(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038402
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】ワイヤーロープ止め金具
(51)【国際特許分類】
F16G 11/06 20060101AFI20230310BHJP
F16B 2/12 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
F16G11/06 B
F16B2/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145081
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000136686
【氏名又は名称】合同会社ブレスト工業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(72)【発明者】
【氏名】河瀬 優也
(72)【発明者】
【氏名】板倉 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】速水 球太郎
(72)【発明者】
【氏名】木内 翔太
【テーマコード(参考)】
3J022
【Fターム(参考)】
3J022DA11
3J022DA13
3J022EA42
3J022EB12
3J022EC14
3J022EC22
3J022FB06
3J022FB12
3J022FB24
3J022GA04
3J022GA12
3J022HB04
(57)【要約】
【課題】振れ止め用ワイヤーロープの端末に連結用の輪を容易に作ることが可能で、輪の長さ調整が容易なワイヤーロープ止め金具を提供する。
【解決手段】金具本体10と、挟着板20と、押圧ボルト30とを設ける。金具本体10側から挟着板20を押圧ボルト30でねじ止めする。金具本体10と挟着板20との間にワイヤーPを挟着するように構成する。金具本体10から押圧ボルト30の頭部を押圧付勢するコイルバネ50を設ける。金具本体10と挟着板20の間にワイヤーPを仮止めするように構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金具本体と、挟着板と、金具本体と挟着板をねじ止めするボルト部材とを備え、金具本体と挟着板との間にワイヤーを挟着するように構成されたワイヤーロープ止め具であって、金具本体に金具本体と挟着板が近接する方向に付勢するバネ部材が1つ以上設けられ、バネ部材の弾性力により金具本体と挟着板の間にワイヤーを仮止めするように構成したことを特徴とするワイヤーロープ止め金具。
【請求項2】
前記バネ部材はコイルバネを使用した請求項1記載のワイヤーロープ止め金具。
【請求項3】
前記バネ部材は板バネを使用した請求項1記載のワイヤーロープ止め金具。
【請求項4】
前記金具本体又は前記挟着板のいずれか一方、もしくは両方の前記ワイヤー挟着面に、前記ワイヤーを圧着する圧着凸部を設けた請求項1~3いずれかに記載のワイヤーロープ止め金具。
【請求項5】
前記金具本体及び前記天板の長手端部の幅が長手中央部の幅よりも広く形成された請求項1~4いずれかに記載のワイヤーロープ止め金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば振れ止め用ワイヤーロープの端部に連結用の輪を作る際に使用するのに好適なワイヤーロープ止め金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の器具類を固定するワイヤーの振れ止め施工には、ワイヤーロープの端部に止め金具を固定して任意サイズの輪を作り、この輪を利用してワイヤーロープ連結する。
【0003】
この止め金具として、例えばワイヤーロープ類の連結用緊締具が特許文献1に記載されている。この緊締具は、複数の突起を備えたベース部と、このベース部の突起内に沿って通したワイヤーロープを固定するU字ボルトとで構成されている。そして、U字ボルトとベース部との間に挟着したワイヤーロープを緊締して固定する構造である。
【0004】
この緊締具を使用してワイヤーロープ端部に連結用の輪を形成するには、
図8に示すごとく、ワイヤーPの端部をベース部100とU字ボルト110の間に通した後、丸めて輪を形成し、再び端部をベース部100に通し、U字ボルト110を緊締する作業になる。したがって、連結用の輪を形成するには、複数の緊締具が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、このような緊締具でワイヤーロープ端部に連結用の輪を作るには、各緊締具の緊締力を一つずつ調整する作業になるため、連結用の輪を作る作業が極めて困難になっていた。
【0007】
しかも、この緊締具に使用するU字ボルトは、ワイヤーロープ端部の輪の長さを調節する際に、仮止めであっても複数のナットを緩める必要があるので、連結用の輪の長さを調整する作業は、更に手間を要する困難な作業になっている。
【0008】
そこで、本発明は従来の課題を解消すべく創出されたもので、振れ止め用ワイヤーロープの端末に連結用の輪を簡単に作ることが可能で、しかも、輪の長さ調整も容易なワイヤーロープ止め金具の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、金具本体10と、挟着板20と、金具本体10と挟着板20をねじ止めするボルト部材とを備え、金具本体10と挟着板20との間にワイヤーPを挟着するように構成されたワイヤーロープ止め具であって、金具本体10に金具本体10と挟着板20が近接する方向に付勢するバネ部材が1つ以上設けられ、バネ部材の弾性力により金具本体10と挟着板20の間にワイヤーPを仮止めするように構成したことにある。
【0010】
第2の手段の前記バネ部材はコイルバネ50を使用したものである。
【0011】
第3の手段の前記バネ部材は板バネを使用したものとする。
【0012】
第4の手段は、前記金具本体10又は前記挟着板20のいずれか一方、もしくは両方の前記ワイヤーP挟着面に、前記ワイヤーPを圧着する圧着凸部11C、21Cを設けたものである。
【0013】
