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特開2023-38346干渉に対する電磁波耐性の改善された位置特定パッド
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  • 特開-干渉に対する電磁波耐性の改善された位置特定パッド 図1
  • 特開-干渉に対する電磁波耐性の改善された位置特定パッド 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038346
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】干渉に対する電磁波耐性の改善された位置特定パッド
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/98 20160101AFI20230309BHJP
   A61B 17/24 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
A61B90/98
A61B17/24
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023010129
(22)【出願日】2023-01-26
(62)【分割の表示】P 2018090422の分割
【原出願日】2018-05-09
(31)【優先権主張番号】62/504,404
(32)【優先日】2017-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/855,265
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
(57)【要約】
【課題】 位置特定パッドを備えたシステムを提供すること。
【解決手段】 位置特定パッドは、複数の磁場発生器、フレーム及び装着具を含む。本複数の磁場発生器は、患者の身体の対象領域における医療機器の位置を測定するため、対象領域に個々の磁場を発生するよう構成されている。フレームは、対象領域を取り囲む個々の位置において、複数の磁場発生器を固定するよう構成されている。装着具は、患者の身体の上にフレームを配置するよう構成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムにおいて、
患者を支持するための椅子と、
位置特定パッドであって、
前記患者の身体の対象領域における医療機器の位置を測定するため、前記対象領域に個々の磁場を発生するよう構成されている、複数の磁場発生器と、
前記対象領域を取り囲む個々の位置において、前記複数の磁場発生器を固定するよう構成されている、フレームと、
装着具であって、前記装着具は、前記椅子に装着されるように構成されており、手技の間、前記対象領域が前記位置特定パッドと前記椅子との間に挿入されるよう、前記椅子の上方に前記フレームを配置するように構成されている、装着具と、
を備えた、位置特定パッドと、
前記フレームに装着されており、前記患者の頭部を照明するよう構成されている、1つ以上の照明要素と、を備えた、システム。
【請求項2】
前記1つ以上の照明要素は、隣接する前記磁場発生器の間に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記照明要素の各々が、1つ以上の発光ダイオード(LED)を備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記フレームが透明材料を備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記フレームが、7410-6[1/°K]より大きな膨張係数を有する透明材料を備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記装着具が、金属製部品から5cmを超える距離に前記フレームを配置することにより、前記磁場に引き起こされる干渉レベルを低減するよう構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
位置特定パッドを備えたシステムを製造する方法であって、
患者の身体の対象領域における医療機器の位置を測定するため、前記対象領域に個々の磁場を発生する、複数の磁場発生器を準備することと、
前記対象領域を取り囲む個々の位置において、フレーム上に前記複数の磁場発生器を固定することと、
手技の間、前記対象領域が前記位置特定パッドと椅子との間に挿入されるよう、装着具を使用して、前記椅子の上方に前記フレームを配置するように、前記フレームを前記椅子に固定することと、
