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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038609
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】防護部材及び物品処理装置
(51)【国際特許分類】
   G21F 7/005 20060101AFI20230310BHJP
   G01N 23/18 20180101ALI20230310BHJP
   G21F 7/047 20060101ALI20230310BHJP
   B65G 21/20 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
G21F7/005
G01N23/18
G21F7/047
B65G21/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145418
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】津川 透乃
(72)【発明者】
【氏名】小森 春彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 慎吾
【テーマコード(参考)】
2G001
3F025
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001JA09
2G001PA11
2G001SA14
3F025BC04
(57)【要約】
【課題】物品が引っ掛かることを抑制できる防護部材及び物品処理装置を提供する。
【解決手段】X線遮蔽カーテン20は、互いに対向する一対の主面22a,22bを有する本体22と、本体22の一対の主面22a,22bの少なくとも一方に設けられ、主面22a,22bから突出する複数の突出部24と、を備え、複数の突出部24のそれぞれには、本体22の一対の主面22a,22bを貫通する開口部24dが設けられる。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の搬送経路上に設けられ、前記物品と接触する防護部材であって、
互いに対向する一対の主面を有する本体と、
前記本体の一対の前記主面の少なくとも一方に設けられ、当該主面から突出する複数の突出部と、を備え、
複数の前記突出部のそれぞれには、前記本体の一対の前記主面を貫通する開口部が設けられる、防護部材。
【請求項2】
複数の前記突出部のそれぞれは、前記物品と接触する一方の前記主面に設けられる、請求項1に記載の防護部材。
【請求項3】
前記開口部は、前記突出部において、一対の前記主面の対向方向に交差する方向を向いて開口する、請求項1又は2に記載の防護部材。
【請求項4】
複数の前記突出部は、前記本体において、当該本体の延在方向の一方の端部側に設けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の防護部材。
【請求項5】
一対の前記主面は、撥水性を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の防護部材。
【請求項6】
物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記物品の搬送経路上に設けられ、前記物品に処理を施す処理部と、
前記搬送経路上において、前記処理部に前記物品が搬入される搬入部及び前記処理部から前記物品が搬出される搬出部の少なくとも一方に設けられる防護部材と、を備え、
前記防護部材は、
互いに対向する一対の主面を有する本体と、
前記本体の一対の前記主面の少なくとも一方に設けられ、当該主面から突出する複数の突出部と、を備え、
複数の前記突出部のそれぞれには、前記本体の一対の前記主面を貫通する開口部が設けられる、物品処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、
前記物品に電磁波を照射する照射部と、
前記物品を透過した前記電磁波を検出する検出部と、
前記照射部が前記電磁波を照射する空間を形成すると共に、前記物品が前記空間に搬入される前記搬入部及び前記物品が前記空間から搬出される前記搬出部を有する筐体と、を有し、
