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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038676
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】光導波路素子及び光源モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/125 20060101AFI20230310BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
G02B6/125 301
G02B6/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145530
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】300081763
【氏名又は名称】セーレンKST株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100217869
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 邦久
(72)【発明者】
【氏名】岩端 一樹
(72)【発明者】
【氏名】姫野 明
(72)【発明者】
【氏名】堀井 浩一
(72)【発明者】
【氏名】川崎 修
(72)【発明者】
【氏名】矢部 勇多
(72)【発明者】
【氏名】亀井 洋次郎
(72)【発明者】
【氏名】勝山 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】山田 祥治
(72)【発明者】
【氏名】中尾 慧
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AA17
2H137AB11
2H137BA36
2H137BA37
2H137BB02
2H147AA04
2H147AB04
2H147BB02
2H147BB03
2H147BD01
2H147CB03
2H147GA25
(57)【要約】
【課題】画像表示に使用可能な領域が大きく、それぞれの光のスポットのずれを容易に補正することができることからコスト低減可能であると共に、スペックルノイズを低減した画像を表示することが可能な光導波路素子を提供する。また、光源及び前記光導波路素子を含む光源モジュールを提供する。
【解決手段】波長の異なる複数の光が、それぞれの波長ごとの導波路から入力され、それぞれの光が前記導波路を伝搬後に出力される光導波路素子であって、各導波路の入力口が、他の波長の光を入力しないように離隔されていると共に、少なくとも1つの導波路が曲線形状を有し、各導波路の出力口が近接していることにより、コストを低減可能とすると共に、スペックルノイズを低減した画像を表示することを可能とする光導波路素子を得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長の異なる複数の光が、それぞれの波長ごとの導波路から入力され、それぞれの光が前記導波路を伝搬後に出力される光導波路素子であって、各導波路の入力口が、他の波長の光を入力しないように離隔されていると共に、少なくとも1つの導波路が曲線形状を有し、各導波路の出力口が近接していること、を特徴とする光導波路素子。
【請求項2】
前記複数の光が、それぞれの導波路をマルチモードで伝搬する、請求項1に記載された光導波路素子。
【請求項3】
前記それぞれの導波路の幅及び高さが、それぞれ5~50μmである、請求項1または2に記載された光導波路素子。
【請求項4】
前記各導波路の入力口の間の距離が、少なくとも20μm以上である、請求項1~3のいずれかに記載された光導波路素子。
【請求項5】
前記各導波路の出力口の間の距離が、5~10μmである、請求項1~4のいずれかに記載された光導波路素子。
【請求項6】
前記各導波路の入力口及び出力口が、光伝搬方向の同一軸上に存在しない、請求項1~5のいずれかに記載された光導波路素子。
【請求項7】
前記波長の異なる複数の光が、少なくとも赤色光、緑色光及び青色光を含む、請求項1~6のいずれかに記載された光導波路素子。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載された光導波路素子の光入力端面側に複数の光源が配置されており、前記複数の光源から出射されたそれぞれの光が、前記光入力端面側からそれぞれ導波されて、前記光導波路素子の光出力端面側から出力される、光源モジュール。
