(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038458
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】蓋の取付構造
(51)【国際特許分類】
B60K 15/05 20060101AFI20230310BHJP
【FI】
B60K15/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145196
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 康行
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA03
3D038CA32
3D038CB01
3D038CC16
(57)【要約】
【課題】給油口、充電口等のボックスへの取付けが容易で、耐久性に優れた蓋の取付構造を提供する。
【解決手段】アーム部収納部37の側面には、アーム部21の凹部26と係合する位置に、内面の断面が円形の筒状に突出するキャップ装着部38が形成され、キャップ装着部38には、キャップ装着部38の頂部39における内面から外側領域に、頂部39より突出する壁部50が形成され、キャップ装着部38の内面を貫通し、アーム部21の凹部26内に挿入される胴部41と、胴部41の先端部分に形成され、壁部50に略平行に対面可能な壁部対向面47を有すると共にキャップ装着部38の頂部50と係合する鍔部42を有するキャップ40を、キャップ装着部38に嵌め込み、壁部50によりキャップ40がキャップ装着部38内で回転することを防止すると共にボックス30に蓋取付部材20を取付ける。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の給油口又は充電口等を塞ぐ蓋には蓋取付部材が取付けられ、前記車体の給油口又は充電口等には、開口部を有するボックスが取付けられ、前記ボックスに前記蓋取付部材を取付けることにより、前記蓋を開閉可能にする蓋の取付構造であって、
前記蓋取付部材は、前記蓋を取付ける蓋取付部と、前記蓋取付部から湾曲して延設されるアーム部を有し、前記アーム部の先端部分の少なくとも一方の側面には円柱形状の凹部が形成され、
前記ボックスは、前記開口部を含むボックス本体部と、前記ボックス本体部から延設されたアーム部収納部を有し、
前記アーム部収納部の側面には、前記アーム部の前記凹部と係合する位置に、内面の断面が円形の筒状に突出するキャップ装着部が形成され、
前記キャップ装着部には、前記キャップ装着部の頂部における前記内面から外側領域に、前記頂部より突出する壁部が形成されており、
前記キャップ装着部の前記内面を貫通し、前記アーム部の前記凹部内に挿入される胴部と、前記胴部の先端部分に形成され、前記壁部に略平行に対面可能な壁部対向面を有すると共に前記キャップ装着部の前記頂部と係合する鍔部を有するキャップを、前記キャップ装着部に嵌め込むことにより、前記壁部により前記キャップが前記キャップ装着部内で回転することを防止すると共に前記ボックスに前記蓋取付部材を取付けることを特徴とする蓋の取付構造。
【請求項2】
前記壁部の前記キャップ装着部の前記内面側の壁部内側面は、略直線状に形成され、前記キャップの前記鍔部は、略D字形状に形成され、前記壁部対向面は、前記略D字形状の縦直線部分に形成されている請求項1に記載の蓋の取付構造。
【請求項3】
前記キャップ装着部の前記壁部は、前記頂部に跨って形成され、前記キャップ装着部の突出方向と垂直な面において、前記キャップの前記鍔部は、前記胴部の中心Oから前記壁部対向面に垂直な線との交点Aとの線分OAの長さをa、中心Oを挟んでAと反対側の弧状部との交点Bとの線分OBの長さをbとした時、a≦bである請求項2に記載の蓋の取付構造。
【請求項4】
前記蓋取付部材の前記アーム部材の先端部分の他方の側面には、円柱形状の凸部が他方の側面に形成された前記凹部と同軸に形成され、
前記アーム部材収納部の一方の側面には、前記凸部を案内するアーム部ガイド部が突出して形成され、前記アーム部ガイド部の先端部分には、前記凸部が収納される凸部受け部が形成され、
