IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 合同会社みらか中央研究所の特許一覧

特開2023-38712検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム
<>
  • 特開-検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム 図1
  • 特開-検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム 図2
  • 特開-検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム 図3
  • 特開-検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム 図4
  • 特開-検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム 図5
  • 特開-検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム 図6
  • 特開-検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム 図7
  • 特開-検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム 図8
  • 特開-検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム 図9
  • 特開-検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム 図10
  • 特開-検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム 図11
  • 特開-検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム 図12
  • 特開-検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム 図13
  • 特開-検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム 図14
  • 特開-検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム 図15
  • 特開-検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム 図16
  • 特開-検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム 図17
  • 特開-検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038712
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/40 20180101AFI20230310BHJP
【FI】
G16H10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145581
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】517448489
【氏名又は名称】合同会社H.U.グループ中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】岡 祐馬
(72)【発明者】
【氏名】加藤 聡史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 賢治
(72)【発明者】
【氏名】有田 泰久
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
(57)【要約】
【課題】検体の受領に伴う作業を減少させ、臨床検査に必要な時間を短縮させることができる検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】被検者から採取した検体を用いた臨床検査のための作業を支援する方法において、検体を収容するための検体容器に、当該検体容器に固有であり当該検体容器を識別するための容器識別情報を、予め記録してあり、臨床検査を識別するための検査識別情報、及び当該臨床検査に必要な検体を収容した検体容器の容器識別情報を関連付けて記憶し、記憶してある検査識別情報及び容器識別情報を出力し、検体を収容してある検体容器から、容器識別情報を取得し、取得した容器識別情報に関連付けて、当該容器識別情報を記録した検体容器に収容された検体を受領したことを示す情報を出力する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者から採取した検体を用いた臨床検査のための作業を支援する方法において、
検体を収容するための検体容器に、当該検体容器に固有であり当該検体容器を識別するための容器識別情報を、予め記録してあり、
臨床検査を識別するための検査識別情報、及び当該臨床検査に必要な検体を収容した検体容器の容器識別情報を関連付けて記憶し、
記憶してある検査識別情報及び容器識別情報を出力し、
検体を収容してある検体容器から、容器識別情報を取得し、
取得した容器識別情報に関連付けて、当該容器識別情報を記録した検体容器に収容された検体を受領したことを示す情報を出力する
ことを特徴とする検査支援方法。
【請求項2】
受領すべき検体が収容された検体容器の容器識別情報の一覧を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の検査支援方法。
【請求項3】
前記一覧に含まれる容器識別情報の中に、取得されていない容器識別情報がある場合に、受領していない検体があることを出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の検査支援方法。
【請求項4】
前記一覧に含まれる容器識別情報を全て検体容器から取得した場合に、受領すべき検体を全て受領したことを出力する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の検査支援方法。
【請求項5】
検査識別情報及び容器識別情報に関連付けて、臨床検査に関して確認を必要とする確認項目を記憶してあり、
取得した容器識別情報に関連付けられた確認項目の内容が記憶されていない場合に、前記確認項目の内容が記憶されていないことを出力し、
前記確認項目の内容の確認依頼を出力し、
前記確認項目の内容を取得し、
前記確認項目の内容を、前記容器識別情報に関連付けて記憶する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の検査支援方法。
【請求項6】
取得した容器識別情報の一覧を出力し、
内容が記憶されていない確認項目の一覧を出力し、
前記容器識別情報の一覧を出力した状態と、前記確認項目の一覧を出力した状態とを切り替える
ことを特徴とする請求項5に記載の検査支援方法。
【請求項7】
確認項目に関連付けて、当該確認項目の内容の取得が必須であるか又は任意であるかを記憶してあり、
内容が記憶されていない確認項目に関連付けて、当該確認項目の内容の取得が必須であるか又は任意であるかに応じて異なったマークを出力し、
内容が記憶されていない確認項目の内容の取得が任意である場合に、前記確認依頼と、前記確認項目の内容の取得が無いときの注意事項とを出力する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の検査支援方法。
【請求項8】
容器識別情報は、検体容器の種類を示す容器種類情報を含んでおり、
検査識別情報、及び当該検査識別情報で識別される臨床検査に必要な検体を収容するための検体容器の容器種類情報を関連付けて記憶し、
検体を採取する前に、前記検査識別情報及び前記容器種類情報を出力し、
検体を採取する前に、検体容器から容器識別情報を取得し、
取得した容器識別情報が示す検体容器の種類と、前記検査識別情報に関連付けられている容器種類情報が示す検体容器の種類とが一致するか否かを判定し、
