(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038766
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 81/26 20060101AFI20230310BHJP
【FI】
B65D81/26 D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145652
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】592233347
【氏名又は名称】シーレックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】栗山 佳人
(72)【発明者】
【氏名】高島 功子
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AB01
3E067BA07A
3E067BA31A
3E067BB15A
3E067BC07A
3E067CA24
3E067EA32
3E067EB17
3E067EB27
3E067EC12
3E067EC27
3E067FA01
3E067GB02
3E067GB05
3E067GD02
(57)【要約】
【課題】ガス抜き弁における開弁圧を低下させることが可能な包装容器を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る包装容器は、ガス発生物を包装する包装容器であって、開口を有する容器本体と、該容器本体の開口を覆うように取り付けられるとともに、通気孔が形成された内蓋体と、該内蓋体に形成された通気孔を覆うように、前記内蓋体の外側表面に取り付けられたガス抜き弁と、前記内蓋体を覆うように、前記容器本体と嵌合する外蓋体と、を備え、前記外蓋体は、前記内蓋体側に向かって突出した複数のエンボス部を備え、突出方向から見て、前記ガス抜き弁と重なり合う領域の外周に外周部を備え、前記複数のエンボス部が該外周部に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス発生物を包装する包装容器であって、
開口を有する容器本体と、
該容器本体の開口を覆うように取り付けられるとともに、通気孔が形成された内蓋体と、
該内蓋体に形成された通気孔を覆うように、前記内蓋体の外側表面に取り付けられたガス抜き弁と、
前記内蓋体を覆うように、前記容器本体と嵌合する外蓋体と、を備え、
前記外蓋体は、
前記内蓋体側に向かって突出した複数のエンボス部を備え、
突出方向から見て、前記ガス抜き弁と重なり合う領域の外周に外周部を備え、前記複数のエンボス部が該外周部に配置される、包装容器。
【請求項2】
突出方向から見て、前記内蓋体に形成された前記通気孔の中心位置から前記エンボス部までの最短距離を結ぶ仮想線上において、前記通気孔の中心位置から前記エンボス部までの最短距離をL1、前記通気孔の中心位置から前記ガス抜き弁の外縁までの距離をL2としたとき、L2に対するL1の比(L1/L2)が1.0を超えて2.0以下である、請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記複数のエンボス部は、前記外蓋体の外周部において、周方向に均等な間隔で配置される、請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記エンボス部が、少なくとも4個配置される、請求項1~3のいずれか一つに記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コーヒー豆、味噌、キムチ等の発酵食品は、包材で包装された包装体として流通している。発酵食品が包装された包装体には、包装体内から発生するガスを包装体の外へ放出するための通気孔が設けられていて、さらに、該通気孔を覆うようにガス抜き弁が取り付けられている。ガス抜き弁は、包装体内から発生するガスによって包装体内の圧力が上昇することにより開弁し、該ガスを包装体の外部領域に放出する。そして、ガスの放出後は閉弁し、外部領域から包装体内へ酸素が流入することを抑制する。これにより、発酵食品の品質低下を抑制している。
【0003】
