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  • 特開-電気柵用支柱補助具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038437
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】電気柵用支柱補助具
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/24 20110101AFI20230310BHJP
   A01M 29/30 20110101ALI20230310BHJP
   A01K 3/00 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
A01M29/24
A01M29/30
A01K3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145154
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】521394440
【氏名又は名称】衛藤 貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 貴子
【テーマコード(参考)】
2B101
2B121
【Fターム(参考)】
2B101AA02
2B101HA02
2B101HA03
2B101HA06
2B121AA02
2B121BB27
2B121BB32
2B121DA06
2B121EA26
2B121FA12
2B121FA13
(57)【要約】
【課題】簡便に電気柵の設置を行うことを可能とする電気柵用支柱補助具を提供することである。
【解決手段】電気柵に使用されるパイプ状の支柱部8を支持可能な電気柵用支柱補助具10であって、一方端が尖った尖部12aを有し、他方端が支柱部8を挿通するための挿入口部12bを有する円筒状の支持部12と、挿入口部12bに着脱可能な蓋部14と、を備えることを特徴とする。また、支持部の前記挿入口部に嵌合され、支柱部を貫通可能な貫通孔を有する柔軟性部材で構成されるクッション部を備えることが好ましい。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気柵に使用されるパイプ状の支柱部を支持可能な電気柵用支柱補助具であって、
一方端が尖った尖部を有し、他方端が前記支柱部を挿通するための挿入口部を有する円筒状の支持部と、
前記挿入口部に着脱可能な蓋部と、
を備えることを特徴とする電気柵用支柱補助具。
【請求項2】
請求項1に記載の電気柵用支柱補助具において、
前記支持部の前記挿入口部に嵌合され、前記支柱部を貫通可能な貫通孔を有する柔軟性部材で構成されるクッション部を備えることを特徴とする電気柵用支柱補助具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電気柵用支柱補助具において、
可搬できない固定部材と、前記支持部とを連結することが可能な盗難防止用連結部を備えることを特徴とする電気柵用支柱補助具。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気柵用支柱補助具において、
前記支持部は、エンジニアリングプラスチックで構成されていることを特徴とする電気柵用支柱補助具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気柵用支柱補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イノシシ等による田畑の被害が問題となっている。イノシシ等による田畑の被害を抑制するために電気柵が活用されている。電気柵は、田畑の周囲において複数の支柱を打ち付け、これらの支柱に装着される電気柵ワイヤーに電流を流すことで、イノシシ等の田畑への侵入を防止する。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、電気柵に使用されるパイプ状の支柱を継ぎ足すための電気柵支柱の継ぎ具であって、電気柵の支柱の内孔径より大きい外径を有する鍔部と、この鍔部の上下に設けられ、それぞれ電気柵の支柱の内孔に挿入されて嵌め込まれる挿入部と備え、上下の挿入部のうち少なくとも一方の挿入部の先端部分を先細り状に形成した電気柵支柱の継ぎ具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-246459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気柵に用いられる支柱は、様々な高さに設定されているが、例えば、150cmに設定されているものもある。この支柱を多数準備し、田畑の周囲において、所定の間隔をあけて各支柱を配置し、槌やハンマーなどで打ち付けることで支柱を自立させている。
