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特開2023-38744悩み相談装置、悩み相談システム、制御プログラムおよび制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038744
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】悩み相談装置、悩み相談システム、制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230310BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145619
(22)【出願日】2021-09-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2021年8月6日掲載 https://ieeexplore.ieee.org/abstract/document/9508832 https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=9508832
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業「ソーシャルタッチの計算論的解明とロボットへの応用に向けた研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願。
(71)【出願人】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090181
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 義人
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 拓斗
(72)【発明者】
【氏名】中西 惇也
(72)【発明者】
【氏名】住岡 英信
(72)【発明者】
【氏名】塩見 昌裕
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】 ユーザとの対話により当該ユーザの悩みの原因であるスキーマを推定し、推定したスキーマに対してアドバイスすることができる。
【解決手段】 悩み相談装置として機能する情報処理装置10は、コンピュータ12を含み、マイク14および出力装置16がコンピュータに接続される。情報処理装置は、コラム法に従って、ユーザの悩みに関する複数の質問を出力装置から音声で出力する。情報処理装置は、各質問に対するユーザの回答の音声をマイクで検出し、各質問について検出した音声に基づいて、ユーザの悩みの原因であるスキーマを推定する。情報処理装置は、スキーマを推定すると、推定したスキーマについてのアドバイスを音声で出力装置から出力する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の複数の第1の質問の各々を音声で出力する出力部、
ユーザの音声を検出する音声検出部、
前記所定の複数の第1の質問の各々に対して、前記音声検出部によって検出されたユーザの音声に基づいてキーワードを検出するキーワード検出部、および
前記キーワード検出部によって検出されたキーワードである検出キーワードに基づいて前記ユーザの悩みの原因であるスキーマを推定する推定部を備え、
前記出力部は、前記推定部によって推定されたスキーマについてのアドバイスを音声で出力する、悩み相談装置。
【請求項2】
前記所定の複数の第1の質問は、悩みの原因についての5W1Hの質問を含む、請求項1記載の悩み相談装置。
【請求項3】
前記スキーマは、高達成志向、他者依存的評価および失敗不安の3つの類型に分類された考え方の癖であり、
3つの類型の各々に対応して、関連するキーワードである関連キーワードを記憶する関連キーワード記憶部、および
前記検出キーワードが前記関連キーワードと一致する場合に、当該関連キーワードに対応する類型について得点を加算する得点加算部をさらに備え、
前記推定部は、前記得点加算部の加算結果に基づいて前記スキーマを推定する、請求項1または2記載の悩み相談装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記得点加算部によって得点を加算された3つの類型のうち、最高得点の類型を前記スキーマとして推定する、請求項3記載の悩み相談装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記最高得点の類型が複数有る場合に、類型を1つに絞り込むための質問である第2の質問を音声で出力し、
前記音声検出部は、前記第2の質問に対する前記ユーザの回答の音声を検出し、
前記推定部は、前記第2の質問に対する前記ユーザの回答に基づいて絞り込んだ1つの類型を前記スキーマとして推定する、請求項4記載の悩み相談装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記得点加算部によって得点を加算された各類型のうち、得点の無い類型が有る場合に、当該得点の無い類型に該当するかどうかの質問である第3の質問を音声で出力し、
前記音声検出部は、前記第3の質問に対する前記ユーザの回答の音声を検出し、
前記第3の質問に対する前記ユーザの回答が前記得点の無い類型に該当することを示す場合に、当該得点の無い類型についての得点を最高得点に修正する、請求項5記載の悩み相談装置。
【請求項7】
所定の複数の質問の各々を音声で出力する出力装置、
ユーザの音声を検出する音声検出部、
前記所定の複数の第1の質問の各々に対して、前記音声検出部によって検出されたユーザの音声に基づいてキーワードを検出するキーワード検出部、および
前記キーワード検出部によって検出されたキーワードである検出キーワードに基づいて前記ユーザの悩みの原因であるスキーマを推定する推定部を備え、
前記出力装置は、前記推定部によって推定されたスキーマについてのアドバイスを音声で出力する、悩み相談システム。
【請求項8】
悩み相談装置のコンピュータによって実行される制御プログラムであって、
前記コンピュータのプロセッサに、
所定の複数の質問の各々を音声で出力手段に出力する音声出力ステップ、
ユーザの音声を検出する音声検出ステップ、
前記所定の複数の質問の各々に対して、前記音声検出ステップにおいて検出したユーザの音声に基づいてキーワードを検出するキーワード検出ステップ、および
前記キーワード検出ステップにおいて検出したキーワードである検出キーワードに基づいて前記ユーザの悩みの原因であるスキーマを推定する推定ステップを実行させ、
前記音声出力ステップは、前記推定ステップにおいて推定したスキーマについてのアドバイスを音声で前記出力手段に出力する、制御プログラム。
【請求項9】
悩み相談装置の制御方法であって、
(a)所定の複数の質問の各々を音声で出力手段に出力するステップ、
(b)ユーザの音声を検出するステップ、
(c)前記所定の複数の質問の各々に対して、前記ステップ(b)において検出したユーザの音声に基づいてキーワードを検出するステップ、および
(d)前記ステップ(c)において検出したキーワードである検出キーワードに基づいて前記ユーザの悩みの原因であるスキーマを推定するステップを含み、
前記ステップ(a)は、前記ステップ(d)において推定したスキーマについてのアドバイスを音声で前記出力手段に出力する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、悩み相談装置、悩み相談システム、制御プログラムおよび制御方法に関し、特にたとえば、ユーザの悩みの原因であるスキーマに対してアドバイスする、悩み相談装置、悩み相談システム、制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の悩み相談装置の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される認知行動療法の自動化システムは、問題行動の発生時や各時間の気分の強度を自己評価し、または課題の達成状況を評価し、その状況と評価点をスマートフォンなどからデータベースに送信すると、キーワードで分類し、その分類ごとの評価点を記録、計算、比較するなどの分析を行い、その結果に基づき自動的にカウンセリングを行うことで、認知の歪みや行動を改善する認知行動療法をアルゴリズム化して自動的に行う装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-153413号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に開示される認知行動療法の自動化システムでは、認知行動療法をアルゴリズム化することが開示されているだけであり、具体的なアルゴリズムについては何ら開示されていない。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、悩み相談装置、悩み相談システム、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【0006】
また、この発明の他の目的は、ユーザとの対話により当該ユーザの悩みの原因であるスキーマを推定し、推定したスキーマに対してアドバイスすることができる、悩み相談装置、悩み相談システム、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、所定の複数の第1の質問の各々を音声で出力する出力部、ユーザの音声を検出する音声検出部、所定の複数の第1の質問の各々に対して、音声検出部によって検出されたユーザの音声に基づいてキーワードを検出するキーワード検出部、およびキーワード検出部によって検出されたキーワードである検出キーワードに基づいてユーザの悩みの原因であるスキーマを推定する推定部を備え、出力部は、推定部によって推定されたスキーマについてのアドバイスを音声で出力する、悩み相談装置である。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に従属し、所定の複数の第1の質問は、悩みの原因についての5W1Hの質問を含む。
【0009】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、スキーマは、高達成志向、他者依存的評価および失敗不安の3つの類型に分類された考え方の癖であり、3つの類型の各々に対応して、関連するキーワードである関連キーワードを記憶する関連キーワード記憶部、および検出キーワードが関連キーワードと一致する場合に、当該関連キーワードに対応する類型について得点を加算する得点加算部をさらに備え、推定部は、得点加算部の加算結果に基づいてスキーマを推定する。
【0010】
第4の発明は、第3の発明に従属し、推定部は、得点加算部によって得点を加算された3つの類型のうち、最高得点の類型をスキーマとして推定する。
【0011】
第5の発明は、第4の発明に従属し、出力部は、最高得点の類型が複数有る場合に、類型を1つに絞り込むための質問である第2の質問を音声で出力し、音声検出部は、第2の質問に対するユーザの回答の音声を検出し、推定部は、第2の質問に対するユーザの回答に基づいて絞り込んだ1つの類型をスキーマとして推定する。
【0012】
第6の発明は、第5の発明に従属し、出力部は、得点加算部によって得点を加算された各類型のうち、得点の無い類型が有る場合に、当該得点の無い類型に該当するかどうかの質問である第3の質問を音声で出力し、音声検出部は、第3の質問に対するユーザの回答の音声を検出し、第3の質問に対するユーザの回答が得点の無い類型に該当することを示す場合に、当該得点の無い類型についての得点を最高得点に修正する。
【0013】
第7の発明は、所定の複数の質問の各々を音声で出力する出力装置、ユーザの音声を検出する音声検出部、所定の複数の第1の質問の各々に対して、音声検出部によって検出されたユーザの音声に基づいてキーワードを検出するキーワード検出部、およびキーワード検出部によって検出されたキーワードである検出キーワードに基づいてユーザの悩みの原因であるスキーマを推定する推定部を備え、出力装置は、推定部によって推定されたスキーマについてのアドバイスを音声で出力する、悩み相談システムである。
【0014】
第8の発明は、悩み相談装置のコンピュータによって実行される制御プログラムであって、コンピュータのプロセッサに、所定の複数の質問の各々を音声で出力手段に出力する音声出力ステップ、ユーザの音声を検出する音声検出ステップ、所定の複数の質問の各々に対して、音声検出ステップにおいて検出したユーザの音声に基づいてキーワードを検出するキーワード検出ステップ、およびキーワード検出ステップにおいて検出したキーワードである検出キーワードに基づいてユーザの悩みの原因であるスキーマを推定する推定ステップを実行させ、音声出力ステップは、推定ステップにおいて推定したスキーマについてのアドバイスを音声で出力手段に出力する、制御プログラムである。