取得した容器識別情報が示す検体容器の種類と前記容器種類情報が示す検体容器の種類とが一致しない場合に、エラーを出力する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の検査支援方法。
【請求項9】
検体容器に収容された検体を用いた臨床検査の結果を、前記検体容器に記録された容器識別情報に関連付けて記憶する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載の検査支援方法。
【請求項10】
検体容器に収容された検体を用いた臨床検査の結果に基づいて、前記検体を用いて行うべき追加検査を特定し、
前記検体の残量に基づいて、前記追加検査を推薦するか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載の検査支援方法。
【請求項11】
被検者から採取した検体を用いた臨床検査のための作業を支援する装置において、
臨床検査を識別するための検査識別情報、及び当該臨床検査に必要な検体を収容するための検体容器に固有であり当該検体容器を識別するための容器識別情報を、関連付けて記憶する記憶部と、
前記検査識別情報及び前記容器識別情報を出力する出力部と、
検体を収容してある検体容器から、当該検体容器に予め記録されている容器識別情報を取得する取得部とを備え、
前記出力部は、取得した容器識別情報に関連付けて、当該容器識別情報を記録した検体容器に収容された検体を受領したことを示す情報を出力する
ことを特徴とする検査支援装置。
【請求項12】
臨床検査を識別するための検査識別情報、及び当該臨床検査に必要な検体を収容するための検体容器に固有であり当該検体容器を識別するための容器識別情報を出力し、
検体を収容してある検体容器に予め記録されている容器識別情報を取得し、
取得した容器識別情報に関連付けて、取得した容器識別情報を記録した検体容器に収容された検体を受領したことを示す情報を出力する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者から採取した検体を用いた臨床検査を支援するための検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査の中には、被検者から血液等の検体を採取し、採取した検体に対して各種の検査を行うものがある。例えば、病院等の医療機関で検体の採取が行われる。検体の採取を行った医療機関で臨床検査が行われることもあるものの、多くの場合では、臨床検査の一部又は全部は、医療機関の外部の検査機関で行われる。従来、臨床検査に関する情報処理を行うためのシステムが開発されている。特許文献1には、臨床検査に関する業務の状況を的確に把握し、適切な業務の改善を可能にするためのシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5613495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現状、臨床検査のためのシステムは、医療機関ごと、検査機関ごとに開発されている。医療機関では、採取された検体は検体容器に収容され、検体容器には被検者と関連付けた識別情報が付与される。例えば、医療機関では、検体容器に識別情報を記録したラベルが貼付される。検体を収容した検体容器は医療機関から検査機関へ受け渡される。医療機関で付与された識別情報は、検査機関で利用される他の情報と重複する可能性があるので、検査機関ではそのまま利用することはできない。検査機関では、検体容器に付与されている識別情報を、検査機関で利用される識別情報へ付け替える必要がある。例えば、検査機関では、検体容器に新たな識別情報を関連付け、新たな識別情報を記録したラベルを検体容器に貼付し直し、新たな識別情報を用いて検体を管理する。このため、検査機関で検体を受領するための手間が多く、臨床検査に時間がかかる。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、検体の受領に伴う作業を減少させ、臨床検査に必要な時間を短縮させることができる検査支援方法、検査支援装置、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る検査支援方法は、被検者から採取した検体を用いた臨床検査のための作業を支援する方法において、検体を収容するための検体容器に、当該検体容器に固有であり当該検体容器を識別するための容器識別情報を、予め記録してあり、臨床検査を識別するための検査識別情報、及び当該臨床検査に必要な検体を収容した検体容器の容器識別情報を関連付けて記憶し、記憶してある検査識別情報及び容器識別情報を出力し、検体を収容してある検体容器から、容器識別情報を取得し、取得した容器識別情報に関連付けて、当該容器識別情報を記録した検体容器に収容された検体を受領したことを示す情報を出力することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る検査支援装置は、被検者から採取した検体を用いた臨床検査のための作業を支援する装置において、臨床検査を識別するための検査識別情報、及び当該臨床検査に必要な検体を収容するための検体容器に固有であり当該検体容器を識別するための容器識別情報を、関連付けて記憶する記憶部と、前記検査識別情報及び前記容器識別情報を出力する出力部と、検体を収容してある検体容器から、当該検体容器に予め記録されている容器識別情報を取得する取得部とを備え、前記出力部は、取得した容器識別情報に関連付けて、当該容器識別情報を記録した検体容器に収容された検体を受領したことを示す情報を出力することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るコンピュータプログラムは、臨床検査を識別するための検査識別情報、及び当該臨床検査に必要な検体を収容するための検体容器に固有であり当該検体容器を識別するための容器識別情報を出力し、検体を収容してある検体容器に予め記録されている容器識別情報を取得し、取得した容器識別情報に関連付けて、取得した容器識別情報を記録した検体容器に収容された検体を受領したことを示す情報を出力する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明にあっては、臨床検査に用いる検体の受領に伴う作業を減少させ、臨床検査に必要な時間を短縮させることができる等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】臨床検査を行うための手順を示す概念図である。
図2】検体が収容される検体容器の例を示す模式図である。
図3】検査支援システムの構成を示す模式図である。
図4】記憶装置の内部の機能構成例を示すブロック図である。
図5】受領支援装置の内部の機能構成例を示すブロック図である。
図6】出力装置の内部の機能構成例を示すブロック図である。
図7】検体が採取された後の状態の検体テーブルの内容例を示す概念図である。
図8】検査支援システムが実行する検体の受領を支援するための処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図9】検査支援システムが実行する検体の受領を支援するための処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図10】受領支援画像の例を示す模式図である。
図11】受領していない検体があることを通知する画像の例を示す模式図である。
図12】全ての検体を受領したことを通知する画像の例を示す模式図である。
図13】内容が記録されていない確認項目があることを通知する画像の例を示す模式図である。
図14】内容が確認されていない確認項目の一覧を表した画像の例を示す模式図である。
図15】確認項目の確認依頼を表した画像の例を示す模式図である。
図16】内容の確認が任意である確認項目の確認依頼を表した画像の例を示す模式図である。
図17】全ての確認項目が確認されたことを通知する画像の例を示す模式図である。
図18】検査支援システムが実行する追加の臨床検査を推薦する処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
