(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038524
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、印刷装置、情報処理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20230310BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20230310BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230310BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
B41J29/38 350
B41J29/42 F
G03G21/00 512
G03G21/00 386
G06F3/12 304
G06F3/12 332
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145297
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】松村 則幸
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AR01
2C061CQ04
2C061CQ23
2C061CQ34
2C061HK19
2C061HN08
2C061HN15
2H270QB05
2H270QB10
2H270RB01
2H270RC02
2H270RC09
2H270RC13
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】情報処理装置、印刷装置、情報処理方法、及びプログラムにおいて、メンテナンス項目の実行タイミングの到来が報知された後、メンテナンス項目の種類に応じた機能で使用を継続する。
【解決手段】情報処理装置(印刷装置1)は、被メンテナンス装置(印刷装置1)の複数のメンテナンス項目のそれぞれについて、実行タイミングの到来を報知するタイミング報知部51と、被メンテナンス装置の機能を制限する制限部52とを備える。複数のメンテナンス項目は、第1種類のメンテナンス項目と、第2種類のメンテナンス項目とを含む。制限部52は、タイミング報知部51が実行タイミングの到来を報知した後、実行タイミングの到来を報知されたメンテナンス項目が、第1種類のメンテナンス項目である場合と、第2種類のメンテナンス項目である場合とで、異なる基準で被メンテナンス装置の機能を段階的に制限する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被メンテナンス装置の複数のメンテナンス項目のそれぞれについて、実行タイミングの到来を報知するタイミング報知部と、
前記被メンテナンス装置の機能を制限する制限部とを備え、
前記複数のメンテナンス項目は、第1種類のメンテナンス項目と、第2種類のメンテナンス項目とを含み、
前記制限部は、前記タイミング報知部が前記実行タイミングの到来を報知した後、当該実行タイミングの到来を報知された前記メンテナンス項目が、前記第1種類のメンテナンス項目である場合と、前記第2種類のメンテナンス項目である場合とで、異なる基準で前記被メンテナンス装置の機能を段階的に制限する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
印刷装置であって、
前記印刷装置の複数のメンテナンス項目のそれぞれについて、実行タイミングの到来を報知するタイミング報知部と、
前記印刷装置の機能を制限する制限部とを備え、
前記複数のメンテナンス項目は、第1種類のメンテナンス項目と、第2種類のメンテナンス項目とを含み、
前記制限部は、前記タイミング報知部が前記実行タイミングの到来を報知した後、当該実行タイミングの到来を報知された前記メンテナンス項目が、前記第1種類のメンテナンス項目である場合と、前記第2種類のメンテナンス項目である場合とで、異なる基準で前記印刷装置の機能を段階的に制限する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
前記制限部は、前記タイミング報知部が前記実行タイミングの到来を報知した後、当該実行タイミングの到来を報知された前記メンテナンス項目が、前記第1種類のメンテナンス項目である場合と、前記第2種類のメンテナンス項目である場合とで、前記印刷装置の動作停止までの段階数が異なるように、前記印刷装置の機能を段階的に制限する
