(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038683
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】小物ケース
(51)【国際特許分類】
A45C 11/34 20060101AFI20230310BHJP
【FI】
A45C11/34 101C
A45C11/34 G
A45C11/34 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145542
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】501330569
【氏名又は名称】株式会社サンローズ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松岡 悠而
(72)【発明者】
【氏名】間嶋 文広
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045BA18
3B045CE07
3B045CE09
3B045CE10
3B045DA42
3B045DA44
3B045EA02
3B045EA06
3B045EB06
3B045FC08
3B045JA01
3B045JA03
3B045JB01
3B045JC05
(57)【要約】
【課題】筆記具等を収納し持ち運び可能な小物ケースにおいて、使い勝手の向上を図る。
【解決手段】複数の細長棒状の小物類Pを収納し携帯するための小物ケースであって、一端に開口部7を有する略筒状のケース本体2と、開口部7を被蓋する蓋体3と、ケース本体2内に収納され、且つ表側面に小物類Pを複数保持可能なホルダ22を有する略板状のトレー4とを備え、トレー4は、可撓性を有する連結紐18を介してケース本体2の内側面に連結され、ケース本体2に対して出入可能に構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の細長棒状の小物類を収納し携帯するための小物ケースであって、
一端に開口部を有する略筒状のケース本体と、
前記開口部を被蓋する蓋体と、
前記ケース本体内に収納され、且つ表側面に前記小物類を複数保持可能なホルダを有する略板状のトレーと、を備え、
前記トレーは、可撓性を有する連結紐を介して前記ケース本体の内側面に連結され、前記ケース本体に対して出入可能に構成された、小物ケース。
【請求項2】
前記トレーは、前記ケース本体内にて複数重なって並設され、
前記トレー相互の重なり方向を前後方向として、
後列側のトレーに連結される前記連結紐は、前列側のトレーに連結される前記連結紐よりも長尺に形成された、請求項1に記載の小物ケース。
【請求項3】
前記ケース本体は、周壁の一面を構成する略板状の背板部を有し、
前記背板部は、前記ケース本体の周壁の他の面を構成する胴部よりも曲げ剛性が高く、且つ側縁部が前記胴部の外側面部よりも外側まで延出形成された、請求項1または2に記載の小物ケース。
【請求項4】
前記トレーの裏側面に対面する前記ケース本体の内側対面部は、前記ケース本体の外側面部よりも前記トレーに対する摩擦抵抗が小さい素材によって形成された、請求項1~3のいずれか1項に記載の小物ケース。
【請求項5】
前記トレーは、前記表側面における前記開口部側の端縁部に沿って、他方の端縁部に向かって延長する片持ち状の返し片が設けられた、請求項1~4のいずれか1項に記載の小物ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具等の小物類を収納し携帯するための小物ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
筆記具や化粧用具、工具などの小物類を収納し携帯するための小物ケースにおいて、袋状のケース本体の開口部にスライドファスナーが設けられており、上記スライドファスナーを開いて、ケース本体内に収納された小物類を取り出すように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1~3)。
