(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038429
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】除湿機
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20230310BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20230310BHJP
D06F 58/10 20060101ALN20230310BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20230310BHJP
【FI】
B01D53/26 100
F24F11/70
D06F58/10 Z
F24F110:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145131
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】山口 正巳
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕香
【テーマコード(参考)】
3B168
3L260
4D052
【Fターム(参考)】
3B168AA40
3B168AE04
3B168BA55
3L260AB13
3L260BA05
3L260CA13
3L260CB71
3L260FB61
4D052AA08
4D052AA10
4D052BA01
4D052BA04
4D052BB02
4D052BB06
4D052GA01
4D052GA03
4D052GB02
4D052GB03
4D052GB07
4D052GB08
(57)【要約】
【課題】衣類乾燥効率の低下が阻止可能な除湿機を提供する。
【解決手段】制御部55は、衣類乾燥運転で通常モードによる運転の実施時、熱交温度センサ64で検知した蒸発器46aの温度と、算出部63で算出した露点温度とを比較し、蒸発器46aの温度が露点温度以上だと判断したら、集中モードに変更して軸38を駆動させ吹出口31が閉止する方向へルーバ36を動作させる。蒸発器46aでの結露が見込めなくなったタイミングで吹出口31が閉止する方向へルーバ36を動作させるので、蒸発器46aを通過する風量が低下し蒸発器46aの温度が低下する。蒸発器46aでの結露量を増加させ除湿効率の低下を阻止することで、衣類乾燥運転の効率低下が阻止できる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
当該筐体内に収容され、圧縮機、凝縮器、減圧装置、及び蒸発器の順に冷媒が通流するよう冷媒配管で接続した冷凍サイクルと、
前記蒸発器の温度を検知する熱交温度センサと、
前記筐体内へ吸い込んだ空気を吹出口から吹き出させる送風ファンと、
前記吹出口に設置され、軸の駆動により前記吹出口から吹き出る空気の送風方向を調整可能なルーバと、
前記筐体が設置された室内の露点温度を算出する露点温度算出手段と、
前記圧縮機、前記送風ファン、及び前記軸を駆動させ前記ルーバを動作させて前記吹出口を開放し、衣類乾燥を実施する衣類乾燥運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記衣類乾燥運転時に前記熱交温度センサで検知した前記蒸発器の温度と、前記露点温度算出手段で算出した前記露点温度とを比較し、前記蒸発器の温度が前記露点温度以上だと判断したら、前記軸を駆動させ前記吹出口が閉止する方向へ前記ルーバを動作させることを特徴とした除湿機。
【請求項2】
前記ルーバは、前記軸の駆動により観音開き状に動作する主ルーバと補助ルーバとで構成され、
前記制御部は、前記衣類乾燥運転時に前記熱交温度センサで検知した前記蒸発器の温度と、前記露点温度算出手段で算出した前記露点温度とを比較し、前記蒸発器の温度が前記露点温度以上だと判断したら、前記軸を駆動させ前記主ルーバと前記補助ルーバの先端が近づくよう動作させることを特徴とした請求項1に記載の除湿機。
【請求項3】