前記防護部材は、前記筐体の前記搬入部及び前記搬出部の少なくとも一方に設けられる、請求項6に記載の物品処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防護部材及び物品処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物品処理装置として、例えば、特許文献1に記載の装置が知られている。特許文献1に記載の物品処理装置としてのX線検査装置は、被検査物(物品)を搬送する搬送手段(搬送部)と、搬送手段の搬送上流側及び搬送下流側に配設されたX線漏洩防止手段(防護部材)と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-175363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、物品処理装置において、処理部(X線照射部、切断部等)の搬入部(搬入口)及び搬出部(搬出口)には、X線の漏洩や手等の侵入を防止するための防護部材が設けられている。物品は、搬送部によって搬送された状態で防護部材に接触(当接)して搬入部から処理部の中に搬入されると共に、防護部材に接触して搬出部から処理部の外に搬出される。例えば、物品が生肉等の粘着性を有するものである場合、物品が防護部材に接触したときに防護部材に密着して引っ掛かり、搬送部における物品の位置がずれるおそれがある。物品の位置にずれが生じると、防護部材を通過した後の工程において、不具合が生じるおそれがある。搬送部における物品の位置がずれを防止するためには、防護部材に物品が引っ掛かることを抑制する必要がある。
【0005】
本発明の一側面は、物品が引っ掛かることを抑制できる防護部材及び物品処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る防護部材は、物品の搬送経路上に設けられ、物品と接触する防護部材であって、互いに対向する一対の主面を有する本体と、本体の一対の主面の少なくとも一方に設けられ、当該主面から突出する複数の突出部と、を備え、複数の突出部のそれぞれには、本体の一対の主面を貫通する開口部が設けられる。
【0007】
本発明の一側面に係る防護部材は、本体の一対の主面の少なくとも一方に設けられ、当該主面から突出する複数の突出部を備える。これにより、防護部材では、物品が接触したときに、突出部によって物品と防護部材(本体)との間に空間(空隙)が形成され得る。突出部には、本体の一対の主面を貫通する開口部が設けられる。そのため、防護部材では、当該開口部によって、物品と防護部材との間に空気が流入する。このように、防護部材では、突出部と開口部との相乗効果によって、物品が密着(吸着)することを抑制できる。したがって、防護部材は、物品が引っ掛かることを抑制できる。
【0008】
一実施形態においては、複数の突出部のそれぞれは、物品と接触する一方の主面に設けられてもよい。この構成では、簡易な構成としつつ、物品が引っ掛かることをより確実に抑制できる。
【0009】
一実施形態においては、開口部は、突出部において、一対の主面の対向方向に交差する方向を向いて開口してもよい。一般的に、物品は、防護部材に対して、一対の主面の対向方向において進入する。そのため、防護部材では、開口部の開口を一対の主面の対向方向に交差する方向に向けることによって、開口部の開口が物品によって塞がれることを回避することができる。したがって、防護部材では、物品が引っ掛かることをより一層抑制できる。
【0010】
一実施形態においては、複数の突出部は、本体において、当該本体の延在方向の一方の端部側に設けられてもよい。この構成では、例えば、防護部材がX線検査装置に適用される場合、物体と接触する本体の下端部側(一方の端部側)に突出部を設ける、すなわち本体の上端部側に突出部を設けないことで、防護部材からX線が漏洩することを防止することができる。
【0011】
一実施形態においては、一対の主面は、撥水性を有していてもよい。この構成では、表面に水分を有するような物品(生肉、結露した袋等)が密着することをより一層抑制できる。
【0012】
本発明の一側面に係る物品処理装置は、物品を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送される物品の搬送経路上に設けられ、物品に処理を施す処理部と、搬送経路上において、処理部に物品が搬入される搬入部及び処理部から物品が搬出される搬出部の少なくとも一方に設けられる防護部材と、を備え、防護部材は、互いに対向する一対の主面を有する本体と、本体の一対の主面の少なくとも一方に設けられ、当該主面から突出する複数の突出部と、を備え、複数の突出部のそれぞれには、本体の一対の主面を貫通する開口部が設けられる。