【0015】
第9の発明は、悩み相談装置の制御方法であって、(a)所定の複数の質問の各々を音声で出力手段に出力するステップ、(b)ユーザの音声を検出するステップ、(c)所定の複数の質問の各々に対して、ステップ(b)において検出したユーザの音声に基づいてキーワードを検出するステップ、および(d)ステップ(c)において検出したキーワードである検出キーワードに基づいてユーザの悩みの原因であるスキーマを推定するステップを含み、ステップ(a)は、ステップ(d)において推定したスキーマについてのアドバイスを音声で出力手段に出力する、制御方法である。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、ユーザとの対話により当該ユーザの悩みの原因であるスキーマを推定するので、推定したスキーマに対してアドバイスすることができる。
【0017】
この発明の上述の目的、その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1はこの発明のこの実施例の情報処理装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図2図2(A)は状況についての質問に対するユーザの回答の一例を示し、図2(B)は図2(A)に示す回答から取得した検出キーワードの一例を示し、図2(C)は悩みカテゴリに対する想定キーワードの第1テーブルの一例をし、図2(D)はユーザの回答に対するエージェントの発話内容の例を示す。
図3図3(A)はきっかけについての1つ目の質問に対するユーザの回答の一例を示し、図3(B)はきっかけについての2つ目の質問に対するユーザの回答の一例を示し、図3(C)はきっかけについての質問に対する回答から得られた検出キーワードの例を示す。
図4図4はメモリに記憶された検出キーワードの例を示す。
図5図5(A)は5Wにおける4つの観点に対する観点別のカテゴリ毎の想定キーワードを記載された第2テーブルの一例を示し、図5(B)は5Wについての質問に対するユーザの回答から取得した検出キーワードが想定キーワードに含まれている場合に、観点別のカテゴリの名称を用いたエージェントの発話内容の一例を示す。
図6図6(A)は気分についての質問に対するユーザの回答の一例を示し、図6(B)は気分についての質問に対する回答から得られた検出キーワードの例を示し、図6(C)は気分のカテゴリに対応する想定キーワードの第3テーブルの一例を示し、図6(D)は気分についての質問に対するユーザの回答から取得した検出キーワードが想定キーワードに含まれている場合と、検出キーワードが想定キーワードに含まれていない場合のエージェントの発話内容の例を示す。
図7図7はスキーマの類型に対応する関連キーワードについての第4テーブルの一例を示す。
図8図8(A)はスキーマの類型に対する質問内容の一例を示し、図8(B)は2つのスキーマの類型に対する絞り込みの質問の質問内容の一例を示す。
図9図9(A)は高達成志向についての自動思考の質問の一例を示し、図9(B)は他者依存的評価についての自動思考の質問の一例を示す。
図10図10(A)は失敗不安についての自動思考の質問の一例を示し、図10(B)はスキーマを未推定である場合の質問の一例を示す。
図11図11(A)は高達成志向の詳細スキーマの一例を示す図であり、図11(B)は他者依存的評価の詳細スキーマの一例を示す図である。
図12図12は失敗不安の詳細スキーマの一例を示す。
図13図13(A)は高達成志向の詳細スキーマの対応キーワードの第4テーブルの一例を示し、図13(B)は他者依存的評価の詳細スキーマの対応キーワードの第5テーブルの一例を示す。
図14図14は失敗不安の詳細スキーマの対応キーワードの第6テーブルの一例を示す。
図15図15(A)はスキーマの類型毎の説明内容の一例を示し、図15(B)はスキーマの類型毎のアドバイスの内容の一例を示す。
図16図16図1に示すコンピュータに内蔵されるRAMのメモリマップの一例を示す図である。
図17図17図1に示すコンピュータに内蔵されるCPUの情報処理の一例を示すフロー図である。
図18図18図1に示すコンピュータに内蔵されるCPUの状況についての質問処理の一例を示すフロー図である。
図19図19図1に示すコンピュータに内蔵されるCPUのきっかけについての質問処理の一例を示すフロー図である。
図20図20図1に示すコンピュータに内蔵されるCPUの5Wについての質問処理の一例を示すフロー図である。
図21図21図1に示すコンピュータに内蔵されるCPUの気分についての質問処理の一例を示すフロー図である。
図22図22図1に示すコンピュータに内蔵されるCPUのスキーマの推定の一例を示すフロー図である。
図23図23図1に示すコンピュータに内蔵されるCPUのスキーマについての質問処理の一例を示すフロー図である。
図24図24図1に示すコンピュータに内蔵されるCPUの0点のスキーマについての質問処理の一例を示すフロー図である。
図25図25図1に示すコンピュータに内蔵されるCPUの絞り込みの質問処理の一例を示すフロー図である。
図26図26図1に示すコンピュータに内蔵されるCPUの自動思考の質問処理を示すフロー図である。
図27図27図1に示すコンピュータに内蔵されるCPUの詳細スキーマの推定処理の一例の一部を示すフロー図である。
図28図27図1に示すコンピュータに内蔵されるCPUの詳細スキーマの推定処理の他の一部であって、図27に後続するフロー図である。
図29図29図1に示すコンピュータに内蔵されるCPUのアドバイスの処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照して、この実施例の情報処理装置10は、コンピュータ12、マイク14および出力装置16を含み、マイク14および出力装置16はコンピュータ12に接続される。
【0020】
コンピュータ12は、汎用のサーバまたはPCであり、CPU12a、RAM12b、通信装置12cおよび入出力のインターフェイスなどのコンポーネントを備える。また、図示は省略するが、コンピュータ12は、HDD、フラッシュメモリ、EEPROMなどの不揮発性メモリまたはSSDのような半導体メモリで構成される他の記憶部を備える。
【0021】
CPU12aは、コンピュータ12の全体的な制御を司るプロセッサである。RAM12bは、コンピュータ12の主記憶装置であり、CPU12aのバッファ領域およびワーク領域として機能する。通信装置12cは、イーサネットまたはWi-Fiのような通信方式に従って有線または無線で、ネットワーク上の他のコンピュータと通信するための通信モジュールである。ただし、後述するように、出力装置16がロボットである場合には、コンピュータ12は、通信装置12cを用いてロボットと通信する。
【0022】
マイク14は、汎用の集音マイクであり、ユーザの音声を入力または検出するためのセンサとして機能する。
【0023】
出力装置16は、一例として、汎用のスピーカであり、エージェントの音声を出力する。ただし、出力装置16は、スピーカに加えて、ディスプレイを含み、ディスプレイにエージェント(キャラクタオブジェクト)の静止画像または動画像(アニメーション)が表示されてもよい。または、出力装置16は、スピーカを備えるロボットであってもよい。かかる場合には、コンピュータ12とロボットすなわち出力装置16が通信可能に接続された悩み相談システムが構成される。ロボットとしては、出願人が開発および販売するロボビー(登録商標)またはヴイストン株式会社製のSota(登録商標)のような、身体動作および音声の少なくとも一方でコミュニケーション行動を実行するコミュニケーションロボットを使用することができる。この場合、ロボットが備えるマイクをマイク14として使用することができる。また、コンピュータ12はロボットに内蔵されてもよいし、ロボットの制御装置ないしコンピュータがコンピュータ12としても機能してもよい。
【0024】
詳細な説明は省略するが、ロボットを使用する場合には、音声を出力する場合に、身体動作で発話している様子を表現し、ユーザの発話を聞く場合には、当該ユーザを注視するように、ロボットの目または顔(または、頭部)の向きが制御される。
【0025】
このような構成の情報処理装置10は、悩み相談装置としても機能し、この悩み相談装置を使用するユーザとエージェントが対話し、エージェントが悩みに関する複数の質問を行い、複数の質問に対する当該ユーザの回答を得ることより、当該ユーザの悩みの原因であるスキーマを推定し、推定したスキーマに応じたアドバイスを当該ユーザに対して行う。
【0026】
ただし、この実施例では、エージェントは、所定のキャラクタまたはロボットである。また、エージェントは、出力装置16としてのディスプレイに表示された所定のキャラクタのみを示す場合もあり、コンピュータ12を含む場合もある。さらに、出力装置16がスピーカである場合には、姿形を有しない音声のみのエージェントがユーザと対話する。
【0027】
情報処理装置10は、ユーザと対話するために必要な発話内容の音声データをメモリ(RAM12b)に記憶し、予め作成または設定されたシナリオに従うとともに、ユーザが発話した音声から検出したキーワードに応じて、適切な返答を選択し、エージェントに発話させる。
【0028】
ただし、シナリオは、後述する情報処理(悩み相談についての全体処理)のフロー図(図12参照)で設定された対話の流れである。
【0029】
また、情報処理装置10は、ユーザが発話した音声を、マイク14で検出し、検出した音声に対応する音声データを音声認識することで、文字データに変換し、変換した文字データからキーワードを検出する。
【0030】
以下、会社に関する悩み相談および学校に関する悩み相談についての対話の具体例を示しながら、情報処理装置10が提供する悩み相談について説明する。
【0031】
この実施例では、情報処理装置10は、悩み相談において、コラム法を用いて、ユーザに質問し、ユーザの回答に基づいて、ユーザの悩みの原因であるスキーマを推定する。
【0032】
ここで、スキーマとは、認知心理学で用いられる用語であり、この実施例では、人間の認知過程または考え方の癖を意味する。この実施例では、日本人向けに作成された抑うつスキーマ尺度に基づき、3つの類型に分類される。1つ目は高達成志向であり、2つ目は他者依存的評価であり、3つ目は失敗不安である。
【0033】
なお、抑うつスキーマ尺度に基づく分類は、「家接哲次, 小玉正博. 新しい抑うつスキーマ尺度の作成の試み. 健康心理学研究, Vol. 12, No. 2, pp. 37-46, 1999. 」を参考にして行った。
【0034】
スキーマが高達成志向である人間の場合、考え方の癖には、理想を高く持ち、自分に厳しくする、という傾向が見られる。スキーマが他者依存的評価の人間である場合、考え方の癖には、他人からどう思われるかは大切だ、という傾向が見られる。スキーマが失敗不安である人間の場合、考え方の癖には、上手くいかない可能性に強く不安を感じる、という傾向が見られる。
【0035】
悩み相談の概略を説明すると、情報処理装置10は、ユーザに状況についての質問処理を実行し、次に、きっかけについての質問処理を実行し、続いて、5Wについての質問処理を実行し、さらに、気分についての質問処理を実行し、そして、これらの質問に対する回答に基づいて、スキーマの推定処理を実行する。スキーマの推定処理において、上記の質問処理の結果に基づいてスキーマを推定できない場合には、情報処理装置10は、さらに、スキーマを推定するための質問処理を実行し、その回答に基づいてスキーマを推定する。
【0036】
状況についての質問処理では、エージェントは、「最近悩んでいることはありますか」と音声で質問する。これに対して、ユーザは、回答する。すると、情報処理装置10は、ユーザの回答の音声を検出し、検出した音声を音声認識し、音声認識することで生成したテキスト文からキーワードを検出する。
【0037】
図2(A)には、ユーザの回答の例が示され、図2(B)には、ユーザの回答から検出されたキーワード(以下、「検出キーワード」という)の例が示される。ただし、図2(A)および(B)においては、識別情報(ID)が「1」の場合には、仕事に関する悩み相談の場合であり、IDが「2」の場合には、学校に関数する悩み相談の場合である。このことは、図2(B)、図2(D)、図3(A)-図3(C)、図4図5(B)、図6(A)、図6(B)、図6(D)においても同じである。
【0038】
