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特開2023-38637寸法データ算出装置、寸法データ算出方法、プログラム、製品製造システム、及び端末装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038637
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】寸法データ算出装置、寸法データ算出方法、プログラム、製品製造システム、及び端末装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/02 20060101AFI20230310BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230310BHJP
【FI】
G01B11/02 H
G06T7/00 660B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145453
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】517332845
【氏名又は名称】Arithmer株式会社
(72)【発明者】
【氏名】新田 恭平
【テーマコード(参考)】
2F065
5L096
【Fターム(参考)】
2F065AA22
2F065AA52
2F065CC16
2F065DD03
2F065FF04
2F065QQ04
2F065QQ17
2F065QQ25
2F065QQ31
2F065SS04
2F065SS09
2F065SS13
5L096AA09
5L096EA39
5L096FA02
5L096FA06
5L096FA64
5L096FA65
5L096FA66
5L096FA69
5L096GA32
5L096KA04
5L096KA15
(57)【要約】
【課題】対象物の各部分の高精度な寸法データを提供する。
【解決手段】寸法データ算出装置2520の処理部2524は、第1算出部2524D1と、第2算出部2524D2と、決定部2524D3と、を備える。第1算出部2524D1は、少なくとも対象物の全長データを含む属性データを、機械学習により学習された係数を用いて多項式回帰することにより、対象物における特定部分を含む複数の部分の寸法データの第1算出値を算出する。第2算出部2524D2は、対象物の画像データから対象物における特定部分の寸法データの第2算出値を算出する。決定部2524D3は、第1算出値及び第2算出値に基づいて対象物における各部分の寸法データを決定する。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも対象物の全長データを含む属性データを取得する取得部と、
前記属性データを、機械学習により学習された係数を用いて多項式回帰することにより、前記対象物における特定部分を含む複数の部分の寸法データの第1算出値を算出する第1算出部と、
前記対象物の画像データを受け付ける受付部と、
前記画像データから前記対象物における特定部分の寸法データの第2算出値を算出する第2算出部と、
前記第1算出値及び第2算出値に基づいて前記対象物における各部分の寸法データを決定する決定部と、
を備える、寸法データ算出装置。
【請求項2】
前記対象物は人である、
請求項1に記載の寸法データ算出装置。
【請求項3】
前記受付部が、
正面方向視で胴体部に重畳しないように腕部を開くとともに側面方向視で胴体部の幅以内に収まるように腕部を配置した対象物の正面画像と、
正面方向視で胴体部に重畳しないように腕部を開くとともに側面方向視で胴体部の幅以内に収まるように腕部を配置した対象物の側面画像と、
正面方向視及び側面方向視で腰部より高い位置に腕部を配置した対象物の側面画像と、
を含む画像データを受け付ける、
請求項2に記載の寸法データ算出装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記第1算出値と前記第2算出値との差が所定値以内である場合、前記特定部分の寸法データを前記第2算出値とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の寸法データ算出装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記第1算出値と前記第2算出値との差が所定値を超える場合、前記特定部分の寸法データを前記第1算出値とする、
請求項1から4のいずれか1項に記載の寸法データ算出装置。
【請求項6】
前記第2算出部は、
前記画像データから仮想図形の周長を算出し、当該周長に基づいて前記対象物における特定部分の寸法データの第2算出値を算出する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の寸法データ算出装置。
【請求項7】
前記第2算出部は、所定の仮想図形の周長の入力に応じて、所定の対象物の特定部分の周長を出力するように学習された学習器を用いて、前記対象物における特定部分の寸法データの第2算出値を算出する、
請求項6に記載の寸法データ算出装置。
【請求項8】
前記画像データは深度マップを含む画像データである、
請求項1から7のいずれか1項に記載の寸法データ算出装置。
【請求項9】
前記画像データから対象物のシルエット画像を生成する生成部をさらに備え、
