扱う値の範囲を狭める処理を繰り返し、最後のステップのみで誤差を発生させるようにする。
【0059】
この処理では、STCカウンタ値がラップする時間長さ(例えば、233/90,000秒)を決定し、TAI時刻に対する時間長さ(例えば、233/90,000秒)の剰余を算出する。つまり、剰余を算出するために、STCカウンタ値がラップする時間長さ(例えば、233/90,000秒)を整数倍して得られる整数または有限小数の剰余を算出する。ただし、有限小数で剰余を算出する場合、一旦、有限小数が整数となるように、TAI時刻および有限小数を10倍(nは自然数)する。
【0060】
次に、算出された剰余を、STCカウンタ値(例えば、90kHzのbaseと、27kHzのextensionとからなるPCR用時刻)に変換する。つまり、第1の周波数(90kHz)のbaseと、第2の周波数(28MHz)のextensionとからなるPCR用時刻として、STCカウンタ値を決定する。
【0061】
上記処理の具体例を以下に示す。
【0062】
ここで、TAI時刻は、整数部は48ビット(2進数)であり、小数部は32ビット(0~999,999,999*10-9)であり、実質30ビットである。
【0063】
整数部(48ビット)
1234 5678 9ABC(16進表記)
20,015,998,343,868(10進表記)
小数部(32ビット、0~0.999 999 999 (10進表記)の範囲なので実質30ビット)
1234 5678(16進表記)
0.305 419 896(10進表記)
10進数表記で、20,015,998,343,868.305 419 896秒を例にして、説明を続ける。
【0064】
この時点で、78(=48+30)ビットの精度が必要となり、64ビット演算では精度が足りない。
【0065】
33clock@90kHz=95443.7176888888・・・秒は無限小数であるため、5625倍して整数化する。これによって、95,443.7176888888・・・×5,625=536,870,912秒となる。すなわち、536,870,912秒で233clock@90kHzが5,625回ラップ(周回)する。ラップした後は0から再度カウントするため、必要な情報はラップ後の剰余(modulo)となる。
【0066】
これより、536,870,912秒のmoduloを求めて、整数部のダイナミックレンジを縮小する。
20,015,998,343,868%536,870,912=377,002,684秒
これにより、整数部分は0~536,870,911(0x1FFF FFFF)までの29ビット幅に削減され、小数部分と併せて59(=29+30)ビットの精度となる。余りの整数部と小数部とを合わせると、536,870,912.305 419 896秒となる(1)。
【0067】
この段階で、27MHzでのサイクル数を求めると、536,870,912.305 419 896/(1/27,000,000)=1.449 551 463 224 633e+16となる。すなわち、演算精度は64ビット必要になる。
【0068】
STCカウンタ値を、90kHz部分(base)と27MHz部分(extension)とに分離するため、baseは300で割った値(整数)を、extensionは300のmoduloを求めると、
base=(1.449551463224633×1016)/300=48,318,382,107,487
extension=(1.449551463224633×1016)%300=234となる。
【0069】
base部分を16進数で表現すると、0x2BF2 0000 6B5Fであり、33ビットを超える部分を捨てる(ラップさせる)と、0x0 0000 6B5F(10進数で27,487)となる。これを、(結果1)とする。
【0070】
なお、一般的な浮動小数の表現は、仮数部が52ビット、指数部が11ビット、符号が1ビットなので、浮動小数点演算を行う時点で、64ビット精度の整数を扱うには丸め誤差が生じる。
【0071】
次に、27MHzでのサイクル数を求める前に、更にダイナミックレンジを縮小した場合を示す。
【0072】
前述した(1)をナノ秒で表記すると、536,870,912,305,419,896ナノ秒となる。95443.7176888888・・・ 秒を9倍すると、858,993.4592秒、すなわち858,993,459,200,000ナノ秒となる。ナノ秒を単位として考えると、modulo演算の除数の下5桁が0である。したがって、10万ナノ秒を単位としてmodulo演算を行い、ダイナミックレンジをさらに縮小する。これにより、0~95443.7176888888のレンジになるため、47(=17+30)ビットの精度となる。
【0073】
536,870,912,305,4%858,993,459,2(桁区切りのカンマは意図的にナノ秒表記の位置としている)
=5,368,709,123,054%8,589,934,592
=3,054
=305,4(10万ナノ秒)
上記のmoduloと、modulo算出時に無視した下位5桁を併せると、305,419,896ナノ秒となる。この上位6桁は305,419マイクロ秒となる。STCカウンタ値は27MHzでカウントするため(1マイクロ秒で27サイクルをカウント)、そのカウント値は8,246,313サイクルとなる。
【0074】
一方、下位3桁は0.896マイクロ秒なので、0.896×27=24.192サイクルとなり、四捨五入すると24サイクルとなる。これを上記と加算すると、8,246,337サイクル@27MHzとなる。
【0075】
STCカウンタ値を、90kHz部(base)と27MHz部(extension)とに分離するため、baseは300で割った値(整数)を、extensionは300のmoduloを求めると、
base=8,246,337/300=27,487
extension = 8,246,337 300=237
となる。
【0076】
ここで、仮に、baseが233を超える値である場合、2進数で表現した下位33ビットをbaseとするが、上記の演算結果ではラップ処理は不要である。これを(結果2)とする。
【0077】
(結果1)と(結果2)を比較すると、以下のように、27MHz精度で3クロックのずれがある。
(結果1) 27,487(base)、234(extension)
(結果2) 27,487(base)、237(extension)
ビデオ・オーディオの復号・提示タイミング(DTS値、PTS値)の制御は90kHzの精度で良いため、以上の結果より、(結果1)の手法、および(結果2)の手法のどちらを用いても問題ないと考えることができる。
【0078】
しかし、システムクロック(STCカウンタ値(PCR用時刻))は27MHzの精度が期待される。したがって、あるシステムを構築する場合、関連するすべての機器で演算方法(精度)を統一することが望ましい。演算精度を機器間で統一することの難易度を考慮すると、(結果1)よりも(結果2)の手法の方が好適な場合がある。
【0079】
特に(結果1)の手法の場合、単なる手順だけでなく、浮動小数点演算部分も統一しておく必要があり、様々なベンダーやプラットフォームで構成されるシステムを考慮すると避けるべきである。
【0080】
TAI/STC変換部22bは、上記の様にして算出されたPCR用時刻を、PCRパケット生成部22f1へ、PTS値およびDTS値を、ビデオ/オーディオ/字幕パケット生成部22f2へそれぞれ出力する。
【0081】
一方、ビデオ/オーディオ/字幕エンコーダ22eは、MoIPパケットから、ビデオ/オーディオ/字幕データを分離し、分離したビデオ/オーディオ/字幕データを、ビデオ/オーディオ/字幕パケット生成部22f2へ出力する。
