(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038438
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】乾燥機
(51)【国際特許分類】
F26B 3/04 20060101AFI20230310BHJP
F26B 9/06 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
F26B3/04
F26B9/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145156
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】521395355
【氏名又は名称】株式会社フロインテック
(71)【出願人】
【識別番号】521394451
【氏名又は名称】株式会社ダブリュー・ツー
(74)【代理人】
【識別番号】100090413
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 康稔
(72)【発明者】
【氏名】永田 勉
(72)【発明者】
【氏名】津田 和孝
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA01
3L113AB02
3L113AC08
3L113AC21
3L113AC52
3L113AC67
3L113AC74
3L113BA03
3L113CB24
3L113DA11
(57)【要約】
【課題】 複数段にトレーを並べて設置した場合であっても、各段のトレーの対象物を均一に乾燥する。
【解決手段】 乾燥室100内の棚枠110には複数の乾燥棚120が設けられており、各乾燥棚120のトレー受け122には、乾燥対象の種子が収容されたトレー124がそれぞれ載せられている。給気室200の給気チャンバー220には、乾燥制御ユニット300の循環ファンFMから、乾燥用の空気が給気口302から供給される。空気は、送風ファン230によってトレー受け122に送られ、トレー受け122からトレー124の種子を乾燥した後、乾燥室100の正面側において下方に流れ、床下側を通って排気口304から乾燥制御ユニット300側に排気される。各トレー124に対する送風量が均一となるように、ファン制御装置400によって各送風ファン230の動作が制御される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥対象物を収容したトレーを複数並べて配置した乾燥室内に乾燥制御ユニットから送風して、前記乾燥対象物を乾燥する乾燥機であって、
前記乾燥室に隔壁で仕切られており、前記乾燥制御ユニットから給気される給気室,
前記トレーを置くとともに、トレーの乾燥対象物に送風するトレー受け,
前記各トレー受けの前記給気室に延設された部位に設けられた送風ファン,
前記各送風ファンの回転数を制御するファン制御装置,
を備えており、
前記ファン制御装置は、前記各トレー毎の送風量が均一になるように、前記各送風ファンの回転数を制御することを特徴とする乾燥機。
【請求項2】
前記ファン制御装置は、インバータ制御により、各送風ファンの風量を制御することを特徴とする請求項1記載の乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば植物の種子などの乾燥機に関し、特に、乾燥用のトレーが複数段あるような場合に好適な乾燥機の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のトレーを有する乾燥機としては、例えば、下記特許文献1記載の「浸種籾乾燥装置」がある。これは、重設した複数の各引き出し体に浸種籾のネット袋をセットして乾燥機枠に収納する。そして、乾燥風供給手段を駆動させると、乾燥風が前記各引き出し体の一方側から原料ネット袋の中を通風して他方側に抜け、更に、排風路及び排風口を介して機外に排風される。これにより、各引き出し体内の浸種籾が個別に乾燥される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した背景技術では、引き出し体が重ねられた乾燥機の一方の側面の下側から乾燥風が供給され、乾燥機の他の側面に設けられた排風路から乾燥風が排風されるようになっている。このため、重設された引き出し体に対する乾燥風の供給が不均一となってしまう。すなわち、下側の引き出し体のほうが上側の引き出し体よりも風量が大きく、種子の乾燥の状態が引き出し体毎に異なってしまう恐れがある。
【0005】
本発明は、以上のような点に着目したもので、複数段にトレーを重ねて設置した場合であっても、各段のトレーの対象物を均一に乾燥することができる乾燥機を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、乾燥対象物を収容したトレーを複数並べて配置した乾燥室内に送風制御ユニットから送風して、前記乾燥対象物を乾燥する乾燥機であって、前記乾燥室に隔壁で仕切られており、前記乾燥制御ユニットから給気される給気室,前記トレーを置くとともに、トレーの乾燥対象物に送風するトレー受け,前記各トレー受けの前記給気室に延設された部位に設けられた送風ファン,前記各送風ファンの回転数を制御するファン制御装置,を備えており、前記ファン制御装置は、前記各トレー毎の送風量が均一になるように、前記各送風ファンの回転数を制御することを特徴とする。
【0007】
主要な形態の一つによれば、前記ファン制御装置は、インバータ制御により、各送風ファンの風量を制御することを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数段に並べたトレー毎に送風ファンを設けて風量制御を行うこととしたので、各トレーにおける風量の均一化を図ることができ、対象物を均一に乾燥することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】各トレーに対する送風の様子を示す図である。
【
図3】複数のトレーを水平方向に配置した場合の送風の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例0011】
図1には、本発明の乾燥機の実施例の全体が示されている。同図において、乾燥機の正面側(図の左側)には乾燥室100が設けられており、後ろ側(図の右側)には乾燥制御ユニット300が設けられている。乾燥室100と乾燥制御ユニット300との間には、給気室200が設けられている。
【0012】
