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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038727
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】両面静電印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 1/30 20060101AFI20230310BHJP
   H05K 3/12 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
B41M1/30 E
H05K3/12 630A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145598
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】522278718
【氏名又は名称】株式会社電気印刷研究所
(72)【発明者】
【氏名】三谷 雄二
(72)【発明者】
【氏名】本庄 和彦
【テーマコード(参考)】
2H113
5E343
【Fターム(参考)】
2H113AA01
2H113BA31
2H113BB07
2H113BB22
2H113BB32
2H113DA03
2H113DA07
2H113DA14
2H113FA04
2H113FA06
2H113FA09
2H113FA10
2H113FA22
2H113FA40
5E343AA26
5E343BB24
5E343BB78
5E343DD21
5E343DD72
5E343GG08
5E343GG20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】受像シートの両面に設計値通りの精度で両パターンを形成できるようにする。
【解決手段】原版Aは全面均一な導電性を持った電極21と、版層22とから構成される。マスクシートMは導電性材料のみの成型体または絶縁性材料と導電性材料の積層体からなる。受像シート10は電極11である導電層と該導電層の両面に積層された受像層とから構成される。受像シートの一方の受像層に原版の版層またはマスクシートのいずれか、受像シートの他方の受像層に原版の版層またはマスクシートのいずれかを密着させる。受像シート両面で、原版の電極と受像シートの電極との間に電圧を印加することよる放電イオン生成またはマスクシート越しのイオン照射を行うことにより、受像シート両面の受像層上に、静電気パターンを形成する。
【選択図】図3(2)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原版Aは全面均一な導電性を持った第2電極と、前記第2電極上に密着一体となり適正な均一厚みを持った電気絶縁性あるいは導電性あるいは半導電性を持った材料からなる版層とから構成され、該版層に凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンが形成されている。原版Bは全面均一な導電性を持った第3電極と、前記第3電極上に密着一体となり適正な均一厚みを持った電気絶縁性あるいは導電性あるいは半導電性を持った材料からなる版層とから構成され、該版層に凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンが形成されている。受像シートは第1電極である導電層と該導電層の両面に積層された受像層とから構成される。前記原版Aと前記原版Bを互いの版層同士が向かい合うように間隔を空けて配置し、前記受像シートを原版Aと原版B間に配置する。前記原版Aの版層と前記受像シートの原版A側の受像層、および前記原版Bの版層と前記受像シートの原版B側の受像層を密着させ、前記原版Aの第2電極と前記受像シートの第1電極との間および前記原版Bの第3電極と前記受像シートの第1電極との間に、前記原版Aの版層および前記原版Bの版層の凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンの空隙を放電させるに足る適正な電圧を印加することによって、受像シート片面の受像層上に、原版Aの版層の凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンに対応した静電気パターン、受像シート反対面の受像層上に、原版Bの版層の凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンに対応した静電気パターンを形成することを特徴とする両面静電印刷方法。
【請求項2】
マスクシートMは導電性材料のみの成型体または絶縁性材料と導電性材料の積層体からなり、かつ所定のイオン透過性開口部を備えている。マスクシートLは導電性材料のみの成型体または絶縁性材料と導電性材料の積層体からなり、かつ所定のイオン透過性開口部を備えている。受像シートは第1電極である導電層と該導電層の両面に積層された受像層とから構成される。前記マスクシートMと前記マスクシートLを向かい合うように間隔を空けて配置し、前記受像シートをマスクシートMとマスクシートL間に配置する。前記マスクシートMと前記受像シートのマスクシートM側の受像層、および前記マスクシートLと前記受像シートのマスクシートL側の受像層を密着させ、マスクシートM越し、およびマスクシートL越しにイオン照射を行った後、マスクシートMおよびマスクシートLを受像シートから分離することにより、受像シート片面の受像層上に、マスクシートMのイオン透過性開口部に対応した静電気パターン、受像シート反対面の受像層上に、マスクシートLのイオン透過性開口部に対応した静電気パターンを形成することを特徴とする両面静電印刷方法。