図2(A)および(B)に示すように、仕事に関する悩み相談の場合には、「最近、職場で何度もミスをしてしまい、自己嫌悪しています。」のような回答が得られる。このようなユーザの回答から「最近」、「職場」、「何度も」、「ミス」および「自己嫌悪」のキーワードが検出される。つまり、検出キーワードが得られる。また、学校に関する悩み相談の場合には、「授業についていけず、このままでは留年してしまいそうです。」のような回答が得られ、このようなユーザの回答から「授業」および「留年」のキーワードが検出される。つまり、検出キーワードが得られる。検出キーワードは、メモリ(この実施例では、RAM12b)に記憶される。ただし、検出キーワードは、5W(この実施例では、「いつ」、「どこで」、「誰と」、「何をしていて」、「なぜ」)の観点または要素で分類され、各観点に対応づけてメモリに記憶される。検出キーワードの分類は、図示しない辞書データを用いて行われる。一例として、辞書データは、「いつ」、「どこで」、「誰と」、「何をしていて」、「なぜ」の各観点のうち、「なぜ」の観点を除く他の観点について、検出キーワードを分類するために設けられる。詳細な説明は省略するが、辞書データでは、「いつ」、「どこで」、「誰と」、「何をしていて」の各観点に対応して、各観点に該当する多数のキーワードが登録されている。以下、検出キーワードを取得した場合について同様である。
【0039】
情報処理装置10は、検出キーワードが想定したキーワード(以下、「想定キーワード」という)であるかどうかを判断する。想定キーワードは、エージェントからの質問に対するユーザの回答に含まれることが想定されるキーワードを意味する。
【0040】
図2(C)は状況についての質問に対する回答の想定キーワードの例を示すテーブル(以下、「第1テーブル」という)である。想定キーワードは、カテゴリ(ここでは、「悩みカテゴリ」)に分類されている。図2(C)の第1テーブルで示すように、この実施例では、悩みカテゴリの例は、「何か失敗した」および「将来への不安」である。
【0041】
第1テーブルでは、悩みカテゴリの「何か失敗した」に対応して、想定キーワードの例として、「失敗」、「間違い」、「ミス」が記載される。また、第1テーブルでは、悩みカテゴリの「将来への不安」に対応して、想定キーワードの例として、「留年」、「進路」、「就活」が記載される。
【0042】
これらは一例であり、限定される必要はない。悩みカテゴリおよび想定キーワードは、悩みに応じて適宜変更または追加される。
【0043】
情報処理装置10は、検出キーワードが想定キーワードに含まれる場合には、内容を確認するが、検出キーワードが想定キーワードに含まれていない場合には、返事をする。
【0044】
図2(D)は、検出キーワードが想定キーワードに含まれている場合のエージェントの発話内容の例を示す。
【0045】
たとえば、上記の例では、仕事に関する悩み相談の場合、検出キーワードのうち、想定キーワードに含まれるのは「ミス」であり、その悩みカテゴリは「何か失敗した」である。したがって、図2(D)に示すように、エージェントは、「なるほど、あなたは何か失敗してしまったのですね」と発話する。
【0046】
また、上記の例では、学校に関する悩み相談の場合、検出キーワードのうち、想定キーワードに含まれるのは「留年」であり、その悩みカテゴリは「将来への不安」である。したがって、図2(D)に示すように、エージェントは、「なるほど、あなたは将来に対する不安を抱えているのですね」と発話する。
【0047】
このように、検出キーワードが想定キーワードに含まれている場合には、悩みカテゴリの名称を用いた内容を発話することにより、ユーザが回答した内容(すなわち、悩み)の分類として、想定キーワードに対応する悩みカテゴリが正しいかどうかを確認している。
【0048】
なお、この実施例では、悩みカテゴリ自体は、スキーマの推定に使用しないため、悩みカテゴリが正しいかどうかを確認したことに応じてユーザが回答した場合であっても、ユーザの回答については特に考慮していない。
【0049】
一方、検出キーワードが想定キーワードに含まれていない場合には、エージェントは、返事だけをする。これは、ユーザが回答した内容を、いずれの悩みカテゴリにも分類できないためである。たとえば、エージェントは、「そうだったんですね」と返事する。
【0050】
次に、情報処理装置10は、きっかけについての質問処理を実行する。ここでは、エージェントは、ユーザが悩みを抱えるようになったきっかけについての2つの質問をする。まず、エージェントは、「いつからそのような状態になりましたか」と、きっかけについての1つ目の質問をする。
【0051】
一例として、図3(A)に示すように、きっかけについての1つ目の質問に対しては、仕事に関する悩みの場合には、「ここ1か月くらいです」のような回答が得られ、学校に関する悩みの場合には、「4月になってからです」のような回答が得られる。
【0052】
1つ目の質問に対する回答が得られると、エージェントは、「分かりました」と返事をして、続いて、「そのきっかけについて教えてください」と、きっかけについての2つ目の質問をする。
【0053】
一例として、図3(B)に示すように、きっかけについての2目の質問に対しては、仕事に関する悩み相談の場合には、「上司にひどく怒られてしまったことがあったように思います」のような回答が得られ、学校に関する悩み相談の場合には、「オンラインで授業を家で受けるようになってからです」のような回答が得られる。
【0054】
2つ目の質問に対する回答が得られると、エージェントは、「分かりました」と返事をする。続いて、情報処理装置10は、5Wについての質問処理を実行する。
【0055】
ただし、各質問に対してユーザが回答すると、情報処理装置10は、ユーザの回答の音声を検出し、検出した音声を音声認識し、音声認識することで生成したテキスト文からキーワードを検出する。
【0056】
したがって、図3(C)に示すように、上記の2つの質問に対する回答から、仕事に関する悩み相談の場合には、「1か月」、「上司」および「怒られて」のキーワードが検出される。また、学校に関する悩み相談の場合には、「4月」、「授業」、「家」のキーワードが検出される。
【0057】
5Wの質問処理では、5Wの観点のうち、状況についての質問に対する回答およびきっかけについての質問に対する回答から得られた検出キーワードに対応する観点を除く観点についての質問をする。
【0058】
なお、この実施例では、「なぜ」の観点については、状況についての質問およびきっかけについての質問に対して、「なぜ」に関連する回答をしていたとしても、分類をしていないため、5Wの質問処理では、必ず「なぜ」の観点について質問して、回答(または、情報)を収集するようにしてある。
【0059】
図4は、上記の状況についての質問に対する回答およびきっかけについての質問に対する回答から得られた検出キーワードを観点毎に分類して記載した分類表の一例である。
【0060】
図4からも分かるように、仕事に関する悩み相談の場合には、「いつ」、「どこで」、「誰と」の観点については、検出キーワードが記憶されているため、「何をしていて」および「なぜ」の観点についての質問をすることが決定される。複数の観点について質問する場合には、5Wの観点を、「いつ」、「どこで」、「誰と」、「何をしていて」、「なぜ」の順で並べた場合の早い順に実行される。したがって、「何をしていて」および「なぜ」についての質問がその順番で実行される。ただし、これは一例であり、質問する順番は、ランダムに決定されてもよい。
【0061】
したがって、エージェントは、「何をしていたか」と、1つ目の質問をする。これに対して、「仕事をしていて」または「業務についていて」のような回答が得られる。したがって、検出キーワードとして、「仕事」または「業務」が得られる。次に、エージェントは、「なぜ起きたか」と、2つ目の質問をする。これに対して、「うっかりしていて」のような回答が得られる。
【0062】
また、図4からも分かるように、学校に関する悩み相談の場合には、「いつ」、「どこで」、「何をしていて」の観点については、検出キーワードが記憶されているため、「誰と」および「なぜ」の観点について、その順番で質問をすることが決定される。
【0063】
したがって、エージェントは、「誰といたか」と、1つ目の質問をする。これに対して、「家族といました」、「親といました」または「母といました」のような回答が得られる。次に、エージェントは、「なぜ起きたか」と、2つ目の質問をする。これに対して、「理解できなくて」のような回答が得られる。
【0064】
情報処理装置10は、ユーザからの回答があると、検出キーワードを取得し、検出キーワードが想定キーワードであるかどうかを判断する。図5(A)は、5Wについての質問についての想定キーワードのテーブル(以下、「第2テーブル」という)の一例である。
【0065】
図5(A)の第2テーブルに示すように、想定キーワードは、5Wの観点毎に、カテゴリ(ここでは、「観点別のカテゴリ」)に分類されている。図5(A)の第2テーブルで示すように、この実施例では、「いつ」の観点についての観点別のカテゴリの例は、「最近」および「昔」である。また、「どこで」の観点についての観点別のカテゴリの例は、「家」および「職場」である。さらに、「誰と」の観点についての観点別のカテゴリの例は、「家族」および「職場の人」である。さらにまた、「何をしていて」の観点についての観点別のカテゴリの例は、「勉強」および「仕事」である。
【0066】
なお、第2テーブルに示すように、5Wのうち「なぜ」の観点については、想定キーワードは設定されていない。「なぜ」の観点すなわち理由については、様々であり、想定キーワードが膨大であり、また、それらを観点別のカテゴリに分類するのが煩雑だからである。
【0067】
また、第2テーブルでは、「いつ」の観点についての観点別のカテゴリの「最近」に対応して、想定キーワードの例として、「最近」、「今週」、「1か月」が記載される。また、「いつ」の観点についての観点別のカテゴリの「昔」に対応して、想定キーワードの例として、「昔」、「子供の頃」が記載される。
【0068】
同様に、第2テーブルでは、「どこで」の観点についての観点別のカテゴリの「家」に対応して、想定キーワードの例として、「家」、「自宅」が記載される。また、「どこで」の観点についての観点別のカテゴリの「職場」に対応して、想定キーワードの例として、「職場」、「会社」、「オフィス」が記載される。
【0069】
同様に、第2テーブルでは、「誰と」の観点についての観点別のカテゴリの「家族」に対応して、想定キーワードの例として、「家族」、「親」、「母」が記載される。また、「誰と」の観点についての観点別のカテゴリの「職場の人」に対応して、想定キーワードの例として、「同僚」、「上司」が記載される。
【0070】
同様に、第2テーブルでは、「何をしていて」の観点についての観点別のカテゴリの「勉強」に対応して、想定キーワードの例として、「勉強」、「宿題」、「授業」が記載される。また、「何をしていて」の観点についての観点別のカテゴリの「仕事」に対応して、想定キーワードの例として、「仕事」、「業務」が記載される。
【0071】
これらは一例であり、限定される必要はない。ここでは、観点別のカテゴリおよび想定キーワードは、一部を示しており、また、悩みに応じて適宜変更または追加される。たとえば、「どこで」の観点についての観点別のカテゴリとしては、さらに「学校」が設けられ、その想定キーワードとして、「学校」、「教室」が記載される。また、「誰と」の観点についての観点別のカテゴリとしては、さらに「知人」が設けられ、その想定キーワードとして、「知人」、「友達」、「顔見知り」が記載される。
【0072】
情報処理装置10は、ユーザから回答があると、第2テーブルを参照して、検出キーワードが想定キーワードであるかどうかを判断し、検出キーワードが想定キーワードである場合には、観点別のカテゴリを用いて、ユーザの回答について確認する。一方、検出キーワードが想定キーワードでない場合には、「そうだったんですね」と単に返事をする。
【0073】
図5(B)は、5Wについての質問に対するユーザの回答から取得した検出キーワードが想定キーワードに含まれている場合に、観点別のカテゴリの名称を用いた発話の内容を示す。
【0074】
たとえば、仕事に関する悩み相談の場合、検出キーワードとして「仕事」または「業務」を取得した場合には、検出キーワードが想定キーワードであるため、その観点別のカテゴリである「仕事」を用いて、図5(B)に示すように、エージェントは、「仕事中だったんですね」と発話する。
【0075】
また、学校に関する悩み相談の場合、検出キーワードとして、「家族」、「親」、「母」または「父」を取得した場合には、検出キーワードが想定キーワードであるため、その観点別のカテゴリである「家族」を用いて、図5(B)に示すように、エージェントは、「家族といたんですね」と発話する。
【0076】
このように、検出キーワードが想定キーワードに含まれている場合には、観点別のカテゴリの名称を用いた内容を発話することにより、ユーザが回答した内容(すなわち、5Wの観点)の分類として、想定キーワードに対応する観点別のカテゴリが正しいかどうかを確認している。
