(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038761
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】商品見本取付け構造及び商品見本
(51)【国際特許分類】
G07F 9/02 20060101AFI20230310BHJP
【FI】
G07F9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145645
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】391034765
【氏名又は名称】中井銘鈑株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】中井 誠治
【テーマコード(参考)】
3E044
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044EA12
3E044FB20
(57)【要約】
【課題】基本的に円形でない半円形に近いような形状の取付け穴に対しても取り付けられ、取付け対象をより広げられるようにする。
【解決手段】取付け穴21が形成された取付け部12の上に商品見本11を取り付ける商品見本取付け構造において、下面に形成されて取付け部12の上面に接する接地面31と、接地面31より下に形成されて取付け穴21の縁22における取付け部12の前側部分の下に差し込まれる差し込み片32とで取付け穴21の縁22をその厚み方向で挟む。差し込み片32の上方で前後に貫通する貫通穴33を設け、この貫通穴33に、取付け部12の前側からストッパ15の挿入片51を挿入して、挿入片51の端に垂設した止め片52を取付け部12の前端24に当てて、貫通穴33を取付け部12の前側に引き付ける。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付け穴が形成された取付け部の上に商品見本を取り付ける商品見本取付け構造であって、
下面に形成されて前記取付け部の上面に接する接地面と、前記接地面より下に形成されて前記取付け穴の縁における前記取付け部の前側部分の下に差し込まれる差し込み片とで、前記取付け穴の縁をその厚み方向で挟むとともに、
前記差し込み片の上方で前後に貫通する貫通穴に、前記取付け部の前側からストッパを挿入して、前記貫通穴を前記取付け部の前側に引き付ける
商品見本取付け構造。
【請求項2】
取付け穴が形成された取付け部の上に取り付けられる商品見本であって、
下面に、前記取付け部の上面に接する接地面が形成されるとともに、
前記取付け穴の縁における前記取付け部の前側部分の下に差し込まれて前記接地面との間で前記取付け穴の縁を挟む差し込み片と、前記差し込み片の上方で前後に貫通する貫通穴が形成され、
前記貫通穴に前記取付け部の前側から挿入される挿入片と、前記挿入片における反挿入方向の部位から垂設されて前記取付け部の前側に当接する止め片を有するストッパを備えた
商品見本。
【請求項3】
前記接地面が、前記貫通穴の左右両側に形成された
請求項2に記載の商品見本。
【請求項4】
前記ストッパの前記挿入片と、前記貫通穴との相互間に、挿抜に従って互いに係脱する係止構造が形成された
請求項2または請求項3に記載の商品見本。
【請求項5】
前記接地面、前記差し込み片及び前記貫通穴を有する見本保持具と、
前記見本保持具の左右両側に形成された係止部に、左右両側縁が係止されるシート状の表示見本を備える
請求項2から請求項4のうちいずれか一項に記載の商品見本。
【請求項6】
請求項5に記載の商品見本に用いられる見本保持具であって、
枠状に形成されて内側に窓部を有する
見本保持具。
【請求項7】
前記ストッパが前記窓部に切離し可能に一体成形された
請求項6に記載の見本保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動販売機に展示される商品見本を展示のためのステージに取り付けるための取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機における飲料等の商品見本は、販売する商品の変更に対応できるようにステージの上に直接又は間接的に着脱可能に取り付けられる。取付けは、ステージの上面に形成された取付け穴を利用して行われる。取付け構造には、
図16の(a)に示したように商品見本101の下端部を基本的に円形の取付け穴102に嵌めて回転して取り付けるものや、(b)に示したように取付け穴103に商品見本104の下端部をその弾性を利用して嵌めるものがある。このほかに、
図17に示したように取付け穴105の内側に水平に延設した押さえ片106を利用して商品見本107を固定するものもある。このような状況下、多様な形態の取付け穴(例えば
図18参照)に取り付けできる構造が望まれている。
【0003】
