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特開2023-38502産業機械識別システム、産業機械識別方法及び産業機械識別装置
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  • 特開-産業機械識別システム、産業機械識別方法及び産業機械識別装置 図1
  • 特開-産業機械識別システム、産業機械識別方法及び産業機械識別装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038502
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】産業機械識別システム、産業機械識別方法及び産業機械識別装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20230310BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20230310BHJP
   G16Y 10/25 20200101ALI20230310BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20230310BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20230310BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
G16Y10/25
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145268
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 尚登
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA59
3C100AA68
3C100BB13
3C100CC03
5L049CC04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】2つの産業機械が同じであるか否かを判定可能な産業機械識別システム、及び産業機械識別方法及び産業機械識別装置を提供する。
【解決手段】産業機械識別システム1は、複数の産業機械10と、判定部23とを備える。判定部23は、第1産業機械10xの識別子を示す第1識別情報と第2産業機械10yの識別子を示す第2識別情報との比較結果と、第1産業機械10xの設置場所を示す第1設置場所情報と第2産業機械10yの設置場所を示す第2設置場所情報との比較結果とに基づいて、第1産業機械10xと第2産業機械10yとが同一であるか否かを判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の産業機械と、
前記複数の産業機械に含まれる第1産業機械の識別子を示す第1識別情報と前記複数の産業機械に含まれる第2産業機械の識別子を示す第2識別情報との比較結果と、前記第1産業機械の設置場所を示す第1設置場所情報と前記第2産業機械の設置場所を示す第2設置場所情報との比較結果とに基づいて、前記第1産業機械と前記第2産業機械とが同一であるか否かを判定する判定部と、
を備える産業機械識別システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記第1産業機械の識別子と前記第2産業機械の識別子とが同一であり、かつ、前記第1産業機械の設置場所と前記第2産業機械の設置場所との一部又は全部が重なる場合、前記第1産業機械と前記第2産業機械とが同一であると判定する、
請求項1に記載の産業機械識別システム。
【請求項3】
前記第1産業機械の設置場所と前記第2産業機械の設置場所との少なくとも一方が一次元位置である場合、
前記判定部は、前記一次元位置に代えて、前記一次元位置を含む二次元領域を設置場所とする、
請求項2に記載の産業機械識別システム。
【請求項4】
前記第1産業機械の設置場所は、GNSSの衛星波に基づいて得られた前記第1産業機械の設置場所、及び、前記第1産業機械のグローバルIPアドレスから推測された前記第1産業機械の設置場所のうち少なくとも1つであり、
前記第2産業機械の設置場所は、GNSSの衛星波に基づいて得られた前記第2産業機械の設置場所、及び、前記第2産業機械のグローバルIPアドレスから推測された前記第2産業機械の設置場所のうち少なくとも1つである、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の産業機械識別システム。
【請求項5】
前記第1産業機械の識別子は、前記第1産業機械のMACアドレス、前記第1産業機械の識別記号、及び、前記第1産業機械が有するコントローラの識別記号のうち少なくとも1つであり、
前記第2産業機械の識別子は、前記第2産業機械のMACアドレス、前記第2産業機械の識別記号、及び、前記第2産業機械が有するコントローラの識別記号のうち少なくとも1つである、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の産業機械識別システム。
