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特開2023-38469ウォーム減速機付き電動機および電動パワーステアリング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038469
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】ウォーム減速機付き電動機および電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/16 20060101AFI20230310BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20230310BHJP
   F16H 57/023 20120101ALI20230310BHJP
【FI】
F16H1/16 Z
B62D5/04
F16H57/023
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145216
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 光輝
(72)【発明者】
【氏名】樫本 圭司
【テーマコード(参考)】
3D333
3J009
3J063
【Fターム(参考)】
3D333CB13
3D333CC14
3D333CD04
3D333CD05
3D333CD14
3D333CD16
3D333CD60
3D333CE04
3J009DA17
3J009EA06
3J009EA19
3J009EA23
3J009EA32
3J009FA08
3J063AA01
3J063AB03
3J063AC01
3J063BB41
3J063CC23
3J063CD02
3J063CD42
3J063CD43
3J063CD45
(57)【要約】
【課題】より小型化されたウォーム減速機付き電動機および電動パワーステアリング装置を提供すること。
【解決手段】ウォーム減速機付き電動機は、ウォームホイールを収容する第1ハウジングと、ウォームシャフトを収容する第2ハウジングと、を備える。ウォームシャフトは、シャフト歯部に対して第2方向の一方側の端部および他方側の端部に位置し、且つ、第2方向に向けて開口する凹部を有するロータと、ロータの凹部に収容される軸受と、軸受の内周に嵌合される本体部と、本体部から第2方向に突出する突出部とを含むピンと、を備える。第2ハウジングには、ピンの突出部が嵌合するスリットが設けられる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる中心軸の軸回り方向に回転可能で、且つ、ホイール歯部を有するウォームホイールと、
前記ウォームホイールを収容し、且つ、当該ウォームホイールを回転可能に支持する第1ハウジングと、
前記ホイール歯部に噛み合うシャフト歯部を有し、且つ、前記第1方向に交差する第2方向に延びる中心軸の軸回り方向に回転可能なウォームシャフトと、
前記ウォームシャフトを収容し、当該ウォームシャフトを回転可能に支持し、且つ、前記第1ハウジングに取り付けられる第2ハウジングと、
前記第2ハウジングに取り付けられるステータと、
を備え、
前記ウォームシャフトは、
前記シャフト歯部に対して前記第2方向の一方側の端部および他方側の端部に位置し、且つ、前記第2方向に向けて開口する凹部を有するロータと、
前記ロータの前記凹部に収容される軸受と、
前記軸受の内周に嵌合される本体部と、前記本体部から前記第2方向に突出する突出部とを含むピンと、を備え、
前記ステータは、前記ロータの外周側に対向して配置され、
前記第2ハウジングは、
前記ピンの前記突出部が嵌合する嵌合部を備える、
ウォーム減速機付き電動機。
【請求項2】
前記第2ハウジングは、
前記第1ハウジング側に位置し、且つ、前記第1ハウジングの縁に沿って延びる第1枠状部材と、
前記第1枠状部材における前記第2方向の一方側および他方側の部位から、前記第1方向および前記第2方向の双方に交差する第3方向に延びる第2枠状部材と、を備え、
前記第2枠状部材には、前記第3方向に沿って延び、且つ、前記第1ハウジング側が開口するスリットが設けられ、
当該スリットが、前記第2ハウジングの前記嵌合部である、
請求項1に記載のウォーム減速機付き電動機。
【請求項3】
前記ピンの前記突出部は、前記第3方向の高さよりも前記第1方向の幅が小さい縦長の異形柱部であり、
前記スリットに前記突出部が嵌合した状態において、当該突出部は、回転不能である、
請求項2に記載のウォーム減速機付き電動機。
【請求項4】
前記軸受は、ニードル軸受または滑り軸受である、
請求項1から3のいずれか1項に記載のウォーム減速機付き電動機。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のウォーム減速機付き電動機を備える、
電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウォーム減速機付き電動機および電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の電動パワーステアリング装置は、ウォーム減速機付き電動機を備え、当該ウォーム減速機付き電動機は、ウォームシャフトと、ウォームホイールと、を有する。ウォームシャフトは、ウォームホイールと噛み合っており、ウォームシャフトがモータで回転駆動することにより、ウォームホイールも回転する。また、ウォームホイールは、第1ハウジングに収容され、ウォームシャフトは、第2ハウジングに収容される。
