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  • 特開-レーザ墨出し器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038496
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】レーザ墨出し器
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20230310BHJP
   G01C 15/02 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
G01C15/00 103C
G01C15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145261
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000180357
【氏名又は名称】株式会社四電工
(71)【出願人】
【識別番号】517328952
【氏名又は名称】株式会社佐竹技研
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】原口 泰
(72)【発明者】
【氏名】長尾 宜紀
(72)【発明者】
【氏名】今村 真陽
(57)【要約】
【課題】 設置場所の制約を受けずに墨出し作業を迅速容易に行うことができるレーザ墨出し器を提供する。
【解決手段】 本体10と、本体10を支持する支持部材20と、本体10にジンバル機構30により揺動可能に支持された揺動体40とを備え、揺動体40に設けられたレーザ光源42からレーザ光を照射するレーザ墨出し器1であって、支持部材20は、4本以上の脚部21を備え、脚部21は、任意の方向に屈曲自在であり且つ屈曲後の状態を保持可能に構成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体を支持する支持部材と、前記本体にジンバル機構により揺動可能に支持された揺動体とを備え、前記揺動体に設けられたレーザ光源からレーザ光を照射するレーザ墨出し器であって、
前記支持部材は、4本以上の脚部を備え、
前記脚部は、任意の方向に屈曲自在であり且つ屈曲後の状態を保持可能に構成されているレーザ墨出し器。
【請求項2】
前記揺動体は、トータルステーションによる視準が可能な測距用のターゲットを備える請求項1に記載のレーザ墨出し器。
【請求項3】
前記本体は、矩形状に形成された上部枠体および下部枠体と、前記上部枠体および下部枠体の角部同士を連結する棒状の連結部材とを備え、
前記揺動体は、前記上部枠体に支持されて、前記レーザ光源から鉛直方向にレーザ光を照射し、
前記脚部は、前記下部枠体の四隅近傍にそれぞれ固定されている請求項1または2に記載のレーザ墨出し器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ墨出し器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレーザ墨出し器として、光源ユニットを支持するレーザユニットホルダが、ジンバル機構により揺動可能に支持された構成が知られている(例えば、特許文献1)。ジンバル機構を備えるレーザ墨出し器は、これを支持する三脚が傾いた状態で設置されても光源ユニットの所定の姿勢を維持して、レーザ光を鉛直方向または垂直方向に照射して墨出し作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-139696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来のレーザ墨出し器は、例えば、配筋中の現場や資材が置かれた現場等においては、三脚の高さをある程度確保する必要があるだけでなく、三脚の設置場所の制約も受け易いことから、設置後のレーザ墨出し器の傾きが過大になり、ジンバル機構を備える場合であっても光源ユニットの姿勢の維持が困難になるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、設置場所の制約を受けずに墨出し作業を迅速容易に行うことができるレーザ墨出し器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、本体と、前記本体を支持する支持部材と、前記本体にジンバル機構により揺動可能に支持された揺動体とを備え、前記揺動体に設けられたレーザ光源からレーザ光を照射するレーザ墨出し器であって、前記支持部材は、4本以上の脚部を備え、前記脚部は、任意の方向に屈曲自在であり且つ屈曲後の状態を保持可能に構成されているレーザ墨出し器により達成される。
【0007】
このレーザ墨出し器において、前記揺動体は、トータルステーションによる視準が可能な測距用のターゲットを備えることができる。
【0008】
また、前記本体は、矩形状に形成された上部枠体および下部枠体と、前記上部枠体および下部枠体の角部同士を連結する棒状の連結部材とを備え、前記揺動体は、前記上部枠体に支持されて、前記レーザ光源から鉛直方向にレーザ光を照射し、前記脚部は、前記下部枠体の四隅近傍にそれぞれ固定された構成にすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、設置場所の制約を受けずに墨出し作業を迅速容易に行うことができるレーザ墨出し器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るレーザ墨出し器の正面図である。
図2図1に示すレーザ墨出し器の平面図である。
図3図1に示すレーザ墨出し器の使用状態の一例を示す図である。
図4】本発明の他の実施形態に係るレーザ墨出し器の使用状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るレーザ墨出し器の正面図であり、図2は、図1に示すレーザ墨出し器の平面図である。図1においては、レーザ墨出し器の一部を図2のA-A断面で示している。
【0012】
図1および図2に示すように、レーザ墨出し器1は、本体10と、本体10を支持する支持部材20と、本体10にジンバル機構30により揺動可能に支持された揺動体40とを備えている。
【0013】