【請求項6】
第1産業機械の識別子を示す第1識別情報と前記第1産業機械の設置場所を示す第1設置場所情報とを前記第1産業機械から取得する工程と、
第2産業機械の識別子を示す第2識別情報と前記第2産業機械の設置場所を示す第2設置場所情報とを前記第2産業機械から取得する工程と、
前記第1識別情報と前記第2識別情報との比較結果と、前記第1設置場所情報と前記第2設置場所情報との比較結果とに基づいて、前記第1産業機械と前記第2産業機械とが同一であるか否かを判定する工程と、
を備える産業機械識別方法。
【請求項7】
複数の産業機械と通信可能な産業機械識別装置であって、
前記複数の産業機械に含まれる第1産業機械の第1識別情報及び第1設置場所情報と、前記複数の産業機械に含まれる第2産業機械の第2識別情報及び第2設置場所情報と、を受信する通信部と、
前記通信部で受信された前記第1識別情報、前記第2識別情報、前記第1設置場所情報及び前記第2設置場所情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記第1識別情報と前記第2識別情報との識別情報比較結果と、前記記憶部に記憶された前記第1設置場所情報と前記第2設置場所情報の設置場所情報比較結果とに基づいて、前記第1産業機械と前記第2産業機械とが同一であるか否かを判定する判定部と、
を備える産業機械識別装置。
【請求項8】
前記判定部が前記第1産業機械と前記第2産業機械とが同一であると判定する場合、前記第1識別情報と前記第2識別情報とが同一であるとの前記識別情報比較結果である、
請求項7に記載の産業機械識別装置。
【請求項9】
前記判定部が前記第1産業機械と前記第2産業機械とが同一であると判定する場合、前記第1設置場所情報から推定される前記第1産業機械の設置領域と前記第2設置場所情報から推定される第2産業機械の設置領域の少なくとも一部が重なるとの前記設置場所情報比較結果である、
請求項7に記載の産業機械識別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、産業機械識別システム、産業機械識別方法及び産業機械識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、工作機械を特定する工作機械IDと工作機械に係る情報(例えば、制御軸数、主軸数、軸構成、主軸モータ仕様など)とを工作機械から受信し、両者を対応付けて記憶する消費電力予測装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-086405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、工作機械IDの詳細について触れられていないが、工作機械IDとしては、例えば、工作機械に予め設定されている識別子や、工作機械が備えるコントローラに予め設定されている識別子、或いは、工作機械のオペレータが予め設定した識別子を用いることが考えられる。
【0005】
しかしながら、これらの識別子を工作機械IDとして用いると、広い地域に分散して配置された多数の工作機械を管理する場合、2以上の工作機械が同じ工作機械IDを有する場合がありうる。この場合、互いに異なる2以上の工作機械に係る情報が1つの工作機械に係る情報として集積されてしまうという問題が生じる。
【0006】
このような問題は、工作機械に限らず産業機械全般において生じる。
【0007】
本開示は、2つの産業機械が同じであるか否かを判定可能な産業機械識別システム及び産業機械識別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る産業機械識別システムは、複数の産業機械と、判定部とを備える。判定部は、複数の産業機械に含まれる第1産業機械の識別子を示す第1識別情報と複数の産業機械に含まれる第2産業機械の識別子を示す第2識別情報との比較結果と、第1産業機械の設置場所を示す第1設置場所情報と第2産業機械の設置場所を示す第2設置場所情報との比較結果とに基づいて、第1産業機械と第2産業機械とが同一であるか否かを判定する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、2つの産業機械が同じであるか否かを判定可能な産業機械識別システム、産業機械識別方法及び産業機械識別装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る産業機械識別システムの構成を示すブロック図
図2】実施形態に係る産業機械識別方法を示すフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(産業機械識別システム及び産業機械識別装置の構成)
図1は、本実施形態に係る産業機械識別システム1の構成を示すブロック図である。
【0012】
産業機械識別システム1は、複数の産業機械10及び管理部20を備える。管理部20は、本開示に係る産業機械識別装置である。
【0013】
(複数の産業機械10)
図1では、複数の産業機械10の一例として、3つの産業機械10a~10cが図示されている。ただし、複数の産業機械10の数は2以上であればよい。
