(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038600
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】センス回路、センス方法及び抵抗変化型メモリ
(51)【国際特許分類】
G11C 13/00 20060101AFI20230310BHJP
G11C 7/06 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
G11C13/00 400B
G11C7/06 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145406
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】520233375
【氏名又は名称】富士通セミコンダクターメモリソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川畑 邦範
(57)【要約】 (修正有)
【課題】読み出し時の消費電流を抑制する抵抗変化型メモリ、センス回路及び方法を提供する。
【解決手段】センス回路10は、基準電流の電流値(Iref)のn倍の電流値をもつ第1の電流を生成する電流源11と、第1の電流のうち抵抗変化型のメモリのメモリセル20の抵抗値に応じた電流値(Icell)のセル電流が流れる電流経路12aと、第1の電流のうちセル電流をコピーして(n-1)/2倍した電流が流れる電流経路12cと、第1の電流のうちIref×nから電流経路12a、12cの電流(Icell×{1+(n-1)/2}=Icell×(n+1)/2)の値を引いた電流値(Idif)の第2の電流が流れる電流経路12bと、Icell×(n-1)/2とIdifとから得られる、IcellとIrefの差分のn倍(
図1では3倍)の電流差に基づいて、メモリセル20からのデータの読み出し結果を出力する出力回路15と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電流の第1の電流値のn倍(nは3以上の実数)の第2の電流値をもつ第1の電流を生成する電流源と、
前記第1の電流のうち、抵抗変化型のメモリのメモリセルの抵抗値に応じた第3の電流値のセル電流が流れる第1電流経路と、
前記第1の電流のうち、前記第2の電流値から前記第3の電流値のn-1倍の値を引いた第4の電流値の第2の電流が流れる第2電流経路と、
前記第1電流経路に流れる前記セル電流をコピーして、前記第3の電流値の第3の電流を発生させる第1カレントミラー回路と、
前記第2電流経路に流れる前記第2の電流をコピーして、前記第4の電流値の第4の電流を発生させる第2カレントミラー回路と、
前記第3の電流の前記第3の電流値と前記第4の電流の前記第4の電流値とから得られる、前記第3の電流値と前記第1の電流値の差分のn倍の電流差に基づいて、前記メモリセルからのデータの読み出し結果を出力する出力回路と、
を有するセンス回路。
【請求項2】
前記メモリセルに印加される電圧を検出し、前記電圧の電圧値が基準電圧値に等しくなるように、前記第2電流経路に流れる前記第2の電流の前記第4の電流値を調整する電流調整回路を有する、請求項1に記載のセンス回路。
【請求項3】
前記出力回路は、前記第3の電流値と前記第4の電流値とから得られる、前記第3の電流値と前記第1の電流値の差分のn×2倍の前記電流差に基づいて、相補の前記読み出し結果を出力する、請求項1または2に記載のセンス回路。
【請求項4】
電流源が、基準電流の第1の電流値のn倍(nは3以上の実数)の第2の電流値をもつ第1の電流を生成し、
第1電流経路が、前記第1の電流のうち、抵抗変化型のメモリのメモリセルの抵抗値に応じた第3の電流値のセル電流を流し、
第2電流経路が、前記第1の電流のうち、前記第2の電流値から前記第3の電流値のn-1倍の値を引いた第4の電流値の第2の電流を流し、
第1カレントミラー回路が、前記第1電流経路に流れる前記セル電流をコピーして、前記第3の電流値の第3の電流を発生させ、
第2カレントミラー回路が、前記第2電流経路に流れる前記第2の電流をコピーして、前記第4の電流値の第4の電流を発生させ、
出力回路が、前記第3の電流の前記第3の電流値と前記第4の電流の前記第4の電流値とから得られる、前記第3の電流値と前記第1の電流値の差分のn倍の電流差に基づいて、前記メモリセルからのデータの読み出し結果を出力する、
センス方法。
【請求項5】
印加される電圧によって抵抗値が変化するメモリセルと、
基準電流の第1の電流値のn倍(nは3以上の実数)の第2の電流値をもつ第1の電流を生成する電流源と、前記第1の電流のうち、前記メモリセルの抵抗値に応じた第3の電流値のセル電流が流れる第1電流経路と、前記第1の電流のうち、前記第2の電流値から前記第3の電流値のn-1倍の値を引いた第4の電流値の第2の電流が流れる第2電流経路と、前記第1電流経路に流れる前記セル電流をコピーして、前記第3の電流値の第3の電流を発生させる第1カレントミラー回路と、前記第2電流経路に流れる前記第2の電流をコピーして、前記第4の電流値の第4の電流を発生させる第2カレントミラー回路と、前記第3の電流の前記第3の電流値と前記第4の電流の前記第4の電流値とから得られる、前記第3の電流値と前記第1の電流値の差分のn倍の電流差に基づいて、前記メモリセルからのデータの読み出し結果を出力する出力回路と、を備えたセンス回路と、