【0003】
ウォームシャフトは、中心軸の軸方向に延びる。ウォームシャフトは、シャフト歯部と、ロータと、軸受と、シャフトと、を有する。シャフト歯部は、軸方向の中央に位置し、ウォームホイールのホイール歯部と噛み合う。シャフト歯部の軸方向の両側にロータが位置し、ロータの軸方向の両側に軸受が位置する。シャフトは、シャフト歯部から軸方向に延び、ロータを固定する。また、シャフトの両端部は、第2ハウジングに固定された軸受に回転可能に支持される。これにより、ウォームシャフトは、第2ハウジングに対し、軸受を介して回転可能に支持される。このように、ウォームシャフトは、中心軸の軸方向に長く延びるため、ウォームシャフトを収容する第2ハウジングも大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-192787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
より小型化されたウォーム減速機付き電動機および電動パワーステアリング装置が望まれる。
【0006】
本開示は、前述の課題に鑑みてなされたものであって、より小型化されたウォーム減速機付き電動機および電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、一態様に係るウォーム減速機付き電動機または電動パワーステアリング装置は、第1方向に延びる中心軸の軸回り方向に回転可能で、且つ、ホイール歯部を有するウォームホイールと、前記ウォームホイールを収容し、且つ、当該ウォームホイールを回転可能に支持する第1ハウジングと、前記ホイール歯部に噛み合うシャフト歯部を有し、且つ、前記第1方向に交差する第2方向に延びる中心軸の軸回り方向に回転可能なウォームシャフトと、前記ウォームシャフトを収容し、当該ウォームシャフトを回転可能に支持し、且つ、前記第1ハウジングに取り付けられる第2ハウジングと、前記第2ハウジングに取り付けられるステータと、を備え、前記ウォームシャフトは、前記シャフト歯部に対して前記第2方向の一方側の端部および他方側の端部に位置し、且つ、前記第2方向に向けて開口する凹部を有するロータと、前記ロータの前記凹部に収容される軸受と、前記軸受の内周に嵌合される本体部と、前記本体部から前記第2方向に突出する突出部とを含むピンと、を備え、前記ステータは、前記ロータの外周側に対向して配置され、前記第2ハウジングは、前記ピンの前記突出部が嵌合する嵌合部を備える。
【0008】
前述したように、特許文献1のウォームシャフトにおいては、シャフト歯部の軸方向の両側にロータが位置し、ロータの軸方向の両側に軸受が位置し、軸受が第2ハウジングの内側に固定される。シャフト歯部とロータとは軸方向に離隔され、ロータと軸受とは軸方向に離隔される。従って、ウォームシャフトおよび第2ハウジングが軸方向に長くなり、第2ハウジングを含むウォーム減速機付き電動機が大型化する。
【0009】
これに対して、本開示に係るウォームシャフトでは、ロータの内側に設けた凹部に軸受が収容される。従って、特許文献1のウォームシャフトよりも、本開示に係るウォームシャフトの方が軸方向の長さが短くなり、第2ハウジングがより小さくなる。以上より、本開示によれば、より小型化されたウォーム減速機付き電動機および電動パワーステアリング装置を提供することが可能となる。
【0010】
望ましい態様として、前記第2ハウジングは、前記第1ハウジング側に位置し、且つ、前記第1ハウジングの縁に沿って延びる第1枠状部材と、前記第1枠状部材における前記第2方向の一方側および他方側の部位から、前記第1方向および前記第2方向の双方に交差する第3方向に延びる第2枠状部材と、を備え、前記第2枠状部材には、前記第3方向に沿って延び、且つ、前記第1ハウジング側が開口するスリットが設けられ、当該スリットが、前記第2ハウジングの前記嵌合部である
【0011】
このように、第2ハウジングは、第1枠状部材および第2枠状部材を備えるため、特許文献1のような箱型の第2ハウジングよりも開口部が少ない。従って、本開示の第2ハウジングは、特許文献1の第2ハウジングよりも、軽量である。また、第2枠状部材には、第1ハウジング側が開口するスリットが設けられるため、ウォームシャフトを第2ハウジングに組み付けるときに、ピンの突出部をスリットに挿入して第3方向に移動させればよいため、組付作業が容易である。これに対して、第2ハウジングの嵌合部が貫通孔を有する環状部材の場合は、ピンの突出部を環状部材の貫通孔に差し込むために、例えば、ウォームシャフトの姿勢を斜めにしたり、第2枠状部材を押し広げて変形させたりする作業が必要になる可能性がある。
【0012】
望ましい態様として、前記ピンの前記突出部は、前記第3方向の高さよりも前記第1方向の幅が小さい縦長の異形柱部であり、前記スリットに前記突出部が嵌合した状態において、当該突出部は、回転不能である。なお、本明細書において、「異形柱部」とは、例えば、角柱など、円柱形状以外の形状を有する柱部を意味する。
【0013】
ピンの突出部は、第3方向の高さよりも第1方向の幅が小さい縦長の形状を有する。従って、第3方向の高さよりも第1方向の幅が大きい横長の突出部よりも、突出部が嵌合するスリットの幅がより小さくなるため、第2ハウジングが更に小型化される。
【0014】