前記第2算出部は、前記シルエット画像から前記第2算出値を算出する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の寸法データ算出装置。
【請求項10】
前記対象物の画像データを生成する端末装置と通信する通信部をさらに備え、
前記受付部は、前記端末装置から送信される前記対象物の画像データを受け付け、
前記決定部は、前記第1算出値と前記第2算出値との差が所定値を超える場合、前記端末装置に前記画像データの再送信要求を行なう、
請求項1から9のいずれか1項に記載の寸法データ算出装置。
【請求項11】
少なくとも対象物の全長データを含む属性データを取得し、
前記対象物の画像データを受け付け、
前記属性データを、機械学習により学習された係数を用いて多項式回帰することにより、前記対象物における特定部分を含む複数の部分の寸法データの第1算出値を算出し、
前記画像データから前記対象物における特定部分の寸法データの第2算出値を算出し、
前記第1算出値及び第2算出値に基づいて前記対象物における各部分の寸法データを決定する、
寸法データ算出方法。
【請求項12】
請求項11に記載の寸法データ算出方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項13】
少なくとも対象物の全長データを含む属性データを取得する取得部と、
前記属性データを、機械学習により学習された係数を用いて多項式回帰することにより、前記対象物における特定部分を含む複数の部分の寸法データの第1算出値を算出する第1算出部と、
前記対象物の画像データを受け付ける受付部と、
前記画像データから前記対象物における特定部分の寸法データの第2算出値を算出する第2算出部と、
前記第1算出値及び第2算出値に基づいて前記対象物における各部分の寸法データを決定する決定部と、
前記決定部により決定された寸法データを用いて、前記対象物の形状に関連する製品を製造する製品製造装置と、
を備える、製品製造システム。
【請求項14】
少なくとも対象物の全長データを含む属性データと前記対象物の画像データとに基づいて、前記対象物における各部分の寸法データを算出する寸法データ算出装置と通信可能な端末装置であって、前記対象物が人である場合、
正面方向視で胴体部に重畳しないように腕部を開くとともに側面方向視で胴体部の幅以内に収まるように腕部を配置した対象物の正面画像と、
正面方向視で胴体部に重畳しないように腕部を開くとともに側面方向視で胴体部の幅以内に収まるように腕部を配置した対象物の側面画像と、
正面方向視及び側面方向視で腰部より高い位置に腕部を配置した対象物の側面画像と、
の撮像を促すガイド情報を出力する、
端末装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、寸法データ算出装置、寸法データ算出方法、プログラム、製品製造システム、及び端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物の大きさを算出する装置が検討されている。例えば、特許文献1(特開2011-227692号公報)には、指定人物の全身像が現れた被写界像と入力操作によって入力された身長とに基づいて指定人物の特定部位のサイズを測定する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来技術では、対象物の各部分を必ずしも高精度に算出できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の寸法データ算出装置は、属性データを多項式回帰することにより得られた寸法データの第1算出値と、画像データから得られた特定部分の寸法データの第2算出値とに基づいて対象物における各部分の寸法データを決定する。これにより、対象物の各部分の寸法データを全体として高精度に求めることができる。そして、このような寸法データを用いることで、対象物の形状に適合した製品を製造できる。
第2観点の寸法データ算出装置は、第1観点の寸法データ算出装置において、対象物である人(以下、対象者ともいう)の各部分の寸法データを高精度に求めることができる。そして、このような寸法データを用いることで、対象者の形状に適合した製品を製造できる。
第3観点の寸法データ算出装置は、第2観点の寸法データ算出装置において、正面方向視で胴体部に重畳しないように腕部を開くとともに側面方向視で胴体部の幅以内に収まるように腕部を配置した対象物の正面画像と、正面方向視で胴体部に重畳しないように腕部を開くとともに側面方向視で胴体部の幅以内に収まるように腕部を配置した対象物の側面画像と、正面方向視及び側面方向視で腰部より高い位置に腕部を配置した対象物の側面画像と、を含む画像データを受け付ける。このような画像データを用いることで、対象者の特定部分の寸法データを高精度に求めることができる。そして、このような寸法データを用いることで、対象者の形状にさらに適合した製品を製造できる。
第4観点の寸法データ算出装置は、第1~3観点の寸法データ算出装置において、第1算出値と第2算出値との差が所定値以内である場合、特定部分の寸法データを第2算出値とする。これにより、形状の個体差が生じやすい特定部分については画像データに基づく寸法データを採用することで対象物における各部分の寸法データを全体として高精度に求めることができる。