【0077】
このような5Wについての質問処理は、決定されたすべての質問を終えるまで繰り返し実行される。ただし、この実施例では、質問に対して十分な情報が得られなかったとしても、同じ質問が繰り返されることはない。なお、質問に対して十分な情報が得られるまで、同じ質問が繰り返されてもよい。
【0078】
情報処理装置10は、5Wについての質問処理を終了すると、続いて、気分についての質問処理を実行する。つまり、1Hについての質問処理が実行される。
【0079】
気分についての質問処理では、エージェントは、「そのときの気分について教えてください」と音声で質問する。これに対して、ユーザは、回答する。すると、情報処理装置10は、ユーザの回答の音声を検出し、検出した音声を音声認識し、音声認識することで生成したテキスト文からキーワードを検出する。
【0080】
図6(A)および(B)に示すように、仕事に関する悩み相談の場合には、ユーザは、「悲しい気分や自己嫌悪というような気分でした」のように回答する。このような回答から「悲しい」および「自己嫌悪」のキーワードが検出される。つまり、検出キーワードが得られる。また、学校に関する悩み相談の場合には、「このままでは留年してしまうんじゃないかと思いました」のような回答が得られ、このような回答から「留年」のキーワードが検出される。つまり、検出キーワードが得られる。
【0081】
情報処理装置10は、検出キーワードが想定キーワードであるかどうかを判断する。ここでは、想定キーワードは、エージェントからの気分についての質問に対するユーザの回答に含まれることが想定されるキーワードを意味する。
【0082】
図6(C)は気分についての質問に対する回答に含まれることが想定される想定キーワードの例を示すテーブル(以下、「第3テーブル」という)である。想定キーワードは、カテゴリ(ここでは、「気分のカテゴリ」)に分類されている。図6(C)の第3テーブルで示すように、この実施例では、気分のカテゴリの例は、「悲しい」および「自己嫌悪」である。
【0083】
第3テーブルでは、気分のカテゴリの「悲しい」に対応して、想定キーワードの例として、「悲しい」、「悲しかった」が記載される。また、第3テーブルでは、気分のカテゴリの「自己嫌悪」に対応して、想定キーワードの例として、「自己嫌悪」、「自分が嫌い」が記載される。
【0084】
これらは一例であり、限定される必要はない。気分のカテゴリおよび想定キーワードは、悩みに応じて適宜変更または追加される。
【0085】
情報処理装置10は、検出キーワードが想定キーワードに含まれる場合には、内容を確認するが、検出キーワードが想定キーワードに含まれていない場合には、気分について回答していないことを指摘して、再度気分について質問する。
【0086】
図6(D)は、検出キーワードが想定キーワードに含まれている場合のエージェントの発話内容の例と、検出キーワードが想定キーワードに含まれていない場合のエージェントの発話内容の例を示す。
【0087】
たとえば、上記の例では、仕事に関する悩み相談の場合、検出キーワードの「悲しい」と「自己嫌悪」はそれぞれ想定キーワードに含まれ、その気分のカテゴリは「悲しい」と「自己嫌悪」である。したがって、図6(D)に示すように、エージェントは、「なるほど、その状況のあなたの気分をまとめると「悲しい」、「自己嫌悪」などですね」と発話する。
【0088】
また、上記の例では、学校に関する悩み相談の場合、検出キーワードの「留年」は想定キーワードでない。したがって、図6(D)に示すように、エージェントは、「聞き逃していたら申し訳ないのですが、あなたが先ほど話した内容は気分というよりは考えです。気分は「うれしい」、「悲しい」など一言で言えるものが多いです。そこで、先ほどあなたが話した考えに対してどう感じますか」と発話する。このように、再度気分について質問ことにより、気分についての回答を得るようにしてある。
【0089】
なお、この実施例では、気分のカテゴリ自体は、スキーマの推定に使用しないため、気分のカテゴリが正しいかどうかを確認したことに応じてユーザが回答した場合であっても、ユーザの回答については特に考慮していない。
【0090】
また、気分についての検出キーワードは、5Wについての検出キーワードと同様に、気分について(1H)の観点に対応してメモリに記憶される。
【0091】
情報処理装置10は、気分についての質問処理を終えると、スキーマの推定処理を実行する。スキーマの推定処理では、スキーマに対応して記載された関連キーワードについてのテーブル(以下、「第4テーブル」という)が用いられる。上述したように、スキーマの類型は、高達成志向、他者依存的評価および失敗不安である。各関連キーワードは、対応するスキーマに関連付けられたキーワードである。より具体的には、関連キーワードは、対応するスキーマを有するユーザの回答に含まれるキーワードであり、実験によって取得された多数のユーザの回答に基づいて経験的に決定される。ただし、ユーザの回答は、上記の状況についての質問処理、きっかけについての質問処理、5Wについての質問処理および気分についての質問処理のそれぞれにおけるユーザの回答である。
【0092】
図7に示すように、第4テーブルでは、高達成志向のスキーマに対応して、妥協、譲れない、コンプレックス、焦り、イライラ、努力しないと、努力不足、練習不足、人並み、比較して、失敗などの関連キーワードが記載される。
【0093】
また、第4テーブルでは、他者依存的評価のスキーマに対応して、認めて欲しい、分かって欲しい、理解して欲しい、孤立、浮いて、同調圧力、意見できなくて、上手く言えなくて、馬鹿にされて、否定された、怒られたなどの関連キーワードが記載される。
【0094】
さらに、第4テーブルでは、失敗不安のスキーマに対応して、失敗、不安、将来の不安、本音、弱さ、自己嫌悪、人間不信、信じられない、裏切り、だまされたなどの関連キーワードが記載される。
【0095】
この実施例では、ユーザの悩みの原因であるスキーマを推定するために、高達成志向、他者依存的評価、失敗不安に関連または関係するキーワードの個数(得点)が算出される。つまり、上記の状況についての質問処理、きっかけについての質問処理、5Wについての質問処理および気分についての質問処理のそれぞれにおけるユーザの回答から取得されたすべての検出キーワードのそれぞれについて、関連キーワードである(すなわち、関連キーワードと一致する)かどうかを判断する。検出キーワードが関連キーワードである場合には、関連キーワードに対応するスキーマについての得点が加算される。
【0096】
すべての検出キーワードについて得点を加算する処理が実行されると、各スキーマの得点が比較され、比較結果に基づいて、ユーザの悩みの原因であるスキーマが推定される。この実施例では、得点が0点のスキーマが無く、最大値の得点(すなわち、最大得点)のスキーマが1つである場合に、最大得点のスキーマがユーザの悩みの原因であるスキーマとして推定される。
【0097】
ただし、0点のスキーマが有る場合または/および最大得点のスキーマが2つ以上ある場合には、情報処理装置10は、気分についての質問処理までの結果に基づいてスキーマを推定しないで、さらに、スキーマについての質問処理を実行し、2つまたは3つのスキーマの候補から、1つのスキーマを絞り込んで、ユーザの悩みの原因であるスキーマを推定する。ただし、スキーマについての質問処理においても、スキーマを推定できない場合もある。
【0098】
また、得点が0点のスキーマが有る場合には、ユーザに全く当てはまっていないからそのスキーマに対応するキーワードを検出することができないのか、実際は当てはまっているが、質問が悪く、そのスキーマに対応するキーワードを検出することができないのか判断できない。このため、0点のスキーマが有る場合には、スキーマを1つに絞り込むための処理(以下、「絞り込みの質問処理」という)が実行される前に、得点が0点であるスキーマを本当に有していないかどうかを判断するための処理(以下、「0点についての質問処理」という)が実行される。
【0099】
なお、得点が0点のスキーマが2つ以上ある場合には、それぞれのスキーマについて、0点についての質問処理が実行される。
【0100】
スキーマについての質問処理では、まず、質問に対する回答の仕方を説明する。この実施例では、エージェントが、「質問に対しては、「はい」または「いいえ」で回答してください」と発話する。
【0101】
続いて、得点が0点のスキーマが有る場合には、0点のスキーマについての質問処理が実行された後に、絞り込みの質問処理が実行される。一方、得点が0点のスキーマが無い場合には、0点のスキーマについての質問処理が実行されないで、絞り込みの質問処理が実行される。
【0102】
スキーマの推定処理を実行した結果、得点が0点のスキーマが有る場合には、エージェントは、当該スキーマについて該当するかどうかを質問する。つまり、情報処理装置10は、0点のスキーマについての質問処理を実行する。図8(A)は、各スキーマに対する質問内容の一例を示す。
【0103】
この実施例では、図8(A)に示すように、0点のスキーマが高達成志向である場合には、エージェントは、「理想を持っていたが、思っていたようにならなかったことが問題でしょうか」とユーザに音声で質問する。
【0104】
また、0点のスキーマが他者依存的評価である場合には、エージェントは、「他人からの良い評価や反応がもらえなかったことが問題でしょうか」とユーザに音声で質問する。
【0105】
さらに、0点のスキーマが失敗不安である場合には、エージェントは、「うまくいかなかったときのことを不安に感じていることが問題でしょうか」とユーザに音声で質問する。
【0106】
これらの質問に対しては、ユーザの回答が「はい」であれば、当該質問のスキーマに該当することが判断され、当該スキーマについての得点が0点から最大得点に修正される。ただし、スキーマの推定処理を実行した結果、すべてのスキーマの得点が0点である場合には、最大得点が存在しないため、ユーザの回答が「はい」である質問のスキーマについての得点が0点から1点に修正される。
【0107】
一方、上記の質問に対して、ユーザの回答が「いいえ」であれば、当該質問のスキーマに該当しないことが判断され、当該スキーマについての得点が維持される。つまり、得点は0点のままである。
【0108】
また、スキーマの質問処理では、絞り込みの処理が実行される。情報処理装置10は、0点についてのスキーマについて質問した結果、0点であったスキーマについても該当する場合には、情報処理装置10(エージェント)は、絞り込みの処理を実行し、最大得点の2つまたは3つのスキーマから1つのスキーマに絞り込む。また、0点であったスキーマについて該当しない場合には、情報処理装置10(エージェント)は、絞り込みの処理を実行し、0点以外の2つのスキーマから1つのスキーマを絞り込む。
【0109】
スキーマの絞り込むための質問は、3つ用意されている。1つ目の絞り込みの質問は、高達成志向と他者依存的評価のいずれに該当するかを判断するための質問である。この実施例では、エージェントは、「理想が高いことにより、他人の評価が問題だと、強く思いますか」と音声で質問する。これに対して、ユーザの回答が「はい」である場合には、高達者志向に該当することが判断され、ユーザの回答が「いいえ」である場合には、他者依存的評価に該当することが判断される。
【0110】
2つ目の絞り込みの質問は、高達成志向と失敗不安のいずれに該当するかを判断するための質問である。この実施例では、エージェントは、「理想が高いことにより、失敗への不安が問題だと、強く思いますか」と音声で質問する。これに対して、ユーザの回答が「はい」である場合には、高達者志向に該当することが判断され、ユーザの回答が「いいえ」である場合には、失敗不安に該当することが判断される。
【0111】
3つ目の絞り込みの質問は、他者依存的評価と失敗不安のいずれに該当するかを判断するための質問である。この実施例では、エージェントは、「他人の評価より、失敗への不安が問題だと、強く思いますか」と音声で質問する。これに対して、ユーザの回答が「はい」である場合には、他者依存的評価に該当することが判断され、ユーザの回答が「いいえ」である場合には、失敗不安に該当することが判断される。
【0112】
3つのスキーマから1つのスキーマに絞り込む場合には、3つの絞り込みの質問が行われる。情報処理装置10は、すべての質問に対する回答に基づいてスキーマを1つに絞り込む。
【0113】
たとえば、1つ目の絞り込みの質問と2つ目の絞り込みの質問に対する回答がいずれも「はい」であれば、ユーザの悩みの原因であるスキーマを高達成志向に推定する(つまり、絞り込む)。
【0114】
また、たとえば、1つ目の絞り込みの質問に対する回答が「いいえ」であり、3つ目の絞り込みの質問に対する回答が「はい」であれば、ユーザの悩みの原因であるスキーマを他者依存的評価に推定する。
【0115】