望ましい態様として、前記軸受は、ニードル軸受または滑り軸受である。ニードル軸受または滑り軸受は、例えば、転がり軸受よりも、外径が小さいため、軸受が小さくなるため、第2ハウジングが更に小型化される。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、より小型化されたウォーム減速機付き電動機および電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態の電動パワーステアリング装置の模式図である。
図2図2は、実施形態に係るウォーム減速機付き電動機を第1ステアリングシャフトの出力軸側から見た模式的な斜視図である。
図3図3は、図2の側面図である。
図4図4は、実施形態に係るウォーム減速機付き電動機を第1ステアリングシャフトの入力軸側から見た模式的な斜視図である。
図5図5は、実施形態に係るウォーム減速機付き電動機を第1ステアリングシャフトの出力軸側から見た模式的な正面図である。
図6図6は、図4の分解斜視図である。
図7図7は、図4のVIIーVII線による断面図である。
図8図8は、実施形態に係るウォームシャフトを分解した模式図である。
図9図9は、図8の断面を模式的に示す断面図である。
図10図10は、変形例に係るウォーム減速機付き電動機の模式的な断面図であり、実施形態の図7に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、同一構造の部位には同一符号を付けて、説明を省略する。なお、三次元座標において、X方向は車体の前後方向、Y方向は車幅方向、Z方向は上下方向を示す。さらに、X1側は、第1ステアリングシャフト82の出力軸側を示し、X2側は入力軸側を示す。Y1側は、車幅方向の左側を示し、Y2側は、右側を示す。Z1側は、上側を示し、Z2側は、下側を示す。
【0018】
なお、以下の説明において、「第1方向」とは、ウォームホイール11の中心軸AX1の軸方向であり、「第2方向」とは、ウォームシャフト12、12Aの中心軸AX2の軸方向である。「第2方向」は、「第1方向」と交差する。また、「第3方向」は、「第1方向」および「第2方向」の双方に交差する方向である。
【0019】
ここで、以下の実施形態においては、分かりやすくするために、X方向が第1方向に一致し、Y方向が第2方向に一致し、Z方向が第3方向に一致する態様としている。また、X1側を第1方向の一方側、X2側を第1方向の他方側とも称し、Y1側を第2方向の一方側、Y2側を第2方向の他方側とも称し、Z1側を第3方向の一方側、Z2側を第3方向の他方側とも称する。ただし、本発明において、「第1方向」が「X方向」に限定されず、「第2方向」が「Y方向」に限定されず、「第3方向」が「Z方向」に限定されない。
【0020】
[実施形態]
以下に、実施形態について説明する。図1は、実施形態の電動パワーステアリング装置の模式図である。図2は、実施形態に係るウォーム減速機付き電動機を第1ステアリングシャフトの出力軸側から見た模式的な斜視図である。図3は、図2の側面図である。図4は、実施形態に係るウォーム減速機付き電動機を第1ステアリングシャフトの入力軸側から見た模式的な斜視図である。図5は、実施形態に係るウォーム減速機付き電動機を第1ステアリングシャフトの出力軸側から見た模式的な正面図である。図6は、図4の分解斜視図である。図7は、図4のVIIーVII線による断面図である。図8は、実施形態に係るウォームシャフトを分解した模式図である。図9は、図8の断面を模式的に示す断面図である。
【0021】
図1に示すように、第1ステアリングシャフト82は、入力軸82aと、出力軸82bとを備える。入力軸82aの一方の端部がステアリングホイール81に連結され、入力軸82aの他方の端部が出力軸82bに連結される。また、出力軸82bの一方の端部が入力軸82aに連結され、出力軸82bの他方の端部が第1ユニバーサルジョイント84に連結される。
【0022】
図1に示すように、第2ステアリングシャフト85は、第1ユニバーサルジョイント84と第2ユニバーサルジョイント86とを連結している。第2ステアリングシャフト85の一方の端部が第1ユニバーサルジョイント84に連結され、他方の端部が第2ユニバーサルジョイント86に連結される。第3ステアリングシャフト87の一方の端部が第2ユニバーサルジョイント86に連結され、第3ステアリングシャフト87の他方の端部がステアリングギヤ88に連結される。
【0023】
図1に示すように、ステアリングギヤ88は、ピニオン88aと、ラック88bとを備える。ピニオン88aは、第3ステアリングシャフト87に連結される。ラック88bは、ピニオン88aに噛み合う。ステアリングギヤ88は、ピニオン88aに伝達された回転運動をラック88bで直進運動に変換する。ラック88bは、タイロッド89に連結される。ラック88bが移動することで車輪の角度が変化する。
【0024】
図1に示すように、操舵力アシスト機構83は、ウォーム減速機付き電動機100を備える。ウォーム減速機付き電動機100は、出力軸82bに補助操舵トルクを与える。ウォーム減速機付き電動機100については、詳細に後述する。
【0025】
図1に示すように、電動パワーステアリング装置80は、ウォーム減速機付き電動機100と、ECU(Electronic Control Unit)90と、トルクセンサ94と、車速センサ95と、を備える。ウォーム減速機付き電動機100、トルクセンサ94および車速センサ95は、ECU90と電気的に接続される。トルクセンサ94は、入力軸82aに伝達された操舵トルクをCAN(Controller Area Network)通信によりECU90に出力する。車速センサ95は、電動パワーステアリング装置80が搭載される車体の走行速度(車速)を検出する。車速センサ95は、車体に備えられ、車速をCAN通信によりECU90に出力する。