第5観点の寸法データ算出装置は、第1~4観点の寸法データ算出装置において、第1算出値と第2算出値との差が所定値を超える場合、特定部分の寸法データを第1算出値とする。これにより、イレギュレーな画像データを取得した場合でも寸法データ全体としての信頼性を維持することができる。
第6観点の寸法データ算出装置は、第1~5観点の寸法データ算出装置において、仮想図形の周長に基づいて対象物における特定部分の寸法データの第2算出値を算出するので、第2算出値を容易に算出できる。
第7観点の寸法データ算出装置は、第6観点の寸法データ算出装置において、所定の仮想図形の周長の入力に応じて、所定の対象物の特定部分の周長を出力するように学習された学習器を用いて、対象物における特定部分の寸法データの第2算出値を算出する。これにより、容易に周長を計算できる仮想図形を用いて、複雑な形状の特定部分の寸法データの第2算出値を容易に計算できる。
第8観点の寸法データ算出装置は、第1~7観点の寸法データ算出装置において、深度マップを含む画像データを用いるので、単一の画像データから第2算出値を算出できる。
第9観点の寸法データ算出装置は、第1~8観点の寸法データ算出装置において、画像データから対象物のシルエット画像を生成し、そのシルエット画像から第2算出値を算出するので、形状の個体差が生じやすい特定部分についてはシルエット画像に基づく寸法データを採用することで対象物における各部分の寸法データを全体として高精度に求めることができる。
第10観点の寸法データ算出装置は、第1~9観点の寸法データ算出装置において、端末装置から送信される対象物の画像データを受け付け、第1算出値と第2算出値との差が所定値を超える場合、その端末装置に画像データの再送信要求を行なうので、信頼性の高い寸法データを算出できる。
第11観点の寸法データ算出方法は、属性データから得られた寸法データの第1算出値と、画像データから得られた特定部分の寸法データの第2算出値とに基づいて対象物における各部分の寸法データを決定する。これにより、対象物における各部分の寸法データを全体として高精度に求めることができる。そして、このような寸法データを用いることで、対象物の形状に適合した製品を製造できる。
第12観点のプログラムは、属性データから得られた寸法データの第1算出値と、画像データから得られた特定部分の寸法データの第2算出値とに基づいて対象物における各部分の寸法データを決定する。このようなプログラムをコンピュータに実行させることで、対象物における各部分の寸法データを全体として高精度に求めることができる。結果として、対象物の形状に適合した製品を製造できる。
第13観点の製品製造システムは、属性データから得られた寸法データの第1算出値と、画像データから得られた特定部分の寸法データの第2算出値とに基づいて対象物における各部分の寸法データを決定し、決定された寸法データを用いて、製品製造装置が対象物の形状に関連する製品を製造する。したがって、対象物の形状に適合した製品を製造する製品製造システムを提供できる。
第14観点の端末装置は、対象物が人である場合、正面方向視で胴体部に重畳しないように腕部を開くとともに側面方向視で胴体部の幅以内に収まるように腕部を配置した対象物の正面画像と、正面方向視で胴体部に重畳しないように腕部を開くとともに側面方向視で胴体部の幅以内に収まるように腕部を配置した対象物の側面画像と、正面方向視及び側面方向視で腰部より高い位置に腕部を配置した対象物の側面画像と、の撮像を促すガイド情報を出力する。このようなガイド情報を用いることで、対象者の特定部分の寸法データを高精度に求めることができる画像データを寸法データ算出装置に送信できる。結果として、寸法データ算出装置において、対象者の各部分の寸法データを高精度に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の一実施形態に係る寸法データ算出装置2520の構成を示す模式図である。
図2】同実施形態に係る算出部2524Dの構成を示す模式図である。
図3】同実施形態に係る、側面側のバスト、ウエスト、ヒップの形状データの一例を示す模式図である。
図4】同実施形態に係る、正面側のバスト、ウエスト、ヒップの形状データの一例を示す模式図である。
図5】同実施形態に係る、側面側のバスト、ウエスト、ヒップの形状データの一例を示す模式図である。
図6】同実施形態の係る寸法データ算出装置2520の動作を説明するためのフローチャートである。
図7】製品製造システム2501の概念を示す模式図である。
図8】端末装置2510の構成を示す模式図である。
図9】ガイド情報GIの概念を示す模式図である。
図10】製品製造システム2501の動作を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を用いて説明する。なお、各図面において同一の構成要素に対しては略同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0007】
(1)寸法データ算出装置
図1は本発明の一実施形態に係る寸法データ算出装置2520の構成を示す模式図である。寸法データ算出装置2520は任意のコンピュータにより実現することができ、記憶部2521、入出力部2522、通信部2523、及び処理部2524を備える。なお、寸法データ算出装置2520は、LSI(Large Scale Integration),ASIC(Application Specific Integrated Circuit),FPGA(Field-Programmable Gate Array)などを用いてハードウェアとして実現されるものでもよい。
