(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038711
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/40 20180101AFI20230310BHJP
【FI】
G16H10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145580
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】517448489
【氏名又は名称】合同会社H.U.グループ中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】岡 祐馬
(72)【発明者】
【氏名】加藤 聡史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 賢治
(72)【発明者】
【氏名】有田 泰久
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
(57)【要約】
【課題】検体の採取に伴う作業を減少させ、検体を収容するための検体容器の取り違えを防止することができる検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】被検者から採取した検体を用いた臨床検査のための作業を支援する方法において、検体を収容するための検体容器に、当該検体容器の種類を示す容器種類情報と当該検体容器に固有であり当該検体容器を識別するための情報とを含んだ容器識別情報を、予め記録してあり、臨床検査を識別するための検査識別情報、及び当該臨床検査に必要な検体を収容するための検体容器の容器種類情報を関連付けて記憶し、検体を採取する前に、前記検査識別情報及び前記容器種類情報を出力し、検体を採取する前に、検体容器から容器識別情報を取得し、取得した容器識別情報を、前記検査識別情報及び前記容器種類情報に関連付けて出力する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者から採取した検体を用いた臨床検査のための作業を支援する方法において、
検体を収容するための検体容器に、当該検体容器の種類を示す容器種類情報と当該検体容器に固有であり当該検体容器を識別するための情報とを含んだ容器識別情報を、予め記録してあり、
臨床検査を識別するための検査識別情報、及び当該臨床検査に必要な検体を収容するための検体容器の容器種類情報を関連付けて記憶し、
検体を採取する前に、前記検査識別情報及び前記容器種類情報を出力し、
検体を採取する前に、検体容器から容器識別情報を取得し、
取得した容器識別情報を、前記検査識別情報及び前記容器種類情報に関連付けて出力する
ことを特徴とする検査支援方法。
【請求項2】
前記検査識別情報に関連付けて、複数の容器種類情報を記憶し、
一の検体容器から一の容器識別情報を既に取得した状態で、前記一の検体容器とは種類が異なる他の検体容器から、他の容器識別情報を取得し、
前記一の容器識別情報と共に、取得した前記他の容器識別情報を、前記他の容器識別情報に関連する検査識別情報及び容器種類情報に関連付けて出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の検査支援方法。
【請求項3】
前記検査識別情報及び前記容器種類情報に関連付けて、取得した容器識別情報を記憶する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の検査支援方法。
【請求項4】
取得した容器識別情報が示す検体容器の種類と、前記検査識別情報に関連付けられている容器種類情報が示す検体容器の種類とが一致するか否かを判定し、
取得した容器識別情報が示す検体容器の種類と前記容器種類情報が示す検体容器の種類とが一致しない場合に、エラーを出力し、
取得した容器識別情報が示す検体容器の種類と前記容器種類情報が示す検体容器の種類とが一致する場合に、取得した容器識別情報を、前記検査識別情報及び前記容器種類情報に関連付けて出力する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の検査支援方法。
【請求項5】
前記検査識別情報及び前記容器種類情報に、臨床検査に関して確認を必要とする確認項目とが関連付けられており、
容器識別情報を取得した場合に、前記検査識別情報及び前記容器種類情報に関連付けられている確認項目の内容の確認依頼を出力し、
前記確認項目の内容を取得し、
前記確認項目の内容を前記検査識別情報及び前記容器種類情報に関連付けて記憶する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の検査支援方法。
【請求項6】
前記検査識別情報及び前記容器種類情報に、被検者の個人情報が関連付けられており、
検体を採取する前に、前記検査識別情報及び前記容器種類情報に関連付けられている個人情報の確認依頼を出力し、
前記個人情報を確認したことを示す情報を取得する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の検査支援方法。
【請求項7】
検体を採取する前に、前記容器種類情報が種類を示す検体容器の画像を出力する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の検査支援方法。
【請求項8】
前記検査識別情報及び前記容器種類情報に、前記容器種類情報が種類を示す検体容器に収容されるべき検体の採取量が関連付けられており、
前記検体容器の画像に対応付けて、前記検査識別情報及び前記容器種類情報に関連付けられている採取量を出力する
ことを特徴とする請求項7に記載の検査支援方法。
【請求項9】
容器識別情報を取得した場合に、取得した容器識別情報が種類を示す検体容器の画像に、容器識別情報を既に取得したことを示すマークを付加した上で、前記検体容器の画像を出力する
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の検査支援方法。
【請求項10】
前記検査識別情報に関連付けて記憶している容器種類情報に基づいて、使用すべき検体容器の種類及び数を特定し、
特定した種類及び数の検体容器を取り分ける
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載の検査支援方法。
【請求項11】
被検者から採取した検体を用いた臨床検査のための作業を支援する装置において、
臨床検査を識別するための検査識別情報、及び当該臨床検査に必要な検体を収容するための検体容器の種類を示す容器種類情報を関連付けて記憶する記憶部と、
前記検査識別情報及び前記容器種類情報を出力する出力部と、
検体容器から、当該検体容器に予め記録されており、当該検体容器の容器種類情報と当該検体容器に固有であり当該検体容器を識別するための情報とを含む容器識別情報を、取得する取得部とを備え、
前記出力部は、取得した容器識別情報を、前記検査識別情報及び容器種類情報に関連付けて出力する
ことを特徴とする検査支援装置。
【請求項12】
臨床検査を識別するための検査識別情報、及び当該臨床検査に必要な検体を収容するための検体容器の種類を示す容器種類情報を出力し、