図1は、臨床検査を行うための手順を示す概念図である。病院又は診療所等の医療機関において、被検者に関して臨床検査の内容が決定され、臨床検査の内容が記録された検査依頼が作成される。本実施形態における臨床検査は、被検者から採取された検体を用いて行われる検体検査である。臨床検査の内容は、被検者を診察した医師が決定する。検体は、例えば、血液、唾液、鼻水、涙、汗、脊髄液又は尿等の体液である。或は、検体は、例えば、鼻腔ぬぐい液、喉頭ぬぐい液、便又は細胞等である。次に、被検者から検体が採取される。本実施形態では、主に、検体が血液である例を示す。
【0012】
検体は、医療機関から検査機関へ受け渡される。検査機関は、医療機関の外部の機関、又は診察を行った医療機関の内部にある検査部門である。例えば、検体を収容した検体容器が搬送されることにより、検体は医療機関から検査機関へ送付され、検査機関では、送付された検体を受領する。次に、検査依頼に従って、臨床検査が行われる。臨床検査では、検体に対して各種の検査が行われる。次に、検査結果が医療機関に報告される。本実施の形態に係る検査支援方法は、臨床検査の実施を支援し、特に、検査機関において検体を受領する際に行われる作業を支援する。
【0013】
被検者から採取される検体は検体容器に収容される。図2は、検体が収容される検体容器6の例を示す模式図である。例えば、検体容器6は採血管である。検体容器6は、ガラス又は樹脂等の透明な素材で形成されており、管状である。検体容器6の一端は閉塞され、他端は開放されている。血液等の検体が検体容器6の内部に入れられた後で、検体容器6に蓋が装着され、検体容器6の内部は密閉される。検体容器6は、管状以外の形状を有していてもよく、透明でない素材で形成されていてもよい。検体容器6には、検体容器IDを記録したラベル61が貼着されている。例えば、ラベル61には、検体容器IDを表したバーコードが記載されている。
【0014】
検体容器IDには、検体容器6の種類を示す情報と、当該検体容器6に固有であり当該検体容器6を識別するための情報とが含まれている。検体容器IDは、容器識別情報に対応する。検体容器IDは、医療機関及び検査機関で共通して利用される。検体容器IDは、二次元コード等、バーコード以外の形でラベル61に記録されていてもよい。検体容器IDは、検体容器6に直接バーコードを記載する等の方法で、検体容器6に直接に記録されていてもよい。検体容器IDは、電子データとして検体容器6に記録されていてもよい。例えば、検体容器IDを記憶したRF(Radio Frequency )タグが検体容器6に装着されていてもよく、検体容器IDを記憶したメモリが検体容器6に装着されていてもよい。
【0015】
検体容器6は、予め検体容器IDが記録された状態で医療機関へ納入される。例えば、検体容器IDを記録したラベル61が予め貼着された状態で、検体容器6が医療機関へ納入される。被検者から採取された検体は検体容器6に収容される。検体を収容した検体容器6が医療機関から検査機関へ受け渡されることにより、検体が医療機関から検査機関へ受け渡される。検査機関では、検体を受領する際に、検体容器6から検体容器IDを取得し、取得した検体容器IDを用いて検体及び検体を用いた臨床検査の結果を管理する。検査機関では、独自の検体容器IDを検体容器6に付与する作業、検体容器IDをデータベースに記録する作業、及び検体容器6にラベルを貼着する作業は行われない。
【0016】
図3は、検査支援システム100の構成を示す模式図である。検査支援システム100は、検査支援方法を実行するためのシステムである。検査支援システム100は、データを記憶する記憶装置1を備えている。記憶装置1は、インターネット等の通信ネットワークNに接続されている。医療機関20には、臨床検査の内容を含む検査依頼を入力するための入力装置201と、検体を採取する作業を支援する採取支援装置2とが設けられている。入力装置201は、医師等の医療従事者によって操作され、検査依頼が入力される。採取支援装置2は、被検者から検体を採取する作業を行う医師、看護師、准看護師、臨床検査技師等の作業者51によって使用される。入力装置201及び採取支援装置2は、通信ネットワークNに接続されている。入力装置201及び採取支援装置2は、通信ネットワークNを介して記憶装置1との間でデータを送受信する。
【0017】
検査機関30には、検体を受領する作業を支援する受領支援装置3と、臨床検査の状態を出力する出力装置4とが設けられている。受領支援装置3は、検体を受領する作業を行う作業者52によって使用される。例えば、作業者52は、医療機関20から搬送された検体容器6を受け取るか、又は医療機関20から検体容器6を集荷し、受領支援装置3を用いて検体を受領する作業を行う。出力装置4は、臨床検査を行う技師等の使用者によって使用され、臨床検査の進捗状況又は結果を出力する。受領支援装置3及び出力装置4は、通信ネットワークNに接続されている。受領支援装置3及び出力装置4は、通信ネットワークNを介して記憶装置1との間でデータを送受信する。検査機関30では、複数の受領支援装置3及び出力装置4が用いられ得る。
【0018】
検査支援システム100は、複数の医療機関20が利用することが可能である。検査支援システム100には、複数の医療機関20の夫々に設けられた入力装置201及び採取支援装置2が含まれ得る。また、検査支援システム100は、複数の検査機関30が利用することが可能である。検査支援システム100には、複数の検査機関30の夫々に設けられた受領支援装置3及び出力装置4が含まれ得る。
【0019】
図4は、記憶装置1の内部の機能構成例を示すブロック図である。記憶装置1は、サーバ装置等のコンピュータである。記憶装置1は、演算部11と、メモリ12と、記憶部13と、ドライブ部14と、通信部15とを備えている。演算部11は、例えばCPU(Central Processing Unit )、GPU(Graphics Processing Unit)、又はマルチコアCPUを用いて構成されている。演算部11は、量子コンピュータを用いて構成されていてもよい。メモリ12は、演算に伴って発生する一時的なデータを記憶する。メモリ12は、例えばRAM(Random Access Memory)である。記憶部13は、不揮発性であり、例えばハードディスク又は不揮発性半導体メモリである。ドライブ部14は、光ディスク又は可搬型メモリ等の記録媒体10から情報を読み取る。通信部15は、通信ネットワークNを介して、他の装置と通信を行う。
【0020】
演算部11は、記録媒体10に記録されたコンピュータプログラム131をドライブ部14に読み取らせ、読み取ったコンピュータプログラム131を記憶部13に記憶させる。演算部11は、コンピュータプログラム131に従って、記憶装置1に必要な処理を実行する。コンピュータプログラム131はコンピュータプログラム製品であってもよい。コンピュータプログラム131は、記憶装置1の外部からダウンロードされてもよい。又は、コンピュータプログラム131は、記憶部13に予め記憶されていてもよい。これらの場合は、記憶装置1はドライブ部14を備えていなくてもよい。
【0021】
記憶装置1は、医療機関20に設けられていてもよく、検査機関30に設けられていてもよく、医療機関20及び検査機関30以外の場所に設けられていてもよい。記憶装置1は、複数のコンピュータにより構成され、データが複数のコンピュータによって分散して記憶されていてもよく、処理が複数のコンピュータによって分散して実行されてもよい。記憶装置1は、クラウドコンピューティングを利用して実現されてもよく、一台のコンピュータ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されてもよい。
【0022】
記憶部13は、被検者に関するデータを記録した被検者DB(データベース)132を記憶している。被検者DB132は、夫々の被検者について、氏名、年齢及び性別等の個人情報を記録している。また、被検者DB132は、臨床検査において被検者を識別するための被検者ID、検査依頼の履歴、検体採取の履歴、及び臨床検査の結果の履歴等、臨床検査に関する情報を、夫々の被検者について記録している。記憶部13は、被検者から採取される検体に関する情報を記録した検体テーブル133を記憶している。検体テーブル133には、検査依頼の作成及び検体の採取に応じて、検体に関する情報が記録される。また、記憶部13は、臨床検査の結果を記録した検査結果DB134を記憶している。
【0023】