【0014】
図1において、産業機械10a及び産業機械10bそれぞれは工作機械であり、産業機械10cはスポット溶接機である。本開示では、複数の産業機械10のそれぞれが同種であるか異種であるかは特に問われない。産業機械としては、例えば、工作機械、スポット溶接機、半導体関連装置、露光装置、化学処理装置、ワイヤボンダ、プローバ、電子部品挿入機、プリント基盤孔あけ機、組立装置、搬送装置及びシーリングなどが挙げられる。工作機械としては、例えば、旋盤、フライス盤、中ぐり盤、マシニングセンタ、ジグポーラ、ボール盤、研削盤、放電加工機、ワイヤレスカット放電加工機、ワイヤソー、鈑金機械、鍛圧機械、レーザ加工機などが挙げられる。
【0015】
各産業機械10は、コントローラ11を有する。図1では、産業機械10aのコントローラ11aと、産業機械10bのコントローラ11bと、産業機械10cのコントローラ11cとが図示されている。3つのコントローラ11a~11cは同様の機能を有しているため、以下の説明では、3つのコントローラ11a~11cを「コントローラ11」と総称し、3つの産業機械10a~10cを「産業機械10」と総称する。
【0016】
コントローラ11は、NC(Numerical Control)プログラムに従ってワークの加工制御を実行する。コントローラ11は、ネットワーク(例えば、インターネット)を介して管理部20と通信可能である。
【0017】
コントローラ11は、産業機械10の識別子を示す「識別情報」と、産業機械10の設置場所を示す「設置場所情報」と、産業機械10に関連する「関連情報」とを管理部20に送信する。
【0018】
コントローラ11は、「関連情報」を管理部20に送信する際、「関連情報」とともに「識別情報」及び「設置場所情報」を管理部20に送信する。
【0019】
産業機械10の識別子とは、産業機械10のMAC(Media Access Control)アドレス、産業機械10の識別記号、及び、コントローラ11の識別記号のうち少なくとも1つである。MACアドレスは、産業機械10に予め割り当てられている。MACアドレスは、産業機械10が備えるネットワーク機器関連のハードウェアに予め割り当てられる。MACアドレスは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)管理下でネットワーク機器関連のハードウェアに割り当てられた番号であって、各ハードウェアに固有の識別番号である。産業機械10の識別記号は、産業機械10に予め設定されている。産業機械10の識別記号は、典型的には英数字及び記号により構成される。コントローラ11の識別記号は、コントローラ11に予め設定されている。コントローラ11の識別記号は、典型的には英数字及び記号により構成される。
【0020】
産業機械10ごとに3つの識別子を使い分けてもよいが、後述のように産業機械10どうしで「識別情報」を比較する必要があるので、全ての産業機械10において共通する識別子を少なくとも1つ用いなければならない。例えば、産業機械10a及び産業機械10bそれぞれの識別子としてMACアドレス及び産業機械10の識別記号の2つの識別子を用いる場合、これら2つの識別子のうち少なくとも一方を産業機械10cの識別子として用いなければならない。
【0021】
産業機械10の設置場所とは、GNSS(Global Navigation Satellite System)の衛星波に基づいて得られた産業機械10の設置場所、及び、産業機械10のグローバルIPアドレスから推測された産業機械10の設置場所のうち少なくとも1つである。GNSSの衛星波は、産業機械10に設置されたGNSSアンテナ(不図示)によって受信される。GNSSの衛星波に基づいて得られた産業機械10の設置場所は、産業機械10の設置場所を一次元位置(点)として示す。これに対して、グローバルIPアドレスから推測された産業機械10の設置場所は、産業機械10の設置場所を二次元領域(平面)として示す。二次元領域とは、例えば、国、州、都道府県、市区町村などによって特定される所定範囲の領域を意味する。グローバルIPアドレスは産業機械10に固有の情報ではなく変更される場合があるため、産業機械10の識別子としては適さない。産業機械10に割り当てられたグローバルIPアドレスが変更されても、産業機械10の設置場所を含む設置領域に関する情報は変わらない。
【0022】
産業機械10に関連する「関連情報」とは、例えば、テーブルサイズ、稼働率、主軸能力、工具情報(種別、サイズなど)、加工情報(加工負荷、加工時間、加工軌跡など)及びプログラム情報(メインプログラム番号など)などであるが、これらには限られない。
【0023】
(管理部20)
管理部20は、通信部21、記憶部22及び判定部23を有する。管理部20は、産業機械識別装置である。管理部20の機能は、サーバーにより達成される。サーバーは、クラウドサーバーであってよい。
【0024】
通信部21は、ネットワークを介して産業機械10のコントローラ11と通信可能である。通信部21は、コントローラ11から、産業機械10の識別子を示す「識別情報」と、産業機械10の設置場所を示す「設置場所情報」と、産業機械10に関連する「関連情報」とを受信する。
【0025】
