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特開2023-38574コンテンツ配信システム、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038574
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】コンテンツ配信システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0242 20230101AFI20230310BHJP
【FI】
G06Q30/02 382
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145377
(22)【出願日】2021-09-07
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000000147
【氏名又は名称】伊藤忠商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100136744
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 佳正
(72)【発明者】
【氏名】中元 寛
(72)【発明者】
【氏名】国立 冬樹
(72)【発明者】
【氏名】松岡 豪
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】番組や広告等の情報提供を効果的に行うコンテンツ配信システムを提供する。
【解決手段】情報管理サーバと、コンテンツ管理サーバと、各店舗内に設定される店舗端末と、セットトップボックスと、サイネージとしてのディスプレイと、店舗端末に接続され各店舗内を撮影する1以上のカメラと、セットトップボックスに接続され各店舗内に音声を出力する1以上スピーカとで構成されるコンテンツ配信システムは、選択されるコンテンツA及びコンテンツBには関連性が必要とされるか否かを判断し、必要とされる場合、コンテンツAを決定し、コンテンツAから特徴を抽出し、抽出されたコンテンツAの特徴に基づきコンテンツBを抽出する。また、判断の結果必要とされない場合、コンテンツA、コンテンツBを個別の判断にて決定する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツAとコンテンツBとを組み合わせたロールコンテンツを配信するコンテンツ配信システムであって、
前記ロールコンテンツにおける前記コンテンツA及び前記コンテンツBのそれぞれに対し、1以上の付属情報及び/または外部情報を個別に参照して、前記コンテンツA及び前記コンテンツBの選択及び/または比率を設定可能な設定手段を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記コンテンツAは、非広告コンテンツであり、前記コンテンツBは、広告コンテンツである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記比率は、前記コンテンツA及び/または前記コンテンツBの前記ロールコンテンツ内における再生時間比率、または、前記コンテンツA及び/または前記コンテンツBの所定時間あるいは所定期間における出現比率である、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記付属情報は、前記コンテンツA及び前記コンテンツBに個別に付与されたタグである、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記タグには、以下の情報のうちの少なくとも1つが含まれる、請求項4に記載のシステム。
(1)配信時間帯
(2)配信ターゲット顧客の属性情報
(3)性別、年代、家族構成及び家族における役割
(4)職業
(5)統計データに基づく来客属性
(6)配信内容に関するタグ情報
(7)前記ロールコンテンツが店舗において配信される場合に、当該店舗の立地情報
(8)前記ロールコンテンツが店舗において配信される場合に、当該店舗に設置される什器の設置情報
【請求項6】
前記外部情報には、以下の情報のうちの少なくとも1つが含まれる、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
(1)日時、気温情報、湿度情報
(2)天気予報、ニュース、自治体情報
(3)AIカメラから取得可能な被写体の属性情報または被写体の関連情報
(4)AIカメラから取得可能な、前記コンテンツA及び/または前記コンテンツBに対する視聴率
(5)前記ロールコンテンツが店舗において配信される場合に、当該店舗における商品ごとの売り上げ
(6)SNSで使用されるキーワード
(7)ビーコンを介してユーザ端末から取得した広告ID及び前記広告IDの関連情報
【請求項7】
前記外部情報のうち、時系列に変化する情報は、時間の経過とともに蓄積管理される、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記付属情報は、前記外部情報に基づいて新たに生成される、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記外部情報は、特定情報からなる外部情報に対して、当該特定の情報とは異なる他の特定情報からなる外部情報に基づいて新たに生成される、請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記設定手段は、前記ロールコンテンツにおける前記コンテンツA及び前記コンテンツBを選択させる際に、前記システム内のデータベースに蓄積された前記コンテンツA及び前記コンテンツBの前記属性情報及び/または前記外部情報における共通要素を有するもの同士を選択させる、請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記設定手段は、前記ロールコンテンツにおける前記コンテンツA及び前記コンテンツBの選択及び/または比率を設定させる際に、前記外部情報のうち、時間の経過とともに蓄積管理される少なくとも1以上の情報をパラメータとして最適化した結果に基づき前記コンテンツA及び/または前記コンテンツBに関する提示を行う、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記設定手段は、前記ロールコンテンツにおける前記コンテンツA及び前記コンテンツBの選択及び/または比率を設定させる際に、前記システム内のデータベースに蓄積された前記属性情報及び/または前記外部情報を参照して当該設定の条件に合致した前記コンテンツA及び/または前記コンテンツBに関する提示または設定を行う、請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記設定手段は、前記ロールコンテンツにおける前記コンテンツA及び前記コンテンツBの選択及び/または比率を設定させる際に、前記システム内のデータベースに蓄積された前記属性情報及び/または前記外部情報に基づいて機械学習させた結果を反映して前記コンテンツA及び/または前記コンテンツBに関する提示または設定を行う、請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記外部情報が、ビーコンを介してユーザ端末から取得した広告ID及び前記広告IDの関連情報である場合に、前記広告IDを有する前記ユーザ端末に対して前記コンテンツA及び/または前記コンテンツBを配信する、請求項6に記載のシステム。
【請求項15】
コンテンツAとコンテンツBとを組み合わせたロールコンテンツを配信するコンテンツ配信システム上で実行されるプログラムであって、
前記システムは設定手段を備えており、前記プログラムが前記システム上で実行されたとき、
前記設定手段に、前記ロールコンテンツにおける前記コンテンツA及び前記コンテンツBのそれぞれに対し、1以上の付属情報及び/または外部情報を個別に参照して、前記コンテンツA及び前記コンテンツBの選択及び/または比率を設定させるステップを実行することを特徴とするプログラム。
【請求項16】
前記コンテンツAは、非広告コンテンツであり、前記コンテンツBは、広告コンテンツである、請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】
前記比率は、前記コンテンツA及び/または前記コンテンツBの前記ロールコンテンツ内における再生時間比率、または、前記コンテンツA及び/または前記コンテンツBの所定時間あるいは所定期間における出現比率である、請求項15または16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記付属情報は、前記コンテンツA及び前記コンテンツBに個別に付与されたタグである、請求項15~17のいずれか1項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗、施設、移動車両、公共空間等に設置されるコンテンツ配信システム等に関し、より具体的には、店舗や施設に設置されるコンテンツ配信システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗、施設、移動車両、公共空間等において、いわゆる電子看板(サイネージ)用ディプレイを設置して消費者等へ向けた広告配信等が行われている。
【0003】
例えば、バス車内で表示される広告の更新が柔軟にかつ簡易に行うことができ、さらには優先度や緊急度の高い突発的な広告も任意のタイミングで表示可能な広告配信システムが提案されている(特許文献1)。
【0004】
すわなち、特許文献1には、バスに搭載した表示装置に広告を表示させる広告配信システムにおいて、広告データと該広告データを表示するための条件を規定する広告表示条件データとを含むデータベースを記憶する記憶手段と、現在の運行条件が前記データベースにおけるいずれかの広告表示条件データに合致するかどうかを判定する判定手段と、前記判定手段により合致した広告表示条件データに対応する広告データを所定の方法により表示させる表示制御手段と、を有する車載器および、前記車載器と無線ネットワークで接続され、前記データベースの少なくとも一部を更新するサーバと、を有することを特徴とする広告配信システムが開示されている。
【0005】
また、上映対象の広告を編成する配給側の負担を軽減させる配信装置等も提案されている(特許文献2)。
【0006】
すなわち、特許文献2には、施設において第1コンテンツとともに提供される第2コンテンツに関して、当該第2コンテンツを前記施設で表示する時間枠である広告枠に関する情報を当該施設側から取得する取得部と、前記取得部によって取得された広告枠に関する情報を前記第2コンテンツの提供主に提示するとともに、当該第2コンテンツの提供主が指定する条件であって、前記施設において第2コンテンツが提供される条件である提供条件が付された第2コンテンツの入稿を受け付ける入稿受付部と、前記第2コンテンツの取得要求とともに、当該第2コンテンツの取得に関する条件である要求条件を前記施設側から受け付ける要求受付部と、前記入稿受付部によって受け付けられた提供条件と、前記要求受付部によって受け付けられた前記第2コンテンツの要求条件とが合致する場合に、前記取得要求に対応する第2コンテンツに関する情報を施設側に配信する配信部と、を備えたことを特徴とする配信装置が開示されている。
【0007】
また、順番待ちをする利用者に対し、魅力ある広告を提供することが可能な広告提供システム等も提案されている(特許文献3)。
【0008】
すなわち、特許文献3には、施設において順番待ちをする利用者の待ち状況を表示する表示装置を備え、前記利用者に広告を提供する広告提供システムであって、広告情報を複数記憶する広告データベースと、前記順番待ちをする各利用者の属性情報の入力を受け付ける入力部と、入力される前記各属性情報を集計し、解析することで、前記順番待ちをする利用者全体のメイン属性を決定する決定部と、決定した前記メイン属性に基づき、提供すべき前記広告情報を選択する選択部と、選択された前記広告情報を、前記施設に配信する配信部と、前記順番待ちをする前記各利用者の待ち状況とともに、配信された前記広告情報を前記表示装置に表示する表示制御部とを備え、前記表示制御部は、前記各利用者の待ち状況をあらわすステータス情報と、配信された前記広告情報の表示領域の比率を、前記利用者の待ち組数に応じて切り換える第1切換部を具備する広告提供システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004-347952号公報
【特許文献2】特許第5986120号明細書
【特許文献3】特許第6113320号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の広告等のコンテンツ提供においては、認知形成力の低さが課題となっており、加えて、店舗等に来店する顧客(消費者)の生活行動や時々刻々と移り変わるニーズや外部状況にきめ細かく応えていくといった観点から、さらなる改善の余地がある。
【0011】
また、店舗、施設等の空間において、単に広告宣伝等を行うだけではなく、広告情報と、番組などの非広告情報とを効果的に組み合わせた新たな情報提供技術が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムは、コンテンツAとコンテンツBとを組み合わせたロールコンテンツを配信するコンテンツ配信システムであって、前記ロールコンテンツにおける前記コンテンツA及び前記コンテンツBのそれぞれに対し、1以上の付属情報及び/または外部情報を個別に参照して、前記コンテンツA及び前記コンテンツBの選択及び/または比率を設定可能な設定手段を備えることを特徴とすることを特徴とする。
【0013】
また、前記コンテンツAは、非広告コンテンツであり、前記コンテンツBは、広告コンテンツであることを特徴とする。
【0014】
また、前記比率は、前記コンテンツA及び/または前記コンテンツBの前記ロールコンテンツ内における再生時間比率、または、前記コンテンツA及び/または前記コンテンツBの所定時間あるいは所定期間における出現比率であることを特徴とする。