【0008】
記憶部2521は、各種情報を記憶するものであり、メモリ及びハードディスク等の任意の記憶装置により実現される。例えば、記憶部2521は、対象物の長さ及び重さ等に関連付けて、後述する情報処理を実行するために必要な重み係数Wsiを記憶する。重み係数は、後述する属性データ及び寸法データを含む教師データから機械学習を実行することであらかじめ取得される。なお、対象物が「人」である場合、性別ごとに対象物は異なるものとして取り扱われる。その場合、上述した重み係数も男性と女性とで異なるものが採用される。ただし、以下の説明において対象物が人である場合、便宜上、性別を区別せずに説明する。
【0009】
入出力部2522は、キーボード、マウス、タッチパネル等により実現され、コンピュータに各種情報を入力したり、コンピュータから各種情報を出力したりするものである。
【0010】
通信部2523は、任意のネットワークカード等により実現され、有線又は無線によりネットワーク上の通信機器との通信を可能にするものである。
【0011】
処理部2524は、各種情報処理を実行するものであり、CPUやGPUといったプロセッサ及びメモリにより実現される。ここでは、コンピュータのCPU,GPU等に記憶部2521に記憶されたプログラムが読み込まれることにより、処理部2524が、取得部2524A、抽出部2524B、変換部2524C、及び、算出部2524Dとして機能する。
【0012】
取得部2524Aは、少なくとも対象物の全長データを含む属性データを取得する。属性データは、対象物の属性を示すデータであり、対象物の全長、重量、生成からの経過時間(年齢を含む)などが挙げられる。対象物が人である場合、身長、体重、年齢などが属性データとして定義される。
【0013】
また、取得部2524Aは、対象物が撮影された画像データを取得する。単願カメラで画像データが撮影される場合、取得部2524Aは、対象物を異なる方向から撮影した画像データを取得する。具体的に、取得部2524Aは、対象物の正面及び側面の画像データを受け付ける。
【0014】
抽出部2524Bは、画像データから対象物の形状を示す形状データを抽出する。具体的に、抽出部2524Bは、対象物の種類毎に準備されたセマンティックセグメンテーションのアルゴリズム(Mask R-CNN等)を用いて、画像データに含まれる対象物領域を抽出することにより、対象物の形状データを抽出する。
【0015】
変換部2524Cは、形状データを全長データに基づいて変換し、シルエット化する。これにより形状データが規格化される。なお、変換部2524Cは、形状データを、全長データだけでなく当該対象物領域の深度データを用いてモノクロ画像データに変換し、「階調シルエット画像」(新たな形状データ)を生成するものでもよい。階調シルエット画像は、単なる白黒の2値化データではなく、深度データに基づいて、例えば輝度値が0(「黒」)から1(「白」)までのデータで表された単色多階調のモノクロ画像である。つまり、階調シルエット画像データは、深度データに関連づけられて、対象物の形状に関して更に多くの情報量を有するものである。なお、以下の説明では、階調シルエット画像と単なるシルエット画像とを区別せずに単にシルエット画像と記載する場合がある。
【0016】
算出部2524Dは、図2に示すように、第1算出部2524D1、第2算出部2524D2、決定部2524D3としての機能を有し、対象物の各部分の寸法データを算出する。なお、以下の説明において、対象物の各部分に対応する寸法データの全ての算出値を「寸法データセット」と呼ぶことがある。
【0017】
第1算出部2524D1は、取得部2524Aにより取得された属性データを用いて、対象物の各部分の寸法データの第1算出値を算出する。具体的には、第1算出部2524D1は、属性データを、機械学習された重み係数Wsiを用いて二次回帰することにより、対象物の各部分の寸法データを算出する。重み係数は、対象物の部分ごとに最適化されており、対象物における第i番目の部分の重み係数をWsiと表記する。なお、記号i=1~jであり、記号jは寸法データを算出しようとする寸法箇所の総数である。また、記号sは属性データから得られる演算に用いられる要素の数である。
【0018】
例えば、対象物の属性データが全長データh、重量データw、及び経時データaからなるものと想定する。つまり、属性データは、(h,w,a)の要素のセットである。この場合、第1算出部2524D1は、対象物の属性データの各要素(h,w,a)を2乗した値(二次項ともいう)と、各要素を掛け合わせた値(相互作用項ともいう)と、各要素自体の値(一次項ともいう)とを求める。その結果、次の9個の要素を有するデータが得られる。
【数1】
続いて、第1算出部2524D1は、これらの9個の要素のそれぞれに重み係数Wsiを掛け合わせて、寸法データの第1算出値を算出する。なお、この場合はs=9であるので、重み係数Wsiは9×i個の要素を有することになる。ただし、第1算出部2524D1は二次回帰を用いるものに限定されるものではなく、線形回帰又は他の多項式回帰により第1算出値を算出してもよいものである。
【0019】
このような第1算出部2524D1により、対象物が「人」である場合、対象物における、首付け根回り、背肩幅、背巾、背丈、総丈、後ろ丈、袖丈、ひじ丈、腕付け根回り、上腕回り、ひじ回り、手首回り、前丈、乳下り、バスト、アンダーバスト、胸巾、バストポイントの間隔、ウエスト、ヒップ、ミドルヒップ、腰丈、脇丈、股下丈、ひざ丈、太もも回り、膝回り、ふくらはぎ、足首回り、股上丈などの寸法データの第1算出値が算出される。