【0006】
しかしながら、150cmの高さのある支柱を槌やハンマーなどで打ち付ける際に脚立などに乗った状態で作業を行うことが必要となって脚立への昇降動作が労力となり、また、不安定な状態で打ち付け作業を行うことが必要となる場合がある。
【0007】
農作物の収穫シーズンが終了すると、電気柵を片付けて収納するが、次の種まきシーズンが訪れると改めて支柱を打ち付ける必要があるため、これらの作業が田畑の作業者にとって大きな負担となっている。
【0008】
本発明の目的は、簡便に電気柵の設置を行うことを可能とする電気柵用支柱補助具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電気柵用支柱補助具は、電気柵に使用されるパイプ状の支柱部を支持可能な電気柵用支柱補助具であって、一方端が尖った尖部を有し、他方端が前記支柱部を挿通するための挿入口部を有する円筒状の支持部と、前記挿入口部に着脱可能な蓋部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る電気柵用支柱補助具において、前記支持部の前記挿入口部に嵌合され、前記支柱部を貫通可能な貫通孔を有する柔軟性部材で構成されるクッション部を備えることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る電気柵用支柱補助具において、可搬できない固定部材と、前記支持部とを連結することが可能な盗難防止用連結部を備えることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る電気柵用支柱補助具において、前記支持部は、エンジニアリングプラスチックで構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡便に電気柵の設置を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る実施形態の電気柵用支柱補助具を示す図である。
図2】本発明に係る実施形態の電気柵用支柱補助具において、支持部内に支柱部を挿通している様子を示す図である。
図3】本発明に係る実施形態の電気柵用支柱補助具において、田畑に打ち付けた電気柵用支柱補助具を盗難防止用連結部により連結している様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0016】
図1は、本発明に係る実施形態の電気柵用支柱補助具10を示す図である。図1(a)は、電気柵用支柱補助具10において、支持部12に蓋部14を装着しようとしている様子を示す図であり、図1(b)は、支持部12内に支柱部8を挿通している様子を示す図である。
【0017】
最初に、電気柵用支柱補助具10を説明する前に電気柵について説明し、その後に電気柵用支柱補助具10について詳細に説明する。
【0018】
電気柵は、イノシシ等の動物に慣れることのない痛み(電気ショック)を経験させて、動物の心理的バリヤー(警戒心)により柵に近寄り難くさせる柵のことである。
【0019】
電気柵では、動物が電気柵ワイヤーに触れることで、電気が動物の体を通って地面に流れ、アースから本体部6へ流れる電気柵の回路が成立する。
【0020】
これにより強いショックに驚いた動物は、その後心理的に柵に近寄りにくくなる。「+」の電気柵ワイヤーと「-」の地面の両方に触れて初めてショックが発生するので、例えば、スズメなどが止まってもショックは受けない。
【0021】
電気柵に流れる電流は「最大6,000~10,000ボルト」という強い電流であるが、常時流れているわけではなく、通電時間が1秒ごとに0.01秒以下という形で断続的に流れているものであるため、動物殺傷能力はなく動物を傷つけることはないとともに、人間が誤って触れてしまった場合でも危険回避が可能である。
【0022】
電気柵は、田畑の周囲を囲むように、複数の支柱部8が所定の間隔をあけて立設され、電流供給源であり田畑に固定された本体部6に電気的に接続された電気柵ワイヤーが装着される。
【0023】
これにより、動物が電気柵ワイヤーに触れたときに、本体部6から電気柵ワイヤーへ流れた電流が動物の体を通って地面に流れ、アースを介して本体部6に戻ってくる電気回路を形成する。
【0024】
複数の支柱部8は、電気柵で使用されているFRPポールである。FRPとは、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などに、ガラス繊維や炭素繊維などの繊維を複合して強度を向上させた強化プラスチックである。
【0025】