【請求項9】
前記光源がレーザーダイオードである、請求項8に記載された光源モジュール。
【請求項10】
前記複数の光源が、少なくとも青色光、緑色光、及び赤色光を出射する光源である、請求項9に記載した光源モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長の異なる複数の光が、それぞれの波長ごとの導波路から入力され、それぞれの光が前記導波路を伝搬後に出力される光導波路素子であって、各導波路の入力口が、他の波長の光を入力しないように離隔されていると共に、少なくとも1つの導波路が曲線形状を有し、各導波路の出力口が近接していること、を特徴とする光導波路素子及び前記光導波路素子を用いた光源モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、眼鏡型端末や携帯型プロジェクタ等の小型の画像投影装置の光源回路として、複数のレーザーダイオードを光源として用い、導波路を経由して前記光源からの光を合波して出力する光導波路素子が知られている(特許文献1、2を参照)。前記光導波路素子は、シリコン基板上に公知の化学気相成長法(CVD)やスパッタリング法等を用いて低屈折率及び高屈折率の酸化シリコン膜を積層形成した後、フォトマスクを用いたフォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、高屈折率の酸化シリコン膜からなる導波路を形成した後、さらに低屈折率酸化シリコン膜を積層形成するという製造工程を経て製造される。
【0003】
しかし、前記光導波路素子は、複数の光を単に合波して出力しているため、出力光の投影範囲内における、それぞれの光の強度分布が一致しないことや、それぞれの光強度のキャリブレーションが容易ではないこと等により、高品質の出力光を得ることが困難である。
【0004】
また、MEMS (Micro-Electro-Mechanical Systems)として知られている電磁駆動式のミラーを用いることにより、光源の要素成分、例えば、「赤」、「緑」、「青」の成分を、その出力時間を変更してタイムシフトすることにより、光強度を制御し、効率的に画像を投影する光導波路素子が知られている(特許文献3を参照)。
【0005】
しかし、前記光導波路素子は、それぞれの出射光の間隔が広いことから、MEMSで反射された後の画像表示に使用可能な合成光の領域が小さいことや、それぞれの光のスポットのずれを大きく補正する必要があり、制御が複雑となることからコストを低減することに限界がある。また、出射されるビームはシングルモードが維持されるため、スクリーン上に表示される画像にはスペックルノイズが生じ、画質が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-189385号公報
【特許文献2】国際公開2019/082347号
【特許文献3】米国特許9686519号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、画像表示等に使用可能な高品質の出力光の領域が大きく、それぞれの光のスポットのずれを容易に補正することができることからコスト低減可能であると共に、スペックルノイズを低減した画像を表示することが可能な光導波路素子を提供することである。また、光源及び前記光導波路素子を含む光源モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、波長の異なる複数の光が、それぞれの波長ごとの導波路から入力され、それぞれの光が前記導波路を伝搬後に出力される光導波路素子であって、各導波路の入力口が、他の波長の光を入力しないように離隔されていると共に、少なくとも1つの導波路が曲線形状を有し、各導波路の出力口が近接していること、を特徴とする光導波路素子を提供する。
【0009】
前記複数の光が、それぞれの導波路をマルチモードで伝搬することが好ましい。
【0010】
前記それぞれの導波路の幅及び高さが、それぞれ5~50μmであることが好ましい。
【0011】
前記各導波路の入力口の間の距離が、少なくとも20μm以上であることが好ましい。
【0012】
前記各導波路の出力口の間の距離が、5~10μmであることが好ましい。
【0013】
前記各導波路の入力口及び出力口が、光伝搬方向の同一軸上に存在しないことが好ましい。
【0014】
前記波長の異なる複数の光が、少なくとも赤色光、緑色光及び青色光を含むことが好ましい。
【0015】
前記光導波路素子の光入力端面側に複数の光源が配置されており、前記複数の光源から出射されたそれぞれの光が、前記光入力端面側からそれぞれ導波されて、前記光導波路素子の光出力端面側から出力される、光源モジュールであることが好ましい。