を有する抵抗変化型メモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センス回路、センス方法及び抵抗変化型メモリに関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗変化型メモリとして、ReRAM(Resistive Random Access Memory)、MRAM(Magnetic Random Access Memory)、PCRAM(Phase-Change Random Access Memory)などが知られている(たとえば、特許文献1-2参照)。
【0003】
抵抗変化型メモリのメモリセルは、印加される電圧に応じて高抵抗状態または低抵抗状態に変化し、各抵抗状態を2値のデータに対応付けて保持する。
読み出し時において、読み出し対象のメモリセルには、センス回路(センスアンプとも呼ばれる)が接続される。そして、たとえば、一定の基準電流の電流値と、メモリセルの抵抗値との積であるセル電位と、所定の基準電位との大小関係に応じて、メモリセルの抵抗値に対応したデータ(0または1)が出力される。このようなセンス回路では、メモリセルの抵抗値が、基準電位を基準電流の電流値で割った値に近くなるほど、セル電位と基準電位との電位差が小さくなる。そして、この電位差が、センス回路の読み出し感度(読み出しマージン)の限界を下回ると正常に読み出しができなくなり、上記メモリセルは“不良”とされ、歩留まりが低下する。
【0004】
従来、メモリセルに流れる電流(以下セル電流という)と基準電流とをそれぞれカレントミラー回路を用いてコピーし、両電流差から生じる相補の電位差を差動増幅器により読み出しデータとして出力するセンス回路があった(たとえば、特許文献3参照)。このセンス回路によれば、メモリセルには決められたバイアス電圧が印加されるため、セル電流の低下がなく、また、比較的大きな電流差が差動増幅器に入力されるため、比較的高い読み出し感度が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-172703号公報
【特許文献2】特開2011-134383号公報
【特許文献3】特開2004-164766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カレントミラー回路を用いてセル電流と基準電流の電流差を大きくするセンス回路は、電流経路が多くなり、読み出し時における消費電流が大きくなる。
1つの側面では、本発明は、読み出し時の消費電流を抑制できるセンス回路、センス方法及び抵抗変化型メモリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施態様では、基準電流の第1の電流値のn倍(nは3以上の実数)の第2の電流値をもつ第1の電流を生成する電流源と、前記第1の電流のうち、抵抗変化型のメモリのメモリセルの抵抗値に応じた第3の電流値のセル電流が流れる第1電流経路と、前記第1の電流のうち、前記第2の電流値から前記第3の電流値のn-1倍の値を引いた第4の電流値の第2の電流が流れる第2電流経路と、前記第1電流経路に流れる前記セル電流をコピーして、前記第3の電流値の第3の電流を発生させる第1カレントミラー回路と、前記第2電流経路に流れる前記第2の電流をコピーして、前記第4の電流値の第4の電流を発生させる第2カレントミラー回路と、前記第3の電流の前記第3の電流値と前記第4の電流の前記第4の電流値とから得られる、前記第3の電流値と前記第1の電流値の差分のn倍の電流差に基づいて、前記メモリセルからのデータの読み出し結果を出力する出力回路と、を有するセンス回路が提供される。
【0008】
また、1つの実施態様では、センス方法が提供される。
また、1つの実施態様では、抵抗変化型メモリが提供される。
【発明の効果】
【0009】
1つの側面では、本発明は、読み出し時の消費電流を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施の形態のセンス回路の一例を示す図である。
【
図4】コラム制御回路の1入出力部分の回路例を示す図である。
【
図5】抵抗変化型メモリにおけるメモリの一例を示す図である。
【
図8】第2の実施の形態のセンス回路の一例を示す図である。
【
図9】第3の実施の形態のセンス回路の一例を示す図である。
【
図10】第4の実施の形態のセンス回路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態のセンス回路の一例を示す図である。
【0012】
第1の実施の形態のセンス回路10は、抵抗変化型メモリのメモリセル20(メモリ素子20aを含んでいる)に記憶されているデータを読み出すために用いられる。抵抗変化型メモリの他の構成については後述する(
図3、
図4など参照)。
【0013】
センス回路10は、基準電流の電流値(Iref)の3倍の電流値(3Iref)をもつ電流を生成する電流源11を有する。この電流源11によって、センス回路10に流れる電流の最大値が3Irefに制限される。
【0014】
また、センス回路10は、3Irefの電流のうち、メモリセル20の抵抗値に応じた電流値(Icell)のセル電流が流れる電流経路12aを有する。また、センス回路10は、電流源11が生成する電流のうち、3Irefから、Icellの2倍の値を引いた電流値(Idif)の電流が流れる電流経路12bを有する。
【0015】
さらに、センス回路10は、カレントミラー回路13,14、出力回路15、電流調整回路16を有する。
カレントミラー回路13は、電流経路12aに流れるセル電流をコピーして、出力回路15にセル電流と同じ電流値(Icell)の電流を発生させる。
