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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038509
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】排水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20230310BHJP
   E03C 1/23 20060101ALI20230310BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
E03C1/22 C
E03C1/23 Z
A47K1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145275
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】太田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】北川 浩平
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DA02
2D061DB03
2D061DE11
2D061DE13
(57)【要約】
【課題】保持部の下部開口を通した保持部の内周への支持軸機構の挿通をより容易に行うことができるとともに、取付対象部に対するアタッチメント部材の取付安定性を良好なものとすることができる排水栓装置を提供する。
【解決手段】排水栓装置のアタッチメント部材4は、筒状の保持部41と、所定の取付対象部の内周に配置された状態で当該取付対象部に取付けられるリング部43と、保持部41及びリング部43を連結するアーム部42とを備える。保持部41は、自身の下端にて開口するとともに内外に貫通する保持側スリット41sを具備する。リング部43は、複数のリング構成部431を有するとともに、自然状態においては複数のリング構成部431同士が分離した状態となる一方、取付対象部に取付けられた状態においては複数のリング構成部431が環状に連なった状態となるように構成される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽体の排水口を開閉するための栓蓋と、
自身の上下動により前記栓蓋を上下動させることが可能な支持軸を有してなる支持軸機構と、
前記支持軸機構を自身の内周にて保持する筒状の保持部、所定の取付対象部の内周に配置された状態で当該取付対象部に取付けられるリング部、並びに、前記保持部及び前記リング部を連結するアーム部を有してなるアタッチメント部材とを備え、
前記栓蓋の上下動に伴い前記排水口が開閉するように構成された排水栓装置であって、
前記保持部は、自身の下端にて開口するとともに内外に貫通する保持側スリットを具備し、
前記リング部は、複数のリング構成部を有するとともに、自然状態においては複数の前記リング構成部同士が分離した状態となる一方、前記取付対象部に取付けられた状態においては複数の前記リング構成部が環状に連なった状態となるように構成されており、
前記アタッチメント部材は、一部材によって前記保持部、前記リング部及び前記アーム部が一体成形されてなるものであるとともに、前記保持側スリットを拡幅しつつ前記保持部の下部開口の開口面積を増大させるときに前記リング構成部同士の間隔が増大するように弾性変形可能に構成されていることを特徴とする排水栓装置。
【請求項2】
前記リング構成部は、前記取付対象部に前記リング部が取付けられた状態において、それぞれの端側部分同士が接触又は近接する第一構成部及び第二構成部を備え、
複数の前記リング構成部が環状に連なった状態においては、前記第一構成部の端側部分によって前記第二構成部の端側部分が受けられることで当該第二構成部の端側部分における前記保持部側に向けた変位を規制可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の排水栓装置。
【請求項3】
前記第一構成部及び前記第二構成部は、前記取付対象部に前記リング部が取付けられた状態において、それぞれの端側部分が前記リング部の径方向に沿って重なった状態となるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の排水栓装置。
【請求項4】
前記第一構成部の端側部分は、前記アーム部と連結された状態、又は、当該第一構成部及び前記アーム部の連結部分の近傍に位置した状態とされることを特徴とする請求項2又は3に記載の排水栓装置。
【請求項5】
前記アタッチメント部材は、複数の前記リング構成部における端側部分同士を係止可能な係止手段を有し、
前記係止手段によって、複数の前記リング構成部を環状に連なった状態で維持可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口に設けられる排水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排水栓装置は、槽体(例えば、浴槽や洗面ボウルなど)の排水口に設けられた栓蓋を備えており、栓蓋を上下動させることで排水口を開閉させるものである。
【0003】
排水栓装置としては、前記栓蓋に加えて、前記栓蓋を移動させるための上下動可能な支持軸を有してなる支持軸機構と、排水の流路において支持軸機構を保持するためのアタッチメント部材とを備えたものが知られている。アタッチメント部材は、支持軸機構を内周にて保持する筒状の保持部と、所定の取付対象部(例えば、排水を流すための配管や当該配管及び槽体を接続するための筒状の排水口部材など)の内周に挿通された状態で当該取付対象部に取付けられる環状のリング部と、保持部及びリング部を連結するアーム部とを有している(例えば、特許文献1等参照)。アタッチメント部材としては、例えば射出成型法などを用いて、一部材(例えばPOM等の熱可塑性樹脂)により保持部、リング部及びアーム部を一体成型してなるものがある。