このようなガス抜き弁として、例えば、特許文献1では、本体層と、該本体層の下面側に積層された枠状の粘着層と、を備えるガス抜き弁が開示されている。前記粘着層は、包装体に対して剥離および再粘着可能な剥離粘着領域と、該剥離粘着領域よりも高い剥離強度を有するように構成される貼付領域とを備える。特許文献1のガス抜き弁は、包装体内の圧力が所定の圧力、すなわち開弁圧を超えると、前記ガス抜き弁が上方向に変形する。該変形に伴い、前記剥離粘着領域が包装体から離れる方向に移動して、前記剥離粘着領域と包装体との間に通気路が形成されて開弁状態となる。そして、包装体内の圧力が開弁圧を下回ると、前記剥離粘着領域が粘着層の剥離していない部分(すなわち、前記貼付領域)に引き寄せられて包装体と接触する位置に戻り、剥離していた前記剥離粘着領域が包装体に再粘着して閉弁状態となる。すなわち、特許文献1のガス抜き弁では、包装体内のガスが、前記剥離粘着領域と前記包装体との間を通って、該ガス抜き弁の側面側から放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、味噌、キムチ等の発酵食品が包装された包装体には、ガス抜き弁が摩擦等により剥離するのを防止し、また、外部領域から包装体内へ酸素が流入することを一層抑制する観点から、ガス抜き弁を覆うように蓋体が設けられることがある。ガス抜き弁から放出されたガスは、該蓋体と包装体表面との間の僅かな隙間を通って、前記蓋体の外部領域へ放出される。
【0006】
しかしながら、包装体に蓋体が設けられた包装容器は、包装体内の圧力上昇に伴い包装体が膨らみ、蓋体とガス抜き弁が密着することにより、ガス抜き弁を円滑に開弁することができず、開弁圧が上昇する虞がある。
【0007】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、ガス抜き弁における開弁圧を低下させることが可能な包装容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る包装容器は、ガス発生物を包装する包装容器であって、開口を有する容器本体と、該容器本体の開口を覆うように取り付けられるとともに、通気孔が形成された内蓋体と、該内蓋体に形成された通気孔を覆うように、前記内蓋体の外側表面に取り付けられたガス抜き弁と、前記内蓋体を覆うように、前記容器本体と嵌合する外蓋体と、を備え、前記外蓋体は、前記内蓋体側に向かって突出した複数のエンボス部を備え、突出方向から見て、前記ガス抜き弁と重なり合う領域の外周に外周部を備え、前記複数のエンボス部が該外周部に配置される。
【0009】
前記包装容器は、外蓋体の外周部に複数のエンボス部が配置されることにより、容器本体内の圧力上昇に伴い内蓋体が膨らむ際、エンボス部がスペーサとして機能する。その結果、蓋体とガス抜き弁との密着を抑制し、開弁圧を低下させることができる。
【0010】
本発明に係る包装容器は、突出方向から見て、前記内蓋体に形成された前記通気孔の中心位置から前記エンボス部までの最短距離を結ぶ仮想線上において、前記通気孔の中心位置から前記エンボス部までの最短距離をL1、前記通気孔の中心位置から前記ガス抜き弁の外縁までの距離をL2としたとき、L2に対するL1の比(L1/L2)が1.0を超えて2.0以下であってもよい。
【0011】
前記包装容器は、斯かる構成により、前記ガス抜き弁における開弁圧をより低下させることができる。
【0012】
本発明に係る包装容器において、前記複数のエンボス部は、前記外蓋体の外周部において、周方向に均等な間隔で配置されていてもよい。
【0013】
前記包装容器は、斯かる構成により、容器本体内の圧力上昇に伴い内蓋体が膨らむ際、該内蓋体の歪みの発生を抑制することができる。その結果、ガス抜き弁をより円滑に開弁して、開弁圧をより低下させることができる。
【0014】
本発明に係る包装容器において、前記エンボス部が、少なくとも4個配置されていてもよい。
【0015】
前記包装容器は、斯かる構成により、容器本体内の圧力上昇に伴い内蓋体が膨らむ際、該内蓋体の歪みの発生をより抑制することができる。その結果、ガス抜き弁をより円滑に開弁して、開弁圧をより低下させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ガス抜き弁における開弁圧を低下させることが可能な包装容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る包装容器1の端面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す包装容器1の上面視における部分拡大図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2実施形態に係る包装容器1の外蓋体5の底面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第3実施形態に係る包装容器1の外蓋体5の底面図である。
【
図6】