ことを特徴とする請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制限部は、前記複数のメンテナンス項目の前回の実行が所定時期よりも遅れた場合、前記タイミング報知部が前記実行タイミングの到来を報知した後、前記印刷装置の機能をより早く制限する
ことを特徴とする請求項2又は3記載の印刷装置。
【請求項5】
被メンテナンス装置の複数のメンテナンス項目のそれぞれについて、実行タイミングの到来を報知し、
前記実行タイミングの到来を報知した後、当該実行タイミングの到来を報知された前記メンテナンス項目が、第1種類のメンテナンス項目である場合と、第2種類のメンテナンス項目である場合とで、異なる基準で前記被メンテナンス装置の機能を段階的に制限する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
被メンテナンス装置の複数のメンテナンス項目のそれぞれについて、実行タイミングの到来を報知する処理と、
前記実行タイミングの到来を報知した後、当該実行タイミングの到来を報知された前記メンテナンス項目が、第1種類のメンテナンス項目である場合と、第2種類のメンテナンス項目である場合とで、異なる基準で前記被メンテナンス装置の機能を段階的に制限する処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンテナンス項目の実行タイミングの到来を報知する、情報処理装置、印刷装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送機構のメンテナンス時期にきたときに、メンテナンスするか、搬送機構の劣化度合いに応じて印刷用紙の品質を低下させることなく印刷動作を継続させるかをユーザが選択することができる印刷装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、印刷装置の複数のメンテナンス項目は、実行タイミングが到来した後もメンテナンスを行わないと印刷装置の故障とまでいかなくとも印刷品質劣化(機能劣化の一例)に繋がりやすいものもあれば、実行タイミングが到来した後もメンテナンスを行わないと印刷装置の故障に繋がりやすいものもある。
【0005】
そのため、例えば、メンテナンスを行わないことによって印刷品質劣化に繋がりやすいメンテナンス項目については、印刷品質劣化を許容すれば、メンテナンス項目の実行タイミングの到来が報知された後、一定期間、印刷装置の使用を継続することが可能である。これにより、ユーザの使い勝手が良くなる。なお、メンテナンスを行わないことによって印刷装置の故障に繋がりやすいメンテナンス項目についても、メンテナンスを行わないことによって印刷品質劣化に繋がりやすいメンテナンス項目と比較すれば短いものの、印刷装置の使用を継続することが可能な場合がある。上述のことは、印刷装置以外の他の被メンテナンス装置においても同様にいえる。
【0006】
本発明の目的は、メンテナンス項目の実行タイミングの到来が報知された後、メンテナンス項目の種類に応じた機能で使用を継続することができる、情報処理装置、印刷装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、情報処理装置は、被メンテナンス装置の複数のメンテナンス項目のそれぞれについて、実行タイミングの到来を報知するタイミング報知部と、前記被メンテナンス装置の機能を制限する制限部とを備え、前記複数のメンテナンス項目は、第1種類のメンテナンス項目と、第2種類のメンテナンス項目とを含み、前記制限部は、前記タイミング報知部が前記実行タイミングの到来を報知した後、当該実行タイミングの到来を報知された前記メンテナンス項目が、前記第1種類のメンテナンス項目である場合と、前記第2種類のメンテナンス項目である場合とで、異なる基準で前記被メンテナンス装置の機能を段階的に制限する。
【発明の効果】
【0008】
前記態様によれば、メンテナンス項目の実行タイミングの到来が報知された後、メンテナンス項目の種類に応じた機能で使用を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施の形態に係る印刷装置を示すブロック図である。
【
図2】一実施の形態におけるメンテナンスの処理を説明するためのフローチャート(その1)である。