【0003】
特許文献1の小物ケース(棒状小物類収納ケース)は、対向する壁体の縁部間に開口部を有するケース本体と、上記開口部を開閉する線ファスナーとを備えており、線ファスナーを開き、壁体の上半領域を下半領域の外面側に折り返すことによって、壁体内側の収納空間に収納されたペン等が外部に露出されるように構成されている。
【0004】
特許文献2の小物ケース(棒状小物類の収納ケース)は、上端部に開口を有する略矩形筒状のケース本体と、上記開口の周縁部に設けられる一対の開閉蓋と、開閉蓋の外縁部に設けられるファスナー部材とを備えており、ファスナー部材の開閉操作片を開方向へスライド移動させ、開閉蓋をケース本体の外周面に重なる位置まで折り返すことによって、ケース本体内に収納された棒状小物類の上部が開口から露出するように構成されている。
【0005】
特許文献3の小物ケース(小物入れ)は、一対の略三角柱状の収納部を有する本体と、上記収納部の開口端の縁部に沿って設けられるファスナーとを備えており、ファスナーを開き、本体を収納部の後面が底面と略平行になるまで展開させることによって、収納部内に収納された化粧用具や文房具などの小物が外部に露出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-140067号公報
【特許文献2】特開2001-17225号公報
【特許文献3】実用新案登録第3223778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の小物ケースは、ケース本体に比較的大きな収納部を有しているため、多数の小物類を一まとめに収納して持ち運ぶのに適している。しかしながらその反面、収納部内で小物類が自由に移動するため、それらの中から必要なものを見つけて取り出すのに手間がかかった。
【0008】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、筆記具等の小物類を収納し持ち運び可能な小物ケースにおいて、使い勝手の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の小物ケースは、以下の技術的手段を講じている。
【0010】
本発明は、複数の細長棒状の小物類を収納し携帯するための小物ケースであって、一端に開口部を有する略筒状のケース本体と、前記開口部を被蓋する蓋体と、前記ケース本体内に収納され、且つ表側面に前記小物類を複数保持可能なホルダを有する略板状のトレー
と、を備え、前記トレーは、可撓性を有する連結紐を介して前記ケース本体の内側面に連結され、前記ケース本体に対して出入可能に構成されたことを特徴としている。
【0011】
好ましくは、前記トレーは、前記ケース本体内にて複数重なって並設され、
前記トレー相互の重なり方向を前後方向として、後列側のトレーに連結される前記連結紐は、前列側のトレーに連結される前記連結紐よりも長尺に形成される。
【0012】
好ましくは、前記ケース本体は、周壁の一面を構成する略板状の背板部を有し、前記背板部は、前記ケース本体の周壁の他の面を構成する胴部よりも曲げ剛性が高く、且つ側縁部が前記胴部の外側面部よりも外側まで延出形成される。
【0013】
好ましくは、前記トレーの裏側面に対面する前記ケース本体の内側対面部は、前記ケース本体の外側面部よりも前記トレーに対する摩擦抵抗が小さい素材によって形成される。
【0014】
前記トレーは、前記表側面における前記開口部側の端縁部に沿って、他方の端縁部に向かって延長する片持ち状の返し片が設けられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の小物ケースによれば、蓋体を開き、トレーをケース本体の開口部から外側へ引き出すことで、複数の小物類がトレーに保持された状態でケース本体の外部に露出されるから、必要な小物類を迅速且つ容易に見つけて取り出すことができる。これにより、使い勝手の良好な小物ケースを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】実施形態の小物ケースの縦断面概略構成図である。