【0082】
PCRパケット生成部22f1は、PCRパケットを生成する。TSパケット生成タイミング制御部22cが備えられている場合には、PCRパケット生成部22f1は、TSパケット生成タイミング22cによる制御に従ってPCRパケットを生成する。その後、PCRパケット生成部22f1は、生成したPCRパケットに、TAI/STC変換部22bから出力されたPCR用時刻を付加して、選択部22f3へ出力する。
【0083】
ビデオ/オーディオ/字幕パケット生成部22f2は、ビデオ/オーディオ/字幕エンコーダ22eから出力されたビデオ/オーディオ/字幕データから、ビデオ/オーディオ/字幕パケットを生成する。TSパケット生成タイミング制御部22cが備えられている場合には、ビデオ/オーディオ/字幕パケット生成部22f2は、TSパケット生成タイミング制御部22cによる制御にしたがって、ビデオ/オーディオ/字幕パケットを生成する。その後、ビデオ/オーディオ/字幕パケット生成部22f2は、生成したビデオ/オーディオ/字幕パケットに、TAI/STC変換部22bから出力されたPTS値および必要に応じてDTS値を付加して、選択部22f3へ出力する。
【0084】
選択部22f3は、PCRパケット生成部22f1から出力されたPCRパケット、または、ビデオ/オーディオ/字幕パケット生成部22f2から出力されたビデオ/オーディオ/字幕パケット(ビデオパケット、オーディオパケット、および字幕パケットを総称して「コンテンツパケット」とも称する)の何れかを選択して、TSパケットとして出力する。
【0085】
TAI/90kHzカウンタ変換部22gは、90kHzで動作し、時刻再生部22aから出力されたTAI時刻を、32ビット、すなわち16進法における0~0×FFFFFFFFまで進むと再びゼロとする、2のべき乗のカウンタを備えている。このカウンタはさらに、最終的に得られた32ビットを、RTPヘッダ用カウンタ値として、RTPパケット生成部22jへ出力する。
【0086】
RTPパケット生成部22jは、選択部22f3から出力されたTSパケットに、TAI/90kHzカウンタ変換部22gから出力されたRTPヘッダ用カウンタ値を付加する。これによって、図4Aに示すような非特許文献4で定義されているRTPヘッダ構成図における「タイムスタンプ」フィールドに、RTPヘッダ用カウンタ値が送出時刻として書き込まれるとともに、「データペイロード」フィールドに、TSパケットが書き込まれる。
【0087】
図4Aは、TSパケットを取り扱う場合における、RFC 3550で定義されているRTPヘッダの構成図である。
【0088】
RTPパケット生成部22jは、図4Aに示すように、TSパケットとその送出時刻が書き込まれたUDP/IPパケットを出力する。
【0089】
図3Bは、第1の実施形態の放送システムに適用されるエンコーダの別の構成例を示す機能ブロック図である。
【0090】
図3Bは、図1および図2に示されるエンコーダ22(#1)、22(#2)、22(#3)、22(#4)が、TTSパケットを取り扱う場合の構成を詳細に示している。エンコーダ22(#1)、22(#2)、22(#3)、22(#4)の構成は、同一であるので、以下、代表的にエンコーダ22Yとして説明する。
【0091】
エンコーダ22Yの構成は、エンコーダ22Xの構成と類似しているので、図3Bでは、図3Aと同一部位については同一の符号を付し、以下では、重複説明を避け、エンコーダ22Xと異なる点について説明する。
【0092】
エンコーダ22Yは、エンコーダ22Xに、TAI/27MHzカウンタ変換部22hおよびTTSパケット生成部22iを追加した構成をしている。
【0093】
TAI/27MHzカウンタ変換部22hは、時刻再生部22aとTAI/STC変換部22bとの間に、TAI/90kHzカウンタ変換部22gと並行して備えられ、27MHzで動作し、時刻再生部22aから出力されたTAI時刻を、32ビット、すなわち16進法における0~0×FFFFFFFFまで進むと再びゼロとする、2のべき乗のカウンタを備えている。このカウンタはさらに、最終的に得られた32ビットを、TTSヘッダ用カウンタ値として、TTSパケット生成部22iへ出力する。
【0094】
TTSパケット生成部22iは、選択部22f3とRTPパケット生成部22jとの間に備えられ、選択部22f3から出力されたTSパケットに、TAI/27MHzカウンタ変換部22hから出力された32ビットのTTSヘッダ用カウンタ値を付加することによって、タイムスタンプ付TS(TTS:Timestamped TS)形式のTTSパケットを生成し、RTPパケット生成部22jへ出力する。なお、TAI/27MHzカウンタ変換部22hから出力されたTTSヘッダ用カウンタ値は、当該TSを送出する時刻を表す。
【0095】
RTPパケット生成部22jは、TTSパケット生成部22iから出力されたTTSパケットに、TAI/90kHzカウンタ変換部22gから出力されたRTPヘッダ用カウンタ値を付加する。これによって、図4Bに示すような非特許文献4で定義されているRTPヘッダ構成図における「タイムスタンプ」フィールドに、RTPヘッダ用カウンタ値が送出時刻として書き込まれるとともに、「データペイロード」フィールドに、TTSパケットが書き込まれる。TTSパケットは、タイムスタンプとTSパケットとを組み合わせた構成をしている。
【0096】
なお、非特許文献2が適用される場合、図4Aおよび図4Bにおけるタイムスタンプフィールドに、RTPヘッダ用カウンタ値ではなく、例えばGPSから取得したPTPパケットに基づく時刻を書き込むこともできる。
【0097】
図5Aは、第1の実施形態の放送システムに適用される多重化装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【0098】
図5Aに示す多重化装置24Xは、図1および図2に示される多重化装置24が、TSSパケットを取り扱うことなく、TSパケットを取り扱う場合の構成を詳細に示している。
【0099】
多重化装置24Xは、図示しないプロセッサおよびプログラムメモリを有し、時刻再生部24a、TAI/STC変換部24b、TAI/27MHz/90kHz変換部24c、RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部24d、PCR/ビデオ/オーディオ/字幕/SI・EPG分離部24f、TSパケット生成部24i、TAI/90kHzカウンタ変換部24k、およびRTPパケット生成部22nを備えている。また、多重化装置24Xは、オプションとして、PCRパケット生成タイミング制御部24hを備えていても良い。
【0100】
TSパケット生成部24iはさらに、PCRパケット生成部24i1および多重化部24i2を備えている。
【0101】
これらの制御機能はいずれもプログラムメモリに格納されたプログラムをプロセッサに実行させることにより実現される。
【0102】
多重化装置24Xでは、時刻再生部24a、TAI/STC変換部24b、TAI/27MHz/90kHz変換部24c、RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部24d、TAI/90kHzカウンタ変換部24k、およびRTPパケット生成部22nによって、同期制御装置が実現される。
【0103】
多重化装置24Xには、PTPサーバ60やエンコーダ22からのIPパケットが、図1および図2に図示されていないIP-SW23を経由して入力される。なお、多重化装置24Xは、TSSパケットを取り扱うことなく、TSパケットを取り扱うことから、エンコーダ22は、図3Aに示すエンコーダ22Xに相当する。