【0013】
本発明の一側面に係る物品処理装置は、防護部材を備える。防護部材は、本体の一対の主面の少なくとも一方に設けられ、当該主面から突出する複数の突出部を備える。これにより、物品処理装置では、物品が接触したときに、突出部によって物品と防護部材(本体)との間に空間(空隙)が形成され得る。突出部には、本体の一対の主面を貫通する開口部が設けられる。そのため、物品処理装置では、当該開口部によって、物品と防護部材との間に空気が流入する。このように、物品処理装置では、突出部と開口部との相乗効果によって、物品が密着(吸着)することを抑制できる。したがって、物品処理装置は、物品が引っ掛かることを抑制できる。その結果、搬送部における物品の位置ずれを抑制できるため、防護部材を通過した後の処理部や他の工程において不具合が生じることを回避できる。
【0014】
一実施形態においては、物品に電磁波を照射する照射部と、物品を透過した電磁波を検出する検出部と、照射部が電磁波を照射する空間を形成すると共に、物品が空間に搬入される搬入部及び物品が空間から搬出される搬出部を有する筐体と、を備え、防護部材は、筐体の搬入部及び搬出部の少なくとも一方に設けられてもよい。この構成では、搬送部における物品の位置ずれを抑制できるため、防護部材を通過した後の処理部において電磁波による検査に不具合が生じたり、処理部の後の工程において不具合が生じたりすることを回避できる。また、物品処理装置では、防護部材によって、電磁波が筐体の外部に漏洩することを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一側面によれば、物品が引っ掛かることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実施形態に係るX線検査装置の構成を示す図である。
図2図2は、X線遮蔽カーテンがシールドボックスに取り付けられている状態を示す図である。
図3図3は、X線遮蔽カーテンの側面図である。
図4図4は、X線遮蔽カーテンの一部を示す正面図である。
図5図5(a)は、突出部を正面から見た図であり、図5(b)は、突出部を下方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
図1に示されるように、X線検査装置(物品処理装置)1は、装置本体10と、支持脚11と、シールドボックス(筐体)12と、搬送部13と、X線照射部(照射部)14と、X線検出部(検出部)15と、表示操作部16と、制御装置17と、を備える。
【0019】
X線検査装置1は、物品Gを搬送しつつ物品GのX線透過画像を生成し、当該X線透過画像に基づいて物品Gの検査(例えば、異物検査、収納数検査、欠品検査、割れ欠け検査等)を行う。検査前の物品Gは、搬入コンベア51によってX線検査装置1に搬入される。検査後の物品Gは、搬出コンベア52によってX線検査装置1から搬出される。X線検査装置1によって不良品と判定された物品Gは、搬出コンベア52の下流に配置された振分装置(図示省略)によって生産ライン外に振り分けられる。X線検査装置1によって良品と判定された物品Gは、当該振分装置をそのまま通過する。
【0020】
装置本体10は、制御装置17等を収容している。支持脚11は、装置本体10を支持している。シールドボックス12は、装置本体10に設けられている。シールドボックス12は、外部へのX線(電磁波)の漏洩を防止する。シールドボックス12の内部には、X線による物品Gの検査が実施される検査領域Rが設けられている。シールドボックス12には、搬入口(搬入部)12a及び搬出口(搬出部)12bが形成されている。検査前の物品Gは、搬入コンベア51から搬入口12aを介して検査領域Rに搬入される。検査後の物品Gは、検査領域Rから搬出口12bを介して搬出コンベア52に搬出される。搬入口12a及び搬出口12bのそれぞれには、X線の漏洩を防止するX線遮蔽カーテン(防護部材)20が設けられている。X線遮蔽カーテン20の詳細については、後述する。
【0021】