【請求項3】
前記原版Aと前記マスクシートMを、該原版Aの版層とマスクシートMが向かい合うように間隔を空けて配置し、前記受像シートを原版AとマスクシートM間に配置する。前記原版Aの版層と前記受像シートの原版A側の受像層、およびマスクシートMと前記受像シートのマスクシートM側の受像層を密着させる。前記原版Aの第2電極と前記受像シートの第1電極との間に、前記原版Aの版層の凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンの空隙を放電させるに足る適正な電圧を印加することによって、前記受像シートの原版A側の受像層上に前記原版Aの版層の凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンに対応した静電気パターンを形成する。またマスクシートM越しにイオン照射を行った後、マスクシートMを受像シートから分離することにより、受像シートのマスクシートM側の受像層上に、マスクシートMのイオン透過性開口部に対応した静電気パターンを形成する。受像シート片面で、原版の電極と受像シートの電極との間に電圧を印加することよる放電イオン生成、受像シート反対面で、マスクシート越しのイオン照射を行うことにより、受像シート両面の受像層上に、静電気パターンを形成することを特徴とする両面静電印刷方法。
【請求項4】
前記請求項1~請求項3に記載の両面静電印刷方法において、前記原版A、前記原版B、前記マスクシートM、前記マスクシートLと前記受像シートを密着させる前に前記受像シートを予備帯電処理することを特徴とする両面静電印刷方法。
【請求項5】
前記請求項1~請求項4のいずれかに記載の両面静電印刷方法において前記受像シート両面の受像層上に形成された静電気パターンを電子写真技術におけるドライ現像法あるいは湿式現像法を利用し、帯電粒子で現像することを特徴とする両面静電印刷方法。
【請求項6】
前記請求項5に記載の帯電粒子がめっき可能な粒子であることを特徴とする両面静電印刷方法。
【請求項7】
前記静電気パターンが電極回路パターンを製作するためのものであることを特徴とする前記請求項1~請求項6に記載の両面静電印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受像シート両面で、原版の電極と受像シートの電極との間に電圧を印加することよる放電イオン生成またはマスクシート越しのイオン照射を行うことにより、受像シート両面の受像層上に、静電気パターンを形成する方法に関するものであり、原理は放電技術に関連し、静電印刷の利用は電子写真に代表される静電プリンター技術に関連する。
【背景技術】
【0002】
静電気を利用して画像を作る実用的な技術を世界で初めて発明したのは米国のチェスター・カールソンである。この発明に関する技術は通称カールソン法あるいはゼログラフィー法と呼ばれたが、画像形成技術として学術的に研究が進み、学術名としてはElectrophotographyと称され、日本では電子写真法と名付けられている。
その技術を利用して作られた複写機、プリンターは事務作業に無くてはならないものとなっている。
【0003】
その技術は「写真」と名付けられたように光学像を静電気と感光体(光半導体)によって静電気潜像として形成し、トナーと称する帯電した微粒子で現像するものである。ページ毎に変化する画像を即座に紙に印刷して出力するという複写機としてはうってつけの技術として発展した。その発展の中で最も進化を遂げているのは現像剤であるトナーと現像技術といえるだろう。粉体トナーは6μm程度まで微粒子化すると共に均一粒径・均一帯電を実現化して解像力と転写の安定性を向上させてきている。さらに微粒子化した液体トナーはサブミクロンサイズで、現像液の安定性も確保できてきており、解像性では印刷インクを凌ぐものにさえなっている。さらにはカラートナーとしてだけではなく金属を含んだトナー、金属そのもので現像する手法、特許文献2のようなめっきが可能なトナー等々粉体・液体に関わらず機能性トナーや現像法が次々と開発されてきている。
【0004】
しかしこれらの機能性トナーの特徴を十分に発揮させるには電子写真法では限界がある。それは感光体上に静電気パターンを作るという基本的な要素のためである。つまり、感光体上の静電気パターンを現像し、その現像トナーを目的材に転写しなければならない。もちろんその手法によってこそ無版で高精細・高速の印刷が実現しているのであるが、転写すれば必ず解像性は下がるし、導電性トナーは粘着以外では転写出来ない。さらにいうと現状の感光体はアナログ特性であり、高速で10μmのドットや線と100μm以上のドットや線を同時に正確に印刷することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-19272号公報
【特許文献2】特開2007-134422号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】情野、田中、井上、田嶋:電子写真学会誌 第7巻第1号、p2.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