前記フレーム中に、前記患者の頭部を照明するための、1つ以上の照明要素を装着することと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記フレーム中に前記1つ以上の照明要素を装着することは、前記1つ以上の照明要素を隣接する前記磁場発生器の間に配置することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記照明要素の各々が、1つ以上の発光ダイオード(LED)を備える、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記フレームが透明材料を備える、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記フレームが、7410-6[1/°K]より大きな膨張係数を有する透明材料を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記フレームを配置することが、金属製部品から5cmを超える距離に前記フレームを配置して、前記磁場に引き起こされる干渉レベルを低減させるようにすることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記フレームの全体が蹄鉄形である、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記装着具が取付け支柱を備え、前記取付け支柱が前記患者の身体の上方に前記患者の身体から離して前記フレームを支持する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記椅子が前記患者の頭部が置かれる枕を備え、前記取付け支柱が前記枕と前記フレームとの間に延びる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記フレームが、フレーム上部とフレーム下部とを備え、前記複数の磁場発生器が前記フレーム下部に形成された個々のくぼみに装備されるように、前記フレーム上部と前記フレーム下部との間に前記複数の磁場発生器が配置されている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、位置追跡システム、特に、磁気干渉に対する磁気位置追跡システムのレジリエンスを改善するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気位置追跡システムは、副鼻腔形成術における場合などの、さまざまな医療的手技に使用されており、さまざまなタイプの干渉を克服する必要がある。
【0003】
たとえば、その開示が参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2003/0200052号は、センサー要素の位置を決定するための方法を記載しており、この方法によれば、少なくとも1つの磁場発生ユニットによって発生される交番磁場が測定される。本発明の方法は、干渉場が、好ましくは第1の近似値に計算され、当該干渉場が、伝導性対象物において生じる渦電流によって引き起こされることを特徴とする。センサー要素において受信される信号に基づいて決定することができる位置は、計算された干渉場に基づいて補正される。
【0004】
その開示が、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2006/0004286号は、副鼻腔炎、及び副鼻腔、耳、鼻又は咽喉の他の障害を処置するさまざまな手技を含めた、画像誘導介入及び外科手技を実施するための装置、システム及び方法を記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において記載されている本発明の実施形態は、複数の磁場発生器、フレーム及び装着具を含む、位置特定パッドを提供する。本複数の磁場発生器は、患者の身体の対象領域における医療機器の位置を測定するため、対象領域に個々の磁場を発生するよう構成されている。フレームは、対象領域を取り囲む個々の位置において、複数の磁場発生器を固定するよう構成されている。装着具は、患者の身体の上にフレームを配置するよう構成されている。
【0006】
一部の実施形態では、位置特定パッドは、1つ以上の照明要素を含み、この要素はフレームに装着されており、患者の身体を照明するよう構成されている。他の実施形態では、照明要素の各々は、1つ以上の発光ダイオード(LED)を含む。更に他の実施形態では、フレームは透明材料を含む。
【0007】
一実施形態では、フレームは、7410-6[1/°K]より大きな膨張係数を有する透明材料を含む。別の実施形態では、装着具は、金属製部品から5cmを超える距離にフレームを配置することにより、磁場に引き起こされる干渉レベルを低減するよう構成されている。
【0008】
本発明の実施形態によれば、位置特定パッドを作製するための方法であって、患者の身体の対象領域における医療機器の位置を測定するために、対象領域において個々の磁場を発生させる複数の磁場発生器を設けて含む、方法が更に提供される。複数の磁場発生器は、対象領域を取り囲む個々の位置の、フレーム上に固定されている。フレームは、装着具を使用して、患者の身体の上に配置される。
【0009】
本発明は、図面と一緒にした、以下の「発明を実施するための形態」から、一層十分に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態による、副鼻腔形成外科システムの概略的な絵画図である。
図2】本発明の実施形態による、副鼻腔形成手技用の位置特定パッドの概略的な分解立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
概要
本明細書の以下に記載されている本発明の実施形態は、磁気位置追跡システムにおいて干渉を低減するための改善された技法を提供する。
【0012】
磁気位置追跡システムは、副鼻腔形成手技における場合などの、さまざまな医療的手技に使用される。このようなシステムでは、磁場を適用する複数の磁場発生器は、位置特定パッドに装着される。位置センサーを備えた副鼻腔形成術用器具は、患者の鼻に挿入され、位置追跡システムが、磁場発生器によって印加される磁場を検出するよう構成されている、位置センサーを使用して、副鼻腔形成術用器具の位置を追跡する。