【
図3】一実施の形態におけるメンテナンスの処理を説明するためのフローチャート(その2)である。
【
図4】一実施の形態における印刷枚数に対応する機能ダウンモード及び機能ダウン内容を示す表である。
【
図5】一実施の形態における経過時間に対応する機能ダウンモード及び機能ダウン内容を示す表である。
【
図6】一実施の形態におけるメンテナンス項目の種類を示す表である。
【
図7】一実施の形態の変形例におけるメンテナンスの処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態に係る情報処理装置について、印刷装置を一例として、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、一実施の形態に係る印刷装置1を示すブロック図である。
【0012】
印刷装置1は、媒体供給部10と、搬送部20と、印刷部30と、媒体排出部40と、制御部50と、記憶部60と、操作パネル70と、通信部80とを備える。
【0013】
媒体供給部10は、用紙等の媒体が積載される積載台を有し、この積載台に積載された媒体を印刷装置1の内部に供給する。
【0014】
搬送部20は、例えば、ローラ、ベルトなどを有し、印刷装置1の内部において、媒体を搬送する。
【0015】
印刷部30は、搬送部20によって搬送される媒体に印刷を行う。印刷部30の印刷方式は、特に制限されないが、例えば、インクジェット印刷方式、孔版印刷方式などである。
【0016】
媒体排出部40は、媒体が積載され印刷装置1の外部に露出する積載台を有し、印刷部30による印刷が行われた媒体を積載台に排出する。
【0017】
制御部50は、例えば、印刷装置1の各部の動作を制御する演算処理装置として機能する1つ以上のプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有する。このプロセッサは、例えば、記憶部60から、或いは、印刷装置1に対して着脱可能な記憶媒体(非一過性のコンピュータ読取可能記録媒体)から、所定のプログラムを読み出して実行することにより、タイミング報知部51及び制限部52として機能する。
【0018】
制御部50は、上述のように印刷装置1の各部の動作を制御するため、一部のメンテナンス項目(例えば、印刷装置1の印刷部30がインクジェットヘッドを有する場合には、パージ動作、ワイプ動作など)のメンテナンス項目の実行を制御する。例えば、制御部50は、ユーザ(例えば、一般ユーザから選ばれてメンテナンスに関する基本操作が可能な一般保守員、専門知識・技能を備えた専門保守員など)にメンテナンス用のパスワード(パスコード)の入力を要求し、メンテナンス項目の選択のための表示画面を表示部71に表示させ、所定の権限を有するユーザが選択したメンテナンス項目の実行を制御するとよい。
【0019】
タイミング報知部51は、印刷装置1の複数のメンテナンス項目のそれぞれについて、表示部71の表示制御を行うことによって、ユーザ(ここでは、例えば、一般保守員や専門保守員に加え、一般ユーザ)に実行タイミングの到来を報知する。なお、タイミング報知部51は、表示部71における表示を用いた手法に限らず、音声出力などの他の手法を用いてユーザに実行タイミングの到来を報知してもよい。
【0020】
制限部52は、印刷装置1の機能を制限する。例えば、制限部52は、印刷部30の印刷速度を低速にしたり、印刷部30の印刷濃度を薄くしたり、印刷部30によるカラーでの印刷を不可にしたり、或いは、印刷装置1自体の動作を停止させたりすることによって、印刷装置1の機能を制限する。なお、制限部52が機能を制限する対象は、印刷部30に限らず、搬送部20などの印刷装置1の他のユニットであってもよい。
【0021】
記憶部60は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などのメモリや、ハードディスク装置などを有する。
【0022】
操作パネル70は、各種情報を表示するディスプレイである表示部71と、ユーザによる各種情報の入力を受け付ける入力部72とを有する。表示部71がタッチパネルを有する場合には、表示部71が入力部72を兼ねる。
【0023】
表示部71は、上述のように、タイミング報知部51によるメンテナンス項目の実行タイミングの到来の報知のための情報を表示する。
【0024】
入力部72は、メンテナンス項目の実行のためのメンテナンス用のパスワードの入力を受け付ける。