検体容器に予め記録されており、当該検体容器の容器種類情報と当該検体容器に固有であり当該検体容器を識別するための情報とを含んだ容器識別情報を取得し、
取得した容器識別情報を、前記検査識別情報及び容器種類情報に関連付けて出力する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者から検体を採取して行われる臨床検査を支援するための検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査の中には、被検者から血液等の検体を採取し、採取した検体に対して各種の検査を行うものがある。例えば、病院等の医療機関で検体の採取が行われる。検体の採取を行った医療機関で臨床検査が行われることもあるものの、多くの場合では、臨床検査の一部又は全部は、医療機関の外部の検査機関で行われる。従来、臨床検査に関する情報処理を行うためのシステムが開発されている。特許文献1には、臨床検査に関する業務の状況を的確に把握し、適切な業務の改善を可能にするためのシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現状、臨床検査のためのシステムは、医療機関ごと、検査機関ごとに開発されている。医療機関では、検体を収容するための検体容器に、被検者と関連付けた識別情報が付与される。例えば、個別の検査に応じて検体容器の種類が決定され、検体容器に固有の識別情報が記録されたラベルが作成され、ラベルが検体容器に貼付される。採取された検体は検体容器に収容され、検体容器は検査機関へ搬送される。検体の採取に伴う作業が多く、時間がかかる。また、検体を採取する際に、検体を収容する検体容器を取り違える虞がある。検体容器の取り違えがあった場合は、臨床検査の少なくとも一部が不可能になることがある。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、検体の採取に伴う作業を減少させ、検体を収容するための検体容器の取り違えを防止することができる検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る検査支援方法は、被検者から採取した検体を用いた臨床検査のための作業を支援する方法において、検体を収容するための検体容器に、当該検体容器の種類を示す容器種類情報と当該検体容器に固有であり当該検体容器を識別するための情報とを含んだ容器識別情報を、予め記録してあり、臨床検査を識別するための検査識別情報、及び当該臨床検査に必要な検体を収容するための検体容器の容器種類情報を関連付けて記憶し、検体を採取する前に、前記検査識別情報及び前記容器種類情報を出力し、検体を採取する前に、検体容器から容器識別情報を取得し、取得した容器識別情報を、前記検査識別情報及び前記容器種類情報に関連付けて出力することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る検査支援装置は、被検者から採取した検体を用いた臨床検査のための作業を支援する装置において、臨床検査を識別するための検査識別情報、及び当該臨床検査に必要な検体を収容するための検体容器の種類を示す容器種類情報を関連付けて記憶する記憶部と、前記検査識別情報及び前記容器種類情報を出力する出力部と、検体容器から、当該検体容器に予め記録されており、当該検体容器の容器種類情報と当該検体容器に固有であり当該検体容器を識別するための情報とを含む容器識別情報を、取得する取得部とを備え、前記出力部は、取得した容器識別情報を、前記検査識別情報及び容器種類情報に関連付けて出力することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るコンピュータプログラムは、臨床検査を識別するための検査識別情報、及び当該臨床検査に必要な検体を収容するための検体容器の種類を示す容器種類情報を出力し、検体容器に予め記録されており、当該検体容器の容器種類情報と当該検体容器に固有であり当該検体容器を識別するための情報とを含んだ容器識別情報を取得し、取得した容器識別情報を、前記検査識別情報及び容器種類情報に関連付けて出力する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明にあっては、臨床検査に用いる検体の採取に伴う作業が減少し、採取した検体を収容する検体容器を取り違えることが防止される等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】臨床検査を行うための手順を示す概念図である。
【
図2】検体が収容される検体容器の例を示す模式図である。
【
図3】検査支援システムの構成を示す模式図である。
【
図4】記憶装置の内部の機能構成例を示すブロック図である。
【
図5】採取支援装置の内部の機能構成例を示すブロック図である。
【
図6】検体が採取される前の状態の検体テーブルの内容例を示す概念図である。
【
図7】検査支援システムが実行する検体の採取を支援するための処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】個人情報の確認依頼を表した画像の例を示す模式図である。
【
図10】検体容器の画像の表示例を示す模式図である。
【
図11】検体容器の種類が異なることを示すエラーの例を示す模式図である。
【
図12】検体容器IDを取得した後の採取支援画像の例を示す模式図である。
【
図13】確認項目の確認依頼を表した画像の例を示す模式図である。
【
図14】全ての検体容器IDを取得した状態の採取支援画像の例を示す模式図である。
【
図15】検体の採取量を出力した例を示す模式図である。
【
図16】検体が採取された後の状態の検体テーブルの内容例を示す概念図である。
【
図17】採取支援装置の内部の機能構成の他の例を示すブロック図である。
【
図18】検体容器を取り分ける処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
図1は、臨床検査を行うための手順を示す概念図である。病院又は診療所等の医療機関において、被検者に関して臨床検査の内容が決定され、臨床検査の内容が記録された検査依頼が作成される。本実施形態における臨床検査は、被検者から採取された検体を用いて行われる検体検査である。臨床検査の内容は、被検者を診察した医師が決定する。検体は、例えば、血液、唾液、鼻水、涙、汗、脊髄液又は尿等の体液である。或は、検体は、例えば、鼻腔ぬぐい液、喉頭ぬぐい液、便又は細胞等である。次に、被検者から検体が採取される。本実施形態では、主に、検体が血液である例を示す。
【0012】
検体は、医療機関から検査機関へ送付される。検査機関は、医療機関の外部の機関、又は診察を行った医療機関の内部にある検査部門である。検査機関では、送付された検体を受領する。次に、検査依頼に従って、臨床検査が行われる。臨床検査では、検体に対して検査が行われる。次に、検査結果が医療機関に報告される。本実施の形態に係る検査支援方法は、臨床検査の実施を支援し、特に、被検者から検体を採取する際に行われる作業を支援する。
【0013】
被検者から採取される検体は検体容器に収容される。