【0013】
一部の場合、位置追跡システムは、磁場を干渉し、位置決めシステムの性能を害する、金属製部品及び/又は電気信号によって取り囲まれ得る。たとえば、副鼻腔形成手技では、患者は、通常、金属製部品を含む手術用椅子に座る。更に、位置特定パッドは、磁場発生器によって生じる磁場を干渉するおそれのある照明要素を備えていることがある。たとえば、(i)これらの要素は、金属製部品から作製されていることがあり、(ii)照明が照らされると、これらの要素は、磁場を干渉するおそれがある、電気信号を伝導する。
【0014】
一部の実施形態では、位置特定パッドは、手術用椅子の金属製部品から離れて磁場発生器を設置するよう、患者頭部の上に装着される。一実施形態では、手技中に患者頭部を支える枕は、椅子の金属製部品によって引き起こされる干渉のレベルを更に低減するよう、位置特定パッドと椅子の金属製部品との間に、挿入して置かれる。
【0015】
一部の実施形態では、位置特定パッドは、発光ダイオード(LED)などの照明要素を備える。
【0016】
操作中、磁場発生器の温度は、そこに流れる電流により向上することがある。一実施形態では、位置特定パッドは、Perspex(登録商標)などの熱膨張係数が低い材料から作製されているフレームを含み、この材料は、透明であり、LEDからの光を透過し、比較的高温でさえも、ほとんど変形しないままである。
【0017】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態による、副鼻腔形成外科システム20の概略的な絵画図である。システム20は、磁気位置追跡システム(図示せず)を含んでおり、このシステムは、患者22の頭部41に、1つ以上の位置センサーの位置を追跡するように構成されている。
【0018】
一部の実施形態では、本磁気位置追跡システムは、磁場発生器44及び1つ以上の位置センサー(図示せず)を備えている。この位置センサーは、磁場発生器44の外部磁場の検知に応答して、位置信号を発生し、これにより、以下に記載される、位置追跡システムの座標系において、プロセッサ34が各センサーの位置をマッピングすることが可能になる。
【0019】
この位置検知方法は、さまざまな医療用途において、たとえば、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar、Calif.)により製造されているCARTO(商標)システムにおいて実施されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に詳述されており、これらの開示はすべて、参照により本明細書に組み込まれている。
【0020】
本実施例において、システム20は、装着具を使用して椅子28に装着されている、位置特定パッド40を備えている。本事例では、装着具は取付け支柱70を備えているが、他の好適なタイプの装着具を使用することもできる。一実施形態では、支柱は、椅子28の枕42に置かれている、患者頭部41の上に位置特定パッドを装着するよう構成されている。この構成では、枕42及び患者頭部41は、位置特定パッド40と椅子28との間に挿入して位置する。
【0021】
斜めの視点から位置特定パッド40を見た、挿入図60をこれから参照する。本事例において、システム20は、取付け支柱70を使用して、椅子28に装着されている位置特定パッド40を備えている。一実施形態では、支柱70は、椅子28の枕42に置かれる、患者頭部41の上に位置特定パッドを保持するよう構成されている。この構成では、枕42及び患者頭部41は、位置特定パッド40と椅子28との間に挿入して位置する。
【0022】
一部の実施形態では、位置特定パッド40は、フレーム46に固定されている複数の磁場発生器44を備える。図1に示されている例示的な構成では、パッド40は、5つの磁場発生器44を備えているが、任意の他の好適な数の発生器44を使用することができる。一実施形態では、発生器44は、患者の外部の、固定された、分かっている位置に配置される。システム20は、コンソール33を更に備え、コンソール33は、頭部41の周囲に事前定義された作業体積において磁場を発生するよう、磁場発生器44を好適な信号を用いて駆動するように構成されたドライバ回路(図示せず)を備えている。
【0023】
一実施形態では、コンソール33は、ディスプレイ36を備え、このディスプレイは、コンピュータ断層撮影(CT)システム(図示せず)などの外部画像システムを使用して得られる解剖学的画像35を表示するよう構成されている。
【0024】
一部の実施形態では、システム20は、患者22の鼻26から、医師24によって挿入される、診断的及び/又は外科用器具などの、副鼻腔形成術用器具30を備える。器具30は、患者頭部41において、副鼻腔形成手技を実施するために使用される。
【0025】
一実施形態では、位置センサー(図示せず)は、器具30の遠位端に連結されている。この位置センサーは、磁気位置追跡システムの座標系において、器具30の遠位端の位置を示す位置信号を発生するように構成されている。
【0026】
一実施形態では、プロセッサ34は、位置追跡システムの座標系を用いて、画像35を表示するように構成されている。この表示過程は、通常、実際の副鼻腔形成手技の前に行われる。
【0027】