【0025】
通信部80は、ネットワークを介して無線で又は有線で接続されるユーザ端末などの各種機器との間での各種情報の授受を行うインターフェース部である。例えば、通信部80は、通信部80から画像データを含む印刷ジョブの情報を受信する。
【0026】
次に、メンテナンスの処理について、上述の説明と重複する事項については省略しながら説明する。
【0027】
図2及び
図3は、メンテナンスの処理を説明するためのフローチャートである。
【0028】
図4は、印刷枚数に対応する機能ダウンモード及び機能ダウン内容を示す表である。
【0029】
図5は、経過時間に対応する機能ダウンモード及び機能ダウン内容を示す表である。
【0030】
【0031】
図2に示すフローチャートは、
図6の上段に示すように、放置すると印刷品質劣化に繋がるメンテナンス項目(第1種類のメンテナンス項目の一例である、パージ動作、ワイプ動作、ヘッドクリーニング動作、及びテストチャート印刷)のメンテナンスの処理に関するものである。また、
図3に示すフローチャートは、
図6の下段に示すように、放置すると印刷装置1の故障に繋がるメンテナンス項目(第2種類のメンテナンス項目の一例である、初期動作不良、電源電圧異常、インク循環異常、及び機構部品のオーバーホール)のメンテナンスの処理に関するものである。詳しくは後述するが、制限部52は、第1種類のメンテナンス項目(
図2に示すフローチャート)と第2種類のメンテナンス項目(
図3に示すフローチャート)とで、異なる基準(例えば、
図2では4段階、
図3では2段階)で印刷装置1の機能を段階的に制限する。なお、メンテナンス項目の種類は、2種類に限られず、3種類以上であってもよい。その場合、3種類以上の種類ごとに異なる基準で印刷装置1の機能が段階的に制限されるとよい。また、印刷装置1の機能を段階的に制限する基準は、段階数に限られず、例えば、機能を制限する内容を変更すること、各段階の間隔を変更することなどの少なくとも1つを含む他の基準であってもよい。
【0032】
まず、
図2に示す処理について説明する。
図2に示す処理は、例えば、前回のメンテナンスが終了した後に開始する。なお、
図2に示す処理は、メンテナンス項目ごとに並行して行われてもよい。
【0033】
タイミング報知部51は、例えば、
図4に示すように印刷枚数が200万枚に到達したとき、実行タイミングの到来を表示部71の表示によって報知する(ステップS1)。なお、実行タイミングの到来は、印刷枚数により管理されるのではなく、
図5に示す経過時間(例えば、1ヶ月)、印刷枚数と経過時間とのうち早い方などの他の基準で管理されてもよい。また、印刷枚数や経過時間は、メンテナンス項目ごとに異なる値で管理されてもよい。
【0034】
次に、制限部52は、メンテナンス項目の実行タイミングの到来が報知された後、所定期間内にメンテナンス用のパスワードに一致するパスワードが入力部72において入力されたかを判定する(ステップS2)。
【0035】
所定期間内にメンテナンス用のパスワードに一致するパスワードが入力部72において入力された場合(ステップS2:YES)、制御部50は、メンテナンス項目を実行する(ステップS3)。なお、印刷装置1のクリーニングなどの制御部50が直接的にメンテナンス項目を実行する場合とは異なり、部品交換など、制御部50が直接的にメンテナンス項目の実行を行わないメンテナンス項目の場合、制御部50は、メンテナンスが行われたことを自動で検知するか或いはユーザの入力に基づいて判別するとよい。
【0036】
次に、印刷装置1の機能が制限されている場合には、制限部52が印刷装置1の機能の制限を解除し(ステップS4)、
図2に示す処理が終了する。なお、他のメンテナンス項目について並行して
図2に示す処理が行われている場合に、他のメンテナンス項目に関して機能が制限されているときには、制限部52は、その機能の制限は解除しない。
【0037】
上述のステップS2の処理において、所定期間内にメンテナンス用のパスワードに一致するパスワードが入力部72において入力されなかった場合(ステップS2:NO)、制限部52は、
図4に示す機能ダウンモード1の低速印刷に、印刷装置1の機能を制限する(ステップS5)。この低速印刷は、印刷速度の設定に関わらず、低速設定の速度で印刷を行うものである。ここで、タイミング報知部51は、メンテナンスの早期実行を促すために、制限部52が印刷装置1の機能を制限したことを、表示部71における表示によりユーザに報知するとよい。なお、