【0104】
PTPサーバ60やエンコーダ22からの信号は、IP-SW23において、遅延が発生したり、揺らぎが生じるために、ジッタが発生する。なお、IPパケットは、PTPサーバ60やエンコーダ22から出力されるものには限定されず、図示されていないSI・EPGエンコーダから出力されるものが含まれていても良い。
【0105】
時刻再生部24aは、時刻再生部22aと同様の構成をしており、入力されたIPパケットに含まれるPTPパケットを受信し、PTPパケットに打刻されているTAI時刻をサンプリングし、サンプリングしたTAI時刻を、TAI/STC変換部24b、TAI/27MHz/90kHz変換部24c、およびTAI/90kHzカウンタ変換部24kへ出力する。
【0106】
TAI/STC変換部24bは、TAI/STC変換部22bと同様の構成をしており、時刻再生部24aから出力されたTAI時刻を、系統間での同期制御のために使用されるPCR用時刻に変換する。
【0107】
TAI/STC変換部24bにおけるPCR用時刻の算出手順は、TAI/STC変換部22bにおける算出手順と同様であるので、重複説明を避ける。
【0108】
TAI/STC変換部24bは、算出されたPCR用時刻をPCRパケット生成部24i1へ出力する。
【0109】
TAI/27MHz/90kHz変換部24cは、時刻再生部24aから出力されたTAI時刻を、90kHzの精度の時刻に変換し、90kHzの精度の時刻を、RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部24dへ出力する。
【0110】
RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部24dは、IP-SW23から出力されたIPパケットに含まれるTS over IPパケットに、TAI/27MHz/90kHz変換部24cから出力された90kHzの精度の時刻に基づき、IPパケット中の、複数のTSパケットを含むRTPパケットに打刻されたタイムスタンプ情報を用いて遅延およびジッタの補正を行って、RTPパケットから、複数のTSパケットを分離し、分離したTSパケットを、PCR/ビデオ/オーディオ/字幕/SI・EPG分離部24fへ出力する。これによって、RTPにおける遅延やジッタを吸収する。
【0111】
このようにRTP分離(遅延/ジッタ吸収)部24dによって遅延やジッタを吸収する手法は、非特許文献4および非特許文献5で公知であるので、以下では簡単な説明にとどめる。
【0112】
すなわち、多重化装置24Xでは、時刻再生部24aにおいて、PTPパケットに打刻されたTAI時刻をサンプリングする際、ゼロ遅延であれば、PTPパケットの受信時の時刻は、サンプリングしたTAI時刻に対応した値となる。しかしながら、実際にはゼロ遅延ではないので、必ず、PTPパケットの受信時の時刻は、PTPパケットに打刻されたTAI時刻よりも、後の時刻となる。
【0113】
RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部24dにおけるジッタは、伝送路に応じて決定される。したがって、例えば1秒のジッタを吸収すると仮定すると、因果律から、ゼロ秒から1秒までの範囲にパケットが届くことになる。例えば、この時刻で、ヘッダに打刻されている時刻プラス1秒になったらRTP分離(遅延/ジッタ吸収)部24dにおいてパケットを読み出すようにすれば、ゼロ秒で到来したパケットに関しては、1秒待つ必要がある一方、1秒遅れて到来したパケットについては、瞬時にゼロ秒で読み出せば、RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部24dを出た瞬間からの遅延は常に1秒に固定される。
【0114】
RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部24dは、このようにしてジッタを吸収する。遅延は、過去に遡って吸収することはできないので、ジッタは、ある意味、遅延を吸収しているとみなすことができる。
【0115】
PCR/ビデオ/オーディオ/字幕/SI・EPG分離部24fは、入力されたTSパケットから、PCRパケット24g1、ビデオパケット24g2、オーディオパケット24g3、字幕パケット24g4、PCRパケット24g5、ビデオパケット24g6、オーディオパケット24g7、字幕パケット24g8、およびSI・EPGパケット24g9といった種類毎に分離し、多重化部24i2へ出力する。
【0116】
PCRパケット生成部24i1は、PCRパケットを生成する。また、PCRパケット生成タイミング制御部24hが備えられている場合には、PCRパケット生成タイミング制御部24hによる制御にしたがって、PCRパケットを生成する。そして、生成したPCRパケットに、TAI/STC変換部24bから出力されたPCR用時刻を付加して、多重化部24i2へ出力する。
【0117】
多重化部24i2は、PCRパケット生成部24i1から出力されたPCRパケット、PCRパケット24g1、ビデオパケット24g2、オーディオパケット24g3、字幕パケット24g4、PCRパケット24g5、ビデオパケット24g6、オーディオパケット24g7、字幕パケット24g8、およびSI・EPGパケット24g9を多重化して、多重化されたTSパケットを出力する。
【0118】
TAI/90kHzカウンタ変換部24kは、90kHzで動作し、時刻再生部24aから出力されたTAI時刻を、32ビット、すなわち16進法における0~0×FFFFFFFFまで進むと再びゼロとする、2のべき乗のカウンタを備えている。このカウンタはさらに、最終的に得られた32ビットを、RTPヘッダ用カウンタ値として、RTPパケット生成部24nへ出力する。
【0119】
RTPパケット生成部24nは、多重化部24j2から出力されたTSパケットに、TAI/90kHzカウンタ変換部24kから出力されたRTPヘッダ用カウンタ値を付加する。これによって、図4Aに示すような非特許文献4で定義されているRTPヘッダ構成図における「タイムスタンプ」フィールドに、RTPヘッダ用カウンタ値が送出時刻として書き込まれるとともに、「データペイロード」フィールドに、TSパケットが書き込まれる。
【0120】
RTPパケット生成部24nは、このようにして、図4Aに示すように、TSパケットとその送出時刻が書き込まれたTSパケットまたはTS over IPパケットを出力する。
【0121】
図5Bは、第1の実施形態の放送システムに適用される多重化装置の別の構成例を示す機能ブロック図である。
【0122】
図5Bに例示する多重化装置24Yは、TTSパケットを取り扱う図1および図2に示される多重化装置24に相当する。
【0123】
多重化装置24Yの構成は、多重化装置24Xの構成と類似しているので、図5Bでは、図5Aと同一部位については同一の符号を付し、以下では、重複説明を避け、多重化装置24Xと異なる点について説明する。
【0124】
多重化装置24Yは、TSSパケットを取り扱うことから、図5Bに示すエンコーダ22(#1)~(#4)は、図3Bに示すエンコーダ22Yに相当する。
【0125】
多重化装置24Yは、多重化装置24Xに、TTS分離(遅延/ジッタ吸収)部24e、TAI/27MHzカウンタ変換部24j、およびTTSパケット生成部22mを追加した構成をしている。
【0126】
TAI/27MHz/90kHz変換部24cは、時刻再生部24aから出力されたTAI時刻を、90kHzの精度の時刻に変換し、90kHzの精度の時刻を、RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部24dへ出力することに加えて、時刻再生部24aから出力されたTAI時刻を、27MHzの精度の時刻に変換し、27MHzの精度の時刻を、TTS分離(遅延/ジッタ吸収)部24eへ出力する。