さらに、たとえば、2つ目の絞り込みの質問と3つ目の絞り込みの質問に対する回答がいずれも「いいえ」であれば、ユーザの悩みの原因であるスキーマを失敗不安に推定する。
【0116】
また、2つのスキーマから1つのスキーマに絞り込む場合には、上記の3つの絞り込みに質問のうち、その2つのスキーマについての1つの絞り込みの質問が行われる。上記のように、絞り込みの質問に対するユーザの回答によって、当該ユーザの悩みの原因であるスキーマが推定される。
【0117】
ただし、スキーマについての質問処理において、0点についての質問処理が実行されても、すべてのスキーマについての得点が0点である場合には、絞り込みの処理は実行されない。つまり、上述したように、ユーザの悩みの原因であるスキーマを推定することができない。
【0118】
スキーマが推定されると、情報処理装置10は、自動思考の質問処理を実行する。なお、スキーマが推定された後では、相談の内容に関わらず、推定したスキーマについて、自動思考の質問処理と、詳細スキーマの推定処理と、スキーマの説明を含むアドバイスの処理が実行される。図9(A)、図9(B)および図10(A)に示すように、自動思考の質問は、スキーマ毎に、予め4つずつ用意されている。また、図10(B)に示すように、スキーマを推定することができない場合(未推定の場合)の自動思考の質問も同様に、予め4つ用意されている。
【0119】
図9(A)は高達成志向についての自動思考の質問であり、質問1は、「そのときどんなことが頭に浮かびましたか」であり、質問2は、「あなたが何かできなかった時に、自分についてどう思いましたか」であり、質問3は、「自分に厳しくして何かを成し遂げようとするとき、頭に浮かんでいたことは何ですか」であり、質問4は、「もし親しい人が同じような状況であったり、考え方をしていたりしたら、あなたは何と言ってあげますか」である。
【0120】
図9(B)は他者依存的評価についての自動思考の質問であり、質問1は、「その状況で自分についてどうゆうことを考えましたか」であり、質問2は、「その状況で相手についてどうようなことを考えましたか」であり、質問3は、「他の人が自分を受け入れてくれなかったり、自分に否定的であったりしたとき、どのようなことが頭に浮かびますか」であり、質問4は、「もし親しい人が同じような状況であったり、考え方をしていたりしたら、あなたは何と言ってあげますか」である。
【0121】
図10(A)は失敗不安についての自動思考の質問であり、質問1は、「上手くいかなかったときや失敗したときに自分についてどう思いますか」であり、質問2は、「あなたが何か失敗することで自分はどうなってしまうと思いましたか」であり、質問3は、「あなたの本当の気持ちや弱さを他人に知られるとしたら、どういうことが頭に浮かびますか」であり、質問4は、「もし親しい人が同じような状況であったり、考え方をしていたりしたら、あなたは何と言ってあげますか」である。
【0122】
図10(B)はスキーマを未推定の場合についての自動思考の質問であり、質問1は、「そのときどんなことが頭に浮かびましたか」であり、質問2は、「自分についてどう思いましたか」であり、質問3は、「その状況が続くと、最悪どんな可能性があると思いますか」であり、質問4は、「もし親しい人が同じような状況であったり、考え方をしていたりしたら、あなたは何と言ってあげますか」である。
【0123】
質問1-質問4に対する回答の音声が検出されると、音声認識処理が実行され、回答のテキスト文からキーワードが検出される。つまり、検出キーワードが取得される。
【0124】
自動思考の質問処理を終えると、情報処理装置10は、詳細スキーマの推定処理を実行する。図11(A)、図11(B)および図12は、各スキーマについての詳細スキーマを示す。この実施例では、詳細スキーマは、各スキーマについての詳細な特徴であり、各スキーマに対して8個ずつ設定されている。
【0125】
図11(A)に示すように、スキーマが高達成志向である場合には、1つ目の詳細スキーマは、「何事にも妥協は許さない」であり、2つ目の詳細スキーマは、「平凡な生き方では、満足すべきではない」であり、3つ目の詳細スキーマは、「何もしない日があってはならない」であり、4つ目の詳細スキーマは、「人並みの成績では満足してはならない」であり、5つ目の詳細スキーマは、「自分に厳しくしないと二流の人間になってしまう」であり、6つ目の詳細スキーマは、「私の問題は手っ取り早く解決しなければならない」であり、7つ目の詳細スキーマは、「同じ失敗は、繰り返してはならない」であり、そして、8つ目の詳細スキーマは、「人生には、後悔することがあってはならない」である。
【0126】
図11(B)に示すように、スキーマが他者依存的評価である場合には、1つ目の詳細スキーマは、「他人が私をどう評価するということは重要である」であり、2つ目の詳細スキーマは、「他人がかまってくれないと孤独感に襲われるに違いない」であり、3つ目の詳細スキーマは、「他人から孤立すると、必ず不幸になる」であり、4つ目の詳細スキーマは、「他人から魅力のない人間だと評価されると同様する」であり、5つ目の詳細スキーマは、「もし他の人から嫌われたら、幸せにはなれない」であり、6つ目の詳細スキーマは、「自分を支えてくれる人がいなければ、悲惨である」であり、7つ目の詳細スキーマは、「私は、いい人でなければならない」であり、そして、8つ目の詳細スキーマは、「幸せになるために他人からの承認を必要とする」である。
【0127】
図12に示すように、スキーマが失敗不安である場合には、1つ目の詳細スキーマは、「もし弱さを他人に知られたら、拒絶されるだろう」であり、2つ目の詳細スキーマは、「他人に私の本当の姿を知らされたら軽蔑されるだろう」であり、3つ目の詳細スキーマは、「自分の弱さを見せることは、恥ずべきことだ」であり、4つ目の詳細スキーマは、「一度でも大きな失敗をしたら、挽回できない」であり、5つ目の詳細スキーマは、「裏切られるかもしれないので、他人を信頼できない」であり、6つ目の詳細スキーマは、「分からないことを質問すると馬鹿にされるに違いない」であり、7つ目の詳細スキーマは、「結果がどうか分からないので、やってみるべきでない」であり、そして、8つ目の詳細スキーマは、「もし仕事でうまくいかなかったら、私は人生の敗北者だ」である。
【0128】
図11(A)、図11(B)および図12に示す例では、各詳細スキーマを個別に識別するための識別情報(ID)が付されている。このことは、図13(A)、図13(B)および図14に示す場合についても同じである。
【0129】
上述したように、情報処理装置10は、自動思考の質問処理を終えると、詳細スキーマの推定処理を実行する。詳細スキーマの推定処理では、各詳細スキーマに対応して記載された関連キーワードについてのテーブルが用いられる。図13(A)に示す第5テーブルは、高達成志向の各詳細スキーマに対応して記載された関連キーワードについてのテーブルである。図13(B)に示す第6テーブルは、他者依存的評価の各詳細スキーマに対応して記載された関連キーワードについてのテーブルである。図14に示す第7テーブルは、失敗不安の各詳細スキーマに対応して記載された関連キーワードについてのテーブルである。
【0130】
関連キーワードは、対応する詳細スキーマを有するユーザの回答に含まれるキーワードであり、実験によって取得された多数のユーザの回答に基づいて経験的に決定される。ただし、ユーザの回答は、上記の自動思考の質問処理におけるユーザの回答である。
【0131】
図13(A)に示すように、第5テーブルでは、高達成志向の1つ目の詳細スキーマに対応して、妥協、手抜き、譲歩、譲れない、折り合いなどの関連キーワードが記載される。高達成志向の2つ目の詳細スキーマに対応して、比較、格差、コンプレックス、気にしてなどの関連キーワードが記載される。高達成志向の3つ目の詳細スキーマに対応して、焦り、焦った、焦燥感、忙しいなどの関連キーワードが記載される。高達成志向の4つ目の詳細スキーマに対応して、負けて、敗北、努力不足、成績などの関連キーワードが記載される。高達成志向の5つ目の詳細スキーマに対応して、良い人、自分に厳しく、頑張らないとなどの関連キーワードが記載される。高達成志向の6つ目の詳細スキーマに対応して、焦り、いらいら、早くなどの関連キーワードが記載される。高達成志向の7つ目の詳細スキーマに対応して、失敗、ミス、何度もなどの関連キーワードが記載される。高達成志向の8つ目の詳細スキーマに対応して、後悔、しとけば、やっておけばなどの関連キーワードが記載される。
【0132】
図13(B)に示すように、第6テーブルでは、他者依存的評価の1つ目の詳細スキーマに対応して、認めて欲しい、分かって欲しい、経歴などの関連キーワードが記載される。他者依存的評価の2つ目の詳細スキーマに対応して、孤独、ひとり、寂しい、虚しいなどの関連キーワードが記載される。他者依存的評価の3つ目の詳細スキーマに対応して、孤立、話の輪に、喋れずなどの関連キーワードが記載される。他者依存的評価の4つ目の詳細スキーマに対応して、動揺、ショック、馬鹿にされたなどの関連キーワードが記載される。他者依存的評価の5つ目の詳細スキーマに対応して、嫌われる、怒られるなどの関連キーワードが記載される。他者依存的評価の6つ目の詳細スキーマに対応して、仲間外れ、助けてもらえなくなどの関連キーワードが記載される。他者依存的評価の7つ目の詳細スキーマに対応して、自己犠牲、良い人、素晴らしい人などの関連キーワードが記載される。他者依存的評価の8つ目の詳細スキーマに対応して、認めて欲しい、分かって欲しいなどの関連キーワードが記載される。
【0133】
図14に示すように、第7テーブルでは、失敗不安の1つ目の詳細スキーマに対応して、弱音、本音、本心、拒絶、嫌われるなどの関連キーワードが記載される。失敗不安の2つ目の詳細スキーマに対応して、弱音、本音、本心、軽蔑などの関連キーワードが記載される。失敗不安の3つ目の詳細スキーマに対応して、弱音、本音、本心、恥ずかしいなどの関連キーワードが記載される。失敗不安の4つ目の詳細スキーマに対応して、失敗、ミス、自己嫌悪などの関連キーワードが記載される。失敗不安の5つ目の詳細スキーマに対応して、人間不信、信じられない、信用できないなどの関連キーワードが記載される。失敗不安の6つ目の詳細スキーマに対応して、確認できず、聞けず、助けを求めないなどの関連キーワードが記載される。失敗不安の7つ目の詳細スキーマに対応して、不安、結果、将来などの関連キーワードが記載される。失敗不安の8つ目の詳細スキーマに対応して、仕事、失敗、敗者などの関連キーワードが記載される。
【0134】
この実施例では、ユーザの悩みの原因であるスキーマが既に推定されている場合には、推定されたスキーマの8つの詳細スキーマの各々について、当該ユーザが当てはまるかどうかが調べられる。ユーザが詳細スキーマに当てはまるかどうかは、自動思考の質問処理における回答から得られたすべての検出キーワードのそれぞれについて、関連キーワードであるかどうかを判断することにより、判断される。検出キーワードが1つでも関連キーワードである詳細スキーマにユーザが当てはまることが判断される。つまり、当てはまることが判断された詳細スキーマが、ユーザの詳細スキーマとして推定される。
【0135】
また、ユーザの悩みの原因であるスキーマが未推定である場合には、すべての詳細スキーマについて、すなわち、高達成志向のスキーマの8つの詳細スキーマ、他者依存的評価のスキーマの8つの詳細スキーマ、および失敗不安のスキーマの8つの詳細スキーマの各々について、ユーザが当てはまるかどうかが調べられる。ユーザが各詳細スキーマに当てはまるかどうかを調べる方法は、上記と同じである。
【0136】
スキーマが未推定である場合には、ユーザがすべての詳細スキーマに当てはまるかどうかを調べた結果、ユーザが当てはまる詳細スキーマの数が最も多いスキーマを、ユーザの悩みの原因であるスキーマとして推定する。
【0137】
ただし、ユーザが当てはまる詳細スキーマが1つも無い場合には、情報処理装置10は、例外処理を実行する。この実施例では、例外処理では、ユーザのスキーマがランダムに選択され、さらに、ランダムに選択されたスキーマの8つの詳細スキーマから、当該ユーザが当てはまる詳細スキーマがランダムに選択される。
【0138】
情報処理装置10は、詳細スキーマの推定処理を終えると、アドバイスの処理を実行する。アドバイスの処理では、情報処理装置10すなわちエージェントは、推定したスキーマについてユーザに説明し、推定した詳細スキーマについてユーザに説明し、さらに、推定したスキーマについてユーザにアドバイスする。
【0139】
図15(A)は、スキーマおよびスキーマについての説明内容の例を示し、図15(B)は、スキーマおよびスキーマについてのアドバイスの内容の例を示す。
【0140】
図15(A)に示すように、推定したスキーマが高達成志向である場合には、エージェントは、「あなたの考え方の癖には、理想を高く持ち自分に厳しくする、という傾向が見られます」と説明する。