図1の例では、カレントミラー回路13は、pチャネル型MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)(以下pMOSという)13a,13bと、nチャネル型MOSFET(以下nMOSという)13c,13dを有する。第1の実施の形態のセンス回路10では、pMOS13a,13bのトランジスタサイズが同じであり(互いのチャネル長及びチャネル幅が等しい)、nMOS13c,13dのトランジスタサイズが同じである。なお、トランジスタサイズが同じであるとは、製造上の多少の誤差がある場合も含まれる(以下も同じである)。
【0016】
pMOS13aは、電流経路12a上に設けられており、ソースには電流源11が接続されており、ドレインにはメモリセル20が接続される。pMOS13aのゲートは、自身のドレインに接続されているとともに、pMOS13bのゲート及び電流調整回路16に接続されている。
【0017】
pMOS13bは、セル電流がコピーされた電流が流れる電流経路12c上に設けられており、ソースには電流源11が接続されており、ドレインには、nMOS13cのドレインが接続されている。
【0018】
nMOS13cは、セル電流がコピーされた電流が流れる電流経路12c上に設けられており、ソースは接地電位(VSS(たとえば、0V))となる。nMOS13cのゲートは、自身のドレインに接続されているとともに、出力回路15の入力トランジスタとしても機能するnMOS13dのゲートに接続されている。
【0019】
図1のカレントミラー回路13は、pMOS13a,13bによるカレントミラー回路とnMOS13c,13dによるカレントミラー回路を含んでいる。
カレントミラー回路14は、電流経路12bに流れる電流をコピーして、出力回路15にその電流と同じ電流値(Idif)の電流を発生させる。
図1の例では、カレントミラー回路14は、nMOS14a,14bを有する。nMOS14a,14bのトランジスタサイズは同じである。
【0020】
nMOS14aは、電流経路12b上に設けられており、ドレインには、電流調整回路16の後述するpMOS16bを介して、電流源11が接続されている。さらに、nMOS14aのドレインには、自身のゲートが接続されているとともに、出力回路15のもう1つの入力トランジスタとしても機能するnMOS14bのゲートに接続されている。nMOS14aのソースはVSSとなる。
【0021】
図1の出力回路15は、IcellとIdifとから得られる、IcellとIrefの差分の3倍の電流差に基づいて、メモリセル20からのデータの読み出し結果を出力する。
図1の例では、出力回路15は、差動入力される信号差を増幅する増幅回路であり、pMOS15a,15b、nMOS15cと、カレントミラー回路13,14の一部であるnMOS13d,14bを有する。
【0022】
pMOS15a,15bのソースには、電源電圧(VDD)が印加され、pMOS15a,15bのゲートは互いに接続されているとともに、pMOS15bのドレインに接続されている。pMOS15aのドレインは、出力端子OUT及び、nMOS13dのドレインに接続されている。pMOS15bのドレインは、nMOS14bのドレインに接続されている。nMOS13d,14bのソースは、nMOS15cのドレインに接続されている。nMOS15cのソースはVSSとなる。nMOS15cのゲートには、読み出し動作時にセンス回路10をイネーブル状態にするためのイネーブル信号SAenが入力される。
【0023】
電流調整回路16は、メモリセル20に印加される電圧(バイアス電圧)を検出し、バイアス電圧の値(VBIAS)が基準電圧値(Vref)に等しくなるように、電流経路12bに流れる電流の値(Idif)を調整する。電流調整回路16は、電圧制御回路16aとpMOS16bを有する。
【0024】
電圧制御回路16aは、メモリセル20に印加されるバイアス電圧となるカレントミラー回路13のpMOS13a,13bのゲート電圧を検出し、VBIAS=VrefとなるようにpMOS16bのゲートの電圧値(VGP)を制御する。これにより、pMOS13a,13bのソースの電圧値(VC)が一定になる。電圧制御回路16aの回路例については後述する(
図6参照)。
【0025】
pMOS16bは、電流経路12b上に設けられており、ソースが電流源11に接続されており、ドレインは、カレントミラー回路14のnMOS14aのドレインに接続されている。pMOS16bは、VGPに応じてIdifを調整する。なお、Idifが調整されることで、Icellも調整される。
【0026】
このような電流調整回路16を設けることで、メモリ素子20aに印加される電圧を制限することができ、メモリ素子20aに過電圧が印加されることを防ぐことができる。
以下、センス回路10の動作を説明する。
【0027】
メモリセル20からのデータ読み出し時、イネーブル信号SAenの論理レベルが、H(High)レベルとなり、nMOS15cがオンする。また、電圧制御回路16aにより、VBIAS=Vrefに調整され、カレントミラー回路13のpMOS13a,13bのゲート-ソース間電圧の絶対値が、pMOS13a,13bの閾値電圧の絶対値よりも大きくなり、pMOS13a,13bがオンする。また、電流源11が、3Irefの電流を生成する。
【0028】
3Irefの電流は、電流経路12a,12b,12cに分岐される。電流経路12aには、3Irefの電流のうち、メモリセル20の抵抗値に応じた電流値(Icell)のセル電流が流れる。そして、カレントミラー回路13により、電流経路12cにもIcellの電流が流れる。また、カレントミラー回路13のnMOS13c,13dがオンすることにより、出力回路15にIcellの電流が供給される。