図2は、検体が収容される検体容器6の例を示す模式図である。例えば、検体容器6は採血管である。検体容器6は、ガラス又は樹脂等の透明な素材で形成されており、管状である。検体容器6の一端は閉塞され、他端は開放されている。血液等の検体が検体容器6の内部に入れられた後で、検体容器6に蓋が装着され、検体容器6の内部は密閉される。検体容器6は、管状以外の形状を有していてもよく、透明でない素材で形成されていてもよい。検体容器6には、検体容器IDを記録したラベル61が貼着されている。例えば、ラベル61には、検体容器IDを表したバーコードが記載されている。
【0014】
検体容器IDには、検体容器6の種類を示す情報と、当該検体容器6に固有であり当該検体容器6を識別するための情報とが含まれている。検体容器IDは、容器識別情報に対応する。検体容器IDは、二次元コード等、バーコード以外の形でラベル61に記録されていてもよい。検体容器IDは、検体容器6に直接バーコードを記載する等の方法で、検体容器6に直接に記録されていてもよい。検体容器IDは、電子データとして検体容器6に記録されていてもよい。例えば、検体容器IDを記憶したRF(Radio Frequency )タグが検体容器6に装着されていてもよく、検体容器IDを記憶したメモリが検体容器6に装着されていてもよい。
【0015】
検体容器6は、予め検体容器IDが記録された状態で医療機関へ納入される。例えば、検体容器IDを記録したラベル61が予め貼着された状態で、検体容器6が医療機関へ納入される。医療機関では、検体容器6に検体容器IDを付与する作業、検体容器IDをデータベースに記録する作業、及び検体容器6にラベル61を貼着する作業は行われない。被検者から採取された検体は検体容器6に収容される。検体を収容した検体容器6が医療機関から検査機関へ搬送されることにより、検体が医療機関から検査機関へ送付される。
【0016】
図3は、検査支援システム100の構成を示す模式図である。検査支援システム100は、検査支援方法を実行するためのシステムである。検査支援システム100は、データを記憶する記憶装置1を備えている。記憶装置1は、インターネット等の通信ネットワークNに接続されている。医療機関20には、臨床検査の内容を含む検査依頼を入力するための入力装置201と、検体を採取する作業を支援する採取支援装置2とが設けられている。入力装置201は、医師等の医療従事者によって操作され、検査依頼が入力される。採取支援装置2は、被検者から検体を採取する作業を行う医師、看護師、准看護師、臨床検査技師等の作業者51によって使用される。入力装置201及び採取支援装置2は、通信ネットワークNに接続されている。入力装置201及び採取支援装置2は、通信ネットワークNを介して記憶装置1との間でデータを送受信する。
【0017】
検査機関30には、検体を受領する作業を支援する受領支援装置3と、臨床検査の状態を出力する出力装置4とが設けられている。受領支援装置3は、医療機関20から送付された検体を受領する作業を行う作業者52によって使用される。出力装置4は、臨床検査を行う技師等の使用者によって使用され、臨床検査の進捗状況又は結果を出力する。受領支援装置3及び出力装置4は、通信ネットワークNに接続されている。受領支援装置3及び出力装置4は、通信ネットワークNを介して記憶装置1との間でデータを送受信する。検査機関30では、複数の受領支援装置3及び出力装置4が用いられ得る。
【0018】
検査支援システム100は、複数の医療機関20が利用することが可能である。検査支援システム100には、複数の医療機関20の夫々に設けられた入力装置201及び採取支援装置2が含まれ得る。また、検査支援システム100は、複数の検査機関30が利用することが可能である。検査支援システム100には、複数の検査機関30の夫々に設けられた受領支援装置3及び出力装置4が含まれ得る。
【0019】
入力装置201は、PC(パーソナルコンピュータ)、スマートフォン又はタブレット型コンピュータ等のコンピュータである。入力装置201は、使用者が操作することによって情報が入力される操作部を備えており、医療従事者が操作部を操作することにより、検査依頼が入力される。例えば、医師が被検者を診察し、診察結果に基づいて臨床検査の内容を決定し、決定された臨床検査の内容を含んだ検査依頼が入力装置201へ入力される。入力装置201は、入力された検査依頼を、通信ネットワークNを介して記憶装置1へ送信する。記憶装置1は、送信された検査依頼を受信し、記憶する。このようにして、検査依頼が作成される。
図3には一台の入力装置201を示したが、医療機関20では、複数の入力装置201が用いられ得る。
【0020】
図4は、記憶装置1の内部の機能構成例を示すブロック図である。記憶装置1は、サーバ装置等のコンピュータである。記憶装置1は、演算部11と、メモリ12と、記憶部13と、ドライブ部14と、通信部15とを備えている。演算部11は、例えばCPU(Central Processing Unit )、GPU(Graphics Processing Unit)、又はマルチコアCPUを用いて構成されている。演算部11は、量子コンピュータを用いて構成されていてもよい。メモリ12は、演算に伴って発生する一時的なデータを記憶する。メモリ12は、例えばRAM(Random Access Memory)である。記憶部13は、不揮発性であり、例えばハードディスク又は不揮発性半導体メモリである。ドライブ部14は、光ディスク又は可搬型メモリ等の記録媒体10から情報を読み取る。通信部15は、通信ネットワークNを介して、他の装置と通信を行う。
【0021】
演算部11は、記録媒体10に記録されたコンピュータプログラム131をドライブ部14に読み取らせ、読み取ったコンピュータプログラム131を記憶部13に記憶させる。演算部11は、コンピュータプログラム131に従って、記憶装置1に必要な処理を実行する。コンピュータプログラム131はコンピュータプログラム製品であってもよい。コンピュータプログラム131は、記憶装置1の外部からダウンロードされてもよい。又は、コンピュータプログラム131は、記憶部13に予め記憶されていてもよい。これらの場合は、記憶装置1はドライブ部14を備えていなくてもよい。
【0022】
記憶装置1は、医療機関20に設けられていてもよく、検査機関30に設けられていてもよく、医療機関20及び検査機関30以外の場所に設けられていてもよい。記憶装置1は、複数のコンピュータにより構成され、データが複数のコンピュータによって分散して記憶されていてもよく、処理が複数のコンピュータによって分散して実行されてもよい。記憶装置1は、クラウドコンピューティングを利用して実現されてもよく、一台のコンピュータ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されてもよい。
【0023】
記憶部13は、被検者に関するデータを記録した被検者DB(データベース)132を記憶している。被検者DB132は、夫々の被検者について、氏名、年齢及び性別等の個人情報を記録している。また、被検者DB132は、臨床検査において被検者を識別するための被検者ID、検査依頼の履歴、検体採取の履歴、及び臨床検査の結果の履歴等、臨床検査に関する情報を、夫々の被検者について記録している。例えば、被検者が何らかの理由により採血が困難な採血困難者である場合に、採血困難者であることを示す情報が被検者DB132に記録されている。記憶部13は、被検者から採取される検体に関する情報を記録した検体テーブル133を記憶している。検体テーブル133には、検査依頼の作成及び検体の採取に応じて、検体に関する情報が記録される。