【0016】
前記光源がレーザーダイオードであることが好ましい。
【0017】
前記複数の光源が、少なくとも青色光、緑色光、及び赤色光を出射する光源であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、眼鏡型端末や携帯型プロジェクタ等の画像投影装置用途、及び車載用のインテリア、エクステリアのイルミネーションや液晶ディスプレイのバックライト等の照明用途に使用することが可能な小型の光導波路素子を提供することができる。本発明の小型の光導波路素子は、必要に応じて上記以外のさまざまな用途にも用いることができるが、前記画像投影装置用途及び照明用途に用いることが好ましく、前記画像投影装置用途に用いることがさらに好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明における実施例1の光導波路素子を含む光源モジュールの上面図である。
図2】本発明における実施例1の光導波路素子における入力口の端面図である。
図3】本発明における実施例1の光導波路素子における出力口の端面図である。
図4】シングルモード光及びマルチモード光の出力におけるスペックルノイズの比較である。
図5】シングルモード光及びマルチモード光の出力における解像度の比較である。
図6】本発明における実施例2の光導波路素子を含む光源モジュールの上面図である。
図7】本発明における実施例3の光導波路素子を含む光源モジュールの上面図である。
図8】本発明における実施例4の光導波路素子を含む光源モジュールの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
【0021】
図1は、実施例1の光導波路素子1を含む光源モジュールの上面図を示す。光導波路素子1の左側において、光源であるレーザーダイオード2b、2g及び2rからそれぞれ青色光、緑色光及び赤色光が出射され、光導波路素子1における入力口端面3における青色光入力口3b、緑色光入力口3g及び赤色光入力口3rからそれぞれの光が光導波路素子1に入力される。その後、それぞれ曲線形状を有する青色光導波路4b、緑色光導波路4g及び赤色光導波路4rを通じて、光導波路素子1における出力口端面5における青色光出力口5b、緑色光出力口5g及び赤色光出力口5rからそれぞれの光が出力される。ここで、各光導波路の幅及び高さについては同一であっても異なっていてもよいが、水平方向及び垂直方向における光の伝搬状況が同等になることから、同一であることが好ましい。
【0022】
前記青色光は430~495nm、緑色光は495~570nm及び赤色光は620~750nmの波長を有している。本発明の光導波路素子に用いられる波長の異なる複数の光は、少なくとも前記青色光、緑色光及び赤色光を含むことが好ましいが、他の波長の異なる光を含んでもよく、前記他の波長の異なる光として、黄色光、橙色光、藍色光、紫色光等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。また、青色光、緑色光及び赤色光の位置関係等も図1の例示に制限されるものではない。
【0023】
前記青色光導波路4b、緑色光導波路4g及び赤色光導波路4rは、すべての導波路が曲線形状を有している。また、前記曲線形状を有していることにより、各導波路の前記青色光入力口3b、緑色光入力口3g及び赤色光入力口3r、並びに前記青色光出力口5b、緑色光出力口5g及び赤色光出力口5rが、それぞれ光伝搬方向の同一軸上に存在しないことが好ましい。前記出力口が、前記入力口と光伝搬方向の同一軸上に存在せず、ずれが生じていることにより、導波路の曲線部分で光伝搬方向の直線方向に漏れ出た迷光等の影響を低減することが可能となる。
【0024】
導波路中の伝搬光の損失を低減するために、前記曲線部分の曲率半径rは3000μm以上であることが好ましい。曲率半径rが3000μm未満である場合、導波路の曲線部分で光伝搬方向の直線方向に漏れ出る迷光を抑制することが困難となる可能性がある。
【0025】
前記青色光導波路4b、緑色光導波路4g及び赤色光導波路4rは、それぞれの光をシングルモード及びマルチモードのどちらでも伝搬させることができるが、マルチモードで伝搬させることが好ましい。その理由、根拠は後述する。
【0026】
前記青色光導波路4b、緑色光導波路4g及び赤色光導波路4rの幅及び高さは、それぞれ5~50μmであることが好ましく、5μm未満の場合、レーザーダイオードから出射された光を導波路へ入力する結合効率が低下する可能性がある。50μmを超える場合、得られる画像の光学特性が劣る可能性がある。