【0029】
一方、電流経路12a,12cにそれぞれIcellの電流が流れることにより、電流経路12bには、Idif=3Iref-2Icellの電流が流れる。そして、カレントミラー回路14のnMOS14a,14bがオンすることにより、出力回路15にIdifの電流が供給される。
【0030】
出力回路15のpMOS15a,15bは、ソースにVDDが印加されることによってオンする。また、pMOS15a,15bはカレントミラー接続されているため、pMOS15bのソース-ドレイン間に流れるIdifの電流がpMOS15aのソース-ドレイン間にも流れる。
【0031】
これにより、出力回路15は、出力端子OUTから、IdifとIcellとから得られるIcellとIrefの3倍の電流差に基づいて、メモリセル20からのデータの読み出し結果(電圧ΔV)を出力する。IcellとIrefの3倍の電流差が得られる理由は、Idif-Icell=(Iref-Icell)×3となるためである。Icell>Irefの場合、“1”データ(Hレベルの電圧ΔV)が出力端子OUTから出力され、Icell<Irefの場合、“0”データ(L(Low)レベルの電圧ΔV)が出力端子OUTから出力される。
【0032】
以上のようなセンス回路10では、出力回路15は、基準電流の電流値(Iref)とセル電流の電流値(Icell)との差分に基づいてデータの読み出し結果を出力するのではなく、(Iref-Icell)×3に基づいて、読み出し結果を出力する。つまり、増幅回路である出力回路15に差動入力される信号差(Idif-Icell)がIref-Icellを拡大したものであるため、Iref-Icellが微小な値であっても、高い読み出し感度で、データの読み出しが可能である。
【0033】
また、セル電流と基準電流とをそれぞれカレントミラー回路を用いてコピーし、両電流差から生じる相補の電位差を差動増幅器により読み出しデータとして出力するセンス回路を用いる場合よりも、上記のようなセンス回路10によれば、消費電流を抑制できる。
【0034】
以下、比較のために、上記のセンス回路の例を示す。
図2は、比較例のセンス回路を示す図である。
比較例のセンス回路30は、pMOS31~37、nMOS38~42を有する。pMOS31とnMOS42は、読み出し時に、イネーブル信号SAenの論理レベルがHレベル、イネーブル信号SAenの反対論理の信号/SAenの論理レベルがLレベルになるとオンする。pMOS31のソースにはVDDが印加され、pMOS31のドレインには、pMOS32,35のソースが接続されている。nMOS42のドレインは、nMOS38~41のソースに接続されており、nMOS42のソースはVSSとなる。
【0035】
pMOS32,33,34はカレントミラー接続されており、pMOS32のソース-ドレイン間に流れるセル電流と同じ電流値(Icell)の電流が、pMOS33,34のソース-ドレイン間にも流れる。
【0036】
また、pMOS35,36,37もカレントミラー接続されており、pMOS35のソース-ドレイン間に流れる基準電流と同じ電流値(Iref)の電流が、pMOS36,37のソース-ドレイン間にも流れる。
【0037】
pMOS33のドレインにドレインが接続されるnMOS38のドレイン-ソース間にもIcellの電流が流れ、nMOS38とカレントミラー接続されたnMOS39のドレイン-ソース間にもIcellの電流が流れる。
【0038】
また、pMOS36のドレインにドレインが接続されるnMOS40のドレイン-ソース間にもIrefの電流が流れ、nMOS40とカレントミラー接続されたnMOS41のドレイン-ソース間にもIrefの電流が流れる。
【0039】
ここで、pMOS34とnMOS41のドレイン同士が接続されているため、pMOS34のドレインとnMOS41のドレイン間のノードから、Icell-Irefの電流差に対応した電位差+ΔVが、センス回路30の相補出力の一方として出力される。
【0040】
また、pMOS37とnMOS39のドレイン同士が接続されているため、pMOS37のドレインとnMOS39のドレイン間のノードから、Iref-Icellの電流差に対応した電位差-ΔVが、センス回路30の相補出力の他方として出力される。
【0041】
上記のような相補出力差ΔV×2を生み出す(Icell-Iref)×2=ΔI×2の電流差を得るためには、Icell×3+Iref×3の電流が消費されることになる。Icell≒Irefのときは、Iref×6の電流が消費される。電流が消費される6つの電流経路があるためである。
【0042】
これに対して、第1の実施の形態のセンス回路10において、上記の電圧ΔVを生み出すIcell-Idif=(Icell-Iref)×3=ΔI×3の電流差を得るための消費電流は、Iref×3+Idiff×2=Iref×9-Icell×4である。Icell≒Irefのときでも消費電流はIref×5となり、上記比較例のセンス回路30よりも電流差が大きい(読み出し感度が高い)にもかかわらず、電流が消費される電流経路は5つであり、消費電流が少ない。
【0043】
なお、センス回路30において、ミラー回路のミラー比を変えることで、センス回路10と同様の電流差(ΔI×3)を得ることができる。すなわち、pMOS32,33のチャネル幅に対して、pMOS34のチャネル幅を1.5倍にし、pMOS35,36のチャネル幅に対して、pMOS37のチャネル幅を1.5倍にする。また、nMOS38のチャネル幅に対して、nMOS39のチャネル幅を1.5倍にし、nMOS40のチャネル幅に対して、nMOS41のチャネル幅を1.5倍にする。これにより、センス回路30においてもΔI×3の電流差を得ることができるが、その場合、消費電流は、Icell×3.5+Iref×3.5となる。Icell≒Irefのとき、消費電流はIref×7となる。第1の実施の形態のセンス回路10の消費電流は、これの5/7倍に抑えられている。