入力装置201は、PC(パーソナルコンピュータ)、スマートフォン又はタブレット型コンピュータ等のコンピュータである。入力装置201は、使用者が操作することによって情報が入力される操作部を備えており、医療従事者が操作部を操作することにより、検査依頼が入力される。例えば、医師が被検者を診察し、診察結果に基づいて臨床検査の内容を決定し、決定された臨床検査の内容を含んだ検査依頼が入力装置201へ入力される。入力装置201は、入力された検査依頼を、通信ネットワークNを介して記憶装置1へ送信する。記憶装置1は、送信された検査依頼を受信し、記憶する。このようにして、検査依頼が作成される。図3には一台の入力装置201を示したが、医療機関20では、複数の入力装置201が用いられ得る。
【0024】
採取支援装置2は、PC、スマートフォン又はタブレット型コンピュータ等のコンピュータである。採取支援装置2は、作業者51からの操作を受け付ける操作部と、画像を表示する表示部と、検体容器6に記録された検体容器IDを読み取る読取部とを備える。例えば、読取部は、カメラ、バーコードリーダ、又はRFタグに記録された情報を近距離無線を利用して読み取るリーダである。図3には一台の採取支援装置2を示したが、医療機関20では、複数の採取支援装置2が用いられ得る。複数の作業者51が複数の採取支援装置2を操作し、夫々の採取支援装置2は記憶装置1と通信を行う。
【0025】
図5は、受領支援装置3の内部の機能構成例を示すブロック図である。受領支援装置3は、PC、スマートフォン又はタブレット型コンピュータ等のコンピュータである。受領支援装置3は、演算部31と、メモリ32と、ドライブ部33と、記憶部34と、操作部35と、表示部36と、読取部37と、通信部38とを備えている。演算部31は、例えばCPU、GPU、又はマルチコアCPUを用いて構成されている。演算部31は、量子コンピュータを用いて構成されていてもよい。メモリ32は、演算に伴って発生する一時的なデータを記憶する。メモリ32は、例えばRAMである。ドライブ部33は、光ディスク又は可搬型メモリ等の記録媒体300から情報を読み取る。記憶部34は、不揮発性であり、例えばハードディスク又は不揮発性半導体メモリである。
【0026】
操作部35は、作業者52からの操作を受け付けることにより、テキスト等の情報の入力を受け付ける。操作部35は、例えばタッチパネル、ペンタブレット、キーボード又はポインティングデバイスである。表示部36は、画像を表示する。表示部36は、例えば液晶ディスプレイ又はELディスプレイ(Electroluminescent Display)である。操作部35及び表示部36は、一体になっていてもよい。読取部37は、検体容器6に記録された検体容器IDを読み取る。例えば、読取部37は、カメラ、バーコードリーダ、又はRFタグに記録された情報を近距離無線を利用して読み取るリーダである。読取部37は取得部に対応する。通信部38は、通信ネットワークNを介して、記憶装置1と通信を行う。記憶装置1は、通信部15から情報を送信し、受領支援装置3は、通信部38で情報を受信し、表示部36で情報を表示する。記憶装置1の通信部15及び受領支援装置3の表示部36は、出力部に対応する。
【0027】
演算部31は、記録媒体300に記録されたコンピュータプログラム341をドライブ部33に読み取らせ、読み取ったコンピュータプログラム341を記憶部34に記憶させる。演算部31は、コンピュータプログラム341に従って、受領支援装置3に必要な処理を実行する。コンピュータプログラム341はコンピュータプログラム製品であってもよい。コンピュータプログラム341は、受領支援装置3の外部からダウンロードされてもよい。例えば、コンピュータプログラム341は、記憶装置1からダウンロードされてもよい。コンピュータプログラム341は、記憶部34ではなく、メモリ32に記憶されてもよい。例えば、コンピュータプログラム341は、検査支援方法に関する処理を実行する際にダウンロードされ、メモリ32に記憶され、検査支援方法に関する処理が終了する際にメモリ32から消去されてもよい。コンピュータプログラム341は、記憶部34に予め記憶されていてもよい。これらの場合は、受領支援装置3はドライブ部23を備えていなくてもよい。
【0028】
図6は、出力装置4の内部の機能構成例を示すブロック図である。出力装置4は、PC、スマートフォン又はタブレット型コンピュータ等のコンピュータである。出力装置4は、演算部41と、メモリ42と、記憶部43と、操作部44と、表示部45と、通信部46とを備えている。演算部41は、例えばCPU、GPU、又はマルチコアCPUを用いて構成されている。演算部41は、量子コンピュータを用いて構成されていてもよい。メモリ42は、演算に伴って発生する一時的なデータを記憶する。メモリ42は、例えばRAMである。記憶部43は、不揮発性であり、例えばハードディスク又は不揮発性半導体メモリである。
【0029】
操作部44は、使用者からの操作を受け付けることにより情報の入力を受け付ける。表示部45は、画像を表示する。操作部44及び表示部45は、一体になっていてもよい。通信部46は、通信ネットワークNを介して、記憶装置1と通信を行う。記憶部43は、コンピュータプログラム431を記憶している。演算部41は、コンピュータプログラム431に従って、出力装置4に必要な処理を実行する。例えば、コンピュータプログラム431は、ダウンロードされ、記憶部43に記憶される。コンピュータプログラム431はコンピュータプログラム製品であってもよい。
【0030】
図3には一台の受領支援装置3及び出力装置4を示したが、検査機関30では、複数の受領支援装置3又は出力装置4が用いられ得る。複数の作業者52が複数の受領支援装置3を操作し、夫々の受領支援装置3は記憶装置1と通信を行う。又は、複数の使用者が複数の出力装置4を操作し、夫々の出力装置4は記憶装置1と通信を行う。複数の検査機関30が存在する場合、記憶装置1は、通信ネットワークNを介して、複数の検査機関30に設けられた受領支援装置3又は出力装置4と通信を行う。
【0031】
以下に、検査支援システム100が実行する処理を説明する。医療機関20では、医療従事者が入力装置201を操作し、検査依頼が入力装置201へ入力される。入力装置201は、検査依頼を記憶装置1へ送信する。記憶装置1は、入力装置201から送信された検査依頼を通信部15で受信する。記憶装置1の演算部11は、被検者IDに関連付けて検査依頼を被検者DB132に記録する。演算部11は、検査依頼の内容に応じて、具体的な検査内容を指定した一又は複数の検査項目を決定し、検査項目を実行するために必要な検体に関する情報を検体テーブル133に記録する。検体テーブル133には、検査依頼IDに関連付けて、検体容器種別、及び検査項目が記録される。検査依頼IDは、一人の被検者に関して依頼された一回の臨床検査を識別するための情報である。検査依頼IDは検査識別情報に対応する。検査依頼IDは、一回の臨床検査に固有の情報である。検体容器種別は、被検者から採取した検体を収容するための検体容器6の種類を示す。検体容器種別は容器種類情報に対応する。
【0032】
作業者51が検体の採取を行う前に、採取支援装置2は、検体の採取に関する情報を検体テーブル133から読み出す。検体の採取に関する情報には、検体容器種別が含まれている。採取支援装置2は、画像を表示部に表示することにより、検査依頼ID及び検体容器種別を含む検体の採取に関する情報を出力する。採取支援装置2は、次に、採取した検体を収容すべき検体容器6の検体容器IDを取得する。例えば、複数種類の検体容器6が作業者51の手元に用意されており、作業者51は、検体容器種別が出力された検体容器6を選び、読取部が検体容器6から検体容器IDを読み取ることにより、検体容器IDが取得される。
【0033】
採取支援装置2は、取得した検体容器IDが示す検体容器6の種類と、検体容器種別が示す検体容器6の種類とが一致するか否かを判定する。検体容器IDが示す検体容器6の種類と検体容器種別が示す検体容器6の種類とが一致しない場合は、採取支援装置2は、検体容器6の種類が異なることを示すエラーを出力する。エラーは、誤った種類の検体容器6から検体容器IDを取得した場合に発生する。エラーが出力された場合は、作業者51は、別の種類の検体容器6を選択し、再度、検体容器6から検体容器IDが取得される。このようにして、検体を収容する検体容器6の種類を取り違えることが防止される。検体容器IDが示す検体容器6の種類と検体容器種別が示す検体容器6の種類とが一致する場合は、採取支援装置2は、画像を表示部に表示することにより、取得した検体容器IDを検査依頼ID及び検体容器種別に関連付けて出力する。これにより、作業者51は、採取した検体を収容すべき検体容器6の種類を確認することができる。