プラスチックは軽量で、加工が容易であるが、弾性率が低く、構造用材料としては適していない。そこで、ガラス繊維のように弾性率の高い材料と複合すれば、軽量で強度の高い、つまり比強度の大きな材料として用いることができる。強化材としてガラス繊維を用いたGFRPのほか、炭素繊維を用いたCFRPも用途が広がっている。他にも強度の高いケブラー、ダイニーマなどの樹脂繊維で強化したAFRP,KFRP,DFRPもある。
【0026】
支柱部8は、様々な長さ(高さ)と直径に設定されている。ここでは、例えば、直径を11mm(タイプA)、14mm(タイプB)、20mm(タイプC)の3種類が存在するものとして説明するが、もちろん、さらに多くの直径のものを準備してもよい。
【0027】
図2は、本発明に係る実施形態の電気柵用支柱補助具10において、支持部12内に支柱部8を挿通している様子を示す図である。図2(a)は、電気柵用支柱補助具10において、支持部12にクッション部16を嵌合させて支柱部8を挿通させようとしている様子を示す図であり、図2(b)は、支持部12にクッション部16を嵌合させて支柱部8を挿通させた際の断面図である。
【0028】
図3は、本発明に係る実施形態の電気柵用支柱補助具10において、田畑の周囲に打ち付けた電気柵用支柱補助具10を盗難防止用連結部18により連結している様子を示す図である。
【0029】
電気柵用支柱補助具10は、電気柵に使用されるパイプ状の支柱部8を支持可能な補助具である。電気柵用支柱補助具10は、支持部12と、蓋部14と、クッション部16とを備えている。
【0030】
支持部12は、一方端が鋭く尖った尖部12aを有し、他方端が支柱部8を挿通するための挿入口部12bを有する略円筒状の部材である。支持部12は、エンジニアリングプラスチックで構成されている。
【0031】
エンジニアリングプラスチックは、特に強度に優れ、耐熱性のような特定の機能を強化してあるプラスチックの一群を指す分類上の名称である。厳密ではないが一般には、1000℃以上の環境に長時間曝されても、49MPa以上の引っ張り強度と2.5GPa以上の曲げ弾性率を持ったものが該当する。
【0032】
支持部12は、支柱部8を挿通可能な孔が形成されており、この孔の径は、支柱部8の直径に1mm増やされて、それぞれ、12mm(タイプA)、15mm(タイプB)、21mm(タイプC)に設定されている。タイプA,B,Cの支持部12の外径は、夫々、18mm、21mm、29mmに設定されている。
【0033】
また、支持部12の長さ(高さ)は、支柱部8に比べて短く、それぞれ、30cm(タイプA)、40cm(タイプB)、50cm(タイプC)に設定される。また、支持部12のうち、テーパー状の尖部12aは、略円錐形状をしており、テーパーの角度は、40°に設定されている。
【0034】
蓋部14は、挿入口部12bに着脱可能な蓋部材である。蓋部14は、適度な柔軟性を有するゴム部材で構成される蓋である。蓋部14は、円柱状の頭部14aと、円筒状の胴体部14bとで構成されている。
【0035】
頭部14aの外径は、それぞれ、21mm(タイプA)、24mm(タイプB)、32mm(タイプC)である。頭部14aの高さは、タイプA,B,Cともに統一されており、いずれも5mmである。
【0036】
胴体部14bの外径は、それぞれ、12mm(タイプA)、15mm(タイプB)、21mm(タイプC)である。胴体部14bの高さは、タイプA,B,Cともに統一されており、いずれも8mmである。
【0037】
クッション部16は、支持部12の挿入口部12bに嵌合され、支柱部8を貫通可能な貫通孔16aを有する柔軟性部材である。クッション部16は、適度な柔軟性を有する材質、例えば、シリコン樹脂を用いて形成することが出来る。
【0038】
クッション部16は、円筒状の頭部16bと、円筒状の胴体部16cとを備えており、これらを貫通する貫通孔16aが形成されている。貫通孔16aの直径は、支柱部8の直径に2mm減らされて、それぞれ、9mm(タイプA)、12mm(タイプB)、18mm(タイプC)に設定されている。
【0039】
頭部16bの外径は、それぞれ、18mm(タイプA)、21mm(タイプB)、29mm(タイプC)である。頭部16bの高さは、タイプA,B,Cともに統一されており、いずれも5mmである。
【0040】
胴体部16cの外径は、それぞれ、12mm(タイプA)、15mm(タイプB)、21mm(タイプC)である。胴体部16cの高さは、タイプA,B,Cともに統一されており、いずれも8mmである。
【0041】
盗難防止用連結部18は、可搬できない固定部材である本体部6と、支持部12とを連結することが可能な部材である。盗難防止用連結部18は、支持部12の周囲を挟持する挟持部18aと、挟持部と本体部6とを連結するチェーン部18bとを備えている。これにより、電気柵用支柱補助具10の盗難リスクを削減することができる。
【0042】