【0004】
また、保持部の内周に対する支持軸機構の挿通設置は、保持部を弾性変形させることで当該保持部の下部開口における開口面積を増大させつつ、この下部開口を通して当該保持部の内周へと支持軸機構を挿通することで行われることがある。尚、このようにして支持軸機構を挿通設置することを想定したアタッチメント部材の場合、その保持部には、前記下部開口の開口面積を増大可能とするために、下端にて開口し、内外に貫通する複数のスリットが形成される。
【0005】
ところで、上記の通り、保持部及びリング部はアーム部によって連結されているため、前記開口面積を増大させるための保持部の弾性変形は、リング部によって阻害される形となる。そのため、スリットを設けたとしても、保持部の内周に対する支持軸機構の挿通設置は決して容易ではない。
【0006】
これに対し、取付対象部へと取付けられる部位(リング部に相当する部位)を円弧形状として、当該部位を周方向に沿って非連続としたアタッチメント部材がある(例えば、特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-194366号公報
【特許文献2】特開2007-327311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、取付対象部へと取付けられる部位を単に周方向に沿って非連続とした場合には、取付対象部に対するアタッチメント部材の取付安定性が低下し、取付対象部からアタッチメント部材が容易に外れてしまうおそれがある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、保持部の下部開口を通した保持部の内周への支持軸機構の挿通をより容易に行うことができるとともに、取付対象部に対するアタッチメント部材の取付安定性を良好なものとすることができる排水栓装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0011】
手段1.槽体の排水口を開閉するための栓蓋と、
自身の上下動により前記栓蓋を上下動させることが可能な支持軸を有してなる支持軸機構と、
前記支持軸機構を自身の内周にて保持する筒状の保持部、所定の取付対象部の内周に配置された状態で当該取付対象部に取付けられるリング部、並びに、前記保持部及び前記リング部を連結するアーム部を有してなるアタッチメント部材とを備え、
前記栓蓋の上下動に伴い前記排水口が開閉するように構成された排水栓装置であって、
前記保持部は、自身の下端にて開口するとともに内外に貫通する保持側スリットを具備し、
前記リング部は、複数のリング構成部を有するとともに、自然状態においては複数の前記リング構成部同士が分離した状態となる一方、前記取付対象部に取付けられた状態においては複数の前記リング構成部が環状に連なった状態となるように構成されており、
前記アタッチメント部材は、一部材によって前記保持部、前記リング部及び前記アーム部が一体成形されてなるものであるとともに、前記保持側スリットを拡幅しつつ前記保持部の下部開口の開口面積を増大させるときに前記リング構成部同士の間隔が増大するように弾性変形可能に構成されていることを特徴とする排水栓装置。
【0012】
尚、「自然状態」とあるのは、例えば、単に床に置いた状態など、特段の外力を加えていない状態をいう。
【0013】
上記手段1によれば、取付対象部へと取付けられるリング部は、複数のリング構成部を有し、自然状態においてこれらリング構成部同士が分離した状態となるように構成されている。そして、アタッチメント部材は、保持側スリットを拡幅しつつ当該保持部の下部開口の開口面積を増大させるときに、リング構成部同士の間隔が増大するように弾性変形可能とされている。従って、前記開口面積を増大させるための保持部の弾性変形がリング部によって阻害されない形とすることができる。これにより、前記下部開口を通して保持部の内周に支持軸機構を挿通設置することをより容易に行うことが可能となる。
【0014】
一方、上記手段1によれば、取付対象部の内周にリング部を配置し、取付対象部にリング部を取付けた状態においては、複数のリング構成部が環状に連なった状態となる。つまり、リング部は環状の状態で取付対象部に取付けられる。従って、取付対象部に対するアタッチメント部材の取付安定性を良好なものとすることができる。
【0015】
さらに、上記手段1によれば、アタッチメント部材は、一部材(例えば所定の熱可塑性樹脂など)により保持部、リング部及びアーム部が一体成形されてなるものである。従って、複数の部品を組み立てることで製造されたアタッチメント部材と比べて、アタッチメント部材の製造に係る手間の削減や製造コストの低減を図ることができる。また、アタッチメント部材の管理や取り扱いといった点でも有利である。
【0016】
加えて、自然状態においてリング構成部同士が分離するという構成は、射出成型法などを用いてアタッチメント部材を一部材により成形する点でも有利に作用する。
【0017】
手段2.前記リング構成部は、前記取付対象部に前記リング部が取付けられた状態において、それぞれの端側部分同士が接触又は近接する第一構成部及び第二構成部を備え、
複数の前記リング構成部が環状に連なった状態においては、前記第一構成部の端側部分によって前記第二構成部の端側部分が受けられることで当該第二構成部の端側部分における前記保持部側に向けた変位を規制可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載の排水栓装置。
【0018】