【0127】
RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部24dは、IP-SW23から出力されたIPパケットに含まれるTS over IPパケットに、TAI/27MHz/90kHz変換部24cから出力された90kHzの精度の時刻に基づき、IPパケット中の、複数のTTSパケットを含むRTPパケットに打刻されたタイムスタンプ情報を用いて遅延およびジッタの補正を行って、RTPパケットから、複数のTTSパケットを分離し、分離したTTSパケットを、TTS分離(遅延/ジッタ吸収)部24eへ出力する。
【0128】
TTS分離(遅延/ジッタ吸収)部24eは、RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部24dと、PCR/ビデオ/オーディオ/字幕/SI・EPG分離部24fとの間に備えられ、TAI/27MHz/90kHz変換部24cによって変換された27MHzの周波数の精度の時刻と、RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部24dによって分離されたTTSパケットに打刻されたタイムスタンプ情報に基づいて、遅延およびジッタの吸収を行って、TTSパケットからTSパケットを分離し、PCR/ビデオ/オーディオ/字幕/SI・EPG分離部24fへ出力する。これによって、TTSパケットにおける遅延やジッタを吸収する。
【0129】
非特許文献5には、例えば光テレビのように、インターネットを使ってテレビ放送をする際における規格が規定されている。この規格によれば、インターネットを使ったテレビ放送では、映像を、90kHzの精度で揃えることができる。ここで用いるTTSでは、192バイトのTTSパケットのうち、最初の4バイト、すなわち32ビットが、27MHzの精度を有するタイムスタンプフィールドとなっている。残る188バイトはTSパケットとなっている。
【0130】
したがって、RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部24dおよびTTS分離(遅延/ジッタ吸収)部24eのように、90kHzの精度と、27MHzの精度との両方を利用することによって、より高い精度でジッタを吸収することが可能となる。
【0131】
90kHzは、PTSやDTSの映像を送出するタイミングを制御する精度と同一であるので、RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部24dは、90kHzの精度でジッタを吸収することができる。
【0132】
また、非特許文献5は、NTSCというアナログ放送をブラウン管で見ることを想定した規格に基づいて決定されたので、モノクロ映像の場合は30Hzで、カラー映像の場合は、カラー変調のために1000/1001倍された29.970・・・Hzで走査線が掃引されている。
【0133】
この状態で、タイムスタンプフィールドの精度である27MHzに揺らぎが生じると、モノクロ映像がカラー映像となったり、逆に、カラー映像がモノクロ映像となる不調が生じる。これを回避するために、TAI/27MHz/90kHz変換部24cおよびTTS分離(遅延/ジッタ吸収)部24eによって、TSSパケットに、27MHzの精度でタイムスタンプが打刻されている。
【0134】
PCR/ビデオ/オーディオ/字幕/SI・EPG分離部24fは、TTS分離(遅延/ジッタ吸収)部24eによって分離されたTSパケットを、多重化装置24Xにおける場合と同様に、予め決定された種類別に分離し、多重化部24i2へ出力する。
【0135】
TAI/27MHzカウンタ変換部24jは、27MHzで動作し、時刻再生部24aから出力されたTAI時刻を、32ビット、すなわち16進法における0~0×FFFFFFFFまで進むと再びゼロとする、2のべき乗のカウンタを備えている。このカウンタはさらに、最終的に得られた32ビットを、TTSヘッダ用カウンタ値として、TTSパケット生成部24mへ出力する。
【0136】
TTSパケット生成部24mは、多重化部24i2とRTPパケット生成部24nとの間に備えられ、多重化部24i2から出力されたTSパケットに、TAI/27MHzカウンタ変換部24jから出力された32ビットのTTSヘッダ用カウンタ値を付加することによって、タイムスタンプ付TS形式のTTSパケットを生成し、RTPパケット生成部24nへ出力する。なお、TAI/27MHzカウンタ変換部24jから出力されたTTSヘッダ用カウンタ値は、当該TTSパケットを送出する時刻を表す。
【0137】
RTPパケット生成部24nは、TTSパケット生成部24mから出力されたTTSパケットに、TAI/90kHzカウンタ変換部24kから出力されたRTPヘッダ用カウンタ値を付加する。これによって、図4Bに示すような非特許文献4で定義されているRTPヘッダ構成図における「タイムスタンプ」フィールドに、RTPヘッダ用カウンタ値が送出時刻として書き込まれるとともに、「データペイロード」フィールドに、TSパケットが書き込まれる。
【0138】
RTPパケット生成部24nは、このようにして、図4Bに示すように、TTSパケットとその送出時刻が書き込まれたIPパケットを出力する。
【0139】
以上のように、多重化装置24X、24Yは、例えばクラウド上の仮想化環境のように、物理的に離れた場所に配置された複数のエンコーダ22X、22Yから、TS over IPパケットを受信し、RTPヘッダのタイムスタンプに基づき、伝送路の遅延とジッタを補償した後に多重化を行いつつ、PCRパケットに関しては、内部で再生成した時刻に基づいて補正する、もしくは、新たに内部でPCRパケットを生成して多重化することができる。
【0140】
図6Aは、第1の実施形態の放送システムに適用される系統切替装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【0141】
図6Aに示す系統切替装置30Xは、図1および図2に示される系統切替装置30が、TSSパケットを取り扱うことなく、TSパケットを取り扱う場合の構成を詳細に示している。
【0142】
系統切替装置30Xは、現用系システム20Aからの放送TSと、予備系システム20Bからの放送TSとの切り替えを行うための装置であって、図示しないプロセッサおよびプログラムメモリを有し、現用系システム20Aと予備系システム20Bとの両方のためにそれぞれ、時刻再生部30a、TAI/STC変換部30b、TAI/27MHz/90kHz変換部30c、RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部30d、PCRパケット生成部30i1、系統切替タイミング制御用バッファ30p、および多重化部30i2を備えている。また、系統切替装置30Xは、オプションとして、PCRパケット生成タイミング制御部30hを備えていても良い。
【0143】
図6Aでは、現用系システム20Aのための部位については、符号30の後に「A」を付し、予備系システム20Bのための部位については、符号30の後に「B」を付して区別している。
【0144】
また、系統切替装置30Xは、現用系システム20Aと予備系システム20Bとに共通して、系統切替タイミング生成部30qと、選択部30rとを備えている。
【0145】