一部の実施形態では、副鼻腔形成手技の間に、医師24は、頭部41の中に器具30を挿入する。CT画像は、位置追跡システムを用いて既に表示されているので、医師24は、医療用装具であって、その遠位端が画像35上に表示される医療用装具を、頭部41における所望の位置まで操縦することができる。
【0028】
代替実施形態では、CTからの画像35を受信する代わりに、プロセッサ34は、蛍光透視法又は磁気共鳴画像法(MRI)などの別の好適な解剖学的画像化技法を使用して取得される1つ以上の画像を受信するよう、及びこれらの解剖学的画像を上記の座標系と位置合わせするように構成されている。
【0029】
椅子28は、通常、椅子、調節可能なヘッドレスト、背もたれ、座席及びそれらの個々のモータの基材などのいくつかの部品を備えており、それらの1つ以上のものが金属製である。位置特定パッドが患者の頭部の下に配置される場合、これらの金属製部品は、位置特定パッド40の磁場発生器44によって発生される磁場と干渉し、したがって、位置決め精度が損なわれる。
【0030】
一部の実施形態では、位置特定パッド40は、頭部41の上に装備され、その結果、位置特定パッド40は、椅子28の金属製部品から十分に長い距離の位置に設置されて、干渉が回避され、位置特定パッド40は、器具30に連結している位置センサーに近接してやはり維持される。たとえば、支柱70は、枕42及び椅子28の金属製対象物などの、金属製対象物から5cmより長い距離の位置で、患者頭部41の上に位置特定パッド40を保持するように構成され、その結果、位置追跡システムの位置決め精度に悪影響を及ぼすことなく、磁場発生器44により生じる磁場への干渉レベルが低減される。支柱70は、パッド40と金属製対象物との間の距離を、干渉が十分に低減されて、十分な照明と位置決め精度との所望の組合せを実現する任意の好適な値に調節するよう構成されていることに留意されたい。
【0031】
一実施形態では、プロセッサ34は、通常、外部源からのデータ、並びにケーブル32を経由して器具30の位置センサーからの測定値を受信するため、並びにシステム20の他の構成要素を制御するため、好適なフロントエンド回路及びインターフェース回路を備えた汎用コンピュータである。コンソール33は、入力装置39、及びデータを表示するように構成されているユーザーディスプレイ36を更に備える。
【0032】
図1は、簡潔性かつ明瞭性のため、開示技法に関連する要素しか示されていない。システム20は、通常、開示技法に直接には関連せず、したがって図1及び対応する説明から意図的に省略されている付加的なモジュール及び要素を備える。
【0033】
プロセッサ34は、システムによって使用される機能を実行し、処理又はその他にはソフトウェアにより使用されるデータをメモリ(図示せず)に記憶させるためにプログラムされ得る。このソフトウェアは、たとえばネットワークを介して電子的形態でプロセッサにダウンロードされてもよく、又は光学的、磁気的若しくは電子的記録媒体など、持続性の有形媒体上に提供されてもよい。代替として、プロセッサ34の機能の一部又はすべてが、専用又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素によって行われてもよい。
【0034】
磁気干渉に対してレジリエンスが改善された耳鼻咽喉用(Ear-Nose-Throat:ENT)位置特定パッド
図2は、本発明の実施形態による、位置特定パッド40の概略的な分解立体図の例示である。位置特定パッド40の上部及び下部の部品は、それぞれ、図2の上部及び下部に示されている。
【0035】
一部の実施形態では、5つの磁場発生器44は、フレーム46の5つのくぼみ48のそれぞれに装備される。
【0036】
一実施形態では、フレーム46は、フレーム46に形成されている1つ以上の溝52に装備されている、1つ以上の発光ダイオード(LED)などの照明要素50を備えている。一部の実施形態では、照明要素50は、医師24が副鼻腔形成手技を実施するのを支援するよう、患者22の頭部41を照明するようになされている。
【0037】
一部の実施形態では、1つ以上の導電性ケーブル(図示せず)が、信号を磁場発生器44及び照明要素50に送信するよう、フレーム46の溝54を介して装着されている。ケーブルは、溝52に装備されており、電気信号を磁場発生器44及び照明要素50に送信するよう構成されている。
【0038】
一部の実施形態では、磁場発生器44は、17~19キロヘルツ(kHz)などの、選択された周波数で交流(AC)信号を使用して作動するように構成されている。磁気位置追跡システムによって、これらの作動周波数を使用し、器具30の遠位端に連結されている位置センサーを追跡する。
【0039】
磁場発生器44によって生じた磁場は、位置追跡システムの位置決め精度に悪影響を及ぼすおそれのある、外部及び内部干渉にさらされる。用語「外部干渉」とは、位置特定パッド40の構造に対して外部にある要素によって引き起こされる干渉を指す一方、用語「内部干渉」とは、位置特定パッド40の構造部分である要素によって引き起こされる干渉を指す。
【0040】
たとえば、椅子28の金属製部品は、磁場発生器44によって生じる磁場に対して(外部)干渉を引き起こすおそれがある。一部の実施形態では、支柱70は、椅子28の金属製部品から所与の距離に位置特定パッド40を装着するよう構成され、その結果、枕42及び患者頭部41は、位置特定パッド40と椅子28との間に挿入して位置し、それにより、椅子28の金属製部品によって引き起こされる干渉レベルを更に低減する。
【0041】
