(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038739
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】ドア本体の排水構造
(51)【国際特許分類】
E06B 7/14 20060101AFI20230310BHJP
E06B 3/70 20060101ALI20230310BHJP
E06B 3/36 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
E06B7/14
E06B3/70 D
E06B3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145613
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大前 貴義
【テーマコード(参考)】
2E014
2E016
2E036
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014DA06
2E014DB07
2E016HA01
2E016JA01
2E016JA11
2E016KA05
2E016LA01
2E016LB09
2E016LC02
2E016MA11
2E016PA03
2E016RA01
2E036RA02
2E036RC03
2E036TA06
(57)【要約】
【課題】排水性能を向上できるドア本体の排水構造を提供すること。
【解決手段】ドア本体1の排水構造は、枠材2と、枠材2内に配置される採光窓3と、枠材2内における採光窓3の周囲に配置される板状の断熱材4と、断熱材4の一方側の表面及び他方側の表面を覆う一対の表面材61,62と、を有するドア本体1に設けられるドア本体1の排水構造であって、断熱材4は、断熱材本体41と、断熱材本体41の内側に形成され採光窓3が配置される開口部42と、開口部42の下部に設けられる断熱材下部分43と、を有し、断熱材下部分43には、開口部42の下端421において断熱材下部分43の上端部431から下端部432まで貫通して上下方向に延びる溝状のスリット5が形成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠材と、前記枠材内に配置される採光窓と、前記枠材内における採光窓の周囲に配置される板状の断熱材と、前記断熱材の一方側の表面及び他方側の表面を覆う一対の表面材と、を有するドア本体に設けられるドア本体の排水構造であって、
前記断熱材は、断熱材本体と、前記断熱材本体の内側に形成され前記採光窓が配置される開口部と、前記開口部の下部に設けられる断熱材下部分と、を有し、
前記断熱材下部分には、前記開口部の下端において前記断熱材下部分の上端部から下端部まで貫通して上下方向に延びる溝状のスリットが形成される、ドア本体の排水構造。
【請求項2】
前記スリットは、前記開口部の下端において前記ドア本体の横方向に離れて2つ設けられる、請求項1に記載のドア本体の排水構造。
【請求項3】
前記断熱材本体と前記断熱材下部分とは、一体で構成される、請求項1又は2に記載のドア本体の排水構造。
【請求項4】
前記スリットは、前記断熱材下部分の上下方向の全域に亘って前記断熱材下部分の厚さ方向に貫通して形成され、
前記断熱材本体と前記断熱材下部分とは、前記断熱材本体の横方向の内側に前記2つのスリットを挟んで前記断熱材下部分が配置され、前記2つのスリットにより分離された別体で構成される、請求項2に記載のドア本体の排水構造。
【請求項5】
前記ドア本体は、回転軸を中心に回転して開閉可能な開き戸である、請求項1~4のいずれかに記載のドア本体の排水構造。
【請求項6】
前記ドア本体は、横方向に移動して開閉可能な引戸である、請求項1~4のいずれかに記載のドア本体の排水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドア本体の排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、採光窓を有するドア本体が知られている(例えば、特許文献1参照)。ドア本体の内部において、採光窓の周囲には、断熱材が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
台風等により多量の雨が降って玄関ドアのドア本体の内部に水が浸入した場合に、ドア本体の内部に収容された断熱材により水の逃げ路がなく、採光窓の下部の縁から水が溢れて室内に浸入することがあった。そのため、排水性能を向上できるドア本体の排水構造が求められている。
【0005】
本開示は、排水性能を向上できるドア本体の排水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、枠材と、前記枠材内に配置される採光窓と、前記枠材内における採光窓の周囲に配置される板状の断熱材と、前記断熱材の一方側の表面及び他方側の表面を覆う一対の表面材と、を有するドア本体に設けられるドア本体の排水構造であって、前記断熱材は、断熱材本体と、前記断熱材本体の内側に形成され前記採光窓が配置される開口部と、前記開口部の下部に設けられる断熱材下部分と、を有し、前記断熱材下部分には、前記開口部の下端において前記断熱材下部分の上端部から下端部まで貫通して上下方向に延びる溝状のスリットが形成される、ドア本体の排水構造に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態のドア本体を室内側から見た正面図である。
【