【0027】
レーザーダイオード2b、2g及び2rは、入力口端面3との距離を10μm以上離して実装することが好ましい。10μm未満の場合、端面3におけるレーザーダイオードのパワー密度が大きくなり、入力口端面3及び光導波路素子に損傷を与える可能性がある。前記距離の上限値は特に限定されないが、距離が大きくなるほど本発明の光導波路素子との結合効率が減少することから、必要に応じて前記距離は設定される。前記距離は、各光源について同一であっても異なっていてもよい。
【0028】
図2は、実施例1の光導波路素子における入力口端面3を示しており、前記青色光入力口3b、緑色光入力口3g及び赤色光入力口3rは、それぞれの入力口が、他の波長の光を入力しないように離隔されている。入力口の間の距離d31、d32は、それぞれ少なくとも20μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。20μm以上とすることにより、さらに光源同士も離隔することができ、放熱が容易となるため、光源の信頼性を確保することが可能となる。20μm未満の場合、隣接する他の波長の光が入力される可能性があり、また前記光源の信頼性を確保できない可能性がある。前記距離の上限値は特に限定されないが、大きくなるほど本発明の光導波路素子のサイズが大きくなることから、必要に応じて前記距離は設定される。前記距離d31、d32は同一であっても異なっていてもよい。
【0029】
また、図1のレーザーダイオード2b、2g及び2rは、入力口端面3に対して垂直方向からそれぞれの光を出射しているが、出射方向の角度を変更し、入力口端面3に対して斜め方向から光を出射してもよい。出射方向の角度を変更することにより迷光を低減することができる場合がある。さらに、前記出射方向の角度に応じて、それぞれ青色光入力口3b、緑色光入力口3g及び赤色光入力口3rに接続する青色光導波路4b、緑色光導波路4g及び赤色光導波路4rを、入力口端面3に対して斜め方向に形成してもよい。
【0030】
図3は、実施例1の光導波路素子における出力口端面5を示しており、前記青色光出力口5b、緑色光出力口5g及び赤色光出力口5rは、それぞれの出力口が、前記複数の光が画像を表示できるように近接している。出力口の間の距離d51、d52は、5~10μmであることが好ましい。5μm未満の場合、隣接する導波路間で光結合が発生し、導波路から他の導波路へ光が移動する可能性がある。10μmを超える場合、画像表示等に使用可能な出力光の領域が小さくなる可能性がある。前記距離d51、d52は同一であっても異なっていてもよい。
【0031】
図4は、シングルモード光及びマルチモード光の出力におけるスペックルノイズの比較であり、図4(a)はスペックルノイズ比較グラフ、図4(b)~(c)は、それぞれシングルモード、及びマルチモードファイバーを用いて得られたシングルモード光及びマルチモード光におけるスペックルノイズ画像を示す。スペックルノイズは多光束干渉縞ともいわれ、レーザーダイオードから出射されるコヒーレント光に特有の現象である。スペックルノイズは少ない方が好ましいことからシングルモード光よりマルチモード光の方が好ましい。
【0032】
図5は、シングルモード光及びマルチモード光の出力における解像度の比較であり、図5(a)は解像度比較グラフ、図5(b)~(c)は、それぞれシングルモード、及びマルチモードファイバーを用いて得られたシングルモード光及びマルチモード光におけるターゲット画像を示す。三角印で示すように(b)は垂直方向の解像度が4.0及び水平方向の解像度が4.5であり、(c)は垂直方向及び水平方向の解像度が共に3.0である。解像度の数値は大きい方が好ましいことからマルチモード光よりシングルモード光の方が好ましい。
【0033】
スペックルノイズ低減の観点からはマルチモード光が好ましく、解像度数値の観点からはシングルモード光が好ましいという結果が得られた。ここで、スペックルノイズ低減と解像度数値の優先順位について、解像度数値は一般的に画像サイズが大きくなるほど重要性が増加するのに対し、本発明の光導波路素子は、小型の画像投影装置等に用いるものであり、解像度数値の重要性は低いことから、スペックルノイズ低減を優先することが適切であるため、シングルモード光よりマルチモード光の方が好ましい。
【0034】