続いて、上記構成の電気柵用支柱補助具10の作用について説明する。近年、イノシシ等による田畑の被害が問題となっており、これを防止するために電気柵が活用されている。
【0043】
電気柵に用いられる支柱は、様々な高さに設定されているが、例えば、210cmに設定されているものもあり、支柱を複数本用意し、槌やハンマーなどで打ち付けることで支柱を自立させている。
【0044】
しかしながら、210cmの高さのある支柱を槌やハンマーなどで打ち付ける際に脚立などに乗った状態で作業を行うことが必要となって脚立への昇降動作が労力となる。
【0045】
電気柵を設置した後、農作物の収穫シーズンが終了すると、電気柵を片付けて収納するが、次の種まきシーズンが訪れると改めて支柱を打ち付ける必要があるため、これらの作業が田畑の作業者にとって大きな負担となっている。このような課題に対し、本発明に係る実施形態の電気柵用支柱補助具10は顕著な効果を発揮する。
【0046】
最初に、田畑の周囲を覆うのに必要な支柱部8と同じ本数の電気柵用支柱補助具10を準備する。図1(a)に示されるように、蓋部14を取り外して、複数の支持部12を田畑の周囲に所定の間隔をあけて配置し、それぞれの支持部12を起立させて槌やハンマーで打ち付ける。支持部12の長さは、タイプA~タイプCで異なるが、30cm~50cmであるため、脚立などに乗って打ち付ける必要はなく、安定した状態で、かつ、楽な姿勢で作業をすることができるという顕著な効果を奏する。この打ち付け作業をそれぞれの支持部12に対して行う。
【0047】
そして、各支持部12に対して、図2(a)に示されるように、挿入口部12bにクッション部16を嵌合して、図2(b)に示されるように、貫通孔16aに支柱部8を挿入する。
【0048】
支柱部8は、高さが210cmほどあるものも存在するが、支持部12の長さは30cm~50cmに設定されているため、安定させて起立させることができる。ここで、クッション部16の貫通孔16は、支柱部8の直径よりも2mmほど小さい直径に設定されているが、支柱部8を押し付けながら挿入することで貫通孔16を押し広げて挿入することができる。
【0049】
これにより、隙間なく支柱部8を挿入して起立させることができるため、長時間放置した場合であっても、塵や虫などが入ってしまうことを防ぐことができる。この作業を全ての支持部12とこれに対応する支柱部8に対して行い、全ての支柱部8を起立させた後、電気柵ワイヤーを支柱部8に装着し、本体部6を設置して電気が流れる状態にする。
【0050】
この際、図3に示されるように、盗難防止用連結部18を用いて支持部12と本体部6とを連結することで、支持部12の盗難を防止することが好ましい。
【0051】
これにより、イノシシが電気柵ワイヤーに触れることで、電気がイノシシの体を通って地面に流れ、アースから本体部6へ流れる電気柵の回路が成立するため、イノシシに慣れることのない痛み(電気ショック)を経験させて、動物の心理的バリヤー(警戒心)により柵に近寄り難くさせることができるという利点がある。
【0052】
また、田畑の農作物の収穫シーズンを終えて電気柵を片付ける際には、本体部6及び電気柵ワイヤーを取り外した後、各支柱部8及びクッション部16を取り外し、その後、再び、蓋部14を挿入口部12に嵌合する。これにより、次の種まきシーズンまで支持部12内に塵や虫などが入ってしまうことを防ぐことが出来る。
【0053】
そして、次の種まきシーズンになると、再び、蓋部14を取り外して、上記と同じ手順で電気柵を設置するが、従来のように、打ち付け作業が必要ないため、作業者の負担を軽減することができるという顕著な効果を奏する。
【符号の説明】
【0054】
6 本体部、8 支柱部、10 電気柵用支柱補助具、12 支持部、12a 尖部、12b 挿入口部、14 蓋部、14a 頭部、14b 胴体部、16 クッション部、16a 貫通孔、16b 頭部、16c 胴体部、18 盗難防止用連結部 18a 挟持部、18b 連結部。

図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-09-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
電気柵に用いられる支柱は、様々な高さに設定されているが、例えば、210cmに設定されているものもある。この支柱を多数準備し、田畑の周囲において、所定の間隔をあけて各支柱を配置し、槌やハンマーなどで打ち付けることで支柱を自立させている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
しかしながら、210cmの高さのある支柱を槌やハンマーなどで打ち付ける際に脚立などに乗った状態で作業を行うことが必要となって脚立への昇降動作が労力となり、また、不安定な状態で打ち付け作業を行うことが必要となる場合がある。