【0015】
また、前記付属情報は、前記コンテンツA及び前記コンテンツBに個別に付与されたタグであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システム等によれば、店舗に来店する顧客(消費者)の生活行動や、時々刻々と移り変わる外部状況等にきめ細かく応えることができ、番組や広告等の情報提供に際しての視認性を向上させることができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムが導入される店舗の斜視外観を説明する説明図である。
図2】発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムが導入される店舗の上面断面図を説明する説明図である。
図3】本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムの全体構成例を説明する説明図である。
図4A】本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおける情報管理サーバ、コンテンツ管理サーバ、店舗端末、STBの機能ブロック構成例を説明する説明図である。
図4B】本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおけるSTBの他の構造例を説明する説明図である。
図5】本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおける処理フローを説明するフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおける処理フローを説明するフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおけるディスプレイの表示例を説明する説明図である。
図8】本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおけるディスプレイの表示例を説明する説明図である。
図9】本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおけるディスプレイの表示例を説明する説明図である。
図10】本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおけるディスプレイの表示例を説明する説明図である。
図11】本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおける処理フローを説明するフローチャートである。
図12】本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおける処理フローを説明するフローチャートである。
図13】本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおいて収集されたデータの集計処理例を説明する説明図である。
図14】本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおいて収集されたデータの集計処理例を説明する説明図である。
図15】本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおける処理フローを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システム等について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1に、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムが導入される店舗の斜視外観を示す。図1に示される店舗10は、一例として、食品・日用雑貨類など多数の品種を扱う小売店であるコンビニエンスストア店舗である。店舗の形態はコンビニエンスストアに限られるものではなく、スーパー、ドラッグストア、衣料品店、ホームセンター等、小売業における幅広い店舗に適用することができる。
また、本発明の他の実施形態にかかるコンテンツ配信システムは、店舗のほか、施設や移動車両、公共空間等にも導入可能である。以下、発明の理解の容易のために、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムを店舗に導入した場合について説明する。
【0020】
図1の中央部には、ゴンドラ什器、スチール什器、サイド什器、冷蔵オープンケースが設置されており、図中手前壁際には、マガジンラック、コピー機、現金自動預け払い機(ATM)が設置されている様子が伺える。また、同図中、奥の壁際には、左側から冷蔵多段オープンショーケースが設置されており、同図中、奥の壁右側から右壁際にかけて、飲料や冷蔵食品等を陳列するための冷蔵・冷凍ショーケースが設置されている。
【0021】
また、図1において、カウンター11及び12で囲まれたエリアは、レジカウンターエリアである。レジカウンターエリアの前面となるカウンター11の上には、POSレジが4台設置されている。レジカウンターエリア背面には、同図中、向かって左側からコーヒーメーカーが4台横並びに設置されており、その右側には2段積みにされた電子レンジが計4台設定され、さらにその右側にはタバコ用什器(タバコストッカー)が設置されている。
【0022】
また、図1において、レジカウンターエリア背面の壁面上部には、ディスプレイ13~15が設置されており、各ディスプレイの画面上部中央には、カメラ131、141、151が外付けされている。これらのカメラを使用してレジカウンター側から店内の様子を撮影することができる。なお、こうしたカメラ機能が各ディスプレイに内蔵される場合やカメラ機能を使用しない場合には、外付けカメラは割愛される。
【0023】
本発明の一実施形態において、ディスプレイ13~15は、それぞれが65インチクラス以上の大型であり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が採用される。一実施形態において、各ディスプレイのサイズは、縦80cm程度、横143cm程度である(3面の合計では、縦80cm程度×横429cm程度である)。
なお、上記ディスプレイのサイズ例は、本発明の一実施形態に過ぎない。本発明の他の実施形態においては、他のディスプレイサイズ(例えば、40インチ程度のもの)が選択される。また、ディスプレイは、3台設置しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、1以上の任意の台数を採用することができる。
【0024】
本発明の一実施形態において、ディスプレイは、レジカウンターエリア背面の壁面上部に設置されるほか、レジ壁面に沿ってディスプレイを天井から吊り下げるように設置されてもよい。また、本発明の一実施形態において、ディスプレイは、図示しない可動接続部の調整によってその傾斜角度を調整できるように構成される。一実施形態において、ディスプレイの傾斜角度は、0度~15度程度の範囲で調整可能である。
【0025】
また、発明にとって必ずしも必須の構成ではないが、店舗の天井には、カメラ及び/またはスピーカを設置することができる。ここでのカメラは、図1のディスプレイ13~15の上部中央に設置されるカメラとは別体のものである。さらに、本発明の他の実施形態においては、カメラの設置位置としては、天井、ディスプレイの上辺、または、レジカウンターエリアの壁面、他の壁面など、任意の場所に設置できる。
【0026】
図2に、発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムが導入される店舗の上面断面図を示す。図2に示される店舗20には、カウンター21と22とでレジカウンターエリアが形成されている。カウンター21はカウンター11に、カウンター22はカウンター12にそれぞれ対応する。レジカウンターエリアの前面となるカウンター21の上には、POSレジが4台設置されている。同図中、レジカウンターエリア背面には、ディスプレイ23~25が設置されており、各ディスプレイの画面上部中央には、カメラ231、241、251が外付けされている。ディスプレイ23~25は、ディスプレイ13~15にそれぞれ対応し、カメラ131、141、151は、カメラ231、241、251にそれぞれ対応する。
【0027】
図2に示された店舗20には、図1における店舗10には示されていない設置物がある。カメラ261~264、及びスピーカ273~274である。一実施形態において、カメラ261~264は、店舗天井または壁面上部に設置され、店内の様子を撮影することができる。また、一実施形態において、スピーカ273~274は、店舗天井または壁面上部に設置され、コンテンツの音声や背景音楽を流すことができる。また、他の実施形態においては、スピーカ273~274からディスプレイに表示される画像や映像とは関係なく独自の音声を流すこともできる。この場合は、音声のみからなるコンテンツが配信されることとなる。
【0028】
図3に、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムの全体構成例を示す。
【0029】
図3に示されるように、コンテンツ配信システム30は、その一実施形態における例示的構成として、情報管理サーバ31と、コンテンツ管理サーバ32と、各店舗330a~330c内に設定される店舗端末331a~331cと、セットトップボックス(STB)332a~332cと、サイネージとしてのディスプレイ333a~333cと、店舗端末に接続され各店舗内を撮影する1以上のカメラ334a~334cと、セットトップボックスに接続され各店舗内に音声を出力する1以上スピーカ335a~335cとで構成される。
なお、カメラ334a~334c及び/またはスピーカ335a~335cは、その一部または全部がディスプレイ333a~333c等の他の装置に内蔵される場合もある。
【0030】
また、情報管理サーバ31またはコンテンツ管理サーバ32は、図示しない外部情報サーバと適宜接続され、必要な情報を入手することができる。例えば、現在または過去の天気情報や将来の天気予報情報を入手するために外部の天気情報提供サーバへ接続したり、現在または過去のニュース情報を入手するために外部のニュース提供サーバへ接続したり、自治体等の地域イベント情報を入手するために外部情報データベースへ接続したり、SNS上でトレンドとなっているキーワードを入手するために外部クローラー(Crawler)へ接続したりすることができる。
【0031】
本発明の一実施形態において、情報管理サーバ31は、全店舗の店舗端末を管理したり、全店舗のコンテンツの少なくとも一部を管理したりする。一実施形態において、情報管理サーバ31は、本部サーバの一部の機能とするもできるがこれに制約されるものではない。コンテンツ管理サーバ32は、店舗端末331a~331c及び/またはSTB332a~332cを介してサイネージとしてのディスプレイ333a~333cを管理することができる。
【0032】
ここで、コンテンツ管理サーバ32は、ASP(Application Service Provider)サーバとすることができる。
本発明の一実施形態においては、サーバ32におけるコンテンツ管理機能は、情報管理サーバ31に統合することもできる。その場合は、図1におけるサーバ31及び32は、1つの管理サーバ31に集約される(コンテンツ管理サーバ32は必須の構成ではない)。
【0033】
一実施形態において、各店舗330a~330c内に設定される店舗端末331a~331cは、各店舗内のSTB332a~332cやサイネージとしてのディスプレイ333a~333cを管理するほか、店舗内で提供するコンテンツを管理したり、コンテンツの情報提供スケジュール等を管理したりすることができる。
ここで、各店舗内の店舗端末331a~331c及びSTB332a~332cの意義については、図3に示されるように、店舗端末とSTBとを併用することができるほか、STBの機能を有する店舗端末単独での運用とすることもできる。あるいは、高機能化したSTBを単独で運用し、店舗端末を省略することもできる。こうした店舗端末及び/またはSTBの運用の組み合わせは、店舗ごとに選択されることができる。
【0034】
また、図3において、各店舗330a~330cからは、各店舗端末331a~331cを介してインターネット39へ接続されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、店舗端末及び/またはSTBがインターネット39へ接続されてもよい。
ここで、インターネット39は、他の実施形態においては社内LANでありうる。この場合、コンテンツ管理サーバ32は、社内ネットワークにおいて運用される管理サーバとなる。
【0035】
図3において、各店舗内の端末331a~331c及びSTB332a~332cと、ディスプレイ333a~333cは、それぞれHDMI(登録商標。以下、同じ)ケーブル等の有線ケーブルで接続されている様子が示されている(なお、各ディスプレイは、店舗端末あるいはSTBの少なくとも一方と接続されていればよい)。この場合、ディスプレイに表示されるコンテンツデータは、HDMIケーブル等の有線ケーブルを介して店舗端末あるいはSTBから送信されるが、本発明はこれに限られるものではなく、他の実施形態においては、店舗端末からUSBメモリ等の記憶媒体を介してディスプレイへコンテンツデータを転送することもできる。この場合、HDMIケーブル等の有線ケーブルは省略される。
【0036】
情報管理サーバ31、コンテンツ管理サーバ32、店舗端末331a~331cは、通信回線33~34、及び35a~35cによって相互に通信可能に接続されている。また、通信回線は、有線接続のみならず、図示しない基地局やアクセスポイント等を介してインターネット39へ乗り入れる無線接続であってもよい。
【0037】
ここで、アクセスポイントとは、PCやスマートフォンなどの無線端末を相互に接続したり、他のネットワークに接続させたりするための無線機である。典型的には、OSI参照モデルにおける第1層(物理層)及び第2層(データリンク層)の通信プロトコルで作動するデバイスである。