【0026】
ECU90は、ウォーム減速機付き電動機100のモータ部3(図2参照)の動作を制御する。ECU90は、トルクセンサ94および車速センサ95のそれぞれから信号を取得する。ECU90には、イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置99(例えば車載のバッテリ)から電力が供給される。ECU90は、操舵トルクおよび車速に基づいて補助操舵指令値を算出する。ECU90は、補助操舵指令値に基づいてモータ部3へ供給する電力値を調節する。ECU90は、モータ部3から誘起電圧の情報またはモータ部3に設けられたレゾルバ等から出力される情報を取得する。ECU90がモータ部3を制御することで、ステアリングホイール81の操作に要する力が小さくなる。
【0027】
図2から図7に示すように、ウォーム減速機付き電動機100は、第1構造体110と、第2構造体120と、を備える。第1構造体110および第2構造体120は、上下方向に配置される。第1構造体110が下側(Z2側)に位置し、第1構造体110の上に弾性部材5(図5参照)が配置され、第2構造体120が第1構造体110および弾性部材5の上側に配置される。即ち、第1構造体110と第2構造体120とで、弾性部材5を上下から挟持している。なお、ウォームホイール11とウォームシャフト12とでウォーム減速機1(図4参照)が構成される。
【0028】
図2から図7に示すように、第1構造体110は、第1ハウジング21と、ウォームホイール11と、を有する。第1ハウジング21は、本体部211と、蓋体部212を備え、ウォームホイール11を収容する。本体部211は、前後方向(X方向)において、X1側に位置し、蓋体部212は、本体部211のX2側の開口を覆う。ウォームホイール11は、第1方向に延びる。換言すると、ウォームホイール11は、中心軸AX1の軸方向に延びる。ウォームホイール11は、中心軸AX1の軸回り方向に回転可能である。また、図7に示すように、第1ハウジング21は、ウォームホイール11が露出する第1開口部213と、第1開口部213の周縁部213aと、を有する。
【0029】
図2および図3に示すように、本体部211は、第1周面部211aと、後壁面部211bと、第2周面部211cと、フランジ211dと、円盤部211eと、スプライン軸211fと、フランジ部211gと、を有する。第1周面部211aは、中心軸AX1の軸回りの周方向に延びる円筒面である。後壁面部211bは、第1周面部211aのX1側の端から径方向の内側に延びる。第2周面部211cは、周方向に延びる円筒面である。第2周面部211cは、後壁面部211bの径方向の内側の端からX1側に向けて延びる。第2周面部211cの内周側には、円盤部211eが嵌合される。フランジ211dは、第2周面部211cのX1側の端から径方向の内側に向けて延びる。なお、スプライン軸211fは、円盤部211eに対して回転可能に支持されており、スプライン軸211fは、ウォームホイール11に連結される。また、スプライン軸211fは、後述する突設部212dと一体である。スプライン軸211fには、第1ステアリングシャフト82の出力軸82bが接続され、突設部212dには、第1ステアリングシャフト82の入力軸82aが接続される。
【0030】
図4に示すように、蓋体部212は、前面部212aと、筒状部212bと、プレート部212cと、突設部212dと、を有する。前面部212aは、径方向の内側に向けて延びる。前面部212aの周縁部は、第1周面部211aのX2側の端に対向する。筒状部212bは、前面部212aの径方向の内側の端からX1側に向けて円筒状に延びる。プレート部212cは、筒状部212bの内周側に嵌合される。なお、プレート部212cから円筒状の突設部212dがX2側に向けて突出している。
【0031】
さらに、プレート部212cと円盤部211eとの間には、図7に示すウォームホイール11が配置される。つまり、図7に示すように、ウォームホイール11は、径方向の中央に位置する芯金11aと、芯金11aの外周側に位置するホイール歯部11bと、を備える。芯金11aは、ホイール歯部11bよりもX方向の厚さが厚く形成される。芯金11aには、スプライン軸211fが連結されている。また、ホイール歯部11bは、噛合部分200において、ウォームシャフト12のシャフト歯部12bと噛み合う。
【0032】
図6に示すように、第1ハウジング21の上面21aには凹溝が設けられ、凹溝には弾性部材5が嵌められる。弾性部材5は、例えばゴムである。上面21aは、第1開口部213の周縁部213a(図7参照)でもある。つまり、上面21a(周縁部213a)は、第1ハウジング21の縁に沿って延びる。また、第1ハウジング21の上面21aには、湾曲部21c、21dが設けられる。湾曲部21c、21dにおけるそれぞれの頂部には、フランジ部211gが設けられる。換言すると、湾曲部21c、21dにおけるY方向の中央に位置する頂部からフランジ部211gが上側(Z1側)に向けて突出している。フランジ部211gは、プレート形状を有し、第1貫通孔211hが貫通して設けられる。第1貫通孔211hは、上下方向(Z方向)に細長い略楕円形状を有する。第1貫通孔211hは、異形孔である。