下記特許文献1のアダプターの構造はその一つであり、ステージに載置可能な底板に取付け穴の前縁と係合する第一係止部と、取付け穴の後縁と係合する第二係止部を有した構成である。第一係止部は底板に直に形成されており、第二係止部は前後方向に弾性変形可能な板ばね状弾性片を介して形成されている。
【0004】
つまり、アダプターは、第一係止部と第二係止部のそれぞれの係合状態を板ばね状弾性片の弾性力で突っ張って保持することで取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のように板ばね状弾性片の弾性力を利用して取り付ける場合、取付け穴は平面視形状が略円形のものでなければならない。言い換えれば、取付け対象である取付け穴の前後方向の長さ(径)が同じ程度でなければならない。これは、取付け穴の前縁と後縁の間の距離が一定範囲内より狭いと、板ばね状弾性片に過大な曲げの負荷がかかってしまうからである。このため、取付け穴が円筒形状ではなく半割型の商品見本に特化したものであって、取付け穴の平面視形状が半円形に近い形である場合(
図18(b)参照)には取り付けできないことがある。
【0007】
そこでこの発明は、基本的に円形でない半円形に近いような形状の取付け穴に対しても取り付けられ、取付け対象をより広げられるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのための手段は、取付け穴が形成された取付け部の上に商品見本を取り付ける商品見本取付け構造であって、下面に形成されて前記取付け部の上面に接する接地面と、前記接地面より下に形成されて前記取付け穴の縁における前記取付け部の前側部分の下に差し込まれる差し込み片とで、前記取付け穴の縁をその厚み方向で挟むとともに、前記差し込み片の上方で前後に貫通する貫通穴に、前記取付け部の前側からストッパを挿入して、前記貫通穴を前記取付け部の前側に引き付ける商品見本取付け構造である。
【0009】
この構成では、接地面と差し込み片が取付け穴の前側の縁を厚み方向に挟み、この状態を、貫通穴に挿入したストッパが取付け穴より前側に引き付けて前後方向に挟んで保持する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、接地面と差し込み片と貫通穴を有する商品見本は、取付け穴の前側の縁に、取付け部の厚み方向と水平方向で共に規制されて取り付けられる。しかも接地面と差し込み片が保持される部分は取付け穴の周方向のうち前側の縁の一カ所であり、その部分においてストッパで貫通穴を取付け部の前側に引き付けて固定がなされる。このため、取付け穴の径にかかわりなく取り付けることが可能であり、取付け対象をより広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図7】
図6の取付け部に見本保持具を取り付けた状態を示す断面図。
【
図11】見本保持具に対して表示見本を取り付ける際の分離状態の斜視図。
【
図14】他の形状の取付け穴に商品見本の取付け状態の横断面図。
【
図17】従来の他の形態の取付け穴を示す斜視図と断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0013】
図1に、自動販売機に備えられる商品見本11とその取付け構造を示す。商品見本11は自動販売機の展示スペースに備えられた取付け部12としてのステージ12aに対して直接又は間接的に着脱可能に取り付けられるものである。また商品見本11は、ステージ12aに取り付けられる見本保持具13と、この見本保持具13に対して着脱可能なシート状の表示見本17で構成されており、見本保持具13をステージ12aに固定した状態のまま表示見本17のみの交換も可能に構成されている。
【0014】
図1に例示したステージ12aは、金属製の板材で形成されて厚み方向に貫通した取付け穴21を有している。取付け穴21は縁22に適宜の切欠き23を有しており、取付け穴21の平面視形状には様々なものがある。
図18にそのうちのごく一例を示す。
【0015】
図18の(a)は円筒状の商品見本を取り付けられる取付け穴21であって、基本的に平面視円形に形成されている。(b)は円筒状ではなく半割型の商品見本が取り付けられる取付け穴21であって、平面視形状は半円形に近い形状である。これらの取付け穴21には、商品見本が直接取り付けられるほか、アダプターや台座のような別の部材を介して商品見本が間接的に取り付けられる場合もある。
【0016】
図1に示した取付け穴21は基本的に平面視円形に形成したものであって、縁22に適宜の切欠きを有するが、
図1と一部を除くその他の図において、取付け穴21は、便宜上、縁22の切欠きを省略して、単なる円形に描いている。
【0017】
この発明の商品見本取付け構造は、取付け穴21の平面視形状に関わらず取付けできるようにするものであって、取付け穴21の縁22の一部を厚み方向に挟むとともに、その取付け穴21の縁22とステージ12aの前端24との間を挟んで取り付ける構造である。
【0018】
すなわち取付け構造は、