【0024】
図5は、採取支援装置2の内部の機能構成例を示すブロック図である。採取支援装置2は、PC、スマートフォン又はタブレット型コンピュータ等のコンピュータである。採取支援装置2は、演算部21と、メモリ22と、ドライブ部23と、記憶部24と、操作部25と、表示部26と、読取部27と、通信部28とを備えている。演算部21は、例えばCPU、GPU、又はマルチコアCPUを用いて構成されている。演算部21は、量子コンピュータを用いて構成されていてもよい。メモリ22は、演算に伴って発生する一時的なデータを記憶する。メモリ22は、例えばRAMである。ドライブ部23は、光ディスク又は可搬型メモリ等の記録媒体200から情報を読み取る。記憶部24は、不揮発性であり、例えばハードディスク又は不揮発性半導体メモリである。
【0025】
操作部25は、作業者51からの操作を受け付けることにより、テキスト等の情報の入力を受け付ける。操作部25は、例えばタッチパネル、ペンタブレット、キーボード又はポインティングデバイスである。表示部26は、画像を表示する。表示部26は、例えば液晶ディスプレイ又はELディスプレイ(Electroluminescent Display)である。操作部25及び表示部26は、一体になっていてもよい。読取部27は、検体容器6に記録された検体容器IDを読み取る。例えば、読取部27は、カメラ、バーコードリーダ、又はRFタグに記録された情報を近距離無線を利用して読み取るリーダである。読取部27は取得部に対応する。通信部28は、通信ネットワークNを介して、記憶装置1と通信を行う。記憶装置1は、通信部15から情報を送信し、採取支援装置2は、通信部28で情報を受信し、表示部26で情報を表示する。記憶装置1の通信部15及び採取支援装置2の表示部26は、出力部に対応する。
【0026】
演算部21は、記録媒体200に記録されたコンピュータプログラム241をドライブ部23に読み取らせ、読み取ったコンピュータプログラム241を記憶部24に記憶させる。演算部21は、コンピュータプログラム241に従って、採取支援装置2に必要な処理を実行する。コンピュータプログラム241はコンピュータプログラム製品であってもよい。なお、コンピュータプログラム241は、採取支援装置2の外部からダウンロードされてもよい。例えば、コンピュータプログラム241は、記憶装置1からダウンロードされてもよい。コンピュータプログラム241は、記憶部24ではなく、メモリ22に記憶されてもよい。例えば、コンピュータプログラム241は、検査支援方法に関する処理を実行する際にダウンロードされ、メモリ22に記憶され、検査支援方法に関する処理が終了する際にメモリ22から消去されてもよい。コンピュータプログラム241は、記憶部24に予め記憶されていてもよい。これらの場合は、採取支援装置2はドライブ部23を備えていなくてもよい。
【0027】
図3には一台の採取支援装置2を示したが、医療機関20では、複数の採取支援装置2が用いられ得る。複数の作業者51が複数の採取支援装置2を操作し、夫々の採取支援装置2は記憶装置1と通信を行う。複数の医療機関20が存在する場合、記憶装置1は、通信ネットワークNを介して、複数の医療機関20に設けられた入力装置201及び採取支援装置2と通信を行う。
【0028】
以下に、検査支援システム100が実行する処理を説明する。医療従事者が入力装置201を操作し、検査依頼が入力装置201へ入力される。入力装置201は、検査依頼を記憶装置1へ送信する。記憶装置1は、入力装置201から送信された検査依頼を通信部15で受信する。記憶装置1の演算部11は、被検者IDに関連付けて検査依頼を被検者DB132に記録する。演算部11は、検査依頼の内容に応じて、具体的な検査内容を指定した一又は複数の検査項目を決定し、検査項目を実行するために必要な検体に関する情報を検体テーブル133に記録する。
【0029】
図6は、検体が採取される前の状態の検体テーブル133の内容例を示す概念図である。検体テーブル133には、検査依頼IDに関連付けて、検体容器種別、検体容器ID、ステータス、合計検体採取量、検査項目、分注量、確認項目、確認項目内容、確認項目の確認が必須であるか又は任意であるかの指定、及び確認入力URL(Uniform Resource Locator)が記録されている。検査依頼IDは、一人の被検者に関して依頼された一回の臨床検査を識別するための情報である。検査依頼IDは検査識別情報に対応する。検査依頼IDは、一回の臨床検査に固有の情報である。演算部11は、被検者IDに関連付けて検査依頼IDを被検者DB132に記録する。
図6に示す例では、検査依頼IDとして「001」が記録されている。
【0030】
検体容器種別は、被検者から採取した検体を収容するための検体容器6の種類を示す。検体容器種別は容器種類情報に対応する。検体容器IDは、個々の検体容器6に固有の情報であり、前述したように、検体容器6に記録されている。検体容器IDに含まれる検体容器6の種類を示す情報は、検体容器種別と同じコードで表されてもよく、異なるコードで表されてもよい。ステータスは、検体の状態を示す。合計検体採取量は、検体容器6に収容される検体の採取量である。保存温度は、検体を保存する際の温度である。分注量は、検査項目を実行するために必要な検体の量である。確認項目は、検査項目を実行するにあたって確認が必要な情報である。確認項目内容は、確認された確認項目の内容である。確認項目には、確認が必須である情報と、確認が任意である情報とがあり、いずれかが指定されている。確認入力URLは、確認項目の入力用のリンクである。
【0031】
一つの臨床検査では、一又は複数の検査項目が行われる。
図6に示す例では、検査W、検査X、検査Y及び検査Zが行われるとされ、検査依頼ID「001」に関連付けて、検査項目として検査W、検査X、検査Y及び検査Zが記録されている。検査項目によって必要な検体の量が定まっており、検査項目に応じて分注量が決まり、検査項目に関連付けて分注量が記録されている。検査項目によって検体の保存温度が定まっており、検査項目に関連付けて保存温度が記録されている。検査項目と分注量等のその他の情報との関係は、予めデータベースに記録されており、データベースは記憶部13に記憶されている。演算部11は、決定した検査項目に関連する情報をデータベースから読み出し、読み出した情報と検査項目とを関連付けて検体テーブル133に記録する。
【0032】
検査項目によっては、性別、年齢又は体重等の被検者の状態に応じて、異常であると判定するための基準が異なることがある。このような検査項目については、被検者の状態を確認することが望ましく、任意での確認項目として、性別、年齢又は体重等の被検者の状態が記録されている。検査項目によっては、検査のために検体と反応させる薬剤の指定が必須となっている。このような検査項目については、必須の確認項目として、薬剤名が記録されている。
図6に示す例では、確認項目の内容がまだ入力されておらず、ブランクとなっている。
【0033】
保存温度が同一である複数の検査項目に係る検体は、同一の検体容器6に収容して保存することが可能である。複数の検査項目に係る検体が一つの検体容器6に収容される場合は、一つの検体容器種別及び検体容器IDに関連付けて複数の検査項目が記録されている。