【0020】
第2算出部2524D2は、画像データから対象物における特定部分の寸法データの「第2算出値」を算出する。具体的に、第2算出部2524D2は、変換部2524Cにより変換された正面及び側面の形状に対応する複数の形状データから、特定部分を仮想図形とみなし、その周長を算出する。そして第2算出部2524D2は、当該周長に基づいて対象物における特定部分の寸法データの第2算出値を算出する。
【0021】
対象物が「人」である場合、特定部分としては、バスト、ヒップ、ウエストなどが挙げられる。これらの特定部分は所定のルールに基づいて抽出される。例えば、図3に示す例では、第2算出部2524D2は、側面のシルエット形状を示す形状データから、側面側のバスト、ウエスト、ヒップのそれぞれの幅hB1、hW1、hH1を算出する。ここでは、形状データの所定領域Lを抽出し、その形状データを所定の割合で高さ方向に3分割し、上から2番目に分割された形状データLWにおいて、幅方向に最も凹んでいる凹箇所をウエストの位置とする。そして、上から1番目に分割された形状データLBにおいて、最も突出している凸箇所をバストの位置とする。そして、上から3番目に分割された形状データLHにおいて、最も突出している凸箇所をヒップの位置とする。続いて、図4に示すように、第2算出部2524D2は、正面のシルエット形状を示す形状データにおいて、側面の形状データに対応するバストの位置、ウエストの位置、ヒップの位置を求める。そして、第2算出部2524D2は、正面側におけるバスト、ウエスト、ヒップのそれぞれの幅hB2、hW2、hH2を算出する。第2算出部2524D2は、このようにして算出した正面側及び側面側の幅から、その特定部分を仮想図形とみなした場合の周長を算出する。仮想図形は正面側及び側面側の幅から周長が算出できるものであれば任意の形状を採用することができる。ここでは仮想図形を楕円形状とする。そして、第2算出部2524D2は、この楕円形状の周長から所定の推論モデルを用いて特定部分の寸法データを出力する。上述の推論モデルは、所定の仮想図形の周長と、所定の対象物の特定部分の周長とを含むデータセットを用いて、線形回帰やニューラルネットワークなどのモデルを機械学習することにより構築される。
【0022】
なお、対象物が「人」である場合、図3に示す側面側の形状データに加えて、図5に示す側面側の形状データを用いてもよい。図5に示す側面側の形状データは、ウエストより腕が高い位置に配置されるものである。これにより、側面方向視でウエストと腕が重畳することを回避できるので、ウエストの位置及び幅を高精度に特定できる。なお、ウエストだけでなく、ヒップの位置及び幅も図5に示す側面側の形状データから特定してもよい。
【0023】
決定部2524D3は、第1算出部2524D1及び第2算出部2524D2による算出結果に基づいて対象物における各部分の寸法データの集合である寸法データセットを決定する。ここで、決定部2524D3は、対象物の特定部分における寸法データの第1算出値と第2算出値との差が所定値以内である場合、当該特定部分の寸法データとして第2算出値の寸法データを採用する。また、決定部2524D3は、寸法データの第1算出値と第2算出値との差が所定値を超える場合、エラーを出力する。なお、決定部2524D3は、寸法データの第1算出値と第2算出値との差が所定値を超える場合、エラーを出力することに代えて、又はエラーを出力するとともに、当該特定部分の寸法データとして第1算出値の寸法データを採用してもよい。
【0024】
図6は本実施形態の変形例の係る寸法データ算出装置2520の動作を説明するためのフローチャートである。
【0025】
まず、寸法データ算出装置2520は、ユーザが使用する端末装置などを介して、対象物に関する属性データの入力を受け付ける。これにより、寸法データ算出装置2520は、これらの属性データを取得する(X1)。特に、寸法データ算出装置2520は、対象物が「人」である場合は、身長、体重、年齢などを属性データとして取得する。
【0026】
また、寸法データ算出装置2520は、ユーザが使用する端末装置などを介して、対象物を撮影した画像データを取得する(X2)。寸法データ算出装置2520は、各画像データから対象物の各部分の形状を示す形状データをそれぞれ抽出する。そして、寸法データ算出装置2520は、全長データに基づいて各形状データを所定の大きさに変換するリスケール処理を実行する。
【0027】
なお、端末装置は予め指定された形状の対象物の画像データを取得できるように、ガイド情報を表示画面等に出力するものでもよい。例えば、対象物が「人」である場合、端末装置は撮影対象者に対して所定のポーズをとるように促す。ここでは、端末装置は、正面方向視で胴体部に重畳しないように腕部を開くとともに側面方向視で胴体部の幅以内に収まるように腕部を配置した対象物の正面画像(図4(a))と、正面方向視で胴体部に重畳しないように腕部を開くとともに側面方向視で胴体部の幅以内に収まるように腕部を配置した対象物の側面画像(図3(a))と、正面方向視及び側面方向視で腰部より高い位置に腕部を配置した対象物の側面画像(図5(a))と、が撮像されるようにガイド情報を出力する。なお、便宜上、シルエット化した画像を例として示している。
【0028】