搬送部13は、シールドボックス12の中央を貫通するように配置されている。搬送部13は、搬入口12aから検査領域Rを介して搬出口12bまで、搬送方向Aに沿って物品Gを搬送する。搬送部13は、例えば、搬入口12aと搬出口12bとの間に掛け渡されたベルトコンベアである。なお、ベルトコンベアである搬送部13は、搬入口12a及び搬出口12bよりも外側に突出していてもよい。
【0022】
X線照射部14は、シールドボックス12内に配置されている。X線照射部14は、搬送部13によって搬送される物品GにX線を照射する。X線照射部14は、例えば、X線を出射するX線管と、X線管から出射されたX線を搬送方向Aに垂直な面内において扇状に広げる絞り部と、を有している。X線照射部14から照射されるX線には、低エネルギー(長波長)から高エネルギー(短波長)までの様々なエネルギー帯のX線が含まれている。なお、上述した低エネルギー帯及び高エネルギー帯における「低」及び「高」は、X線照射部14から照射される複数のエネルギー帯の中で相対的に「低い」及び「高い」ことを示すものであり、特定の範囲を示すものではない。
【0023】
X線検出部15は、シールドボックス12内に配置されている。X線検出部15は、物品Gを透過した複数のエネルギー帯の各々のX線を検出する。本実施形態では、X線検出部15は、低エネルギー帯のX線及び高エネルギー帯のX線を検出するように構成されている。すなわち、X線検出部15は、第1ラインセンサ(図示省略)と、第2ラインセンサ(図示省略)と、を有している。第1ラインセンサ及び第2ラインセンサは、それぞれ、搬送方向Aに垂直な水平方向に沿って一次元に配列されたX線検出素子によって構成されている。第1ラインセンサは、物品G及び搬送部13の搬送ベルトを透過した低エネルギー帯のX線を検出する。第2ラインセンサは、物品G、搬送部13の搬送ベルト及び第1ラインセンサを透過した高エネルギー帯のX線を検出する。
【0024】
表示操作部16は、装置本体10に設けられている。表示操作部16は、各種情報を表示すると共に、各種条件の入力を受け付ける。表示操作部16は、例えば、液晶ディスプレイであり、タッチパネルとしての操作画面を表示する。この場合、オペレータは、表示操作部16を介して各種条件を入力することができる。
【0025】
制御装置17は、装置本体10内に配置されている。制御装置17は、X線検査装置1の各部(本実施形態では、搬送部13、X線照射部14、X線検出部15、及び表示操作部16、並びに、X線検査装置1の下流に配置される図示しない振分装置)の動作を制御する。なお、振分装置は、X線検査装置1による画像検査で不良品と判定された物品Gを搬送路上から排除する装置である。制御装置17は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ、及びSSD(Solid State Drive)等のストレージを備える。ROMには、X線検査装置1を制御するためのプログラムが記録されている。制御装置17には、X線検出部15の検出結果が入力される。
【0026】
制御装置17は、検出結果に基づいて、物品Gの良否を判定する。制御装置17は、物品Gに異物が有ると判定した場合には、物品Gが不良品であると判定する。制御装置17は、物品Gが不良品であると判定した場合、表示操作部16にその旨を表示させる。
【0027】
続いて、X線遮蔽カーテン20について詳細に説明する。図1及び図2に示されるように、本実施形態では、X線遮蔽カーテン20は、搬入口12a及び搬出口12bのそれぞれにおいて、2個設けられている。X線遮蔽カーテン20は、搬送部13の搬送方向Aにおいて、所定の間隔をあけて設けられる。X線遮蔽カーテン20は、物品Gの搬送経路上に設けられる。X線遮蔽カーテン20は、シールドボックス12の支持部12cに支持されており、支持部12cを中心に揺動可能に設けられる。X線遮蔽カーテン20は、搬送部13の幅方向(図2の奥行き方向)において、複数設置されている。X線遮蔽カーテン20の下端部は、搬送部13に接触する。
【0028】
図2及び図3に示されるように、X線遮蔽カーテン20は、本体22と、複数の突出部24と、荷重部26と、係止部28と、を備える。以下において、「上」及び「下」の語は、図2及び図3に示すX線遮蔽カーテン20の状態における上下方向に対応する。
【0029】