図6に示す例では、検体容器種別「検体容器A」に検査W及び検査Xが関連付けられている。これは、検体容器種別が「検体容器A」である一つの検体容器6に、検査W及び検査Xのための検体がまとめて収容されることを意味する。一つの検体容器6に収容される検体が用いられる複数の検査項目に関連付けられた分注量の合計が、合計検体採取量となる。
【0034】
図6に示す例では、検体が採取される前であるので、ステータスは「未採取」になっている。未採取の状態では検体が収容される検体容器は未定であるので、検体容器IDはブランクになっている。同様にして、検体テーブル133では、複数の検査依頼IDの夫々に関連付けて、検体に関する情報が記録されている。検体が血液以外である場合は、検体テーブル133には、検体の種類を示す情報が記録されてもよい。
【0035】
図6に示す如き検体テーブル133の内容は、演算部11が、コンピュータプログラム131に従って、検査依頼の内容に応じて決定する。或は、記憶部13は、検査依頼の内容に応じて検体に関する情報を決定するための指針を記録した指針テーブルを記憶しており、演算部11は、指針テーブルに従って、検体テーブル133の内容を決定してもよい。検体テーブル133を記憶する記憶部13は、検査支援装置の記憶部に対応する。
【0036】
図7は、検査支援システム100が実行する検体の採取を支援するための処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、ステップをSと略す。記憶装置1の演算部11は、コンピュータプログラム131に従って処理を実行し、採取支援装置2の演算部21は、コンピュータプログラム241に従って処理を実行する。
【0037】
作業者51が検体の採取を行う前に、採取支援装置2は、検体の採取に関する情報を検体テーブル133から読み出し、出力する(S1)。S1では、例えば、被検者から検体を採取する作業を行う作業者51は、被検者と相対している状態で、操作部25を操作して、被検者又は検査依頼を特定するための情報を採取支援装置2へ入力する。例えば、被検者を特定するための情報として被検者の氏名又は被検者ID等が入力される。例えば、検査依頼を特定するための情報として受付番号又は検査依頼ID等が入力される。被検者又は検査依頼を特定するための情報は、読取部27によって取得されてもよい。
【0038】
演算部21は、被検者又は検査依頼を特定するための情報を、通信部28から、通信ネットワークNを介して記憶装置1へ送信する。記憶装置1は通信部15で被検者又は検査依頼を特定するための情報を受信する。被検者DB132には、被検者IDを含む被検者を特定するための情報と、検査依頼ID等の検査依頼を特定するための情報とが関連付けて記録されている。検査依頼IDが不明である場合は、演算部11は、被検者又は検査依頼を特定するための情報に関連付けられた検査依頼IDを被検者DB132から読み出す。演算部11は、検査依頼IDに関連付けられた検体の採取に関する情報を検体テーブル133から読み出す。また、演算部11は、検査依頼IDに関連付けられた被検者の個人情報を被検者DB132から読み出す。演算部11は、読み出した情報を、通信部15から、通信ネットワークNを介して採取支援装置2へ送信する。採取支援装置2は、情報を通信部28で受信し、演算部21は、検体の採取に関する情報を表した採取支援画像を表示部26に表示することによって、検体の採取に関する情報を出力する。
【0039】
図8は、採取支援画像の例を示す模式図である。採取支援画像には、検査依頼の受付日、検査依頼の受付番号、検体採取日、及び被検者IDが含まれており、また、氏名及び性別等の被検者の個人情報が含まれている。更に、採取支援画像には、検査依頼IDが含まれており、検査依頼IDに関連付けられた検体容器種別、検体容器ID及び合計検体採取量が含まれている。演算部21は、記憶装置1から受信した情報に従って採取支援画像を作成し、表示部26に採取支援画像を表示する。採取支援画像が表示されることにより、検体の採取に関する情報が表示される。
【0040】
一回の検査につき、検査依頼IDは一つである。検査依頼IDに複数の検体容器種別が関連付けられている場合は、複数の検体容器種別が表示され、夫々の検体容器種別に関連付けられた検体容器ID及び合計検体採取量が表示される。
図8に示す例では、検体容器IDが未だ取得されておらず、検体容器IDはブランクになっている。このようにして、検査依頼ID及び検体容器種別を含む、検体の採取に関する情報が出力される。検体容器種別が表示されることにより、作業者51は、採取した検体を収容すべき検体容器6の種類を確認することができる。
【0041】
採取支援装置2は、次に、被検者の個人情報の確認依頼を出力する(S2)。S2では、例えば、作業者51が操作部25を操作することにより、クリック等の方法で採取支援画像上で被検者の個人情報の表示部分を指定することに応じて、演算部21は、個人情報の確認依頼を表した画像を、採取支援画像に重ねて表示部26に表示する。
【0042】
図9は、個人情報の確認依頼を表した画像の例を示す模式図である。被検者の氏名及び性別を文字で表した画像が採取支援画像に重ねて表示されている。演算部21は、受信した被検者の個人情報に基づいて画像を作成し、表示部26に表示する。
図9に示した例では、被検者の氏名及び性別が表示され、氏名及び性別の確認が促される。
【0043】
採取支援装置2は、次に、被検者の個人情報の確認を受け付ける(S3)。S3では、例えば、作業者51が被検者本人に氏名及び性別を確認し、作業者51が操作部25を操作することにより、被検者の個人情報の確認が入力され、演算部21は、被検者の個人情報を確認したことを示す情報を取得する。
図9に示す例では、クリック等の方法で画像上で「OK」を表した部分が指定されることによって、個人情報の確認が入力される。被検者の個人情報が確認されることによって、検体を採取される者が臨床検査の被検者本人であることが確認される。個人情報の確認を受け付けた後、演算部21は、採取支援画像に含まれる被検者の個人情報に、確認済であることを示すマークを付加する。
【0044】
S3では、作業者51ではなく被検者本人が操作部25を操作して、被検者の個人情報の確認が入力されてもよい。
図9に示す例において「キャンセル」を表した部分が指定される等、被検者の個人情報の確認の受け付けが無い場合は、演算部21は、処理を終了してもよく、S1から処理を再開してもよい。
【0045】
S2及びS3では、採取支援装置2は、氏名及び性別以外の個人情報の確認を受け付けてもよい。例えば、被検者が採血困難者であることを示す情報及び採血履歴が被検者IDに関連付けて被検者DB132に記録されている場合に、演算部21は、採血履歴の確認依頼を表した画像を表示部26に表示し、確認を受け付ける。例えば、採血履歴として、前回採血を行った体の部位が表示され、確認が行われる。採血履歴が確認されることで、採血の際に注意すべき事項が周知され、採血の困難さが軽減される。
【0046】
採取支援装置2は、次に、採取した検体を収容すべき検体容器6の画像を出力する(S4)。S4では、演算部21は、検査依頼IDに関連付けられた検体容器種別、即ち採取支援画像に含まれる検体容器種別が種類を示す検体容器6の画像を、採取支援画像に重ねて表示部26に表示する。例えば、夫々の検体容器種別に関連付けられた検体容器6の画像データを、記憶装置1の記憶部13が予め記憶しており、採取支援装置2は、記憶装置1から画像データを読み出し、演算部21は、画像データに基づいて検体容器6の画像を作成し、表示部26に表示する。画像データは、採取支援装置2の記憶部24に予め記憶されていてもよい。