前記アーム部の前記凸部が前記アーム部ガイド部の前記凸部受け部に係合する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の蓋の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等車両の車体の給油口、充電口等を塞ぎ、開閉可能な蓋の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用燃料タンクにガソリン等の燃料や水素を給油又は充填する場合には、車体に設けられた給油口又は充填口を塞ぐ給油口蓋、充填口蓋を開き、燃料キャップを外して給油口から燃料を給油する、又は、充填ポートに充填プラグを差し込んで水素を充填する。又、電気自動車やPHV(プラグインハイブリッド車)に電気を充電する場合には、充電蓋を開き、急速充電ポート又は普通充電ポートのキャップを外し、充電コネクタを充電ポートに差し込んで充電する。
【0003】
例えば、自動車用燃料タンクに燃料を給油する場合には、
図1に示すように、車体に設けられた給油口101を塞ぐ蓋(給油口蓋)110を開いて、給油口101から燃料を給油する。蓋110の裏面には蓋取付部材200が取付けられ、蓋取付部材200は、ボックス(給油口ボックス)300に取付けられる。そして、蓋110は、蓋取付部材200に取付けられている。
【0004】
図2と
図3に示すように、蓋取付部材200は、蓋110を開閉可能にする大きく湾曲したアーム部210を有しており、アーム部210のボックス300内における開閉スペースを確保するため、アーム部210の回転中心は、給油口101よりも横方向の奥に位置し、回転中心において、ボックス300と係合されている。
【0005】
アーム部210とボックス300との係合による蓋の取付け構造として、特許文献1に開示された技術を
図4と
図11に基づいて説明する。
図4に示すように、アーム部210の先端部分の側面210aには、円柱形状の凹部260が形成されている。この凹部260がアーム部210の回転中心となる。
【0006】
そして、
図11に示すように、ボックス300のアーム部収納部370の側面370aには、アーム部210の凹部260に合致する位置に、円柱形状に突出し、頂部に開口を有するキャップ装着部(凹部受け部)380が形成されている。キャップ装着部380の先端部分には先端溝部380aが形成されている。
【0007】
そして、ボックス300のアーム部収納部370の側面370aのキャップ装着部380に、キャップ装着部380を貫通し、アーム部210の凹部260内に挿入されるキャップ400を嵌め込むことにより、蓋取付部材200のアーム部210とボックス300のアーム部収納部370が係合される。
【0008】
キャップ400は、円柱形状の胴部410と、胴部410の先端部分に形成された胴部410の直径より大きい円柱形状の鍔部420からなる。鍔部420の下部にはキャップ装着部380の先端溝部380aに合致する部位に係合凸部440が形成されている。
【0009】
そして、キャップ装着部380の先端溝部380aとキャップ400の係合凸部440が係合することにより、キャップ400がキャップ装着部380に固定されるので、蓋110の開閉に伴うアーム部210の回動によりキャップ400がキャップ装着部380内で回動することを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1では、キャップ400の係合凸部440の位置をキャップ400の側面側から確認した後に、キャップ装着部380の先端溝部380aとキャップ400の係合凸部440を係合させる必要があるので、位置合わせに時間を要する。又、蓋110の開閉に伴い、アーム部210が回転する際に、キャップ装着部380の先端溝部380aとキャップ400の係合凸部440との間には、アーム部210が回転する際に荷重がかかり、応力集中が発生するので、応力集中に伴う先端溝部380aまたは/及び係合凸部440が破損することが懸念される。そこで、本発明は、給油口、充電口等のボックスへの取付けが容易で、耐久性に優れた蓋の取付構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、車体の給油口又は充電口等を塞ぐ蓋には蓋取付部材が取付けられ、車体の給油口又は充電口等には、開口部を有するボックスが取付けられ、ボックスに蓋取付部材を取付けることにより、蓋を開閉可能にする蓋の取付構造であって、蓋取付部材は、蓋を取付ける蓋取付部と、蓋取付部から湾曲して延設されるアーム部を有し、アーム部の先端部分の少なくとも一方の側面には円柱形状の凹部が形成され、ボックスは、開口部を含むボックス本体部と、ボックス本体部から延設されたアーム部収納部を有し、アーム部収納部の側面には、アーム部の凹部と係合する位置に、内面の断面が円形の筒状に突出するキャップ装着部が形成され、キャップ装着部には、キャップ装着部の頂部における内面から外側領域に、頂部より突出する壁部が形成されており、キャップ装着部の内面を貫通し、アーム部の凹部内に挿入される胴部と、胴部の先端部分に形成され、壁部に略平行に対面可能な壁部対向面を有すると共にキャップ装着部の頂部と係合する鍔部を有するキャップを、キャップ装着部に嵌め込むことにより、壁部によりキャップがキャップ装着部内で回転することを防止すると共にボックスに蓋取付部材を取付けることを特徴とする蓋の取付構造である。