過去静電気パターンを直接現像するための試みが種々行われてきた。製品化まで到った一つに、非特許文献1に示すように感光体から静電気パターンそのものを転写して直接現像する静電転写システムがある。しかし転写紙が特殊であることと剥離放電作用で静電気パターンが作られるという原理のため感光体上のパターンより解像性は落ちることで現在では製造されていない。直接静電気パターンを描くデバイスとしてマルチスタイラスやイオンビームを偏向させる方式などが製品化されたが電極の加工精度の限界や放電イオンの広がりによる解像性の低さからインクジェット方式に取って代わられている。
また、静電アクチュエータのための静電気パターン形成法ではあるが、特許文献1では電極の周囲に隔壁を設け、放電範囲を限定することで静電気パターンの電極に対する忠実性を得る提案がなされている。しかし特許文献1の手法では印刷や電子写真のような画像パターンを作ることは出来ない。
高精細な静電気パターンと進化を続けるトナーとを組み合わせれば従来にない効果と性能を持った印刷の可能性があり、感光体以外の絶縁体に直接高精細な静電気パターンを作る手法が望まれている。
【0008】
そこで本発明者らは感光体を使わず従来の印刷に匹敵、さらにはそれを凌駕するような静電気を利用して画像を作る実用的な高精細静電印刷方法を提案した(特願2018‐188998号明細書参照)。
上記発明の一態様によれば、全面均一な導電性を持った第1電極と、前記第1電極上に密着一体となり適正な均一厚みを持つ材料からなる版層とから構成され、前記版層に凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンが形成されている原版に、裏面が第2電極である導電層と一体となっている受像シートを密着させ、前記原版の第1電極と前記受像シートの第2電極との間に前記凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンの空隙を放電させるに足る適正な電圧を印加することによって、前記受像シート上に前記凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンに対応した静電気パターンを形成することを特徴とする高精細静電印刷方法が提供される。
【0009】
受像シート上の静電気パターンは帯電粒子で現像することにより可視パターンとなる。帯電粒子がめっき可能な粒子である場合、帯電粒子で現像後めっき処理を行うことにより、受像シート上に高精細電極回路パターンが形成される。
しかし、上記発明には、以下の課題があった。
電極回路パターンを用いた電子部品等の応用分野において、X電極回路パターンとY電極回路パターンを粘着層等を用いて貼り合わせ、両パターンをセットで用いることが多い。ところが、上記発明では、両パターンは、静電気パターンから電極回路パターンになるまで別々に加工されるので、吸湿・乾燥等の工程履歴の違いにより、電極回路パターンの静電気パターンに対する寸法変化に差が生じることがある。また、両パターンを貼り合わせる際の位置合わせ精度にも限界がある。その結果両パターン同士の位置関係が設計値通りの精度にならず、品質要求を満足する電子部品等を作製することは困難だった。
本発明では上記課題を解決した両面静電印刷方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、原版Aは全面均一な導電性を持った第2電極と、前記第2電極上に密着一体となり適正な均一厚みを持った電気絶縁性あるいは導電性あるいは半導電性を持った材料からなる版層とから構成され、該版層に凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンが形成されている。原版Bは全面均一な導電性を持った第3電極と、前記第3電極上に密着一体となり適正な均一厚みを持った電気絶縁性あるいは導電性あるいは半導電性を持った材料からなる版層とから構成され、該版層に凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンが形成されている。受像シートは第1電極である導電層と該導電層の両面に積層された受像層とから構成される。前記原版Aと前記原版Bを互いの版層同士が向かい合うように間隔を空けて配置し、前記受像シートを原版Aと原版B間に配置する。前記原版Aの版層と前記受像シートの原版A側の受像層、および前記原版Bの版層と前記受像シートの原版B側の受像層を密着させ、前記原版Aの第2電極と前記受像シートの第1電極との間および前記原版Bの第3電極と前記受像シートの第1電極との間に、前記原版Aの版層および前記原版Bの版層の凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンの空隙を放電させるに足る適正な電圧を印加することによって、受像シート片面の受像層上に、原版Aの版層の凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンに対応した静電気パターン、受像シート反対面の受像層上に、原版Bの版層の凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンに対応した静電気パターンを形成することを特徴とする両面静電印刷方法が提供される。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、マスクシートMは導電性材料のみの成型体または絶縁性材料と導電性材料の積層体からなり、かつ所定のイオン透過性開口部を備えている。マスクシートLは導電性材料のみの成型体または絶縁性材料と導電性材料の積層体からなり、かつ所定のイオン透過性開口部を備えている。受像シートは第1電極である導電層と該導電層の両面に積層された受像層とから構成される。