【0047】
図10は、検体容器6の画像の表示例を示す模式図である。被検者の氏名及び性別には、確認済であることを示すマーク261が付加されている。また、検体容器6の画像が表示されている。
図10に示す例では、検査依頼IDに三種類の検体容器種別が関連付けられているので、三種類の検体容器6の画像が夫々に表示されている。検体容器6の画像が表示されることにより、作業者51は、採取した検体を収容すべき検体容器6の外観を確認することができる。種類の異なる検体容器6は、色、サイズ又は形状等の外観が異なる。
図10に示す例では、種類の異なる検体容器6は、キャップの色が互いに異なる。検体容器6の外観を確認することによって、作業者51が誤った種類の検体容器6を使用する検体容器6の取り違えを効果的に抑制することができる。
【0048】
採取支援装置2は、次に、採取した検体を収容すべき検体容器6の検体容器IDを取得する(S5)。S5では、作業者51が実際に使用すべき検体容器6を選び、読取部27は検体容器6から検体容器IDを読み取り、演算部21は、読み取られた検体容器IDを取得する。例えば、複数種類の検体容器6が作業者51の手元に用意されており、作業者51は、表示部26に画像が表示された検体容器6と外観が同じ一つの検体容器6を選ぶ。読取部27は、検体容器6に予め記録されている検体容器IDを読み取る。例えば、読取部27を作業者51が検体容器6へ近づけ、ラベル61に記録されているバーコードを読取部27が読み取ることにより、バーコードが表す検体容器IDが読み取られる。RFタグが検体容器6に装着されている場合は、読取部27は、RFタグに記録された検体容器IDを近距離無線を利用して読み取る。
【0049】
採取支援装置2は、次に、取得した検体容器IDが示す検体容器6の種類と検体容器種別が示す検体容器6の種類とが一致するか否かを判定する(S6)。検体容器IDには、検体容器6の種類を示す情報が含まれている。S6では、演算部21は、検体容器IDに含まれる情報が示す検体容器6の種類と、検査依頼IDに関連付けられた検体容器種別が示す検体容器6の種類とが一致するか否かを判定する。取得した検体容器IDが示す検体容器6の種類と検体容器種別が示す検体容器6の種類とが一致しない場合は(S6:NO)、採取支援装置2は、検体容器6の種類が異なることを示すエラーを出力する(S7)。
【0050】
図11は、検体容器6の種類が異なることを示すエラーの例を示す模式図である。S7では、演算部21は、検体容器IDとしてエラーを示した採取支援画像を表示部26に表示する。更に、演算部21は、用いるべき検体容器6が異なっていることの通知と、正しい種類の検体容器6の画像とを含んだエラー画像を作成し、採取支援画像に重ねて表示部26に表示する。用いるべき検体容器6の種類が異なっていることが表示され、正しい種類の検体容器6の画像が表示される。
図11に示す例では、検体容器IDが未取得の複数種類の検体容器6について、エラーと画像とが表示されている。検体容器IDが未取得の検体容器6が一種類である場合は、一種類の検体容器6についてエラーと画像とが表示される。
【0051】
作業者51が誤った種類の検体容器6を選択し、誤った種類の検体容器6から検体容器IDを取得した場合に、エラーが出力される。このため、検体を収容する検体容器6の種類を取り違えることが確実に防止される。また、正しい検体容器6の画像が表示されることによって、作業者51は、使用すべき正しい検体容器6の外観を再度確認することができる。
【0052】
S7が終了した後は、採取支援装置2は、処理をS5へ戻す。例えば、作業者51が操作部25を操作することにより、画像上で「キャンセル」を表した部分が指定されることに応じて、演算部21は、エラー画像の出力を終了し、処理をS5へ戻す。
【0053】
取得した検体容器IDが示す検体容器6の種類と検体容器種別が示す検体容器6の種類とが一致する場合は(S6:YES)、記憶装置1は、検査依頼ID及び検体容器種別に関連付けて検体容器IDを記憶する(S8)。S8では、演算部21は、取得した検体容器IDを通信部28から記憶装置1へ送信する。記憶装置1は、検体容器IDを通信部15で受信し、演算部11は、検査依頼IDと、取得した検体容器IDが示す検体容器6の種類に一致する種類を示す検体容器種別とに関連付けて、検体容器IDを検体テーブル133に記録することにより、検体容器IDを記憶部13に記憶する。検体容器IDが記憶されることにより、検体容器6に収容される検体が検査依頼ID及び被検者IDに関連付けられる。検体容器IDに基づいて検体を管理することが可能となる。
【0054】
採取支援装置2は、次に、検査依頼ID及び検体容器種別に関連付けて検体容器IDを出力する(S9)。S9では、演算部21は、検査依頼IDと、取得した検体容器IDが示す検体容器6の種類に一致する種類を示す検体容器種別とに関連付けた検体容器IDとして、取得した検体容器IDを採取支援画像に追加し、検体容器IDを追加した採取支援画像を表示部26に表示する。
【0055】
図12は、検体容器IDを取得した後の採取支援画像の例を示す模式図である。
図12は、検体容器種別が検体容器Cである検体容器6の検体容器IDが取得された例を示す。検査依頼IDと検体容器Cを示す検体容器種別とに関連付けて、取得された検体容器IDが表示されている。検体容器種別に関連付けて検体容器IDが出力されることにより、作業者51は、検体容器IDを確認し、検体容器IDを取得した検体容器6の種類と検体容器種別が示す検体容器6の種類とが一致することを確認することができる。これにより、検体を収容する検体容器6の種類を取り違えることが防止される。
【0056】
採取支援装置2は、次に、検体容器IDを既に取得したことを示すマークを付加した検体容器6の画像を出力する(S10)。S10では、演算部21は、取得した検体容器IDが示す種類の検体容器6の画像にマークを付加し、マークを付加した画像を、採取支援画像に重ねて表示部26に表示する。まだ検体容器IDを取得していない検体容器6がある場合は、演算部21は、マークを付加していない検体容器6の画像も表示する。
図12には、検体容器IDを既に取得したことを示すマーク262を付加した検体容器6の画像の例を示している。検体容器種別が検体容器Cである検体容器6の検体容器IDが取得されているので、検体容器種別が検体容器Cである検体容器6の画像にマーク262が付加されている。マーク262が表示されることにより、作業者51は既に検体容器IDを取得した検体容器6の外観を確認することができる。続けて他の検体容器IDを取得する際には、既に検体容器IDを取得した検体容器6から再度検体容器IDを取得する誤りが抑制される。
【0057】
採取支援装置2は、次に、取得した検体容器IDに係る検査依頼ID及び検体容器種別に関連付けられた確認項目があるか否かを判定する(S11)。S11では、演算部21は、S1で取得した検体の採取に関する情報の中に、取得した検体容器IDが示す検体容器6の種類に一致する種類を示す検体容器種別に関連付けられた確認項目があるか否かを判定する。演算部21は、検体テーブル133にアクセスして、検査依頼IDに関連付けられた確認項目があるか否かを判定してもよい。確認項目が無い場合は(S11:NO)、採取支援装置2は、処理を後述のS16へ進める。