【0013】
請求項1の本発明では、アーム部の先端部分の少なくとも一方の側面には円柱形状の凹部が形成され、ボックスは、開口部を含むボックス本体部と、ボックス本体部から延設されたアーム部収納部を有し、アーム部収納部の側面には、アーム部の凹部と係合する位置に、内面の断面が円形の筒状に突出するキャップ装着部が形成され、キャップ装着部には、キャップ装着部の頂部における内面から外側領域に、頂部より突出する壁部が形成されており、キャップ装着部の内面を貫通し、アーム部の凹部内に挿入される胴部と、胴部の先端部分に形成され、壁部に略平行に対面可能な壁部対向面を有すると共にキャップ装着部の頂部と係合する鍔部を有するので、第1に、キャップ装着部の壁部にキャップの壁部対向面を当接させるように嵌め込むことができるので、位置合わせが容易になる。
【0014】
第2に、キャップ装着部の壁部とキャップの壁部対向面によりキャップがキャップ装着部内で回転することを防止するので、アーム部が回転する際の応力集中を防止若しくは極めて僅かにすることができ、キャップとキャップ装着部の係合の耐久性が向上する。
【0015】
請求項2の本発明は、請求項1の発明において、壁部のキャップ装着部の内面側の壁部内側面は、略直線状に形成され、キャップの鍔部は、略D字形状に形成され、壁部対向面は、略D字形状の縦直線部分に形成されている蓋の取付構造である。
【0016】
請求項2の本発明では、壁部のキャップ装着部の内面側の壁部内側面は、略直線状に形成され、キャップの鍔部は、略D字形状に形成され、壁部対向面は、略D字形状の縦直線部分に形成されているので、共に略直線状の鍔部の壁部対向面と壁部の壁部内側面を合わせるように装着することができ、位置合わせが容易になる。
【0017】
なお、キャップの鍔部の略D字形状について、縦直線部に相対する弧状形状は、弧形状のみならず、直線部が連続する形状であってもよい。すなわち、キャップにおいて、壁部対向面の部位が外観において明確に識別される形状であればよい。
【0018】
請求項3の本発明は、請求項2の発明において、キャップ装着部の壁部は、頂部に跨って形成され、キャップ装着部の突出方向と垂直な面において、キャップの鍔部は、胴部の中心Oから壁部対向面に垂直な線との交点Aとの線分OAの長さをa、中心Oを挟んでAと反対側の弧状部との交点Bとの線分OBの長さをbとした時、a≦bである蓋の取付構造である。
【0019】
請求項3の本発明では、キャップ装着部の壁部は、頂部に跨って形成され、キャップ装着部の突出方向と垂直な面において、キャップの鍔部は、胴部の中心Oから壁部対向面に垂直な線との交点Aとの線分OAの長さをa、中心Oを挟んでAと反対側の弧状部との交点Bとの線分OBの長さをbとした時、a≦bであるので、キャップ装着部の壁部をキャップ装着部の内面に近づけて形成することになり、壁部がキャップ装着部の内面から離れるに伴うキャップ装着部の重量が増加と、キャップの鍔部の大型化を抑制することができる。なお、キャップ装着部の内面の半径をcとすると、c≦aの関係になる。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3の発明において、アーム部材の先端部分の他方の側面には、円柱形状の凸部が他方の側面に形成された凹部と同軸に形成され、アーム部収納部の一方の側面には、凸部を案内するアーム部材ガイド部が突出して形成され、アーム部材ガイド部の先端部分には、凸部が収納される凸部受け部が形成され、アーム部材の凸部がアーム部材ガイド部の凸部受け部に係合する蓋の取付構造である。
【0021】
請求項4の発明では、アーム部材の先端部分の他方の側面には、円柱形状の凸部が他方の側面に形成された凹部と同軸に形成され、アーム部収納部の一方の側面には、凸部を案内するアーム部材ガイド部が突出して形成され、アーム部材ガイド部の先端部分には、凸部が収納される凸部受け部が形成され、アーム部材の凸部がアーム部材ガイド部の凸部受け部に係合するので、アーム部材をボックスに取付けるときに、アーム部材ガイド部に沿って円柱形状に突出した凸部を挿入することができ、ボックスの奥の車体の内部方向に形成された直接見えないボックスのアーム部材収納部に、容易にアーム部材を組み付けることができる。
【発明の効果】
【0022】