本体10は、外縁が正方形等の矩形状に形成された上部枠体11および下部枠体12を備えている。上部枠体11は、矩形状の開口11aを有しており、下部枠体12は、円形状の開口12aを有している。上部枠体11および下部枠体12は、上下に間隔をあけて配置されており、それぞれの4つの角部同士が棒状の連結部材13により連結されている。
【0014】
支持部材20は、下部枠体12の四隅近傍からそれぞれ下方に延びるように下部枠体12に固定された4つの脚部21を備えている。図1に示すように、各脚部21は、複数の脚片22を連結して構成されている。脚片22は、一端側に向けて広がる中空円錐台状の収容部22aと、収容部22aの他端側に結合された球状部22bとを備えており、一の脚片22の収容部22aに他の脚片22の球状部22bを嵌合させることにより、各脚片22の間で屈曲可能に構成されている。脚部21の屈曲状態は、脚片22同士の収容部22aと球状部22bとの間に生じる強固な摩擦係合により維持される。脚片22の下端には、ゴム材等からなる球状の滑り止め部23が設けられており、脚片22をどの方向に屈曲させても脚部21と床面Fとの間で滑りが生じるのを防止して、本体10を確実に支持することができる。
【0015】
ジンバル機構30は、上部枠体11の開口11aの内縁に第1軸31a,31b周りに回動自在に支持された矩形枠状のジンバルフレーム32と、ジンバルフレーム32の開口内縁に第2軸33a,33b周りに回動自在に支持された帯状の保持板34とを備えており、保持板34に揺動体40が取り付けられている。図2に示すように、第1軸31a,31bおよび第2軸33a,33bは互いに直交するように配置されており、揺動体40は、直交する2軸(第1軸31a,31bおよび第2軸33a,33b)周りに揺動可能に支持される。揺動体40の揺動を早期に収束させるため、第1軸31a,31bおよび第2軸33a,33bには、ロータリーダンパ等の減衰手段(図示せず)を設けることができる。
【0016】
揺動体40は、反射プリズムからなる測距用のターゲット41aを備える揺動体本体41を備えており、後述するトータルステーションにより視準して、ターゲット41aの位置を測定することができる。揺動体本体41の上部にはネジ孔が形成されており、締結部材42のネジ部42aを保持板34に形成された貫通孔に挿通して揺動体本体41のネジ孔に螺合することにより、揺動体本体41が保持板34に固定されている。揺動体本体41の下部には、レーザ光源43aを有するレーザユニット43が取り付けられている。レーザ光源43aは、ジンバル機構30の作用により鉛直下方にレーザ光を照射する。
【0017】
上記の構成を備えるレーザ墨出し器1は、図3に示すように、トータルステーション100から測距用の光を照射することにより、レーザ墨出し器1のターゲット41aの位置をトータルステーション100により測定することができる。トータルステーション100による測定位置は、レーザ墨出し器1を移動させる作業者の端末等にリアルタイムで通知される。レーザ墨出し器1は、測定位置においてレーザ光源43aから鉛直下方にレーザ光を照射し、床面Fにスポットを形成する。作業者は、レーザ墨出し器1を床面Fの測定位置に設置して、レーザスポットの位置に基づき墨出し作業を行うことができる。
【0018】
レーザ墨出し器1の支持部材20は、4本の脚部21を備えており、各脚部21は、任意の方向に屈曲自在であり且つ屈曲後の状態を保持可能に構成されているため、設置環境に応じて各脚部21を屈曲させることにより、従来のレーザ墨出し器では墨出し作業が困難な環境下でも迅速に作業を行うことができる。例えば、図3に示すように、配筋中の現場でレーザ墨出し器1を用いて墨出し作業を行う場合には、交差する鉄筋Rを跨ぐように4つの脚部21をそれぞれ屈曲させることにより、設置後の本体10の傾斜が抑制されるように容易に設置することができ、ジンバル機構30を有効に作用させて墨出し作業を正確に行うことができる。
【0019】
各脚部21の長さは、配筋中の現場や資材が置かれた現場等においても作業を円滑に行える程度の長さであることが好ましく、例えば、45~50cmに設定することができる。各脚部21は、互いに同じ長さであることが好ましいが、異なる長さの脚部21が含まれていてもよい。脚部21の数は、より安定した設置を可能にするため5つ以上であってもよいが、脚部21の数が多すぎると取り扱いが煩雑になると共に製造コストが高くなることから、本実施形態のように4つであることが好ましい。
【0020】
また、各脚部21は、床面Fへの設置後に個別に操作して屈曲形状を変化させることにより、ターゲット41aの位置を微調整することができる。4本の脚部21は下部枠体12の四隅近傍にそれぞれ固定されているため、特定方向への位置調整を精度良く行うことができ、ターゲット41aを所望の位置に迅速容易に移動させることができる。
【0021】
各脚部21は、任意の方向に屈曲自在であり且つ屈曲後の状態を保持可能であれば、本実施形態以外の構成であってもよい。例えば、針金等の屈曲可能な線状体に複数の球状体を挿通して脚部を構成してもよく、あるいは、可撓性を有する蛇腹管により脚部を構成することもできる。
【0022】
本実施形態のレーザ墨出し器1は、レーザ光源43aから床面Fに向けて鉛直下方にレーザ光を照射するように構成されているが、図4に示すように、揺動体40の上部にレーザユニット43を取り付けて、ジンバル機構30が作用した状態でレーザ光源43aから天井面Cに向けて鉛直上方にレーザ光を照射するように構成してもよい。この構成によれば、梁B等が障害になってトータルステーション100から天井面Cに測距用の光を直接照射することができない場合でも、レーザ墨出し器1のレーザ光源43aから天井面Cに向けてレーザ光を照射することができるので、トータルステーション100の再設定等の手間が不要であり、墨出し作業を迅速容易に行うことができる。レーザユニット43は、レーザ光源43aから水平方向にレーザ光を照射するように構成することもできる。
【0023】
本発明のレーザ墨出し器は、本実施形態のようにトータルステーション100による視準が可能な測距用のターゲット41aを備える構成以外に、ターゲット41aを備えずに単体で使用可能な構成であってもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 レーザ墨出し器
10 本体
11 上部枠体
12 下部枠体
13 連結部材
20 支持部材
21 脚部
30 ジンバル機構
40 揺動体
41a ターゲット
43 レーザユニット
43a レーザ光源
100 トータルステーション
図1
図2
図3
図4