図4に示すように、印刷装置1の機能の制限は、印刷品質が相対的に低下しにくいものから相対的に低下しやすいものへ、低速印刷(ステップS5:機能ダウンモード1)、後述する濃度が薄い印刷(ステップS8:機能ダウンモード2)、及び後述するカラー印刷不可の印刷(ステップS11:機能ダウンモード3)の順となっているとよい。
【0038】
その後、タイミング報知部51は、例えば、
図4に示すように印刷枚数が300万枚(或いは
図5に示すように経過時間が2ヶ月)に到達したとき、実行タイミングの到来を表示部71の表示によって報知する(ステップS6)。なお、実行タイミングの到来の報知は、上述のステップS1の処理から継続的に表示部71に表示されていれば、それ以降の処理(ステップS6,S9、S12)は省略可能である。
【0039】
次に、制限部52は、メンテナンス項目の実行タイミングの到来が報知された後、所定期間内にメンテナンス用のパスワードに一致するパスワードが入力部72において入力されたかを判定する(ステップS7)。
【0040】
所定期間内にメンテナンス用のパスワードに一致するパスワードが入力部72において入力された場合(ステップS7:YES)、上述のステップS3の処理に進む。一方、所定期間内にメンテナンス用のパスワードに一致するパスワードが入力部72において入力されなかった場合(ステップS7:NO)、制限部52は、
図4に示す機能ダウンモード2の濃度を薄くした印刷に、印刷装置1の機能を制限する(ステップS8)。なお、前段階(上述のステップS5の機能ダウンモード1(低速印刷))の制限は、そのまま制限を継続してもよいし、或いは、制限を解除してもよい。
【0041】
その後、タイミング報知部51は、例えば、
図4に示すように印刷枚数が400万枚(或いは
図5に示すように経過時間が3ヶ月)に到達したとき、実行タイミングの到来を表示部71の表示によって報知する(ステップS9)。
【0042】
次に、制限部52は、メンテナンス項目の実行タイミングの到来が報知された後、所定期間内にメンテナンス用のパスワードに一致するパスワードが入力部72において入力されたかを判定する(ステップS10)。
【0043】
所定期間内にメンテナンス用のパスワードに一致するパスワードが入力部72において入力された場合(ステップS10:YES)、上述のステップS3の処理に進む。一方、所定期間内にメンテナンス用のパスワードに一致するパスワードが入力部72において入力されなかった場合(ステップS10:NO)、制限部52は、
図4に示す機能ダウンモード3のカラー印刷が不可でモノクロ印刷のみ可能な印刷に、印刷装置1の機能を制限する(ステップS11)。なお、前段階(上述のステップS5の機能ダウンモード1(低速印刷)及び上述のステップS8の機能ダウンモード2(濃度が薄い))の制限は、そのまま制限を継続してもよいし、或いは、制限を解除してもよい。
【0044】
その後、タイミング報知部51は、例えば、
図4に示すように印刷枚数が500万枚(或いは
図5に示すように経過時間が4ヶ月)に到達したとき、実行タイミングの到来を表示部71の表示によって報知する(ステップS12)。
【0045】
次に、制限部52は、メンテナンス項目の実行タイミングの到来が報知された後、所定期間内にメンテナンス用のパスワードに一致するパスワードが入力部72において入力されたかを判定する(ステップS13)。
【0046】
所定期間内にメンテナンス用のパスワードに一致するパスワードが入力部72において入力された場合(ステップS13:YES)、上述のステップS3の処理に進む。一方、所定期間内にメンテナンス用のパスワードに一致するパスワードが入力部72において入力されなかった場合(ステップS13:NO)、制限部52は、
図4に示す機能ダウンモード4の印刷装置1の動作停止となるように印刷装置1の機能を制限する(ステップS14)。
【0047】
そして、タイミング報知部51は、印刷装置1の動作が停止したことを、例えば通信部80の無線通信による通知によって専門保守員に報知する(ステップS15)。そして、
図2に示す処理が終了する。
【0048】
次に、
図3に示す処理について説明する。
図3に示す処理は、例えば、前回のメンテナンスが終了した後に開始する。また、
図3に示す処理は、メンテナンス項目ごとに並行して行われてもよい。
【0049】
まず、タイミング報知部51は、例えば、
図4に示すように印刷枚数が200万枚に到達したとき、或いは異常を検知したとき、実行タイミングの到来を表示部71の表示によって報知する(ステップS21)。