【0044】
(抵抗変化型メモリ)
以下、上記のようなセンス回路10を含む抵抗変化型メモリについて説明する。
図3は、抵抗変化型メモリの一例を示す図である。
【0045】
抵抗変化型メモリ50は、I/F(インタフェース)回路51、アドレスデコーダ52、コマンドデコーダ53、データ入出力バッファ54、ロウ制御回路55、コラム制御回路56、メモリセルアレイ57、電源回路58を有する。
【0046】
I/F回路51は、抵抗変化型メモリ50の外部からアドレス、命令、書き込みデータの入力を受け付けるとともに、読み出しデータを出力する。
アドレスデコーダ52は、I/F回路51より供給されるアドレスからロウ選択アドレスとコラム選択アドレスを生成し、ロウ選択アドレスをロウ制御回路55に供給し、コラム選択アドレスをコラム制御回路56に供給する。
【0047】
コマンドデコーダ53は、I/F回路51より供給される命令をデコードし、各種制御信号を出力する。
データ入出力バッファ54は、I/F回路51より供給される書き込みデータや、メモリセルアレイ57から読み出された読み出しデータを保持する。
【0048】
ロウ制御回路55は、アドレスデコーダ52から供給されるロウ選択アドレスと、コマンドデコーダ53が出力する制御信号に基づいて、メモリセルアレイ57の図示しない複数のワード線の何れかを選択して駆動する。
【0049】
コラム制御回路56は、アドレスデコーダ52から供給されるコラム選択アドレスに基づいて、メモリセルアレイ57の図示しない複数のビット線及び複数のソース線の何れかを選択する。そして、コラム制御回路56は、コマンドデコーダ53が出力する制御信号に基づいて、読み出しまたは書き込みを行うための電圧を、選択したビット線やソース線に印加する。また、コラム制御回路56は、
図1に示したようなセンス回路10を有する。コラム制御回路56の回路例については後述する。
【0050】
メモリセルアレイ57は、アレイ状に配列された複数のメモリセルを有する。各メモリセルは、ワード線、ビット線及びソース線に接続されている。
電源回路58は、ロウ制御回路55やコラム制御回路56に、所定の電圧を供給する。
【0051】
(コラム制御回路)
図4は、コラム制御回路の1入出力部分の回路例を示す図である。
たとえば、抵抗変化型メモリ50の入出力端子が32個ある場合、コラム制御回路56には、
図4に示すような回路部が32個含まれる。
【0052】
図4に示すコラム制御回路56の回路部は、コラムスイッチ61,62、BLドライバ63、SLドライバ64、ライト制御回路65、リードスイッチ66、リード制御回路67、データ出力回路68、データ入力回路69と、
図1に示したセンス回路10を含む。
【0053】
コラムスイッチ61は、アドレスデコーダ52から供給されるコラム選択アドレスに基づいて、複数のビット線(
図4の例では32本のビット線(BL<0>~BL<31>))の何れかと、BLドライバ63及びリードスイッチ66とを接続する。
【0054】
コラムスイッチ62は、アドレスデコーダ52から供給されるコラム選択アドレスに基づいて、複数のソース線(
図4の例では32本のソース線(SL<0>~SL<31>))の何れかと、SLドライバ64とを接続する。
【0055】
BLドライバ63は、ライト制御回路65が出力する制御信号により、書き込みデータに応じた電圧を、コラムスイッチ61がBLドライバ63に接続したビット線に印加する。
【0056】
SLドライバ64は、ライト制御回路65が出力する制御信号により、書き込みデータに応じた電圧を、コラムスイッチ62がSLドライバ63に接続したソース線に印加する。
【0057】
ライト制御回路65は、コマンドデコーダ53が出力する制御信号の1つであるライト信号“Write”を受ける。そして、ライト制御回路65は、“Write”によりデータの書き込みが指示された場合、データ入力回路69から供給される書き込みデータ(“0”または“1”)に応じた電圧をBLドライバ63、SLドライバ64に発生させるための制御信号を出力する。
【0058】
リードスイッチ66は、コマンドデコーダ53が出力する制御信号の1つであるリード信号“Read”を受ける。そして、リードスイッチ66は、“Read”によりデータの読み出しが指示された場合、コラムスイッチ61がリードスイッチ66に接続したビット線を、センス回路10に接続する。
【0059】
リード制御回路67は、“Read”によりデータの読み出しが指示された場合、センス回路10をイネーブル状態にするために、
図1に示したイネーブル信号SAenの論理レベルを、Hレベルにする。
【0060】
データ出力回路68は、コマンドデコーダ53が出力する制御信号“Read-Out”によりデータの出力が指示された場合、入出力番号“#”のデータ“DQ<#>”としてセンス回路10が出力するデータの読み出し結果を出力する。
【0061】
データ入力回路69は、コマンドデコーダ53が出力する制御信号“Write-In”によりデータの入力が指示された場合、入出力番号“#”のデータ“DQ<#>”として入力される書き込みデータをライト制御回路65に供給する。
【0062】
(メモリセル)
次に、抵抗変化型メモリ50におけるメモリセルの一例を説明する。