図6は、実施例5に係る包装容器1の外蓋体5の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る包装容器1について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態に係る包装容器1の端面図であり、
図2は、
図1に示す包装容器1の上面視における部分拡大図であり、
図3は、
図1に示す外蓋体5の底面図である。
図1に示すように、包装容器1は、開口20を有する容器本体2と、容器本体2の開口20を覆うように取り付けられた内蓋体3と、内蓋体3の外側表面に取り付けられたガス抜き弁4と、内蓋体3を覆うように、容器本体2と嵌合する外蓋体5と、を備える。外蓋体5は、内蓋体3側に向かって突出した複数のエンボス部54を備える。なお、本明細書において、エンボス部54が突出する方向(
図1中のZ方向)を「突出方向」といい、ガス抜き弁4においてガスの通気路が形成される方向(
図1中のY方向)を「通気方向」という。
【0020】
包装容器1は、ガス発生物を包装する包装容器である。ガス発生物としては、例えば、コーヒー豆、加熱されたコーヒー、紅茶やお茶等の茶飲料、味噌、キムチ、チーズ、サワークラウト等の発酵食品、ガスを発生する洗剤等のガス発生化成品が挙げられる。
【0021】
容器本体2は、ガス発生物を収容する収容空間を形成し、前記収容空間を上方へ開放する開口20を備える。具体的には、容器本体2は、収容空間を形成するとともに開口20を備える収容部21と、収容部21における開口20を形成する端部から容器本体2の外側に向かって延出するフランジ部22とを備える。すなわち、フランジ部22は、突出方向から見て容器本体2の開口20を囲むように環状に形成される。
【0022】
容器本体2は、樹脂を含む材料からなり、容器状に成形されたものを用いることができる。
【0023】
内蓋体3は、内蓋体3を貫通する通気孔31を備える。具体的には、内蓋体3には、円形状に形成された通気孔31が内蓋体3の中心に設けられ、該通気孔31から容器本体2内のガスを放出する。また、内蓋体3は、容器本体2の開口20を覆うように取り付けられる。具体的には、容器本体2の開口20を上方から覆うように内蓋体3を被せると、容器本体2のフランジ部22と内蓋体3の外周端部30とが重なる。そして、フランジ部22と外周端部30とが重なり合う部分を接着剤等で固着することにより、内蓋体3は容器本体2に取り付けられる。
【0024】
内蓋体3は、変形可能なフィルムで形成され、例えば、非粘着性の可撓性樹脂フィルムを用いることができる。非粘着性の可撓性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリオレフィン等からなる樹脂フィルムが挙げられる。
【0025】
ガス抜き弁4は、本体層41と、本体層41の下面側(
図1中のZ方向の底側)に積層された枠状の粘着層42と、を備える。ガス抜き弁4は、枠状の粘着層42が内蓋体3の通気孔31を囲うように(すなわち、枠状の粘着層42の枠内に通気孔31が収まるように)内蓋体3に貼り付けられる。これにより、内部空間Rが形成されるとともに、容器本体2は密閉される。ガス抜き弁4は、容器本体2内の圧力(以下、内圧とも記す)が、開弁圧より高くなった際に、容器本体2内から外部領域へガスの放出を可能にする。
【0026】
具体的には、容器本体2内の内圧が外部領域の気圧よりも高くなると、ガス抜き弁4及び内蓋体3に圧力がかかり、ガス抜き弁4(具体的には、本体層41)が上方向(
図1中のZ方向)に変形する。該変形に伴い、後述する剥離粘着領域42aが上方向に持ち上がることによって剥離し、剥離粘着領域42aと内蓋体3との間に、通気路が形成される。該通気路が形成されることで、容器本体2内と外部領域とが連通した開弁状態となる。なお、開弁状態であっても、後述する貼付領域42bは内蓋体3から剥離しないため、ガス抜き弁4が内蓋体3に貼り付けられた状態を維持することができる。
【0027】
開弁状態では、容器本体2内のガスが外部領域に放出される。開弁状態において容器本体2内の内圧が所定の圧力、すなわち開弁圧を下回ると、剥離粘着領域42aが粘着層42の剥離していない部分(すなわち、貼付領域42b)に引き寄せられて内蓋体3と接触する位置に戻り、剥離していた剥離粘着領域42aが内蓋体3に再粘着して閉弁状態となる。閉弁状態では、容器本体2内のガスが外部領域へ放出されず、また、外部領域から容器本体2内へ酸素が流入することを抑制する。
【0028】
開弁圧は、大気圧を超える圧力であり、かつ、包材の破裂強度(JIS-P-8112 ミューレン法)以下であることが好ましい。ガス抜き弁4が、ガス発生物から発生するガスの圧力程度の僅かな圧力で開弁するためには、開弁圧を大気圧に近い圧力とすることが好ましい。具体的には、開弁圧は、1.0kgf/cm2以上2.0kgf/cm2以下であることが好ましく、1.0kgf/cm2以上1.5kgf/cm2以下であることがより好ましい。