【0058】
確認項目がある場合は(S11:YES)、採取支援装置2は、確認項目があることを示すマークを付加した採取支援画像を出力する(S12)。S12では、演算部21は、取得した検体容器IDに関連付けて、確認項目があることを示すマークを採取支援画像に追加し、マークを追加した採取支援画像を表示部26に表示する。
図12には、確認項目があることを示すマーク263を付加した採取支援画像の例を示している。検体容器IDの近傍に、マーク263が表示されている。マーク263が表示されることにより、作業者51は、確認項目が存在することを知ることができる。
【0059】
採取支援装置2は、次に、確認項目の確認依頼を出力する(S13)。例えば、作業者51が操作部25を操作することにより、採取支援画像上でマーク264又は検体容器ID若しくは検体容器種別の表示部分を指定することに応じて、演算部21は、S13を実行する。S13では、検体の採取に関する情報に基づき、取得した検体容器IDに係る検査依頼ID及び検体容器種別に関連付けられた確認項目の確認依頼を表した画像を、採取支援画像に重ねて表示部26に表示する。演算部21は、検体テーブル133にアクセスし、検体テーブル133の記録内容に基づいて確認項目の確認依頼を出力してもよい。
【0060】
図13は、確認項目の確認依頼を表した画像の例を示す模式図である。
図13には、検査依頼ID「001」及び検体容器種別「検体容器C」に確認項目として「薬剤名」が関連付けられている例を示す。確認項目の内容として具体的な薬剤名を入力するための入力用画像が表示される。
【0061】
採取支援装置2は、次に、確認項目の内容の確認を受け付ける(S14)。S14では、例えば、作業者51が確認項目の内容を確認し、作業者51が操作部25を操作することにより、確認項目の内容が入力され、演算部21は、確認項目の内容を取得する。
図13に示す例では、薬剤名が入力され、画像上で「OK」を表した部分が指定されることによって、確認項目である「薬剤名」の内容が入力される。確認項目の内容の入力は、選択式であってもよい。
【0062】
検査依頼IDに関連付けられた検体の採取に関する情報には、確認項目の確認が必須であるか又は任意であるかの指定が含まれている。確認項目が任意である場合は、作業者51が操作部25を操作し、画像上で「キャンセル」を表した部分が指定されることによって、演算部21は、確認項目の内容の確認を取得しない状態でS14を終了してもよい。
【0063】
確認項目が「薬剤名」以外である場合においても、同様に、S13及びS14の処理が行われる。一つの検体容器種別に複数の検査項目及び複数の確認項目が関連付けられている場合は、演算部21は、S13及びS14の処理を複数回繰り返してもよい。又は、演算部21は、S13で複数の確認項目の確認依頼を出力し、S14で複数の確認項目の内容を取得してもよい。
【0064】
記憶装置1は、次に、検査依頼ID、検体容器種別及び検体容器IDに関連付けて、確認項目の内容を記憶する(S15)。S15では、演算部21は、取得した確認項目の内容を、検査依頼ID、検体容器種別及び検体容器IDに関連付けた状態で、通信部28から記憶装置1へ送信する。記憶装置1は、確認項目の内容を通信部15で受信する。演算部11は、検査依頼ID、検体容器種別及び検体容器IDに関連付けて、確認項目の内容を検体テーブル133に記録することにより、確認項目の内容を記憶部13に記憶する。例えば、確認入力URLを用いて、確認項目の内容が記録される。確認項目の内容が検体テーブル133に記録されることによって、臨床検査に必要な情報が記録され、記録された確認項目の内容を利用して適切な臨床検査が可能となる。
【0065】
S15が終了した後、又はS11で確認項目が無い場合に、採取支援装置2は、取得すべき全ての検体容器IDを取得したか否かを判定する(S16)。S16では、演算部21は、検査依頼IDに関連付けられた全ての検体容器種別に関して検体容器IDが取得されているか否かを判定する。演算部21は、検体テーブル133にアクセスして、検査依頼IDに関連付けられた全ての検体容器種別に具体的な検体容器IDが関連付けられているか否かを判定してもよい。
【0066】
図14は、全ての検体容器IDを取得した状態の採取支援画像の例を示す模式図である。複数の検体容器種別の夫々に検体容器IDが関連付けられており、複数種類の検体容器6の画像の全てに、検体容器IDを既に取得したことを示すマーク262が付加されている。作業者51は、全ての検体容器IDを取得したことを確認することができる。
【0067】
取得されていない検体容器IDがある場合は(S16:NO)、採取支援装置2は、処理をS5へ戻す。検査依頼IDに複数の検体容器種別が関連付けられている場合は、検体容器種別の数だけ、S5~S16の処理が繰り返される。二回目以降のS5~S16の処理では、一の検体容器6から検体容器IDが取得された状態で、他の検体容器6から検体容器IDが取得され、検体容器IDが記憶され、検体容器種別に関連付けて検体容器IDが出力される。一人の被検者に係る臨床検査において複数種類の検体容器6が使用される場合であっても、複数種類の検体容器6の検体容器IDが記憶され、検体を収容する夫々の検体容器6の種類を取り違えることが防止される。
【0068】
取得すべき全ての検体容器IDを取得している場合は(S16:YES)、採取支援装置2は、検体容器6に収容すべき検体の採取量を出力する(S17)。S17では、演算部21は、検査依頼IDに関連付けられた検体の採取に関する情報を参照し、検体容器種別に関連付けられた合計検体採取量の値を、検体の採取量として、検体容器種別が種類を示す検体容器6の画像に付加し、採取量を付加した検体容器6の画像を表示部26に表示する。
【0069】
図15は、検体の採取量を出力した例を示す模式図である。夫々の検体容器種別に係る検体容器6の画像に、検体の採取量の値が付加されている。検体の採取量の値は、検体容器種別に関連付けられた合計検体採取量の値である。検体の採取量の値が出力されることにより、作業者51は、夫々の検体容器6に収容すべき検体の採取量を確認することができる。
【0070】
その後、作業者51は、被検者から検体を採取する作業を行う。例えば、作業者51は採血を行う。また、作業者51は、取得した検体容器IDが記録されている検体容器6に、採取した検体を収容する。検体の採取が終了した後、採取支援装置2は、検体が採取されたことを受け付ける(S18)。S18では、作業者51が操作部25を操作して、検体の採取が終了したことを示す情報を入力し、演算部21は、検体が採取されたことを受け付ける。
【0071】
記憶装置1は、次に、検体が採取されたことを記憶する(S19)。S19では、演算部21は、検体が採取されたことを示す情報を、検査依頼ID、検体容器種別及び検体容器IDに関連付けた状態で、通信部28から記憶装置1へ送信する。記憶装置1は、情報を通信部15で受信する。演算部11は、検査依頼ID、検体容器種別及び検体容器IDに関連付けて、ステータスとして、検体が採取済であることを検体テーブル133に記録することにより、検体が採取されたことを記憶部13に記憶する。検体が採取済であることが検体テーブル133に記録されることによって、検体が採取されて夫々の検体容器6に収容されたことが記録される。