上記手段2によれば、複数の前記リング構成部が環状に連なった状態、すなわち取付対象部にリング部を取付けた状態においては、第一構成部の端側部分によって第二構成部の端側部分を受けて、当該第二構成部の端側部分における保持部側(内側)に向けた変位を規制することができる。これにより、リング部が保持部側(内側)に弾性変形して取付対象部からリング部が外れるといった事態をより生じにくくすることができる。その結果、取付対象部に対するアタッチメント部材の取付安定性をより良好なものとすることができる。
【0019】
手段3.前記第一構成部及び前記第二構成部は、前記取付対象部に前記リング部が取付けられた状態において、それぞれの端側部分が前記リング部の径方向に沿って重なった状態となるように構成されていることを特徴とする手段2に記載の排水栓装置。
【0020】
上記手段3によれば、取付対象部にリング部を取付けた状態において、第一構成部及び第二構成部における各端側部分がリング部の径方向に沿って重なるようになっている。従って、第一構成部によって、第二構成部の端側部分における保持部側(内側)への変位(弾性変形)をより効果的に規制することができる。これにより、リング部が保持部側(内側)に弾性変形して取付対象部からリング部が外れるといった事態をより生じにくくすることができる。その結果、取付対象部に対するアタッチメント部材の取付安定性をより良好なものとすることができる。
【0021】
手段4.前記第一構成部の端側部分は、前記アーム部と連結された状態、又は、当該第一構成部及び前記アーム部の連結部分の近傍に位置した状態とされることを特徴とする手段2又は3に記載の排水栓装置。
【0022】
上記手段4によれば、第二構成部の保持部側(内側)への変位を防止する役割を有する第一構成部に関し、当該第一構成部の端側部分は、アーム部と連結された状態、又は、アーム部及び第一構成部の連結部分の近傍に位置した状態とされている。従って、第一構成部の端側部分における保持部側への変位(弾性変形)をより生じにくい状態とすることができる。また、第一構成部の端側部分における変位(弾性変形)が生じにくくなることで、この第一構成部によって、第二構成部における保持部側(内側)への変位についても非常に効果的に規制することができる。その結果、取付対象部に対するアタッチメント部材の取付安定性を非常に良好なものとすることができる。
【0023】
尚、アタッチメント部材の取付安定性の更なる向上を図るという点では、第一構成部の両端側部分のそれぞれが、アーム部と連結された状態、又は、アーム部及び第一構成部の連結部分の近傍に位置した状態とされており、さらに、これら第一構成部の両端側部分によって第二構成部の両端側部分の保持部側(内側)への変位を規制可能な状態となるように構成することが好ましい。
【0024】
手段5.前記アタッチメント部材は、複数の前記リング構成部における端側部分同士を係止可能な係止手段を有し、
前記係止手段によって、複数の前記リング構成部を環状に連なった状態で維持可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の排水栓装置。
【0025】
上記手段5によれば、係止手段により、複数のリング構成部を環状に連なった状態で維持することができる。従って、保持部の内周へと支持軸機構を挿通設置した上で、係止手段により複数のリング構成部を環状に連なった状態で維持することにより、保持部の下部開口における開口面積の増大抑制が可能となり、ひいては保持部からの支持軸機構の脱落をより確実に防止可能な状態とすることができる。この状態とすることで、取付対象部へとアタッチメント部材(リング部)を取付ける際に、支持軸機構の脱落に係る注意を特段払うことなく、支持軸機構の脱落をより確実に防止しながらアタッチメント部材(リング部)の取付を行うことができる。また、係止手段によって複数のリング構成部を環状に連なった状態で維持することにより、取付対象部の内周に対するアタッチメント部材の配置(挿通)をより容易に行うことができる。これらの結果、アタッチメント部材の取付に係る作業性を極めて効果的に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】排水栓装置などの一部破断正面図である。
図2】自然状態におけるアタッチメント部材の斜視図である。
図3】配管などに取付けられて、リング構成部が環状に連なった状態になったときのアタッチメント部材の斜視図である。
図4】自然状態におけるアタッチメント部材の平面図である。
図5】リング構成部が環状に連なった状態になったときのアタッチメント部材の平面図である。
図6】別の実施形態において、自然状態におけるアタッチメント部材の平面図である。
図7】別の実施形態において、リング構成部が環状に連なった状態になったときのアタッチメント部材の平面図である。
図8】別の実施形態において、被係止部に対し係止部が係止されていない状態であるときの、係止手段を備えたアタッチメント部材の斜視図である。
図9】別の実施形態において、被係止部に対し係止部が係止されている状態であるときの、係止手段を備えたアタッチメント部材の斜視図である。
図10】別の実施形態における係止手段の部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、排水栓装置1は、槽体としての浴槽100に取付けられている。尚、浴槽100は、その底面を構成する底面部101を備えており、当該底面部101には排水口102が貫通形成されている。
【0028】
排水栓装置1は、排水口部材2と、配管3と、アタッチメント部材4と、支持軸機構5と、栓蓋6とを備えている。
【0029】
排水口部材2は、円筒状に形成されており、自身の中心軸と排水口102の中心軸とがほぼ一致するように排水口102に挿設されている。排水口部材2は、その上端部において径方向外側に突出形成された鍔部21と、当該鍔部21よりも下側の外周に形成された雄ねじ部22とを備えている。
【0030】