前記マスクシートMと前記マスクシートLを向かい合うように間隔を空けて配置し、前記受像シートをマスクシートMとマスクシートL間に配置する。前記マスクシートMと前記受像シートのマスクシートM側の受像層、および前記マスクシートLと前記受像シートのマスクシートL側の受像層を密着させ、マスクシートM越し、およびマスクシートL越しにイオン照射を行った後、マスクシートMおよびマスクシートLを受像シートから分離することにより、受像シート片面の受像層上に、マスクシートMのイオン透過性開口部に対応した静電気パターン、受像シート反対面の受像層上に、マスクシートLのイオン透過性開口部に対応した静電気パターンを形成することを特徴とする両面静電印刷方法が提供される。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、前記原版Aと前記マスクシートMを、該原版Aの版層とマスクシートMが向かい合うように間隔を空けて配置し、前記受像シートを原版AとマスクシートM間に配置する。前記原版Aの版層と前記受像シートの原版A側の受像層、およびマスクシートMと前記受像シートのマスクシートM側の受像層を密着させる。前記原版Aの第2電極と前記受像シートの第1電極との間に、前記原版Aの版層の凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンの空隙を放電させるに足る適正な電圧を印加することによって、前記受像シートの原版A側の受像層上に前記原版Aの版層の凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンに対応した静電気パターンを形成する。また、マスクシートM越しにイオン照射を行った後、マスクシートMを受像シートから分離することにより、受像シートのマスクシートM側の受像層上に、マスクシートMのイオン透過性開口部に対応した静電気パターンを形成する。受像シート片面で、原版の電極と受像シートの電極との間に電圧を印加することよる放電イオン生成、受像シート反対面で、マスクシート越しのイオン照射を行うことにより、受像シート両面の受像層上に、静電気パターンを形成することを特徴とする両面静電印刷方法が提供される。
本発明の第1~第3の態様により、受像シート両面の受像層上に形成された静電気パターンは帯電粒子で現像することにより可視パターンとなる。帯電粒子がめっき可能な粒子である場合、帯電粒子で現像後めっき処理を行うことにより、受像シート両面の受像層上に電極回路パターンがセットで形成される。
【0013】
本発明第1の態様の構成と静電気パターン形成の過程を理解し易いように図1の基本概念図で説明する。図1(1)は原版A、原版Bと受像シート10のそれぞれの構成を示す。原版Aは電極21と凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状の版層22で構成され、原版Bは電極31と凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状の版層32で構成される。受像シート10は電極11と該電極11の両面に積層された受像層12と受像層13で構成される。必要に応じて電極11と受像層12との間、およびまたは電極11と受像層13との間に中間層14を設けることにより、受像層12、電極11、受像層13を密着一体化している。前記原版Aと前記原版Bを互いの版層同士が向かい合うように間隔を空けて配置し、前記受像シートを原版Aと原版B間に配置する。
図1(2)は受像シートの両面に原版Aおよび原版Bを密着させた状態で電圧印加を行う様子を示す。即ち、先ず、原版Aの版層22と受像シート10の受像層12、および原版Bの版層32と受像シート10の受像層13を密着させる。次に、受像シート10の電極11を接地電位にして、原版Aの電極21と受像シート10の電極11との間、および原版Bの電極31と受像シート10の電極11との間に、直流電圧を印加して、版層22の凹部の空隙22aおよび空隙22b中の気体、並びに版層32の凹部の空隙32aおよび空隙32b中の気体を放電させることにより、受像層12上および受像層13上に電離イオンを付着させる。
図1(3)は原版Aの電極21および原版Bの電極31を接地後、受像シート10を原版A、原版Bから分離することにより、受像層12上に版層22の凹部の空隙22aおよび空隙22bに応じた静電気パターンP1~P4が、また受像層13上に版層32の凹部の空隙32bおよび空隙32aに応じた静電気パターンP5~P8がそれぞれ形成されることを示す。
【0014】
本発明第2の態様の構成と静電気パターンの形成過程を理解し易いように図2の基本概念図で説明する。図2(1)に示す受像シート10は本発明第1の態様で説明したものと同じ構成である。受像シート10の電極11は接地されている。マスクシートM、マスクシートLを受像シート10に密着させる前に、静電気パターンを形成するための電荷と逆極性の電荷で、受像シート10の両面を予備帯電処理する(本例では+300V)。この帯電処理によりマスクシートM、マスクシートLは受像シート10に確実に密着する。