一部の場合、位置特定パッド40の構成は、内部干渉を引き起こすことがある。たとえば、LEDなどの照明要素50は、磁場発生器44によって印可されるAC場と干渉するおそれがある、金属製部品を通常、備えている。LEDは、磁場発生器44によって送信されたAC信号と干渉しない、直流(DC)信号によって、通常、操作される。
【0042】
操作中に、磁場発生器44は、コンソール33の駆動回路から電力を受け取り、操作中、発熱することがある。一部の実施形態では、フレーム46は、7510-6[1/°K]となる熱膨張係数を有するPerspex(登録商標)などの、熱膨張係数が低い透明材料を含む。
【0043】
この構成では、フレーム46は、磁場発生器44の温度が100℃まで上昇する場合でさえも、認識できないレベルの変形しか示さない。たとえば、100℃では、最大0.84mmの変形レベルが、300mmの長さのフレームの各縁部において予期される(すなわち、支柱70の各側面に150mm伸びる)。
【0044】
他の実施形態では、フレーム46は、7410-6[1/°K]より大きな熱膨張係数を有する好適な他の任意の透明材料を備えることができる。
【0045】
一部の実施形態では、位置特定パッド40は、照明要素50の金属製部品によって引き起こされる内部干渉を補償するよう、副鼻腔形成手技を適用する前に較正される。一部の実施形態では、較正の間に、位置特定パッド40が操作可能状態になり、たとえば、走査ロボット又は他の任意の好適な手段によって、位置特定パッド40の長さ全体に沿う磁場の分布が測定される。一部の実施形態では、プロセッサ34は、これらの磁場測定値を三次元(3D)較正マップに変換するよう構成されている。この実施形態では、副鼻腔形成手技の間に、プロセッサ34は、位置特定パッド40の磁場に引き起こされる内部干渉を補償するため、3Dマップを適用する。
【0046】
代替実施形態では、本開示技法は、磁気位置追跡技法を適用するさまざまな他の医療的手技において、必要な変更をさまざまに加えて使用することができる。
【0047】
本明細書に記載されている実施形態は、副鼻腔形成手技に主に対処するものであるが、本明細書に記載されている方法及びシステムはまた、神経手術、耳鼻咽喉科(ENT)、心臓学、眼科学などの他の用途、又は磁気位置追跡技法を適用する他のいかなる最小限の侵襲的手技において使用することもできる。
【0048】
したがって、上記の実施形態は、例として引用されたものであること、及び本発明は、特に、本明細書の上に示されて記載されているものに限定されないことが認識されよう。むしろ、本発明の範囲は、本明細書の上に記載されているさまざまな特徴の組合せと部分組合せの両方、並びに前述の説明を一読すると、当業者が想起すると思われる、先行技術に開示されていないそれらの変形及び改変を含む。参照により本特許出願に組み込まれている文献は、このように組み込まれている文献において、いずれの用語も本明細書において明示的又は暗示的になされている定義と矛盾して定義されている範囲に限り、本明細書中の定義のみを考慮すべきであるということを除いて、本出願の一体部分とみなすものとする。
【0049】
〔実施の態様〕
(1) 位置特定パッドであって、
患者の身体の対象領域における医療機器の位置を測定するため、前記対象領域に個々の磁場を発生するよう構成されている、複数の磁場発生器と、
前記対象領域を取り囲む個々の位置において、前記複数の磁場発生器を固定するよう構成されている、フレームと、
前記患者の身体の上に前記フレームを配置するよう構成されている、装着具と、
を備えた、位置特定パッド。
(2) 前記フレームに装着されており、前記患者の身体を照明するよう構成されている、1つ以上の照明要素を備えた、実施態様1に記載の位置特定パッド。
(3) 前記照明要素の各々が、1つ以上の発光ダイオード(LED)を備えた、実施態様2に記載の位置特定パッド。
(4) 前記フレームが透明材料を備えた、実施態様1に記載の位置特定パッド。
(5) 前記フレームが、7410-6[1/°K]より大きな膨張係数を有する透明材料を備えた、実施態様1に記載の位置特定パッド。
【0050】
(6) 前記装着具が、金属製部品から5cmを超える距離に前記フレームを配置することにより、前記磁場に引き起こされる干渉レベルを低減するよう構成されている、実施態様1に記載の位置特定パッド。
(7) 位置特定パッドを製造する方法であって、
患者の身体の対象領域における医療機器の位置を測定するため、前記対象領域に個々の磁場を発生する、複数の磁場発生器を準備することと、
前記対象領域を取り囲む個々の位置において、フレーム上に前記複数の磁場発生器を固定することと、
装着具を使用して、前記患者の身体の上に前記フレームを配置することと、
を含む、方法。
(8) 前記フレーム中に、前記患者の身体を照明するための、1つ以上の照明要素を装着することを含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記照明要素の各々が、1つ以上の発光ダイオード(LED)を備える、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記フレームが透明材料を備える、実施態様7に記載の方法。
【0051】
(11) 前記フレームが、7410-6[1/°K]より大きな膨張係数を有する透明材料を含む、実施態様7に記載の方法。
(12) 前記フレームを配置することが、金属製部品から5cmを超える距離に前記フレームを配置することを含んで、前記磁場に引き起こされる干渉レベルを低減させる、実施態様7に記載の方法。
図1
図2
【外国語明細書】