これらのうち、乾燥室100は棚枠110を備えており、棚枠110は複数の乾燥棚120を備えている。各乾燥棚120は、トレー受け122の上面側に種子などを収容するトレー124を載せるようになっており、それらトレー124の底面は通気可能なようにメッシュ状となっている。これにより、図に矢印で示すように、トレー受け122から送風された空気がトレー124の底面を通って乾燥対象に送られるようになっている。トレー受け122は、給気側(図の右側)に行くほど深くなるように傾斜した構成となっている。
【0013】
次に、給気室200は、隔壁210によって前記乾燥室100と仕切られており、乾燥室100に乾燥用の空気を供給する給気チャンバー220を備えている。給気チャンバー220内には、上述したトレー受け122が延設されており、その端部に送風ファン230がそれぞれ設けられている。なお、送風ファン230の空気の出力側には、必要に応じて、整風のための分散板126が設けられる。また、乾燥室100と、背面側の乾燥制御ユニット300との間には、上側に給気口302が設けられており、下側に排気口304が設けられている。
【0014】
すなわち、乾燥制御ユニット300から給気口302を通じて給気室200の給気チャンバー220に供給された空気は、隔壁210があるために直接乾燥室100に供給されず、送風ファン230によってトレー受け122から乾燥室100に供給される。また、トレー受け122のトレー124の種子に当たるようになる。各トレー124から排出された空気は、乾燥棚120の正面側から床下側に導かれ、排気口304から乾燥制御ユニット300に戻る。各送風ファン230の駆動制御は、ファン制御装置400によって行われるようになっている。
【0015】
次に、乾燥制御ユニット300としては、各種のものを適用してよいが、図示の例では、ヒーターユニット310,クーラーユニット320,ユニット制御装置330,ファン制御装置400を備えている。乾燥制御ユニット300の背面側には、吸気口OA,排気口EAがそれぞれ設けられている。クーラーユニット320は、除湿機(図示せず)を備えている。これらにより、加熱した空気や除湿・冷却した空気が、循環ファン(メインファン)FMから吸気室200の吸気チャンバー220に供給されるようになっている。
【0016】
乾燥室100,給気室200,乾燥制御ユニット300には、必要に応じて温度や湿度のセンサが設けられており、これらセンサの検知結果を参照して、乾燥制御ユニット300の動作が、ユニット制御装置330で制御されている。動作状態は、乾燥機の正面上側に設置されたディスプレイ312に表示される。例えば、運転中・停止中,残り時間,温度,湿度,露点温度などが表示される。
【0017】
次に、本実施例における給気室200の動作について説明する。給気室200の給気チャンバー220には、乾燥制御ユニット300の循環ファンFMから、乾燥用の空気が給気口302から供給される。空気は、送風ファン230によって、トレー受け122に送られる。そして、トレー受け122からトレー124の種子を乾燥ないし冷却した後、乾燥室100の正面側において下方に流れ、床下側を通って排気口304から乾燥制御ユニット300側に排気される。
【0018】
この場合において、従来であれば、乾燥制御ユニット300から供給された空気は、流れやすい方向に流れてしまい、各トレー124に対して不均一となってしまう。そこで、本実施例では、各トレー124に対する送風量が均一となるように、ファン制御装置400によって各送風ファン230の動作が制御される。具体的には、インバータ制御方式で制御が行われ、各段の送風ファン230毎にインバータ制御の周波数が設定される。この設定は、乾燥室100正面のドアに設けられたタッチパネル410によって行われる。
【0019】
本実施例の場合、給気室200の上側から空気が供給されることから、従来であればトレー124の上段よりも下段のほうが風の勢いが弱まるようになる。そこで本実施例では、前記タッチパネル410を操作して前記インバータ制御の周波数を調整し、各送風ファン230の電流が均一となるように、ファン制御装置400で制御される。送風ファン230の電流が同じであれば、風量も同じであると考えることができる。これにより、各トレー124に供給される送風量が乾燥棚120の上下で均一化されるようになる。
【0020】
図2には、その様子が示されている。同図(A)は、送風ファン230がない場合で、上段に位置するトレー124ほど送風量が多く、下段に位置するトレー124は送風量が少なくなってしまう。これに対し、本実施例によれば、同図(B)に示すように、送風ファン230によって、各トレー124の風量が均一に制御される。また、分散板126により、送風ファン230から送られた空気が、トレー124の全体に均一に行き渡るようになる。
【0021】
以上のように、本実施例によれば、複数のトレー124を重ねて設置した場合であっても、各トレー124毎に送風ファン230を設けることとしたので、複数のトレー124に対する送風量の均一化を図ることができ、各トレー124に収容した種子を均一に乾燥することができる。
【0022】
<他の実施例> なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例に示した形状や構造は、同様の機能を奏するように変更可能である。例えば、乾燥室100内におけるトレー124の積み重ね段数や横方向の設置列数は、必要に応じて適宜変更してよい。
(2)前記実施例で示した乾燥制御ユニット300の構成も一例であり、各種の構成としてよい。
(3)前記実施例では、トレー受け122の端部に送風ファン230を設けたが、送風ファン230の向き(回転軸の方向)は、水平方向,垂直方向のいずれでもよいし、また水平・垂直方向から傾いた方向であってもよい。また、トレー受け122の側面に設けるようにしてもよい。
(4)前記実施例では、各トレー受け122毎に送風ファン230を設けたが、上下の複数段(例えば2段)に一つの割合で送風ファンを設けるようにしてもよい。
(5)本実施例の適用対象としては種子が好適な例の一つであるが、各種の対象物に対して適用可能である。
(6)上記実施例では、トレー124を垂直方向に重ねたが、水平方向に並べる場合でも、同様に送風量を均一とするために、各トレーに送風ファンを設けるようにしてよい。
図3には、その様子が示されており、トレー受け122及びトレー124は、水平方向に並べられている。送風ファン230により、各トレー124に対する送風量は均一に制御される。
本発明によれば、複数段に並べたトレー毎に送風ファンを設けて風量制御を行うこととしたので、各トレーにおける風量の均一化を図ることができ、対象物を均一に乾燥することができるので、種子などの乾燥機に好適である。