前記制御部は、前記軸を駆動させ前記吹出口が閉止する方向へ前記ルーバを動作させた後、前記熱交温度センサで検知した前記蒸発器の温度が前記露点温度より所定温度Aだけ低い値未満になっていると判断したら、前記軸を駆動させ前記吹出口を開放する方向へ前記ルーバを動作させることを特徴とした請求項1又は2記載の除湿機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、衣類乾燥機能を有した除湿機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、送風ファンにより筐体内へ吸い込まれた空気が冷却フィンを通過し、冷却フィン表面に結露を発生させることで室内空気の湿度を低下させるものにおいて、湿度が低下したことに伴い露点温度が低下したら、送風ファンの風量を低下させ冷却フィンを通過する空気量を減らし、除湿効率の低下を阻止する除湿機があった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、湿度低下した空気を衣類に送風して乾燥を促す衣類乾燥を考えた場合、湿度低下に伴う露点温度の低下により送風ファンの風量を低下させると、室内の除湿効率は高まる一方で衣類に当たる風量が低下してしまい、衣類の乾燥効率が低下することから、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、筐体と、
当該筐体内に収容され、圧縮機、凝縮器、減圧装置、及び蒸発器の順に冷媒が通流するよう冷媒配管で接続した冷凍サイクルと、
前記蒸発器の温度を検知する熱交温度センサと、
前記筐体内へ吸い込んだ空気を吹出口から吹き出させる送風ファンと、
前記吹出口に設置され、軸の駆動により前記吹出口から吹き出る空気の送風方向を調整可能なルーバと、
前記筐体が設置された室内の露点温度を算出する露点温度算出手段と、
前記圧縮機、前記送風ファン、及び前記軸を駆動させ前記ルーバを動作させて前記吹出口を開放し、衣類乾燥を実施する衣類乾燥運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記衣類乾燥運転時に前記熱交温度センサで検知した前記蒸発器の温度と、前記露点温度算出手段で算出した前記露点温度とを比較し、前記蒸発器の温度が前記露点温度以上だと判断したら、前記軸を駆動させ前記吹出口が閉止する方向へ前記ルーバを動作させることを特徴とした。
【0006】
また、請求項2では、前記ルーバは、前記軸の駆動により観音開き状に動作する主ルーバと補助ルーバとで構成され、
前記制御部は、前記衣類乾燥運転時に前記熱交温度センサで検知した前記蒸発器の温度と、前記露点温度算出手段で算出した前記露点温度とを比較し、前記蒸発器の温度が前記露点温度以上だと判断したら、前記軸を駆動させ前記主ルーバと前記補助ルーバの先端が近づくよう動作させることを特徴とした。
【0007】
また、請求項3では、前記軸を駆動させ前記吹出口が閉止する方向へ前記ルーバを動作させた後、前記熱交温度センサで検知した前記蒸発器の温度が前記露点温度より所定温度Aだけ低い値未満になっていると判断したら、前記軸を駆動させ前記吹出口を開放する方向へ前記ルーバを動作させることを特徴とした。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、吹出口が閉止する方向へルーバを動作させることで、蒸発器を通過する風量が減少し蒸発器の温度が低下するため除湿効率の低下が阻止できると共に、吹出口から衣類へ範囲を絞った送風が吹き出されるため、衣類の乾燥効率の低下を阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】除湿機の前枠及び後枠を外した状態の左側面図。
【
図5】除湿機の機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
【
図6】本実施形態における衣類乾燥運転開始時のルーバの動作を説明する図
【
図7】本実施形態における衣類乾燥運転の通常モードのルーバの動作を説明する図。
【
図8】本実施形態における衣類乾燥運転の集中モードのルーバの動作を説明する図。
【
図9】本実施形態における衣類乾燥運転の動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る空気調和機の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態においては、本発明の空気調和機を、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用し空気中に含まれる水分を結露させて除湿する除湿機1に適用して説明する。
【0011】
図1は、本実施形態における除湿機1の外観斜視図である。
【0012】
図2は、除湿機1の前枠11及び後枠12を外した状態の左側面図である。
【0013】
【0014】
【0015】
図5は、除湿機1の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
【0016】
以下の説明においては、各図面に示される前後上下左右の定義に従って説明する。なお、鉛直方向は上下方向であり、水平方向は前後左右方向を含む面方向に含まれる方向である。
【0017】