通信部21は、受信した「識別情報」、「設置場所情報」及び「関連情報」を記憶部22に記憶させる。
【0026】
記憶部22は、通信部21が過去に受信した「識別情報」、「設置場所情報」及び「関連情報」を紐づけて記憶している。記憶部22は、「識別情報」及び「設置場所情報」の組み合わせごとに「関連情報」を集積することができる。「識別情報」及び「設置場所情報」の組み合わせによって複数の産業機械10の中の1つの産業機械10が特定されるので、記憶部22には、産業機械10ごとに「関連情報」が集積されることになる。
【0027】
ここで、説明を分かりやすくするために、通信部21が、第1産業機械10xの識別子を示す「第1識別情報」と、第1産業機械10xの設置場所を示す「第1設置場所情報」と、第1産業機械10xに関連する「第1関連情報」とを新たに受信した場合を想定する。そして、記憶部22は、第2産業機械10yの識別子を示す「第2識別情報」と、第2産業機械10yの設置場所を示す「第2設置場所情報」と、第2産業機械10yに関連する「第2関連情報」とを紐づけて既に記憶しているものとする。
【0028】
第1産業機械10x及び第2産業機械10yそれぞれは複数の産業機械10の中のいずれかではあるが、通信部21が「第1識別情報」、「第1設置場所情報」及び「第1関連情報」を受信した時点では、第1産業機械10xと第2産業機械10yとが同一であるか否か不明である。そのため、通信部21は、「第1関連情報」を第2産業機械10yに関連する情報として集積すべきか否か判断できない。
【0029】
そこで、判定部23が、「第1識別情報」と「第2識別情報」との比較結果(識別情報比較結果)と、「第1設置場所情報」と「第2設置場所情報」との比較結果(設置場所情報比較結果)とに基づいて、第1産業機械10xと第2産業機械10yとが同一であるか否かを判定する。具体的には、次の通りである。
【0030】
判定部23は、「第1識別情報」と「第2識別情報」とを比較して、第1産業機械10xの識別子と第2産業機械10yの識別子とが同一であるか否かを判定する。
【0031】
判定部23は、「第1設置場所情報」と「第2設置場所情報」とを比較して、第1産業機械10xの設置場所と第2産業機械10yの設置場所とが一部又は全部で重なるか否かを判定する。判定部23は、「第1設置場所情報」から推定される第1産業機械10xの設置場所を含む設置領域と「第2設置場所情報」から推定される第2産業機械10yの設置場所を含む設置領域とが少なくとも一部で重なるか否かを判定する。設置領域は点であってもよい。
【0032】
第1産業機械10xの識別子と第2産業機械10yの識別子とが同一であり、かつ、第1産業機械10xの設置場所と第2産業機械10yの設置場所とが一部又は全部で重なる場合、判定部23は、第1産業機械10xと第2産業機械10yとが同一の産業機械であると判定する。
第1産業機械10xの識別子と第2産業機械10yの識別子とが同一であり、かつ、第1産業機械10xの設置領域と第2産業機械10yの設置領域とが少なくとも一部で重なる場合、判定部23は、第1産業機械10xと第2産業機械10yとが同一の産業機械であると判定する。従って、判定部23が第1産業機械10xと第2産業機械10yとが同一であると判定する場合、識別情報比較結果は、第1識別情報と前記第2識別情報とが同一であるとの内容である。また、判定部23が第1産業機械10xと第2産業機械10yとが同一であると判定する場合、設置場所情報比較結果は、第1設置場所情報から推定される第1産業機械10xの設置領域と第2設置場所情報から推定される第2産業機械10yの設置領域とが少なくとも一部で重なるとの内容である。
【0033】
第1産業機械10xと第2産業機械10yとが同一であると判定部23が判定すると、通信部21は、「第1関連情報」を「第2識別情報」及び「第2設置場所情報」と紐づけて記憶部22に記憶させる。これによって、「第1関連情報」は、第2産業機械10yに関連する情報として、「第2関連情報」とともに集積される。
【0034】
一方、第1産業機械10xの識別子と第2産業機械10yの識別子とが同一でない場合、判定部23は、第1産業機械10xと第2産業機械10yとは同一でないと判定する。また、第1産業機械10xの設置場所と第2産業機械10yの設置場所とが重ならない場合、判定部23は、第1産業機械10xと第2産業機械10yとは同一でないと判定する。従って、判定部23が第1産業機械10xと第2産業機械10yとが同一でないと判定する場合、識別情報比較結果が、第1識別情報と前記第2識別情報とが同一でないとの内容であるか、或いは、設置場所情報比較結果が、第1設置場所情報から推定される第1産業機械10xの設置領域と第2設置場所情報から推定される第2産業機械10yの設置領域とが全く重ならないとの内容である。
【0035】
第1産業機械10xと第2産業機械10yとが同一でないと判定部23が判定すると、通信部21は、「第1関連情報」を「第1識別情報」及び「第1設置場所情報」と紐づけて記憶部22に記憶させる。これによって、「第1関連情報」は、第2産業機械10yとは関連のない情報として、「第2関連情報」とは別で記憶部22に格納される。
【0036】