図2(2)はマスクシートMと受像層13、および前記マスクシートLと受像層12を密着させた状態で、イオン照射手段40、イオン照射手段50により、それぞれマスクシートM越し、マスクシートL越しに、イオン照射を行う様子を示している。イオン照射後、マスクシートMの表面、受像層13のイオン透過性開口部M1に対応した部分、およびマスクシートLの表面、受像層12のイオン透過性開口部L1に対応した部分が帯電する(本例では-300V)。
図2(3)はマスクシートM、マスクシートLを接地した状態で受像シート10から分離後の状態を示している。受像シート10の受像層13上に静電気パターンP9、受像層12上に静電気パターンP10が形成されている。イオン照射の際マスクシートM、マスクシートLで遮蔽されていた部分は+300Vに帯電している。
【0015】
本発明第3の態様の構成と静電気パターンの形成過程を理解し易いように図3の基本概念図で説明する。図3(1)に示す受像シート10は本発明第1の態様で説明したものと同じ構成である。受像シート10の電極11は接地されている。原版A、マスクシートMを受像シート10に密着させる前に、静電気パターンを形成するための電荷と逆極性の電荷で、受像シート10の両面を予備帯電処理する(本例では+300V)。この帯電処理により原版A、マスクシートMは受像シート10に確実に密着する。
図3(2)は原版Aの版層22と受像シートの受像層12、およびマスクシートMと受像シートの受像層13を密着させた状態で、受像層12側では、原版Aの電極21と受像シートの電極11との間に電圧印加を行い、一方受像層13側では、イオン照射手段40により、マスクシートM越しにイオン照射を行う様子を示す。即ち、受像層12側では、受像シート10の電極11を接地電位にして、原版Aの電極21と受像シートの電極11との間に、原版Aの版層の凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンの空隙を放電させるに足る適正な電圧を印加することによって、受像層12上に原版Aの版層の凸版あるいは凹版あるいはグラビア版状パターンに対応した静電気パターンを形成する。一方受像層13側では、イオン照射後、マスクシートMの表面、受像層13のイオン透過性開口部M1に対応した部分が帯電する(本例では-300V)。
図3(3)は原版Aの電極21を接地後、受像シート10を原版Aから分離することにより、受像層12上に版層22の凹部の空隙22aおよび空隙22bに応じた静電気パターンP12~P15が形成されることを示す。一方マスクシートMを接地した状態で受像シート10から分離することにより受像層13上に静電気パターンP11が形成されることを示す。
【発明の効果】
【0016】
本発明の基本は剥離放電を使わず、(1)原版の電極と受像シートの電極との間に電圧を印加することより空隙で生成した放電イオンよって作られる静電気パターンであるか、または(2)マスクシートのイオン透過性開口部を通過したイオンによって作られる静電気パターンであるため、受像シート両面の受像層上に帯電イオンの広がりの無い静電気パターンを形成することが出来る。両者を比較すると、(1)の場合、空隙の幅を変えることにより解像度を制御することができ、また空隙の深さを変えることによって、帯電量の異なる静電気パターンが得られる等、高精細な静電気パターンの形成に適している。(2)の場合、マスクシートは原版より製作し易いため、静電気パターンの追加修正等個別の要求に対応するのに適している。
受像シート両面の受像層上の静電気パターンは帯電粒子で現像することにより可視パターンとなる。帯電粒子がめっき可能な粒子である場合、帯電粒子で現像後めっき処理を行うことにより、受像シート両面の受像層上に電極回路パターンがセットで形成される。
受像シート両面の受像層上の電極回路パターン同士の位置関係が設計値通りの精度になるので、これを用いて品質要求を満足する電子部品等を作製できるだけでなく、電子部品等の薄型化も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1(1)】受像シートの両面に原版配置
図1(2)】受像シートの両面に原版密着、電圧印加
図1(3)】受像シートから原版分離、静電気パターン形成
図2(1)】受像シートの両面に予備帯電処理
図2(2)】受像シートの両面にマスクシート密着、マスクシート越しにイオン照射
図2(3)】受像シートからマスクシート分離、静電気パターン形成
図3(1)】受像シートの両面に予備帯電処理
図3(2)】受像シートの片面に原版密着、電圧印加。受像シートの反対面にマスクシート密着、マスクシート越しにイオン照射
図3(3)】受像シートから原版とマスクシート分離、静電気パターン形成
図4】パッシェン曲線
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明における受像シートの両面に原版を配置した構成と静電気パターン形成過程は図1に示す通りである。
受像シート10は、電極11と該電極11の両面に積層された受像層12と受像層13で構成される。必要に応じて電極11と受像層12との間、およびまたは電極11と受像層13との間に中間層14を設けることにより、受像層12、電極11、受像層13を密着一体化している。