【0034】
採取支援装置2は、検体容器6の種類が一致した検体容器IDを記憶装置1へ送信する。記憶装置1は、検体容器IDを通信部15で受信し、演算部11は、検査依頼IDと、取得した検体容器IDが示す検体容器6の種類に一致する種類を示す検体容器種別とに関連付けて、検体容器IDを検体テーブル133に記録することにより、検体容器IDを記憶部13に記憶する。その後、作業者51は、被検者から検体を採取する作業を行う。例えば、作業者51は採血を行う。作業者51は、取得した検体容器IDが記録されている検体容器6に、採取した検体を収容する。検体の採取が終了した後、採取支援装置2は、検体が採取されたことを受け付け、記憶装置1は、検体が採取済であることを検体テーブル133に記録することにより、検体が採取されたことを記憶部13に記憶する。
【0035】
図7は、検体が採取された後の状態の検体テーブル133の内容例を示す概念図である。検体テーブル133には、検査依頼IDに関連付けて、検体容器種別、検体容器ID、ステータス、合計検体採取量、検査項目、分注量、確認項目、確認項目内容、確認項目の確認が必須であるか又は任意であるかの指定、及び確認入力URL(Uniform Resource Locator)が記録されている。図7に示す例では、一つの検査依頼IDに対して複数の検体容器種別及び検体容器IDが関連付けられている。
【0036】
ステータスは、検体の状態を示す。図7に示す例では、ステータスとして、検体が採取済であることが記録されている。合計検体採取量は、検体容器6に収容される検体の採取量である。保存温度は、検体を保存する際の温度である。分注量は、検査項目を実行するために必要な検体の量である。確認項目は、検査項目を実行するにあたって確認が必要な情報である。確認項目内容は、確認された確認項目の内容である。確認項目には、確認が必須である情報と、確認が任意である情報とがあり、いずれかが指定されている。確認入力URLは、確認項目の入力用のリンクである。
【0037】
一つの臨床検査では、一又は複数の検査項目が行われる。図7に示す例では、検査依頼ID「001」で識別される臨床検査で検査W、検査X、検査Y及び検査Zが行われるとされ、検査依頼ID「001」に関連付けて、検査項目として検査W、検査X、検査Y及び検査Zが記録されている。検査項目によって必要な検体の量が定まっており、検査項目に応じて分注量が決まり、検査項目に関連付けて分注量が記録されている。検査項目によって検体の保存温度が定まっており、検査項目に関連付けて保存温度が記録されている。
【0038】
保存温度が同一である複数の検査項目に係る検体は、同一の検体容器6に収容して保存することが可能である。複数の検査項目に係る検体が一つの検体容器6に収容される場合は、一つの検体容器種別及び検体容器IDに関連付けて複数の検査項目が記録されている。一つの検体容器6に収容される検体が用いられる複数の検査項目に関連付けられた分注量の合計が、合計検体採取量となる。検体が血液以外である場合は、検体テーブル133には、検体の種類を示す情報が記録されてもよい。
【0039】
検体テーブル133によって、検査依頼IDで識別される臨床検査に用いられる検体が何れの検体容器6に収容されているのかが整理されている。また、検体容器IDに関連付けて、夫々の検体容器6に収容されている検体が何れの臨床検査の何れの検査項目で用いられるものかが、検体テーブル133に記録されている。このように、検体テーブル133によって、臨床検査に必要な情報が、検査依頼ID及び検体容器IDに関連付けて管理される。また、検体容器6に予め記録されている検体容器IDを利用することによって、検体容器IDが記録されたラベル61を作成して検体容器6に貼付する等の、検体容器6に検体容器IDを付与するための作業が医療機関20では不必要となる。このため、医療機関20での検体の採取に伴う作業が減少する。
【0040】
検体を収容した検体容器6は、医療機関20から検査機関30へ受け渡される。例えば、検体を収容した検体容器6は、医療機関20から検査機関30へ搬送されるか、又は、作業者52によって医療機関20から集荷され、検査機関30へ運ばれる。検査機関30では、受け渡された検体容器6に記録された検体容器IDを取得し、検体容器6に収容された検体が検査依頼に定められた臨床検査に用いられる検体であることを確認することにより、検体を受領する。
【0041】
図8及び図9は、検査支援システム100が実行する検体の受領を支援するための処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、ステップをSと略す。記憶装置1の演算部11は、コンピュータプログラム131に従って処理を実行し、受領支援装置3の演算部31は、コンピュータプログラム341に従って処理を実行する。例えば、検体の受領を支援するための処理は、医療機関20から搬送された検体容器6が検査機関30に納品された際、又は作業者52が検体容器6を集荷する際に、実行される。
【0042】
検体の受領が行われる前に、受領支援装置3は、受領すべき検体に関する情報を検体テーブル133から読み出し、出力する(S1)。S1では、例えば、検体を受領する作業を行う作業者52は、操作部35を操作して、検体又は検査依頼を特定するための情報を採取支援装置2へ入力する。例えば、検査依頼IDが入力される。検体又は検査依頼を特定するための情報は、読取部37によって取得されてもよい。
【0043】
演算部31は、検体又は検査依頼を特定するための情報を、通信部38から、通信ネットワークNを介して記憶装置1へ送信する。記憶装置1は通信部15で検体又は検査依頼を特定するための情報を受信する。演算部11は、検体又は検査依頼を特定するための情報に関連付けられた検体に関する情報を検体テーブル133から読み出す。例えば、検査依頼IDに関連付けられた情報が検体テーブル133から読み出される。演算部11は、読み出した情報を、通信部15から、通信ネットワークNを介して受領支援装置3へ送信する。受領支援装置3は、情報を通信部38で受信し、演算部31は、受領すべき検体に関する情報を表した受領支援画像を表示部36に表示することによって、受領すべき検体に関する情報を出力する。
【0044】
なお、受領支援装置3は、検体又は検査依頼を特定するための情報を用いずに、検体に関する情報を読出してもよい。例えば、受領支援装置3は、検体に関する情報の要求を記憶装置1へ送信する。演算部11は、検体テーブル133からステータスが「検体採取済」になっている検体に関する情報を読み出す。即ち、「検体採取済」というステータスに関連付けられている検体容器ID等の検体に関する情報が、検体テーブル133から読み出される。或は、検体テーブル133に、検体が送付された日時、又は送付済を示す情報が記録されており、演算部11は、これらの情報に基づいて検体に関する情報を読出してもよい。記憶装置1は、読み出した情報を受領支援装置3へ送信し、受領支援装置3は受信した情報を出力する。
【0045】
図10は、受領支援画像の例を示す模式図である。演算部31は、記憶装置1から受信した情報に従って受領支援画像を作成し、表示部36に受領支援画像を表示する。受領支援画像には、検体のステータス、検体容器ID、検査依頼ID、検体容器種別、合計検体採取量、保存温度、確認項目、確認項目内容、確認項目の確認が必須であるか又は任意であるかの指定、及び確認入力URLが含まれている。受領すべき検体が収容されている検体容器6の検体容器IDの一覧が表示されており、検体容器IDに夫々の情報が関連付けられている。検体容器IDの一覧が表示されることにより、作業者52は、受領すべき検体が収容された検体容器6がどの程度の量存在するのかを知ることができる。
【0046】
ステータスは「受領確認待ち」となっており、各検体がまだ受領されていないことを示している。確認項目の内容が記録されていない検体については、ステータスとして、更に、兄用が記録されていない確認項目があることが表示される。ステータス以外の情報は、検体テーブル133に記録されている情報と同等である。受領支援画像が表示されることにより、受領すべき検体に関する情報が表示される。
【0047】