【0050】
次に、制限部52は、メンテナンス項目の実行タイミングの到来が報知された後、所定期間内にメンテナンス用のパスワードに一致するパスワードが入力部72において入力されたかを判定する(ステップS22)。
【0051】
所定期間内にメンテナンス用のパスワードに一致するパスワードが入力部72において入力された場合(ステップS22:YES)、制御部50は、メンテナンス項目を実行する(ステップS23)。
【0052】
次に、印刷装置1の機能が制限されている場合には、制限部52が印刷装置1の機能の制限を解除し(ステップS24)、
図3に示す処理が終了する。なお、他のメンテナンス項目について並行して
図3に示す処理が行われている場合に、他のメンテナンス項目に関して機能が制限されているときには、制限部52は、その機能の制限は解除しない。
【0053】
上述のステップS22の処理において、所定期間内にメンテナンス用のパスワードに一致するパスワードが入力部72において入力されなかった場合(ステップS22:NO)、制限部52は、
図4に示す機能ダウンモード1の低速印刷に或いはその他のダウンモードに(表では図示しない機能ダウンA)、印刷装置1の機能を制限する(ステップS25)。
【0054】
その後、タイミング報知部51は、例えば、
図4に示すように印刷枚数が300万枚(或いは
図5に示すように経過時間が2ヶ月)に到達したとき或いはその他のタイミングで、実行タイミングの到来を表示部71の表示によって報知する(ステップS26)。
【0055】
次に、制限部52は、メンテナンス項目の実行タイミングの到来が報知された後、所定期間内にメンテナンス用のパスワードに一致するパスワードが入力部72において入力されたかを判定する(ステップS27)。
【0056】
所定期間内にメンテナンス用のパスワードに一致するパスワードが入力部72において入力された場合(ステップS27:YES)、上述のステップS23の処理に進む。一方、所定期間内にメンテナンス用のパスワードに一致するパスワードが入力部72において入力されなかった場合(ステップS27:NO)、制限部52は、
図4に示す機能ダウンモード4(表では図示しない機能ダウンモードB)の印刷装置1の動作停止となるように印刷装置1の機能を制限する(ステップS28)。
【0057】
そして、タイミング報知部51は、印刷装置1の動作が停止したことを、例えば通信部80の無線通信による通知によって専門保守員に報知する(ステップS29)。そして、
図3に示す処理が終了する。
【0058】
次に、本実施の形態の変形例におけるメンテナンスの処理について、
図7を参照しながら説明する。なお、
図7に示すフローチャートは、
図2に示すフローチャートのステップS13の処理(YESの場合)の次、及びステップS15の処理の次にステップS31,S32の処理が加わったものであるため、ステップS31,S32の処理以外の処理の説明は省略する。
【0059】
本変形例では、制限部52は、複数のメンテナンス項目の前回の実行が機能ダウンモード3(印刷枚数400万枚)に到達して以降に行われた場合(所定時期よりも遅れた場合の一例)、印刷装置1の機能をより早く制限する。
【0060】
そのため、上記前回の実行時の処理として、
図7に示すように、制限部52が
図4に示す機能ダウンモード3のカラー印刷が不可でモノクロ印刷のみ可能な印刷に印刷装置1の機能を制限する処理(ステップS11)を経た、ステップS13の処理(YESの場合)の次、及びステップS15の処理の次に、制限部52は、次回メンテナンス項目の実行時に機能ダウンの基準を厳しくする設定をする(ステップS31,S32)。
【0061】
この場合、制限部52は、例えば、次回のメンテナンスにおいて、機能ダウンモード1(ステップS5)の処理時に、機能ダウンモード1及び2(ステップS5,S8)の処理を行い、機能ダウンモード2(ステップS8)の処理時に機能ダウンモード3(ステップS11)の処理を行い、機能ダウンモード3(ステップS11)の処理時に機能ダウンモード4(ステップS14)の処理を行うとよい。このように段階数を4段階から3段階に減らすことによって、機能ダウンモード2~4の機能ダウンが早く行われることになる。ここで、印刷装置1の機能をより早く制限するには、段階数を減らすことに限られず、例えば、各段階の間隔を短くすることなどによっても実現可能である。
【0062】