図3】断熱材を室外側の斜め手前から見た斜視図である。
【
図6】ドア本体の排水構造を室外側の正面から見た図である。
【
図8】ドア本体の排水構造における水の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。玄関ドア10は、建物躯体(図示せず)の開口部に設けられるドア枠(図示せず)の内側に開閉可能に設けられる。
図2及び
図3において、X1はドア本体1の室外側を示し、X2はドア本体1の室内側を示す。また、ドア本体1に対面した場合の左右の方向を、左右方向ともいう。ドア本体1の横方向は、左右方向と一致する。
【0009】
図1に示すように、玄関ドア10は、ドア本体1と、複数の丁番11と、を備える。本実施形態のドア本体1は、例えば、複数の丁番11の回転軸を中心に回転して開閉可能な開き戸である。
【0010】
ドア本体1は、
図1及び
図2に示すように、上材21、下材22及び一対の縦材23によって矩形に枠組みされた枠材2と、枠材2内に配置される採光窓3と、枠材2内において採光窓3の周囲に配置される断熱材4と、断熱材4の室外側X1の表面を覆う金属製の室外側面材61(表面材)と、断熱材4の室内側X2の表面を覆う金属製の室内側面材62(表面材)と、を備える。断熱材4は、枠材2、室外側面材61及び室内側面材62で囲まれる空間に設けられる。
【0011】
採光窓3は、ドア本体1の左右方向の中央に、上下方向に延びて配置されている。採光窓3は、複層ガラス31と、複層ガラス31の室内側X2の周縁部を保持する室内側額縁32と、を備える。室内側額縁32は、
図1及び
図2に示すように、複層ガラス31の室内側X2の外縁を保持する。室内側額縁32は、上額縁材321と、下額縁材322と、一対の縦額縁材323と、を有する。
【0012】
断熱材4は、所定の厚さを有する板状に形成される。断熱材4の室外側X1には、断熱材4の室外側X1の表面を覆うように、室外側面材61が配置される。断熱材4の室内側には、断熱材4の室内側X2の表面を覆うように、室内側面材62が配置される。
【0013】
断熱材4は、断熱材本体41と、断熱材本体41の内側に形成される開口部42と、開口部42の下部に設けられる断熱材下部分43と、を備える。断熱材4は、例えば、発泡ポリスチレンから形成される。
【0014】
断熱材本体41は、一対の断熱材縦板部分411を有する。一対の断熱材縦板部分411は、開口部42及び断熱材下部分43の左右方向の両側の外側に配置され、断熱材4の上下方向の全域に亘って延びる板状に形成される。
【0015】
開口部42は、採光窓3の複層ガラス31が配置される部分において、縦長の矩形状に開口する。開口部42は、断熱材4の厚さ方向(室内外方向)に貫通する。開口部42には、採光窓3が配置される。
【0016】
断熱材下部分43は、断熱材4における開口部42の下部であって、一対の断熱材本体41の一対の断熱材縦板部分411の左右方向の内側に配置される。断熱材下部分43は、開口部42の左右方向の全域において、開口部42の下部に配置される。
【0017】
断熱材下部分43には、
図3~
図6に示すように、2つのスリット5が形成される。2つのスリット5は、それぞれ、左右方向に幅を有する溝状に形成され、開口部42の下端421において、断熱材下部分43の上端面431から下端部432まで貫通して上下方向に延びる。
【0018】
2つのスリット5は、開口部42の下端421において、左右方向に離れて設けられる。2つのスリット5は、採光窓3の室内側額縁32の縦額縁材323(
図1参照)の内側を伝達されて開口部42の下方に移動した水を、断熱材4の下方の外側に移動させるように、開口部42の下端421から断熱材下部分43の下方に向けて貫通する。
【0019】
2つのスリット5は、それぞれ、開口部42の下端421の左右方向の両端部に形成される一対の下部角部422から、下方に向けて延びる。スリット5は、断熱材下部分43の左右方向の両端部において、断熱材下部分43の上端面431(上端)から下端部432まで上下方向の全域に亘って延びる。本実施形態においては、2つのスリット5は、断熱材下部分43と断熱材本体41の一対の断熱材縦板部分411との境界に形成される。
【0020】
本実施形態では、開口部42の下端421は、断熱材下部分43の上端面431により構成される。断熱材下部分43の上端面431は、左右方向に水平に延びると共に上方を向く平面状に形成される。断熱材下部分43の上端面431は、断熱材4の開口部42に浸入して下方に移動した水を受け止める。2つのスリット5は、断熱材4の開口部42に浸入して断熱材下部分43の上端面431に受け止められた水を、断熱材4の外部に排出する。2つのスリット5は、排水構造を構成する。
【0021】
2つのスリット5は、
図4、
図6及び
図7に示すように、それぞれ、左右方向に幅を有して形成され、上部側スリット51と、下部側スリット52と、を有する。
【0022】
上部側スリット51は、スリット5の上部側に形成され、断熱材下部分43の上端部から上下方向の下方の途中まで延びる。上部側スリット51は、断熱材下部分43を厚さ方向に貫通する。
【0023】
下部側スリット52は、スリット5の下部側に形成され、上部側スリット51の下端部から、断熱材下部分43の下端部432まで、下方に延びる。下部側スリット52は、断熱材下部分43の室外側X1の面から、断熱材下部分43の厚さ方向に方形状に凹む溝状に形成される。なお、下部側スリット52は、断熱材下部分43の室内側X2の面から、断熱材下部分43の厚さ方向に方形状に凹む溝状に形成されていてもよい。
【0024】