受領支援装置3は、次に、検体容器6の検体容器IDを取得する(S2)。S2では、作業者52が検体容器6の中から一つの検体容器6を選び、読取部37は検体容器6から検体容器IDを読み取り、演算部31は、読み取られた検体容器IDを取得する。読取部37は、検体容器6に予め記録されている検体容器IDを読み取る。例えば、読取部37を作業者52が検体容器6へ近づけ、ラベル61に記録されているバーコードを読取部37が読み取ることにより、バーコードが表す検体容器IDが読み取られる。RFタグが検体容器6に装着されている場合は、読取部37は、RFタグに記録された検体容器IDを近距離無線を利用して読み取る。
【0048】
受領支援装置3は、次に、取得した検体容器IDが受領すべき検体の検体容器IDとして記録されているか否かを判定する(S3)。S3では、演算部31は、取得した検体容器IDと、検体テーブル133から読み出した情報に含まれる検体容器IDとが一致するか否かを判定する。演算部31は、検体テーブル133を参照し、取得した検体容器IDが検体テーブル133に受領すべき検体の検体容器IDとして記録されているか否かを判定してもよい。取得した検体容器IDが記録されていない場合は(S3:NO)、受領支援装置3は、エラーを出力し(S4)、処理をS2へ戻す。S4では、演算部31は、エラーを表した画像を表示部36に表示する。
【0049】
エラーが出力された場合は、作業者52は、誤った検体を受領したことを確認することができ、必要な検体を受領すべく作業を継続する。例えば、誤った検体容器6を集荷した場合に、エラーが出力され、作業者52は、誤った検体容器6を集荷したことに気付き、誤った検体容器6を集荷することを止め、改めて必要な検体容器6を集荷することができる。このように、誤った検体を受領することが抑制される。
【0050】
取得した検体容器IDが受領すべき検体の検体容器IDとして記録されている場合は(S3:YES)、記憶装置1は、取得した検体容器IDを記録し当該検体容器IDで識別される検体容器6に収容された検体を受領したことを記憶する(S5)。S5では、演算部31は、取得した検体容器IDを通信部38から記憶装置1へ送信する。記憶装置1は、検体容器IDを通信部15で受信し、演算部11は、取得した検体容器IDに関連付けて、ステータスとして検体の受領を確認したことを検体テーブル133に記録することにより、検体を受領したことを記憶する。
【0051】
受領支援装置3は、次に、取得した検体容器IDで識別される検体容器6に収容された検体を受領したことを出力する(S6)。S6では、演算部31は、取得した検体容器IDに関連付けられたステータスを、検体を受領したことを示すように受領支援画像を修正し、修正した受領支援画像を表示部36に表示する。例えば、取得した検体容器IDに関連付けられたステータスは、「受領確認待ち」から「受領確認完了」へ修正される。作業者52は、受領支援画像を視認し、取得した検体容器IDで識別される検体容器6に収容された検体を受領したことを確認することができる。
【0052】
受領支援装置3は、次に、受領すべき検体に係る全ての検体容器IDを取得したか否かを判定する(S7)。S7では、演算部31は、検体テーブル133から読み出した情報に含まれる全ての検体容器IDを取得したか否かを判定する。演算部31は、検体テーブル133を参照し、受領すべき検体の検体容器IDとして検体テーブル133に記録されている全ての検体容器IDを取得したか否かを判定してもよい。例えば、作業者52が操作部35を操作することにより、処理を進める指示が入力された場合に、演算部31は、S7の処理を行う。演算部31は、処理を進める指示が入力されずとも、S7の処理を実行してもよい。
【0053】
取得していない検体容器IDがある場合は(S7:NO)、受領支援装置3は、受領していない検体があることを出力し(S8)、処理をS2へ戻す。例えば、検体テーブル133から読み出した情報に未だ取得していない検体容器IDが含まれている場合に、演算部31は、受領すべき検体の中にまだ受領していない検体があると判定する。S8では、演算部31は、受領していない検体があることを通知する画像を作成し、表示部36に表示する。演算部31は、未だ取得していない検体容器IDを表示してもよい。
【0054】
図11は、受領していない検体があることを通知する画像の例を示す模式図である。受領支援画像に重ねて、未だ取得していない検体容器IDと、当該検体容器IDで識別される検体容器が不足していることとが表示される。図11に示す例では、作業者52が操作部35を操作し、クリック等の方法で画像上で「OK」を表した部分が指定されることに応じて、演算部31は、受領していない検体があることを通知する画像の表示を終了する。作業者52は、まだ受領していない検体があることを確認することができ、まだ受領していない検体を受領すべく作業を継続する。例えば、検体容器6の集荷漏れがあった場合に、受領していない検体があることが出力され、作業者52は、集荷漏れがあったことに気付き、改めて必要な検体容器6を集荷することができる。このように、検体の受領に漏れが生じることが抑制される。
【0055】
受領すべき検体に係る全ての検体容器IDを取得している場合は(S7:YES)、受領支援装置3は、受領すべき全ての検体を受領したことを出力する(S9)。S9では、演算部31は、全ての検体を受領したことを通知する画像を作成し、表示部36に表示する。図12は、全ての検体を受領したことを通知する画像の例を示す模式図である。受領支援画像に重ねて、受領すべき検体が収容された全ての検体容器6の検体容器IDが確認されたことが表示される。図12に示す例では、画像上で「OK」を表した部分が指定されることに応じて、演算部31は、全ての検体を受領したことを通知する画像の表示を終了する。作業者52は、受領すべき検体を受領したことを確認することができる。検体を受領したことを確認するまで受領の作業が行われることで、検体の受領に漏れが生じることが防止される。
【0056】
受領支援装置3は、次に、取得した検体容器IDの一覧を出力する(S10)。S10では、演算部31は、受領すべき検体が収容された全ての検体容器6の検体容器IDに関連付けられたステータスを、検体を受領したことを示すように受領支援画像を修正し、修正した受領支援画像を表示部36に表示する。例えば、全ての検体容器IDに関連付けられたステータスが、「受領確認待ち」から「受領確認完了」へ修正される。作業者52は、受領支援画像を視認し、受領すべき検体を全て受領したことを確認することができる。
【0057】
受領支援装置3は、取得した検体容器IDに、内容が記録されていない確認項目が関連付けられているか否かを判定する(S11)。S11では、演算部31は、受領すべき検体に関する情報に含まれている検体容器IDに関連付けられた確認項目の中に、内容が関連付けられていない確認項目があるか否かを判定する。演算部31は、検体テーブル133にアクセスして、検体容器IDに関連付けられており内容が関連付けられていない確認項目があるか否かを判定してもよい。内容が記録されていない確認項目が無い場合は(S11:NO)、受領支援装置3は、処理を終了する。
【0058】
取得した検体容器IDに、内容が記録されていない確認項目が関連付けられている場合は(S11:YES)、受領支援装置3は、内容が記録されていない確認項目があることを出力する(S12)。S11では、演算部31は、内容が記録されていない確認項目があることを通知する画像を作成し、表示部36に表示する。図13は、内容が記録されていない確認項目があることを通知する画像の例を示す模式図である。受領支援画像に重ねて、内容が記録されていない確認項目があることが表示され、内容の確認のための作業を行う指示が表示される。図13に示す例では、確認項目の内容の確認のために、「確認項目」と記載されたタブを開くように指示される。図13に示す例では、画像上で「OK」を表した部分が指定されることに応じて、演算部31は、内容が記録されていない確認項目があることを通知する画像の表示を終了する。
【0059】
受領支援装置3は、次に、内容が確認されていない確認項目の一覧を出力する(S13)。例えば、作業者52が操作部35を操作し、「確認項目」と記載されたタブを開く指示が入力されることに応じて、S13が実行される。S13では、演算部31は、内容が確認されていない確認項目の一覧を表した画像を作成し、表示部36に表示する。
【0060】
図14は、内容が確認されていない確認項目の一覧を表した画像の例を示す模式図である。S13では、演算部31は、取得した検体容器IDに関連付けられた情報の中から、内容が確認されていない確認項目に関連付けられた情報を抽出し、抽出した情報を表す画像を作成する。検体容器IDに関連付けて、確認項目が表示される。確認項目の一覧が受領支援画像と切り替えて表示されることにより、作業者52は、確認項目があることを容易に認識することができる。