電極11は電界を供給する役割を果たすために導電性が必要である。導電性材料として金属、導電性酸化物、カーボン、グラファイト、導電性高分子等が挙げられる。受像シートの利用形態において透明性が必要か否かにより、導電性材料が適宜選択される。透明性が必要な用途では、先ず受像層12上に電極11として導電性酸化物膜、導電性高分子膜等の透明導電層を設け、次に該透明導電層に中間層14(粘着層、接着層等)を用いて受像層13を積層した構成が考えられる。一方透明性が不要な用途では、金属箔等の電極11の両面に中間層14(粘着層、接着層等)を用いてそれぞれ受像層12、受像層13を積層した構成が考えられる。あるいは先ず受像層12上に電極11として金属膜等を設け、次に該金属膜等に中間層14(粘着層、接着層等)を用いて受像層13を積層した構成が考えられる。
【0019】
受像層12および受像層13は静電気を保持する必要があるため電気絶縁性が高い必要がある。ポリイミド、ポリカーボネート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、フッ素系樹脂等のフィルムを受像層12、受像層13として用いることができる。受像層12と受像層13は必ずしも同じ材料、同じ厚さでなくても良い。受像層12および受像層13の厚さは5~125μmであることが好ましい。厚さが5μm未満の場合、ハンドリングが困難である。また厚さが125μmを超えると電子部品等の薄型化の点で不利になる。
また使用目的によって受像層12と受像層13の比誘電率および静電気パターン形成時の印加電圧を考慮する必要がある。
【0020】
原版Aは電極21と版層22から、また原版Bは電極31と版層32から構成される。電極21と電極31、版層22と版層32は必ずしも同じ材料、同じ厚さでなくても良い。
電極21、電極31は、それぞれ空隙22a(および空隙22b)、空隙32a(および空隙32b)の放電に必要な導電性を持っていれば良く、システムのプロセススピードにもよるが、両電極とも抵抗率は10の6乗Ωcm以下であれば問題なく、さらには10の4乗Ωcm以下であればより良い。両電極とも金属、導電性酸化物、カーボン、グラファイト、導電性高分子等導電性であればどのような材料で構成されていても良い。あるいはガラスやプラスチックの表面に金属膜や導電性酸化物膜をスパッタしたものや導電性高分子膜をコーティングしたものでも良い。両電極とも版層との接着性向上や電極自体の経時変化防止を目的として電極表面に処理層を設けても機能的に問題はない。
【0021】
版層22、版層32の材料は導電体、半導体、絶縁体いずれであっても良い。両版層とも絶縁体の場合、一般的には基材(ここでは電極21およびまたは電極31)の表面にフォトレジストをコーティングするかあるいはドライフィルムフォトレジストを貼り、パターンマスクを介して紫外線で露光後現像し、残ったフォトレジスト材を版層22(およびまたは版層32)とすることが出来る。また両版層とも導電体または半導体の場合、導電体あるいは半導体基材を腐食液で彫り込んでその部分を版層22(およびまたは版層32)としても良い。金属銅のレーザー加工や電鋳製造法などでは版層と電極が一体になるが問題ない。
【0022】
両版層とも彫り込みの幅と深さに関しては、版層の材料とその加工手法によって限界がある。最小深さに関しては空隙の放電イオン発生量から限定がくる。3μm程度が現状トナーの現像能力からして限度と思われるが、将来少ない電荷量でも十分現像できるトナーが開発されればその限りではない。
【0023】
両原版とも使用耐久性を上げるためにそれぞれの電極の表面に被膜をもうけるか、原版全体に被膜をもうけることは効果があり、静電気特性上は問題がない。
【0024】
静電気パターンは、両原版と受像シートとのそれぞれの空隙、空隙22a(および空隙22b)並びに空隙32a(および空隙32b)の放電電荷によって形成するため、版の凹部を目的パターンとして構成することが基本となるが、トナーと称する帯電した粒体で現像することにより静電気パターンが顕在化するため、電子写真技術のいわゆるネガ-ポジ現像を行う事が出来、版の凸部に相当する部分にトナーを付着させることが出来るため、凸部を目的パターンとしても対応出来る。また空隙の放電量は同じ印加電圧に対して空隙の深さで決定され、浅いほど放電量が少なくなり、結果トナー付着量も少なく制限されるため、従来のグラビア印刷と同じような効果を持った印刷が可能である。
【0025】
空隙が放電する状況はパッシェンの法則から概略計算ができる。大気圧の空気のパッシェンカーブを横軸空隙距離、縦軸空隙放電開始電圧として描いた図を図4に示す。カーブの最小値は空隙距離約5μm前後であり、8μm以上の空隙距離に対する空隙放電開始電圧は直線カーブで表せるとされており、空隙距離:d(μm)、空隙放電開始電圧:Vb(V)として下式で近似される。
Vb=312+6.2d (1)
空隙距離を20μmとすれば空隙放電開始電圧は436Vということになる。つまり、空隙に436V以上の外部電圧が加われば放電が生じイオンが発生する。発生したイオンは電界に従ってプラスイオンはマイナス電極に向かって移動し、マイナスイオンはプラス電極に向かって移動する。イオンによって受像層12(および受像層13)は帯電し、空隙の電界を弱める方向に働く。そして空隙に加わる電圧が空隙放電開始電圧436Vに達した時点で放電は終了する。
【0026】