次に、寸法データ算出装置2520は、取得部2524Aにより取得された属性データを用いて、対象物の各部分の寸法データを算出する(X3~X6)。具体的には、寸法データ算出装置2520は、属性データを、機械学習された重み係数Wsiを用いて二次回帰することにより、対象物の各部分の寸法データの第1算出値を算出する。
【0029】
次に、寸法データ算出装置2520は、画像データに基づいて、対象物の特定部分の寸法データの第2算出値を算出する(X7)。具体的には、寸法データ算出装置2520の第2算出部2524D2が、対象物の特定部分の正面及び側面の画像から当該部分の仮想図形の周長を算出する。寸法データ算出装置2520は、対象物が「人」であり、特定部分が腰部である場合、撮影方向に沿った断面を楕円と仮定し、画像データから楕円の周長を算出する。続いて、寸法データ算出装置2520(第2算出部2524D2)は、そのように算出された楕円の周長と実際の腰部の寸法データとを教師データとして学習したモデルを用いて腰部の寸法データを出力する。
【0030】
続いて、寸法データ算出装置2520は、対象物の特定部分における第1算出値と第2算出値とを比較し、それらの差が所定値以下である場合、特定部分の寸法データとして第2算出値を採用する(X8-Yes,X9)。すなわち、第1算出値から求めた各部分の寸法データのうち、特定部分の寸法データを第2算出値に置換して、全体の寸法データセットを決定する。
【0031】
一方、寸法データ算出装置2520は、第1算出値と第2算出値とを比較し、それらの差が所定値を超える場合、エラーを出力する(X8-No,X10)。寸法データ算出装置2520は、エラーを出力した場合は、画像データの再送信要求をユーザの端末装置などに送信する。ただし、寸法データ算出装置2520は、再送信要求の送信に代えて、特定部分の寸法データの第1算出値を採用するとしてもよい。この場合は、全体の寸法データセットを第1算出値から決定する。
【0032】
以上説明したように、本実施形態に係る寸法データ算出装置2520では、属性データと画像データの両方を用いることで、対象物の複数個所の寸法データを全体として高精度に算出することができる。特に、人体の寸法データを算出する際にはこの効果が顕著に現れる。補足すると、本発明者らは、人体の各部分の寸法データは身長、体重、年齢、性別により全体として一定の傾向を把握できるとともに、特定部分に関しては個体差が比較的大きくなるという知見を得た。個体差が大きく現れる特定部分としては、バスト、ヒップ、ウエストなどが挙げられる。そこで、本実施形態に係る寸法データ算出装置2520では、人体の寸法データを算出する際に、個体差の少ない部分に関しては属性データを用いて多項式回帰により一定の精度で高速に算出し、個体差の大きい特定部分に関しては画像データを用いて高精度に算出する。これにより、対象物の各部分の寸法データを全体として高精度に求めることができる。そして、このような寸法データを用いることで、対象物の形状に適合した製品の製造が可能となる。
【0033】
また、本実施形態に係る寸法データ算出装置2520では、少数画像から算出可能な仮想図形の周長と、事前に計測した実際の長さとを教師データとして学習した推論モデルを用いることで、少数画像から複雑な形状の特定部分の寸法データの第2算出値を容易に算出できる。
【0034】
さらに、本実施形態に係る寸法データ算出装置2520では、決定部2524D3が、第1算出値と第2算出値との差分が所定値以内である場合は特定部分の寸法データを第2算出値とするので、形状の個体差が生じやすい特定部分の寸法データの精度を高めることができる。
【0035】
また、本実施形態に係る寸法データ算出装置2520では、決定部2224D3が、第1算出値と第2算出値との差分が所定値を超える場合はエラーを出力する。ここで、決定部2224D3は、エラーの出力に応じて、特定部分の寸法データを第1算出値とするものでもよい。このような構成により、イレギュレーな画像データを取得した場合でも寸法データセットの信頼性を維持することができる。補足すると、画像データには撮影環境等によるノイズを含むことがあり、第2算出値が実際の寸法から大きくはずれる場合がある。そこで、ノイズなどを含む画像データを取得し、イレギュラーな第2算出値が算出された場合には、第1算出値を採用することで、寸法データセットの一部に異常値が含まれることを回避できる。これにより、画像データの再取得を要求せずに、全体として一定の信頼性を有する寸法データセットを出力することができるので、ユーザの利便性を高めることができる。
【0036】
なお、寸法データ算出装置2520は、深度データ測定装置を備えるものでもよい。深度データ測定装置を適用することにより、取得部2524Aで取得することができる画像データをRGB-D(Red、Green、Blue、Depth)データとすることができる。これにより、正面及び側面の画像データの両方を必ずしも取得せずに、正面又は側面のいずれかの画像データから仮想図形の周長を算出することができる。要するに、画像データが深度マップを含むので、単一の画像データから第2算出値を算出できる。なお、深度データ測定装置の一例はステレオカメラである。本明細書において「ステレオカメラ」とは、対象物を複数の異なる方向から同時に撮影して、両眼視差を再現して深度マップを構成可能な任意の形態の撮像装置を意味している。また、ステレオカメラ以外にも、LiDAR(Light Detection and Ranging)装置により深度データを求め、深度マップを構成してもよい。