【0033】
次に、第2構造体120を説明する。図2から図7に示すように、第2構造体120は、第2ハウジング22と、ウォームシャフト12と、モータ部3と、を備える。ウォームシャフト12の中心軸AX2は、Y方向(第2方向)に延びる。
【0034】
図2および図6に示すように、第2ハウジング22は、枠状部材220と、カバー23と、を備える。
【0035】
図2に点ハッチングで示すカバー23は、ウォームシャフト12を覆っている。カバー23は、ウォームシャフト12に金属粉などの異物が付着することを抑制する。
【0036】
図6に示すように、枠状部材220は、第1枠状部材221と、第2枠状部材222と、脚部225と、フランジ223と、を有する。
【0037】
図6に示すように、第1枠状部材221は、第1ハウジング21の縁である上面21a(周縁部213a)に沿って延びる。第1枠状部材221は、上側(Z1側)から見て、略矩形の環状形状を有する。第1枠状部材221は、平坦部221aと、湾曲部221bと、湾曲部221cと、を有する。湾曲部221bは、上側(Z1側)に向けて凸の湾曲形状を有する。湾曲部221bは、第1枠状部材221のX2側において、Y1側の平坦部221aと、Y2側の平坦部221aと、を連結する。湾曲部221cは、第1枠状部材221のX1側において、Y1側の平坦部221aと、Y2側の平坦部221aと、を連結する。なお、図7に示すように、第1枠状部材221は、ウォームシャフト12が露出する第2開口部224と、第2開口部224の周縁部224aと、を有する。
【0038】
また、湾曲部221b、221cにおけるそれぞれの頂部には、凸部221dが設けられる。換言すると、湾曲部221b、221cおけるY方向の中央に位置する頂部には、凸部221dが上側(Z1側)に向けて突出している。凸部221dは、X方向から見て上側に凸の半円形状を有し、第2貫通孔221eが貫通して設けられる。第2貫通孔221eは、X方向から見て円形である。第2貫通孔221eは、円形孔である。
【0039】
第2枠状部材222は、第1枠状部材221におけるY1側およびY2側の部位から上側(Z1側)に向けて延びる。具体的には、第2枠状部材222は、第1枠状部材221におけるY1側の部位のうちX方向の中央部と、第1枠状部材221におけるY2側の部位のうちX方向の中央部とに一対に設けられる。第2枠状部材222は、第1の柱部222aと、第2の柱部222bと、を有する。第1の柱部222aおよび第2の柱部222bは、平坦部221aから上側(Z1側)に向けて延びる。第1の柱部222aは、平坦部221aにおける端221fから上側(Z1側)に向けて延びる。第2の柱部222bは、平坦部221aにおける端221gから上側(Z1側)に向けて延びる。第1の柱部222aと第2の柱部222bとは、X方向に離隔している。従って、第1の柱部222aと第2の柱部222bとの間には、上下方向(Z方向)に延びるスリット222cが設けられる。
【0040】
スリット222cは、第1ハウジング21側である下端が開口している。第1の柱部222aと第2の柱部222bとは、頂部222dにおいて連結される。頂部222dのZ方向の位置は、枠状部材220のZ方向の高さの略半分である。第1の柱部222a、第2の柱部222bおよび頂部222dは、Y方向から見て略U字状である。脚部225は、頂部222dから上側(Z1側)に向けて延びる。Y1側の脚部225の上端と、Y2側の脚部225の上端とは、フランジ223を介して連結される。フランジ223は、Y方向に延びる。
【0041】
図3に示すように、モータ部3は、ステータ31と、ロータ250と、を備える。ステータ31は、ティース33と、コイル240とを有する。ステータ31は、ティース33にコイル240が巻回されることによって形成される。ステータ31は、支持プレート37の内周に固定される。ステータ31の内周側には、ロータ250が配置される。ロータ250については、後述する。なお、図2に示すように、支持プレート37は、上端フランジ37aと、円弧部37bと、下端フランジ37cと、を有する。上端フランジ37aは、フランジ223にボルトで締結される。下端フランジ37cは、第1枠状部材221の平坦部221aにボルトで締結される。円弧部37bは、上端フランジ37aと下端フランジ37cとを連結する。円弧部37bの内周にステータ31が設けられる。
【0042】
次に、ウォームシャフト12の構成を説明する。図8および図9に示すように、ウォームシャフト12は、シャフト歯部12bと、ロータ250と、ニードル軸受122と、ピン123と、を備える。なお、実施形態では、ニードル軸受122は軸受の一例であって、本発明において、軸受はニードル軸受122に限定されない。
【0043】
図8および図9に示すように、シャフト歯部12bは、ウォームシャフト12におけるY方向の中央に設けられる。シャフト歯部12bは、ウォームホイール11のホイール歯部11bと噛み合う。従って、ウォームシャフト12が中心軸AX2の軸回りの周方向に回転すると、ウォームホイール11は中心軸AX1の軸回り方向に回転する。ウォームシャフト12は、第2方向に延びる。換言すると、ウォームシャフト12は、中心軸AX2の軸方向に延びる。
【0044】