図5は、抵抗変化型メモリにおけるメモリの一例を示す図である。
【0063】
メモリセル20は、メモリ素子20aと、セルトランジスタの一例であるnMOS20bを有する。
メモリ素子20aは、印加される電圧に応じて抵抗値が変化する素子である。たとえば、メモリ素子20aは、低抵抗状態または高抵抗状態に変化し、各抵抗状態を、2値のデータ(“0”または“1”)に対応付けて保持する。メモリ素子20aは、たとえば、金属酸化物を電極で挟んだ構造となっている。メモリ素子20aの一端にはソース線(SL)が接続され、他端にはnMOS20bのドレインまたはソースの一方が接続されている。
【0064】
nMOS20bのドレインまたはソースの他方にはビット線(BL)が接続され、nMOS20bのゲートにはワード線(WL)が接続されている。
このようなメモリ素子20aに“0”が書き込まれるとき(“0”ライト時)、SLに高電圧(+HV)が印加され、BLはVSS(たとえば、0V)とされる。これにより、メモリ素子20aが高抵抗化する。メモリ素子20aに“1”が書き込まれるとき(“1”ライト時)、SLはVSSとされ、BLに高電圧(+HV)が印加される。これにより、メモリ素子20aが低抵抗化する。
【0065】
一方、メモリ素子20aからデータが読み出されるときSLには+HVに比べて低い電圧(+LV)が印加され、BLはVSSとされる。
(電圧制御回路)
次に、
図1に示したセンス回路10に含まれる電圧制御回路16aの回路例を説明する。
【0066】
図6は、電圧制御回路の一例を示す図である。
電圧制御回路16aは、pMOS16a1,16a2、nMOS16a3,16a4,16a5を有する。
【0067】
pMOS16a1,16a2のソースにはVDDが印加され、pMOS16a1,16a2のゲートは互いに接続されているとともに、pMOS16a2のドレインに接続されている。pMOS16a1のドレインはnMOS16a3のドレインに接続されており、pMOS16a2のドレインは、nMOS16a4のドレインに接続されている。
【0068】
nMOS16a3のゲートには、
図1に示した、電圧値がVBIASのバイアス電圧が印加され、nMOS16a4のゲートには、
図1に示した、電圧値がVrefの基準電圧が印加される。nMOS16a3,16a4のソースは、nMOS16a5のドレインに接続されている。
【0069】
nMOS16a5のゲートには、イネーブル信号SAenが入力され、nMOS16a5のソースはVSSとなる。
pMOS16a1のドレインと、nMOS16a3のドレイン間のノードの電位が、pMOS16bのゲートの電圧値(VGP)として出力される。
【0070】
このような電圧制御回路16aでは、Vref>VBIASのときVGPが上昇し、その結果、
図1に示した、pMOS13a,13bのソースの電圧値(VC)が上昇し、VBIASも上昇する。Vref<VBIASのときVGPが下降し、その結果、VCが下降し、VBIASも下降する。
【0071】
このように、電圧制御回路16aによって、VBIAS≒Vrefになるような制御が可能である。
なお、上記のような電圧制御回路16aによって消費される電流の値は、基準電流の電流値であるIrefより十分小さい(たとえば、Irefの1/10以下)。
【0072】
(電流源)
次に、
図1に示したセンス回路10に含まれる電流源11の回路例を説明する。
図7は、電流源の一例を示す図である。
【0073】
図1では図示が省略されていたが、電流源11は、
図3に示した電源回路58に接続されている。
電源回路58は、抵抗58a,58b、pMOS58c、差動増幅器58dを有する。
【0074】
抵抗58aの一端はVSSであり、他端は抵抗58bの一端及び差動増幅器58dの反転入力端子(“-”)に接続されている。抵抗58bの他端はpMOS58cのドレイン及び差動増幅器58dの出力端子に接続されている。
【0075】
pMOS58cのゲートは自身のドレインに接続されているとともに、電流源11に接続される。pMOS58cのソースには、VDDが印加される。
VDDによって動作する差動増幅器58dの非反転入力端子(“+”)には、定電位(VREFC)の信号が入力される。
【0076】
電流源11は、pMOS11a,11b,11cを有する。pMOS11a~11cのソースにはVDDが印加され、pMOS11a~11cのゲートは、電源回路58のpMOS58cのゲート及びドレインと接続されている。すなわち、pMOS11a~11cとpMOS58cはカレントミラー接続されている。pMOS11a~11cのドレインは互いに接続されている。pMOS11a~11cのそれぞれのトランジスタサイズは、pMOS58cのトランジスタサイズと同じである。このため、ミラー比が1:3のカレントミラー回路が実現され、pMOS58cのソース-ドレイン間に流れるIrefの基準電流の3倍(3Iref)の電流が、電流源11によって生成され、出力される。
【0077】
差動増幅器58dの出力電位をVo、反転入力端子の電位をVfb、抵抗58aの抵抗値をR0、抵抗58bの抵抗値をR1とする。このとき、所望のIrefに対して、Iref=Vo/(R0+R1)、Vfb=R0/Vo(R0+R1)=VREFCとなるようなR0及びR1をもつ抵抗58a,58bが用いられる。
【0078】
なお、VrefやVREFCなどの定電位は、たとえば、バンドギャップリファレンス回路などにより生成できる。
(第2の実施の形態)
図8は、第2の実施の形態のセンス回路の一例を示す図である。
図8において、
図1に示した要素と同一の要素については同一の符号が付されている。
【0079】
第2の実施の形態のセンス回路70は、