アーム部の先端部分の少なくとも一方の側面には円柱形状の凹部が形成され、ボックスは、開口部を含むボックス本体部と、ボックス本体部から延設されたアーム部収納部を有し、アーム部収納部の側面には、アーム部の凹部と係合する位置に、内面の断面が円形の筒状に突出するキャップ装着部が形成され、キャップ装着部には、キャップ装着部の頂部における内面から外側領域に、頂部より突出する壁部が形成されており、キャップ装着部の内面を貫通し、アーム部の凹部内に挿入される胴部と、胴部の先端部分に形成され、壁部に略平行に対面可能な壁部対向面を有すると共にキャップ装着部の頂部と係合する鍔部を有するので、第1に、キャップ装着部の壁部にキャップの壁部対向面を当接させるように嵌め込むことができるので、位置合わせが容易になる。
【0023】
第2に、キャップ装着部の壁部とキャップの壁部対向面によりキャップがキャップ装着部内で回転することを防止するので、アーム部が回転する際の応力集中を防止若しくは極めて僅かにすることができるので、キャップとキャップ装着部の係合の耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】蓋を開いた状態の給油口部分の斜視図である。
【
図2】ボックスと蓋と蓋取付部材の位置関係を説明する断面図である(
図1のX-X断面図)。
【
図3】蓋取付部材のアーム部とボックスのアーム部収納部の拡大断面図である(
図1のX-X断面図)。
【
図4】本発明の実施形態を示すもので、アーム部の先端部分の一方の側面の斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態を示すもので、アーム部収納部の一方の側面の斜視図であり、キャップとキャップ装着部との関係を説明する斜視図である。
【
図6】
図5において、キャップをキャップ装着部に嵌め込んだ時の斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態を示すもので、アーム部収納部の他方の側面の斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態を示すもので、アーム部の先端部分の他方の側面の斜視図である。
【
図10】
図9のアーム部を
図7のアーム部収納部に装着した時の断面図である。
【
図11】従来の蓋の取付け構造のキャップとキャップ装着部との関係を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の実施形態は、車体2の給油口1を塞ぐと共に開閉可能な蓋10(給油口蓋)の取付構造に関し説明するものであるが、充填ポートに充填プラグを差し込んで水素を充填する場合や電気自動車やPHV(プラグインハイブリッド車)に電気を充電する場合にも使用することができる。
【0026】
蓋10は、
図1に示すように、車体2の給油口1を塞ぐために給油口1の形状に合わせて形成されている。自動車用燃料タンクに燃料を給油する場合に、車体2に設けられた給油口1を塞ぐ蓋10を開いて、給油口1から燃料を給油する。蓋10の裏面には蓋取付部材20が取付けられ、蓋取付部材20は、ボックス30に取付けられる。
【0027】
図2と
図3に示すように、蓋取付部材20は、蓋10に取付けられる蓋取付部22と、蓋10を開閉可能にする大きく湾曲した円弧状のアーム部21を有している。又、蓋取付部22には、後述するボックス30のロックピン32と係合する蓋ロック部23が形成されている。なお、蓋10と蓋取付部材20を一体に形成してもよい。
【0028】
車体2に取付けられるボックス30は、給油口1部分に開口部36を有するボックス本体部31と、蓋取付部材20のアーム部21を収納するアーム部収納部37を有している。アーム部21のボックス30内における開閉スペースを確保するため、アーム部収納部37は、ボックス本体部31を車体2に保持するボックス保持部3よりも車体2の内側(
図2、
図3における左側)に入り込んで形成されている。したがって、アーム部21の回転中心は、アーム部収納部37内のさらに蓋10よりも横方向の奥の部分において、アーム部収納部37と係合されている。
【0029】
ボックス30のアーム部収納部37と反対側のボックス本体部31には、ロックピン32が形成され、蓋10が閉じられたときに、ロックピン32が蓋取付部材20の蓋ロック部23に係合して、蓋10をロックすることができる。蓋10を開くときは、ボックス30のロックピン32が後退して、アーム部21の蓋ロック部23から外れる。
【0030】