図8および図9に示すように、ロータ250は、シャフト歯部12bに対してY1側の端部およびY2側の端部に位置する。図9に示すように、ロータ250は、軸部12aと、磁石251と、を備える。軸部12aは、中心軸AX2の軸回りの周方向に沿って延びる円柱状である。軸部12aには、Y方向に開口する凹部12cが設けられる。軸部12aの外周側には、環状の磁石251が嵌合される。従って、軸部12aの外周面12dは、磁石251の内周面251aと接する。また、磁石251の外周面251bは、テーパー面251cと、円筒面251dと、を有する。テーパー面251cの径は、軸方向の内側(ウォームシャフト12の軸方向の中心側)に行くに従って径が小さくなる。換言すると、中心軸AX2を含む断面において、テーパー面251cは、ウォームシャフト12の軸方向の中心側に行くに従って中心軸AX2に近づく。なお、磁石251は、例えば、電磁鋼板および冷間圧延鋼板などの薄板を積層して製造される。また、永久磁石を適用することもできる。永久磁石は、例えば、積層した複数の薄板に、あらかじめ磁石の挿入孔を設け、この挿入孔に永久磁石を挿入することにより製造してもよい。その他、磁性粉体を焼結することにより、永久磁石を製造してもよい。
【0045】
図8および図9に示すように、ニードル軸受122は、軸部12aの凹部12cに嵌合および収容される。ニードル軸受122は、中心軸AX2の周方向に沿って延びる環状部材であり、保持器122aと、ニードル122bと、を備え、ニードル軸受122には、貫通孔122cが設けられる。保持器122aの内周に複数のニードル122bが回転可能に設けられる。なお、軸受は、ニードル軸受122に限定されず、種々の軸受を適用することができる。よって、例えば、ニードル軸受122の代わりに滑り軸受を適用してもよい。
【0046】
図8および図9に示すように、ピン123は、本体部123aと、突出部123bと、を備える。本体部123aと突出部123bとは一体である。本体部123aは、中心軸AX2の周方向に沿って延びる中実の環状部材である。本体部123aは、円柱形状を有する。本体部123aは、ニードル軸受122の内周の貫通孔122cに嵌合される。突出部123bは、本体部123aからY方向に突出する。突出部123bは、図6に示すように、異形柱部である。
【0047】
突出部123bは、X方向の厚さがZ方向の高さよりも小さい。すなわち、突出部123bをY方向から見ると、縦長の略長方形の形状である。突出部123bは、第2枠状部材222のスリット222cに嵌合する。換言すると、第2枠状部材222のスリット222cは、突出部123bが嵌合する嵌合部である。スリット222cに突出部123bが嵌合した状態では、突出部123bを含むピン123は回転不能である。従って、ピン123と、ロータ250とは、ニードル軸受122を介して互いに相対回転が可能である。これにより、図7に示すロータ250は、ステータ31に対して回転可能となっている。また、図7に示すように、例えば、ロータ250におけるY方向の端面と、ステータ31におけるY方向の端面とは、Y方向の位置が同一でもよい。
【0048】
次に、ウォーム減速機付き電動機100の組付手順を簡単に説明する。まず、ウォームシャフト12を組み付ける。図9の矢印に示すように、ピン123をニードル軸受122に嵌合する。具体的には、ピン123の本体部123aを、ニードル軸受122の内周の貫通孔122cに嵌合する。次いで、ピン123およびニードル軸受122を軸部12aの凹部12cに嵌合する。具体的には、ニードル軸受122を凹部12cに嵌合する。この状態では、図6に示すように、ロータ250の側面250aから突出部123bが突出している。
【0049】
次に、図6に示すように、ウォームシャフト12の2つの突出部123bを第2枠状部材222のスリット222cにそれぞれ嵌合する。具体的には、スリット222cの下端に突出部123bを挿入したのち、ウォームシャフト12を上側(Z1側)に向けて移動させ、頂部222dの内側面に当接させることにより、ウォームシャフト12を枠状部材220に組み付ける。第1の柱部222aおよび第2の柱部222bは弾性を有し、且つ、スリット222cのX方向の幅が突出部123bのX方向の幅よりも小さい。このため、第1の柱部222aおよび第2の柱部222bによって、ウォームシャフト12の2つの突出部123bがX方向に押圧された状態で、ウォームシャフト12が枠状部材220に保持される。
【0050】
こののち、ウォームシャフト12が組み付いた枠状部材220を第1ハウジング21に取り付ける。具体的には、図6に示すように、第1枠状部材221を第1ハウジング21の上面21a(周縁部213a)に載置し、枠状部材220の凸部221dの第2貫通孔221eとフランジ部211gの第1貫通孔211hとの位置を合わせたのち、第1貫通孔211hおよび第2貫通孔221eに、支持ピン300を挿入して嵌合させる。具体的には、支持ピン300の円柱部301を第2貫通孔221eに嵌合させ、異形柱部302を第1貫通孔211hに嵌合させる。なお、異形柱部302は、断面が上下方向(Z方向)に長い略楕円形の形状を有する。従って、異形柱部302が第1貫通孔211hに嵌合した状態では、異形柱部302が第1貫通孔211hに対して回転不能である。よって、第2ハウジング22は、支持ピン300を中心に、第1ハウジング21に対して揺動可能である。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係るウォーム減速機付き電動機100は、X方向(第1方向)に延びる中心軸AX1の軸回り方向に回転可能で、且つ、ホイール歯部11bを有するウォームホイール11と、ウォームホイール11を収容し、且つ、ウォームホイール11を回転可能に支持する第1ハウジング21と、ホイール歯部11bに噛み合うシャフト歯部12bを有し、且つ、Y方向(第2方向)に延びる中心軸AX2の軸回り方向に回転可能なウォームシャフト12と、ウォームシャフト12を収容し、ウォームシャフト12を回転可能に支持し、且つ、第1ハウジング21に取り付けられる第2ハウジング22と、を備える。