【0072】
図16は、検体が採取された後の状態の検体テーブル133の内容例を示す概念図である。一つの検査依頼IDに関連付けられた夫々の検体容器種別に関連付けて、検体容器IDと、確認項目の内容とが記録され、ステータスとして、検体が採取済であることが記録されている。検体テーブル133によって、検査依頼IDで識別される臨床検査に用いられる検体が何れの検体容器6に収容されているのかが整理されている。また、検体容器IDに関連付けて、夫々の検体容器6に収容されている検体が何れの臨床検査の何れの検査項目で用いられるものかが、検体テーブル133に記録されている。このように、検体テーブル133によって、臨床検査に必要な情報が、検査依頼ID及び検体容器IDに関連付けて管理される。
【0073】
S19が終了した後は、検査支援システム100は、検体の採取を支援するための処理を終了する。S1~S19の処理は、検査依頼IDの夫々について、実行される。S1~S19の処理の内、前述の説明で採取支援装置2の演算部21が実行すると述べた処理の一部又は全部は、記憶装置1の演算部11が実行してもよい。例えば、演算部11は、通信ネットワークNを介して、採取支援装置2の操作部25及び表示部26を制御することによって、処理を実行してもよい。採取支援装置2及び記憶装置1は、検査支援装置に対応する。
【0074】
採取された検体は、夫々に検体容器6に収容された状態で、医療機関20から検査機関30へ送付される。検査機関30では、作業者52は、受領支援装置3を用いて、医療機関20から送付された検体を受領する作業を行う。受領支援装置3は、PC、スマートフォン又はタブレット型コンピュータ等のコンピュータである。受領支援装置3は、作業者52からの操作を受け付ける操作部と、画像を表示する表示部と、検体容器6に記録された検体容器IDを読み取る読取部とを備える。受領支援装置3は、検体容器6から検体容器IDを取得し、検体容器IDに関連付けて検体テーブル133に記録されている情報を確認する。
【0075】
検査機関30では、検体は検体容器IDに基づいて管理され、検体容器IDに関連付けて検体テーブル133に記録されている情報に従って、検体を用いた臨床検査が行われる。出力装置4は、PC、スマートフォン又はタブレット型コンピュータ等のコンピュータである。出力装置4は、臨床検査の進捗状況又は結果を出力する。更に、臨床検査の結果は、記憶装置1に記憶される。複数の検査機関30が存在する場合、記憶装置1は、通信ネットワークNを介して、複数の検査機関30に設けられた受領支援装置3及び出力装置4と通信を行う。記憶装置1に記憶された臨床検査の結果は、医療機関20から参照され、被検者に通知される。
【0076】
以上詳述した如く、本実施形態においては、検体容器6に予め検体容器IDが記録されており、検査依頼ID及び検体容器種別が検体テーブル133に記録されている。医療機関20では、検体容器6から検体容器IDを取得し、検査依頼ID及び検体容器種別に関連付けて、検体容器IDが記録・出力される。検体容器IDが検体容器6に予め記録されており、検体容器6から取得した検体容器IDに基づいて、検体が管理される。検体容器IDが記録されたラベル61を作成して検体容器6に貼付する等の、検体容器6に検体容器IDを付与するための作業が医療機関20では不必要となる。このため、医療機関20での検体の採取に伴う作業が減少する。
【0077】
検体容器IDは、検体容器6の種類を示す情報を含んでいる。取得した検体容器ID及び検体容器種別が出力されることにより、作業者51は、検体容器IDを取得した検体容器6の種類と検体容器種別が示す検体容器6の種類とが一致することを確認することができる。これにより、検体を収容する検体容器6の種類を取り違えることが防止される。
【0078】
また、本実施形態では、検体容器6に予め記録されている検体容器IDを用いて検体を管理するので、医療機関20毎に独自に検体容器IDを扱うためのシステムを構築する必要が無い。このため、臨床検査のために必要なシステムのコストが低減される。
【0079】
なお、本実施形態では、検体を収容すべき検体容器6を作業者51が自己で選択する形態を示したが、検査支援システム100は、検査依頼に応じて必要な検体容器6を取り分ける形態であってもよい。
図17は、採取支援装置2の内部の機能構成の他の例を示すブロック図である。採取支援装置2は、複数の種類の検体容器6が保管されている保管庫から特定の種類の検体容器6を取り出すピッキング部29である。例えば、ピッキング部29は、ディスペンサ又はロボットアームを用いて構成されている。
【0080】
図18は、検体容器6を取り分ける処理の手順の一例を示すフローチャートである。採取支援装置2は、検査依頼が作成され、検査依頼IDに関連付けて検体の採取に係る情報が検体テーブル133に記録された状態で、処理を実行する。採取支援装置2は、一つの検査依頼IDに関連付けられた検体の採取に関する情報を検体テーブル133から読み出す(S21)。S21では、操作部25から検査依頼IDが入力される。演算部21は、通信ネットワークNを介して、検査依頼IDに関連付けられた情報を検体テーブル133から読み出す。採取支援装置2は、次に、検査依頼IDに関連付けられた検体の採取に関する情報に基づいて、使用すべき検体容器6の種類及び数を特定する(S22)。S21では、演算部21は、検査依頼IDに関連付けられた検体容器種別から、検体容器6の種類を特定する。また、演算部21は、検査依頼IDに関連付けられた夫々の検体容器種別の数から、夫々の種類の検体容器6の数を特定する。
【0081】
採取支援装置2は、次に、特定した種類及び数の検体容器6を取り分ける(S23)。S23では、演算部21は、ピッキング部29に、特定した種類及び数の検体容器6を取り出させる。ピッキング部29は、取り出した検体容器6を特定の位置に置く処理を行ってもよい。或は、ピッキング部29は、取り出した複数の検体容器6をまとめてパッキングする処理を行ってもよい。S23が終了した後は、採取支援装置2は、検体容器6を取り分ける処理を終了する。採取支援装置2は、ピッキング部29を利用せずに、取り分けるべき検体容器6の種類及び数を表示部26に表示し、作業者51に検体容器6を取り分けさせる処理を行ってもよい。検体容器6を取り分ける処理は、採取支援装置2以外の図示しない情報処理装置を用いて実行されてもよい。
【0082】
S21~S23の処理は、S1~S19の処理の前に実行される。S21~S23の処理は、複数の検査依頼IDの夫々について行われてもよい。検体容器6を取り分ける処理が行われることにより、検体を採取する前に、必要な検体容器6が取り分けられる。作業者51は、検体の採取を行う際に、取り分けられた検体容器6を使用することができる。これにより、検体を採取する際に検体容器6の種類を取り違えることが抑制される。
【0083】
本発明は上述した実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
100 検査支援システム
1 記憶装置
10 記録媒体
131 コンピュータプログラム
133 検体テーブル
201 入力装置
2 採取支援装置
200 記録媒体
241 コンピュータプログラム
27 読取部
3 受領支援装置
4 出力装置
51、52 作業者
6 検体容器
61 ラベル
N 通信ネットワーク