凹版の例を述べる。図1(1)において、受像層12を厚さ50μmのPET、受像層13を厚さ25μmのPET、中間層14を厚さ25μmのアクリル系粘着剤とする。
原版A(および原版B)は凹版であって版層22の厚さおよび凹部の空隙22aの深さ(および版層32の厚さおよび凹部の空隙32aの深さ)を20μmとする。受像シート10の電極11を接地電位、原版Aの電極21(および原版Bの電極31)にマイナス1300Vが加わるような電圧を与えた場合を想定する。PETの比誘電率を約3.3、アクリル系粘着剤の比誘電率を約3.3とする。厚さ50μmのPET、厚さ25μmのPET、厚さ25μmのアクリル系粘着剤を空気厚みに換算するとそれぞれ約15.2μm、約7.6μm、約7.6μmに相当するため空隙22a、空隙32aに加わる電圧は、いずれも1300×20÷(20+15.2)V=739Vとなる。式(1)から得られる20μm空隙の放電開始電圧436Vより大きいため空隙内で放電イオンが生じ、マイナスイオンが電極11に向かって移動して受像層12(および受像層13)に帯電し、プラスイオンは電極21(および電極31)に流れる。受像層12(および受像層13)が-(739-436)=-303Vまで帯電すると空隙に加わる電界は放電開始電圧436Vに達するため放電は止まる。その後印加電源をOFFにして原版Aの電極21(および原版Bの電極31)を接地してから受像シート10を原版A、原版Bから分離すると、受像層12(および受像層13)上にそれぞれの凹版の空隙22a(および32a)に相当する部分が-303Vに帯電した静電気パターンが出来ることになる。分離前に原版Aの電極21(および原版Bの電極31)を接地するのは全面いずれの部分も剥離放電しない条件を与えるためである。
受像シート両面の受像層上の静電気パターンは帯電粒子で現像することにより可視パターンとなる。帯電粒子がめっき可能な粒子である場合、帯電粒子で現像後めっき処理を行うことにより、受像シート両面の受像層上に電極回路パターンが形成される。
【0027】
実際に原版Aは以下の要領で作製した。厚さ2mmのフロートガラス板にITO膜をスパッタすることにより電極21を形成した。次に電極21上にドライフィルムレジストを貼り、タッチパネル用電極回路パターン(配線電極部 L/S=100/100、メッシュ電極部 線幅5μm)マスクを重ねて紫外線露光を行った後現像し、フォトレジストによる版層(凹版)22を形成することにより原版Aを作製した。原版Aと全く同じ要領で原版Bを作製した。受像シートは以下の要領で作製した。受像層12となる厚さ50μmのPETフィルムに導電性高分子(PEDOT/PSS)膜をコーティングすることにより電極11を形成した。次に電極11上に厚さ25μmの中間層14(アクリル系粘着層)をコーティングした。引き続いて中間層14に受像層13として厚さ25μmのPETフィルムを積層することにより受像シートを作製した。原版A(および原版B)、受像シートいずれの電極も接地した状態で、先ず、原版Aの版層22と受像シート10の受像層12、および原版Bの版層32と受像シート10の受像層13を密着させた。次に、原版Aの電極21と受像シート10の電極11との間(および原版Bの電極31と受像シート10の電極11との間)に、電極11を接地電位とし、電極21(および電極31)にマイナス1300Vを印加した。電圧印加後、原版A(および原版B)、受像シートいずれの電極も接地した状態で、受像シートを原版A、原版Bから分離した。
受像シート両面の受像層上の静電気パターンをめっき可能な帯電粒子で現像後、無電解銅めっきをおこなった。受像シート両面の受像層上にタッチパネル用銅電極回路XパターンとYパターンのセット(いずれも配線電極部 L/S=100/100、メッシュ電極部 線幅5μm)を設計値通りの精度で形成することができた。
また、電鋳で作られた、全ニッケル製の原版を用いて前記と同様の画像出力実験をしたところ凹部の画像は正確に現像され、凹部画像以外の部分の模様つまりかぶりの痕跡は全く見られず金属が受像シートに密着している部分の帯電は無い事が確かめられた。
【0028】
凸版の例を述べる。前述の凹版の例と同じ条件を与え同じ工程を経ると凸版の空隙に相当する部分が-303Vに帯電した静電気パターンが出来ることになる。次の工程において電子写真技術で使われるプラスのトナーで現像するとネガの可視画像が得られることになる。
【0029】
グラビア版の例を述べる。前述の凹版の例と同じく版全体の厚みおよび空隙22a(および空隙32a)の深さは同じく20μmとし、画像で言えばハーフトーンに相当する彫り込みの浅い部分の空隙22b(および空隙32b)の深さを10μmとした場合、版層の材料が導電体あるいは半導体であれば前述の凹版の場合と同じ計算方法で空隙を10μmとして計算し、放電開始電圧は374V、空隙に加わる電圧は516Vとなり、受像層12(および受像層13)には-142Vの静電気パターンができることになる。このように同一版上に彫り込みの深さの違いを作ることによって中間調の表現が可能となる。
【0030】