このような構成により、系統切替装置30Xは、現用系システム20Aからの放送TSと、予備系システム20Bからの放送TSとの切替を、シームレスに行う同期制御機能を実現することができる。
【0146】
上述した部位は、いずれもプログラムメモリに格納されたプログラムをプロセッサに実行させることにより実現される。
【0147】
なお、時刻再生部30a、TAI/STC変換部30b、TAI/27MHz/90kHz変換部30c、RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部30d、PCRパケット生成タイミング制御部30h、PCRパケット生成部30i1、系統切替タイミング制御用バッファ30p、および多重化部30i2については、現用系システム20A用と予備系システム20B用とで同一の構成をしているので、以下では、現用系システム20Aまたは予備系システム20B毎に区別することなくこれら部位の説明を行う。
【0148】
系統切替装置30Xには、現用系システム20Aのための多重化装置24AやPTPサーバ60AからのIPパケットが、図1および図2に図示されていないIP-SW23Aを経由して入力される。また、予備系システム20Bのための多重化装置24BやPTPサーバ60BからのIPパケットが、図1および図2に図示されていないIP-SW23Bを経由して入力される。なお、系統切替装置30Xは、TSSパケットを取り扱うことなく、TSパケットを取り扱うことから、多重化装置24A、24Bはいずれも、図5Aに示す多重化装置24Xに相当する。
【0149】
時刻再生部30aは、時刻再生部22aと同様の構成をしており、IP-SW23からのIPパケットに含まれるPTPパケットに打刻されているTAI時刻をサンプリングし、サンプリングしたTAI時刻を、TAI/STC変換部30bおよびTAI/27MHz/90kHz変換部30cへ出力する。
【0150】
TAI/STC変換部30bは、TAI/STC変換部22bと同様の構成をしており、時刻再生部30aから出力されたTAI時刻を、系統間での同期制御のために使用されるPCR用時刻に変換する。
【0151】
TAI/STC変換部30bにおけるPCR用時刻の算出手順は、TAI/STC変換部22bにおける算出手順と同様であるので、重複説明を避ける。
【0152】
TAI/STC変換部30bは、算出されたPCR用時刻をPCRパケット生成部30i1へ出力する。
【0153】
TAI/27MHz/90kHz変換部30cは、時刻再生部30aから出力されたTAI時刻を、90kHzの精度の時刻に変換し、90kHzの精度の時刻を、RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部30dへ出力する。
【0154】
RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部30dは、TAI/27MHz/90kHz変換部30cによって変換された90kHzの精度の時刻に基づき、IP-SW23から出力されたIPパケットに含まれるTS over IPパケット中の、複数のTSパケットを含むRTPパケットに打刻されたタイムスタンプ情報を用いて遅延およびジッタの補正を行って、RTPパケットから複数のTSパケットを分離する。これによって、RTPにおける遅延やジッタを吸収する。
【0155】
系統切替タイミング制御用バッファ30pは、現用系システム20Aと予備系システム20Bとの切替点、すなわち、スプライシングポイントとなるTSパケットのずれを吸収するバッファであり、RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部30dによって分離された各TSパケットを保持し、保持している各TSパケットを、系統切替タイミング生成部30qによる指示に従って、多重化部30i2へ出力する。例えば、エンコーダ22XがTSを生成したときに、あるフレームで切り換えるように制御しようとする場合、そのフレームにおいてGOPが始まり、Iピクチャが始まるが、そのTSパケットの先頭であるスプライシングポイントフラグのフィールドに「1」を立てる。これによって、切替点を明示することができる。
【0156】
しかしながら、現用系システム20Aおよび予備系システム20Bのように、それぞれ異なる経路を経由してTSパケットが到来する場合、一般に、TSパケット間に遅延が生じる。また、これら2つの経路が、必ずしもビットレベルで一致しているとも限らない。例えば、まず現用系システム20Aに電源を投入し、その後予備系システム20Bに電源を投入した場合、現用系システム20Aから送出されたTSパケットと、予備系システム20Bから送出されたTSパケットとの間で、タイミングにずれが生じる。これによって、系統切替タイミング制御用バッファ30Apと、系統切替タイミング制御用バッファ30Bpとの状態が一致しなくなることがある。例えば、映像の開始時に、複雑な絵から始まった場合や、途中で単純な絵が入ったりすることによって、系統切替タイミング制御用バッファ30Apに蓄積されている符号の量と、系統切替タイミング制御用バッファ30Bpに蓄積されている符号の量とが異なり、切替点にTSパケットが到達するタイミングがずれてしまうという具合である。
【0157】
したがって、現用系システム20Aから予備系システム20Bへの切替を実施する場合、切替点にTSパケットが到達するタイミングのずれを解消するために、系統切替タイミング生成部30qは、以下の2通りの方式で切替を実施する。
【0158】
第1の方式は、切替点に指定されたTSパケットが、先に現用系システム20Aから到着し、次に予備系システム20Bから到着した場合における切替である。この場合、系統切替タイミング生成部30qは、切替点に指定されたTSパケットが、系統切替タイミング制御用バッファ30Apに到着してから、系統切替タイミング制御用バッファ30Bpに到着するまでの間、TSパケットを送出せず、系統切替タイミング制御用バッファ30Bpに、切替点に指定されたTSパケットが到着したタイミングで、TSパケットを送出するように、系統切替タイミング制御用バッファ30Ap、30Bpを制御する。
【0159】
第2の方式は、逆に、切替点に指定されたTSパケットが、先に予備系システム20Bから到着し、次に現用系システム20Aから到着した場合における切替である。この場合、系統切替タイミング制御用バッファ30BqにTSパケットが到着した時点でTSパケットを送出すると、図7に示すように、現用系システム20AからのTSパケットと、予備系システム20BからのTSパケットとが切替時に被ってしまう。このため、系統切替タイミング生成部30qは、これを回避するために、系統切替タイミング制御用バッファ30AqからのTSパケットの送出が終了するまで、系統切替タイミング制御用バッファ30BqからTSパケットを送出しないように、系統切替タイミング制御用バッファ30Ap、30Bpを制御する。
【0160】
このように、系統切替タイミング生成部30qは、適切なタイミングでTSパケットを送出するように、系統切替タイミング制御用バッファ30Aq、Bqを制御する。
【0161】
このタイミングとしては、例えば、スプライシングポイントフラグに「1」が指定されたパケットから切り換える。この場合、前述したように、図7に示すように、現用系システム20AからのTSパケットと、予備系システム20BからのTSパケットとが切替時に被ってしまうことの他に、図8に示すように、現用系システム20AからのTSパケットと、予備系システム20BからのTSパケットとの間に、ギャップが生じる場合もある。この場合、ギャップに相当する間に、パディング用のパケットを送出することによって、データのタイミングを合わせる。
【0162】