【0141】
また、推定したスキーマが他者依存的評価である場合には、エージェントは、「あなたの考え方の癖には、他人からどう思われるかは大切だ、という傾向が見られます」と説明する。
【0142】
さらに、推定したスキーマが失敗不安である場合には、エージェントは、「あなたの考え方の癖には、失敗する可能性に強く不安を感じる、という傾向が見られます」と説明する。
【0143】
上述したように、推定したスキーマについて説明すると、次に、推定した詳細スキーマについて説明する。この実施例では、当てはまることが判断された詳細スキーマを説明する。詳細スキーマは、図13(A)、図13(B)および図14を用いて説明したとおりである。この実施例では、当てはまることが判断されたすべての詳細スキーマの各々について説明する。ただし、当てはまることが判断された詳細スキーマのうちの数個を選択し、選択した数個の詳細スキーマの各々について説明する。たとえば、当てはまることが判断された詳細スキーマのうちの数個をランダムに選択する。
【0144】
たとえば、ユーザのスキーマが高達成志向と推定され、当該ユーザが高達成志向の1つ目の詳細スキーマに当てはまることが判断された場合には、「何事にも妥協は許されない、という傾向が見られます」と説明する。また、ユーザのスキーマが他者依存的評価と推定され、当該ユーザが他者依存的評価の3つ目の詳細スキーマに当てはまることが判断された場合には、「他人から孤立すると、必ず不幸になる、という傾向が見られます」と説明する。さらに、ユーザのスキーマが失敗不安と推定され、当該ユーザが失敗不安の7つ目の詳細スキーマに当てはまることが判断された場合には、「結果がどうか分からないので、やってみるべきでない、という傾向が見られます」と説明する。他の詳細スキーマについて説明する場合についても同様である。
【0145】
上述したように、詳細スキーマについて説明すると、推定したスキーマについてアドバイスする。図15(B)に示すように、推定したスキーマが高達成志向である場合には、エージェントは、「たとえば、誰にでもうまくいかないことは、あるのではないでしょうか」、「また、一度にたくさんのことをやろうとせずに、ひとつずつやってみてはどうでしょうか」とアドバイスする。
【0146】
また、推定したスキーマが他者依存的評価である場合には、エージェントは、「たとえば、あなたには、他人には無い自分の良いところがあるのではないでしょうか」、「また、馬の合わない人がいても良いのではないでしょうか」とアドバイスする。
【0147】
さらに、推定したスキーマが失敗不安である場合には、エージェントは、「たとえば、あなたは、上手くいかないこともありましたが、これまでに、成功したこともあったのではないでしょうか」、「また、失敗しない人なんていないのではないでしょうか」とアドバイスする。
【0148】
図16図1に示すコンピュータ12のRAM12bのメモリマップ300の一例を示す。図16に示すように、RAM12bは、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。
【0149】
プログラム記憶領域302は、情報処理装置10の制御プログラムを記憶し、制御プログラムは、全体制御プログラム302a、発話プログラム302b、音声検出プログラム302c、音声認識プログラム302d、キーワード検出プログラム302e、スキーマ推定プログラム302f、スキーマ質問プログラム302g、詳細スキーマ推定プログラム302hおよびアドバイス実行プログラム302iなどを含む。
【0150】
全体制御プログラム302aは、シナリオに従って悩み相談についての全体処理を実行するためのプログラムである。発話プログラム302bは、シナリオに従って発話処理すなわち音声データを出力するための処理を実行するためのプログラムである。
【0151】
音声検出プログラム302cは、情報処理装置10のユーザすなわち悩み相談の相談者が発声する音声を検出するためのプログラムである。音声認識プログラム302dは、音声検出プログラム302cに従って検出されたユーザの音声を音声認識し、検出した音声に対応するテキスト文を生成するためのプログラムである。
【0152】
キーワード検出プログラム302eは、音声認識プログラム302dによって生成されたテキスト文を形態素解析により、単語に分解し、分解した単語からキーワードを検出するためのプログラムである。つまり、検出キーワードが取得される。
【0153】
スキーマ推定プログラム302fは、キーワード検出プログラム302eによって検出されたキーワードに基づいて、ユーザの悩みの原因であるスキーマを推定するためのプログラムである。スキーマの推定方法は、上述したとおりである。
【0154】
スキーマ質問プログラム302gは、スキーマ推定プログラム302fによってスキーマを推定できない場合に、スキーマについての質問を行い、スキーマを推定するためのプログラムである。スキーマ質問プログラム302gは、0点のスキーマについての質問処理および絞り込みの質問処理についてのプログラムを含む。
【0155】
詳細スキーマ推定プログラム302hは、スキーマが推定されている場合に、推定された1つのスキーマについてユーザが当てはまる詳細スキーマを推定し、スキーマが推定されていない場合に、すべての詳細スキーマからユーザが当てはまる詳細スキーマを推定するためのプログラムである。また、詳細スキーマ推定プログラム302hは、すべての詳細スキーマからユーザが当てはまる詳細スキーマを推定した結果に基づいて、未推定のスキーマを推定するためのプログラムでもある。ただし、詳細スキーマ推定プログラム302hは、ユーザがいずれの詳細スキーマにも当てはまらない場合には、例外処理を実行することにより、ランダムにスキーマを選択し、さらに、選択したスキーマについての詳細スキーマをランダムに選択する。
【0156】
アドバイス実行プログラム302iは、推定したスキーマおよび推定した詳細スキーマを説明するとともに、推定したスキーマについてのアドバイスを実行するためのプログラムである。
【0157】
図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、情報処理(この実施例では、悩み相談についての全体処理)を実行するための他のプログラムも記憶される。
【0158】
データ記憶領域304には、発話データ304a、テーブルデータ304b、検出音声データ304c、検出キーワードデータ304d、得点データ304eおよび推定結果データ304fなどが記憶される。
【0159】
発話データ304aは、予め生成された、エージェントの各発話内容に対応する音声データ(たとえば、合成音声データ)である。テーブルデータ304bは、上述した第1テーブル、第2テーブル、第3テーブル、第4テーブル、第5テーブル、第6テーブルおよび第7テーブルについてのデータである。
【0160】
検出音声データ304cは、音声検出プログラム302cによって検出されたユーザの音声についてのデータである。検出キーワードデータ304dは、状況についての質問処理におけるユーザの回答およびきっかけについての質問処理におけるユーザの回答から得られた検出キーワードおよび自動思考の質問処理におけるユーザの回答から得られた検出キーワードについてのデータである。
【0161】
得点データ304eは、状況についての質問処理、きっかけについての質問処理、5Wについての質問処理および気分についての質問処理のそれぞれにおけるユーザの回答から取得された検出キーワードの各々が、各スキーマについての関連キーワードであることが判断された個数すなわち得点についてのデータである。
【0162】
推定結果データ304fは、スキーマ推定プログラム302fによって推定されたユーザの悩みの原因であるスキーマおよび詳細スキーマ推定プログラム302hによって推定された詳細スキーマを示すデータである。ただし、スキーマを推定する前と、スキーマ推定プログラム302fおよびスキーマ質問プログラム302gによってユーザの悩みの原因であるスキーマを推定できない場合には、推定結果データ304eとして「未推定」を示す情報が記載される。
【0163】
図示は省略するが、データ記憶領域304には、情報処理(この実施例では、悩み相談についての処理)に必要な他のデータが記憶されるとともに、情報処理に必要なタイマ(カウンタ)およびフラグが設けられる。
【0164】
図17図1に示した情報処理装置10のCPU12aの情報処理(悩み相談についての全体処理)についてのフロー図である。ユーザが情報処理の開始を指示すると、ステップS1で、状況についての質問処理(図18参照)を実行し、ステップS3で、きっかけについての質問処理(図19参照)を実行し、ステップS5で、5Wについての質問処理(図20参照)を実行し、ステップS7で、気分についての質問処理(図21参照)を実行し、ステップS9で、スキーマの推定処理(図22参照)を実行する。
【0165】
次のステップS11では、スキーマが推定されたかどうかを判断する。ステップS11で“YES”であれば、つまり、スキーマが推定されていれば、ステップS15に進む。一方、ステップS11で“NO”であれば、つまり、スキーマが推定されていなければ、ステップS13で、スキーマについての質問処理(図23図25参照)を実行して、ステップS15に進む。
【0166】
ステップS15では、自動思考の質問処理(図26参照)を実行する。次のステップS17で、詳細スキーマの推定処理(図27および図28)を実行する。そして、ステップS19で、アドバイスの処理(図29参照)を実行して、情報処理を終了する。
【0167】
以下、図17に示した各サブルーチンについて説明するが、同じ内容のステップについての重複した説明は省略することにする。
【0168】
図18図17に示したステップS1の状況についての質問処理のフロー図である。図18に示すように、CPU12aは、状況についての質問処理を開始すると、ステップS31で、状況について質問する。この実施例では、CPU12aは、発話データ304aから、「最近何か悩んでいることはありますか」の音声データを読み出して、出力装置16に出力する。
【0169】
次のステップS33では、回答が有るかどうかを判断する。ここでは、CPU12aは、ユーザの音声を検出したかどうかを判断する。ステップS33で“NO”であれば、つまり、回答が無ければ、ステップS33に戻る。
【0170】
ステップS33で“YES”であれば、つまり、回答が有れば、ステップS35で、キーワードを検出し、ステップS37で、キーワードを記憶する。ステップS35では、CPU12aは、検出した音声を音声認識し、音声認識したテキスト文を形態素解析して、キーワードを検出する。この実施例では、仕事に関する悩み相談の場合には、「最近、職場で何度もミスをしてしまい、自己嫌悪しています。」のような回答が得られ、このような回答から「最近」、「職場」、「何度も」、「ミス」および「自己嫌悪」のキーワードが検出される。また、学校に関する悩み相談の場合には、「授業についていけず、このままでは留年してしまいそうです。」のような回答が得られ、このような回答から「授業」および「留年」のキーワードが検出される。ステップS37では、CPU12aは、検出したキーワードについての検出キーワードデータ304dをRAM12bに記憶する。
【0171】
そして、ステップS39では、検出キーワードが想定キーワードであるかどうかを判断する。ここでは、CPU12aは、テーブルデータ304bの第1テーブルを参照して、検出キーワードデータ304dに対応する検出キーワードが、第1テーブルの想定キーワードに含まれているかどうかを判断する。
【0172】
ステップS39で“YES”であれば、つまり、検出キーワードが想定キーワードであれば、ステップS41で、内容を確認して、状況についての質問処理を終了し、図17に示した情報処理にリターンする。上述したように、ステップS41では、CPU12aは、ユーザが回答した内容(すなわち、悩み)の分類として、想定キーワードに対応する悩みカテゴリが正しいかどうかを確認するための発話を行う。
【0173】
たとえば、上記の例では、仕事に関する悩み相談の場合、検出キーワードのうち、想定キーワードに含まれるのは「ミス」であり、その悩みカテゴリは「何か失敗した」である。したがって、CPU12aは、発話データ304aから「なるほど、あなたは何か失敗してしまったのですね」の音声データを読み出して、出力装置16に出力する。
【0174】
また、上記の例では、学校に関する悩み相談の場合、検出キーワードのうち、想定キーワードに含まれるのは「留年」であり、その悩みカテゴリは「将来への不安」である。したがって、CPU12aは、発話データ304aから「なるほど、あなたは将来に対する不安を抱えているのですね」の音声データを読み出して、出力装置16に出力する。
【0175】