このように、「第1識別情報」と「第2識別情報」との比較結果だけでなく「第1設置場所情報」と「第2設置場所情報」との比較結果も用いられるため、識別子だけでなく設置場所も考慮して第1産業機械10xと第2産業機械10yとを識別できる。よって、互いに異なる2つの産業機械10の識別子がたまたま同一であったとしても、両者が異なる産業機械であることを識別できるため、両者の「関連情報」が混交してしまうことを抑制できる。
【0037】
ここで、第1産業機械10xの設置場所と第2産業機械10yの設置場所とが一部又は全部で重なるか否かを判定部23が判定する際、第1産業機械10xの設置場所と第2産業機械10yの設置場所とが一次元位置であるか二次元領域であるかに留意すべきである。
【0038】
設置場所が一次元位置である場合とは、GNSSの衛星波に基づいて設置場所が取得された場合である。設置場所が二次元領域である場合とは、グローバルIPアドレスから設置場所が推測された場合である。
【0039】
第1産業機械10xの設置場所と第2産業機械10yの設置場所との両方が二次元領域である場合、判定部23は、各二次元領域が一部又は全部で重なるか否かを判定する。判定部23は、各二次元領域の少なくとも一部が重なっている場合に、第1産業機械10xの設置場所と第2産業機械10yの設置場所とが同じであると判定することができる。
【0040】
第1産業機械10xの設置場所が一次元位置であり、第2産業機械10yの設置場所が二次元領域である場合、判定部23は、第1産業機械10xの一次元位置に代えて、当該一次元位置を含む二次元領域を第1産業機械10xの設置場所として用いることが好ましい。例えば、二次元領域として自機の場積を想定する場合には一次元位置を中心とする半径5mの円を二次元領域とし、二次元領域として建屋を想定する場合には一次元位置を中心とする半径50mの円を二次元領域とし、二次元領域として工場の敷地を想定する場合には一次元位置を中心とする半径500mの円を二次元領域とすることができる。或いは、一次元位置を含む行政区や国などを二次元領域とすることもできる。これによって、第1産業機械10xの設置場所の測位精度が低い場合であっても、第1産業機械10xが第2産業機械10yと同一ではないと誤判定することを抑制できる。特に、第1産業機械10xが屋内に配置されている場合には、GNSSの衛星波に基づく測位精度が低くなりやすいため有効である。
【0041】
また、第1産業機械10xの設置場所が二次元領域であり、第2産業機械10yの設置場所が一次元位置である場合、判定部23は、第2産業機械10yの一次元位置に代えて、当該一次元位置を含む二次元領域を第2産業機械10yの設置場所として用いることが好ましい。
【0042】
更に、第1産業機械10x及び第2産業機械10yそれぞれの設置場所が一次元位置である場合、判定部23は、一次元位置に代えて、当該一次元位置を含む二次元領域を各設置場所として用いることが好ましい。
【0043】
ただし、第1産業機械10x及び第2産業機械10yそれぞれの設置場所のうち少なくとも一方が一次元位置であったとしても、測位精度が高ければ一次元位置を設置場所としてそのまま用いてもよい。
【0044】
(産業機械識別方法)
本実施形態に係る産業機械識別方法について、図2を参照しながら説明する。図2は、産業機械識別方法の流れを示すフローチャートを示す。
【0045】
ステップS1において、記憶部22は、複数の産業機械10に含まれる第2産業機械10yについての「第2識別情報」、「第2設置場所情報」及び「第2関連情報」を紐づけて記憶する。
【0046】
ステップS2において、通信部21は、複数の産業機械10に含まれる第1産業機械10xから「第1識別情報」、「第1設置場所情報」及び「第1関連情報」を受信する。
【0047】
ステップS3において、判定部23は、「第1識別情報」と「第2識別情報」とを比較して、第1及び第2産業機械10x,10yそれぞれの識別子が同一であるか否かを判定する。
【0048】
ステップS3において第1及び第2産業機械10x,10yそれぞれの識別子が同一でないと判定された場合、処理はステップS4へと進み、判定部23は、第1及び第2産業機械10x,10yが同一の産業機械でないと判定する。
【0049】
ステップS3において第1及び第2産業機械10x,10yそれぞれの識別子が同一であると判定された場合、処理はステップS5へと進み、判定部23は、第1及び第2産業機械10x,10yそれぞれの設置場所が一部又は全部で重なるか否か判定する。
【0050】
ステップS5において第1及び第2産業機械10x,10yそれぞれの設置場所が一部又は全部で重ならないと判定された場合、処理はステップS4へと進み、判定部23は、第1及び第2産業機械10x,10yが同一の産業機械でないと判定する。
【0051】
ステップS5において第1及び第2産業機械10x,10yそれぞれの設置場所が一部又は全部で重なると判定された場合、処理はステップS6へと進み、判定部23は、第1及び第2産業機械10x,10yが同一の産業機械であると判定する。
【符号の説明】
【0052】
1 産業機械識別システム
10 産業機械
11 コントローラ
20 管理部(産業機械識別装置)
21 通信部
22 記憶部
23 判定部
図1
図2