【0037】
(2)製品製造システムへの適用
以下、上述した寸法データ算出装置2520を製品製造システム2501に適用する例について説明する。
【0038】
図7は本実施形態に係る製品製造システム2501の概念を示す模式図である。
製品製造システム2501は、ユーザ2505が保有する端末装置2510と通信可能な寸法データ算出装置2520と、製品製造装置2530とを備え、所望の製品2506を製造するためのシステムである。図7では、一例として、対象物2507が人であり、製品2506が椅子であるときの全体構成の概念を示している。ただし、本実施形態に係る製品製造システムの対象物2507及び製品2506はこれらに限定されるものではない。
【0039】
端末装置2510は、任意のコンピュータにより実現されるものである。ここでは、一例として、スマートデバイスにより実現されるものとする。具体的に、端末装置2510は、ユーザ用プログラムがインストールされることで、図8に示すように、取得部2511、通信部2512、処理部2513、入出力部2514としての機能を発揮する。なお、端末装置2510は、ユーザに携帯されるものであっても、店舗内に設置されるものであってもよい。
【0040】
取得部2511は、対象物2507の属性を示す属性データの入力を受け付ける。「属性」としては、対象物2507の全長、重量、生成からの経過時間(年齢を含む)などが挙げられる。
【0041】
また、取得部2511は、対象物2507が撮影された画像データを取得する。例えば、取得部2511は、任意の単眼カメラにより構成される。取得部2511により取得されたデータは処理部2513で処理されて、対象物の画像データが生成される。なお、取得部2511は、対象物を複数の異なる方向から同時に撮影して、両眼視差を再現するステレオカメラ機能を有するものでもよい。また、ここでは、取得部2511がカメラ機能を備える構成としているが、カメラ機能を取得部2511とは別に設けてもよい。この場合、画像データは端末装置2510で撮影されるものに限定されず、例えば、店舗内に別途設置されたステレオカメラ等を用いて撮影されたものを利用してもよい。
【0042】
通信部2512は、任意のネットワークカード等のネットワークインタフェースにより実現され、有線又は無線によりネットワーク上の通信機器との通信を可能にする。通信部2512の機能により、端末装置2510は、寸法データ算出装置2520及び製品製造装置2530との間で各種情報の送受信が可能となる。
【0043】
処理部2513は、各種情報処理を実行するために、CPU(Central Processing Unit)及び/又はGPU(Graphical Processing Unit)といったプロセッサ、並びにメモリにより実現され、プログラムが読み込まれることにより各種処理を実行する。
【0044】
入出力部2514は、端末装置2510への各種情報の入力を受け付けたり、端末装置2510から各種情報を出力したりする。具体的に、入出力部2514は、任意のタッチパネルにより実現される。また、入出力部2514は、所望の形状の対象物2507が撮影できるように、図9の点線で示すようなガイド情報をスクリーンに表示する。これにより、ユーザは、対象物2507(ここでは人)をこの点線内に収まるように撮影することができる。対象物2507が点線内に収まるように撮影された画像データであれば、寸法データ算出装置2520において第2算出値が正常値を示す確率が高くなる。ここでは、入出力部2514は、対象物が人である場合、正面方向視で胴体部に重畳しないように腕部を開くとともに側面方向視で胴体部の幅以内に収まるように腕部を配置した対象物の正面画像と、正面方向視で胴体部に重畳しないように腕部を開くとともに側面方向視で胴体部の幅以内に収まるように腕部を配置した対象物の側面画像と、正面方向視及び側面方向視で腰部より高い位置に腕部を配置した対象物の側面画像と、のそれぞれの撮像を促すガイド情報を出力する。
【0045】
寸法データ算出装置2520は上述したように、任意のコンピュータにより実現することができる。ここでは、寸法データ算出装置2520の記憶部2521は、端末装置2510のユーザ2505を識別する識別情報及び/又は対象物2507を識別する識別情報に関連付けて、端末装置2510から送信される情報を記憶する。また、記憶部2521は、後述する情報処理を実行するために必要なパラメータ等を記憶する。例えば、記憶部2521は、対象物2507の属性の項目等に関連付けて、上述した重み係数Wsiを記憶する。
【0046】
製品製造装置2530は、寸法データ算出装置2520を用いて算出された寸法データセットを用いて、対象物2507の形状に関連する所望の製品を製造する装置である。なお、製品製造装置2530は、自動で製品を製造・加工できる任意の装置を採用することができ、例えば3次元プリンタなどにより実現することができる。
【0047】
図10は製本実施形態に係る製品製造システム2501の動作を説明するためのシーケンス図である。
【0048】
まず、ユーザ2505により端末装置2510に、対象物2507の属性を示す属性データが入力される(Y1)。ここでは、属性データとして、対象物2507の全長データ、重量データ、経時データ(年齢等を含む)等が入力される。
【0049】