【
図5】実施形態の小物ケースの蓋体を開いた状態の斜視図である。
【
図6】実施形態の小物ケースのトレーを引き出した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る小物ケースを、図面に基づき説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
【0018】
図1~
図6に示すように、本実施形態の小物ケース1は、ボールペンや万年筆、消しゴム、修正テープなどの小物文房具を収納し携帯するためのケースであって、ケース本体2と、蓋体3と、トレー4とを備えている。
【0019】
ケース本体2は、上端が開口する略矩形筒状の袋体であり、ケース本体2の前部を構成する胴部5と、ケース本体2の後部を構成する背板部6とを備えている。ケース本体2の開口部(以下、「ケース口部」という)7は、略長方形状に形成されている。なお、本実施形態の説明においては、
図1~
図6に矢視したように、ケース本体2の長さ方向を上下方向、ケース本体2の幅方向(ケース口部7の長手方向)を左右方向、ケース本体2の厚さ方向(ケース口部7の短手方向)を前後方向とする。
【0020】
胴部5は、上方視略コ字状に折曲形成された布体であり、前面部5Fと、左側面部5Lと、右側面部5Rと、下面部5Bとを有している。背板部6は、これら前面部5F、左側
面部5L、右側面部5R、および下面部5Bによって囲まれた空間S1を後方から被蓋するように、胴部5の後縁部に沿って接合されている。小物ケース1は、この胴部5および背板部6によって画成された空間S1にボールペンや万年筆、サインペン、蛍光ペンなどの筆記具Pを複数収能して使用される。即ち、上記空間S1が、複数の細長棒状の小物類を収納可能な収納部となる。
【0021】
上記空間(以下、「第1収納部」という)S1は、複数の筆記具Pをトレー4に保持させた状態で収納可能な大きさに形成されている。一方、ケース口部7は、上記第1収納部S1に対して複数の筆記具Pをトレー4と共に円滑に出し入れ可能な大きさに形成されている。
【0022】
本実施形態では、胴部5は、綿の平織布により形成されている。一方、背板部6は、表地(後面側の生地)が胴部5と同様、綿の平織布により形成され、裏地(前面側(第1収納部S1の内側後面)の生地)は、ナイロン系またはポリエステル系合成繊維の平織布により形成されている。
【0023】
胴部5の前面部(以下、「胴部前面」という)5Fには、外ポケット8と、蓋留めバンド9とが設けられている。外ポケット8は、所謂パッチポケットであり、胴部前面5Fの下側略2/3を覆う範囲に設けられ、ケース口部7と同じ向き(上方)に開口している。詳述すると、外ポケット8は、胴部前面5Fの下側略2/3の範囲を覆う大きさの略矩形状のポケット表布10を、胴部前面5Fに対して左右の側辺および下辺の3辺で接合させることによって形成されている。
【0024】
外ポケット8の内側の空間(以下、「第2収納部」という)S2は、消しゴムや修正テープ、付箋、クリップなど筆記具P以外の小物文房具を複数収納可能な大きさに形成されている。即ち、第2収納部S2には、第1収納部S1に収納しない他の小物類を収納することができる。
【0025】
ポケット表布10は、3つの生地10A,10B,10Cを前後に重ね合わせて形成された3重構造の布体であり、その内部には、前後に分離独立する2層の間隙S3,S4が画成されている(
図4参照)。詳述すると、ポケット表布10は、後面生地10A、中間生地10B、および前面生地10Cの3つの生地で構成されている。また、後面生地10Aおよび中間生地10B相互は、左側辺、上辺および下辺の3辺で接合され、中間生地10Bおよび前面生地10C相互は、右側辺、上辺および下辺の3辺で接合されている。これにより、ポケット表布10の内部に、前後2層の間隙S3,S4が画成されている。
【0026】