一方、ステップS39で“NO”であれば、つまり、検出キーワードが想定キーワードでなければ、ステップS43で、返事をして、情報処理にリターンする。ステップS43では、CPU12aは、発話データ304aから「そうだったんですね」の音声データを読み出して、出力装置16に出力する。
【0176】
図19図17に示したステップS3のきっかけについての質問処理のフロー図である。図19に示すように、CPU12aは、きっかけについての質問処理を開始すると、ステップS61で、きっかけについて、1つ目の質問をする。この実施例では、CPU12aは、発話データ304aから、「いつからそのような状態になりましたか」の音声データを読み出して、出力装置16に出力する。
【0177】
続くステップS63では、回答が有るかどうかを判断する。ステップS63で“NO”であれば、ステップS63に戻る。一方、ステップS63で“YES”であれば、ステップS65で、キーワードを検出し、ステップS67で、キーワードをデータ記憶領域304に記憶する。
【0178】
この実施例では、1つ目の質問に対しては、仕事に関する悩みの場合には、「ここ1か月くらいです」のような回答が得られ、学校に関する悩みの場合には、「4月になってからです」のような回答が得られる。
【0179】
次のステップS69では、返事をする。ここでは、CPU12aは、発話データ304aから、「分かりました」の音声データを読み出して、出力装置16に出力する。
【0180】
そして、ステップS71で、2つの質問を終えたかどうかを判断する。ステップS71で“YES”であれば、つまり、2つの質問を終えていれば、きっかけについての質問処理を終了し、図17に示した全体処理にリターンする。
【0181】
一方、ステップS71で“NO”であれば、つまり、2つ(2つ目)の質問を終えていなければ、ステップS73で、きっかけについて、2つ目の質問をして、ステップS63に戻る。この実施例では、CPU12aは、ステップS73において、発話データ304aから、「そのきっかけについて教えてください」の音声データを読み出して、出力装置16に出力する。
【0182】
その後、ユーザからの回答を受けて、キーワードを検出および記憶する。この実施例では、2つ目の質問に対しては、仕事に関する悩み相談の場合には、「上司にひどく怒られてしまったことがあったように思います」のような回答が得られ、学校に関する悩み相談の場合には、「オンラインで授業を家で受けるようになってからです」のような回答が得られる。
【0183】
したがって、2つの質問に対する回答から、仕事に関する悩み相談の場合には、「1か月」、「上司」および「怒られて」のキーワードが検出される。また、学校に関する悩み相談の場合には、「4月」、「授業」、「家」のキーワードが検出される。
【0184】
図20図17に示したステップS5の5Wについての質問処理のフロー図である。図20に示すように、CPU12aは、5Wについての質問処理を開始すると、ステップS91で、記憶されたキーワードすなわち検出キーワードデータ304dを参照し、ステップS93で、5Wについて質問する観点を決定する。
【0185】
仕事に関する悩み相談の場合には、ステップS3までの処理において、「いつ」、「どこで」、「誰と」の観点については、検出キーワードが記憶されているため、「何をしていて」および「なぜ」の観点についての質問をすることが決定される。具体的には、「何をしていたか」および「なぜ起きたか」が順番に質問される。
【0186】
また、学校に関する悩み相談の場合には、ステップS3までの処理において、「いつ」、「どこで」、「何をしていて」の観点については、検出キーワードが記憶されているため、「誰と」および「なぜ」の観点についての質問をすることが決定される。具体的には、「誰といたか」および「なぜ起きたか」が順番に質問される。
【0187】
図20に戻って、続くステップS95では、ステップS93で決定した観点について、1つ目の質問をする。上記の例では、仕事に関する悩み相談の場合には、CPU12aは、発話データ304aから、「何をしていたか」の音声データを読み出して、出力装置16に出力する。また、上記の例では、学校に関する悩み相談の場合には、CPU12aは、発話データ304aから、「誰といたか」の音声データを読み出して、出力装置16に出力する。
【0188】
次のステップS97では、回答が有るかどうかを判断する。ステップS97で“NO”であれば、ステップS97に戻る。一方、ステップS97で“YES”であれば、ステップS99で、キーワードを検出し、ステップS101で、キーワードをデータ記憶領域304に記憶する。
【0189】
そして、ステップS103で、検出キーワードが想定キーワードであるかどうかを判断する。ここでは、CPU12aは、テーブルデータ304bに含まれる第2テーブルを参照して、検出キーワードが想定キーワードとして第2テーブルに記載されているかどうかを判断する。
【0190】
なお、「なぜ」の観点については、第2テーブルに含まれていないため、ステップS103では、“NO”と判断される。
【0191】
ステップS103で“YES”であれば、つまり、検出キーワードが想定キーワードであれば、ステップS105で、内容を確認して、ステップS109に進む。ステップS105では、CPU12aは、検出キーワードが属するカテゴリについて確認する。したがって、たとえば、検出キーワードとして「仕事」または「業務」が得られた場合には、エージェントは、これらの検出キーワードに対応して第2テーブルに記載のカテゴリの名称を用いて、「仕事中だったんですね」と発話する。また、たとえば、検出キーワードとして「家族」、「親」、「母」または「父」が得られた場合には、エージェントは、これらの検出キーワードに対応して第2テーブルに記載のカテゴリの名称を用いて、「家族といたんですね」と発話する。ただし、発話内容についての音声データは、発話データ304aに含まれている。
【0192】
一方、ステップS103で“NO”であれば、つまり、検出キーワードが想定キーワードでなければ、ステップS107で、返事をして、ステップS109に進む。ステップS107では、CPU12aは、発話データ304aから、「そうだったんですね」の音声データを読み出して、出力装置16に出力する。
【0193】
ステップS109では、5Wの観点のすべてが記憶されたかどうかを判断する。つまり、ステップS93で決定した観点のすべてについて質問したかどうかを判断する。ステップS109で“YES”であれば、つまり、5Wの観点のすべてが記憶されていれば、5Wについての質問処理を終了し、図17に示した全体処理にリターンする。
【0194】
一方、ステップS109で“NO”であれば、つまり、5Wの観点のうち、記憶されていない観点が1つ以上あれば、つまり、5Wの観点のうち、埋まっていない観点が残っていれば、ステップS111で、5Wについて、次の質問をして、ステップS97に戻る。つまり、ステップS111では、ステップS93で決定した観点のうち、次の観点について質問する。
【0195】
図21図17に示したステップS7の気分についての質問処理のフロー図である。図21に示すように、CPU12aは、気分についての質問処理を開始すると、ステップS131で、そのときの気分について質問する。この実施例では、CPU12aは、発話データ304aから、「そのときの気分について教えてください」の音声データを読み出して、出力装置16に出力する。
【0196】
続くステップS133では、回答が有るかどうかを判断する。ステップS133で“NO”であれば、ステップS133に戻る。一方、ステップS133で“YES”であれば、ステップS135で、キーワードを検出し、ステップS137で、キーワードをデータ記憶領域304に記憶する。
【0197】
この実施例では、気分についての質問に対しては、仕事に関する悩み相談の場合には、「悲しい気分や自己嫌悪というような気分でした」のような回答が得られ、学校に関する悩み相談の場合には、「このままでは留年してしまうんじゃないかと思いました」のような回答が得られる。
【0198】
そして、ステップS139で、検出したキーワードが気分についてのキーワードであるかどうかを判断する。ここでは、CPU12aは、テーブルデータ304bに含まれる第3テーブルを参照して、検出キーワードが想定キーワードとして第3テーブルに記載されているかどうかを判断する。
【0199】
ステップS139で“YES”であれば、つまり、検出したキーワードが気分についてのキーワードであれば、ステップS141で、内容を確認して、気分についての質問処理を終了し、図17に示した全体処理にリターンする。ステップS141では、CPU12aは、検出したキーワードが属するカテゴリについて確認する。したがって、たとえば、キーワードとして「悲しい」、「自己嫌悪」が検出された場合には、エージェントは、これらのキーワードに対応して第3テーブルに記載のカテゴリの名称を用いて、「なるほど、その状況のあなたの気分をまとめると「悲しい」、「自己嫌悪」などでしょうか」と発話する。ただし、発話内容についての音声データは、発話データ304aに含まれている。
【0200】
一方、ステップS139で“NO”であれば、つまり、検出したキーワードが気分についてのキーワードでなければ、ステップS143で、指摘して再質問し、ステップS133に戻る。ステップS143では、エージェントは、「聞き逃していたら申し訳ないのですが、あなたが先ほど話した内容は気分というよりは考えです。気分は「うれしい」、「悲しい」など一言で言えるものが多いです。そこで、先ほどあなたが話した考えに対してどう感じますか」と発話する。ただし、発話内容についての音声データは、発話データ304aに含まれている。
【0201】
図22図17に示したステップS9のスキーマの推定処理のフロー図である。図22に示すように、CPU12aは、スキーマの推定処理を開始すると、ステップS161で、記憶したキーワード、すなわち状況についての質問処理におけるユーザの回答およびきっかけについての質問処理におけるユーザの回答から得られた検出キーワードを参照し、ステップS163で、テーブルデータ304bの第4テーブルを参照して、高達成志向、他者依存的評価、失敗不安に関連するキーワード(すなわち、関連キーワード)の個数(得点)を算出し、ステップS165で、得点データ304eを記憶する。ステップ163では、CPU12aは、ステップS161で参照した検出キーワードの各々が各スキーマの関連キーワードと一致するかどうかを判断し、一致する得点をスキーマ毎に算出する。
【0202】
次のステップS167では、スキーマを推定できるかどうかを判断する。上述したように、0点のスキーマが無く、かつ、最大得点のスキーマが1つである場合に、その最大得点のスキーマをユーザの悩みの原因であるスキーマとして推定することができる。
【0203】
ステップS167で“YES”であれば、つまり、スキーマを推定できる場合には、ステップS169で、推定したスキーマを記憶し、スキーマの推定処理を終了して、図17に示した全体処理にリターンする。一方、ステップS167で“NO”であれば、つまり、スキーマを推定できない場合には、ステップS171で、スキーマを推定できていないことを記憶して、全体処理にリターンする。
【0204】
図23図17に示したステップS13のスキーマについての質問処理のフロー図である。図23に示すように、CPU12aは、スキーマについての質問処理を開始すると、ステップS181で、質問に対する回答の仕方を説明する。ここでは、CPU12aは、発話データ304aから、「質問に対しては、「はい」または「いいえ」で回答してください」の音声データを読み出して、出力装置16に出力する。
【0205】
次のステップS183では、0点のスキーマが有るかどうかを判断する。ステップS183で“NO”であれば、つまり、0点のスキーマが無ければ、ステップS187に進む。一方、ステップS183で“YES”であれば、つまり、0点のスキーマが有れば、ステップS185で、後述する0点のスキーマについて質問の質問処理(図24参照)を実行して、ステップS187に進む。
【0206】
ステップS187では、最大得点のキーマが複数あるかどうかを判断する。ステップS187で“NO”であれば、つまり、最大得点のスキーマが1つであれば、ステップS191に進む。一方、ステップS187で“YES”であれば、つまり、最大得点のスキーマが複数であれば、後述する絞り込みの質問処理(図25を参照)を実行し、ステップS191に進む。
【0207】
ステップS191では、上述したように、スキーマを推定し、ステップS193で、推定したスキーマを記憶して、スキーマについての質問処理を終了し、図17に示した全体処理にリターンする。
【0208】
図24図23に示したステップS185の0点のスキーマについての質問処理のフロー図である。図24に示すように、CPU12aは、0点のスキーマについての質問処理を開始すると、ステップS201で、0点のスキーマについての質問をする。