【0038】
なお、本願の出願時点での店舗端末は、典型的にはパーソナルコンピュータ(PC)であり、また、STBもPCと同等の機能や処理能力を備えているものもある。
【0039】
また、本発明の実施に必要なプログラムないしソフトウェアは、通常、PCやSTBの記憶部におけるHDD、SSD等にインストールないし記憶され、プログラムないしソフトウェアの実行時には、必要に応じて記憶部内のメモリにその全部又は一部のソフトウェアモジュールとして読み出され、CPUにおいて演算実行される。
【0040】
あるいは、ブラウザベースのPCないしSTBを採用することもできる。この場合は、必要に応じて他のサーバやコンピュータから端末にプログラムが配信され、端末上のブラウザでこれを実行するという構成になる。
【0041】
情報管理サーバ31やコンテンツ管理サーバ32のハードウェア構成も、基本的にはPCを採用することができる(念のため、図4A等を参照してその機能ブロック例を後述する)。なお、本発明はこれに限定されるものではないが、情報管理サーバ11やコンテンツ管理サーバ32は、必要に応じてそのハードウェアスペックを上げることができる。例えば、数十台~数万台のPCを並列的に作動させることによって大規模データの処理に適した構成を採用することもできる。
【0042】
(データ保存・蓄積場所の自由度)
また、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおいては、収集したデータや処理されたデータの保存・蓄積場所に自由度がある。例えば、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムがクラウド構成を採用した場合に、データの保存・蓄積をクラウド側に保存・管理させることもできるし、ローカル接続されたサーバに保存・管理させることもできる。
これに伴い、データ処理の一部もそのデータの保存・蓄積場所で実行させることもでき、システム全体の負荷等を考慮して、データ処理の分散を図ることができるように構成されている。
【0043】
図4Aに、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおける情報管理サーバ31、コンテンツ管理サーバ32、店舗端末331a~331c、及びSTB332a~332cの機能ブロック図を示す。例示的に、これらサーバの動作は、以下に説明するハードウェアの個々の動作、及びソフトウェアとこれらハードウェアとの連携動作によって実現されている。なお、STB332a~332cについては、PCと同等の機能や処理能力を備えているものを例示したが、本発明はこれに制限されるものではなく、いくつかの機能を省略した簡易な構成のSTBを採用することもできる。
以下、代表して、情報管理サーバ11あるいはコンテンツ管理サーバ32の構成例を説明する。
【0044】
図4Aにおいて、ハードウェアブロック全体としてのサーバ400は、大別すると、各種比較・演算処理を行うためのCPU401と、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の記憶部402と、キーボードやポインティングデバイス等の入力部403と、ディスプレイやスピーカ等の出力部404と、各種信号制御のための制御部405と、通信(インタフェース)部406(無線、有線を問わない)と、時刻等を計時するための計時部407と、電源部408とからなる。
なお、キーボードやポインティングデバイス等の入力部やディスプレイ等の出力部が採用されていないSTBの場合には、入力部403や出力部404は省略可能である。
【0045】
これらのモジュールは、必要に応じて適宜通信バスや給電線によって接続されている。図4Aにおいては、便宜上、配線409としてひとまとめに表す。
【0046】
また、本発明の実施に必要なサーバ400上で実行されるプログラムないしソフトウェアは、通常、記憶部402を構成するハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等にインストールないし記憶され、プログラムないしソフトウェアの実行時には、必要に応じて記憶部402内のメモリにその全部又は一部のソフトウェアモジュールとして読み出され、CPU401において演算実行される。
【0047】
なお、演算実行は必ずしもCPU401等の中央処理部で行われる必要はなく、図示しないディジタルシグナルプロセッサ(DSP)等の補助演算装置を用いることもできる。
【0048】
図4Bに、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおけるバリエーションとしてのSTBの機能ブロック図を示す。同図Bに示されたSTBは、その独自の機能として、衛星放送やケーブルテレビ放送、地上波テレビ放送(デジタル放送)、IP放送(一例として、ブロードバンドVOD)等の放送信号を受信可能な構成となっている。
【0049】
図4Bにおいて、451~455、457~458、459は、図4Aにおける401~405、407~408、409にそれぞれ対応する。なお、キーボードやポインティングデバイス等の入力部やディスプレイ等の出力部が採用されていないSTBの場合には、入力部453や出力部454は省略可能である。図4Bでは、放送信号受信等の通信機能に関わる処理部と受信した放送信号を処理するための処理部が特徴となっている(456a~456d)。
【0050】
ネットワーク接続部456aは、有線LAN、無線LAN、Bluetoothなどのネットワーク接続を実現するための接続モジュールである。チューナー456bは、衛星放送やケーブルテレビ放送等の放送波(放送信号)を受信するためのチューナーであり、デコーダ456cは、受信した放送波(放送信号)をディスプレイで視聴可能な形式に変換するための復号器である。また、デスクランブラ456dは、スクランブル(限定受信化あるいは暗号化)された放送信号の限定解除処理あるいは解読処理を行うモジュールである。
【0051】
なお、図4Bは、構成の理解のために機能ブロック図として記載しているが、実際には、デコーダ機能、デスクランブラ機能等のSTBに必要な機能をワンチップに統合したSOC(システムオンチップ)を採用することもできる。
【0052】
(本発明の概念)
本発明の特徴の一つとして、情報提供コンテンツの構成及び提供方法がある。本発明の一実施形態において、顧客へ提供されるコンテンツには、少なくとも2種類が含まれる。1つは番組コンテンツ(以下、「コンテンツA」ともいう。)であり、他方は広告コンテンツ(以下、「コンテンツB」ともいう。)である。
【0053】
コンテンツAは、閲覧者(顧客)が閲覧したくなるようなコンテンツが選択される。本発明はこれに限定されるものではないが、一実施形態においては、カテゴリ内の内容は同種類のコンテンツとなる。閲覧者は、かかる同種類のコンテンツの複数回の閲覧体験を経て、コンテンツの閲覧確率を高めることができる。コンテンツBは、典型的には広告コンテンツであり、後述するように閲覧確率を高める工夫がなされる。
本発明の一実施形態において、コンテンツAは非広告コンテンツとされ、コンテンツBは広告コンテンツとされる。
【0054】
そうして、本発明の一実施形態においては、こうした2種類のカテゴリのコンテンツが比較的短い長さで交互に流される(3種類以上のカテゴリのコンテンツある場合には、例えば比較的短い長さでローテーションされる)。
本発明の一実施形態において、2種類のカテゴリのコンテンツが交互で流されることで、コンテンツA(例えば、番組)によるアテンションに顧客が注目した直後にコンテンツB(例えば、広告)を見る確率を高めることができる。また、複数のコンテンツAがストーリー性を持つような場合には、コンテンツAのストーリーを最後まで閲覧したいため、結果的にコンテンツBを含めてコンテンツAも最後まで閲覧することになる確率を高めることができる。この場合、コンテンツAとコンテンツBとの関連性に特に制限はないものの、両者に一定の関連性があれば、閲覧確率はさらに高められることが予想される。
【0055】
一般的に、コンテンツAを番組とし、コンテンツBを広告とした場合には、同様の組み合わせの放送形態として従来のテレビ放送(番組と番組との間や、番組放送の合間に15~30秒程度のCMが流される)が挙げられるが、従来のテレビ放送では、コンテンツAの長さに比べて、コンテンツBの長さが短い。一方で、本発明の一実施形態においては、交互再生される中でのコンテンツBの再生時間は、コンテンツAの再生時間と同等か、あるいは、それよりも長いという特徴を有している。
また、交互再生される2種類のコンテンツの間には関連性を持たせるように制御することもできる(具体的な構成については、後述する)。
【0056】
また、本発明の一実施形態において、コンテンツA及びコンテンツBの組み合わせを交互に再生するうえで、この組み合わせを何回程度繰り返し再生して1セットとするのかについては、「尺」(複数のカテゴリのコンテンツの1組の長さ)及び「ロール長」(1組のコンテンツの組み合わせが繰り返し再生されることにより構成される1セットあるいは1グループの長さ)という概念を導入している。本発明はこれに限定されるものではないが、一実施形態において、1つの尺(たとえば、1組のコンテンツA及びコンテンツBの組み合わせの長さ)は、30秒程度であり、1つのロール長(1組のコンテンツが繰り返し再生されることによって構成される1セットあるいは1グループの長さ)は、4~5分程度に設定されている。さらに具体的には、番組コンテンツ(15秒)と広告(15秒)との組み合わせ(30秒尺)を繰り返し8~10回再生することで、トータル4~5分間の再生時間となり、この4~5分間が1つのロールを構成することとなる。
本発明の一実施形態において、1またはそれ以上のロールを「ロールコンテンツ」ともいう。
【0057】
(コンテンツA及びコンテンツBの階層構造)
本発明の一実施形態においては、コンテンツAやコンテンツBは、それぞれ1つのみのコンテンツに限られず、複数のコンテンツで構成されうる。たとえば、説明上、「コンテンツA」と記載した場合であっても、その内容は、2以上の番組コンテンツが含まれることができる。また、「コンテンツB」と記載した場合であっても、その内容は、2以上の広告コンテンツが含まれることができる。
一例を挙げると、カテゴリとしてのコンテンツAに属する個別のコンテンツがa1、a2、a3であり、カテゴリとしてのコンテンツBに属する個別のコンテンツがb1、b2、b3であるものとすると、その組み合わせの形態は、a1・b1のほか、a1・b1・b1や、a1・b1・b2・b3、a1・a2・b1、a1・a2・a3・b3・b3など、多種に構成されることができる。
【0058】
一実施形態において、ロール長の設定根拠は、店舗がコンビニエンスストアであるとした場合の顧客の店舗内平均滞在時間から導かれる。この場合、他の小売業店舗であれば、その店舗における顧客の平均滞在時間に基づいて調整されうる。また、季節や天候、時間帯によって同じ店舗内でも平均滞在時間に変化がある場合には、本発明の一実施形態におけるロール長やロールコンテンツの構成は柔軟に調整されることができる。
【0059】
本発明の基本的な技術思想の1つは、これに制限されるものではないが、買い物等様々な目的があって店舗に来店する利用者(顧客)のアテンションを得るために、2種類以上のカテゴリに属するコンテンツを短尺で繰り返し再生するために種々の制御を行うところにある。
【0060】
また、店舗がチェーン化あるいはフランチャイズ化されている場合には、本発明の一実施形態にかかるレジカウンター壁面へのディスプレイ設置を一律に採用することにより、顧客による店舗体験が統一化され、番組や広告等の情報提供コンテンツに対する顧客の認知度や注目度を高めることができる。
【0061】
これらの技術思想は、従来のサイネージが常に広告を流す媒体として認知されているのに対し、「常に興味のある情報発信がされている媒体」との顧客認識を獲得できるコンテンツ配信システムを実現するための基礎となる概念である。
【0062】
また、本発明の他の特徴として、コンテンツAやコンテンツBといった2種類以上のコンテンツは、少なくとも個別にその「選択」や「比率」を設定可能に構成される。ここでの「比率」とは、一例としては、ロールコンテンツ内におけるコンテンツA及び/またはコンテンツB再生時間の比率である。また、他の例としては、所定時間もしくは所定期間における、あるいは所定数のロールコンテンツにおけるコンテンツA及び/またはコンテンツBの出現比率である。
また、本発明の一実施形態において、コンテンツAやコンテンツBの「選択」については、それぞれのコンテンツの付属情報が参照されたり、外部情報が利用されたりする。また、ここでいうコンテンツの「選択」には、コンテンツの変更あるいは差し替えも含まれる。
【0063】
(ロールコンテンツの構成のダイナミック性)
本発明のさらなる特徴として、ロールコンテンツをスタティックに構成したり、ダイナミックに構成したり、高い柔軟性をもって構成できることが挙げられる。この柔軟性は、スタティックかダイナミックかという指標(ダイナミック度数)に基づくと、0%~100%である。ダイナミック度数0%とは、完全なスタティックな状態である。また、ダイナミック度数100%とは、完全にダイナミックな状態であるが、これは本発明が目指す最終形態となる。本発明の一実施形態においては、完全にスタティックな状態からロールコンテンツの構成をスタートし、完全にダイナミックにロールコンテンツが構成されることを目指して、その柔軟性が高められていく。
【0064】
(ロールコンテンツをスタティックに構成すること)
本発明の一実施形態において、ロールコンテンツを完全にスタティックに構成する場合には、コンテンツA及び/またはコンテンツBに対して個別に付属情報がプリセットされる。一実施形態において、この付属情報は、完全にスタティックなタグ情報である。この場合のプリセット情報としてのタグには、下表のようなものが含まれる。
【0065】
【表1】