【0029】
本体層41は、上面視において四角形状に形成される。また、本体層41は、内蓋体3の変形に追従できるように、変形可能なフィルムで形成される。本体層41としては、例えば、非粘着性の可撓性樹脂フィルムを用いることができる。非粘着性の可撓性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン等からなる樹脂フィルムが挙げられる。本体層41の厚さは、12μm以上200μm以下であることが好ましく、16μm以上75μm以下であることがより好ましい。
【0030】
粘着層42は、
図2に示すように、上面視において本体層41と同一の四角形状の枠状に形成される。また、上面視において、粘着層42の外周縁と本体層41の外周縁とは、重なり合う。すなわち、ガス抜き弁4は、全体として、上面視において四角形状に形成されており、ガス抜き弁4の外周縁は、4つの角部4aと、角部4a同士を結ぶ4つの辺部4bとから構成される。
【0031】
粘着層42は、内蓋体3に対して剥離および再粘着可能な剥離粘着領域42aと、剥離粘着領域42aよりも高い剥離強度を有するように構成される貼付領域42bと、を備える。貼付領域42bは、粘着層42における通気方向に直交する方向(
図2中のX方向)の両端部に位置する。剥離粘着領域42aは、粘着層42における通気方向の両端部かつ貼付領域42b以外の領域に位置する。なお、本明細書において直交とは、公差を考慮した直交を意味する。
【0032】
剥離粘着領域42aは、例えば、自己吸着性を有したUV硬化性樹脂等から形成され、開弁圧を低下させる観点から、自己吸着力をコントロールできるUV硬化性樹脂から形成されることが好ましい。このようなUV硬化性樹脂としては、例えば、アクリレート基を有するシリコーン系モノマー・オリゴマー、若しくは、アクリレート基を有する長鎖アルキル系モノマー・オリゴマー、又は、これらのモノマー・オリゴマーと熱可塑性ポリマーとの混合物等が挙げられる。剥離粘着領域42aの厚さは、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、1μm以上30μm以下であることがより好ましい。
【0033】
剥離粘着領域42aの内蓋体3に対する剥離強度は、内蓋体3の材質により適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば、0.04N/m以上40N/m以下であることが好ましく、0.4N/m以上28N/m以下であることがより好ましい。剥離強度を前記範囲とすることにより、内蓋体3に対する十分な粘着性と良好な剥離性を確保することができる。なお、本明細書において、剥離強度とは、JIS K 6854に基づく90°剥離試験方法により測定することができる。
【0034】
貼付領域42bは、剥離粘着領域42aに使用される樹脂よりも、内蓋体3に対して高い剥離強度を有する粘着剤を用いて形成される。これにより、開弁時において、貼付領域42bと内蓋体3との間に意図しない通気路が形成されることなく、剥離粘着領域42aと内蓋体3との間に通気路を形成することができる。貼付領域42bは、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の公知の粘着剤からなる層、EVA系エマルション形接着剤、合成ゴム系接着剤、シアノアクリレート系接着剤等の公知の接着剤から形成される。貼付領域42bの厚さは、特に限定されるものではなく、例えば、10μm以上50μm以下であることが好ましく、15μm以上25μm以下であることがより好ましい。
【0035】
貼付領域42bの内蓋体3に対する剥離強度としては、剥離粘着領域42aを形成する樹脂よりも剥離強度が高い限りにおいて特に限定されるものではなく、例えば、200N/m以上1200N/m以下であることが好ましく、400N/m以上800N/m以下であることがより好ましい。
【0036】
図3に示すように、外蓋体5は、外蓋体本体部51と、突出方向から見て外蓋体本体部51を囲うように形成される嵌合部52と、を備える。また、
図2に示すように、外蓋体5は、突出方向から見て、ガス抜き弁4と重なり合う領域の外周に外周部53を備える。嵌合部52は、容器本体2のフランジ部22と嵌合する。これにより、外蓋体5が容器本体2に取り付けられる。
【0037】
図1に示すように、外蓋体5は、内蓋体3側に向かって突出した複数のエンボス部54を備える。