ボックス本体部31の上端の周囲には、シール部材33が取付けられ、ボックス本体部31が、車体2のボックス保持部3に取付けられたときに、車体2とボックス本体部31の上端との間をシールする。
【0031】
図4に示すように、蓋取付部材20のアーム部21の先端部分の一方の側面21aには、円柱形状の凹部26が形成されている。又、
図5から
図7に示すように、アーム部収納部37の一方の側面37aには、アーム部21の凹部26に合致する位置に、内面の断面が円形の筒状に突出し、頂部39に開口を有するキャップ装着部38が形成されている。
【0032】
キャップ装着部38には、キャップ装着部38がアーム部収納部37から突出する方向において、キャップ装着部38の頂部39上におけるキャップ装着部38の内面38fから外側領域に、頂部39から突出した直方体形状の壁部50が形成されている。なお、壁部50は、直方体形状には限定されない。又、キャップ装着部38の壁部50が形成されていない側は、外側面も断面円形であり、キャップ装着部38を上から見た時には、D字形状の中に円形の開口が形成された形状になっている。すなわち、壁部50は、D字の縦直線部分に該当している。又、壁部50の長辺の長さは、キャップ装着部38の外側面の直径と同じである。なお、壁部50の長辺の長さは、キャップ装着部38の外側面の直径と同じではなく、長く形成、若しくは短く形成してもよい。
【0033】
壁部50におけるキャップ装着部38の内面38f側の壁部内側面51は、
図5に示すように、キャップ装着部38の突出方向と垂直な面において、直線状に形成されている。なお、壁部内側面51は、直線ではなく、キャップ装着部38の内面38fより直径の大きな弧形状であってもよく、又は、逆方向に反った弧形状であってもよい。さらに、直線が連続した角形状、若しくは弧形状と直線が混在した形状であってもよい。
【0034】
図5において、本実施形態では、壁部内側面51は、キャップ装着部38の頂部39であり、キャップ装着部38の内面38fと接する位置から突出している。したがって、壁部内側面51は、キャップ装着部38を上から見た時に内面38fの接線になっている。なお、壁部内側面51は、キャップ装着部38の頂部39におけるキャップ装着部38の内面38fから外側領域に形成されていればよい。ただし、壁部内側面51がキャップ装着部38の頂部39においてキャップ装着部38の内面38fから離れるにつれてD字の上下方向の直線部分が長くなり、それに伴いキャップ装着部38の重量が増加し、又、後に詳述するキャップ40の鍔部42も大きく形成する必要があるので、壁部50の壁部内側面51は、キャップ装着部38の内面38fに近づけて形成することが望ましい。
【0035】
図5と
図7に示すように、キャップ装着部38の内面38fは、アーム部21側に形成された小径部38bと、小径部38bより直径が大きな大径部38dと、小径部38bと大径部38dを連結する傾斜部38cが同軸に形成され、大径部38dには、周状に内側溝部38eが大径部38dと同軸に形成されている。
【0036】
図5から
図7に示すように、アーム部収納部37のキャップ装着部38を貫通し、アーム部21の凹部26内に挿入され、係合して嵌め込まれるキャップ40は、キャップ装着部38を貫通する胴部41と、キャップ装着部38の頂部39に係合する鍔部42を有している。キャップ40の鍔部42の直径は、胴部41の直径より大きい。
【0037】
胴部41は、キャップ装着部38の小径部38bを貫通し、アーム部21の凹部26に挿入されてアーム部21と係合する第1胴部41aと、キャップ装着部38の大径部38dを貫通する第2胴部41bと、キャップ装着部38の傾斜部38cを貫通する第3胴部41cが同軸に形成されている。
【0038】
又、第2胴部41bには、キャップ装着部38の内側溝部38eに係合する係合凸部43が形成されている。係合凸部43は、キャップ40がキャップ装着部38に嵌め込まれた時にキャップ装着部38の内側溝部38eに合致する位置に形成されている。係合凸部43がキャップ装着部38の内側溝部38eに係合することにより、アーム部21が回転してもキャップ40がキャップ装着部38から抜けることを防止する。
【0039】
更に、第3胴部41cには、
図7示すように、先端部分が先細り形状に突出するシール部46が周状に形成されている。シール部46の形状は、外側面が凸状の円弧形状を有し、下方に向かい第1胴部41aに近づく形状となっている。一方、内側面は、第1胴部41aと略平行に形成されている。これによって、シール部46の先端がアーム部収納部37のキャップ装着部38の傾斜部38cに接触し、更にキャップ40が押し込まれたときに、傾斜部38cの傾斜に沿って、第1胴部41a側に撓むように変形して傾斜部38cに弾接して、シール部46と傾斜部38cとの間を確実にシールする。