上表1において、「配信時間帯」タグについては、一例として、「18:00~4:59」といったタグがあり、こうしたタグがコンテンツに対し直接的または間接的に付与される。こうしたコンテンツは、一例として、酒類に関するコンテンツである。このような配信時間帯タグが直接的または間接的に付与されたコンテンツについては、タグに記載された時間帯に限った配信を行ったり、また、コンテンツ内容によっては、当該時間帯を回避した配信を行ったりといった制御を行うことができる。さらに、当該時間帯での配信頻度を高めたり低くしたりといった調整を行うことができる。
【0066】
ここで、タグをコンテンツに直接的に付与するとは、当該タグを所定のコンテンツに直接紐づけることである。また、タグをコンテンツに間接的に付与するとは、当該タグを所定のコンテンツに他の種別の中間タグ等を介して間接的に紐づけることである。例えば、「18:00~4:59」といった「配信時間帯」タグが「酒類」というカテゴリをあらわす中間タグに紐づけられた場合、同じく「酒類」という中間タグが付与されたコンテンツとは間接的に紐づけされたことになる。
【0067】
以下、同様に、本発明の一実施形態においては、タグ情報は、コンテンツに対して直截的または間接的に紐づけ可能であるが、説明の便宜上、タグ情報がコンテンツに直接紐づけされる例を中心に説明を進める。
【0068】
上表1において、「配信ターゲット顧客の属性情報」タグには、一例として、「30~50代男性」とか「女子高生」といったタグがあり、こうしたタグがコンテンツに対し付与される。「配信ターゲット顧客の属性情報」タグが付与されたコンテンツは、タグに記載されたターゲット顧客に向けた配信が望ましいものと解釈されることができる。
【0069】
上表1において、「配信内容に関する情報」タグには、一例として、化粧品に関するコンテンツに対して付与される「化粧品」、ビールに関するコンテンツに対して付与される「ビール」及び/または「アルコール飲料」といったタグがある。こうしたタグは、1つのコンテンツに対して複数付与することができる。また、1つのコンテンツに対して同種のタグを階層的に付与することもできる(例えば、ビールの広告コンテンツや番組コンテンツに対して、「ラガー」、「ビール」、「アルコール飲料」といったタグを付与するなど)。
【0070】
上表1において、「店舗の立地情報」タグには、一例として、「住宅街店舗向け」、「ロードサイド店舗向け」、「オフィス街店舗向け」といったタグがあり、こうしたタグがコンテンツに対し付与される。「住宅街店舗向け」タグが付与されたコンテンツは、住宅街店舗において配信されることが望ましい解釈されることができる。
【0071】
上表1において、「店舗に設置される什器の設置情報」タグには、一例として、「什器種別」、「什器サイズ」、「設置場所」といったタグがあり、こうしたタグがコンテンツに対し付与される。一例として、タバコ什器が設置されている店舗に対してタバコの広告コンテンツを配信するといった配信制御が可能となったり、什器の設置場所に応じて、店舗内のサイネージにおける関連広告コンテンツの表示位置や表示領域を変えるといった配信制御が可能となったりする。
【0072】
(ロールコンテンツをダイナミックに構成すること)
本発明の一実施形態において、ロールコンテンツをダイナミックに構成していく場合には、コンテンツA及び/またはコンテンツBに対して付属情報を動的に付与したり、外部情報を参照してその構成を決定ないし変更したりすることが行われる。一実施形態において、この付属情報の動的付与や外部情報の参照は、固定的なタグ情報という完全にスタティックな状態から脱却し、ダイナミックな性質を有する。この場合の付属情報や外部情報には、上表のタグを動的に組み合わせたもののほか、下表のような外部情報が含まれる。
【0073】
【表2】
上表2において、「日時情報」は、一例としてシステム内の計時部から取得することができる(図示しない外部システムから日時情報を取得するように構成されてもよい)。また、上表において、「気温情報」及び「湿度情報」については、図示しないシステム内外のデバイスないしセンサから取得可能である。
【0074】
上表2において、「天気情報」、「ニュース情報」、「自治体情報」については、図示しない外部サーバから取得可能である。
【0075】
上表2において、「AIカメラから取得される被写体の属性情報」については、図示しない外部サーバから取得可能である。ここで、被写体の属性情報を抽出するために、AIカメラによる物体認識が行われる。本発明の一実施形態において、AIカメラは、公知の技術により、店舗内の設置物や店内の人物の全景及び顔等を物体として認識し、かつ、認識した物体をトラッキングする。
また、一実施形態においては、店内の人物には来店した顧客(来客)が含まれ、AIカメラによって認識された来客は、その全景及び顔等の認識状況から、性別、年齢(または年齢層)などが特定されることができる。
【0076】
また、一実施形態においては、AIカメラは、認識した来客がマスクを着けているか否か、その顔や目の向きから店舗内に設置されているディスプレイを見ているか否かを検出することができる。
【0077】
さらに、一実施形態においては、AIカメラは、認識した来客の次のような行動((a)~(f))を検出することができる。
(a)顧客が来店した/顧客が退店した。
(b)顧客が商品棚から商品を取り出した/商品を棚に戻した。
(c)顧客が商品棚から取り出した商品を買い物カゴに入れた。
(d)顧客が手に取った商品を見つめている。
(e)顧客がレジにおいて商品を精算している。
(f)顧客が店舗内に設置されているディスプレイを見ている。
【0078】
また、一実施形態においては、AIカメラは、認識した1以上の来客及びその属性等に基づいて、現在の店舗にいる来客数や客層等を逐次認識することができる。
【0079】
上表2において、「AIカメラが取得可能な配信コンテンツの視聴率」は、一例として、顧客の視線が店舗内に設置されているディスプレイに向かっていることをAIカメラが検知することによって取得される。
本発明の一実施形態において、顧客の視線がディスプレイに向かっていることをディスプレイ上部に設置されたAIカメラ(例えば、カメラ131、141、151)によって検知する方法は、AIカメラから見た顧客の顔の向きが、R=Roll,P=Pitch,及びY=Yawで表されて管理されるものとすると、
|P|≦10°,かつ
|Y|≦10°
であるときに、顧客の顔はディスプレイに向かっており、当該顧客はディスプレイ上のコンテンツを視聴しているものと判断する。
【0080】
本発明の一実施形態においては、さらに時間的要素を加え、ディスプレイ上部に設置されたAIカメラから見た顧客の顔の向きが、一定時間以上(例えば、1秒以上とか3秒以上など)、上記条件に継続して当てはまった場合に、当該顧客はディスプレイ上のコンテンツを視聴しているものと判断されてもよい。
【0081】
さらに、本発明の一実施形態においては、ディスプレイ上部に設置されたAIカメラから見た顧客の顔の向きが、上記条件に継続して当てはまった時間の長さに応じて、重み付けをしてもよい。この場合の重み付けは、一例として、「視聴ポイント」としてカウントだれ、1人の顧客が3秒間ディスプレイ上のコンテンツを視聴していることよりも、10秒間ディスプレイ上のコンテンツを視聴していることのほうが、コンテンツに対する視聴ポイント等を多くカウントさせることができる。
【0082】
また、本発明の一実施形態においては、より多くの異なる顧客に視聴されることを高く評価するように管理されてもよい。例えば、2人の顧客が10秒間ずつディスプレイ上の同じコンテンツを視聴することよりも、異なる10人の顧客が合計で20秒間ディスプレイ上の同じコンテンツを視聴することのほうに、当該コンテンツに対してより多くの視聴ポイントを加算させることができる。
【0083】
上表2において、「商品ごとの売り上げ」については、図1及び図2にも示されているPOSレジと連動することにより、商品ごとにその売り上げを取得できる。あるいは、顧客がレジにおいて商品を精算している様子をAIカメラによって認識させて、その商品の属性情報(価格等)をデータベースから参照することにより、商品ごとにその売り上げを計上していくことができる。
【0084】
このように、AIカメラを介して取得されたデータは、システム内外のデータベースに保存・蓄積され、解析処理等に利用されることができる。
【0085】
上表2において、「SNSで使用されるキーワード」は、一例としてシステム外の図示しない外部のSNSサーバ、Webクローラー、あるいは、データベースから取得可能である。
【0086】
上表2において、「広告ID、広告IDを介して取得される来客属性」は、一例として、店舗に設置されたビーコンを介して取得されるユーザアプリの広告IDを参照してこれを利用する。
【0087】
ここで、「広告ID」とは、ユーザのスマートフォンやタブレット端末等にインストールされるアプリケーションによって利用される、匿名かつユニークな広告用の端末識別IDをいう。一般に、この広告IDは、ユーザ端末を使用する利用者の広告接触を計測したり、当該利用者数をカウントして統計分析を行ったりするために利用される。
【0088】
また、本発明の一実施形態におけるビーコンには、Wi-Fiビーコン端末やBluetooth送受信端末等の近距離無線端末が採用され、かかるビーコンを介して、ユーザ端末(あるいは、ユーザ端末にインストールされたアプリ)が保有する広告IDを取得する。本発明の他の実施形態においては、この広告IDに替えて、あるいは広告IDに加えて、ユーザ端末のMACアドレス等の端末識別情報を取得するように構成することもできる。MACアドレスを取得するように構成した場合には、ユーザ端末(スマートフォンやタブレット端末)に限られず、ネットワークにアクセス可能なカードからMACアドレスを取得するように構成することもできる。
【0089】
そして、この広告IDは、来店者のスマートフォン等の端末にインストールされているアプリを経由してビーコンに提供される。ビーコンを介して取得された広告IDは、システム内外のデータベースに保存・蓄積され、解析処理等に利用されることができる。
【0090】
(広告IDを介した属性情報の基盤及び利用)
本発明の一実施形態においては、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムの外部データベースにおいて、広告IDをキーとした購買情報、属性情報が保有されており、適宜利用することができる。たとえば、この広告IDをキーとして取得した購買情報や属性情報を参照して、この広告IDを送信した利用客へ向けたコンテンツ配信を行うなどである。
【0091】
(来店者の端末へ向けたターゲット配信等)
本発明の他の実施形態においては、来店者のスマートフォン等の端末から広告IDに替えて、または、広告IDに加えて、端末ID(MACアドレス等)を取得するように構成することもできる。この場合には、店舗ディスプレイを介して特定の利用客へ向けたターゲット配信を行うことのみならず、来客者の端末へ向けて個別にターゲット配信を行うことができる。
また、端末ID(MACアドレス等)を取得しない場合においても、ビーコンから取得される広告ID、コンテンツ配信ログ、AIカメラでの認識結果のそれぞれにタイプスタンプを行えば、同様の個別ターゲット配信が可能となる。例えば、店舗内レジに設置されたビーコンを介してユーザ端末から入手した広告ID(及び取得日時)、コンテンツ配信ログ(配信内容及び配信開始日時)、AIカメラによる利用客の認識場所(レジ付近かどうかを含む)及び認識日時をそれぞれ集計することにより、レジ付近で認識された利用客は店舗サイネージで配信された広告も見ていると推定できるので(視線認識を併せれば、その推定確度はさらに向上する)、特定の広告IDを有する利用客がある時刻に店舗サイネージで配信されたある広告を見たとの推定が可能となる。
そうすると、この広告IDを有するユーザ端末へ向けて、個別に当該広告と関連する広告を任意のタイミングで(例えば、利用客が店舗を出た後などに)配信することが可能となる。
【0092】
(店舗ディスプレイを介したコンテンツ配信の強化)
さらに、本発明の一実施形態においては、ターゲット広告を強化することも可能である。例えば、店舗へ来店する前の1以上の利用客のユーザ端末へ向けて広告を配信しており、1以上のユーザ端末からの広告IDの取得による集計がある程度なされている状況において、ある利用客が来店したことを店舗に設置してあるビーコンを介して検知した場合には、そのユーザ端末が有する広告IDを入手できるので、入手した広告IDに基づいてその端末へ向けた個別の関連広告等の配信が可能である。
本発明の一実施形態においては、上記実施態様に加えて、あるいは、上記実施態様に替えて、その端末へ向けた関連広告等をその利用客が店舗内にいる間に、店舗サイネージを介して配信することも可能である。その際、AIカメラにより該当利用客が店舗サイネージを見ていることを検知したうえで関連広告等を配信するように制御すれば、その訴求効果は一層向上する。
【0093】
(ダイナミックなタグ生成等)
また、本発明の一実施形態においては、上記付属情報は、他の付属情報や外部情報に基づいて新たに生成されることもできる。一例として、複数の付属情報/外部情報に基づいて関連する新たな付属情報を生成させたり、複数の付属情報/外部情報に共通する項目を新たな付属情報として抽出させたりするなどである。
【0094】
また、本発明の一実施形態においては、上記外部情報は、特定情報からなる外部情報に対して、当該特定の情報とは異なる他の特定情報からなる外部情報に基づいて新たに生成されることもできる。一例として、特定のイベント情報と、その特定のイベントが実施される天気予報情報とに基づいて導き出される来客属性の情報や、特定のイベント情報と、その特定のイベントの過去の来場者数や来場者の属性とに基づいて導き出される今回の来場者数や来場者属性に関する情報などが挙げられる。
【0095】
図5に、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおける基本処理フローを示す。同図に示された処理フローは、店舗内に設置されたディスプレイを介して顧客へ提供するコンテンツの生成処理、ならびに、コンテンツの再生制御等の処理の概要を説明している。
【0096】