なお、再び、複数のメンテナンス項目の実行が機能ダウンモード3(印刷枚数400万枚)に到達して以降に行われた場合、機能ダウンモード1(ステップS5)の処理時に、機能ダウンモード1~3(ステップS5,S8,S11)の処理を行い、機能ダウンモード2(ステップS8)の処理時に機能ダウンモード4(ステップS14)の処理を行うなど、機能ダウンの段階数を再び減らし、機能ダウンの段階数を徐々に減らしてもよい。
【0063】
また、制限部52は、複数のメンテナンス項目の前回の実行が所定時期(上記の所定時期と同一であっても異なってもよい)よりも早かった場合、機能ダウンの減らした段階数を一度で(或いは徐々に)戻してもよい。
【0064】
なお、上述の説明では、情報処理装置を印刷装置1として説明したが、情報処理装置は、印刷装置1以外の被メンテナンス装置であってもよい。また、情報処理装置は、被メンテナンス装置の制御を行う専用の制御装置(例えば、印刷制御装置)であってもよいし、或いは、被メンテナンス装置の制御を行う、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどのユーザ端末であってもよく、特に制限されない。
【0065】
以上説明した本実施の形態では、情報処理装置(印刷装置1)は、被メンテナンス装置(印刷装置1)の複数のメンテナンス項目のそれぞれについて、実行タイミングの到来を報知するタイミング報知部51と、被メンテナンス装置の機能を制限する制限部52とを備える。複数のメンテナンス項目は、第1種類のメンテナンス項目(例えば、パージ動作、ワイプ動作、ヘッドクリーニング動作、及びテストチャート印刷)と、第2種類のメンテナンス項目(例えば、初期動作不良、電源電圧異常、インク循環異常、及び機構部品のオーバーホール)とを含む。制限部52は、タイミング報知部51が実行タイミングの到来を報知した後、実行タイミングの到来を報知されたメンテナンス項目が、第1種類のメンテナンス項目である場合(
図2参照)と、第2種類のメンテナンス項目である場合(
図3参照)とで、異なる基準で被メンテナンス装置の機能を段階的に制限する。
【0066】
別の観点では、情報処理方法は、例えば情報処理装置を用いて行われる情報処理方法であって、被メンテナンス装置(印刷装置1)の複数のメンテナンス項目のそれぞれについて、実行タイミングの到来を例えばタイミング報知部51によって報知し、実行タイミングの到来を報知した後、当該実行タイミングの到来を報知されたメンテナンス項目が、第1種類のメンテナンス項目である場合と、第2種類のメンテナンス項目である場合とで、異なる基準で被メンテナンス装置の機能を例えばタイミング報知部51によって段階的に制限する。
【0067】
別の観点では、プログラムは、被メンテナンス装置(印刷装置1)の複数のメンテナンス項目のそれぞれについて、実行タイミングの到来をタイミング報知する処理と、実行タイミングの到来を報知した後、当該実行タイミングの到来を報知されたメンテナンス項目が、第1種類のメンテナンス項目である場合と、第2種類のメンテナンス項目である場合とで、異なる基準で被メンテナンス装置の機能を段階的に制限する処理とをコンピュータ(例えば、印刷装置1の制御部50或いは制御部50のプロセッサ)に実行させる。
【0068】
これにより、メンテナンス項目の実行タイミングの到来が報知された後、例えば、メンテナンスを行わないことによって被メンテナンス装置の故障に繋がるメンテナンス項目よりも、メンテナンスを行わないことによって機能劣化(印刷品質劣化)に繋がるメンテナンス項目について、被メンテナンス装置の機能の制限を緩和することができる。よって、本実施の形態によれば、メンテナンス項目の実行タイミングの到来が報知された後、メンテナンス項目の種類に応じた機能で使用を継続することができる。そのため、被メンテナンス装置の使用を継続できることによって、ユーザの使い勝手を高めることができる。また、ユーザの使用感を保ちつつ被メンテナンス装置の製品保証を保つこともできる。
【0069】
また、本実施の形態では、制限部52は、タイミング報知部51が実行タイミングの到来を報知した後、この実行タイミングの到来を報知されたメンテナンス項目が、第1種類のメンテナンス項目である場合と、第2種類のメンテナンス項目である場合とで、印刷装置1(被メンテナンス装置)の動作停止までの段階数が異なるように、印刷装置1の機能を段階的に制限する。
【0070】