図2に示したように、見本保持具13の下面に形成されてステージ12aの上面に接する接地面31と、接地面31より下に形成されて取付け穴21の縁22におけるステージ12aの前側部分の下に差し込まれる差し込み片32とで取付け穴21の縁22をその厚み方向で挟む。そのうえで、差し込み片32の上方で前後に貫通する貫通穴33に、ステージ12aの前側からストッパ15を挿入して、貫通穴33をステージ12aの前側に引き付ける。
【0019】
まず、見本保持具13とストッパ15について説明する。
【0020】
見本保持具13は合成樹脂製であり、
図3に示したように、製造においてはストッパ15も一体に成形し、使用時にストッパ15を切り離せるように構成されている。
図3の(a)は見本保持具13斜視図であり、(b)はその正面図中央縦断面図である。
【0021】
見本保持具13の正面視形状は縦長の長方形に形成された表示見本17を保持できるように、縦長の長方形をなす枠状に形成されている。枠状の本体部34は、下端で左右方向に延びる下辺部34aと、上端で左右方向に延びる上辺部34bと、これらの端部を繋ぐ左辺部34c及び右辺部34dを有し、内部に正面視長方形の窓部34eを有している。
【0022】
本体部34の高さは、高さの低い飲料容器、つまり350ml程度の大きさの容器の高さより低めに形成される。本体部34の幅は、350ml程度の容器の幅に近い大きさである。
【0023】
下辺部34aの下端には、前述した接地面31と差し込み片32と貫通穴33が形成される。すなわち、下辺部34aの長手方向(左右方向)の中間位置に、厚み方向(前後方向)に貫通する貫通穴33が形成される。貫通穴33は、短冊状の板材が挿入可能な形態であり、正面視横長の長方形である。
【0024】
この貫通穴33の左右両側に、前方に突出する突片35が形成されている。突片35は、外側の角をとった平面視略四角形状であり、先端の下面側角には、見本保持具13の底面図である
図4に示したように、差し込み動作を考慮して傾斜面35aが形成されている。
【0025】
このような突片35の下面が、前述した接地面31である。接地面31は、下辺部34aと左辺部34cと右辺部34dの下端面と面一であり、これらも接地面31である。
【0026】
接地面31との間で取付け穴21の縁22を挟む差し込み片32は、接地面31位置より下に、ステージ12aの取付け穴21を構成する板材に対応する厚さの段部36を介して突片35と同様に前方に突設されている。左右方向における取付け位置は、貫通穴33の下方、つまり左右2枚の突片35に挟まれる位置である。差し込み片32の平面視形状は四角形であり、先端の上面側角には、差し込み動作を考慮して傾斜面32aが形成されている。
【0027】
突片35と差し込み片32との間に広がる段部36は、
図4に示したように先端縁36aの平面視形状が円弧状である。この円弧の大きさは、一般的な基本的に円形の取付け穴21の大きさに対応している。
【0028】
また、段部36と差し込み片32の間と、段部36と下辺部34aの下端面との間は、見本保持具13の背面図である
図5に示したように、傾斜面36bを介して連続している。
【0029】
貫通穴33の天井面は、後方(背面側)に延設片37を延設することで背面側に長く形成される。延設片37は平面視四角形であり、先端側(後方)に寄った位置の下面に、下方に突出して左右方向に延びる1本の係止凸条37aを有している。
【0030】
上辺部34bの上端には、取付け部12としての
図6に示したような形態のステージ12bの取付け穴21にも取付け可能にする構成が形成されている。このステージ12bは前述例のステージ12aとは異なり樹脂成形品であり、取付け穴21は内側に、後方から前方に向けて水平に延びる押さえ片25が設けられている。押さえ片25は、適宜幅の板状であり、ステージ12bの上面から若干下がった位置における取付け穴21の後端に形成されている。押さえ片25は取付け穴21の前端に至る手前の途中まで延びており、先端部は上方斜め上に向けて傾斜している。
【0031】
つまり、ステージ12bの取付け穴21にも取付け可能にする構成は、見本保持具13を上下反転させて上辺部34bをステージ12bの上面に当てたときに押さえ片25の下に潜らせて押さえ片25に拘束させる部分であり、被拘束板38で構成される。
【0032】
被拘束板38は押さえ片25の幅に対応する長さであり、両端に設けられた支持壁39で上辺部34bの上端から所定距離隔てられて保持され、押さえ片25に対しての相対的な差し込みを可能にしている。左右の支持壁39は、
図3や、押さえ片25を有する取付け穴21に取り付けた状態の断面図である
図7に示したように、被拘束板38よりも背面側に突出する張り出し部39aを有している。
【0033】
また、上辺部34bの上端面における被拘束板38を挟む両側位置には、上方へ突出する小さな突起41が形成されている。これらの突起41は、見本保持具13の上下方向の向きを示す目印であり、取付け時の作業性に寄与するものである。
【0034】
上辺部34bの下面、つまり内側面には、