本体22は、板部材である。本体22は、X線を透過しない材料で形成される。本体22は、例えば、タングステンで形成される。本体22は、互いに対向する一対の主面22a,22bを有する。本実施形態では、主面22aは、物品Gが接触する接触面である。主面22a及び主面22bは、撥水性を有している。撥水性は、例えば、本体22の主面22a及び主面22bに撥水加工(撥水剤の塗布、撥水材料の貼付等)が施されることによって与えられ得る。本体22の下端部は、所定の角度を成して屈曲する。
【0030】
複数の突出部24のそれぞれは、本体22の主面22aから突出する。本実施形態では、複数の突出部24は、本体22の下端部側に配置される。具体的には、複数の突出部24は、本体22の長手方向(延在方向)の全長において、本体22の中心よりも下端部側に配置される。図4に示されるように、複数の突出部24は、本体22の上下方向において、所定の間隔(等間隔)をあけて配置される。
【0031】
複数の突出部24のそれぞれは、同じ構成を有する。以下では、一つの突出部24を一例に構成を詳細に説明する。図5(a)及び図5(b)に示されるように、突出部24は、第一側部24aと、第二側部24bと、第三側部24cと、開口部24dと、を有する。図3に示されるように、突出部24は、本体22の幅方向(図3の紙面奥行き方向)から見て、三角形状を呈する。突出部24は、本体22に接続される基端側から先端側に向かって(本体22から離れる方向に向かって)先細りとなる形状を呈する。
【0032】
図5(a)に示されるように、第一側部24aは、本体22の一対の主面22a,22bの対向方向から見て、台形形状を呈する。具体的には、第一側部24aは、先端側が短辺となる台形形状を呈する。第一側部24aは、本体22に対して傾斜する。第一側部24aは、上端部が本体22に接続され、上端部から下端部に向かって下方傾斜する。すなわち、第一側部24aは、本体22から離れる方向に向かって、下り勾配で傾斜している。第一側部24aの表面は平坦面である。
【0033】
第二側部24bは、本体22の一対の主面22a,22bの対向方向から見て、三角形状を呈する。第二側部24bは、本体22の幅方向において、第一側部24aの一方の端部に位置し、本体22と第一側部24aとを接続する。図5(b)に示されるように、第二側部24bは、第一側部24a側に傾斜する。第二側部24bの表面は平坦面である。図5(a)に示されるように、第三側部24cは、本体22の一対の主面22a,22bの対向方向から見て、三角形状を呈する。第三側部24cは、本体22の幅方向において、第一側部24aの他方の端部に位置し、本体22と第一側部24aとを接続する。図5(b)に示されるように、第三側部24cは、第一側部24a側に傾斜する。第三側部24cの表面は平坦面である。
【0034】
開口部24dは、本体22の一対の主面22a,22bを貫通する。開口部24dは、本体22と、第一側部24a、第二側部24b及び第三側部24cとによって形成される。開口部24dは、突出部24において、一対の主面22a,22bの対向方向に交差する方向を向いて開口する。本実施形態では、開口部24dは、下方を向いて開口する。開口部24dの開口は、台形形状を呈する。
【0035】
図3に示されるように、荷重部26は、本体22の上端部に設けられる。荷重部26は、本体22の主面22aに配置される。荷重部26は、係止部28よりも本体22の上部に配置される。荷重部26は、例えば金属等で形成される。荷重部26は、図2に示されるように、X線遮蔽カーテン20がシールドボックス12の支持部12cに支持された状態で、X線遮蔽カーテン20が物品Gと接触して前方(図2の左側)に揺動した場合に、X線遮蔽カーテン20を図2に示される位置に戻す。
【0036】
係止部28は、シールドボックス12の支持部12cに係止される。係止部28は、本体22の主面22bに配置される。係止部28には、支持部12cが挿入される。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係るX線検査装置1は、X線遮蔽カーテン20を備える。X線遮蔽カーテン20は、本体22の主面22aに設けられ、主面22aから突出する複数の突出部24を備える。これにより、X線遮蔽カーテン20では、物品Gが接触したときに、突出部24によって物品GとX線遮蔽カーテン20(本体22)との間に空間(空隙)が形成され得る。突出部24には、本体22の一対の主面22a,22bを貫通する開口部24dが設けられる。そのため、X線遮蔽カーテン20では、開口部24dによって、物品GとX線遮蔽カーテン20との間に空気が流入する。このように、X線遮蔽カーテン20では、突出部24と開口部24dとの相乗効果によって、物品Gが密着(吸着)することを抑制できる。したがって、X線遮蔽カーテン20は、物品Gが引っ掛かることを抑制できる。その結果、X線検査装置1の搬送部13における物品Gの位置ずれを抑制できるため、X線遮蔽カーテン20を通過した後の振分装置において不具合が生じることを回避できる。