各処理は、情報管理サーバ31及び/またはコンテンツ管理サーバ32において、その一部または全部が取りまとめて処理されてもよいし、その一部または全部が店舗端末及び/またはSTBにおいて実施されてもよい。例えば、全国や広域エリアにおいて共通して使用されるコンテンツについては、情報管理サーバ31及び/またはコンテンツ管理サーバ32において取りまとめて処理されてもよく、ローカルエリアやその店舗において独自に使用されるコンテンツについては、店舗端末及び/またはSTBにおいて実施されてもよい。したがって、情報管理サーバ31及び/またはコンテンツ管理サーバ32において生成されたコンテンツが各店舗において再生される場合には、店舗端末またはSTBを介してコンテンツがダウンロードされることなる。さらに、1つのコンテンツ情報が、情報管理サーバ31(及び/またはコンテンツ管理サーバ32)と店舗端末(及び/またはSTB)とによって、協働して生成されることもある。
このような分散処理は、図5に示されるフローに限らず、システム全体のフローを通じて共通する性質である。したがって、説明の便宜上記載された特定の処理主体は、これに制限されるものではない。
【0097】
また、図5には図示していないが、必要に応じて店舗ごとのコンテンツの構成や再生回数等の情報が、情報管理サーバ31(及び/またはコンテンツ管理サーバ32)へフィードバックされてもよい。
【0098】
図5のステップS501において、処理を開始すると、ステップS502へ進み、ロール長が決定される。一実施形態において、このロール長は、例えば5分などと予め固定的に決定されており、その場合には、本ステップではその情報を読み出すに留まる。あるいは、他の実施形態においては、当該ロールを構成するコンテンツを再生する場所、または日時や時間帯によって動的に決定される。
【0099】
また、本発明の他の実施形態において、ステップS502では、予め定められた図示しないスケジュール進行テーブルから次に再生すべきロールを読み出す際に、その長さが取得される。本発明の他の実施形態においては、このスケジュール進行テーブルは、店舗ごとに、あるいは日時や時間帯によって動的に決定される。
【0100】
ステップS503では、ロール内のサイクルが決定される。上述したとおり、本発明の一実施形態においては、短尺のコンテンツA及びコンテンツBを繰り返し再生することができ、ロール内で何回繰り返すかが決定される。同ステップでサイクルが決定される。また、ロール内での尺が決まる。
あるいは、本発明の他の実施形態においては、先に尺が決定される場合もある。その場合は、ステップS503では、ロール内の尺の決定処理となる(ロール内サイクルはその後自動的に決まる)。
【0101】
次に、ステップS504へ進み、1つの尺の中のコンテンツA及びコンテンツBが決定される。3種類以上のカテゴリを含む場合には、各カテゴリのコンテンツが決定される。このとき、1つの尺に収まるようにコンテンツA及びコンテンツBが決定されるが、それぞれの長さの比率も考慮される。
具体的な決定方法には、次のようなバリエーションがある。
【0102】
(1)同じ尺に収まるコンテンツA及びコンテンツBの組み合わせテーブルから自動または手動で選択される。
【0103】
(2)店舗内の状況に応じて当該尺に収まるようなコンテンツAが最初に選択され、その後、必要に応じて残りの尺に収まるようなコンテンツBが選択される(コンテンツBは新たに選択されず、現在設定されているコンテンツがそのまま使用されることもありうる)。
【0104】
(3)店舗内の状況に応じて当該尺に収まるようなコンテンツBが最初に選択され、その後、残りの尺に収まるようなコンテンツAが選択される(コンテンツAは新たに選択されず、現在設定されているコンテンツがそのまま使用されることもありうる)。
【0105】
(4)天気や気温など店舗周囲の状況に応じて当該尺に収まるようなコンテンツAが最初に選択され、その後、残りの尺に収まるようなコンテンツBが選択される(コンテンツBは新たに選択されず、現在設定されているコンテンツがそのまま使用されることもありうる)。
【0106】
(5)天気や気温など店舗周囲の状況に応じて当該尺に収まるようなコンテンツBが最初に選択され、その後、残りの尺に収まるようなコンテンツAが選択される(コンテンツAは新たに選択されず、現在設定されているコンテンツがそのまま使用されることもありうる)。
【0107】
(6)上述のタグ情報を参照して、コンテンツA及び/またはコンテンツBが選択される。このとき、コンテンツAが最初に選択され、その後、残りの尺に収まるようなコンテンツBが選択されてもよいし、コンテンツBが最初に選択され、その後、残りの尺に収まるようなコンテンツAが選択されてもよい。
あるいは、付与されたタグ情報によって、コンテンツA及びコンテンツBが個別に選択されてもよい(この場合は、選択されたコンテンツの合計の長さが尺となる)。
【0108】
(7)上述の外部情報を参照して、コンテンツA及び/またはコンテンツBが選択される。このとき、コンテンツAが最初に選択され、その後、残りの尺に収まるようなコンテンツBが選択されてもよいし、コンテンツBが最初に選択され、その後、残りの尺に収まるようなコンテンツAが選択されてもよい。
あるいは、外部情報を参照して、コンテンツA及びコンテンツBが個別に選択されてもよい(この場合は、選択されたコンテンツの合計の長さが尺となる)。
【0109】
ここで、本発明の一実施形態における1つの尺内のコンテンツAの長さとコンテンツBの長さとの比率、及び1つの尺の時間長、ならびに、1つのロールの時間長の好適な組み合わせ例を下表に示す。なお、下表の各欄において「~」となっているのは下限~上限までの幅を有していることを示す。
【表3】
上表3において、実施例1~5に共通して言えることは、各ロール長は、1つの尺の少なくとも3倍あるということである。これは、2種類のコンテンツが1つのロール中で少なくとも交互に3回以上繰り返されることを意味する。
【0110】
そして、「2種類のコンテンツが1つのロール中で少なくとも交互に3回以上繰り返される」ことの意義は、カテゴリA(コンテンツ)から選択された1つのコンテンツA1(再生時間をPAとする)と、カテゴリB(コンテンツ)から選択された1つのコンテンツB1(再生時間PBとする)との固定的な組み合わせを3回以上繰り返すことのみを意味するのではなく、カテゴリAから選択された複数のコンテンツAとカテゴリBから選択された複数のコンテンツBとの交互の組み合わせを3回以上繰り返すことも含まれる。例えば、1つのロールの中で、A1(再生時間5秒)→B1(同2秒)→A2(同7秒)→B2(同3秒)→A3(同6秒)→B2(同6秒)といった態様の繰り返しも「2種類のコンテンツが1つのロール中で少なくとも交互に3回以上繰り返される」ことに含まれる。
【0111】
また、上表3の実施例5における時間長の「程度」及び比率の「約」は、それぞれプラスマイナス15%程度の誤差を含む趣旨である。
【0112】
上表3において、実施例1のロール長については、想定される顧客行動をカバーできる範囲として、タバコ単品の目的買い等、レジに直行して退店するケース(下限60秒)、通常の買い物(4~5分)に加え、コピー機/マルチメディア端末/ATM/イートインスペースのいずれか1以上を使用するケース(上限900秒)を想定している。
【0113】
また、実施例2のロール長については、想定される顧客行動をカバーできる範囲としてイートインスペースの使用を除いており、タバコ単品の目的買い等、レジに直行して退店するケース(下限60秒)、通常の買い物(4~5分)に加え、コピー機/通信ポート/ATMのいずれか1以上を使用するケース(上限600秒)を想定している。
【0114】
また、実施例3のロール長については、想定される買い物行動をカバーできる範囲として、タバコ単品の目的買い等、レジに直行して退店するケース(下限60秒)、平均滞在時間(4~5分)後、弁当のレンジアップ/コーヒー待ちに少々時間を消費するケース(上限420秒)を想定している。
【0115】
また、実施例4のロール長は、顧客の平均滞在時間(4~5分)のレンジを想定している。
【0116】
また、実施例5のロール長は、顧客の平均滞在時間(4~5分)の平均値を想定している。
【0117】
上表3において、実施例1における1つの尺の長さについては、番組を注視するのに最低限必要と解される長さ(15秒)にバンパー広告(5~6秒)を加えたケース(下限:20~21秒)、ならびに、180秒程度の番組(ショートムービー)に15秒程度のCM秒を加えたケース(上限:200秒)を想定している。
【0118】
また、実施例2における1つの尺の長さについては、番組を注視するのに最低限必要と解される長さ(15秒)にバンパー広告(5~6秒)を加えたケース(下限:20~21秒)、ならびに、番組15~60秒にCM30~75秒を加えたケース(上限:90秒)を想定している。
【0119】
また、実施例3における1つの尺の長さについては、15秒ずつの番組及び広告であるケース(下限:30秒)、ならびに、番組15~60秒にCM30~75秒を加えたケース(上限:90秒)を想定している。
【0120】
また、実施例4における1つの尺の長さについては、15秒ずつの番組及び広告であるケース(下限:30秒)、ならびに、番組15~30秒にCM15~30秒を加えたケース(上限:60秒)を想定している。
【0121】
また、実施例5における1つの尺の長さについては、15秒ずつの番組及び広告であるケース(30秒)を想定している。
【0122】
なお、上表3のA:Bの時間比率については、利用者の反応及び視認率に応じて調整される範囲を実施例1~5ごとに想定している。ちなみに、民放連では週ごとの番組に対するCMの放送量は18%程度に設定されている(1:0.18)
【0123】
(ダイナミックなコンテンツ「選択」や「比率」の変動)
本発明の一実施形態においては、上述のタグ情報や外部情報を参照して、コンテンツを選択したり、上表3のA:Bの時間比率を変更させたりすることもできる。例えば、AIカメラにより取得された利用者属性あるいは来客属性に基づいたコンテンツの選択や比率の変更は有効である。また、外部情報を参照して、特定のパラメータの過去の情報に基づいたコンテンツの選択や比率の変更も有効である。
また、利用者属性あるいは来客属性については、上述したとおり、ビーコン等を介して取得された広告IDに基づいて取得することもできる。
【0124】
ステップS505では、前ステップまでに決定した1ロールを構成する尺を1つずつ再生していく。本発明の一実施形態においては、1つの尺の再生が終わるとステップS506へ進む。
【0125】
ステップS506では、次の尺におけるコンテンツ内容を差し替えるかどうか、及び/または、コンテンツ比率を変更するかどうかが判断される。本発明の一実施形態において、いったんロールの内容が決定されると、あくまでもそのロールの再生が完了するまでは尺の内容は変えないという場合には、本ステップは省略可能であるが、そうでない場合、本ステップでの判断が行われる。本ステップでYesの場合はステップS504へ復帰し、Noの場合はステップS507へ進む。なお、本ステップでYesとなり、ステップS504へ復帰した場合の同ステップにおけるダイナミックなコンテンツ「選択」や「比率」の変動は、本発明の一実施形態における特徴の1つである。
【0126】
(「選択」や「比率変動」バリエーション)
すなわち、本発明の一実施形態においては、コンテンツの選択(差し替えを含む)を行う場合に、システム内外のデータベースに蓄積されたコンテンツA及び/またはコンテンツBの属性情報及び/または外部情報における共通要素を有するもの同士を選択させることができる。
【0127】
また、本発明の一実施形態においては、コンテンツの選択(差し替えを含む)及び/または比率を設定(変動を含む)させる際に、外部情報のうち、時間の経過とともに蓄積管理される少なくとも1以上の情報をパラメータとして最適化した結果に基づきコンテンツA及び/またはコンテンツBに関する選択及び/または比率設定のための提示を行わせることができる。具体的には、システム内外のデータベースに蓄積された属性情報及び/または外部情報を参照し、設定の条件に合致したコンテンツA及び/またはコンテンツBに関する提示または設定を行わせるなどである。
【0128】
さらに、これらの選択及び/または比率設定については、自動化させることもできる。自動化に際しては、システム内外のデータベースに蓄積された属性情報及び/または外部情報に基づいて機械学習させた結果を利用することができる。
【0129】
以上のバリエーションについては、例えば、図6図15を参照して説明する「選択」や「比率変動」においても、技術的矛盾を生じさせない範囲で同様に適用される。
【0130】
ステップS507では、ロールが終了したかどうかが判断され、Noの場合はステップS505へ復帰するが、Yesの場合は本フローとしては終了する。
【0131】
図6に、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおける処理フローを示す。具体的には、図5のステップS504の詳細処理フローである。ステップS504では、コンテンツA及びコンテンツBが様々な処理により選択されうるが、図6では、コンテンツAとコンテンツBとが互いに関連性のあるものとして選択される場合と、そうでない場合とに場合を分けて、それぞれどのように処理されるのかを例示する。
【0132】
ステップS601において処理を開始すると、ステップS602へ進み、選択されるコンテンツA及びコンテンツBには関連性が必要とされるか否かが判断される。同ステップでYesの場合にはステップS603へ進み、Noの場合はステップS606へ進む。
【0133】
ステップS603では、コンテンツAを決定し、コンテンツAから特徴を抽出する。コンテンツAの決定方法は、予め登録されているコンテンツ群の中から予め決められた順序に従って抽出されてもよいし、ランダムに抽出されてもよい。また、外部情報(来客属性、季節、イベント、天気、気温等)に基づいて決定されてもよい。また、コンテンツAからの特徴抽出については、例えば、コンテンツのタイトルやコンテンツ内容において登場する商品やイベントの名称等が抽出される。その他、コンテンツAに紐付けられたタグ等の付加情報や属性情報がある場合にはこれらが参照されてもよい。これらがコンテンツAの特徴情報とされる。