図3に示したように前述したストッパ15がランナー42を介して一体形成される。
【0035】
左右両側に位置する左辺部34cと右辺部34dは、外側の端に下辺部34aと上辺部34bの前面よりも前方に突出する縁壁43を有している。縁壁43は上下方向の全体にわたって形成されている。
【0036】
そして縁壁43の上下方向の複数個所、図示例では2カ所に、内方に張り出す係止部44が形成される。係止部44は、縁壁43の基部、言い換えれば左辺部34cや右辺部34dの前面から若干離した位置から前方に形成され、その平面視形状は
図4に示したように、おおよそ凸の4分の1円弧状である。
【0037】
ストッパ15は、側面視L字形状であり、長さの長い部位が貫通穴33にステージ12aの前側から挿入される挿入片51であり、長さ短い部位がステージ12aの前側、つまり前端24に当接する止め片52である。止め片52は、挿入片51における反挿入方向の部位のうち端に垂設されており、挿入片51と止め片52の間は直角をなしている。
【0038】
挿入片51と止め片52は同一幅であり、貫通穴33に嵌合対応する幅に形成されている。挿入片51の厚さもおおよそ貫通穴33に嵌合対応するように形成され、挿入片51の長さは、ステージ12aの取付け穴21における前側の口縁と前端24との間の長さの違いに対応できるように長めに設定されている。
【0039】
また挿入片51と貫通穴33との相互間に、挿抜に従って互いに係脱する係止構造が形成される。前述した延設片37の下面の係止凸条37aは係止構造の一方を構成し、挿入片51の上面には、係止凸条37aと係止する複数の凸条からなる係止部51aが長さ方向の所定範囲にわたって形成されている。
【0040】
このような構成の見本保持具13とストッパ15は、白色や透明、乳白色の合成樹脂で製造される。合成樹脂には、例えばポリプロピレンやポリカーボネートなどが使用できる。
【0041】
つぎに、表示見本17について説明する。
【0042】
表示見本17は可撓性を有する平らな一枚の合成樹脂シートで構成され、全面又は一部に
図8に示したように飲料容器のデザインや宣伝等が印刷されている。
【0043】
表示見本17は縦長の長方形であり、
図8の(a)に示した表示見本17は前述したような高さの低い容器に対応したものである。(b)に示した表示見本17は例えば容量が500mlのペットボトルのように高さの高い容器に対応したものである。
【0044】
いずれの表示見本17も、見本保持具13の前面に対して表示見本17の幅方向の中間部を所定量突出させる湾曲状態で取り付けられるように、表示見本17の幅W1,W2は左辺部34cと右辺部34dの縁壁43間の長さよりも長く設定されている。表示見本17の高さH1,H2は、見本保持具13の高さよりも高い。
【0045】
以上のように構成された商品見本11をステージ12aの取付け穴21に固定する場合には、
図2、
図9に示したように、見本保持具13の下端部で取付け穴21の縁22の前側部分を厚み方向に挟む。具体的には突片35の下の接地面31と差し込み片32の上面で取付け穴21の縁22を挟んで、段部36の先端縁36aが取付け穴21の口縁に当たるまで前方に押し付ける。
【0046】
続いて、切り離したストッパ15の挿入片51をステージ12aの前側から見本保持具13の貫通穴33に挿入して、止め片52がステージ12aの前端24に当たるまで押し込む。挿入片51を抵抗に抗して挿入すると、挿入片51の係止部51aは延設片37の係止凸条37afと順次係脱しながら入り込む。そしてストッパ15は、
図9、
図10に示したように見本保持具13の貫通穴33をステージ12aの前側に引き付けた状態で止まり、係止構造によって抜け止め状態が得られる。
【0047】
これによって見本保持具13は、接地面31と差し込み片32による厚み方向での位置規制と、ストッパ15と貫通穴33とによる水平方向での位置規制がなされ、見本保持具13の取付け穴21に対する取付けは完了する。
【0048】
つぎに見本保持具13に対して表示見本17を取り付ける。
【0049】
表示見本17の取付けに際しては、
図11に示したように、表示見本17の左右両側縁を挟むようにもって押し縮めて表示見本17を湾曲させる。この状態で見本保持具13の前面の縁壁43間に入れて、表示見本17の両側端を見本保持具13の前面に当てて手を離すと、表示見本17は弾性により復元しようとして係止部44に係止し、この状態が維持される(
図12参照)。
【0050】
表示見本17の下端における幅方向の中間部はストッパ15の挿入深さによって、表示見本17の下にストッパ15があればストッパ15の上面に支持される。表示見本17の下にストッパ15がなければ表示見本17の下端はステージ12aの上面に支持される。
【0051】
図13はステージ12aに取り付けられた商品見本11を正面から見た状態を示している。前述したように表示見本17を保持する見本保持具13は乳白色等、照明で照らされた自動販売機の展示スペースにおいて目立たない色であるので、見本保持具13の輪郭や形状は明瞭に視認されることはない。このため、表示見本17のみが存在するような状態に見えることになる。