【0040】
又、第1胴部41a、第2胴部41b、第3胴部41cと鍔部42は、鍔部42側に開口を有する空洞部45が形成されており、この空洞部45により、キャップ40自身が内側方向への若干の変形を許容し、キャップ40をキャップ装着部38に嵌め込み易くしている。又、同時に、キャップ40の軽量化を図ることができる。なお、キャップ40の空洞部45を形成せず、中実としてもよい。
【0041】
又、キャップ40を上から見た時には、鍔部42はD形状に形成されており、壁部対向面47がD字の縦直線部分に該当する。上記の通り、キャップ装着部38の壁部50の壁部内側面51は、キャップ装着部38の内面38fと接する位置から突出しているので、キャップ40の鍔部42において、胴部41の中心Oから壁部対向面47に垂直な線との交点Aとの線分AOの長さをa、中心Oを挟んでAと反対側の弧状部との交点Bとの線分OBの長さをbとした時、本実施形態では、a<bとなっている。ここで、a=bとなるのは、鍔部42の壁部対向面47がキャップ装着部38の外側面の接線となるように形成された時である。
【0042】
なお、キャップ40をキャップ装着部38に装着した時、キャップ40の壁部対向面47と、キャップ装着部38の壁部50の壁部内側面51は面で当接することが望ましいが、キャップ装着部38とキャップ40の成形時の公差による装着できなくなる不具合を防止するため、成形時の公差を考慮した隙間が形成されることは本発明の範囲内であり、左記隙間は、本発明の効果に影響を与えない。なお、上記の公差を越えてキャップ装着部38の壁部50の壁部内側面51とキャップ40の壁部対向面47との間の隙間が大きくなると、キャップ40の回転域が大きくなり、応力集中の可能性が増大するので、望ましくない。
【0043】
一方、
図8から
図10に示すように、アーム部収納部37の他方の側面37bには、アーム部21の他の側面21bに形成された円柱形状の凸部25をボックス本体部31から案内するアーム部ガイド部34が突出して形成され、アーム部ガイド部34の先端部分には、アーム部21の凸部25と係合する凸部受け部35が形成されている。
【0044】
アーム部21の凸部25が通過するアーム部ガイド部34の幅は、凸部25の直径より少し大きく形成され、凸部25が通過しやすくなっている。又、アーム部ガイド部34と凸部受け部35の連結部には、凸部25の直径よりわずかに小さい幅となるような両側が窪んだ狭幅部34aが形成されている。凸部25を狭幅部34aに押し込み、狭幅部34aが少し撓んで凸部25を通過させることにより凸部受け部35に凸部25を嵌め込むと共に凸部25が凸部受け部35から外れることを防止できる。なお、アーム部ガイド部34の凸部受け部35の幅は、凸部25の直径とほぼ同じに形成され、凸部受け部35内における凸部25のズレを抑えている。
【0045】
又、アーム部収納部37のアーム部ガイド部34と凸部受け部35の連結部の狭幅部34aが形成されている場所の外面から内部方向(狭幅部34aと直交する方向)には、ボックス本体部31側に傾斜面を有する突起部34bが形成されている。
【0046】
図9に示すように、アーム部21のボックス取付部24の一方の側面24aには、円柱形状に突出して凸部25が、反対側の側面に形成されている凹部26と同軸に形成されている。又、その先端部分は斜面状に切りかかれた凸部斜面25aが形成されている。凸部斜面25aにより凸部25がアーム部ガイド部34の突起部34bを乗り越えやすくなるので、アーム部21をボックス30の凸部受け部35に取付けやすい。なお、凸部斜面25aは形成しなくてもよい。
【0047】
本実施形態において、蓋取付部材20はナイロンを使用し、キャップ40はPP(ポリプロピレン)を使用した。ボックス取付部24の凹部26(ナイロン)には、キャップ40の胴部41(ポリプロピレン)が挿入され、ボックス取付部24が回動するが、両部材が異なる材料で構成されているので、係合するキャップ40の胴部41とボックス取付部24の凹部26が摩耗し、経時的にがたつきが発生することを防止することができる。なお、蓋取付部材20とキャップ40の材料は、異なっていれば良く、上記のナイロンとPPには限定されない。
【0048】
次に、ボックス30のアーム部収納部37への蓋取付部材20のアーム部21の取付けについて以下に説明する。まず、アーム部21の先端部分をボックス30のボックス本体部31側からアーム部収納部37に挿入する。同時に、ボックス取付部24の凸部25をアーム部収納部37のアーム部ガイド部34に挿入する。
【0049】