後面生地10Aおよび中間生地10B相互の間隙(以下、「第3収納部」という)S3は、ポケット表布10の右側縁部10Rに開口し、中間生地10Bおよび前面生地10C相互の間隙(以下、「第4収納部」という)S4は、ポケット表布10の左側縁部10Lに開口している。また、これら第3収納部S3の開口部13および第4収納部S4の開口部14にはそれぞれ、スライドファスナー15が設けられている。
【0027】
第3収納部S3および第4収納部S4は何れも、第2収納部S2と同様、消しゴムや修正テープ、付箋、クリップなど筆記具P以外の小物文房具を複数収納可能な大きさに形成されており、スライドファスナー15を開くことで、第1収納部S1に収納しない他の小物類を収納することができる。
【0028】
本実施形態では、ポケット表布10の後面生地10Aおよび中間生地10Bは、背板部6の裏地と同様、ナイロン系またはポリエステル系合成繊維の平織布により形成されている。一方、ポケット表布10の前面生地10Cは、胴部5と同様、綿の平織布により形成
されている。
【0029】
蓋留めバンド9は、長さ方向(左右方向)に伸縮性を有する帯体であり、胴部前面5Fの上縁寄りの位置にて左右方向に延設されている。また、蓋留めバンド9は、左右の端部で胴部前面5Fに接合されており、胴部前面5Fとの間に、蓋体3を挿通保持可能な左右幅の間隙(図示せず)を画成している。
【0030】
背板部6は、左右幅が胴部5の左右幅より大きい略平板状の布体であり、その左側縁部6Lは、胴部5の左側面部5Lよりも外側へ延出され、右側縁部6Rは、胴部5の右側面部5Rよりも外側へ延出されている。また、背板部6には、芯材16が内装されている。
【0031】
芯材16は、胴部5を構成する布体よりも曲げ剛性の高い1枚の略矩形状の板体であり、背板部6の略全面に亘って設けられている。本実施形態では、芯材16は、背板部6を平板状に保持可能な曲げ剛性を有する合成樹脂板、金属板、厚紙などにより形成される。なお、背板部6が胴部5の変形を阻止可能な程度の曲げ剛性を有していれば、芯材16は、必ずしも背板部6に内装されていなくてもよい。
【0032】
蓋体3は、略矩形状の板片であり、背板部6の上端部に一体形成されている。また、蓋体3は、可撓性を有しており、ケース本体2の後方から前方に向かって湾曲させ、蓋体3の先端部(以下、「蓋体先端」という)3Eを蓋留めバンド9と胴部前面5Fとの間隙に上方から差し込ませることで、ケース口部7を被蓋する。
【0033】
蓋体先端3Eには、芯材17が内装されている。芯材17は、蓋体3を構成する布体よりも曲げ剛性の高い1枚の略矩形状の板体であり、蓋体先端3Eの左右側縁相互間に亘って設けられている。これにより、使用者は、蓋体3を蓋留めバンド9と胴部上面8との間隙に円滑に差し込んで保持させることができる。なお、蓋体先端3Eが蓋留めバンド9と胴部上面8との間隙に円滑に差し込み可能な程度の曲げ剛性を有していれば、芯材17は、必ずしも蓋体先端3Eに内装されていなくてもよい。
【0034】
本実施形態では、蓋体3は、表地(外側の生地)が背板部6の表地と同一の生地により形成され、裏地(内側の生地)が背板部6の裏地と同一の生地により形成されている。また、芯材17は、背板部6の芯材16と同様、蓋体先端3Eを平板状に保持可能な曲げ剛性を有する合成樹脂板、金属板、厚紙などにより形成される。
【0035】
トレー4は、第1収納部S1にて前後に重なり合うように複数(ここでは、2つ)並設されている。また、トレー4はそれぞれ、連結紐18を介して第1収納部S1の内側に連結されている。
【0036】
トレー4のうち、最後列のトレー(以下、「後列トレー」という)4Aは、背板部6に第1収納部S1の内側から対向して配置されている。一方、最前列のトレー(以下、「前列トレー」という)4Bは、胴部前面5Fに第1収納部S1の内側から対向して配置されている。
【0037】
トレー4は、トレー本体20と、差込ポケット21と、保持バンド22と、返し片23と、パッド部24とを備えている。トレー本体20は、上下に長い略長方形状に形成されており、その上下長さは、第1収納部S1に収納された状態において、上縁部(以下、「トレー上縁部」という)20Eがケース口部7から上方へ突出する大きさに形成されている。これにより、トレー4をケース本体2から引き出す際に、使用者がトレー4を手で把持し易い。