次に、端末装置2510を介して対象物2507の全体が異なる方向から映るように複数回撮像されて、対象物2507が撮像された複数の画像データが生成される(Y2)。ここでは、対象物2507は人であり、図3~5を用いて説明したような、正面方向視で胴体部に重畳しないように腕部を開くとともに側面方向視で胴体部の幅以内に収まるように腕部を配置した対象物の正面画像と、正面方向視で胴体部に重畳しないように腕部を開くとともに側面方向視で胴体部の幅以内に収まるように腕部を配置した対象物の側面画像と、正面方向視及び側面方向視で腰部より高い位置に腕部を配置した対象物の側面画像と、が撮像される。
【0050】
そして、これらの複数の画像データ及び属性データが端末装置2510から寸法データ算出装置2520に送信される。この際、端末装置2510において、画像データに含まれる(つまり、画像データに映る)対象物が予め登録された対象物であるか否かを判定するようにしてもよい。詳しくは、端末装置2510の処理部2513が、画素毎に所定の対象物であるか否かを識別する「対象物識別モデル」を用いて、画像データに含まれる対象物が予め登録された対象物であるか否かを判定する(Y3)。例えば、対象物が「人」である場合、処理部2513は画像データに人が映されているか否かを判定し、人が映されていない場合には、その旨を入出力部2514に出力する。これにより、ユーザは、適切な画像データであるか否かを確認してから当該画像データを寸法データ算出装置2520に送信することができる(Y3-Yes,Y4)。
【0051】
寸法データ算出装置2520では、端末装置2510から複数の画像データ及び属性データを受信すると、これらのデータを用いて、対象物2507の各部分の寸法データを算出し、寸法データセットを出力する(Y5)。なお、端末装置2510には、設定に応じて、所定の寸法データが画面に表示される。
【0052】
そして、製品製造装置2530が、寸法データ算出装置2520により算出された寸法データセットに基づいて所望の製品2506を製造する(Y6)。
【0053】
上述したように、寸法データ算出装置2520が対象物2507の寸法データセットを高精度に算出するので、対象物2507の形状に関連する所望の製品2506を提供できる。所望の製品2506として、例えば、人の形状から当該人に適合する椅子などを製造することができる。また、例えば、対象者の体型にカスタイマイズした衣服などを製造することができる。
【0054】
なお、対象物が人である場合、正面方向視で胴体部に重畳しないように腕部を開くとともに側面方向視で胴体部の幅以内に収まるように腕部を配置した対象物の正面画像及び側面画像だけでなく、正面方向視及び側面方向視で腰部より高い位置に腕部を配置した対象物の側面画像を取得することで、ウエスト及びヒップの領域に腕部が映らない側面画像を得ることができる。これにより、ウエスト及びヒップの領域抽出を高精度に行うことができる。結果として、人体において特に個体差の大きいウエスト及びヒップの寸法データを、演算負荷を軽減させつつ高精度に算出することができる。補足すると、人の側面画像を撮影した場合、側面方向視で腕と胴体とが重畳してしまい、胴体のシルエット形状が正確に取得できない場合がある。これは、例えば、腰を反った人が少なくなかったり、真っすぐ下方に腕を降ろしたと思っても前後に角度をつけて腕をおろす人が少なくなかったりすることに起因する。そこで、本発明者らは、異なる体型の側面画像を促すガイド情報を出力し、それらにより促された画像を取得することで寸法データセットの精度を向上することを可能にした。
【0055】
その他、製品製造システム1001により、心臓などの各種臓器の形状の測定から、臓器の模型を製造することができる。また、例えば、人のウエスト形状の測定から各種ヘルスケア製品等を製造することができる。また、例えば、人の形状から当該人のフィギュア製品を製造することができる。
【0056】
なお、上記説明においては、寸法データ算出装置2520と製品製造装置2530とが別部材の装置として説明しているが、これらは一体として構成されるものでもよい。
【0057】
本開示は、上記各実施形態そのままに限定されるものではない。本開示は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。また、本開示は、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の開示を形成できるものである。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素は削除してもよいものである。さらに、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよいものである。
【符号の説明】
【0058】
2501 製品製造システム
2505 ユーザ
2506 製品
2507 対象物
2510 端末装置
2511 取得部
2512 通信部
2513 処理部
2514 入出力部
2520 寸法データ算出装置
2521 記憶部
2522 入出力部
2523 通信部
2524 処理部
2524A 取得部
2524B 抽出部
2524C 変換部
2524D 算出部
2524D1 第1算出部
2524D2 第2算出部
2524D3 決定部
2530 製品製造装置
GI ガイド情報
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】特開2011-227692号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10