このように、系統切替タイミング生成部30qは、系統切替を行う。実際に、系統切替を行う場合には、前段に接続される多重化装置24Xや、さらにその前段のエンコーダ22Xの挙動に基づいて、一度に行うか、または、PTP毎に行うことができる。
【0163】
系統切替タイミング生成部30qは、このようにして系統を切り替えるタイミングを決定し、決定したタイミングで、系統切替タイミング制御用バッファ30Aqからの読取開始および系統切替タイミング制御用バッファ30Bqからの読取停止、または、系統切替タイミング制御用バッファ30Bqからの読取開始および系統切替タイミング制御用バッファ30Aqからの読取停止を行うとともに、系統を切り替えるタイミングが指定された切替制御信号を、選択部30rへ出力する。
【0164】
系統切替タイミング生成部30qによって読取開始を指定された系統切替タイミング制御用バッファ30pは、対応する多重化部30i2へTSパケットを送出する一方、系統切替タイミング生成部30qによって読取停止を指定された系統切替タイミング制御用バッファ30pは、対応する多重化部30i2へのTSパケットの送出を停止する。
【0165】
ところで、本実施形態の放送システム1、1’は、現用系システム20Aと予備系システム20Bとの間の切替時に、TSパケットが到来しないように制御することもできる。これは図9に示すように、必ずあるタイミングにおいてギャップが存在することを保証するように、エンコーダ22Xを動作させることによって実現される。
【0166】
図9は、現用系システムおよび予備系システムにおいてTSパケット間に所定のギャップが存在する状態を示す模式図である。
【0167】
このような制御によれば、ギャップが存在するタイミングは予め知られているので、上位からの制御によって、切替箇所を指定できるために、系統切替タイミング制御用バッファ30pを省略することができる。
【0168】
PCRパケット生成部30i1は、PCRパケットを生成し、生成したPCRパケットに、TAI/STC変換部30bから出力されたPCR値を付加して、多重化部30i2へ出力する。また、PCRパケット生成タイミング制御部30hが備えられている場合には、PCRパケット生成部30i1は、PCRパケット生成タイミング制御部30hによる制御にしたがって、PCRパケットを生成し、生成したPCRパケットに、TAI/STC変換部30bから出力されたPCR値を付加して、多重化部30i2へ出力する。
【0169】
多重化部30i2は、PCRパケット生成部30i1から出力されたPCRパケットと、系統切替タイミング制御用バッファ30pから送出されたTSパケットとを多重化し、多重化されたTSパケットを、選択部30rへ出力する。
【0170】
選択部30rは、系統切替タイミング生成部30qから出力された切替制御信号に従って、多重化部30Ai2からのTSパケットと、多重化部30Bi2からのTSパケットとのうちの何れか一方を選択して、STL伝送装置/OFDM変調器へ出力する。
【0171】
図6Bは、第1の実施形態の放送システムに適用される系統切替装置の別の構成例を示す機能ブロック図である。
【0172】
図6Bに例示する系統切替装置30Yは、TTSパケットを取り扱う図1および図2に示される系統切替装置30に相当する。
【0173】
系統切替装置30Yの構成は、系統切替装置30Xの構成と類似しているので、図6Bでは、図6Aと同一部位については同一の符号を付し、以下では、重複説明を避け、系統切替装置30Xと異なる点について説明する。
【0174】
系統切替装置30Yは、TSSパケットを取り扱うことから、図6Bに示す多重化装置24Aは、図5Bに示す多重化装置24Yに相当する。
【0175】
系統切替装置30Yは、系統切替装置30XにおけるRTP分離(遅延/ジッタ吸収)部30dと、系統切替タイミング制御用バッファ30pとの間に、TTS分離(遅延/ジッタ吸収)部30eを追加した構成をしている。
【0176】
さらに、TAI/27MHz/90kHz変換部30cは、時刻再生部30aから出力されたTAI時刻を、90kHzの精度の時刻に変換し、90kHzの精度の時刻を、RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部30dへ出力することに加えて、時刻再生部30aから出力されたTAI時刻を、27MHzの精度の時刻に変換し、27MHzの精度の時刻を、TTS分離(遅延/ジッタ吸収)部30eへ出力する。
【0177】
RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部30dは、TAI/27MHz/90kHz変換部30cによって変換された90kHzの精度の時刻に基づき、IP-SW23から出力されたIPパケットに含まれるTS over IPパケット中の、複数のTTSパケットを含むRTPパケットに打刻されたタイムスタンプ情報を用いて遅延およびジッタの補正を行って、RTPパケットから複数のTTSパケットを分離する。これによって、RTPにおける遅延やジッタを吸収する。
【0178】
TTS分離(遅延/ジッタ吸収)部30eは、TAI/27MHz/90kHz変換部30cによって変換された27MHzの精度の時刻と、RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部30dによって分離されたTTSパケットに打刻されたタイムスタンプ情報に基づいて、遅延およびジッタの吸収を行って、TTSパケットからTSパケットを分離する。
【0179】
系統切替タイミング制御用バッファ30pは、系統切替装置30Xでは、RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部30dによって分離された各TSパケットを保持し、系統切替タイミング生成部30qによる指示に従って、多重化部30i2へ出力するが、系統切替装置30Yでは、TTS分離(遅延/ジッタ吸収)部30eによって分離された各TSパケットを保持し、系統切替タイミング生成部30qによる指示に従って、多重化部30i2へ出力する。
【0180】
本実施形態の放送システム1、1’によれば、圧縮多重系制御装置10、10’内の現用系システム20Aと予備系システム20Bとにそれぞれ備えられている複数のエンコーダ22および多重化装置24、ならびに系統切替装置30といった各機器が、例えばクラウド上の仮想化環境のように、それぞれ物理的に離れた場所に分散して設置されている場合であっても、イーサネットだけで機器間を接続することを可能としながら、PTPに基づく正確な時刻に基づいて一意に算出されたカウンタ値を付与し、STCカウンタ値を同期させることができるので、完全なIPネットワーク化と、シームレスな系統間切替との両方を実現することができる。
【0181】
イーサネットでは、IPデータフローを分類できることから、完全なIPネットワーク化により、1本のケーブルで、論理的に複数の伝送路を形成することができる。したがって、本実施形態の放送システム1、1’は、同軸ケーブルの使用から解放されるのみならず、同軸ケーブル(SDI、DVB-ASI)で信号を分配することも不要となり、構成を簡素化することができる。
【0182】
また、本実施形態の放送システム1、1’は、前述したように、各機器が物理的に離れた場所に分散配置されてもよいことから、クラウド上の仮想化環境のように、物理的な場所が特定できない場所に配置された機器によって構築することも可能となる。
【0183】
このような構成によれば、アプリケーションを含む複数地点で生成したTSパケットやTTSパケットを、まとめて1つのサービスとした場合(マルチアングルやピクチャインピクチャ等)であっても、それらの映像音声を同期して提示することが可能となる。