配管3は、排水口102を流れる排水の流路を構成するものであり、少なくとも上部側が円筒状をなす管である。配管3は、その上端側内周に前記雄ねじ部22を螺合可能な雌ねじ部31を備えている。そして、底面部101の下方において排水口102とほぼ同軸となるように配管3を配置した上で、底面部101の上方から排水口102及び配管3内に対し排水口部材2を挿通しつつ雄ねじ部22を雌ねじ部31に螺合し、鍔部21及び配管3の上端面により底面部101を挟み込むことで、排水口部材2及び配管3が接続されるとともに、両者が浴槽100に取付けられた状態となっている。
【0031】
尚、本実施形態において、鍔部21と底面部101の表面(上面)との間、及び、配管3の上端面と底面部101の裏面(下面)との間には、それぞれ弾性変形可能な材料(例えば、樹脂やゴム等)により形成された環状のシール部材7,8が配置されている。これらシール部材7,8によって、排水口部材2及び配管3と浴槽100との間からの漏水防止が図られている。
【0032】
また、配管3における雌ねじ部31よりも下方の内周には、配管3の周方向に延びる段部32が形成されている。そして、排水口部材2及び配管3を接続した状態では、排水口部材2の下端面、段部32及びこれらの間に位置する配管3の内周面によって環状の取付溝9が形成されるようになっている。取付溝9は、アタッチメント部材4の被取付部として機能する。本実施形態では、取付溝9を構成する排水口部材2及び配管3が「取付対象物」に相当する。
【0033】
アタッチメント部材4は、排水の流路において支持軸機構5を保持するためのものである。アタッチメント部材4は、支持軸機構5を保持するための筒状の保持部41などを備えている。アタッチメント部材4の構成については後に説明する。
【0034】
支持軸機構5は、栓蓋6を上下動させるための機構であり、外筒部51及び支持軸52を備えている。外筒部51は、円筒状をなしており、上下動不能な状態で保持部41により保持されている。
【0035】
支持軸52は、円柱状をなしており、上下動可能な状態で外筒部51の内周に配置されている。支持軸52の下部には、図示しない操作部材(例えば押しボタン等)の変位による駆動力を伝達するための伝達部材10(例えば、金属製のワイヤ)の端部が接触可能に構成されている。伝達部材10は、筒状のチューブ部材11の内周において往復移動可能な状態で配置されている。そして、伝達部材10の往復移動に伴い支持軸52が上下動し、支持軸52の上下動に伴い栓蓋6が上下動するようになっている。
【0036】
尚、支持軸機構5は、外筒部51内に、支持軸52に対しその復動方向(下方向)への力を付与する戻りばね(不図示)を備えている。また、前記操作部材を備えてなる操作装置(不図示)は、伝達部材10を往動(前記操作部材側から支持軸機構5側に移動)した状態でロックすることにより、支持軸52を往動(上動)した状態でロックするためのロック機構(不図示)を有している。尚、支持軸52を往動(上動)した状態でロックするためのロック機構を支持軸機構5に設けてもよい。
【0037】
本実施形態において、支持軸52は、前記操作部材に対する操作により次のように動作する。すなわち、前記操作部材を操作(例えば、押圧)することで伝達部材10が往動したとき、支持軸52は、前記戻りばねからの力に抗して、伝達部材10により押し上げられる。そして、支持軸52が一定位置よりも上方の位置まで往動した状態で前記操作部材への操作が解除されると、支持軸52が若干だけ下降しつつ、前記ロック機構により伝達部材10が往動した状態でロックされる。その結果、支持軸52が往動(上動)した状態でロックされる。
【0038】
一方、この状態で、前記操作部材を再度操作すると、伝達部材10が再び往動し、その結果、前記ロック機構による伝達部材10のロックが解除される。そして、前記操作部材に対する操作が解除されると、前記戻りばねや自重によって、伝達部材10とともに支持軸52が復動(下動)する。
【0039】
このように本実施形態では、前記操作部材を操作する度に、支持軸52が上動した状態でロックされること、及び、ロック解除に伴い支持軸52が下動することが交互に行われるようになっている。
【0040】
栓蓋6は、排水口102を開閉するための栓である。栓蓋6は、樹脂等からなる円板状の栓蓋本体部61と、栓蓋本体部61の背面の外周側に取付けられた環状のパッキン部62とを備えている。本実施形態では、支持軸52が上動したときに、当該支持軸52の上面に栓蓋本体部61の背面中心部が単に載置された状態となるように構成されている。尚、例えば、栓蓋本体部61の背面中心部に筒状部分を設けるとともに、当該筒状部分の内周に支持軸52の先端部を嵌合させることによって、支持軸52の上端部に栓蓋本体部61を連結した構成としてもよい。
【0041】
本実施形態では、排水口102が閉状態であるときに、前記操作部材への操作に伴い支持軸52が往動(上動)すると、パッキン部62が排水口部材2から離間した状態となる。そして、前記ロック機構によって支持軸52が往動(上動)した状態で維持されることにより、排水口102が開状態で維持される。
【0042】
一方、排水口102が開状態であるときに、前記操作部材への操作に伴い前記ロック機構によるロックが解除されると、前記戻りばねからの付勢力により支持軸52が復動(下動)する。そして、支持軸52の復動(下動)に伴い栓蓋6が復動(下動)し、パッキン部62の外周部分全域が排水口部材2と接触することで、排水口102が閉状態とされる。
【0043】
さらに、栓蓋6は、栓蓋本体部61の背面部におけるパッキン部62よりも内側の部位に、下方に向けて突出する筒状のガイド部63を備えている。ガイド部63の内周には保持部41が挿通された状態となっており、栓蓋6が上下動する際には、保持部41の外周面に沿ってガイド部63が上下動する。これにより、支持軸52に対する栓蓋6の位置ずれや栓蓋6における傾き等をより確実に防止可能となっている。
【0044】