【0038】
一方、トレー本体20の左右幅は、第1収納部S1の左右内寸より小さく、且つ複数の筆記具Pを縦向きに左右横並びで配置可能な大きさに形成されている。従って、トレー本体20は、第1収納部S1の左右内側面に接触し難い。
【0039】
トレー本体20には、略全面に亘って、トレー本体20を構成する布体よりも曲げ剛性の高い略矩形平板状の芯材(図示せず)が内装されている。従って、トレー本体20は、第1収納部S1に対して出し入れされる際に、折れ曲がったり大きく撓んだりし難い。また、トレー4にて複数の筆記具Pを安定した姿勢で保持することもできる。なお、トレー本体20が第1収納部S1に対して円滑に出し入れ可能な程度の曲げ剛性を有していれば、上記芯材は、必ずしもトレー本体20に内装されていなくてもよい。
【0040】
本実施形態では、上記芯材は、背板部6の芯材16と同様、トレー本体20を平板状に保持可能な曲げ剛性を有する合成樹脂板、金属板、厚紙などにより形成される。また、トレー本体20は、前後両面共に、背板部6の裏地(第1収納部S1の内側の生地)と同様、ナイロン系またはポリエステル系合成繊維の平織布により形成されている。即ち、背板部6の前面(第1収納部S1の内側後面)6Fは、背板部6の後面6Bよりも後列トレー4Aに対する摩擦抵抗の小さい生地により形成されている。これにより、トレー本体20は、第1収納部S1に対して円滑に出し入れすることができる。
【0041】
連結紐18は、可撓性を有し、且つ長さ方向(上下方向)への伸縮性を有しない細長帯状の紐体であり、一端がトレー本体20の下縁部(以下、「トレー下縁部」という)20Bに連結され、他端が第1収納部S1の内側下部に連結されている(
図4参照)。
【0042】
詳述すると、連結紐18は、トレー4の重さによって撓んだり伸びたりする程度の可撓性を有しており、トレー4が第1収納部S1内に収納されることで、U字状やS字状に撓む。一方、トレー4が第1収納部S1の外側(ケース本体2の上方)へ引き出されると、それに合わせて上下方向に伸びる。換言すると、トレー4は、連結紐18が伸びた分だけケース口部7の外側へ引き出し可能に構成されている。
【0043】
連結紐18のうち、後列トレー4Aに連設される連結紐(以下、「後列側連結紐」という)18Aは、その上下長さが、前列トレー4Bに連設される連結紐(以下、「前列側連結紐」という)18Bよりも長く形成されている。従って、後列側連結紐18Aおよび前列側連結紐18Bがそれぞれ延長された状態のとき、後列トレー4Aは、前列トレー4Bのトレー上縁部20Eよりもさらにケース口部7の外側(上方)へ引き出された位置に配される(
図6参照)。
【0044】
差込ポケット21は、トレー下縁部20Bに沿って設けられており、トレー上縁部20E側(上方)に開口している。詳述すると、差込ポケット21は、トレー本体20と略同一の左右幅を有する略矩形状の布体を、トレー本体20の前面に対して左右の側辺および下辺の3辺で接合させることによって、トレー本体20との間に、複数の筆記具Pの下端部を左右横並びで差し込んで保持可能な間隙(図示せず)を画成している。
【0045】
保持バンド22は、長さ方向(左右方向)に伸縮性を有する帯体であり、トレー本体20の前面における上下間の中央ややトレー上縁部20E寄りの位置にて左右方向に延設されている。また、保持バンド22は、左右の端部でトレー本体20に接合されており、トレー本体20の前面との間に、筆記具Pを上下に抜き差し可能な間隙を画成している。
【0046】
従って、筆記具Pは、保持バンド22とトレー本体20の前面との間隙に上方から差し込み、さらに端部を差込ポケット21とトレー本体20の前面との間隙に上方から挿入することによって、トレー4に対して抜け止め状態で保持される。なおこのとき、クリップ
を有する筆記具Pであれば、上記クリップを保持バンド22に挟持させることができる。これにより、筆記具Pは、トレー4にてより安定して保持される。
【0047】