【0038】
本実施形態に係るX線検査装置1では、X線遮蔽カーテン20の突出部24の開口部24dは、突出部24において、本体22の一対の主面22a,22bの対向方向に交差する方向を向いて開口する。具体的には、開口部24dは、下方を向いて開口する。一般的に、物品Gは、X線遮蔽カーテン20に対して、本体22の一対の主面22a,22bの対向方向において進入する。そのため、X線遮蔽カーテン20では、開口部24dの開口を下方に向けることによって、開口部24dの開口が物品Gによって塞がれることを回避することができる。したがって、X線遮蔽カーテン20では、物品Gが引っ掛かることをより一層抑制できる。
【0039】
本実施形態に係るX線検査装置1では、X線遮蔽カーテン20の本体22の一対の主面22a,22bは、撥水性を有している。この構成では、表面に水分を有するような物品(生肉、結露した袋等)が密着することをより一層抑制できる。
【0040】
本実施形態に係るX線検査装置1では、X線遮蔽カーテン20において、複数の突出部24が本体22の下端部側に配置される。この構成では、X線照射部14から照射されたX線が突出部24を介してシールドボックス12の外部に漏洩することを防止することができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0042】
上記実施形態では、物品処理装置としてX線検査装置1を一例に説明した。しかし、物品処理装置は、他の装置であってもよい。例えば、物品処理装置の処理部は、物品を切断する切断部等であってもよい。この場合、防護部材は、物品の搬送経路上において、処理部に物品が搬入される搬入部及び処理部から物品が搬出される搬出部の少なくとも一方に設けられる。
【0043】
上記実施形態では、X線遮蔽カーテン20において、本体22の下端部が屈曲する形態を一例に説明した。しかし、本体22の下端部は屈曲していなくてもよい。
【0044】
上記実施形態では、X線遮蔽カーテン20において、複数の突出部24が本体22の下端部側に設けられる形態を一例に説明した。しかし、複数の突出部24は、本体22の中心よりも上端部側の位置にも設けられていてもよい。
【0045】
上記実施形態では、突出部24の形状が図3及び図4に示される構成である形態を一例に説明した。しかし、突出部の形状はこれに限定されない。例えば、突出部は、表面が湾曲面であってもよい。
【0046】
上記実施形態では、X線遮蔽カーテン20の突出部24の開口部24dが下方を向くように開口する形態を一例に説明した。しかし、開口部の開口は他の向きを向いてもよい。
【0047】
上記実施形態では、X線遮蔽カーテン20が搬送部13の幅方向において複数設けられる形態を一例に説明した。しかし、X線遮蔽カーテン20は、搬送部13の幅方向に延在する一つの部材であってもよい。
【0048】
上記実施形態に加えて、X線検査装置1(物品処理装置)は、X線遮蔽カーテン20よりも搬送部13の搬送方向Aの上流側において、物品G及びX線遮蔽カーテン20の少なくとも一方に水、エタノール等の円滑剤を噴射する機構(例えば、ノズルを含む機構)を備えていてもよい。すなわち、物品GがX線遮蔽カーテン20に接触する前に、物品GやX線遮蔽カーテン20に円滑剤を噴射する(吹き付ける)機構を備えていてもよい。当該機構は、搬入口12a側に設置されたX線遮蔽カーテン20に対して設けられてもよいし、搬出口12b側に設置されたX線遮蔽カーテン20に対して設けられてもよいし、搬入口12a側及び搬出口12b側のそれぞれに設置されたX線遮蔽カーテン20に対して設けられてもよい。この機構により、物品GがX線遮蔽カーテン20引っ掛かることをより一層抑制できる。
【符号の説明】
【0049】
1…X線検査装置(物品処理装置)、12…シールドボックス(筐体)、12a…搬入口(搬入部)、12b…搬出口(搬出部)、13…搬送部、14…X線照射部(照射部)、15…X線検出部(検出部)、20…X線遮蔽カーテン(防護部材)、22…本体、22a,22b…主面、24…突出部、24d…開口部、G…物品。
図1
図2
図3
図4
図5