次いで、アタッチメント部材4について説明する。アタッチメント部材4は、図2~5に示すように、上述した保持部41に加えて、アーム部42及びリング部43を備えている。尚、図2,4は、自然状態におけるアタッチメント部材4を示し、図3,5は、取付溝9にリング部43が取付けられて、後述するリング構成部431が環状に連なった状態となったときのアタッチメント部材4を示す。「自然状態」とあるのは、単に床に置いた状態など、特段の荷重(負荷)が印加されていない状態をいう。
【0045】
保持部41は、上記の通り、自身の内周において支持軸機構5を保持するためのものである。保持部41は、全体として円筒状をなしており、リング部43よりも内側においてリング部43と同軸状に設けられている。保持部41は、上方突起部41a、下方突起部41b及び保持側スリット41sを備えている。
【0046】
上方突起部41a及び下方突起部41bは、外筒部51を上下に挟み込んで、保持部41の内周にて支持軸機構5を保持するためのものである。上方突起部41aは、保持部41の上端側内周に設けられた、内側に向けて突出する突起により構成されている。上方突起部41aは、保持部41の中心軸CLを挟む位置に一対設けられている。
【0047】
下方突起部41bは、上方突起部41aと同様に内側に向けて突出する突起であるが、上方突起部41aとは異なり、保持部41の下端側内周に設けられている(図1参照)。本実施形態において、下方突起部41bは、保持部41の中心軸CLを挟む位置に一対設けられている。また、平面視したとき(保持部41の中心軸CL方向に沿ってアタッチメント部材4を見たとき)に、上方突起部41a及び下方突起部41bが保持部41の周方向に沿って交互に位置する構成となっている。
【0048】
さらに、下方突起部41bは、保持部41の内周面に対する突出量が上方突起部41aに係る同突出量よりも大きなものとされている。これにより、下方突起部41bによって支持軸機構5を非常に安定した状態で支持可能となっている。
【0049】
また、各下方突起部41bの下面は、保持部41の中心軸CL側に向けて徐々に保持部41の上端側に変位する傾斜面とされている(図1参照)。加えて、各下方突起部41bは、平面視したときに、2本の保持側スリット41sを通る直線を間に置く位置関係で設けられている(図4,5では保持側スリット41sを点線で示す)。このように下方突起部41bが構成されているため、下方突起部41bの下面(傾斜面)に支持軸機構5の先端部を接触させつつ、保持部41内に向けて支持軸機構5を押し込むことで、保持側スリット41sを拡幅させつつ保持部41の下部開口の開口面積を増大させることが可能となっている。
【0050】
保持側スリット41sは、保持部41の下部開口が拡大するようにして保持部41を弾性変形可能とするために設けられている。本実施形態において、保持側スリット41sは、保持部41の中心軸CLを挟む位置に一対設けられている。
【0051】
各保持側スリット41sは、保持部41の内外に貫通し、保持部41の軸方向(中心軸CL方向)に延びている。また、各保持側スリット41sは、保持部41の下端部にて開口する(保持部41の下端部に貫通する)一方、保持部41の上端部には開口しない(当該上端部まで貫通しない)ように構成されている。これにより、保持部41の上部は、該保持部41の周方向に沿って連続する環状となっている。
【0052】
アーム部42は、保持部41の外周面とリング部43の内周面とを連結する部位である。アーム部42は、保持部41の周方向に沿って間隔をあけた状態で複数(本実施形態では、等間隔に3つ)設けられており、各アーム部42は、保持部41の外周から保持部41の径方向外側に延びている。排水口部材2や配管3の内部に流れ込んだ排水は、各アーム部42間の隙間を通って下流へと流れる。
【0053】
リング部43は、排水口部材2及び配管3(つまり「取付対象部」)に対するアタッチメント部材4の取付部として機能する。本実施形態において、リング部43は、排水口部材2及び配管3の内周に配置され、取付溝9へと嵌め込まれた状態となることで、排水口部材2及び配管3の内周に取付けられている。リング部43が排水口部材2及び配管3に取付けられることで、アタッチメント部材4が設置された状態となる。
【0054】
また、リング部43は、それぞれ湾曲板状をなす複数(本実施形態では2つ)のリング構成部431を備えている。本実施形態では、リング構成部431として、第一構成部4311及び第二構成部4312が設けられている。
【0055】
第一構成部4311は、平面視円弧状をなし、2つのアーム部42に架け渡された状態となっている。そして、リング部43の周方向に沿った第一構成部4311の両端側部分4311aは、それぞれ当該第一構成部4311及びアーム部42の連結部分44の近傍に位置している。「近傍」とは、リング部43の周方向に沿って、アーム部42に対し第一構成部4311の端側部分4311aが僅かに(例えば10mm以下)だけ突出した状態ということができる。連結部分44の近傍に第一構成部4311の両端側部分4311aが位置することで、保持部41側(内側)に向けた第一構成部4311の両端側部分4311aにおける変位(弾性変形)がほぼ生じない状態となっている。尚、第一構成部4311の両端側部分4311aに対しアーム部42が連結された状態(すなわち、リング部43の周方向に沿って、アーム部42から第一構成部4311の両端側部分4311aが突出しない状態)となるように構成してもよい。
【0056】
第二構成部4312は、平面視円弧状をなしており、リング部43の周方向に沿ったその中心部に対し1のアーム部42における端部が連結された状態となっている。本実施形態では、自然状態において、リング部43の周方向に沿った第二構成部4312の端側部分4312aは、保持部41や第一構成部4311の端側部分4311aから離間する側(外側)に広がる形状をなしている。従って、自然状態において、リング部42の周方向に沿った各リング構成部431の端側部分同士は、分離した状態となっている。一方、第二構成部4312は、その端側部分4312aが第一構成部4311aの端側部分4311a側に向けて変位するようにして弾性変形可能とされている。