図13中、見えにくい部部の線は細線であらわしている。
【0052】
取付け穴21の平面視形状が円形でなく、
図18の(b)に例示したような半円形に近い形状である場合でも前述と同様にして商品見本11を取り付けることができる。
【0053】
図14にその取付け状態を示す。つまり、接地面31と差し込み片32で挟まれる部分は取付け穴21の縁22における前側部分であり、
図18の(b)に例示した半円形に近い形状の取付け穴21にもその部分は存在するので、前述と同様に商品見本11を取り付けることができる。
【0054】
このように、取付け穴21の縁22を厚み方向で挟む位置規制と水平方向で挟む位置規制を、取付け穴21から前側部分で行うので、取付け穴21の径の大小にかかわりなく取り付けることが可能であり、取付け可能な取付け穴21の種類をより増やすことができる。
【0055】
そのうえ見本保持具13の上辺部34bには被拘束板38が形成され、取付け穴21に押さえ片25を有するステージ12bにも取り付けできる構成であるので、取付け可能な対象はさらに広がる。
【0056】
取付け可能な取付け穴の種類が多いため、一つの展示スペースに既存の商品見本を含めて複数種類の商品見本を取り付けることも可能であり、商品の変化に柔軟に対応できる。
【0057】
しかも、接地面31は貫通穴33の左右両側を含めて見本保持具13の下面全体に形成しているので、この点からも取付け対象を広げることができるとともに、取付け状態の安定性も高い。
【0058】
また、ストッパ15の挿入片51と、見本保持具13の貫通穴33との相互間に係止構造(係止凸条37aと係止部51a)を形成したので、取付け状態を強固に維持できる。そのうえ、係止構造は挿抜に従って互いに係脱するものであるので、挿入片51の挿入深さにかかわりなく強固な固定状態が得られる。
【0059】
さらに、商品見本11は取付け穴21に対する取付けのための構成を有する見本保持具13と、見本保持具13の左右両側に係止されるシート状の表示見本17で構成したので、表示見本17のみを交換することで販売する商品の変更に対応できる。このことは、見本保持具13の高さを高さの低い商品に合わせて低く形成したことによってより確実になる。
【0060】
そのうえ、表示見本17は左右方向の中間部が突出するように湾曲して取り付けられるので、表示見本17が飲料容器の外観を得られることになり、
図13に示したように見本保持具13の存在が目立たないことと相まって、より美麗な展示が得られる。しかも、表示見本17はシート状であるのでより安価に製造でき、全体のコストを低減することもできる。
【0061】
コスト削減の効果は、見本保持具13を枠状に形成して材料を削減したうえに、さらに見本保持具13内側に窓部34eを設けてこの窓部34eを利用してストッパ15を見本保持具13と一体に成形する構成としたことによって高められる。
【0062】
また、ストッパ15は見本保持具13の窓部34eから切り離して使用されるも、使用前の段階では一つの部材として取り扱えて便利であり、不要な時には貫通穴33に差し込んで保持しておけばよく、紛失のおそれもない。さらに見本保持具13を上下反転して被拘束板38を利用して取付け穴21に対する取付けを行った場合でも、貫通穴33に深く差し込んでおけば保持したストッパ15は邪魔にならず、表示見本17を取り付けることができる。
【0063】
以上の構成はこの発明を構成するための一形態であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではない。
【0064】
例えば、取付け部12としてのステージ12aは、前述したように金属製の板材のみで構成されるものではなく、例えば
図15の(a)に示したように樹脂成形品27と金属製の板材28を結合した構成のものであってもよい。樹脂成形品27には取付け穴21よりも大きいルーズホール27aが形成され、金属製の板材28におけるルーズホール27aに対応する部位に、切欠き23を有する取付け穴21が形成されている。また、
図15の(b)に示したように、その樹脂成形品27に押さえ片25が備えた構成であってもよい。
【0065】
また、表示見本17は湾曲せずに平らなまま取り付けるようにしてもよい。
【0066】
商品見本11は見本としての主要部分が見本保持具13と表示見本17とに分けて構成されるのではなく一つの部材で構成されるものとすることもできる。
【0067】
係止構造を省略して、挿入片51と貫通穴33の位置関係が単に相互間の接触抵抗で止まるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
11…商品見本
12…取付け部
13…見本保持具
15…ストッパ
17…表示見本
21…取付け穴
22…縁
31…接地面
32…差し込み片
33…貫通穴
34e…窓部
37a…係止凸条
51…挿入片
51a…係止部
52…止め片