本発明におけるマルチモード光は、光が導波路内を伝搬する際に複数の経路を経て伝搬する光をいう。導波路の幅及び高さが、それぞれ2μmの場合はほぼシングルモード光であるのに対し、導波路の幅及び高さが大きくなる(導波路の断面積が大きくなる)ことに連動してシングルモード光からマルチモード光へ移行する。シングルモード光からマルチモード光へ移行する際の導波路断面積の大きさについては、光の波長によって異なり一律ではないが、導波路の幅及び高さが、それぞれ5μm以上の場合には、可視光領域における波長の光がマルチモード光となる。マルチモード光が伝搬する導波路においては、光が伝搬する導波路の幅及び高さが大きくなることから、光源から出射された光を導波路へ入力する際の結合効率が向上する。
【0035】
図6(a)は、実施例2の光導波路素子1’を含む光源モジュールの上面図を示しており、図1の実施例1とは、入力口端面3における青色光入力口3b’、緑色光入力口3g’、及び赤色光入力口3r’が水平面におけるテーパー形状である点で異なる。図6(b)は、前記青色光入力口3b’の形状を拡大した図であり、幅W及び長さLのテーパー形状を有する。例えば、前記幅Wは直線導波路幅5μmに対し8μmであり、前記長さLは1000μmである。テーパー形状を有することにより、テーパー形状を持たない直線導波路で結合できたマルチモード光が結合できなくなり、伝搬する光のモード分布が低次モード側にシフトする。そのため、結果として結合効率は減少するものの、表示画像はテーパー形状を持たない直線導波路を用いた場合よりも解像度を改善することが可能となる。
【0036】
前記テーパー形状は必要に応じて変更することが可能であり、前記青色光入力口3b’、緑色光入力口3g’、及び赤色光入力口3r’のテーパー形状は同一であっても異なっていてもよい。前記幅Wは導波路幅より大きいことを前提として、6~100μmであることが好ましい。6μm未満である場合、導波路の幅とほぼ同じとなり、テーパー形状とする作用、効果を得ることができない可能性がある。100μmを超える場合、光導波路素子のサイズが必要以上に大きくなる可能性がある。また、前記長さLは50~5000μmが好ましい。50μm未満である場合、テーパー角が大きくなり、導波路から漏れ出る迷光が増加する可能性がある。また、5000μmを超える場合、光導波路素子のサイズが必要以上に大きくなる可能性がある。また、すべての入力口がテーパー形状でなくてもよい。
【0037】
図7(a)は、実施例3の光導波路素子1’’を含む光源モジュールの上面図を示しており、図1の実施例1とは、入力口端面3における青色光入力口3b’’、緑色光入力口3g’’、及び赤色光入力口3r’’が水平面における逆テーパー形状である点で異なる。図7(b)は、前記青色光入力口3b’’の形状を拡大した図であり、幅W’及び長さL’の逆テーパー形状を有する。例えば、前記幅W’は直線導波路幅5μmに対しシングルモード光を伝搬する1.5μmであり、前記長さL’は1000μmである。前記逆テーパー形状を有することにより、マルチモード光が伝搬する導波路であってもシングルモード光に似た光が伝搬するため、表示画像はテーパー形状を持たない直線導波路を用いた場合よりも解像度を改善することが可能となる。ただし、前記逆テーパー形状を有する光導波路素子においては、スペックルノイズの低減効果は薄れ、また結合効率も減少する。
【0038】
前記逆テーパー形状は必要に応じて変更することが可能であり、前記青色光入力口3b’’、緑色光入力口3g’’、及び赤色光入力口3r’’の逆テーパー形状は同一であっても異なっていてもよい。前記幅W’は導波路幅より小さいことを前提として、2μm未満であることが好ましい。2μm以上である場合、波長によってはマルチモード光が励起されるため、逆テーパー形状とする作用、効果を得ることができない可能性がある。また、前記長さL’は500μm以上が好ましい。500μm未満である場合、テーパー角が大きくなり、マルチモード光が励起されシングルモードに似た光の伝搬が得られない可能性がある。前記長さL’の上限値は特に限定されないが、大きくなるほど本発明の光導波路素子のサイズが大きくなることから、必要に応じて前記長さL’は設定される。また、すべての入力口が逆テーパー形状でなくてもよい。
【0039】
図8は、実施例4の光導波路素子1’’’を含む光源モジュールの上面図を示す。図1の実施例1とは、導波路形状において、緑色光導波路4g’が直線であり、前記緑色光導波路4g’に対して青色光導波路4b’及び赤色光導波路4r’が、左右対称の曲線形状を有する点で異なると共に、出力口端面5における青色光出力口5b’、緑色光出力口5g’及び赤色光出力口5r’の位置が異なる。
【0040】
本発明の光導波路素子及び光源モジュールを画像投影装置等の製品に用いる場合、各種レンズやMEMS等の公知技術は特に制限されることなく採用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8