除湿機1は、除湿機1の外観をなす筐体10を有する。筐体10は、前枠11と、後枠12と、後枠化粧板13と、上面板14と、ベース15と、を有する。
【0018】
前枠11及び後枠12は、互いに組み合わされ、除湿機1の前後方向に面する筐体10をなす。
【0019】
後枠12は、吸込口21と、タンク挿入口22と、注水口23と、レバー支持口24と、を有する。吸込口21は、複数のスリット26を有し、外表面にフィルタ27及びフィルタケース28を有する。フィルタ27は、樹脂製の網や不織布などからなり、吸入空気に混入する埃やにおい成分などを取り除く。フィルタケース28は、フィルタ27を吸込口21に固定する。タンク挿入口22は、吸込口21の下方に配置され、ここからドレンタンク51が挿入及び取り出される。注水口23及びレバー支持口24は、吸込口21の上方に配置される。後枠化粧板13は、後枠12の上方に取り付けられることで後枠12の視認させたくない部分を覆う目隠しとなる。
【0020】
上面板14は、組み合わされた前枠11及び後枠12の上方に配置され、上方に面する筐体10をなす。上面板14は、吹出口31と、操作部32と、LED表示部33と、を有する。吹出口31は、上面板14の上方を向く面に配置される。吹出口31は、乾燥空気の吹出方向を斜め上方から水平方向に制御可能なルーバユニット35を有する。ルーバユニット35は、ルーバ36と、軸38が駆動することでルーバ36を動作させるルーバモータ37と、を有する。吹出口31は、主吹出口31aと補助吹出口31bとに分割して形成され、ルーバ36は、主ルーバ36aと補助ルーバ36bの2つで構成されている。主吹出口31aに主ルーバ36a、補助吹出口31bに補助ルーバ36bが設置されている。主ルーバ36aと補助ルーバ36bは、主軸38aと補助軸38bとにそれぞれが軸支されており、各軸が駆動することで動作し、各吹出口31からの送風方向を調整可能である。
【0021】
操作部32及びLED表示部33は、上面から前方に斜め下方に傾斜する面に配置される。操作部32は、例えば、運転スイッチ、タイマースイッチ、運転モード選択スイッチなどを実現するタッチパネルである。LED表示部33は、除湿機1の運転状態などをLED(Light Emitting Diode)の点灯状態で表示する。
【0022】
ベース15は、組み合わされた前枠11及び後枠12の下方に配置され、除湿機1の土台となる。
【0023】
除湿機1は、筐体10に収容される主な内部部品として、ファンケース41と、シロッコファン42と、送風モータ43と、加熱ヒータ44と、圧縮機45と、熱交換器46と、ドレンパン49と、ドレンタンク51と、制御部55と、を有する。
【0024】
ファンケース41は、ベース15上に配置され、主に送風ファンとしてのシロッコファン42、送風モータ43、及びドレンタンク51を支持したり位置決めしたりする。
【0025】
シロッコファン42は、送風モータ43の回転により回転し、吸込口21から空気を吸い込み、吹出口31から吹き出す空気の流れを形成する。シロッコファン42及び送風モータ43は、回転軸が前後方向に沿うようにファンケース41に取り付けられている。
【0026】
加熱ヒータ44は、熱交換器46と吹出口31との間にある送風経路に配置されており、通電されることでヒータが駆動し、送風経路を通過する空気の温度を上昇させる。特に、除湿機1の吹出口31の上方に洗濯後の衣類を干して乾燥させる衣類乾燥運転時において加熱ヒータ44が駆動することで、高温の温風が吹出口31から吹出され早期に衣類を乾燥させることができるため、衣類乾燥運転の効率を上げることができる。
【0027】
圧縮機45は、ベース15上に固定されており、配管45a及び減圧装置45bを介して熱交換器46に接続される。
【0028】
熱交換器46は、吸込口21から吸い込まれた空気と熱交換を行う。熱交換器46は、吸込口21に近い位置に配置される蒸発器46aと、蒸発器46aよりも前方に配置される凝縮器46bと、を有する。蒸発器46a及び凝縮器46bは、U字状の冷媒管47にフィン48が取り付けられた、フィンチューブ型の熱交換器である。冷媒管47は、
図2に示すように、水平方向(左右方向)に延びる複数の直線部47aと、上下方向に曲り2本の直線部47aをつなげる曲げ部47bと、を有し、この直線部47aと曲げ部47bとが冷媒管47の長さ方向に渡って連続して現われる。
【0029】
圧縮機45、配管45a、減圧装置45b及び熱交換器46は、冷媒配管で接続されることで冷媒が通流する冷凍サイクルを形成する。冷凍サイクルは、冷媒が流れる順に、圧縮機45、凝縮器46b、減圧装置45b、蒸発器46aを有する。冷媒は、蒸発器46aを流れる際に、蒸発器46aを通過する空気から熱を奪い蒸発する。また、冷媒は、凝縮器46bを流れる際に、凝縮器46bを通過する空気を再加熱し凝縮する。これにより、吸込口21から吸い込まれた空気は、フィルタ27で埃やにおい成分などが取り除かれた後、蒸発器46aで冷却、除湿され、次いで凝縮器46bで加熱されて、低湿度の空気として吹出口31から排出される。