返し片23は、トレー本体20と略同一の左右幅を有する略矩形状の布体であり、上辺をトレー上縁部20Eに沿って接合させることによって、トレー本体20の前面側におけるトレー上縁部20E寄りの位置に、下向きに延長する片持ち板状に形成されている。即ち、返し片23は、トレー上縁部20Eからトレー本体20に保持された筆記具P側に向かって延長形成されている。これにより、ケース本体2が傾いても、筆記具Pは、トレー4から抜け落ち難い。また、返し片23は、トレー4をケース本体2から手で引き出す際の持手部にもなる。
【0048】
パッド部24は、左右に長い前方視略矩形状の弾性体(図示せず)を内装する隆起であり、トレー本体20の前面における保持バンド22と返し片23との間に設けられている。パッド部24は、少なくとも保持バンド22の厚み分、トレー本体20の前面よりも前方に隆起形成されている。従って、保持バンド22とトレー本体20の前面との間隙に筆記具Pが差し込まれた際、パッド部24は、上記筆記具Pに対してその後方から押接される。即ち、筆記具Pをトレー本体20の前方(保持バンド22側)へ押圧する。これにより、筆記具Pは、トレー4にてより一層安定して保持される。またその際、筆記具Pは、上端部がトレー本体20の前面から僅かに浮いた状態で保持されるため、トレー4からの取り出しも容易である。
【0049】
本実施形態では、上記弾性体は、厚さ方向(前後方向)に所定の弾性を有する発泡ウレタン樹脂、ナイロン不織布、シリコン樹脂、ポリエステル綿などにより形成される。
【0050】
このように、本実施形態の小物ケース1は、複数の筆記具(細長棒状の小物類)Pを収納し携帯するための小物ケースであって、一端にケース口部(開口部)7を有する略筒状のケース本体2と、ケース口部7を被蓋する蓋体3と、ケース本体2内に収納され、且つ表側面に筆記具Pを複数保持可能なホルダ22を有する略板状のトレー4とを備え、トレー4は、可撓性を有する連結紐18を介してケース本体2の内側面に連結され、ケース本体2に対して出入可能に構成されている。
【0051】
また、トレー4は、ケース本体2内にて複数重なって並設され、トレー4相互の重なり方向を前後方向として、後列トレー(後列側のトレー)4Aに連結される後列側連結紐(連結紐)18Aは、前列トレー(前列側のトレー)4Bに連結される前列側連結紐(連結紐)18Bよりも長尺に形成されている。
【0052】
また、ケース本体2は、周壁の一面を構成する略板状の背板部6を有し、背板部6は、ケース本体2の周壁の他の面を構成する胴部5よりも曲げ剛性が高く、且つ左右の側縁部6L,6Rが胴部5の左右の側面部(外側面部)5L,5Rよりも外側まで延出形成されている。
【0053】
また、後列トレー4Aの後面(裏側面)に対面するケース本体2の背板部6の前面(内側対面部)6Fは、胴部5の左右の側面部(ケース本体2の外側面部)5L,5Rよりもトレー4に対する摩擦抵抗が小さい素材によって形成されている。
【0054】
また、トレー4は、トレー本体20の前面(表側面)におけるトレー上縁部(開口部側の端縁部)20Eに沿って、トレー下縁部(他方の端縁部)20Bに向かって延長する片持ち状の返し片23が設けられている。
【0055】
上記小物ケース1によれば、蓋体3を開き、トレー4をケース口部7からケース本体2
の外側へ引き出すことで、複数の筆記具(小物類)Pがトレー4に保持された状態でケース本体2の外部に露出されるから、必要な筆記具Pを迅速且つ容易に見つけて取り出すことができる。これにより、使い勝手の良好な小物ケースを提供できる。
【0056】
しかも、このものでは、トレー4をケース本体2から引き出すにあたり、蓋体3を開いた状態で、ケース口部7が下向きになるようにケース本体2を傾ければ、トレー4は、自重によってケース口部7側へスライド移動し、連結紐18が伸びた分だけケース口部7の外側へ引き出されるから、より迅速且つ容易に筆記具Pを取り出すことができる。よって、使い勝手が一層良好である。
【0057】
反対に、筆記具Pをケース本体2内に収納する場合は、上記のようにケース本体2から引き出されたトレー4のホルダ22に筆記具Pを保持させた後、ケース口部7が上向きになるようにケース本体2を傾ければ、トレー4は、自重によって筆記具Pと共にケース本体2内へスライド移動し、ケース口部7の内側へ挿入される。よって、使い勝手がより一層良好である。