【0134】
ステップS604では、前ステップで抽出されたコンテンツAの特徴(特徴情報)に基づき、コンテンツBが抽出される。例えば、上述したコンテンツAの特徴情報に関連付けされたコンテンツBの特徴情報を辿ってコンテンツBが抽出される(この場合には、図示しない関連テーブルが参照される)。
【0135】
次に、ステップS605へ進み、コンテンツAに続いてコンテンツBが決定される。このとき、コンテンツA及びコンテンツBの内容の関連性のみならず、両者の長さの比率や両者を連結した場合の尺が考慮されてもよい。
【0136】
なお、ステップS603~ステップS605は、はじめにコンテンツAを決定してからコンテンツBを決定したが、本発明はこれに限定されるものではなく、はじめにコンテンツBを決定してからコンテンツAを決定してもよい。
【0137】
ステップS606では、はじめにコンテンツAが決定される。コンテンツAの決定方法は、予め登録されているコンテンツ群の中から予め決められた順序に従って抽出されてもよいし、ランダムに抽出されてもよい。また、外部情報(来客属性、季節、イベント、天気、気温等)に基づいて決定されてもよい。次に、ステップS607へ進み、コンテンツBが決定される。コンテンツBの決定方法は、予め登録されているコンテンツ群の中から予め決められた順序に従って抽出されてもよいし、ランダムに抽出されてもよい。また、外部情報(来客属性、季節、イベント、天気、気温等)に基づいて決定されてもよい。
【0138】
ステップS608では、本フローとしての処理を終了する。
【0139】
図7図8に、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおけるディスプレイの表示例を示す。後述する図7図8を参照した説明においては、単に情報の提示方法を説明するにとどまらず、このような情報表示に至るまでの情報処理過程についても必要に応じて説明する。
【0140】
(コンテンツAの表示パターン)
図7(A)~(D)は、コンテンツAの表示パターン例である。コンテンツAの具体的内容は、ランキング番組となっている。図7(A)及び(B)は、当番組のオープニング画面例であり、図7(C)及び(D)は、当番組の内容表示例である。
【0141】
図7(A)においては、タイトル画面711~713がディスプレイごとに表示されている。つまり、画面711~713は、それぞれディスプレイ131、141、151の画面に対応する。各画面には、「ファミマ なんでもランキング」とのタイトルが表示されている。タイトル画面711~713の出し方には、スラインドイン、フェード、ワイプなど公知の演出技術を採用することができる。
【0142】
図7(B)においては、ディスプレイ131、141、151の画面の全てを一体化した1つの領域721とみなし、領域721の全域を使ったタイトル表示になっている(いわゆるぶち抜き)。こうした「ぶち抜き」表示は、表現方法としてインパクトがあり、番組における表示だけでなく、コンテンツBの代表例である広告表示においても有効である。
【0143】
図7(C)においては、ランキング番組の表示例が示されている。ディスプレイ131、141、151の画面にそれぞれ対応する画面731~733において、中央部の画面732には、ランキングに関する個別のタイトル(「TOKYO おにぎりランキング」)の表示がなされ、左右の画面731及び733には、同じランキング内容が表示されており、広い店舗の左右から視認できる範囲や確率を向上させている。画面731及び733内においてランクインしたものは、東京都あるいは東京都23区内の店舗において売上げの多かったおにぎりの種類であり、図7(C)に示されるとおり、1位:シーチキンマヨネーズ、2位:紅しゃけ、3位:スーパー大麦 野沢菜ちりめん、4位:日高昆布、5位:熟成さばおにぎり、となっている。なお、これらのランクイン商品の出し方については、スラインドイン、フェード、ワイプなど公知の演出技術を採用することができる。
【0144】
図7(D)においては、ランキング番組の他の表示例が示されている。ディスプレイ131,141、151の画面にそれぞれ対応する画面741~743において、それぞれ個別にランキング情報が表示されている。つまり、画面741には、お弁当ランキングが第1位から第5位まで表示されており、画面742には、菓子パンランキングが第1位から第5位まで表示されており、画面743には、冷凍食品ランキングが第1位から第5位まで表示されている。なお、これらのランクイン商品の出し方については、スラインドイン、フェード、ワイプなど公知の演出技術を採用することができる。
【0145】
なお、図7(C)では、中央部の画面732にランキングに関するタイトルを表示させ、左右の画面731及び733には、同じランキング内容を表示させるように制御したが本発明はこれに限定されるものではなく、中央部の画面732にランキングに関するタイトルを表示させ、左右の画面731及び733には、異なるランキング内容を表示させるように制御することも可能である。
以下に、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおけるフレーム(ディスプレイ)のさらなる活用例について、例示する。
【0146】
(フレームの活用:ディスプレイ131、141、151の使い方)
本発明の一実施形態においては、ディスプレイ131、141、151の多様な使い方を想定している(上述したぶち抜き表示は一例である)。その代表的なものを例示すると、次のとおりである。
【0147】
(1)動画3面
ディスプレイ131、141、151に同じ動画、あるいは、少なくとも1面に異なる動画を表示させる。3面動画表示による連動によって、これまでに無いクリエイティブな情報発信が可能となる。
【0148】
(2)動画2面+静止画1面
ディスプレイ131、141、151のうち、1画面を静止画表示とし、他の2画面を動画表示とする。一部の画面を静止画として固定することにより、他の動画表示の補強/強化を図ることができる。
【0149】
(3)静止画3面
ディスプレイ131、141、151に同じ静止画、あるいは、少なくとも1面に異なる静止画を表示させる。メッセージを定常固定させることができ、アテンション効果が向上する。キャンペーン告知やお買い得情報の告知などに有効である。
【0150】
(4)フルジャック動画
ディスプレイ131、141、151をぶち抜き、全領域に動画を表示させる。顧客に対するインパクトが増大するとともに、クリエイティブな情報発信が可能となり、高い訴求効果を発揮する。
【0151】
(5)フルジャック静止画
ディスプレイ131、141、151をぶち抜き、全領域に静止画を表示させる。インパクトのあるブランディングや強いメッセージ発信等が可能となる。
【0152】
(6)動画+動画、動画+静止画、静止画+静止画の分割
ディスプレイ131、141、151の全領域における任意の位置で表示領域を2分割し、動画+動画、動画+静止画、あるいは静止画+静止画の分割表示を行う。上述した3画面に制約されない変形型の表現が可能となることで、表現の幅が一層広がる。これは、1枚の大きなディスプレイを採用した場合にも同様であり、同ディスプレイを2分割したり、それ以上に分割したりして表示を行わせることができる。つまり、採用されるディスプレイの数とディスプレイの総面積に対する分割数との間には、特に制約はない。
【0153】
上記フレーム活用に関する(1)~(6)のパターンは、あくまでも本発明の一実施形態としての例示であり、本発明がこれらのパターンにのみ制限されることはない。また、上記フレーム活用に関する(1)~(6)のパターンは、コンテンツのカテゴリ(コンテンツAやコンテンツB)の種別に制約されることなく、いずれのカテゴリのコンテンツに対しても使用することができる(以下、同様である)。一例を挙げると、大画面を利用した異業種の商品のダブルネーム広告や、同一企業内のブランドコラボ(異なるブランドの飲料によるコラボなど)や、クロスセルなどがある。さらに、動画や静止画を使い分けるだけでなく、スピーカを介した音声の使い分けも可能である。
【0154】
(ランキング番組以外の番組例、番組と広告との融合例)
図8には、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおけるディスプレイの表示例であって、図7に示されたランキング番組以外の番組例が示されている。図8に示された番組は、一実施形態において、情報管理サーバ31及び/またはコンテンツ管理サーバ32によってクローリングしたSNS等に投稿等されたユーザメッセージをディスプレイ131、141、151へ表示させたものである(他の実施形態において、情報管理サーバ31及び/またはコンテンツ管理サーバ32は、外部のクローラーがクローリングしたユーザメッセージを取得してディスプレイ131、141、151へ表示させることもできる)。本発明はこれに限定されるものではないが、クローリングに際しては、特定のハッシュタグ(ここでは、「#ファミチキ」)に基づいてユーザコメント等を抽出している。なお、「ファミチキ」は、登録商標である(以下、同じ。)。
【0155】
図8において、表示領域A~Cは、ディスプレイ131、141、151に対応しており、表示領域Aには、ユーザAの投稿コメントが写真付きで紹介されており、表示領域Bには、ユーザBの投稿コメントが写真付きで紹介されており、表示領域Cには、ユーザCの投稿コメントが写真付きで紹介されている。
【0156】
図8において、811~814は、ユーザAのユーザネーム、コメント、ハッシュタグ、投稿画像であり、821~824は、ユーザBのユーザネーム、コメント、ハッシュタグ、投稿画像であり、831~834は、ユーザCのユーザネーム、コメント、ハッシュタグ、投稿画像である。
【0157】
図8に示されるとおり、表示領域A~Cに表示された内容は、商品(ファミチキ)についてのSNSユーザの声を紹介するという番組になっているとともに、コメント抽出対象のハッシュタグに店舗の商品名(「#ファミチキ」)を採用することで、当該商品についての活き活きとした広告にもなっている。
【0158】
また、図示されていないが、他の実施形態として次のようなものもある。つまり、ディスプレイ131、141、151をぶち抜いた広告として、中央部に商品(例えば、ビール)を大きく映し出し、その商品の周囲に当該商品に関わる複数のSNS投稿コメントをランダムに配置するなどの演出である。当該複数の投稿コメントは商品のまわりを浮遊するように演出してもよい。この場合の情報発信においては、広告(商品)が主となり、番組(当該商品に対するコメント)が従となる。
【0159】
本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおいては、このような番組と広告とを融合させて情報発信をすることも可能となる。さらに、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおいては、SNS投稿コメントと商品との組み合わせのほかに、料理やカクテルのレシピ紹介番組と商品(料理やアルコール飲料など)との組み合わせ、体操やストレッチングの紹介番組と商品(サプリメントなど)との組み合わせといった融合形態がある。
【0160】
また、番組については上述のようにランキング番組やSNS等のコメント紹介番組を例示したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、ニュース・災害等情報番組、天気予報番組、短編ドラマ・アニメ番組、地域情報の特集番組、アート壁紙鑑賞番組、電車運行情報番組、第三者による動画投稿配信番組等、幅広いコンテンツを番組として採用できる。
【0161】
(コンテンツBの表示パターン)
図9に示されたものは、コンテンツB(広告)の表示例であり、異業種ダブルネーム広告の表示例である。図9において、画面領域901には、店舗が提供するおつまみ(鳥の唐揚げ)についての動画または静止画広告表示領域902と、他の飲料会社によるビール飲料に関する動画又は静止画広告表示領域903及び904とが設けられている。さらに、画面領域901の中央部には、これらの商品を合わせて購入した場合の割引オファーメッセージ905が表示されている。
【0162】
本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおいては、このような異業種(異なる企業)ダブルネームによる広告発信も可能である。特に、広告表示領域が動画で行われた場合には、異なる企業に関する動画広告が同時進行することとなる。さらに、ダブルネームにかかる商品の組み合わせの相性が良好な場合には、顧客に対する訴求効果を一層高めることができる。
【0163】
図10に示されたものは、コンテンツB(広告)の他の表示例であり、店舗が位置する地域や店舗近隣の外気温と連動した広告提示を行うものである。ここで、外気温は、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システム(サーバや店舗端末)において取得される情報に基づく。図10(A)には、外気温(外部情報)が所定温度以上の場合に所定の飲料を一定額割り引く旨のオファー広告の態様が示されている。同図(A)において、画面領域1011には、外気温情報表示領域1012と、所定の飲料を一定額割り引く旨のオファー広告(気温割引クーポン)1013が設けられている。画面領域1011におけるその他の領域の一部または全部には、任意の静止画または動画を再生させることができる(再生しないことも可能である)。
【0164】
図10(B)には、外気温(外部情報)が所定温度以上の場合に所定の洗剤を一定額割り引く旨のオファー広告の態様が示されている。同図(B)において、画面領域1021には、外気温情報表示領域1022と、所定の洗剤を一定額割り引く旨のオファー広告(真夏日割引オファー)1023が設けられている。画面領域1021におけるその他の領域の一部または全部には、任意の静止画または動画を再生させることができる(再生しないことも可能である)。
【0165】