【0030】
ドレンパン49は、ファンケース41のシロッコファン42が配置される側と前後方向における反対側で、熱交換器46を下方で支持し、固定する。ドレンパン49は、熱交換器46の下方に位置する冷媒管47及びフィン48と掛かり合うことで、熱交換器46を前後及び左右方向に支持する。ドレンパン49は、排水口を有し、蒸発器46aで発生し落下するドレン水及び蒸発器46aを洗浄した洗浄水を受け、この排水口から排出する。
【0031】
ドレンタンク51は、ドレンパン49の排水口から排出されるドレン水を貯留する。ドレンタンク51は、タンク挿入口22から前後方向にスライドされることにより、筐体10に対して着脱される。筐体10内に挿入されたドレンタンク51は、ファンケース41により形成されたタンク室41bに配置される。
【0032】
ドレンタンク51は、タンク蓋54と、浮き収容部52と、を有する。タンク蓋54は、ドレンパン49の排水口からのドレン水などをドレンタンク51内に落下させる。浮き収容部52は、ドレンタンク51内の水位を検出するための、例えばマグネットを有する浮き53を収容する。水位に応じたマグネットの磁界は、制御部55などに実装されたAMRセンサ(Anisotropic-Magneto-Resistance、異方性磁気抵抗センサ)62により検出され、ドレンタンク51の満水をユーザに通知する。
【0033】
制御部55は、ケース56に支持されてファンケース41の左方に配置される。制御部55は、操作部32からの指示や予め記憶されたプログラムに基づいてルーバモータ37、送風モータ43や加熱ヒータ44、圧縮機45、LED表示部33などの各部を電気的に制御することにより、除湿機1の動作を統括的に制御する。
図5に示すように、制御部55は、記憶部57、タイマ58、及び算出部63を有する。記憶部57は、各部の動作プログラムなどを記憶する。タイマ58は、除湿機1のタイマ運転などのための計時を行う。露点温度算出手段としての算出部63は、温度センサ59で検知された温度と湿度センサ60で検知された湿度とに基づき、所定の計算式で露点温度を算出する。
【0034】
制御部55は、温度センサ59及び湿度センサ60を有する。温度センサ59及び湿度センサ60は、除湿機1本体の所定位置に設けられ、除湿機1の周囲温度及び湿度を計測する。制御部55は、温度や湿度を必要に応じて使用し各部を制御する。報知部61は、制御部55の指示に基づいてユーザに状況を知らせるためのアラーム音を出力する。また、制御部55は、熱交温度センサ64を有する。熱交温度センサ64は、蒸発器46aの所定位置に設けられ、蒸発器46aの温度を計測する。
【0035】
次に、本実施形態の衣類乾燥運転時における各部の動作内容について説明する。
【0036】
制御部55は、操作部32にある図示しない衣類乾燥スイッチで通常モードが選択されたと判断したら、圧縮機45、及び送風モータ43を駆動させ、蒸発器46aで除湿された空気が吹出口31から送風されるようにする。乾燥対象の衣類が吹出口31の上方に干されると、吹出口31から除湿空気が送風されることで衣類が効率よく乾燥する。また、制御部55は、温度センサ59での検知値が所定温度以下だと判断したら、加熱ヒータ44を駆動させる。室内温度が低く衣類の乾燥効率が低い環境であれば、加熱ヒータ44を駆動させ温風が吹き出されるようにすることで、衣類の乾燥効率を向上させることができる。
【0037】
図6を参照する。制御部55は、操作部32にある図示しない衣類乾燥スイッチで通常モードが選択され衣類乾燥運転の開始指示があったと判断したら、ルーバモータ37を駆動させ主軸38a、及び補助軸38bを回動させる。(1)で示すように、主ルーバ36a、及び補助ルーバ36bにより主吹出口31a、及び補助吹出口31bが閉止された状態から、ルーバモータ37の駆動により主ルーバ36a、及び補助ルーバ36bが回動する。各ルーバ36は、(2)の矢印で示すように主ルーバ36aと補助ルーバ36bとが互いに向かい合った状態で回動し、観音開き状に動作する。制御部55は、各ルーバ36の回動が進み、(3)で示すように主ルーバ36aと補助ルーバ36bとが吹出口31に対し垂直な状態となったら、所定の位置決め位置に到達したとしてルーバモータ37を停止する。
【0038】
制御部55は、通常モードが選択された状態で
図6の(3)の状態に至った後、