図2に示した比較例のセンス回路30と同様に、相補出力を行うものである。相補出力を行う出力回路73にIcellの電流と、Idifの電流を発生させるために、カレントミラー回路71,72の構成も、
図1に示したセンス回路10のカレントミラー回路13,14の構成と異なっている。
【0080】
カレントミラー回路71は、カレントミラー回路13に含まれるpMOS13a,13b、nMOS13cの他に、nMOS71a,71b、pMOS71c,71dを有する。
【0081】
nMOS71a,71bは、nMOS13cに対してカレントミラー接続されている。また、nMOS13c,71a,71bのトランジスタサイズは同じである。よって、nMOS13cのドレイン-ソース間に流れるIcellの電流が、nMOS71a,71bのドレイン-ソース間にも流れる。nMOS71bは、出力回路73の入力トランジスタの1つとしても機能する。
【0082】
pMOS71cのドレインは、nMOS71aのドレインに接続されている。pMOS71dは、pMOS71cに対してカレントミラー接続されている。pMOS71c,71dのソースには、VDDが印加される。また、pMOS71c,71dのトランジスタサイズは同じである。よって、pMOS71cのソース-ドレイン間に流れるIcellの電流が、pMOS71dのソース-ドレイン間にも流れる。pMOS71dは、出力回路73の入力トランジスタの1つとしても機能する。
【0083】
カレントミラー回路72は、カレントミラー回路14に含まれるnMOS14aの他に、nMOS72a,72b、pMOS72c,72dを有する。
nMOS72a,72bは、nMOS14aに対してカレントミラー接続されている。また、nMOS14a,72a,72bのトランジスタサイズは同じである。よって、nMOS14aのドレイン-ソース間に流れるIdif=3Iref-2Icellの電流が、nMOS72a,72bのドレイン-ソース間にも流れる。nMOS72bは、出力回路73の入力トランジスタの1つとしても機能する。
【0084】
pMOS72cのドレインは、nMOS72aのドレインに接続されている。pMOS72dは、pMOS72cに対してカレントミラー接続されている。pMOS72c,72dのソースには、VDDが印加される。また、pMOS72c,72dのトランジスタサイズは同じである。よって、pMOS72cのソース-ドレイン間に流れるIdifの電流が、pMOS72dのソース-ドレイン間にも流れる。pMOS72dは、出力回路73の入力トランジスタの1つとしても機能する。
【0085】
出力回路73において、pMOS71dのドレインは、nMOS72bのドレインに接続され、pMOS72dのドレインは、nMOS71bのドレインに接続されている。
これにより、nMOS71bのドレインとpMOS72dのドレイン間のノードに接続される出力端子OUTから、Idif-Icellの電流差に対応した電位差-ΔVが出力される。また、nMOS72bのドレインとpMOS71dのドレイン間のノードに接続される出力端子/OUTから、Icell-Idifの電流差に対応した電位差+ΔVが出力される。このように出力回路73から相補出力が得られる。
【0086】
相補出力差(ΔV×2)を生み出す(Icell-Idif)×2=((Icell-Iref)×3)×2=ΔI×6の電流差を得るために消費される電流は、Iref×3+Icell×2+Idif×2=Iref×9-Icell×2である。Icell≒Irefのときは、Iref×7の電流が消費される。
【0087】
このような、第2の実施の形態のセンス回路70によれば、出力回路73において得られる電流差がΔI×6であるため、第1の実施の形態のセンス回路10(得られる電流差はΔI×3)に比べて、読み出し感度を向上できる。センス回路70の消費電流は、センス回路10の消費電流よりも大きいが、
図2に示したような比較例のセンス回路30で同様の読み出し感度を実現する場合よりも消費電流を抑制できる。
【0088】
図2に示したセンス回路30において、センス回路70と同様の電流差(ΔI×6)を得るには、pMOS32,33のチャネル幅に対して、pMOS34のチャネル幅を3倍にし、pMOS35,36のチャネル幅に対して、pMOS37のチャネル幅を3倍にする。また、nMOS38のチャネル幅に対して、nMOS39のチャネル幅を3倍にし、nMOS40のチャネル幅に対して、nMOS41のチャネル幅を3倍にする。これにより、センス回路30においてもΔI×6の電流差を得ることができるが、その場合、消費電流は、Icell×5+Iref×5となる。Icell≒Irefのとき、消費電流はIref×10となる。第2の実施の形態のセンス回路70の消費電流は、これの7/10倍に抑えられている。
【0089】
(第3の実施の形態)
図9は、第3の実施の形態のセンス回路の一例を示す図である。
図9において、
図1に示した要素と同一の要素については同一の符号が付されている。
【0090】
第3の実施の形態のセンス回路80では、電流源81が、
図1のセンス回路10の電流源11と異なり、Irefの4倍の電流値(4Iref)をもつ電流を生成する。このような電流源81は、
図7に示した電流源11において、電源回路58のpMOS58cに対して、カレントミラー接続されるpMOS(pMOS58cと同じトランジスタサイズのもの)を1つ追加することで実現可能である。
【0091】
また、カレントミラー回路82は、
図1のカレントミラー回路13のpMOS13a,13b、nMOS13c,13dと同じ接続関係をもつ、pMOS82a,82b、nMOS82c,82dを有する。
【0092】