【0061】
図14には、確認項目の内容が記録されていないことを示すマーク361を付加した採取支援画像の例を示している。マーク361が表示されることにより、作業者52は、確認項目の内容が記録されていないことを認識することができる。例えば、S13では、演算部31は、確認項目の確認が必須であるか又は任意であるかに応じて異なるマーク361を表示する。図14では、マーク361の色が異なる例を示している。マーク361の形又は大きさ等、色以外の要素が異なっていてもよい。確認項目の確認が必須であるか又は任意であるかに応じて、異なるマーク361が表示されることにより、作業者52は、確認項目の確認が必須であるか又は任意であるかを認識することができる。
【0062】
受領支援装置3は、次に、確認項目の指定を受け付ける(S14)。S14では、演算部31は、作業者52が操作部35を操作し、クリック等の方法で確認項目の一覧の中から一の確認項目が指定されることによって、確認項目の指定を受け付ける。受領支援装置3は、指定された確認項目の内容の確認が必須であるか否かを判定する(S15)。S15では、演算部31は、指定された確認項目に、確認項目の確認が必須であることが関連付けられているか、又は、確認項目の確認が任意であることが関連付けられているかを判定する。
【0063】
確認項目の内容の確認が必須である場合は(S15:YES)、受領支援装置3は、確認項目の確認依頼を出力する(S16)。S16では、演算部31は、指定された確認項目の確認依頼を表した画像を作成し、確認項目の一覧に重ねて表示部36に表示する。図15は、確認項目の確認依頼を表した画像の例を示す模式図である。確認項目に関連付けられた検体容器ID、検査依頼ID及び検体容器種別が表示されており、確認項目の内容を入力することの指示が表示される。図15に示す例では、確認項目は、検査のために検体と反応させる薬剤であり、検査を行うために薬剤を指定することが必須となっている。確認項目の内容を入力方法として、薬剤の写真を撮影することが指示されている。
【0064】
受領支援装置3は、次に、確認項目の内容を受け付ける(S17)。S17では、例えば、カメラである読取部37が薬剤の写真を撮影することにより、演算部31は、確認項目の内容を受け付ける。S17では、その他の方法で確認項目の内容が受け付けられてもよい。例えば、作業者52が操作部35を操作し、薬剤の名称を入力することにより、確認項目の内容が受け付けられてもよい。
【0065】
確認項目の内容の確認が任意である場合は(S15:NO)、受領支援装置3は、受領支援装置3は、確認項目の内容が確認されない場合の注意事項を含む、確認項目の確認依頼を出力する(S18)。S18では、演算部31は、指定された確認項目の確認依頼を表し注意事項を含んだ画像を、作成し、確認項目の一覧に重ねて表示部36に表示する。
【0066】
図16は、内容の確認が任意である確認項目の確認依頼を表した画像の例を示す模式図である。確認項目に関連付けられた検体容器ID、検査依頼ID及び検体容器種別が表示されており、確認項目の内容を入力することの指示が表示される。図16に示す例では、確認項目は年齢である。検査項目によっては、より正確に診断を行うために、検査結果を年齢に応じて補正することがある。このため、正確な診断のためには、年齢が確認されていることが望ましい。年齢が不明な場合は、検査結果の補正ができず、診断の精度が低下する虞がある。年齢の入力が無い場合は検査結果の補正ができないことを示す注意事項が、表示される。注意事項が表示されることにより、作業者52は、確認項目の内容を指定しないことのデメリットを考慮に入れた上で、確認項目の内容を指定するか又は指定しないのかを判断することができる。
【0067】
受領支援装置3は、次に、確認項目の内容、又は確認項目の内容を指定しないことを受け付ける(S19)。S19では、例えば、作業者52が操作部35を操作し、確認項目の内容を入力することにより、演算部31は、確認項目の内容を受け付ける。確認項目の内容の入力は、選択式であってもよい。例えば、作業者52が操作部35を操作し、図16に示す例において「キャンセル」を表した部分が指定されることにより、演算部31は、確認項目の内容を指定しないことを受け付ける。
【0068】
S16~S19では、受領支援装置3は、確認項目に応じた確認依頼を出力する。例えば、確認項目と確認依頼の文面とを関連付けて記録した図示しないデータベースを記憶装置1の記憶部13が記憶しており、演算部31は、このデータベースにアクセスし、確認項目に応じた確認依頼を作成する。内容の確認が必須である確認項目は、薬剤以外であってもよい。例えば、内容の確認が必須である確認項目の一例として、検査項目に必要な薬剤が麻薬でないことを証明する医師の署名があり得る。受領支援装置3は、S17で、確認項目の内容として、医師の署名を受け付ける。内容の確認が必須である確認項目の例としては、性別又は体重等があり得る。
【0069】
S17又はS19が終了した後は、受領支援装置3は、全ての確認項目が確認されたか否かを判定する(S20)。S20では、演算部31は、内容が確認されていなかった確認項目が全て確認されたか否かを判定する。内容の確認が必須である確認項目については、演算部31は、内容が受け付けられている場合に、確認項目が確認されたと判定する。内容の確認が任意である確認項目については、演算部31は、内容が受け付けられている場合に確認項目が確認されたと判定し、確認項目の内容を指定しないことが受け付けられている場合にも、確認項目が確認されたと判定する。確認されていな確認項目がまだある場合は(S20:NO)、演算部31は、処理をS13へ戻す。
【0070】
全ての確認項目が確認された場合は(S20:YES)、記憶装置1は、検体容器IDに関連付けて、確認項目の内容を記憶する(S21)。S21では、演算部31は、得られた確認項目の内容を、検体容器IDに関連付けた状態で、通信部38から記憶装置1へ送信する。記憶装置1は、確認項目の内容を通信部15で受信する。演算部11は、検体容器IDに関連付けて、確認項目の内容を検体テーブル133に記録することにより、確認項目の内容を記憶部13に記憶する。例えば、確認入力URLを用いて、確認項目の内容が記録されるべきアドレスにアクセスが行われ、確認項目の内容が記録される。確認項目の内容が検体テーブル133に記録されることによって、臨床検査に必要な情報が記録され、記録された確認項目の内容を利用して適切な臨床検査が可能となる。なお、確認項目の内容の記憶は、S20の後ではなく、S20の前に行われてもよい。
【0071】
受領支援装置3は、次に、全ての確認項目が確認されたことを出力する(S22)。S22では、演算部31は、全ての確認項目が確認されたことを通知する画像を作成し、表示部36に表示する。図17は、全ての確認項目が確認されたことを通知する画像の例を示す模式図である。受領支援画像は、内容が確認されていなかった確認項目の内容が全て確認済みであることを示す。また、受領支援画像に重ねて、全ての確認項目について確認が行われたことが表示される。
【0072】
S22が終了した後は、検査支援システム100は、検体の受領を支援するための処理を終了する。S1~S22の処理は、検体を収容した検体容器6が検査機関30に納品される都度、又は作業者52が検体容器6を集荷する都度、実行される。S1~S22の処理の内、前述の説明で受領支援装置3の演算部31が実行すると述べた処理の一部又は全部は、記憶装置1の演算部11が実行してもよい。例えば、演算部11は、通信ネットワークNを介して、受領支援装置3の操作部35及び表示部36を制御することによって、処理を実行してもよい。受領支援装置3及び記憶装置1は、検査支援装置に対応する。
【0073】
受領された検体は検体容器IDに基づいて管理され、検体容器IDに関連付けて検体テーブル133に記録されている情報に従って、検体を用いた臨床検査が行われる。例えば、検体容器IDで識別される検体容器6に収容されている検体を用いて、検体容器IDに関連付けられている検査項目が実行される。臨床検査の結果には、夫々の検査項目を行った結果が含まれる。臨床検査の結果は、検査機関30で用いられる図示しない検査装置等の情報処理装置から、記憶装置1へ送信される。検査結果DB134には、検査依頼ID及び検体容器IDに関連付けて、夫々の検査項目による結果が記録される。