図3に示すように、エンボス部54は、突出方向から見て円形状に形成される。突出方向から見たエンボス部の直径は、1mm以上3mm以下であることが好ましく、1mm以上1.5mm以下であることがより好ましい。エンボス部54における突出方向に沿う長さは、0.5mm以上2.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以上1.5mm以下であることがより好ましい。なお、エンボス部54は、例えば、型押し方法等の従来公知の方法により形成される。
【0038】
エンボス部54は、外蓋体5の内側表面における外周部53に形成される。エンボス部54は、外蓋体5の内側表面における外周部53において、突出方向から見て、周方向に均等な間隔で八角形状の頂点となる位置に8個配置される。エンボス部54は、このように配置されることにより、ガス抜き弁4をより円滑に開弁して開弁圧をより低下させることができるとともに、包装容器1の外部領域からの遮断性を向上させ、かつ、容器本体2内におけるガス発生物の外部領域への飛散を防止することができる。
【0039】
エンボス部54は、ガス抜き弁4の角部4aに対応する位置に配置される角部エンボス部54aと、ガス抜き弁4の辺部4bに対応する位置に配置される辺部エンボス部54bとから構成される。より詳しくは、角部エンボス部54aは、通気孔31の中心位置からガス抜き弁4の角部4aを最長距離で結ぶ仮想線の延長線上に配置され、辺部エンボス部54bは、通気孔31の中心位置からガス抜き弁4の辺部4bを最短距離で結ぶ仮想線の延長線上に配置される。角部エンボス部54a及び辺部エンボス部54bは、周方向に沿って交互に配置される。
【0040】
図2に示すように、突出方向から見て、内蓋体3に形成された通気孔31の中心位置からエンボス部54までの最短距離を結ぶ仮想線M上において、通気孔31の中心位置からエンボス部54までの最短距離をL
1、通気孔31の中心位置からガス抜き弁4の外縁までの距離をL
2としたとき、L
2に対するL
1の比(L
1/L
2)が1.0を超えて2.0以下であることが好ましく、1.3以上1.7以下であることが好ましい。最短距離L
1は、例えば、14.0mm以上23.0mm以下とすることができる。また、距離L
2は、例えば、7.0mm以上20.0mm以下とすることができる。なお、第1実施形態において、各エンボス部54における最短距離L
1は、すべて等しく形成される。また、各エンボス部54における距離L
2は、エンボス部54が角部エンボス部54aである場合、通気孔31の中心位置からガス抜き弁4の角部4aを最長で結ぶ距離であり、エンボス部54が辺部エンボス部54bである場合、通気孔31の中心位置からガス抜き弁4の辺部4bを最短で結ぶ距離である。
【0041】
本実施形態に係る包装容器1は、外蓋体5の外周部53に複数のエンボス部54が配置されることにより、容器本体2内の圧力上昇に伴い内蓋体3が膨らむ際、エンボス部54がスペーサとして機能する。その結果、内蓋体3とガス抜き弁4との密着を抑制し、開弁圧を低下させることができる。
【0042】
本実施形態に係る包装容器1は、突出方向から見て、内蓋体3に形成された通気孔31の中心位置からエンボス部54までの最短距離を結ぶ仮想線M上において、通気孔31の中心位置からエンボス部54までの最短距離をL1、通気孔31の中心位置からガス抜き弁4の外縁までの距離をL2としたとき、L2に対するL1の比(L1/L2)が1.0を超えて2.0以下であることにより、ガス抜き弁4における開弁圧をより低下させることができる。
【0043】
本実施形態に係る包装容器1は、複数のエンボス部54が、外蓋体5の外周部53において、周方向に均等な間隔で配置されることにより、容器本体2内の圧力上昇に伴い内蓋体3が膨らむ際、内蓋体3の歪みの発生を抑制することができる。その結果、ガス抜き弁4をより円滑に開弁して、開弁圧をより低下させることができる。
【0044】
本実施形態に係る包装容器1は、エンボス部54が、8個配置されることにより、容器本体2内の圧力上昇に伴い内蓋体3が膨らむ際、内蓋体3の歪みの発生を抑制することができる。その結果、ガス抜き弁4をより円滑に開弁して、開弁圧をより低下させることができる。
【0045】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係る包装容器1について、第1実施形態と異なる部分を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0046】
図4は、本発明の第2実施形態に係る包装容器1の外蓋体5の底面図である。
図4に示すように、エンボス部54は、外蓋体5の内側表面における外周部53において、突出方向から見て、周方向に均等な間隔で四角形状の頂点となる位置に4個配置されている。