ただし、カレントミラー接続されているpMOS82a,82bにおいて、pMOS82bのチャネル幅は、pMOS82aのチャネル幅の2倍である。このため、ミラー比が1:2となり、pMOS82bのソース-ドレイン間及び電流経路12cには、2Icellの電流が流れる。これにより、電流経路12bには、Idif=4ref-3Icellの電流が流れる。
【0093】
また、カレントミラー接続されているnMOS82c,82dにおいて、nMOS82cのチャネル幅は、nMOS82dのチャネル幅の2倍である。このため、ミラー比が2:1となり、nMOS82dのドレイン-ソース間には、Icellの電流が流れる。
【0094】
第3の実施の形態のセンス回路80の出力回路15において得られる電流差は、Icell-Idif=(Icell-Iref)×4=ΔI×4となる。また、この電流差を得るために消費される電流は、Iref×4+Idif×2=Iref×12-Icell×6となる。Icell≒IrefのときIref×6の電流が消費される。
【0095】
このような、第3の実施の形態のセンス回路80によれば、出力回路15において得られる電流差がΔI×4であるため、第1の実施の形態のセンス回路10(得られる電流差はΔI×3)に比べて、読み出し感度を向上できる。センス回路80の消費電流は、センス回路10の消費電流よりも大きいが、
図2に示したような比較例のセンス回路30で同様の読み出し感度を実現する場合よりも消費電流を抑制できる。
【0096】
図2に示したセンス回路30において、センス回路80と同様の電流差(ΔI×4)を得るには、pMOS32,33のチャネル幅に対して、pMOS34のチャネル幅を2倍にし、pMOS35,36のチャネル幅に対して、pMOS37のチャネル幅を2倍にする。また、nMOS38のチャネル幅に対して、nMOS39のチャネル幅を2倍にし、nMOS40のチャネル幅に対して、nMOS41のチャネル幅を2倍にする。これにより、センス回路30においてもΔI×4の電流差を得ることができるが、その場合、消費電流は、Icell×4+Iref×4となる。Icell≒Irefのとき、消費電流はIref×8となる。第3の実施の形態のセンス回路80の消費電流は、これの6/8倍に抑えられている。
【0097】
なお、
図8に示した第2の実施の形態のセンス回路70においても、上記のセンス回路80と同様に、電流源11が生成する電流の大きさを4Irefとしてもよい。そして、pMOS13bのチャネル幅を、pMOS13aのチャネル幅の2倍とし、nMOS13cのチャネル幅を、nMOS71c,71bのチャネル幅の2倍としてもよい。
【0098】
この場合、得られる電流差は、(Icell-Idf)×2=((Icell-Iref)×4)×2=ΔI×8となり、読み出し感度をさらに上げることができる。
(第4の実施の形態)
図10は、第4の実施の形態のセンス回路の一例を示す図である。
図10において、
図1、
図9に示した要素と同一の要素については同一の符号が付されている。
【0099】
第4の実施の形態のセンス回路90は、
図9に示したセンス回路80と同様に、4Irefの電流を生成する電流源81を有している。
第4の実施の形態のセンス回路90は、センス回路10,80と異なり、電流経路12cを電流経路12c1,12c2の2つに分け、4Irefの電流が4つの電流経路に分岐して流れるような回路構成となっている。
【0100】
このため、カレントミラー回路91の回路構成が、センス回路10,80のカレントミラー回路13,82の回路構成と異なっている。
カレントミラー回路91は、
図1のカレントミラー回路13の各要素に加えて、上記の電流経路12c2を形成するため、pMOS91a、nMOS91を有している。
【0101】
pMOS91aはpMOS13aに対してカレントミラー接続されており、ソース-ドレイン間にIcellの電流が流れる。pMOS91aのソースは電流源81に接続されており、ドレインはnMOS91bのドレインに接続されている。nMOS91bのゲートは自身のドレインに接続されており、ソースはVSSとなっている。
【0102】
このようなセンス回路90においても、Idif=4Iref-3Icellが得られ、センス回路80と同様に、出力回路15においてΔI×4の電流差が得られる。消費電流の大きさもセンス回路80と同様である。このため、第4の実施の形態のセンス回路90においても、第3の実施の形態のセンス回路80と同様の効果が得られる。
【0103】
以上、実施の形態に基づき、本発明のセンス回路、センス方法及び抵抗変化型メモリの一観点について説明してきたが、これらは一例にすぎず、上記の記載に限定されるものではない。
【0104】
たとえば、上記の例では、電流源11,81が生成する電流の値は、Irefの3倍または4倍としたが、これに限定されず、n倍(nは3以上の実数)であればよい。また、電流経路12bに流れる電流の値は、Iref×nからIcell×(n-1)であればよい。このような値の電流が電流経路12bに流れるように、カレントミラー回路13,71,82の回路構成やミラー比などを適宜変更すればよい。
【0105】
また、pMOSとnMOSを入れ替えるなど、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0106】
10 センス回路
11 電流源
12a,12b,12c 電流経路
13,14 カレントミラー回路
13a,13b,15a,15b,16b pMOS
13c,13d,14a,14b,15c nMOS
15 出力回路
16 電流調整回路
16a 電圧制御回路
20 メモリセル
20a メモリ素子