アーム部ガイド部34に沿ってボックス取付部24の凸部25を摺動させると、凸部25は、凸部25の直径よりわずかに小さい幅となるような両側が窪んだ狭幅部34aと内部方向(狭幅部34aと直交する方向)に突出する突起部34bに当接する。そして、凸部25を更に押し込みと狭幅部34aが少し撓むとともに、凸部25が突起部34bを乗り越えて通過し、その奥にある凸部受け部35に入る。この時、凸部25が形成されたボックス取付部24の反対の側面21bには凹部26が同軸に形成されており、対向するアーム部収納部37の側面37aにはキャップ装着部38が形成されている。
【0050】
次に、キャップ装着部38の形成された壁部50の方向にキャップ40の壁部対向面47を合わせた後、キャップ40の胴部41を第1胴部41a側から挿入する。第1胴部41aは、キャップ装着部38の大径部38d、傾斜部38cと小径部38bを通過し、アーム部21の凹部26に挿入される。このアーム部21の凹部26への挿入の前後(これは前又は後のどちらでも良い)に、キャップ40の第2胴部41bに形成された係合凸部43がキャップ装着部38の先端部に当接する。
【0051】
キャップ40を更に押し込むと、係合凸部43は撓み、大径部38d内を摺動する。そして、キャップ40の鍔部42が、キャップ装着部38の頂部39に当接して摺動が停止する。
【0052】
又、上記の係合凸部43が第2胴部41b内を更に摺動するときには、キャップ40の第3胴部41cに形成されたシール部46がキャップ装着部38の傾斜部38cに当接、湾曲して撓んで、傾斜部38cに弾接する。
【0053】
この結果、キャップ装着部38の形成された壁部50の方向にキャップ40の壁部対向面47を合わせ、キャップ装着部38に押し込むことにより、キャップ装着部38に形成された壁部50の壁部内側面52とキャップ40の鍔部42の壁部対向面47が当接若しくは近接してキャップ40がキャップ装着部38に固定されるので、キャップ40の取付けを容易に行うことができる。又、蓋10の開閉に伴うアーム部21の回動によりキャップ40がキャップ装着部38内で回動することを防止することができるので、アーム部21が回転する際の応力集中を防止若しくは極めて僅かにすることができる。したがって、キャップ40とキャップ装着部38の係合の耐久性が向上する。
【0054】
又、胴部41の第2胴部41bの側面に形成された係合凸部43とキャップ装着部38の内側溝部38eが係合するので、蓋10の開閉や走行時の振動等によって、キャップ40がアーム部収納部37のキャップ装着部38から抜けるのを防止することができる。
【0055】
更に、キャップ40の第3胴部41cに形成されたシール部46がキャップ装着部38の傾斜部38cに弾接するので、キャップ40の鍔部42とキャップ装着部38との間から水がボックス取付部24側に侵入した場合も、ボックス取付部24の凹部26とキャップ40の第1胴部41aとの間に水が浸入することを防止することができる。
【0056】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0057】
例えば、上記の実施形態では、一方のアーム部収納部37の側面にキャップ装着部38を形成し、他方の側面には、キャップ装着部38を形成しなかったが、両側面にキャップ装着部38を装着し、両側面において、キャップ40により、アーム部収納部37にアーム部21を係合させてもよい。
【0058】
例えば、上記の実施形態では、壁部50をキャップ装着部38の頂部39に直線状に1箇所形成したが、垂直、若しくは平行に2箇所形成し、キャップ40の壁部対向面47を左記壁部50の配置に合わせて形成してもよい。
【0059】
例えば、上記の実施形態では、キャップ40の胴部41とキャップ装着部38の内面38fの形状を
図5と
図7のように形成したが、背景技術(
図11)のような形状に形成してもよい。
【0060】
例えば、上記の実施形態では、キャップ装着部38の突出方向と垂直な面において、キャップ装着部38とキャップ40の鍔部42の形状を同じ形状にしたが、特にキャップ装着部38については、外形を角柱や角錐とするなど、キャップ40の鍔部42と異なる形状にしてもよい。なお、この場合、壁部50の存在位置が外観上明確に識別可能な形状とすることがキャップ40を装着する観点で望ましい。
【符号の説明】
【0061】
10 蓋
20 蓋取付部材
21 アーム部
26 凹部
30 ボックス
31 ボックス本体部
37 アーム部収納部
38 キャップ装着部
38f 内面
39 頂部
40 キャップ
41 胴部
42 鍔部
47 壁部対向面
50 壁部
51 壁部内側面