図10を参照して説明した実施形態に関連して、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおいては、外気温以外の他の外部情報に基づく連動広告を再生ないし表示させることもできる。例えば、次のようなものがある。
【0166】
(1)イベント連動/ターゲティング広告
成人式、母の日、父の日、クリスマスなど、お祝いイベントに相応しい商品(例えば、ビールなどの飲料やソーセージやハムなどの食品)に関する広告をイベント時期に合わせて再生ないし表示させる。このようなイベントと広告との連動により、定常的なブランディングが可能となり、また、顧客への購入タイミング想起による購買促進が図られる。
【0167】
(2)曜日連動広告・日にち連動広告
例えば、週末の金曜日にだけ特定の広告を再生ないし表示させる。こうしたカレンダーユーティリティと連動した広告の提示により、曜日や日にちをきっかけとした購買促進が図られる。
【0168】
(3)時間帯別メッセージ広告
たとえば、夜遅くまで働く顧客層をターゲットとして、深夜にだけ特定の広告を再生ないし表示させる。あるいは、定時まで働く顧客層をターゲットとして、朝の時間帯には、「今日はご褒美」といった類にメッセージ広告を提示し、昼の時間帯には、「あと6時間」といった類にメッセージ広告を提示し、定時以降の時間帯には、「お疲れさま」といった類のメッセージ広告を提示する。このような広告提示により、顧客自身のご褒美としての購入意欲を増進させたり、今日だけは購入してみようといったトライアル機会を送出したりできる。
【0169】
(4)シーズナル×エリア別シーン広告
たとえば、夏季に花火大会の映像を流すシーンとともに飲料等の広告を提示させる。このとき、エリア別(及び/または開催時期別)のパッケージ連動を行うこともできる。このような広告提示により、定常的なブランディングが可能になるとともに、シーズナブル/エリア訴求によるアテンション効果を高めることができる。
【0170】
図11に、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおけるAIカメラの動作処理フローを示す。ここでのAIカメラは、AI認識機能を有するカメラモジュールをいう。また、本発明の一実施形態においては、AIカメラは本発明にかかるコンテンツ配信システムを構成する要素の1つとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明にかかるコンテンツ配信システムとは別体の外部システムとされても良い(この場合、AIカメラから取得される情報は外部情報として取り扱われる)。
【0171】
また、AIカメラが本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムを構成する要素の1つであったとしても、その認識結果や抽出結果を蓄積・管理するために外部データベースを採用することもできる。この場合、AIカメラからリアルに取得される情報は内部情報であり、AIカメラから取得された情報であって、外部データベースに蓄積・管理された情報を例えば統計情報として利用する場合には、外部情報の利用として取り扱われる場合もある。
すなわち、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおけるAIカメラから取得された情報の取り扱いには種々の形態があり、これを「外部情報」と記載した場合でも、特に本発明にかかるコンテンツ配信システムを構成する必須の要素から除外する意図はないことに留意されたい。
【0172】
図11のステップS1101においてAIカメラの処理を開始すると、ステップS1102へ進み、AIカメラの処理動作を終了するかどうかが判断され、Yesの場合にはステップS1109へ進み、本フローとしての処理は終了するが、Noの場合にはステップS1103へ進む(本フローのメインの処理となる)。
【0173】
ステップS1103では、一実施形態として、AIカメラが人物をキャッチ(認識)したかどうかが判断され、Yesの場合にはステップS1104へ進むが、Noの場合にはステップS1103へ復帰する(いわゆる割込み待ち)。
ここで、本ステップでは、被写体の種別として人物を取り扱っているが、本発明はこれに限定されるものではなく、特定の物品(特定の商品、商品棚、買い物カゴなど)を認識対象とすることもできる(こうした多種物品の認識によって、顧客が商品棚から商品を取り出したことや、取り出した商品を買い物カゴに入れたことなども認識できる)。
以下、発明の理解の容易のために認識対象を人物に絞って説明をする。
【0174】
ステップS1104では、認識された人物の特徴を抽出する。本発明の一実施形態においては、公知の認識技術により、人物の性別・年齢層などを高い的中率で判定して抽出することができる。
【0175】
ステップS1105では、認識された人物が新規入店の人物かどうかが判断される。本ステップでYesの場合には、ステップS1106へ進み、Noの場合には、ステップS1107へ進む。
なお、一例として、ステップS1105における新規入店かどうかの判断基準には、次のような基準(C1)~(C3)が採用される。
(C1)その日、初めての利用客かどうか。
(C2)その日初めてでなくとも、会計を済ませ退店した後に改めて入店した利用客かどうか。
(C3)全く初めての利用客か、あるいは、前回の退店から一定の期間経過した利用客かどうか(例えば、12時間とか、3日間とか、1週間など)。
【0176】
ステップS1106では、認識された人物に対して識別IDを付与し、その人物の特徴(性別や年齢層など)、その人物が来店した店舗情報(店舗ID等)、及びその人物を認識した日時等の情報をコンテンツ管理サーバ(CMS)へ送信する。
本発明の一実施形態において、認識された人物に付与される識別IDは、人物を特定するために使用されるものではなく、恒久的な性質のものである必要はない。従って、一定期間のみ保持される仮IDでも良い。また、この識別IDを割愛することもできる。
【0177】
ステップS1106においてCMSへ送信された情報は、一実施形態においてCMSにて保存・管理され(他の実施形態においては、外部サーバに管理させることもできる)、任意のタイミングで統計情報として処理することができる。
【0178】
ステップS1107では、認識された人物が特徴的な行動(一例として、上述した(a)~(f)の行動)を取ったかどうかが判断され、Yesの場合にはステップS1108へ進み、Noの場合には、ステップS1102へ復帰する。
【0179】
ステップS1108では、特徴的な行動をとった人物に関し、その人物ID、特徴行動、店舗情報、及び日時情報がCMSへ送信される。CMSへ送信されたこれらの情報は、一実施形態においてCMSにて保存・管理され(他の実施形態においては、外部サーバに管理させることもできる)、任意のタイミングで統計情報として処理することができる。
【0180】
図12に、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおけるロールコンテンツの差し替え・差し込み等の調整処理フローを示す。本フローは、図5図6に示したコンテンツ差し替え・比率変更処理と矛盾するものではなく、バリエーションの処理フローを示すものである。
【0181】
本フローの特徴は、種々の外部情報(リアルタイム情報)に基づいた調整や、過去の外部情報(統計情報)に基づいた調整を実施できるところにあるといえる。
例えば、統計的な来客属性に基づいた調整を行ったり、現時点での来客属性に基づいた調整を行ったり、現時点での視聴率と、過去のコンテンツ配信ログに基づいた調整を行ったり、商品の売り上げに基づいた調整を行ったりできる。
【0182】
従って、本フローは、図5図6に示したフローのバリエーションとして作動可能であるほか、図5図6に示したフローに基づいて構成されたロールコンテンツに対して事後的に修正ないし調整する場合に採用することができる。
【0183】
ステップS1201において処理を開始すると、ステップS1202へ進み、配信するロールコンテンツの調整指示がなされる。この調整指示は、一実施形態において、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムの管理者等のユーザにより、任意のタイミングで個別に指示される。
具体的には、あるコンテンツを、指定した立地条件に合致する属性を有する店舗にのみ配信したい場合、必要な条件が指定される(店舗の立地条件による調整ないし指定)。あるいは、あるコンテンツを、指定した条件に合致する属性の来店者が多い店舗にのみ配信したい場合、必要な条件が指定される(来客属性による調整ないし指定)。
このように指定によって抽出されたコンテンツは、その条件に沿って、指定された店舗において(必要に応じて指定された日時に)配信されるように制御されることとなる(後述)。
【0184】
ステップS1203では、CMSにおける処理が行われる。典型的には、前ステップで指示された条件にあるコンテンツのスクリーニング等の抽出処理である。
【0185】
ステップS1204では、前ステップで抽出されたコンテンツが、ロールコンテンツに挿し込み可能かどうかが判断される。挿し込みとは、すでに構成されたロールコンテンツにおける新たなコンテンツの挿入や、すでに構成されたロールコンテンツ中のコンテンツとの入れ替えをいう。
また、一実施形態における挿し込み可能かどうかが判断は、ロールコンテンツの尺との関係で挿し込み可否が自動的に判定されてもよいし、ユーザによる可否の入力を受け付けることによって進められても良い。ユーザによる可否の入力を受け付ける場合には、可否の判断そのものは人間が行うこととなるが、その判断の入力を受け付ける手段を有するという意味において、具体的な技術的手段を備えるものである。
ステップS1204においてYesの場合には、ステップS1205へ進み、Noの場合には、ステップS1202へ復帰する。
【0186】
ステップS1205では、ステップS1203で抽出されたコンテンツをロールコンテンツへ挿し込むための処理が実施される。本発明の一実施形態においては、本ステップの処理は、店舗ごと、地域ごとに実施されることができる。本ステップで新たなコンテンツを挿し込まれたロールコンテンツは、適宜のタイミングで全店舗一斉に配信されることもできるし、店舗ごと、地域ごとに配信されることもできる。
そして、ステップS1206へ進む。
【0187】
ステップS1206では、他の調整指示があるかどうかが判断され、Yesの場合にはステップS1202へ復帰し、Noの場合にはステップS1207へ進み、本フローとしては終了する。一実施形態においては、ステップS1207へ到達してからそれまでに挿し込みが完了したロールコンテンツを配信するように構成することもできる。
【0188】
つまり、ステップS1206において、Noと判断されてS1202へ復帰した場合には、前回の挿し込みとは別の観点からの調整が行われることを意味し、多元的な組み合わせ調整が可能であることを意味する。
このような組み合わせ調整の事例を下表に示す。
【表4】
なお、上表において(リアルタイム計測)と記載されている項目は、センサデバイスからリアルタイムに取得できる情報や、外部サーバ等からリアルタイムに取得できる情報を示す。(リアルタイム計測)と記載されていない項目については、スタティックなタグ情報や、現時点で集計されている統計情報等に基づく情報であっても良い。
【0189】
図13に本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおいて収集されたデータの集計処理例を示す。同図では、一実施形態において、ある店舗におけるある日の来店数が集計されている。これらの集計データは、同図のように日ごとに集計することも、週ごとに集計することも、月ごとに集計することも可能である。
また、店舗ごとに集計することも、2以上の複数の店舗にまとめた集計を行うことも可能であり、また、地域ごとに集計することも可能である。
本発明の一実施形態において、かかる集計データは、店舗に設置されたAIカメラによって認識された来客数のカウントによって集積可能となる。また、本発明の他の実施形態においては、かかる集計データは、ビーコンを介して取得された広告IDに基づいて集計することもできる。
【0190】
図14に本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおいて収集されたデータの他の集計処理例を示す。同図では、一実施形態において、ある店舗におけるある日の性別・世代別の来店数が集計されている。これらの集計データは、同図のように日ごとに集計することも、週ごとに集計することも、月ごとに集計することも可能である。
また、店舗ごとに集計することも、2以上の複数の店舗にまとめた集計を行うことも可能であり、また、地域ごとに集計することも可能である。
本発明の一実施形態において、同図に示したような集計は、店舗に設置されたAIカメラによって認識された来客の属性ごとの集計処理によって実現可能となる。また、本発明の他の実施形態においては、かかる集計データは、ビーコンを介して取得された広告IDに基づいて集計することもできる。
【0191】
(集計処理のバリエーションについて)
図13及び図14を参照して、収集されたデータの集計処理例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、次の(T1)~(T8)に示すような種々の集計処理並びにコンテンツ配信制御が可能である。
【0192】
(T1)配信コンテンツのターゲットを30代女性としたい場合に、AIカメラの認識により、直前15分までのカメラ画角内の来店者の性別・年齢を集計して、実際にどの客層が多いかを割り出す。
かかる集計データは、ビーコンを介して取得された広告IDに基づいて集計することもできる。
この場合、30代女性が最も比率の高かった場合には、標準設定したロールコンテンツの中に対象コンテンツを複数回挿し込みすることで、ターゲット層へのコンテンツ視認率の向上を図ることができる。
【0193】
(T2)コンテンツ配信システムの配信ログと、AIカメラで計測した過去(n-1)日までの視認率のログを突合することで、コンテンツごとの時間別視認率を集計する。