【0057】
そして、第二構成部4312の両端側部分4312aが端側部分4311a側へと変位するようにアタッチメント部材4(本実施形態では第二構成部4312)を弾性変形させることで、各リング構成部431を環状に連なった状態とすることが可能である。本実施形態において、各リング構成部431を環状に連なった状態としたときには、各リング構成部431(両構成部4311,4312)のそれぞれの両端面が接触又は近接した状態となる。尚、ここでいう「近接した状態」とは、例えば、リング部9が排水口部材2及び配管に取付けられた状態(すなわち使用状態)において、外力によりリング構成部431が僅かに変形したときに各リング構成部431同士が接触することとなる程度の小さな隙間が各リング構成部431間に形成されている状態ということができる。
【0058】
そして、各リング構成部431が環状に連なった状態においては、第一構成部4311の端側部分4311aによって第二構成部4312の端側部分4312aが受けられることで、当該第二構成部4312の端側部分4312aにおける保持部41側(内側)に向けた変位を規制可能に構成されている。本実施形態では、第一構成部4311の両端面がそれぞれ保持部41の径方向に沿って延びる形状をなし(換言すれば、第一構成部4311の端面を含む仮想面が保持部41の中心軸CLと重なるように第一構成部4311の両端面の形状が設定され)、この第一構成部4311の両端面に第二構成部4312の両端面が面接触又は僅かな隙間をあけて相対向した状態となることで、第二構成部4312の端側部分4312aに対し保持部41側(内側)に変位する方向の力が多少付与された場合であっても、第一構成部4311の端側部分4311aによって第二構成部4312の端側部分4312aが受けられて、その結果、当該第二構成部4312の端側部分4312aにおける保持部41側(内側)に向けた変位が規制されるようになっている。
【0059】
また、リング部43が取付溝9に配置されて排水口部材2及び配管3に取付られた状態となったときには、複数のリング構成部431が環状に連なった状態となる。従って、排水口部材2及び配管3にリング部43を取付けた状態においては、第二構成部4312の端側部分4312aにおける保持部41側(内側)に向けた変位が規制されることとなる。
【0060】
さらに、アタッチメント部材4は、一部材(すなわち1の構成材料であり、本実施形態では、POM等の弾性変形可能な熱可塑性樹脂)によって保持部41、アーム部42及びリング部43が一体成形されてなるものである。アタッチメント部材4は、例えば射出成型法などを用いて製造される。
【0061】
また、アタッチメント部材4は、保持側スリット41sを拡幅しつつ保持部41の下部開口の開口面積を増大させるときに、リング構成部431同士(本実施形態では、第一構成部4311及び第二構成部4312)の間隔が増大するようにして弾性変形可能とされている。本実施形態においては、保持側スリット41sを拡幅しつつ保持部41の下部開口の開口面積を増大させるときに、保持側スリット41sの拡幅方向(図4にて黒塗り矢印で示す方向)に沿って第一構成部4311及び第二構成部4312の各端側部分4311a,4312aが離れるように、アタッチメント部材4が弾性変形する。
【0062】
次いで、上述した排水栓装置1の設置方法について説明する。まず、保持部41の内周に支持軸機構5を挿通し、保持部41によって支持軸機構5を保持した状態とする。
【0063】
すなわち、下方突起部41bの下面(傾斜面)に支持軸機構5の先端部を接触させつつ、保持部41内への支持軸機構5を押し込むことで、保持側スリット41sが拡幅しつつ保持部41の下部開口における開口面積が増大するようにアタッチメント部材4を弾性変形させて、この下部開口を通して当該保持部41の内周へと支持軸機構5を挿通する。そして、保持部41への支持軸機構5の挿通に伴いアタッチメント部材4の弾性変形が解除されることで、両突起部41a,41b間に外筒部51が配置され、保持部41によって支持軸機構5が保持された状態となる。尚、保持部41の下部開口の開口面積を増大させるときには、各リング構成部431の端側部分4311a,4312a同士が離間するようにしてアタッチメント部材4が弾性変形する。
【0064】
次いで、保持部41に対し支持軸機構5が挿通設置された状態のアタッチメント部材4を配管3の内周にセットする。すなわち、伝達部材10及びチューブ部材11を配管3内に挿通しつつ、リング部43を配管3の段部32に載置した状態とする。段部32にリング部43を載置する際には、アタッチメント部材4を、各リング構成部431が環状に連なった状態となるように弾性変形させつつ配管3内に挿通する。
【0065】
次に、アタッチメント部材4がセットされた配管3と排水口部材2とを接続しつつ、これらを浴槽100に取付ける。すなわち、アタッチメント部材4がセットされた配管3を、排水口102と略同軸となるように浴槽100の下方に配置した上で、排水口102を通して配管3の内周(雌ねじ部31)へと排水口部材2の雄ねじ部22を螺合する。これにより、配管3及び排水口部材2が接続されるとともに、鍔部21及び配管3によって底面部101が挟み込まれた状態となり、浴槽100に排水口部材2及び配管3が取付けられる。また、排水口部材2及び配管3によって取付溝9が形成されるとともに、当該取付溝9にリング部43が配置されて、アタッチメント部材4が排水口部材2及び配管3に取付けられた状態となる。尚、この作業は、シール部材7,8を所定位置にセットした状態で行われる。
【0066】