図7の(a)、(b)、(c)で示すように、主ルーバ36aと補助ルーバ36bとが略平行な状態で前後方向に動作するよう制御する。主ルーバ36aと補助ルーバ36bとが略平行な状態で動作するので、均一な風量の風を衣類に送ることができるため、効率のよい衣類乾燥が実施できる。
【0039】
制御部55は、操作部32にある図示しない衣類乾燥スイッチで集中モードが選択されたと判断したら、
図6の(3)の状態にした後に主ルーバ36aと補助ルーバ36bとの先端同士が近づくよう、ルーバモータ37で主軸38a、及び補助軸38bとを駆動させる。そして、
図8の(a)、(b)、(c)で示すように、主ルーバ36aと補助ルーバ36bとの先端が通常モードよりも近づくような位置関係で前後方向に動作させる。主ルーバ36aと補助ルーバ36bの先端が通常モードと比較して近づいた位置関係で動作することで、吹出口31が通常モード時より閉止された状態となる。これにより、通常モードと比較して吹出口31からの送風量は減少するが、送風範囲を絞ることで通常モード時よりも風速が速い送風が可能となる。風速が速いことで風圧が増し、より遠くまで送風可能な状態で前後方向にルーバ36が動作するので、通常モードと比較し乾燥効率が低下することなく乾燥対象の衣類を乾燥させることができる。
【0040】
なお、通常モード、及び集中モードにおいて圧縮機45、及び送風モータ43の回転数は一定値で駆動する。操作部32にある図示しない風量スイッチにより、手動で風量変更がされれば送風モータ43の回転数は変更されるが、自動での送風モータ43の回転数変更はされない。
【0041】
次に、衣類乾燥運転時の露点温度に基づくルーバ36の動作について、
図9のフローチャートに基づいて説明する。
【0042】
操作部32にある図示しない衣類乾燥スイッチで通常モードが選択され通常モードでの衣類乾燥運転が開始されたら、制御部55は、タイマ58で衣類乾燥運転の実施時間のカウントを開始し、算出部63で温度センサ59での検出値と湿度センサ60での検出値とに基づき露点温度を算出する(ステップS101)。制御部55は、前記ステップS101で露点温度を算出したら熱交温度センサ64で検知される蒸発器46aの温度と露点温度とを比較し、蒸発器46aの温度が露点温度以上か判断する(ステップS102)。制御部55は、前記ステップS102で蒸発器46aの温度が露点温度以上だと判断したら、衣類乾燥運転のモード設定を集中モードに変更し、主ルーバ36aと補助ルーバ36bとの先端同士を近づけた状態で動作させる(ステップS103)。
【0043】
制御部55は、前記ステップS103で集中モードが設定されたら、算出部63で温度センサ59での検出値と湿度センサ60での検出値とに基づき露点温度を算出する(ステップS104)。制御部55は、前記ステップS104で露点温度を算出したら、熱交温度センサ64で検知される蒸発器46aの温度と露点温度より所定温度Aだけ低い値とを比較し、蒸発器46aの温度が露点温度より所定温度Aだけ低い値未満か判断する(ステップS105)。制御部55は、前記ステップS105の判断で蒸発器46aの温度が露点温度より所定温度Aだけ低い値未満だと判断したら、衣類乾燥運転のモード設定を通常モードに変更し、主ルーバ36aと補助ルーバ36bとを略平行な位置関係で動作させる(ステップS106)。
【0044】
制御部55は、前記ステップS102で蒸発器46aの温度が露点温度未満だと判断したか、前記ステップS105で蒸発器46aの温度が露点温度より所定温度Aだけ低い値以上と判断したか、前記ステップS106の処理を完了したら、タイマ58のカウント値により予め設定された衣類乾燥運転の設定時間が経過したか判断し(ステップS107)、設定時間が経過したと判断したら、送風モータ43、及び圧縮機45の駆動を停止させ、吹出口31を閉止する位置までルーバ36を動作させた後、ルーバモータ37を停止させて衣類乾燥運転を終了する。制御部55は、前記ステップS107で設定時間が経過していないと判断したら、前記ステップS101の処理を繰り返す。
【0045】
次に、衣類乾燥運転時の露点温度に基づくルーバ36の制御内容による作用効果について説明する。
【0046】
前記ステップS102で蒸発器46aの温度が露点温度以上だと判断したら、通常モードから集中モードに変更する。衣類乾燥運転を継続すると、蒸発器46aでの除湿作用により室内の湿度が低下することに伴い露点温度が低下する。通常モードにおいて圧縮機45、及び送風モータ43の回転数は一定値であり、蒸発器46aの温度は室内空気の温度以下であることから、時間経過により蒸発器46aの温度は上昇する。蒸発器46aの温度が露点温度以上になると、蒸発器46aでの結露が見込めなくなるため除湿効率が低下し、これに伴い衣類乾燥の効率が低下する。この状態になったと判断したら、衣類乾燥運転を通常モードから集中モードに変更することで、吹出口31からの送風量が通常モードより低下する。吹出口31からの送風量低下に伴い蒸発器46aを通過する風量が低下し、蒸発器46aの温度が時間経過により低下する。