【0047】
本発明の第2実施形態に係る包装容器1は、エンボス部54が、外蓋体5の外周部53において、周方向に均等な間隔で4個配置されることにより、ガス抜き弁4をより円滑に開弁して開弁圧をより低下させることができるとともに、包装容器1の外部領域からの遮断性を向上させ、かつ、容器本体2内におけるガス発生物の外部領域への飛散を防止することができる。
【0048】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態に係る包装容器1について、第1実施形態と異なる部分を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0049】
図5は、本発明の第3実施形態に係る包装容器1の外蓋体5の底面図である。
図5に示すように、エンボス部54は、外蓋体5の内側表面における外周部53において、突出方向から見て、周方向に均等な間隔で通気方向に沿って2個配置されている。
【0050】
本発明の第3実施形態に係る包装容器1は、エンボス部54が、外蓋体5の外周部53において、周方向に均等な間隔で配置されることにより、ガス抜き弁4をより円滑に開弁して開弁圧をより低下させることができる。
【0051】
[その他の実施形態]
以上、本発明の第1実施形態~第3実施形態(以下、これらの実施形態を合わせて本実施形態ともいう)について説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0052】
本実施形態に係る包装容器1では、エンボス部54の形状は、突出方向から見て、円形状である。しかし、本発明は当該構成に限定されるものではなく、多角形状等であってもよい。
【0053】
本実施形態に係る包装容器1では、エンボス部54は、外蓋体5の外周部53において、周方向に均等な間隔で配置されている。しかし、本発明は当該構成に限定されるものではなく、エンボス部54は、均等な間隔で配置されていなくてもよい。
【0054】
本実施形態に係る包装容器1では、エンボス部54が、それぞれ2個、4個、8個配置されているが、本発明は当該構成に限定されるものではない。エンボス部54は、ガス抜き弁4をより円滑に開弁して、開弁圧をより低下させる観点から、少なくとも4個配置されていることが好ましい。
【0055】
本実施形態に係る包装容器1では、内蓋体3の中心に通気孔31が形成される。また、通気孔31は円形状に形成される。しかし、本発明は当該構成に限定されるものではなく、内蓋体3の側縁側に偏った領域に通気孔31が形成されてもよい。また、通気孔31は、円形以外の楕円形状、多角形状等に形成されてもよい。
【0056】
本実施形態に係る包装容器1では、ガス抜き弁4において本体層41及び粘着層42が上面視において四角形状に形成されている。しかし、本発明は当該構成に限定されるものではなく、本体層41及び粘着層42は多角形状、円形状等に形成されていてもよい。
【0057】
本実施形態に係る包装容器1では、ガス抜き弁4において貼付領域42bが、粘着層42における通気方向に直交する方向(
図2中のX方向)の両端部に位置し、剥離粘着領域42aが、粘着層42における通気方向の両端部かつ貼付領域42b以外の領域に位置する。しかし、本発明は当該構成に限定されるものではなく、貼付領域42bと剥離粘着領域42aの配置は適宜変更することができる。例えば、剥離粘着領域42aは、粘着層42における通気方向の一方の端部にのみ配置されてもよいし、貼付領域42bを四角形状の枠の角部に位置するように配置し、剥離粘着領域42aを前記角部の間に位置するように4カ所に配置してもよい。
【0058】
本実施形態に係る包装容器1では、ガス抜き弁4において剥離粘着領域42aが、所定の領域で連続的に形成され、1枚の平板状に形成されている。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、剥離粘着領域42aは、所定の領域で断続的に形成されていてもよい。具体的には、剥離粘着領域42aは、互いに離間する複数の突条部から形成されていてもよい。
【0059】
本実施形態に係る包装容器1では、ガス抜き弁4において粘着層42(剥離粘着領域42a)と内蓋体3との間に、通気路が形成される。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、ガス抜き弁4を構成する層をさらに設けて、積層構造の層間に通気路が形成されるようにしてもよい。例えば、本体層41と粘着層42(この場合、粘着層42は貼付領域42bのみから構成される)の間に、剥離粘着領域42aに相当する層を配置することにより、本体層41と剥離粘着領域42aに相当する層との間に通気路が形成されるようにしてもよい。また、例えば、前記構成の剥離粘着領域42aに相当する層を2層重ねて配置、具体的には、本体層41側に位置する剥離粘着領域42aに相当する層と本体層41との間に別途粘着層とを重ねて配置することにより、剥離粘着領域42aに相当する層の間に通気路が形成されるようにしてもよい。