【0184】
なお、クラウド上では、アプリケーションを実行する機器の物理的な位置、配置、ネットワーク構成などを正確に把握または制御できないが、本実施形態の放送システム1、1’は、このように、実体がどこにあるかわからないような構成であっても構築可能であるので、機器の位置、配置、ネットワーク構成などに捉われずに、各機器間でSTCカウント値の同期を図ることが可能となる。
【0185】
さらには、物理的に離れた場所に設置された機器間の同期に、PTPパケットを用いなくても、GPS等の衛星測位システムからの電波を受信して時刻を生成し、PTPサーバとして動作するような構成とすることも可能となる。
【0186】
このように、本実施形態の放送システム1、1’によれば、クラウド上のように、各機器が離れた場所に設置されていても、PTP(IPパケット/イーサネット)を用いて各機器の時刻同期精度を向上し、さらに、PTPから再生した時刻情報に基づいて各機器間でSTCカウンタ値を同期させることができるので、イーサネットケーブルの接続だけで、現用系システム20Aと予備系システム20Bとの間でのシームレスな系統切替を実現することが可能となる。
【0187】
[第2の実施形態]
第2の実施形態の放送システムについて説明する。
【0188】
第2の実施形態の放送システムの全体構成例は、図1と同様であり、第2の実施形態の放送システムの変形例の全体構成例は、図2と同様である。
【0189】
第2の実施形態の放送システムでは、エンコーダおよび多重化装置の詳細構成が、第1の実施形態の放送システムのものと異なる。
【0190】
したがって、以下では、第1の実施形態で説明した部位と同一の部位については、第1の実施形態で使用したものと同一の符号によって示すことにより重複説明を避け、第1の実施形態とは異なる構成を主に説明する。
【0191】
図10Aは、第2の実施形態の放送システムに適用されるエンコーダの構成例を示す機能ブロック図である。
【0192】
図10Aに示すエンコーダ22’Xは、TSSパケットを取り扱うことなく、TSパケットを取り扱うものであって、図3Aに示すエンコーダ22Xと比べて、TAI/STC変換部22bの代わりに、STCカウンタ部22sを備え、ビデオ/オーディオ/字幕エンコーダ22eの代わりに、ビデオ/オーディオ/字幕分離部22t、ビデオエンコーダ22u1、およびオーディオエンコーダ22u2を備えている点を除いて、図3Aに示すエンコーダ22Xと同じ構成をしている。
【0193】
エンコーダ22’Xでは、時刻再生部22a、STCカウンタ部22s、TAI/90kHzカウンタ変換部22g、およびRTPパケット生成部22jによって、同期制御装置が実現される。
【0194】
図11Aは、時刻再生部、STCカウンタ部、およびTAI/90kHzカウンタ変換部の詳細構成例を示す機能ブロック図である。
【0195】
時刻再生部22aは、位相比較器22a1、ループフィルタ22a2、VCO(Voltage-controlled oscillator)22a3、およびTAI時刻カウンタ22a4を備えている。
【0196】
STCカウンタ部22sは、TAI/STC変換部22s1、位相比較器22s2、ループフィルタ22s3、VCO22s4、27MHzカウンタ22s5、およびSTCカウンタ22s6を備えている。
【0197】
TAI/90kHzカウンタ変換部22gは、TAI/90kHz変換部22g1と、90kHzカウンタ22g2とを備えている。
【0198】
時刻再生部22aのTAI時刻カウンタ22a4において、TAI時刻の整数秒がカウントアップされる場合、もしくはSTCカウンタ部22sの27MHzカウンタ22s5が0に戻る場合、位相比較器22s2で(例えば、1秒毎に)両者の位相を比較し、27MHzカウンタ22s5が進んでいる場合は、ループフィルタ22s3を介してVCO22s4の発振周波数を下げ、遅れている場合は、上げるように制御する。これは、一般的なPLLの動作と同様である。
【0199】
STCカウンタ部22sは、TAI時刻の小数部がゼロになった場合、27MHzカウンタ22s5を初期リセットする。
【0200】
また、VCO22s4から発生されたクロックによって、27MHzカウンタ22s6もカウントアップされる。27MHzカウンタ22s6のカウントは、27MHzサイクルを経過すると0に戻る。
【0201】
VCO22s4から発生されたクロックはまた、1/300分周され、90kHzカウンタ22g2へ入力される。
【0202】
また、TAI時刻カウンタ22a4から出力されたTAI時刻がTAI/90kHz変換部22g1へ入力され、TAI/90kHz変換部22g1によって、90kHzに変換された値が、90kHzカウンタ22g2へロードされる。これに応じて、90kHzカウンタ22g2から、32ビットのカウント値が出力される。このカウント値は、図4Aに示す32ビットのタイムスタンプとして、RTPヘッダへ書き込まれる。
【0203】
また、位相比較器22s2による比較の差が、特定の値以下になった時点で、PLLがロック状態になったとみなされ、TAI/STC変換部22s1によってTAI時刻がサンプリングされSTCカウンタ値に変換され、初期値として、STCカウンタ22s6にロードされる。以降、STCカウンタ22s6は、TAI時刻とロックした27MHzで動作する。
【0204】
以降は、STCカウンタ22s6を独立して動作させ、TAI時刻からSTCカウンタ値の初期値を求め、STCカウンタ22s6にロードする。STCカウンタ22s6は27MHzで動作するが、TAI時刻カウンタ22a4において、TAI時刻を求めるために、PTPパケットから再生したTAIカウント用クロック(1GHzやその分周)にPLLでロックさせる。
【0205】
STCカウンタ22s6は、90kHz動作のbaseが33ビットで、27MHz動作のextensionが9ビット(値は0~299)であり、取り扱いが容易ではない。このため、27MHzで動作する27MHzカウンタ22s5によって、1秒毎(秒のカウントアップ毎)に位相比較を行い、VCO22s4を制御してロックさせる。
【0206】
図10Bは、第2の実施形態の放送システムに適用されるエンコーダの別の構成例を示す機能ブロック図である。
【0207】
図10Bに示すエンコーダ22’Yは、TSSパケットを取り扱うものであって、図3Bに示すエンコーダ22Yと比べて、TAI/STC変換部22bの代わりに、STCカウンタ部22sを備え、ビデオ/オーディオ/字幕エンコーダ22eの代わりに、ビデオ/オーディオ/字幕分離部22t、ビデオエンコーダ22u1、およびオーディオエンコーダ22u2を備えている点を除いて、図3Bに示すエンコーダ22Yと同じ構成をしている。したがって、図10Bでは、図3Bと同一部位については同一の符号を付し、以下では、重複説明を避け、エンコーダ22Yと異なる点について説明する。
【0208】
エンコーダ22’Yでは、時刻再生部22a、STCカウンタ部22s、TAI/90kHzカウンタ変換部22g、TAI/27MHzカウンタ変換部22h、TTSパケット生成部22i、およびRTPパケット生成部22jによって、同期制御装置が実現される。
【0209】
図11Bは、時刻再生部、STCカウンタ部、TAI/90kHzカウンタ変換部およびTAI/27MHzカウンタ変換部の詳細構成例を示す機能ブロック図である。
【0210】
図11Bに示す機能ブロック図は、図11Aに示す機能ブロック図に類似している。したがって、図11Bでは、図11Aに示す部位と同一箇所については、同一の符号を付すことによって、重複説明を避け、以下では、異なる部分のみについて説明する。
【0211】