【0209】
ステップS201では、上述したように、0点のスキーマが高達成志向である場合には、エージェントは、「理想を持っていたが、思っていたようにならなかったことが問題でしょうか」と音声で質問する。0点のスキーマが他者依存的評価である場合には、エージェントは、「他の人からのいい評価や反応をもらえなかったことが問題でしょうか」と音声で質問する。そして、0点のスキーマが失敗不安である場合には、エージェントは、「うまくいかなかったときのことを不安に感じていることが問題でしょうか」と音声で質問する。ただし、発話内容についての音声データは、発話データ304aに含まれている。これらのことは、後述するステップS215も同じである。
【0210】
ただし、0点のスキーマが複数有る場合には、ステップS201では、所定の方法(たとえば、ランダム)で決定した1つ目の0点のスキーマについての質問をする。後述するステップS215では、所定の方法で決定した2つ目または3つ目の0点のスキーマについての質問をする。
【0211】
図24に戻って、続くステップS203では、回答が有るかどうかを判断する。ステップS203で“NO”であれば、ステップS203に戻る。一方、ステップS203で“YES”であれば、ステップS205で、回答が「はい」であるかどうかを判断する。
【0212】
ステップS205で“NO”であれば、つまり、回答が「いいえ」であれば、ステップS209に進む。一方、ステップS205で“YES”であれば、つまり、回答が「はい」であれば、ステップS207で、上述したように、0点の当該スキーマについての得点を最大得点に修正して、ステップS209に進む。
【0213】
ステップS209では、回答を記憶する。ステップS209では、CPU12aは、検出した音声を音声認識し、音声認識した「はい」または「いいえ」についての回答を検出し、図示は省略するが、データ記憶領域304に記憶する。以下、回答を記憶する場合について同じ。
【0214】
次のステップS211では、返事をする。ここでは、CPU12aは、発話データ304aから、「分かりました」の音声データを読み出して、出力装置16に出力する。以下、「分かりました」と返事をする場合について同じ。
【0215】
続くステップS213では、質問していない0点のスキーマがあるかどうかを判断する。ステップS213で“YES”であれば、つまり、質問していない0点のスキーマが有れば、ステップS215で、上述したように、質問していない2つ目または3つ目の0点のスキーマについての質問をして、ステップS203に戻る。一方、ステップS213で“NO”であれば、つまり、質問していない0点のスキーマがなければ、0点のスキーマについての質問処理を終了して、図23に示したスキーマについての質問処理にリターンする。
【0216】
図25図23に示したステップS189の絞り込みの質問処理のフロー図である。ここでは、エージェントは、スキーマを絞り込むための3つの質問を順番に行う。
【0217】
上述したように、1つ目の絞り込みの質問では、エージェントは、「理想が高いことより、他人の評価が問題だと、強く思いますか」と音声で質問する。2つ目の絞り込みの質問では、エージェントは、「理想が高いことにより、失敗への不安が問題だと、強く思いますか」と音声で質問する。3つ目の絞り込みの質問では、エージェントは、「他人の評価より、失敗への不安が問題だと、強く思いますか」と音声で質問する。ただし、発話内容についての音声データは、発話データ304aに含まれている。また、絞り込みの質問処理が実行される度に、順番がランダムに決定されてもよい。
【0218】
図25に示すように、ステップS221では、1つ目の絞り込みの質問をする。続くステップS223では、回答が有るかどうかを判断する。ステップS223で“NO”であれば、ステップS223に戻る。一方、ステップS223で“YES”であれば、ステップS225で、回答を記憶し、ステップS227で、「分かりました」と返事をする。
【0219】
続いて、ステップS229で、すべての絞り込みの質問をしたかどうかを判断する。ステップS229で“NO”であれば、つまり、質問していない絞り込みの質問があれば、ステップS231で、次の絞り込みの質問(つまり、2つ目または3つ目の絞り込みの質問)をして、ステップS223に戻る。
【0220】
一方、ステップS229で“YES”であれば、つまり、すべての絞り込みの質問をしていれば、絞り込みの質問処理を終了して、図23に示したスキーマについての質問処理にリターンする。
【0221】
図26図17に示したステップS15の自動思考の質問処理のフロー図である。図26に示すように、CPU12aは、自動思考の質問処理を開始すると、ステップS241で、質問群を選択する。ただし、質問群は、自動思考についての質問群であり、上述したように、3つのスキーマおよび未推定のスキーマの各々について予め決定されている。上述したように、各質問群は、4つの質問で構成されている。具体的な質問の内容については上述したとおりである。
【0222】
続くステップS243では、選択した質問群の1つ目の質問をする。次のステップS245では、回答が有るかどうかを判断する。ステップS245で“NO”であれば、ステップS245に戻る。一方、ステップS245で“YES”であれば、ステップS247で、キーワードを検出し、ステップS249で、キーワードをデータ記憶領域304に記憶する。
【0223】
次のステップS251では、「分かりました」と返事をして、ステップS253で、すべての質問(つまり、4つ目の質問)を終えたかどうかを判断する。ステップS253で“NO”であれば、つまり、終えていない質問があれば、ステップS255で、選択した質問群の次の質問をして、ステップS245に戻る。
【0224】
一方、ステップS253で“YES”であれば、つまり、すべての質問を終えていれば、自動思考についての質問処理を終了し、図17に示した全体処理にリターンする。
【0225】
図27および図28図17に示したステップS17の詳細スキーマの推定処理のフロー図である。図27に示すように、CPU12aは、詳細スキーマの推定処理を開始すると、ステップS261で、記憶したキーワード、すなわち、自動思考の質問処理におけるユーザの回答から得られた検出キーワードを参照する。
【0226】
続くステップS263では、スキーマを推定済みであるかどうかを判断する。ステップS263で“NO”であれば、つまり、スキーマを未推定であれば、図28に示すステップS279に進む。
【0227】
一方、ステップS263で“YES”であれば、つまり、スキーマを推定済みであれば、ステップS265で、変数nに1を設定する(n=1)。変数nは、推定されたスキーマについての1つ目から8つ目までの詳細スキーマを識別するための変数である。
【0228】
続くステップS267では、推定したスキーマのn番目の詳細スキーマに対してユーザが当てはまるかどうかを調べる。この実施例では、各スキーマにおいて、ID番号の最も小さい詳細スキーマが1つ目の詳細スキーマであり、ID番号が大きくなるに従って詳細スキーマが順番に識別される。次のステップS269では、推定結果、すなわち、n番目の詳細スキーマに対して、ユーザが当てはまるか、ユーザが当てはまらないかを記憶する。
【0229】
そして、ステップS271で、変数nが8であるかどうかを判断する。つまり、CPU12aは、推定したスキーマについての8つの詳細スキーマのすべてについて当てはまるかどうかを調べたかどうかを判断する。
【0230】
ステップS271で“NO”であれば、つまり、変数nが8未満であれば、ステップS273で、変数nを1加算して(n=n+1)、ステップS267に戻る。一方、ステップS271で“YES”であれば、つまり、変数nが8であれば、詳細スキーマの推定処理を終了して、図17に示した全体処理にリターンする。
【0231】
図28に示すように、ステップS279では、変数mに1を設定する(m=1)。変数mは、3つのスキーマについての1つ目から24つ目までの詳細スキーマを識別するための変数である。
【0232】
続くステップS281では、m番目の詳細スキーマに対して当てはまるかどうかを調べる。この実施例では、変数mに設定された数は、詳細スキーマに付されたID番号と一致する。次のステップS283では、推定結果、すなわち、m番目の詳細スキーマに対して当てはまるか、当てはまらないかを記憶する。
【0233】
そして、ステップS285で、変数mが24であるかどうかを判断する。つまり、CPU12aは、3つのスキーマについての24つの詳細スキーマのすべてについて当てはまるかどうかを調べたかどうかを判断する。
【0234】
ステップS285で“NO”であれば、つまり、変数mが24未満であれば、ステップS287で、変数mを1加算して(m=m+1)、ステップS281に戻る。一方、ステップS285で“YES”であれば、つまり、変数mが24であれば、ステップS289で、当てはまる詳細スキーマがあるかどうかを判断する。つまり、CPU12aは、24つの詳細スキーマのうち、当てはまることが判断された詳細スキーマが1つ以上有るかどうかを判断する。
【0235】
ステップS289で“NO”であれば、つまり、当てはまる詳細スキーマが無い場合には、ステップS291で、上述したように、例外処理を実行し、詳細スキーマの推定処理を終了して、図17に示した全体処理にリターンする。
【0236】
一方、ステップS289で“YES”であれば、ステップS293で、上述したように、スキーマを推定して、ステップS295で、推定したスキーマを記憶し、詳細スキーマの推定処理を終了して、図17に示した全体処理にリターンする。
【0237】
図29図17に示したステップS19のアドバイスの処理のフロー図である。図29に示すように、CPU12aは、アドバイスの処理を開始すると、ステップS301で、推定したスキーマについて説明する。ここでは、CPU12aは、発話データ304aから、推定したスキーマについて説明する音声データを読み出し、出力装置16に出力する。
【0238】
次のステップS303では、ユーザに当てはまる詳細スキーマ、すなわち、推定した詳細スキーマを説明する。ここでは、CPU12aは、発話データ304aから、ユーザに当てはまる詳細スキーマを説明する音声データを読み出し、出力装置16に出力する。ただし、ユーザに当てはまる詳細スキーマのすべてを説明してもよいし、当てはまる詳細スキーマのうちからランダムに選択した数個(2~3個)を説明してもよい。
【0239】
そして、ステップS305で、推定したスキーマについてアドバイスして、アドバイスの処理を終了して、図17に示した全体処理にリターンする。ステップS305では、CPU12aは、発話データ304aから、推定したスキーマについてのアドバイスの音声データを読み出し、出力装置16に出力する。
【0240】
この実施例によれば、ユーザとの対話により当該ユーザの悩みの原因であるスキーマを推定し、推定したスキーマに対してアドバイスすることができる。つまり、新規の悩み相談装置を提供することができる。
【0241】
なお、この実施例では、エージェントが発話する音声データを予め生成するようにしたが、限定される必要はない。他の例では、エージェントが発話する内容のうち、各カテゴリの名称に相当する部分を除くテキスト(以下、「発話テキスト」という)のデータを生成しておき、ユーザの回答から取得した検出キーワードが想定キーワードと一致する場合に、当該想定キーワードに対応するカテゴリの名称のテキストを上記の発話テキストに挿入し、カテゴリのテキストを挿入した発話テキストをエージェントが読み上げるようにしてもよい。
【0242】
また、この実施例では、コンピュータが、音声認識機能およびスキーマの推定機能を実行するようにしたが、音声認識機能は、コンピュータに通信可能に接続された他のコンピュータが実行するようにしてもよい。この場合には、他の悩み相談システムが構成される。また、この場合には、コンピュータは、ユーザの発話の音声を検出すると、検出した音声に対応する音声データを他のコンピュータに送信し、当該他のコンピュータから音声認識の処理結果(テキスト文)を受信する。一例として、他のコンピュータは、音声認識機能を有し、インターネットのようなネットワーク上に設けられたPCないしサーバである。
【0243】
なお、上記の実施例で示した具体的な数値および制御方法は単なる例示であり、限定される必要は無く、実際の製品および製品が適用される環境などに応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0244】
10 …悩み相談装置
12 …コンピュータ
12a …CPU
12b …RAM
12c …通信装置
14 …マイク
16 …出力装置
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