ウォームシャフト12は、シャフト歯部12bに対してY方向(第2方向)の一方側(Y1側)の端部および他方側(Y2側)の端部に位置し、且つ、Y方向(第2方向)に向けて開口する凹部12cを有するロータ250と、ロータ250の凹部12cに収容されるニードル軸受122と、ニードル軸受122の内周に嵌合される本体部123aと、本体部123aからY方向(第2方向)に突出する突出部123bとを含むピン123と、を備える。第2ハウジング22は、ピン123の突出部123bが嵌合する嵌合部を備える。
【0052】
前述したように、特許文献1のウォームシャフトにおいては、シャフト歯部の軸方向の両側にロータが位置し、ロータの軸方向の両側に軸受が位置し、軸受が第2ハウジングの内側に固定される。シャフト歯部とロータとは軸方向に離隔され、ロータと軸受とは軸方向に離隔される。従って、ウォームシャフトおよび第2ハウジングが軸方向に長くなり、第2ハウジングを含むウォーム減速機付き電動機が大型化する。
【0053】
これに対して、本実施形態に係るウォームシャフト12では、ロータ250の内側に設けた凹部12cにニードル軸受122が収容される。従って、特許文献1のウォームシャフトよりも、本実施形態に係るウォームシャフト12の方が軸方向の長さが小さくなり、第2ハウジング22および第2ハウジング22を含むウォーム減速機付き電動機がより小型化される。
【0054】
また、第2ハウジング22は、第1ハウジング21側に位置し、且つ、第1ハウジング21の周縁部213a(縁)に沿って延びる第1枠状部材221と、第1枠状部材221におけるY方向(第2方向)のY1側(一方側)およびY2側(他方側)の部位から、Z方向(第3方向)に延びる第2枠状部材222と、を備える。第2枠状部材222には、Z方向(第3方向)に沿って延び、且つ、第1ハウジング21側が開口するスリット222cが設けられ、スリット222cが、第2ハウジング22の嵌合部である。
【0055】
このように、第2ハウジング22は、第1枠状部材221および第2枠状部材222を備えるため、特許文献1のような箱型の第2ハウジングよりも開口部が少ない。従って、実施形態の第2ハウジング22は、特許文献1の第2ハウジングよりも、軽量である。また、第2枠状部材222には、第1ハウジング21側が開口するスリット222cが設けられるため、ウォームシャフト12を第2ハウジング22に組み付けるときに、ピン123の突出部123bをスリット222cに挿入して上側に移動させればよいため、組付作業が容易である。これに対して、第2ハウジング22の嵌合部が貫通孔を有する環状部材の場合は、ピン123の突出部123bを環状部材の貫通孔に差し込むために、例えば、ウォームシャフト12の姿勢を斜めにしたり、第2枠状部材222を押し広げて変形させたりする作業が必要になる可能性がある。
【0056】
さらに、ピン123の突出部123bは、Z方向(第3方向)の高さよりもX方向(第1方向)の幅が小さい縦長の異形柱部であり、スリット222cに突出部123bが嵌合した状態において、突出部123bは、回転不能である。
【0057】
ピン123の突出部123bは、Z方向(第3方向)の高さよりもX方向(第1方向)の幅が小さい縦長の形状を有する。従って、Z方向(第3方向)の高さよりもX方向(第1方向)の幅が大きい横長の形状よりも、突出部123bが嵌合するスリット222cの幅がより小さくなるため、第2ハウジングが更に小型化される。
【0058】
そして、軸受は、ニードル軸受122または滑り軸受が適用可能である。ニードル軸受122または滑り軸受は、例えば、転がり軸受よりも、外径が小さいため、軸受が小さくなるため、第2ハウジングが更に小型化される。
【0059】
[変形例]
次に、変形例について説明する。図10は、変形例に係るウォーム減速機付き電動機の模式的な断面図であり、実施形態の図7に対応する図である。
【0060】
変形例に係るウォーム減速機付き電動機100Aは、実施形態に係るウォーム減速機付き電動機100に対して第2構造体120Aが相違する。以下に詳細に説明する。
【0061】
図7図10を比較すれば明らかなように、ウォームシャフト12Aにおいては、一対のモータ部3Aがシャフト歯部12bからY1側およびY2に離隔して配置される。モータ部3Aは、ステータ31Aと、ロータ250Aと、を備える。ステータ31Aは、ティース33Aとコイルとを有し、ティース33Aにコイルが巻回されることによって形成される。ステータ31Aの内周側には、ロータ250Aが配置される。ウォームシャフト12Aは、第2方向に延びる。換言すると、ウォームシャフト12Aは、中心軸AX2の軸方向に延びる。
【0062】
ロータ250Aは、シャフト歯部12bに対してY1側の端部およびY2側の端部に位置する。図10に示すように、ロータ250Aは、軸部12Aaと、磁石251Aと、を備える。軸部12Aaは、中心軸AX2の軸回りの周方向に沿って延びる円柱状である。軸部12Aaには、凹部12cが設けられる。軸部12Aaの外周側には、環状の磁石251Aが嵌合される。なお、軸部12Aaは、シャフト121を介してシャフト歯部12bに連結される。すなわち、シャフト歯部12bからシャフト121が軸方向に延び、シャフト121の端部が軸部12Aaに固定される。