【0058】
また、このものでは、後列側連結紐18Aが前列側連結紐18Bよりも長く、上記のようにケース本体2を傾けてトレー4を引き出した際に、後列トレー4Aが前列トレー4Bよりも外側へ引き出されるから、前後両列のトレー4に保持された筆記具Pを一度に視認して、その中から必要な筆記具Pを取り出すことができる。よって、使い勝手がより一層良好である。
【0059】
また、このものでは、ケース本体2を把持する際に、胴部5よりも曲げ剛性の高い背板部6の側縁部6L,6Rを把持することで、胴部5が過剰に変形してトレー4に接触するのを抑制できるから、トレー4をケース本体2から円滑に引き出すことができる。よって、使い勝手がより一層良好である。
【0060】
さらに、このものでは、後列トレー4Aの後面と背板部6の前面6Fとの摩擦抵抗が小さく、後列トレー4Aをより円滑にケース本体2の外部へ引き出すことができるから、使い勝手がより一層良好である。
【0061】
また、このものでは、上記のようにケース本体2を傾けてトレー4を引き出す際に、トレー上縁部20Eに沿って設けられた返し片23によって、筆記具Pがトレー4から抜け落ちるのを防止できるから、使い勝手がより一層良好である。
【0062】
なお、上記小物ケース1では、筆記具Pを取り出すにあたり、使用者は、上記のようにケース本体2を傾けてトレー4を引き出すのではなく、トレー4を手で掴んで引き出すこともできる。或いはトレー4を引き出さないで、ケース口部7から直接筆記具Pを取り出すこともできる。即ち、筆記具Pの取り出し方を状況に応じて異ならせることができる。
【0063】
本実施形態では、トレー4は、第1収納部S1に前後2つ並設されたものを説明したが、第1収納部S1に所望数以上の筆記具Pを収納可能であれば、トレー4は、1つのみ設けられたものとしてもよいし、前後3つ以上並設されたものとしてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、連結紐18は、長さ方向(上下方向)への伸縮性を有しない細長帯状の紐体により形成されたものを説明したが、トレー4を所定の長さ分だけケース口部7から引き出した状態で保持可能であれば、長さ方向(上下方向)への伸縮性を有する素材により形成されたものであってもよい。また、連結紐18は、トレー4の重さによって撓んだり伸びたりする程度の可撓性を有していれば、素材や形状は特に限定されない。
【0065】
また、本実施形態では、蓋留めバンド9と胴部前面5Fとの間隙に蓋体3を差し込むことによって、ケース口部7を被蓋するように構成されているが、上記蓋留めバンド9に代えて、胴部前面5Fと蓋体先端3Eとの合わせ面相互に面ファスナーやスナップボタン、マグネットプレートなどの連結部材を設け、この連結部材を連結させることによって、ケース口部7を蓋体3によって被蓋するように構成されたものとしてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、蓋体3は、ケース本体2(背板部6の上端部)に一体形成されたものを説明したが、ケース本体2と別体で構成されたものとしてもよい。
【0067】
本実施形態の小物ケース1は、主にボールペンや万年筆、サインペン、蛍光ペンなどの筆記具Pを収納し携帯するのに用いられる所謂ペンケースとして説明したが、筆記具Pに限らず、化粧用具や工具などの細長棒状の小物類を収納し携帯するのにも好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 小物ケース
2 ケース本体
3 蓋体
4 トレー
4A 後列トレー(後列側のトレー)
4B 前列トレー(前列側のトレー)
5 胴部
6 背板部
6F 前面
6L 左側縁部(背板部の側縁部)
6R 右側縁部(背板部側縁部)
18 連結紐
18A 後列側連結紐
18B 前列側連結紐
20 トレー本体
21 差込ポケット
22 保持バンド
23 返し片