【0074】
出力装置4は、通信ネットワークNを介して記憶装置1へアクセスし、検査結果DB134に記録された臨床検査の結果を出力する。検査支援システム100は、臨床検査の結果に応じて、追加の臨床検査を推薦する処理を行うことができる。図18は、検査支援システム100が実行する追加の臨床検査を推薦する処理の手順を示すフローチャートである。出力装置4の演算部41は、コンピュータプログラム431に従って処理を実行する。
【0075】
出力装置4は、臨床検査の結果が追加の臨床検査である追加検査を行うべきパターンに該当するか否かを判定する(S31)。S31では、演算部41は、通信ネットワークNを介して検査結果DB134にアクセスし、検査依頼IDに基づいて、臨床検査の結果を取得する。演算部41は、追加の臨床検査についてのルールを記録した図示しないルールDBを参照する。ルールDBは、記憶装置1の記憶部13に記憶されていてもよく、記憶装置1の外部で記憶されており、通信ネットワークNを介してアクセスされてもよい。ルールDBには、追加検査を行うべきとされる検査項目及び検査結果の組み合わせのパターンが記録されている。検査項目及び検査結果の組み合わせのパターンには、行うべき追加検査が関連付けられている。一つのパターンには、複数の検査項目及び検査結果の組み合わせが含まれていてもよい。演算部41は、取得した臨床検査の結果に含まれる検査項目及び検査結果の組み合わせが、ルールDBに記録されたパターンに該当するか否かを判定する。
【0076】
臨床検査の結果が追加検査を行うべきパターンに該当しない場合は(S31:NO)、出力装置4は、追加の臨床検査を推薦する処理を終了する。臨床検査の結果が追加検査を行うべきパターンに該当する場合は(S31:YES)、出力装置4は、行うべき追加検査に必要な検体があるか否かを判定する(S32)。例えば、臨床検査を終了した後で残っている検体の量(検体残量)は、検体テーブル133又は検査結果DB134に検査依頼IDに関連付けて記録されている。S32では、演算部41は、検査依頼IDに基づいて検体残量を読み出し、検体残量が追加検査に必要な検体の量を満たすか否かを判定する。追加検査に必要な検体の量は、ルールDB、又は夫々の検査項目に必要な検体の量を記録した図示しないDBに記録されている。演算部41は、これらのデータベースを参照し、判定を行う。
【0077】
必要な検体が無い場合は(S32:NO)、出力装置4は、追加の臨床検査を推薦する処理を終了する。必要な検体がある場合は(S32:YES)、出力装置4は、追加検査を行う時間があるか否かを判定する(S33)。例えば、臨床検査の報告を行うための期限は、検体テーブル133又は検査結果DB134に検査依頼IDに関連付けて記録されている。S33では、出力装置4は、期限までに追加検査を行うための時間が残っているか否かを判定する。
【0078】
追加検査を行う時間が無い場合は(S33:NO)、出力装置4は、追加の臨床検査を推薦する処理を終了する。追加検査を行う時間がある場合は(S33:YES)、出力装置4は、臨床検査に関係する保険に問題があるか否かを判定する(S34)。例えば、被検者に適用される保険を特定する情報は、被検者DB132に記録されており、保険の詳細は図示しない保険DBに記録されている。S34では、演算部41は、保険の詳細を参照し、既に実行された検査項目と追加検査との組み合わせが保険適用されるか否か、保険点数が高くなり過ぎないか等、保険に関して問題があるか否かを判定する。
【0079】
保険に問題がある場合は(S34:YES)、出力装置4は、追加の臨床検査を推薦する処理を終了する。保険に問題が無い場合は(S34:NO)、出力装置4は、追加検査を推薦する(S35)。S35では、演算部41は、行うべき追加検査の内容を通知するための画像を作成し、表示部45に表示する。S35が終了した後は、出力装置4は、追加の臨床検査を推薦する処理を終了する。使用者は、出力装置4により出力された追加検査の内容を確認し、追加検査を実行する。追加検査の結果は、検査結果DB134に記録される。S31~S35の処理は、夫々の検査依頼IDについて実行される。なお、S32又はS33の一方は省略されてもよい。
【0080】
追加の臨床検査を推薦する処理は、学習モデルを用いて行われてもよい。例えば、学習モデルの学習を行うために、臨床検査の結果と、臨床検査の結果に対して行うべき追加検査の内容を医療従事者が判断した結果とを含む訓練データを用いる。訓練データを利用して、臨床検査の結果を学習モデルへ入力した場合に行うべき追加検査の内容を学習モデルが出力するように、学習モデルを学習する。出力装置4は、学習済みの学習モデルを備え、S31の処理に替えて、臨床検査の結果を学習モデルへ入力し、学習モデルが出力する追加検査の内容を取得する処理を行ってもよい。学習モデルは、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン、又はニューラルネットワーク等のアルゴリズムを用いて構成される。
【0081】
追加の臨床検査を推薦する処理の内、前述の説明で出力装置4の演算部41が実行すると述べた処理の一部又は全部は、記憶装置1の演算部11が実行してもよい。例えば、演算部11は、通信ネットワークNを介して、出力装置4の操作部44及び表示部45を制御することによって、処理を実行してもよい。
【0082】
追加検査の結果を含む臨床検査の結果は、検査結果DB134に記録される。複数の検査機関30が存在する場合、記憶装置1は、通信ネットワークNを介して、複数の検査機関30に設けられた受領支援装置3及び出力装置4と通信を行う。検査結果DB134に記憶された臨床検査の結果は、医療機関20又は被検者に報告される。例えば、検査結果DB134に記録された臨床検査の結果のアドレスが医療機関20へ通知され、アドレスを利用した臨床検査の結果が医療機関20から参照され、被検者に通知される。臨床検査の結果が検査結果DB134に記録されることによって、臨床検査の結果の利用が容易となる。
【0083】
以上詳述した如く、本実施形態においては、検体容器6に予め検体容器IDが記録されている。医療機関20で検体が採取され、検査依頼IDと採取された検体を収容した検体容器6の検体容器IDとが検体テーブル133に記録される。検体を収容した検体容器6は検査機関30へ受け渡される。検査機関30では、受領すべき検体に関する検査依頼ID及び検体容器IDを出力し、受け渡された検体容器6から検体容器IDを取得し、取得した検体容器IDで識別される検体容器6に収容された検体を受領したことを記憶及び出力する。検体容器6に予め記録されており、医療機関20及び検査機関30で共通して利用される検体容器IDに基づいて、検体が管理される。検査機関30独自の識別情報を検体容器6に関連付け、識別情報を記録したラベルを検体容器6に貼付し直す等の、独自の識別情報を用いて検体を管理するための作業が検査機関30では不必要となる。このため、検査機関30での検体の受領に伴う作業が減少し、検査機関30で行われる臨床検査に必要な時間が短縮される。
【0084】
受領すべき検体を収容した検体容器6の検体容器IDは記録されており、検体を収容した検体容器6から検体容器IDを取得することにより、受領すべき検体を実際に受領したことを確認することができる。また、受領すべき検体を収容した検体容器6の検体容器IDを取得していない場合は、受領すべき検体を実際には受領していないことを確認することができる。これにより、検査機関30において臨床検査に用いられる検体の受領に失敗することを抑制することができる。
【0085】
また、本実施形態では、検体容器6に予め記録されている検体容器IDを用いて検体を管理するので、検査機関30毎に独自に検体容器IDを扱うためのシステムを構築する必要が無い。このため、臨床検査のために必要なシステムのコストが低減される。
【0086】
本発明は上述した実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
100 検査支援システム
1 記憶装置
10 記録媒体
131 コンピュータプログラム
133 検体テーブル
201 入力装置
2 採取支援装置
3 受領支援装置
300 記録媒体
341 コンピュータプログラム
37 読取部
4 出力装置
51、52 作業者
6 検体容器
61 ラベル
N 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18