取付溝9にリング部43を配置した状態においては、第二構成部4312が保持部41側(内側)に押し込まれた状態で維持され、その結果、両構成部4311,4312の両端側部分4311a,4312a同士が接触又は近接し、複数のリング構成部431が環状に連なった状態となる。また、配管3(取付対象部)によって、保持側スリット41sを拡幅させる方向のアタッチメント部材4の弾性変形が規制される状態となる。これにより、保持部41の下部開口が開くことを防止して、下方突起部41bによって支持軸機構5を極めて安定した状態で支持することが可能となる。
【0067】
そして最後に、支持軸機構5における支持軸52上に栓蓋6を設置する。これにより、排水栓装置1の設置が完了する。
【0068】
以上詳述したように、本実施形態によれば、リング部43は複数のリング構成部431(第一構成部4311及び第二構成部4312)を有しており、自然状態においては、これらリング構成部431同士が分離した状態となる。そして、アタッチメント部材4は、保持側スリット41sを拡幅しつつ保持部41の下部開口の開口面積を増大させるときに、リング構成部431同士の間隔が増大するように弾性変形可能とされている。従って、前記開口面積を増大させるための保持部41の弾性変形がリング部43によって阻害されない形とすることができる。これにより、前記下部開口を通して保持部41の内周に支持軸機構5を挿通設置することをより容易に行うことが可能となる。
【0069】
一方、本実施形態では、排水口部材2及び配管3にリング部43を取付けた状態においては、複数のリング構成部431が環状に連なった状態となる。つまり、リング部43は環状の状態で排水口部材2及び配管3に取付けられる。従って、排水口部材2及び配管3に対するアタッチメント部材4の取付安定性を良好なものとすることができる。
【0070】
さらに、アタッチメント部材4は、一部材により保持部41、リング部43及びアーム部42が一体成形されてなるものである。従って、複数の部品を組み立てることで製造されたアタッチメント部材と比べて、アタッチメント部材4の製造に係る手間の削減や製造コストの低減を図ることができる。また、アタッチメント部材4の管理や取り扱いといった点でも有利となる。
【0071】
加えて、自然状態においてリング構成部431同士が分離するという構成は、射出成型法などを用いてアタッチメント部材4を一部材により成形する点でも有利である。
【0072】
また、排水口部材2及び配管3にリング部43を取付けた状態においては、第一構成部4311の端側部分4311aによって第二構成部4312の端側部分4312aを受けて、当該第二構成部4312の端側部分4312aにおける保持部41側(内側)に向けた変位を規制することができる。これにより、リング部43が保持部41側(内側)に弾性変形して、排水口部材2及び配管3からリング部43が外れるといった事態をより生じにくくすることができる。その結果、アタッチメント部材4の取付安定性をより良好なものとすることができる。
【0073】
さらに、保持部41側(内側)に向けた第二構成部4312の端側部分4312aの変位を防止する第一構成部4311に関し、当該第一構成部4311の端側部分4311aは、アーム部42及び第一構成部4311の連結部分44の近傍に位置した状態とされている。従って、第一構成部4311の端側部分4311aにおける保持部41側(内側)への変位(弾性変形)をより生じにくい状態とすることができる。また、第一構成部4311の端側部分4311aにおける変位(弾性変形)が生じにくくなることで、この第一構成部4311によって、保持部41側(内側)に向けた第二構成部4312の端側部分4312aにおける変位についても非常に効果的に規制することができる。その結果、アタッチメント部材4の取付安定性の更なる向上を図ることができる。
【0074】
特に本実施形態では、第一構成部4311の両端側部分4311aのそれぞれが連結部分44の近傍に位置した状態とされており、さらに、これら第一構成部4311の両端側部分4311aによって、保持部41側(内側)に向けた第二構成部4312の両端側部分4312aの変位を規制可能とされている。従って、アタッチメント部材4の取付安定性を非常に良好なものとすることができる。
【0075】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0076】
(a)上記実施形態では、各リング構成部431(第一構成部4311及び第二構成部4312)を環状に連なった状態としたとき、両構成部4311,4312の両端面同士が接触又は近接するように構成されている。これに対し、図6,7に示すように、各リング構成部431を環状に連なった状態としたとき、第一構成部4311及び第二構成部4312における各端側部分4311a,4312aが、リング部43の径方向に沿って重なった状態となるように構成してもよい。すなわち、各リング構成部431を環状に連なった状態としたとき、第二構成部4312の端側部分4312aの内側に第一構成部4311の端側部分4311aが位置した状態となるように構成してもよい。
【0077】
上記のように構成した場合には、第一構成部4311によって、第二構成部4312の端側部分4312aにおける保持部41側(内側)への変位(弾性変形)をより効果的に規制することができる。これにより、リング部43が保持部41側(内側)に弾性変形して、排水口部材2や配管3からリング部43が外れるといった事態をより生じにくくすることができる。その結果、アタッチメント部材4の取付安定性をより良好なものとすることができる。
【0078】