すなわち、図11Bに示すブロック図は、図11Aに示すブロック図に、TAI/27MHzカウンタ変換部22hを追加したものである。TAI/27MHzカウンタ変換部22hは、TAI/27MHz変換部22h1と、27MHzカウンタ22h2とを備えている。
【0212】
TAI/27MHz変換部22h1は、TAI時刻カウンタ22a4から出力されたTAI時刻をサンプリングし、27MHzのカウンタ値に変換し、このカウンタ値を、初期値として27MHzカウンタ22h2へロードする。
【0213】
27MHzカウンタ22h2は、VCO22s4から発生されたクロックによってカウントアップされ、32ビットのカウント値を出力する。このカウント値は、図12に示す32ビットのタイムスタンプとして書き込まれる。
【0214】
図13Aは、第2の実施形態の放送システムに適用される多重化装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【0215】
図13Aに示す多重化装置24’Xは、TSパケットを取り扱うものであって、TAI/STC変換部24bの代わりに、STCカウンタ部24sを備えている点を除いて、図5Aに示す多重化装置24Xと同じ構成をしている。STCカウンタ部24sの動作は、図10Aに示すエンコーダ22’Xに備えられたSTCカウンタ部22sの動作と同一である。また、図13Aにおいて、図5Aに示す多重化装置24Xと同一部位については、同じ符号を付し、重複説明を避ける。
【0216】
多重化装置24’Xでは、時刻再生部24a、STCカウンタ部24s、TAI/27MHz/90kHz変換部24c、RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部24d、TAI/90kHzカウンタ変換部24k、およびRTPパケット生成部22nによって、同期制御装置が実現される。
【0217】
図13Bは、第2の実施形態の放送システムに適用される多重化装置の別の構成例を示す機能ブロック図である。
【0218】
図13Bに示す多重化装置24’Yは、TTSパケットを取り扱うものであって、TAI/STC変換部24bの代わりに、STCカウンタ部24sを備えている点を除いて、図5Bに示す多重化装置24Yと同じ構成をしている。STCカウンタ部24sの動作は、図10Aに示すエンコーダ22’Xに備えられたSTCカウンタ部22sの動作と同一である。また、図13Bにおいて、図5Bに示す多重化装置24Yと同一部位については、同じ符号を付し、重複説明を避ける。
【0219】
多重化装置24’Yでは、時刻再生部24a、STCカウンタ部24s、TAI/27MHz/90kHz変換部24c、RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部24d、TTS分離(遅延/ジッタ吸収)部24e、TAI/27MHzカウンタ変換部24j、TAI/90kHzカウンタ変換部24k、TTSパケット生成部22m、およびRTPパケット生成部22nによって、同期制御装置が実現される。
【0220】
このように、本実施形態の多重化装置24’X、24’Yのように、第1の実施形態の多重化装置24X、24YにおけるTAI/STC変換部24bに代えて、STCカウンタ部24sを設け、TAI時刻からSTCカウンタ値の初期値を設定し、STCカウンタ22s6を自走させる構成としても、第1の実施形態と同様に、PTPに基づく正確な時刻に基づいて一意に算出されたカウンタ値を付与し、STCカウンタ値を同期させることができるので、完全なIPネットワーク化と、シームレスな系統間切替との両方を実現することができる。
【0221】
以上説明したように、実施形態によれば、現用系システム20Aと予備系システム20Bとが離れた場所に配置されていても、あるいは、同一系統内の複数のエンコーダ22および多重化装置24が離れた場所に配置されていても、IP化に対応しつつ、現用系システム20Aと予備系システム20Bとの間でのシームレスな系統間切替を行うことができる放送システム1、1’を提供することが可能となる。
【0222】
また、該放送システム1、1’に適用されるエンコーダ22、多重化装置24、および系統制御装置30と、該エンコーダ22および該多重化装置24において実現される同期制御装置を提供することも可能となる。
【0223】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0224】
1、1’・・放送システム、10、10’・・圧縮多重系制御装置、20A・・現用系システム、20B・・予備系システム、22、22’・・エンコーダ、22a・・時刻再生部、22a1・・位相比較器、22a2・・ループフィルタ、22a3・・VCO、22a4・・TAI時刻カウンタ、22b・・TAI/STC変換部、22c・・TSパケット生成タイミング制御部、22e・・ビデオ/オーディオ/字幕エンコーダ、22f・・TSパケット生成部、22f1・・PCRパケット生成部、22f2・・ビデオ/オーディオ/字幕パケット生成部、22f3・・選択部、22f21・・ビデオパケット生成部、22f22・・オーディオパケット生成部、22f23・・字幕パケット生成部、22g・・TAI/90kHzカウンタ変換部、22g1・・TAI/90kHz変換部、22g2・・90kHzカウンタ、22h・・TAI/27MHzカウンタ変換部、22h1・・TAI/27MHz変換部、22h2・・27MHzカウンタ、22i・・TTSパケット生成部、22j・・RTPパケット生成部、22s1・・TAI/STC変換部、22s2・・位相比較器、22s3・・ループフィルタ、22s4・・VCO、22s5・・27MHzカウンタ、22s6・・STCカウンタ、22t・・ビデオ/オーディオ/字幕分離部、22u1・・ビデオエンコーダ、22u2・・オーディオエンコーダ、22u3・・字幕データ、23・・IP-SW、24、24’・・多重化装置、24a・・時刻再生部、24b・・TAI/STC変換部、24c・・TAI/27MHz/90kHz変換部、24d・・RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部、24e・・TTS分離(遅延/ジッタ吸収)部、24f・・PCR/ビデオ/オーディオ/字幕/SI・EGP分離部、24g1・・PCRパケット、24g2・・ビデオパケット、24g3・・オーディオパケット、24g4・・字幕パケット、24g5・・PCRパケット、24g6・・ビデオパケット、24g7・・オーディオパケット、24g8・・字幕パケット、24g9・・SI・EPGパケット、24h・・TSパケット生成タイミング制御部、24i・・TSパケット生成部、24i1・・PCRパケット生成部、24i2・・ビデオ/オーディオ/字幕パケット生成部、24j・・TAI/27MHzカウンタ変換部、24k・・TAI/90kHzカウンタ変換部、24m・・TTSパケット生成部、24n・・RTPパケット生成部、24s・・STCカウンタ部、25・・スクランブラ、30・・系統切替装置、30a・・時刻再生部、30b・・TAI/STC変換部、30c・・TAI/27MHz/90kHz変換部、30d・・RTP分離(遅延/ジッタ吸収)部、30e・・TTS分離(遅延/ジッタ吸収)部、30h・・PCRパケット生成タイミング制御部、30i1・・PCRパケット生成部、30i2・・多重化部、30p・・系統切替タイミング制御用バッファ、30q・・系統切替タイミング生成部、30r・・選択部、40・・PTP分配装置、50・・フレーム同期信号生成装置、60・・PTPサーバ、70・・PTPサーバ/分配装置。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B