【0047】
集中モードの実行により、時間経過に伴って蒸発器46aの温度が低下するので、蒸発器46aでの結露量が増加し、除湿効率の低下を阻止することができる。また、送風モータ43の回転数を変化させることなく主ルーバ36aと補助ルーバ36bの先端同士が近づくよう各ルーバ36の角度のみ変化させて動作し、吹出口31からの風速が増すようにしたので、衣類に向かう送風の風圧が増した状態で衣類乾燥が実施される。衣類乾燥運転の効率低下を阻止することができる。
【0048】
前記ステップS103で集中モードに変更した後、前記ステップS105で蒸発器46aの温度が露点温度より所定温度Aだけ低い値未満だと判断したら、前記ステップS106で通常モードに変更する。集中モードの実施により蒸発器46aの温度が過度に低下し、蒸発器46aに付着した結露水が凍結することで除湿効率が低下する虞がある状態になったら、主ルーバ36aと補助ルーバ36bとが略平行な位置で前後に動作する通常モードを実施する。通常モードの実施により蒸発器46aを通過する風量が増加し、蒸発器46aの温度が上昇するので、結露水が凍結する状態を回避することで除湿効率の低下が阻止でき、かつ、集中モードと比較して吹出口31からの送風量が増加するため、衣類を効率よく乾燥させることができる。
【0049】
次に、本発明の効果を説明する。
【0050】
制御部55は、衣類乾燥運転で通常モードによる運転の実施時、熱交温度センサ64で検知した蒸発器46aの温度と、算出部63で算出した露点温度とを比較し、蒸発器46aの温度が露点温度以上だと判断したら、集中モードに変更して軸38を駆動させ吹出口31が閉止する方向へルーバ36を動作させる。蒸発器46aでの結露が見込めなくなったタイミングで吹出口31が閉止する方向へルーバ36を動作させるので、蒸発器46aを通過する風量が低下し蒸発器46aの温度が低下する。蒸発器46aでの結露量を増加させ除湿効率の低下を阻止すると共に、吹出口31から範囲を絞った送風がされることで衣類乾燥運転の効率低下が阻止できる。
【0051】
また、制御部55は、衣類乾燥運転で通常モードによる運転の実施時、蒸発器46aの温度が露点温度以上だと判断したら、衣類乾燥運転のモードを通常モードと比較し主ルーバ36aと補助ルーバ36bの先端を近づかせた状態で動作させる集中モードに変更する。主ルーバ36aと補助ルーバ36bとの先端同士が近づくことで吹出口31からの送風が絞られ、吹出口31からの送風量が減少する。これにより、蒸発器46aを通過する風量が減少することから、時間経過により蒸発器46aの温度が低下し、除湿効率が向上する。また、主ルーバ36aと補助ルーバ36bとの先端同士を近づけた状態で送風することで、風速が増した送風を衣類に送ることができるため、衣類乾燥の効率が低下せず衣類乾燥運転を継続することができる。
【0052】
また、制御部55は、蒸発器46aの温度が露点温度以上だと判断して集中モードに変更しルーバ36を動作させた後、蒸発器46aの温度が露点温度より所定温度Aだけ低い値未満だと判断したら、軸38を駆動させ吹出口31を開放する方向へ各ルーバ36を動作させ、主ルーバ36aと補助ルーバ36bとが略平行な状態で動作し送風量が大きな通常モードに変更するので、蒸発器46aに付着した結露水が凍結することによる除湿効率の低下を阻止すると共に、送風量増加により衣類乾燥運転の効率が向上する。
【0053】
なお、本実施形態では、吹出口31が主吹出口31a、及び補助吹出口31bに分割され、それぞれの吹出口31に対して主ルーバ36a、及び補助ルーバ36bが設置された内容で説明したが、これに限られない。例えば、1つの吹出口31に対して1つのルーバ36が設置された除湿機であっても本発明は適用可能である。熱交温度センサ64で蒸発器46aの温度が露点温度以上になったら、吹出口31を閉止する方向へルーバ36を動作させ、吹出口31からの送風量を絞ることで蒸発器46aを通過する風量が低下するため、時間経過により蒸発器46aの温度が低下し、除湿効率の低下が阻止され衣類乾燥運転の効率低下を阻止することができる。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1 除湿機
10 筐体
31 吹出口
36 ルーバ
36a 主ルーバ
36b 補助ルーバ
38 軸
42 シロッコファン(送風ファン)
43 送風モータ
45 圧縮機
45b 減圧装置
46 熱交換器
46a 蒸発器
46b 凝縮器
47 冷媒管
55 制御部
63 算出部(露点温度算出手段)
64 熱交温度センサ