尚、第一構成部4311の端側部分4311aを、アーム部42と連結された状態、又は、連結部分44の近傍に位置した状態とすることは、第二構成部4312の端側部分4312aの内側に第一構成部4311の端側部分4311aが位置した状態となるように構成したときにおいても有効に作用する。すなわち、保持部41側(内側)への変位が生じにくい第一構成部4311の端側部分4311aによって、保持部41側(内側)に向けた第二構成部4312の端側部分4312aにおける変位を極めて効果的に規制することができ、その結果、アタッチメント部材4の取付安定性を一段と高めることができる。
【0079】
(b)上記実施形態のような自然状態にてリング構成部431同士が分離する構成において、図8,9に示すように、複数のリング構成部431における端側部分同士を係止する係止手段45を設け、当該係止手段45によって、複数のリング構成部431を環状に連なった状態で維持可能に構成してもよい。
【0080】
係止手段45は、図10に示すように、例えば、第一構成部4311の端側部分4311aに設けられた、外側に向けて突出する鉤状の係止部45aと、第二構成部4312の端側部分4312aに設けられた、内側に向けて突出する鉤状の被係止部45bとによって構成することができる。被係止部45bに対し係止部45aを係止することで、第二構成部4312の端側部分4312aが第一構成部4311から離れる方向に変位することを規制可能となり、複数のリング構成部431(各構成部4311,4312)を環状に連なった状態で維持することができる。
【0081】
係止手段45を設けることにより、次のような作用効果が奏される。すなわち、保持部41の内周へと支持軸機構5を挿通設置した上で、係止手段45によって複数のリング構成部431を環状に連なった状態で維持することにより、保持部41の下部開口における開口面積の増大抑制が可能となり、ひいては保持部41からの支持軸機構5の脱落をより確実に防止可能な状態とすることができる。この状態とすることで、排水口部材2及び配管3へとアタッチメント部材4(リング部43)を取付ける際に、支持軸機構5の脱落に係る注意を特段払うことなく、支持軸機構5の脱落をより確実に防止しながらアタッチメント部材4(リング部43)の取付を行うことができる。また、係止手段45によって複数のリング構成部431を環状に連なった状態で維持することにより、例えば、配管3に対するアタッチメント部材4のセットなど、取付対象部の内周に対するアタッチメント部材4の配置(挿通)をより容易に行うことができる。これらの結果、アタッチメント部材4の取付に係る作業性を極めて効果的に向上させることが可能となる。
【0082】
(c)上記実施形態において、リング構成部431は2つ設けられているが、リング構成部431を3つ以上設けてもよい。
【0083】
また、上記実施形態において、保持側スリット41sは2本設けられているが、保持側スリット41sの本数はこれに限定されるものではない。従って、保持側スリット41sを例えば3本以上設けてもよい。
【0084】
さらに、上記実施形態では、アーム部42が3本設けられているが、アーム部42を例えば1,2又は4本以上設けてもよい。
【0085】
(d)上記実施形態において、リング部43は、平面視円形状をなしているが、リング部43の形状については、例えば取付対象部の形状などに応じて適宜変更してもよい。従って、例えば、リング部43を、平面視長円形状、平面視楕円形状、平面視矩形状、平面視多角形状(例えば、六角形状など)としてもよい。
【0086】
(e)上記実施形態において、アタッチメント部材4(リング部43)は、排水口部材2及び配管3に取付けられているが、排水口部材2及び配管3のうちの一方のみに取付けられるように構成してもよい。例えば、排水口部材2の内周面に、当該排水口部材2の周方向に沿って間隔をあけて複数の突起部を設けるとともに、リング部43に、前記突起部を配置するための凹部(リング部43の下端部にて開口する凹部)を設け、前記凹部に前記突起部を配置することで、排水口部材2に対しアタッチメント部材4が取付けられる構成としてもよい。
【0087】
尚、このように構成した場合には、上記実施形態のような排水口部材2、配管3及びアタッチメント部材4の取付が同時期に行われる取付手法ではなく、排水口部材2及び配管3を浴槽100に取付けた後に、アタッチメント部材4を取付けるといった取付手法を採用してもよい。すなわち、排水口部材2及び配管3を浴槽100に取付けた上で、保持部41に支持軸機構5が挿通されたアタッチメント部材4を排水口部材2の内周に挿通し、前記凹部に前記突起部を配置することで、排水口部材2に対しアタッチメント部材4を取付けるといった取付手法を採用してもよい。尚、このような取付手法を採用する場合においては、上記のような係止手段45を設けることで、排水口部材2の内周に対するアタッチメント部材4の挿通が容易となり、その結果、アタッチメント部材4の取付に係る作業性をより高めることができる。
【0088】
(f)上記実施形態では、排水口部材2に対し栓蓋6(パッキン部62)が接触することで排水口102が閉状態となるように構成されているが、排水口部材2以外の部位(例えば、底面部101)に栓蓋6(パッキン部62)が接触することで排水口102が閉状態となるように構成してもよい。
【0089】
(g)上記実施形態では、槽体として浴槽100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は浴槽に限定されるものではない。従って、例えば、洗面ボウルやキッチンの流し台などの浴槽以外の槽体に対し本発明の技術思想を適用してもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…排水栓装置、4…アタッチメント部材、5…支持軸機構、6…栓蓋、41…保持部、41s…保持側スリット、42…アーム部、43…リング部、45…係止手段、52…支持軸、100…浴槽(槽体)、102…排水口、431…リング構成部、4311…第一構成部、4312…第二構成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10