これにより、メンテナンス項目の実行タイミングの到来が報知された後、例えば、メンテナンスを行わないことによって印刷品質劣化(機能劣化)に繋がるメンテナンス項目よりも、メンテナンスを行わないことによって印刷装置1(被メンテナンス装置)の故障に繋がるメンテナンス項目について、印刷装置1の動作停止までの機能ダウンの段階数を減らすことによって、印刷装置1の故障を回避しながら、ユーザの使い勝手をより一層高めることができる。更には、印刷装置1の動作を停止させることによって、印刷装置1の製品保証をより一層保つこともできる。
【0071】
また、本実施の形態の変形例では、制限部52は、複数のメンテナンス項目の前回の実行が所定時期よりも遅れた場合、タイミング報知部51が実行タイミングの到来を報知した後、印刷装置1(被メンテナンス装置)の機能をより早く制限する。
【0072】
そのため、ユーザによるメンテナンスの早期実行を促すことができる。これにより、メンテナンスが行われないことによる印刷装置1(被メンテナンス装置)の印刷品質低下(機能低下)や故障の発生を抑制することができる。
【0073】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0074】
[付記1]
被メンテナンス装置の複数のメンテナンス項目のそれぞれについて、実行タイミングの到来を報知するタイミング報知部と、
前記被メンテナンス装置の機能を制限する制限部とを備え、
前記複数のメンテナンス項目は、第1種類のメンテナンス項目と、第2種類のメンテナンス項目とを含み、
前記制限部は、前記タイミング報知部が前記実行タイミングの到来を報知した後、当該実行タイミングの到来を報知された前記メンテナンス項目が、前記第1種類のメンテナンス項目である場合と、前記第2種類のメンテナンス項目である場合とで、異なる基準で前記被メンテナンス装置の機能を段階的に制限する
ことを特徴とする情報処理装置。
【0075】
[付記2]
印刷装置であって、
前記印刷装置の複数のメンテナンス項目のそれぞれについて、実行タイミングの到来を報知するタイミング報知部と、
前記印刷装置の機能を制限する制限部とを備え、
前記複数のメンテナンス項目は、第1種類のメンテナンス項目と、第2種類のメンテナンス項目とを含み、
前記制限部は、前記タイミング報知部が前記実行タイミングの到来を報知した後、当該実行タイミングの到来を報知された前記メンテナンス項目が、前記第1種類のメンテナンス項目である場合と、前記第2種類のメンテナンス項目である場合とで、異なる基準で前記印刷装置の機能を段階的に制限する
ことを特徴とする印刷装置。
【0076】
[付記3]
前記制限部は、前記タイミング報知部が前記実行タイミングの到来を報知した後、当該実行タイミングの到来を報知された前記メンテナンス項目が、前記第1種類のメンテナンス項目である場合と、前記第2種類のメンテナンス項目である場合とで、前記印刷装置の動作停止までの段階数が異なるように、前記印刷装置の機能を段階的に制限する
ことを特徴とする付記2記載の印刷装置。
【0077】
[付記4]
前記制限部は、前記複数のメンテナンス項目の前回の実行が所定時期よりも遅れた場合、前記タイミング報知部が前記実行タイミングの到来を報知した後、前記印刷装置の機能をより早く制限する
ことを特徴とする付記2又は3記載の印刷装置。
【0078】
[付記5]
被メンテナンス装置の複数のメンテナンス項目のそれぞれについて、実行タイミングの到来を報知し、
前記実行タイミングの到来を報知した後、当該実行タイミングの到来を報知された前記メンテナンス項目が、第1種類のメンテナンス項目である場合と、第2種類のメンテナンス項目である場合とで、異なる基準で前記被メンテナンス装置の機能を段階的に制限する
ことを特徴とする情報処理方法。
【0079】
[付記6]
被メンテナンス装置の複数のメンテナンス項目のそれぞれについて、実行タイミングの到来を報知する処理と、
前記実行タイミングの到来を報知した後、当該実行タイミングの到来を報知された前記メンテナンス項目が、第1種類のメンテナンス項目である場合と、第2種類のメンテナンス項目である場合とで、異なる基準で前記被メンテナンス装置の機能を段階的に制限する処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0080】
1 印刷装置
10 媒体供給部
20 搬送部
30 印刷部
40 媒体排出部
50 制御部
51 タイミング報知部
52 制限部
60 記憶部
70 操作パネル
71 表示部
72 入力部
80 通信部