【0063】
ニードル軸受122は、軸部12Aaの凹部12cに嵌合および収容される。ニードル軸受122は、保持器122aと、ニードル122bと、を備える。ニードル122bの内周にピン123Aが嵌合される。ピン123Aの先端の突出部123Abは、第2枠状部材222のスリット222cに嵌合される。スリット222cに突出部123Abが嵌合した状態では、突出部123Abを含むピン123Aは回転不能である。従って、ピン123Aと、ロータ250Aとは、ニードル軸受122を介して互いに相対回転が可能である。これにより、ロータ250Aは、ステータ31Aに対して回転可能となっている。
【0064】
以上説明したように、変形例に係るウォームシャフト12Aにおいても、ロータ250Aの内側に設けた凹部12cにニードル軸受122が収容される。従って、特許文献1のウォームシャフトよりも、変形例に係るウォームシャフト12Aの方が軸方向の長さが小さくなり、第2ハウジング22および第2ハウジング22を含むウォーム減速機付き電動機100Aがより小型化される。
【0065】
また、一対のモータ部3Aがシャフト歯部12bからY1側およびY2に離隔して配置されるため、シャフト歯部12bとモータ部3Aとの間に空間(隙間)が生じる。従って、当該空間(隙間)に、別の新たな部品等を配置することが可能となる。
【0066】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されず、種々の電動パワーステアリング(EPS(Electric Power Steering)以下、EPSと称する)装置の減速機構、および所謂ステアバイワイヤシステムにおける操舵反力装置の減速機構、などに適用が可能である。EPS装置としては、例えば、ステアリングコラム内の所謂コラムタイプのEPS装置、所謂ピニオンタイプのEPS装置、所謂デュアルピニオンタイプのEPS装置などがある。
【0067】
前記コラムタイプのEPS装置は、ステアリングコラムの内側に回転自在に支持されたステアリングシャフトに対して補助動力を付与する。前記ピニオンタイプのEPS装置は、ステアリングギヤユニットの操舵ピニオン軸に補助動力を付与する。前記デュアルピニオンタイプのEPS装置は、ステアリングギヤユニットに設けられた、操舵ピニオン軸とは別のアシストピニオン軸に補助動力を付与する。また、前記ステアバイワイヤシステムにおける操舵反力装置の減速機構は、ステアリングギヤユニットとは機構的に連結しないステアリングコラムの内側に回転自在に支持されたステアリングシャフトに車両の運行状況に応じて操舵反力を付与する。
【0068】
なお、前記ステアバイワイヤシステムにおける操舵反力装置の減速機構において、付与すべき反力はEPS装置における補助動力に対して比較的小さく設けられるため、本願の解決すべき課題である、より小型化されたウォーム減速機付き電動機としては更に効果が望める。
【符号の説明】
【0069】
1 ウォーム減速機
3、3A モータ部
5 弾性部材
11 ウォームホイール(ウォーム減速機)
11a 芯金
11b ホイール歯部
12、12A ウォームシャフト(ウォーム減速機)
12a 軸部
12b シャフト歯部
12c 凹部
12d 外周面
21 第1ハウジング
21a 上面
21c、21d 湾曲部
22 第2ハウジング
23 カバー
31 ステータ
33 ティース
37 支持プレート
37a 上端フランジ
37b 円弧部
37c 下端フランジ
80 電動パワーステアリング装置
81 ステアリングホイール
82 第1ステアリングシャフト
82a 入力軸
82b 出力軸
83 操舵力アシスト機構
84 第1ユニバーサルジョイント
85 第2ステアリングシャフト(ステアリングシャフト)
86 第2ユニバーサルジョイント
87 第3ステアリングシャフト
88 ステアリングギヤ
88a ピニオン
88b ラック
89 タイロッド
90 ECU(Electronic Control Unit)
94 トルクセンサ
95 車速センサ
100、100A ウォーム減速機付き電動機
110 第1構造体
120、120A 第2構造体
121 シャフト
122 ニードル軸受(軸受)
122a 保持器
122b ニードル
122c 貫通孔
123 ピン
123a 本体部
123b 突出部
200 噛合部分
211 本体部
211a 第1周面部
211b 後壁面部
211c 第2周面部
211d フランジ
211e 円盤部
211f スプライン軸
211g フランジ部
211h 第1貫通孔
212 蓋体部
212a 前面部
212b 筒状部
212c プレート部
212d 突設部
213 第1開口部
213a 周縁部
220 枠状部材
221 第1枠状部材
221a 平坦部
221b、221c 湾曲部
221d 凸部
221e 第2貫通孔
221f 端
221g 端
222 第2枠状部材
222a 第1の柱部
222b 第2の柱部
222c スリット(嵌合部)
222d 頂部
223 フランジ
224 第2開口部
224a 周縁部
225 脚部
240 コイル
250、250A ロータ
250a 側面
251 磁石
251a 内周面
251b 外周面
251c テーパー面
251d 円筒面
300 支持ピン
301 円柱部
302 異形柱部
AX1、AX2 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10