【0060】
本実施形態に係る包装容器1では、ガス抜き弁4において粘着層42(剥離粘着領域42a)と内蓋体3との間に、通気路が形成される。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、ガス抜き弁4は、例えば、ガス抜き弁4を貫通するスリットが形成され、該スリットを通して容器本体2内のガスを外部領域へ排出するような構成であってもよい。この場合、例えば、枠状の粘着層42は、貼付領域42bのみから構成され、貼付領域42bの内側の領域(すなわち、枠内の領域)に剥離粘着領域42aに相当する層を配置することができる。
【実施例0061】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0062】
<ガス抜き弁の作製>
各実施例及び比較例のガス抜き弁は、
図1及び
図2に示すガス抜き弁と同一の構造を有するように、本体層と粘着層を積層することにより作製した。具体的には、本体層としてポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム(厚さ:25μm)、粘着層の剥離粘着領域としてX-62-7205(信越化学社製、厚さ:10μm)、粘着層の貼付領域としてアクリル系粘着剤(厚さ:20μm)を用いて作製した。ガス抜き弁は、突出方向から見て、21mm×21mmの四角形状とし、通気路となる内部空間、及び、剥離粘着領域の大きさは21mm×14mmとした。
【0063】
<包装容器の作製>
(実施例1)
実施例1では、
図1~
図3に示す構造を有する第一実施形態に係る包装容器を作製した。具体的には、容器本体は、フランジ部の内側端部によって形成される開口の大きさが105mm×105mmであり、高さが85mmである容器を用いた。内蓋体は、大きさが120mm×120mmであり、厚さが0.205mmであるポリエチレンテレフタレート製のフィルムを用いた。内蓋体の中心には直径2.0mmの通気孔を形成した。ガス抜き弁は、通気孔の上方に内部空間が位置するように、内蓋体に取り付けた。外蓋体は、容器本体と嵌合可能に形成された蓋体を用いた。外蓋体の内側表面における外周部には、突出方向から見て、周方向に均等な間隔で八角形状の頂点となる位置にエンボス部を8個配置した。具体的には、ガス抜き弁の角部に対応して位置する角部エンボス部を4個、ガス抜き弁の辺部に対応して位置する辺部エンボス部を4個配置した。エンボス部は、1.5mm角で厚さが1mmのゴムシートを両面テープで接着することにより作製した。
【0064】
(実施例2)
実施例2では、
図4に示す構造の外蓋体を有する第2実施形態に係る包装容器を作製した。具体的には、エンボス部を周方向に均等な間隔で四角形状の頂点となる位置に4個配置したこと以外は、実施例1と同様に作製した。
【0065】
(実施例3)
実施例3では、
図5に示す構造の外蓋体を有する第3実施形態に係る包装容器を作製した。具体的には、エンボス部を周方向に均等な間隔で通気方向に沿って2個配置したこと以外は、実施例1と同様に作製した。
【0066】
(実施例4)
実施例4では、第3実施形態におけるエンボス部を周方向に90°回転させ、通気方向に垂直な方向に沿って配置したこと以外は、実施例1と同様に包装容器を作製した。
【0067】
(実施例5)
実施例5では、
図5に示す構造の外蓋体を有する包装容器を作製した。具体的には、実施例2におけるエンボス部を四角形状における各辺の中点として、さらに該四角形状の頂点となる位置に4個のエンボス部を配置することにより、合計8個のエンボス部を配置した。実施例5では、エンボス部を上述の配置としたこと以外は、実施例2と同様に包装容器を作製した。
【0068】
(比較例1)
比較例1では、エンボス部が形成されていない外蓋体を用いたこと以外は、実施例1と同様に包装容器を作製した。
【0069】
<開口圧の測定>
各実施例及び比較例の包装容器について、容器本体の側面にガスを導入するための導入孔を設け、該導入孔から10mL/minの流量で容器本体内にガスを導入することで、ガス抜き弁の開口圧(kPa)を測定した。開口圧は3回測定し、平均値を平均開口圧とした。
【0070】
【0071】
表1の結果から分かるように、本発明の構成要件をすべて満たす各実施例の包装容器は、比較例1の包装容器と比較して、ガス抜き弁における開弁圧を低下させることができる。