第5の手段は、前記金具本体10及び前記天板20の長手端部の幅が長手中央部の幅よりも広く形成されたことにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、振れ止め用ワイヤーロープの端末に連結用の輪を簡単に作ることが可能で、しかも、輪の長さ調整作業も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明止め金具の一実施例を示す斜視図である。
【
図7】(イ)~(ニ)は、本発明の使用手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明止め金具は、金具本体10と挟着板20とボルト部材とで構成されている(
図1参照)。そして、これら金具本体10と挟着板20との間にワイヤーPの端部を挟着し、ボルト部材を緊締することで連結用の輪を形成するものである(
図7参照)。
【0017】
金具本体10は、断面倒コ字形状を成した部材で、板状の天板11と、この天板11の長手に沿った両側に対向する一対の側板12とを備えている(
図2参照)。更に、天板11側から挟着板20方向に向けて突出するボルト部材を、天板11のボルト挿通孔11Bに挿通している。
【0018】
そして、このボルト部材で挟着板20をねじ止めし、緊締に伴って挟着板20が金具本体10に近づくように設けている。このとき、ボルト部材の頭部と天板11との間にバネ部材を介しており、このバネ部材の押圧付勢力にてボルト部材にねじ止めされた挟着板20が常に天板11方向に引き上げられる状態になっている(
図3参照)。したがって、挟着板20は、バネ部材の作用で常に金具本体10に接近した状態になる。そのため、金具本体10と挟着板20との間にワイヤーPを挿通すると、ワイヤーPは、バネ部材の付勢力にて仮止め状態になる。
【0019】
図示例では、ボルト部材として、天板11の先端部側に配置する押圧ボルト30と後端部側に配置する固定ボルト40との2本のボルト部材を、天板11のボルト挿通孔11Bに挿通している(
図2参照)。天板11の先端部側とはワイヤーPで連結用の輪を形成する側になる。
【0020】
一方、バネ部材はコイルバネ50を使用し、天板11から押圧ボルト30の頭部を押圧するように設けている(
図3参照)。尚、ボルト部材の数や配置位置は図示例に限られるものではない。また、バネ部材として板バネを使用することも可能である。実施例のバネ部材は天板11の先端部側に設けられているが、後端部側もしくは複数設けてもよい。また、図示例では押圧ボルト30の頭部にバネ部材が設けられているが、バーリングタップ21Bの代わりにナットを使用する場合は、押圧ボルト30の先端部側にバネ部材を設けてもよい。
【0021】
挟着板20は、金具本体10の側板12相互の間で天板11に重なるよう配した板状部材であり、天板21と側板22とを備えている(
図2参照)。ワイヤーPはこの挟着板20の天板21と金具本体10の天板11との間に挟着される。そのため、各天板11、21のワイヤーP接触面に、それぞれ圧着凸部11C、21Cを突設している(
図3参照)。これらの圧着凸部11C、21CがワイヤーP側面に点状に圧着することでワイヤーPの挟着力を高めることができる。
【0022】
また、挟着板20には、押圧ボルト30と固定ボルト40をねじ止めする二つのネジ孔を設けている。このネジ孔としてバーリングタップ21Bを形成することで、ネジ止め作業の施工性を向上させている(
図5参照)。また、ネジ孔として挟着板20にナットを溶着することも可能である(図示せず)。
【0023】
本発明止め金具を使用してワイヤーPの先端部に連結用の輪を形成する手順を
図7に示している。まず、押圧ボルト30の頭部を手指で押すと、天板11と挟着板20との間隔が開くので、この状態で金具本体10の後端部側から金具本体10の内部にワイヤーPを挿通する(同図(イ)参照)。
【0024】
尚、ワイヤーPを金具本体10に入れる際は、一方の手にワイヤーPを持っているため、片方の手で押圧ボルト30を押す必要がある。そのため、後部側のボルトや、全てのボルトにコイルバネ50を付けることも可能だが、片手で金具を掴みながら押圧ボルト30を押すには、先端部側にある押圧ボルト30にのみコイルバネ50が付いていた方が、ボルト頭部を親指で押しやすく、非常に効率がよい。また、側板12が内側に反る形状のため、片手で持つには位置がズレ難く、持ちやすい形状になっている。
【0025】
次に、金具本体10の先端部側に通したワイヤーPの端部を再び金具本体10内に戻して挿通する(
図7(ロ)参照)。そうすると金具本体10の先端部側に連結用の輪が形成される(同図(ハ)参照)。この状態で、コイルバネ50の作用で金具本体10内のワイヤーPが仮止め固定される。このとき、押圧ボルト30や固定ボルト40を手指で締め付けると仮止め状態の緊締力を調整することができる。
【0026】
仮止め状態で輪のサイズが決まったところで、押圧ボルト30と固定ボルト40とを工具で緊締すると施工が完了する(
図7(ニ)参照)。
【0027】
図示例では、ワイヤーPの端部を金具本体10の先端部から内部に戻す作業を容易にするために、金具本体10と挟着板20の先端部側の幅を広く形成している(
図2参照)。また、挟着板20の天板21に傾斜面を形成することで、輪にした端部を金具本体10に戻す作業を容易にしている(
図2、
図6参照)。更に、金具本体10内部の2本のワイヤーPを揃えるようにするため、金具本体10の側板12に金具本体10の内側に突出する湾曲部12Aを形成している(
図2、
図4参照)。
【0028】
尚、本発明の実施例は図示例に限定されるものではなく、各構成部位の変更やケーブルの種類など本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更は自由である。例えば、各ボルトは挟着板20から挿入しても同様の効果が得られ、側板12が挟着板20に備えられていてもよい。
【符号の説明】
【0029】
P ワイヤー
10 金具本体
11 天板
11A 先端部
11B ボルト挿通孔
11C 圧着凸部
12 側板
12A 湾曲部
20 挟着板
21 天板
21A 先端部
21B バーリングタップ
21C 圧着凸部
22 側板
30 押圧ボルト
40 固定ボルト
50 コイルバネ
100 ベース部
110 U字ボルト