版層の材質が絶縁体である場合には凹部の彫り込まれた底の面が帯電するために受像層12(および受像層13)に帯電する量は異なる。空隙22b(および空隙32b)の深さは同じなので、放電開始電圧は同じく374Vであるが空隙22b(および空隙32b)に加わる電圧は版層の空隙下部の10μmが加わるために、版層の比誘電率も同じ約3.3とした場合1300×10/(10+15.2+3)=461Vとなる。-(461-374)=-87Vに相当する電圧が空隙22b(および空隙32b)に加わることによって放電が止まることになる。放電により発生するプラスとマイナスのイオン量はおなじであり、マイナスのイオンは受像層12(および受像層13)に帯電し、プラスのイオンは版層の凹部の彫り込まれた底の面に帯電するので、発生する電圧は各絶縁体のキャパシタンスの比(つまり空気換算の厚みの比)となり、受像層12(および受像層13)は-73V、空隙22bの下部の版層22(および空隙32bの下部の版層32)は+14V帯電することになる。版層22(および版層32)の帯電は次の印刷の前にACコロナ放電器等で除電すれば良い。
受像層の帯電量によってトナーの付着量は変わるため、上記のようにグラビア版の版層の材料違いにより同じ彫り込み深さであっても帯電値は異なるが、従来印刷と同じようなグラビア版印刷効果が得られることは同じである。
【0031】
本発明における受像シートの両面にマスクシートを配置した構成と静電気パターン形成過程は図2に示す通りである。
受像シートの構成は受像シートの両面に原版を配置した場合と同様である。
マスクシートは、イオン照射の際、イオン透過性開口部のみイオンを透過させ、イオン透過性開口部以外はイオンを遮断する必要がある。したがってイオン透過性開口部以外は、表面全体が導電性を有する必要がある。必ずしもマスクシート全体が導電性である必要はない。したがって、マスクシートは導電性材料のみの成型体または導電性材料と絶縁性材料の積層体からなり、かつ所定のイオン透過性開口部を備えていればよい。
金属箔、金属板等の導電性材料からなるシート、電気絶縁性材料のシートに金属膜等の導電層を設けた導電層付シート等に、エッチング加工、レーザー加工、あるいはこれらを組合せた方法により、イオン透過性開口部を設けることによりマスクシートを作製することができる。
【0032】
イオン照射手段は特に限定されない。コロナ放電によるイオン照射方式が、大気中処理が可能であること、照射イオンの極性の切り替えが容易であること、予備帯電処理でもイオン照射でも利用できる点から好ましい。
【0033】
本発明における受像シートの片面に原版、反対面にマスクシートを配置した構成と静電気パターン形成過程は図3に示す通りである。
受像シートの構成、原版の構成、マスクシートの構成は、受像シートの両面に原版またはマスクシートを配置した場合と同様である。
【0034】
原版、マスクシートを受像シートに密着させる前に、受像シートの両面に予備帯電処理を行うことができ、2つの効果が得られる。一つ目は、均一な密着性が得られる可能性がある。但し帯電値は受像シートを原版またはマスクシートに近づけて密着するまでの間に放電を起こさないように、放電開始電圧より低い値でなければならない。この値でも原版、マスクシートを受像シートに密着させるには十分である。二つ目は、現像する段階での電界が大きくなり、現像効率が良くなる可能性がある。予備帯電の密着効果は極性に関わらず同じであるので、静電気パターンを形成するための電荷と逆極性の電荷で、予備帯電処理をする事が肝要である。
【0035】
静電容量式タッチパネル等透明性が要求される用途では、電極11、受像層12、受像層13、中間層14いずれも透明であることが必要である。透明性が不要な用途では、電極11、受像層12、受像層13、中間層14の全てが透明である必要はない。
【0036】
静電気パターン形成のため以下の機構が考えられる。原版、マスクシートがいずれも平板状の場合、受像シートを原版と原版間またはマスクシートとマスクシート間または原版とマスクシート間に配置、原版およびまたはマスクシートを受像シートに圧着、原版が密着した側では電圧印加、マスクシートが密着した側ではイオン照射、受像シートを原版およびまたはマスクシートから分離といった機構で静電気パターンを形成する方式で良い。その際、枚葉状の受像シートを順次原版と原版間またはマスクシートとマスクシート間または原版とマスクシート間まで搬送しても良いし、ロール状から引きだされ帯状に展開した受像シートの静電気パターンを形成すべき個所を、順次原版と原版間またはマスクシートとマスクシート間または原版とマスクシート間まで搬送し、上記操作を行っても良い。
原版およびマスクシートが曲面状の場合であっても、原版と原版間またはマスクシートとマスクシート間または原版とマスクシート間に受像シート両面の受像層が密着できるように曲率を制御することができれば、同様な操作を行うことができる。
【符号の説明】
【0037】
10 受像シート
11 受像シートの電極
12 受像層
13 受像層
14 中間層
A 原版A
21 原版Aの電極
22 原版Aの版層
22a 空隙
22b 空隙
B 原版B
31 原版Bの電極
32 原版Bの版層
32a 空隙
32b 空隙
M マスクシート
M1 イオン透過性開口部
L マスクシート
L1 イオン透過性開口部
40 イオン照射手段
50 イオン照射手段
P1 静電気パターン
P2 静電気パターン
P3 静電気パターン
P4 静電気パターン
P5 静電気パターン
P6 静電気パターン
P7 静電気パターン
P8 静電気パターン
P9 静電気パターン
P10 静電気パターン
P11 静電気パターン
P12 静電気パターン
P13 静電気パターン
P14 静電気パターン
P15 静電気パターン
図1(1)】
図1(2)】
図1(3)】
図2(1)】
図2(2)】
図2(3)】
図3(1)】
図3(2)】
図3(3)】
図4