下部側スリット52が形成される上下方向の範囲において、断熱材下部分43の厚さ方向における下部側スリット52が形成されない室内側X2側の部分には、連結部53が形成される。連結部53は、断熱材下部分43の左右方向の両端部それぞれにおいて、断熱材下部分43と断熱材縦板部分411とを接続する。断熱材本体41と断熱材下部分43とは、連結部53により接続されることで、一体で構成される。
【0025】
次に、ドア本体1の排水構造における水の流れについて説明する。例えば多量の雨が降って、ドア本体1における採光窓3が配置される断熱材4の開口部42に水が浸入した場合に、開口部42に浸入した水は、
図8に示すように、採光窓3の室内側額縁32の一対の縦額縁材323を伝達されて開口部42の下方に移動する。
【0026】
そして、断熱材4の断熱材下部分43の上端面431に達して上端面431に受け止められた水は、断熱材下部分43の上端面431の左右方向の両端部側において、断熱材下部分43の左右方向に離れて形成される2つのスリット5の上部側スリット51に浸入する。
【0027】
ここで、スリット5の上部側スリット51は、断熱材下部分43を厚さ方向に貫通して形成されるため、断熱材4の断熱材下部分43の上端面431を流れる水を多量に浸入させることができる。また、断熱材下部分43の左右方向に離れて2つの上部側スリット51が形成されるため、断熱材4の断熱材下部分43の上端面431を流れる水を、2つの上部側スリット51の2箇所から、多量に浸入させることができる。
【0028】
スリット5の上部側スリット51に浸入した水は、
図8に示すように、上部側スリット51から、下部側スリット52に移動して、下部側スリット52の下端部から断熱材4の外部に排出される。断熱材4の外部に排出された水は、下材22に受け止められて、下材22に沿って左右方向の両端部側に流れる。そして、下材22に沿って左右方向の両端部側に流れる水は、ドア本体1の左右方向の両端部側において、下材22に設けられる排水孔7を介して、ドア本体1の外部に排出される。排水孔7は、ドア本体1の外部に水を排出可能な孔であり、排水のためにドア本体1の下端部の左右方向の両端部側に設けられている。これにより、断熱材4の開口部42に水が浸入した場合に、断熱材4の開口部42の下端421から室内側X2に水が浸入することを抑制できる。よって、ドア本体1の排水性能を向上させることができる。
【0029】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態のドア本体1の排水構造においては、断熱材4は、断熱材本体41と、断熱材本体41の内側に形成され採光窓3が配置される開口部42と、開口部42の下部に設けられる断熱材下部分43と、を有し、断熱材下部分43には、開口部42の下端421において断熱材下部分43の上端面431から下端部432まで貫通して上下方向に延びる溝状のスリット5が形成される。これにより、採光窓3の下方に配置される断熱材下部分43において、水が浸入されるスリット5を設けることで、断熱材4の開口部42に水が浸入しても、断熱材4の開口部42の下端421から室内側X2に水が浸入することを抑制できる。よって、ドア本体1の排水性能を向上させることができる。
【0030】
また、本実施形態においては、スリット5は、開口部42の下端421において左右方向に離れて2つ設けられる。これにより、水を浸入させる部分を2つ設けることで、水を浸入させる部分を1つ設けるよりも、水の排水性能を一層向上できる。
【0031】
本実施形態においては、断熱材本体41と断熱材下部分43とは、一体で構成される。これにより、断熱材本体41と断熱材下部分43とが別体で構成されるよりも、断熱材4を人が運ぶ際に運びやすく、また、ドア本体1を組み立てる際に組み立てやすい。つまり、断熱材本体41と断熱材下部分43とが一体で構成されることで、取り扱いが容易であり、生産性を向上できる。
【0032】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
【0033】
例えば、前記実施形態では、断熱材本体41と断熱材下部分43とを一体で構成したが、これに限定されない。例えば、スリット5を、開口部42の下端421において左右方向に離れて2つ設け、2つのスリット5を、断熱材下部分43の上下方向の全域に亘って断熱材下部分43の厚さ方向に貫通するように構成してもよい。このようにして、断熱材本体41と断熱材下部分43とを、断熱材本体41の左右方向の内側に2つのスリット5を挟んで断熱材下部分43を配置して、2つのスリット5により分離された別体で構成してもよい。
【0034】
また、前記実施形態では、スリット5を2つ設けたが、これに限定されない。スリットを1つのみ設けてもよく、3つ以上設けてもよい。
【0035】
また、前記実施形態では、2つのスリット5を、断熱材4の開口部42の下端421の左右方向の両端部の下部角部422に設けたが、これに限定されない。スリット5を、開口部42の下端421の左右方向の途中に設けてもよい。
【0036】
また、前記実施形態においては、ドア本体1を、複数の丁番11の回転軸を中心に回転して開閉可能な開き戸により構成したが、これに限定されない。ドア本体を、左右方向に移動して開閉可能な引戸により構成してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 ドア本体、2 枠材、3 採光窓、4 断熱材、5 スリット、41 断熱材本体、42 開口部、43 断熱材下部分、51 上部側スリット、52 下部側スリット、61 室外側面材(表面材)、62 室内側面材(表面材)、421 下端、431 上端部、432 下端部