この場合、n日目の視認率が相対的に低いコンテンツを標準設定のロールコンテンツから削除し、視認率が総体的に高いコンテンツに差し替えを行って、顧客に対する視認率向上を図ることができる。
【0194】
(T3)ある店舗が所在する市区町村における今後1週間のイベント情報(外部情報)を取得し、その中にスポーツ関連イベントがどのくらい含まれるかを集計する。
この場合、当該スポーツ関連イベントの開催日の1週間前から当日まで、標準設定のロールコンテンツに当該スポーツ関連イベントに関する広告コンテンツを挿し込むことによって、当該スポーツ関連イベントへの集客率を向上させるとともに、店舗の売り上げ向上を図ることができる。
【0195】
(T4)AIカメラやビーコンを介してリアルタイムに計測できる所定時間における来客数もしくはPOSデータからリアルタイムに収集できる所定時間におけるレジ決済者を集計する。
この場合、所定時間における上記集計者数が所定の閾値を越えた場合に、配信するコンテンツの音量を増加させたり、あるいは、所定時間における上記集計者数が所定の閾値を下回った場合に、配信するコンテンツの音量を減少させたりといった店舗内環境を制御することにより、顧客に対するコンテンツ認識率向上を図るとともに、より快適な店舗環境を提供することができる。
【0196】
(T5)対象コンテンツに「店舗取り扱い:有」「商品名:00」という条件を付与
店舗ごとの過去(n-1)日までの特定の商品の時間帯別売り上げをPOSデータより集計し、さらに最も売れる時間帯、最も売れない時間帯を集計処理する。
この場合、n日目に当該商品が最も売れる時間帯又は最も売れない時間帯に標準設定のロールコンテンツに当該商品に関する広告コンテンツに挿し込むことで、当該商品の売り上げ向上を図ることができる。
【0197】
(T6)時間帯別客数に応じて、ロールコンテンツの長さ(コンテンツBが一巡する時間)を調整、最適化する。
例えば、過去3カ月間の12:00~13:00の一人当たり平均店内滞在時間が3分であった場合、通常5分の標準設定のロールコンテンツを3分のロールコンテンツに差し替えるなどして、調整や最適化を図る。
【0198】
(T7)コンテンツ、期間、店舗数、予算が指定されているような場合、その期間中のターゲット属性の視認率の和が最大化されるような店舗(1又は複数)及び配信時間帯を集計及び算出する。
この場合、集約したデータに基づき、視認率や広告想起率が高くなるような配信条件を提示するアルゴリズムを提供することができる。
【0199】
(T8)コンテンツ、期間、目標視認数(インプレッション)、予算が指定されているような場合、その期間中の視認数が最大化されるような店舗(1又は複数)及び配信時間帯を集計及び算出する。
この場合、あるコンテンツの視認数が効果的に目標値に達するような配信店舗の組み合わせを自動的に選定することができるようになる。
【0200】
なお、(T1)~(T8)の例において、公知のAI技術(機械学習技術)を適用することにより、さらに処理精度を向上させたり、効率を向上させたりすることもできる。
【0201】
図15に、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおけるロールコンテンツの差し替え・差し込み等の調整処理フローを示す。本フローは、図5図6図12に示したコンテンツ差し替え・比率変更処理と矛盾するものではなく、バリエーションの処理フローを示すものである。
【0202】
本フローの特徴は、配信するロールコンテンツの調整指示を行う際に、調整項目のみを指示することが可能である点である(配信条件の提示は自動化される)。また、提示された配信条件をそのまま採用できない場合には、配信条件の修正も可能となっている。
種々の外部情報(リアルタイム情報)に基づいた調整や、過去の外部情報(統計情報)に基づいた調整を実施できる点は、図12を参照して説明した処理フローと同様である。
【0203】
ステップS1501において処理を開始すると、ステップS1502へ進み、配信するロールコンテンツの調整指示がなされる。この調整指示は、一実施形態において、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システムの管理者等のユーザにより、任意のタイミングで個別に指示される。また、指示内容は、時間帯、来客属性といった大まかな項目の組み合わせのみを指定したり、時間帯のみ一部指定したりできるなど、自由度の高い指示が可能となっている。
【0204】
ステップS15021では、前ステップで指定された指示項目(一部数値指定があっても良い)に基づいて、情報管理サーバ又はコンテンツ管理サーバにおいて配信条件の算出等が行われ、ユーザに提示される。ここでは、公知の最適化処理、機械学習処理を提供することもできる。
【0205】
ステップS15022では、前ステップで提示された配信条件が採用か不採用かの入力をユーザから受け付ける。同ステップでYesの場合には、ステップS1503へ進み、Noの場合には、ステップS15023へ進む。ステップS15023では、配信条件の修正を受け付ける(ステップS15021で提示された条件はここで修正される)。
【0206】
ステップS1503では、CMSにおける処理が行われる。典型的には、配信条件に基づくコンテンツのスクリーニング等の抽出処理である。
【0207】
ステップS1504では、前ステップで抽出されたコンテンツが、ロールコンテンツに挿し込み可能かどうかが判断される。挿し込みとは、すでに構成されたロールコンテンツにおける新たなコンテンツの挿入や、すでに構成されたロールコンテンツ中のコンテンツとの入れ替えをいう。
また、一実施形態における挿し込み可能かどうかが判断は、ロールコンテンツの尺との関係で挿し込み可否が自動的に判定されてもよいし、ユーザによる可否の入力を受け付けることによって進められても良い。ユーザによる可否の入力を受け付ける場合には、可否の判断そのものは人間が行うこととなるが、その判断の入力を受け付ける手段を有するという意味において、具体的な技術的手段を備えるものである。
ステップS1504においてYesの場合には、ステップS1505へ進む。また、同ステップにおいてNoの場合には、ステップS1502へ復帰する。あるいは、同ステップにおいてNoの場合に、ステップS15021へ復帰させて(図15において破線矢印で記した)、代替の配信条件を提示させるように制御してもよい。
【0208】
ステップS1505では、ステップS1503で抽出されたコンテンツをロールコンテンツへ挿し込むための処理が実施される。本発明の一実施形態においては、本ステップの処理は、店舗ごと、地域ごとに実施されることができる。本ステップで新たなコンテンツを挿し込まれたロールコンテンツは、適宜のタイミングで全店舗一斉に配信されることもできるし、店舗ごと、地域ごとに配信されることもできる。
そして、ステップS1506へ進む。
【0209】
ステップS1506では、他の調整指示があるかどうかが判断され、Yesの場合にはステップS1502へ復帰し、Noの場合にはステップS1507へ進み、本フローとしては終了する。
【0210】
(本発明が適用された場合の実施シーン)
以下に、本発明の一実施形態にかかるコンテンツ配信システム等が実施される実施シーンを列挙する。上述した各実施形態の変形や組み合わせにより、これらの実施シーンが実現することは、当業者であれば容易に理解できるであろう。
【0211】
[コンテンツAの配信に関するもの]
(G1)梅雨前線情報を天気予報情報(外部情報)と合致させて配信する。
(G2)梅雨前線を過ぎた地域では表示しないように制御する。
(G3)AIカメラで若い女子学生または中年男性(来客属性)が多いと判定された店舗に「女子学生流行り言葉ランキング」を配信する。
(G4)種々の来客属性に関する統計データに基づくコンテンツの選定及び配信する(ダイナミックレベルは、0%に近い)。
(G5)本日この店舗で売れているものをリアルタイムでランキング表示する。
(G6)スイーツランキングを表示する(全国/地域/店舗といったエリアごとの月間/週間/当日ランキングをコンテンツAとして表示)。
(G7)女性の来店率が高い時間帯にスイーツランキングを配信する。
(G8)SNSトレンドワードと合致するキーワードを含む番組を配信する(コンテキストターゲティング)。
(G9)トレンドワードに「野球」がある場合、スポーツニュース(試合速報)を配信する。
(G10)AIカメラで来店客の年齢層を認識することで、その年代向けの番組を配信する。
(G11)親及び小学生、あるいはペアが店内に複数組いる場合に、子供向けおもちゃランキングを配信する。
(G12)来客層に80年代生まれが多いと推定される場合に、90年代の音楽MVを配信する。
(G13)店舗の所在地別(都会/田舎)に、最適な番組(ご当地コンテンツなどのコンテンツA)を配信する。
(G14)来店客に高齢者が多いと推定される場合に、振り込め詐欺防止番組を配信する。
(G15)異なるクリエイティブの番組(2種類以上のコンテンツA)を配信し、より市視認率が高い方の番組の配信率を高める(店舗ごと、地域ごとに実施可能)。
(G16)近隣の防犯情報を自治体サーバ等から取得し、不審者情報などを配信する。
(G17)気温/湿度が高い時に、怪談番組や涼し気な風景動画番組を流す。
(G18)店舗立地に応じた番組を配信する(例えば、都会の店舗で田舎の田園風景を配信するなど)。
【0212】
[コンテンツAとコンテンツBとの組み合わせに関するもの]
(H1)女子学生向けの番組の配信後に、女子学生向け商品の広告を配信する。
(H2)子供向け番組の配信後に、子供向け商品の広告を配信する。
(H3)梅雨前線の情報番組の配信後に、防臭剤に関する広告を配信する。
(H4)親向けの番組の配信後に、子供向け商品の広告を配信する(逆ターゲティング)。
(H5)番組×広告の組み合わせのクロステストを行って良い結果を残す組み合わせを集積する(視認率のクロス集計)。
(H6)ある番組と広告との組み合わせで視認率が落ちない(あるいは、視認率が上昇している)場合には、当該広告比率を上げるように制御する。あるいは、視認率が落ちている場合には、より視認率が高いコンテンツに差し替えて配信する。
(H7)リアルタイム販売ランキング番組の配信後に、そのランキングの中の上位の商品に関する広告を配信する。
(H8)ご当地コンテンツ番組の配信後に、地元の美容院に関する広告を配信する。
(H9)天気予報(番組)の配信後に、気温の前日比に応じた広告を出し分けて配信する(例えば、気温が相対的に上がっている場合にはビールの広告を配信し、相対的に下がっている場合にはホット飲料の広告を配信するなど)。
【0213】
[さらにダイナミックな配信シーン]
(J1)ダイナミックな情報(AIカメラや天候などのリアルタイムデータ、過去データ、マニュアル情報等を含む)に応じて、プリセット(タグ付)している番組コンテンツと広告コンテンツとの組み合わせを配信する。
(J2)視認率に応じて、ダイナミックに内容を更新させ、発展させていく(一連のコンテンツにストーリー性を持たせたり、広告比率を変えたりするなど)。
(J3)ある利用客の来店時にAIカメラで顧客属性を認識して配信する番組を決定し、次に外部から取得した気温情報に応じて配信する広告を決定する。
(J4)ダイナミック情報のみならず、スタティック情報やマニュアル情報も活用する。
【0214】
以上、具体例に基づき、本発明にかかるコンテンツ配信システム等の種々の実施形態を説明したが、本発明の実施形態としては、システム又は装置を実施するための方法又はプログラムの他、プログラムが記録された記憶媒体(一例として、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、CD-RW、磁気テープ、ハードディスク、メモリカード)等としての実施態様をとることも可能である。
【0215】
また、プログラムの実装形態としては、コンパイラによってコンパイルされるオブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード等のアプリケーションプログラムに限定されることはなく、オペレーティングシステムに組み込まれるプログラムモジュール等の形態であっても良い。
【0216】
さらに、プログラムは、必ずしも制御基板上のCPUにおいてのみ、全ての処理が実施される必要はなく、必要に応じて基板に付加された拡張ボードや拡張ユニットに実装された別の処理ユニット(DSP等)によってその一部又は全部が実施される構成とすることもできる。
【0217】
本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された構成要件の全て及び/又は開示された全ての方法又は処理の全てのステップについては、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。
【0218】
また、本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された特徴の各々は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的、または類似する目的のために働く代替の特徴に置換することができる。したがって、明示的に否定されない限り、開示された特徴の各々は、包括的な一連の同一又は均等となる特徴の一例にすぎない。
【0219】
さらに、本発明は、上述した実施形態のいずれの具体的構成にも制限されるものではない。本発明は、本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された全ての新規な特徴又はそれらの組合せ、あるいは記載された全ての新規な方法又は処理のステップ、又はそれらの組合せに拡張することができる。
【符号の説明】
【0220】
30 コンテンツ配信システム
31 情報管理サーバ(本部サーバ)
32 コンテンツ管理サーバ
330a~330c 店舗
331a~331c 店舗PC
332a~332c セットトップボックス
333a~333c ディスプレイ(電子看板)
33~34、35a~35c 通信回線
39 公衆回線(インターネット、専用線、社内LAN等)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15